JP2020133858A - ヘリカルギヤのスラスト荷重軽減構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転軸にスプライン嵌合するヘリカルギヤに発生するスラスト荷重を、部品点数の増加やコストアップを招くことなく、簡単な構成で軽減させてその軸方向移動を防ぐことができるヘリカルギヤのスラスト荷重軽減構造を提供すること。【解決手段】回転軸(カウンタシャフト)11にスプライン嵌合によって結合されたヘリカルギヤ(変速ギヤ)14のスラスト荷重軽減構造として、前記ヘリカルギヤ14の内径スプライン14bを、回転軸中心線Lに対して斜めに捩れたヘリカルスプラインとする。この場合、前記ヘリカルスプラインの捩れ方向を、当該ヘリカルギヤ14の外周に刻設されたヘリカル歯14aの捩れ方向と同じ方向とする。【選択図】図3
Description
本発明は、回転軸にスプライン嵌合によって結合されたヘリカルギヤのスラスト荷重軽減構造に関する。
互いに噛合するギヤの回転時の騒音を低く抑えるために、両ギヤをヘリカルギヤ(はす歯ギヤ)で構成することは一般的に行われているが、これらのヘリカルギヤが回転すると、ギヤの噛み合いによってスラスト荷重が発生する。このため、ヘリカルギヤが設けられた回転軸は、ジャーナル荷重とスラスト荷重を同時に受けることができるテーパローラベアリング等によって回転可能に支持されている。また、ヘリカルギヤがスラスト荷重によって回転軸上を軸方向に移動する可能性があるため、この移動を規制する手段が必要である。
ところで、特許文献1には、ヘリカルギヤの噛み合いによって発生するスラスト荷重を利用し、回転軸にスプライン嵌合するヘリカルギヤをスラスト荷重によって軸方向に移動させることによって、例えば、クラッチを押圧して容易に摩擦抵抗を得るようにした車両のディファレンシャル装置が提案されている。
しかしながら、ヘリカルギヤのスラスト荷重による軸方向移動を利用しない装置では、ヘリカルギヤの軸方向移動を規制するために、コッターやコッターカバー、コッターカバーを押さえるサークリップ等を設ける必要がある。そのため、部品点数の増加や構造の複雑化、これらに伴うコストアップを免れないという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転軸にスプライン嵌合するヘリカルギヤに発生するスラスト荷重を、部品点数の増加やコストアップを招くことなく、簡単な構成で軽減させてその軸方向移動を防ぐことができるヘリカルギヤのスラスト荷重軽減構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、回転軸(11)にスプライン嵌合によって結合されたヘリカルギヤ(14)のスラスト荷重軽減構造であって、前記ヘリカルギヤ(14)の内径スプライン(14b)を、回転軸中心線(L)に対して斜めに捩れたヘリカルスプラインとしたことを特徴とする。この場合、前記ヘリカルスプラインの捩れ方向を、当該ヘリカルギヤ(14)の外周に刻設されたヘリカル歯(14a)の捩れ方向と同じ方向とする必要がある。
本発明によれば、回転軸にスプライン嵌合によって結合されたヘリカルギヤの内径スプラインをヘリカルスプラインとし、その捩れ方向を、当該変速ギヤの外周に刻設されたヘリカル歯の捩れ方向と同じ方向としたため、ヘリカルスプラインには、互いに噛合する2つのヘリカルギヤ同士の噛み合い面に作用するスラスト荷重とは逆方向のスラスト荷重が作用する。このため、両ヘリカルギヤの噛み合い面に作用するスラスト荷重が、一方のヘリカルギヤ(回転軸にスプライン嵌合するヘリカルギヤ)の内径スプラインに作用するスラスト荷重によって相殺されて軽減される。この結果、ヘリカルギヤの軸方向移動が規制され、従来のようにコッターやコッターカバー等の部品を用いることなく、例えばサークリップのみでヘリカルギヤの軸方向移動を規制することができ、部品点数の増加や構造の複雑化とこれらに伴うコストアップを招くことなく、簡単な構成で前記効果を得ることができる。
また、前記ヘリカルギヤ(14)のスラスト荷重軽減構造において、前記ヘリカルギヤ(14)の半径をR、前記内径スプライン(14b)の半径をr、前記ヘリカル歯(14a)の捩れ角をβとしたとき、前記ヘリカルスプラインの捩れ角αを、
α=tan−1((r/R)tanβ)
に設定しても良い。
α=tan−1((r/R)tanβ)
に設定しても良い。
上記構成によれば、両ヘリカルギヤの噛み合い面に作用するスラスト荷重と一方のヘリカルギヤの内径スプライン(ヘリカルスプライン)に作用するスラスト荷重の大きさ(絶対値)が等しくなり、両ヘリカルギヤの噛み合い面に作用するスラスト荷重を一方のヘリカルギヤの内径スプラインに作用するスラスト荷重によって相殺して前記ヘリカルギヤ(14)に作用するスラスト荷重を軽減させることができる。
本発明によれば、回転軸にスプライン嵌合するヘリカルギヤに発生するスラスト荷重を、部品点数の増加やコストアップを招くことなく簡単な構成で軽減させてその軸方向移動を防ぐことができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
<車両のディファレンシャル装置部>
図1は本発明に係るスラスト荷重軽減構造を備えるヘリカルギヤが設けられた車両のディファレンシャル装置部分の平断面図である。同図に示すディファレンシャル装置1は、車両の前部に搭載されたエンジン等の不図示の駆動源からの回転動力を左右の不図示の駆動輪に分配するものであって、トランスミッションケース2内に収容されており、車幅方向(図1の左右方向)の第1軸心C1回りに回転駆動される球殻状のディファレンシャルケース(以下、「デフケース」と略称する)3を備えている。
図1は本発明に係るスラスト荷重軽減構造を備えるヘリカルギヤが設けられた車両のディファレンシャル装置部分の平断面図である。同図に示すディファレンシャル装置1は、車両の前部に搭載されたエンジン等の不図示の駆動源からの回転動力を左右の不図示の駆動輪に分配するものであって、トランスミッションケース2内に収容されており、車幅方向(図1の左右方向)の第1軸心C1回りに回転駆動される球殻状のディファレンシャルケース(以下、「デフケース」と略称する)3を備えている。
デフケース3には、左右の車軸4L,4Rの軸方向に相対向する小径の各端部をそれぞれ挿通支持するための円筒状のインボード部3aが第1軸心C1方向(図1の左右方向)に沿って一体に突設されている。
そして、デフケース3は、その左右のインボード部3aが左右のボールベアリング5によってトランスミッションケース2に支持されることによって、第1軸心C1回りに回転可能に支持されている。また、デフケース3の外周には、図1に上下方向に起立するリング状のフランジ部3Aが一体に形成されており、このフランジ部3Aには、エンジン等の駆動源から出力される回転動力を当該デフケース3に入力するためのリングギヤ6が複数本のボルト7(図1には1本のみ図示)によって取り付けられている。
ところで、デフケース3の中心部には、ピニオン軸8が第1軸心C1と直交する第2軸心C2方向(図1の上下方向)に挿通固着されており、デフケース3の内部には、ピニオン軸8によって第2軸心C2回りに回転可能に支持された左右一対のピニオンギヤ(ベベルギヤ)9と、各ピニオンギヤ9にそれぞれ噛合して第1軸心C1回りに回転可能に支持された左右一対のサイドギヤ(ベベルギヤ)10が収容されている。ここで、一対のピニオンギヤ9は、デフケース3内において図1の上下方向に配置されており、一対のサイドギヤ10は、ピニオン軸8を挟んでこれの左右両側に配置されている。
そして、上記一対のサイドギヤ10の内周には、デフケース3の左右のインボード部3aにそれぞれ通された左右の車軸4L,4Rの各内端部がスプライン嵌合によって連結されている。このため、左右の各サイドギヤ10と左右の各車軸4L,4Rとは、第1軸心C1回りに一体に回転する。なお、図示しないが、左右の車軸4L,4Rの各外端部には、左右の駆動輪がそれぞれ取り付けられており、左右の駆動輪は、左右の車軸4L,4Rと共に一体に回転する。
ところで、トランスミッションケース2内には、中空状のカウンタシャフト11が左右の車軸4L,4Rと平行に配置されており、このカウンタシャフト11は、その軸方向両端部(図1の左右両端部)がテーパローラベアリング12によってトランスミッションケース2に回転可能に支持されている。ここで、各テーパローラベアリング12は、ジャーナル荷重とスラスト荷重を同時に受けることができる軸受である。
そして、上記カウンタシャフト11には、変速ギヤ13が一体に形成されており、この変速ギヤ13は、トランスミッションケース2内に収容された他の変速ギヤ(不図示)に噛合している。また、カウンタシャフト11には、小径の変速ギヤ14がスプライン嵌合によって結合されており、この変速ギヤ14は、デフケース2に取り付けられた大径の前記リングギヤ6に噛合している。ここで、互いに噛合する変速ギヤ14とリングギヤ6は、ヘリカルギヤで構成されている。なお、カウンタシャフト11にスプライン嵌合する変速ギヤ14の軸方向移動は、カウンタシャフト14の外周に嵌着されたサークリップ15によって規制されている。
以上において、車両のエンジン等の駆動源から出力される回転動力が変速ギヤ13を経てカウンタシャフト11に入力されると、該カウンタシャフト11が所定の速度で回転するが、このカウンタシャフト11の回転は、互いに噛合する変速ギヤ14とリングギヤ6を経て減速されてディファレンシャル装置1のデフケース3に入力される。すると、デフケース3がトランスミッションケース2内において第1軸心C1回りに回転し、車両が直進走行している場合には、左右の駆動輪が路面から受ける抵抗が等しいため、デフケース3と共に左右のピニオンギヤ9が公転して左右一対のサイドギヤ10に回転動力が伝達される。このため、左右のサイドギヤ10が回転し、これらのサイドギヤ10と共に左右の車軸4L,4Rと左右の駆動輪がそれぞれ回転駆動される。このとき、一対のピニオンギヤ9は、回転(自転)しない。
他方、車両が旋回するコーナリング時においては、左右の駆動輪が路面から受ける抵抗に差(左右の駆動輪の移動距離に差)が生じるため、ディファレンシャル装置1の一対のピニオンギヤ9が自転して一方のサイドギヤ10の回転速度が他方のサイドギヤ10の回転速度よりも速くなり、これによって車両のコーナリングがスムーズに行われながら左右の駆動輪に回転動力が適正に分配される。
<ヘリカルギヤのスラスト荷重低減構造>
次に、本発明に係るスラスト荷重低減構造を図2及び図3に基づいて以下に説明する。
次に、本発明に係るスラスト荷重低減構造を図2及び図3に基づいて以下に説明する。
図2は本発明に係るスラスト荷重軽減構造を備えるヘリカルギヤ(変速ギヤ)とこれに噛合する他のヘリカルギヤ(リングギヤ)に作用する荷重を示す模式的に示す正面図、図3は本発明に係るスラスト荷重軽減構造を備えるヘリカルギヤ(変速ギヤ)のヘリカル歯と内径スプライン及び該ヘリカルギヤに発生するスラスト荷重を模式的に示す側面図(図2の矢視A方向の図)である。
本実施の形態においては、前述のように図1に示す変速ギヤ14とこれに噛合するリングギヤ6は、共にヘリカルギヤで構成されており、本発明に係るスラスト荷重低減構造は、変速ギヤ14に対して採用されている。
即ち、変速ギヤ14の外周に刻設されたヘリカル歯14aは、図3に示すように、回転軸中心線Lに対して図示の捩れ角βで斜め(図3において右下がり)に傾斜しているが、該変速ギヤ14の内径部に刻設された内径スプライン14bも回転軸中心線Lに対して図示の捩れ角αでヘリカル歯14aと同方向に傾斜し、ヘリカルスプラインとして構成されている。なお、図示しないが、変速ギヤ14がスプライン嵌合によって結合されるカウンタシャフト11の外周にもヘリカルスプラインが刻設されている。
ここで、変速ギヤ14とカウンタシャフト11が図2の矢印a方向(反時計方向)に回転し、該変速ギヤ14に噛合するリングギヤ6が矢印b方向(時計方向)に回転している場合を考える。この場合、変速ギヤ14の内径スプライン14bのヘリカルスプライン(スプライン歯とスプライン溝)の数をnとすると、変速ギヤ14の内径スプライン14bには、接線方向の荷重nKtan(SPL)とこれに直交する軸方向(図2の紙面垂直方向)の荷重nKaxi(SPL)が作用する。
また、変速ギヤ14とリングギヤ6との噛み合い面には、接線方向の荷重Ktan(HEL)とこれに直交する軸方向(図2の紙面垂直方向)の荷重Kaxi(HEL)が作用する。
軸方向の前記荷重nKaxi(SPL)は、変速ギヤ14の内径スプライン14bに図3の矢印方向(右方)に作用するスラスト荷重であり、軸方向の前記荷重Kaxi(HEL)は、変速ギヤ14とリングギヤ6との噛み合い面に図3の矢印方向(左方)に作用するスラスト荷重である。ここで、変速ギヤ14(カウンタシャフト11)の伝達トルクをT、変速ギヤ14の半径をR、同変速ギヤ14の内径スプライン14bの半径をrとすると、各スラスト荷重nKaxi(SPL)とKaxi(HEL)は、それぞれ次の(1)式,(2)式で表わされる。
前述のように、変速ギヤ14の内径スプライン14bに作用するスラスト荷重nKaxi(SPL)の作用方向は、変速ギヤ14とリングギヤ6の噛み合い面に作用するスラスト荷重Kaxi(HEL)の作用方向とは逆であるため、変速ギヤ14とリングギヤ6の噛み合い面に作用するスラスト荷重Kaxi(HEL)は、変速ギヤ14の内径スプライン14bに作用するスラスト荷重nKaxi(SPL)の大きさ分だけ相殺されて軽減される。
従って、互いに逆方向に作用するスラスト荷重nKaxi(SPL)とKaxi(HEL)の大きさ(絶対値)が等しければ(nKaxi(SPL)=Kaxi(HEL))、変速ギヤ14にはスラスト荷重が作用せず、変速ギヤ14の軸方向移動を防ぐことができる。ここで、その条件を求めると、(1)式=(2)式から次の(3)式の関係が成立することが必要になる。
tanα/tanβ=r/R …(3)
従って、(3)式より、変速ギヤ14の内径スプライン14bのヘリカルスプラインの捩れ角α
を次式:
α=tan−1((r/R)tanβ) …(4)
で求められる値に設定すれば、変速ギヤ14とリングギヤ6の噛み合い面に作用するスラスト荷重Kaxi(HEL)を変速ギヤ14の内径スプライン14bに作用するスラスト荷重nKaxi(SPL)によって相殺して変速ギヤ14に作用するスラスト方向の荷重を軽減させることができる。
従って、(3)式より、変速ギヤ14の内径スプライン14bのヘリカルスプラインの捩れ角α
を次式:
α=tan−1((r/R)tanβ) …(4)
で求められる値に設定すれば、変速ギヤ14とリングギヤ6の噛み合い面に作用するスラスト荷重Kaxi(HEL)を変速ギヤ14の内径スプライン14bに作用するスラスト荷重nKaxi(SPL)によって相殺して変速ギヤ14に作用するスラスト方向の荷重を軽減させることができる。
以上のように、本実施の形態においては、カウンタシャフト11にスプライン嵌合によって結合された変速ギヤ14の内径スプライン14bをヘリカルスプラインとし、その捩れ方向を、当該変速ギヤ14の外周に刻設されたヘリカル歯14aの捩れ方向と同じ方向としたため、ヘリカルスプラインには、互いに噛合する変速ギヤ14とリングギヤ6の噛み合い面に作用するスラスト荷重Kaxi(HEL)とは逆方向のスラスト荷重nKaxi(SPL)が作用する。このため、変速ギヤ14とリングギヤ6の噛み合い面に作用するスラスト荷重Kaxi(HEL)が変速ギヤ14の内径スプライン14bに作用するスラスト荷重nKaxi(SPL)によって相殺されて軽減される。この結果、変速ギヤ14の軸方向移動が規制され、従来のようにコッターやコッターカバー等の部品を用いることなく、サークリップ15のみで変速ギヤ14の軸方向移動を規制することができ、部品点数の増加や構造の複雑化とこれらに伴うコストアップを招くことなく、簡単な構成で前記効果を得ることができる。
また、変速ギヤ14の軸方向移動の規制をコッターを用いることなくサークリップ15のみで行うことができるため、カウンタシャフト11へのコッター溝の加工が不要となり、変速ギヤ14等のレイアウトの自由度が高められる。その他、車両の加速時や回生制動時の変速ギヤ14等の位置ズレが発生しないため、該変速ギヤ等14に対する歯形修正を容易に行うことができるようになる。
次に、本発明との比較のために、内径スプラインにヘリカルスプラインを採用しない従来の変速ギヤとこれに噛合するリングギヤに作用する荷重を図4及び図5に基づいて以下に説明する。
図4は従来のヘリカルギヤ(変速ギヤ)とこれに噛合する他のヘリカルギヤ(リングギヤ)に作用する荷重を模式的に示す正面図、図5は従来のヘリカルギヤ(変速ギヤ)のヘリカル歯と内径スプライン及び両ヘリカルギヤの噛み合い面に作用するスラスト荷重を模式的に示す側面図(図4の矢視B方向の図)である。
図5に示すように、従来の変速ギヤ114の内径スプライン114bは、回転軸中心線Lに対して平行に形成されている。なお、変速ギヤ114の外周に刻設されたヘリカル歯114aの捩れ角は、図示のようにβに設定されている。
ここで、変速ギヤ114とカウンタシャフト111が図4の矢印a方向(反時計方向)に回転し、該変速ギヤ114に噛合するリングギヤ106が矢印b方向(時計方向)に回転している場合を考える。この場合、変速ギヤ114の内径スプライン(スプライン歯とスプライン溝)114bの数をnとすると、変速ギヤ114の内径スプライン114bには、接線方向の荷重nKtan(SPL)のみが作用する。
また、変速ギヤ114とリングギヤ106との噛み合い面には、接線方向の荷重Ktan(HEL)とこれの直交する軸方向(図4の紙面垂直方向)の荷重Kaxi(HEL)が作用する。ここで、軸方向の荷重Kaxi(HEL)は、変速ギヤ114とリングギヤ106との噛み合い面に図5の矢印方向(左方)に作用するスラスト荷重であり、変速ギヤ114(カウンタシャフト111)の伝達トルクをT、変速ギヤ114の半径をR、同変速ギヤ114の内径スプライン114bの半径をrとすると、スラスト荷重Kaxi(HEL)は、前記(2)式で表わされる。
従来の変速ギヤ114においては、内径スプライン114bにスラスト荷重は作用しないため、変速ギヤ114とリングギヤ106との噛み合い面には、前記(2)式で表わされるスラスト荷重Kaxi(HEL)がそのまま作用し、このスラスト荷重Kaxi(HEL)は、本発明のように変速ギヤ114の内径スプライン114bに作用するスラスト荷重によって相殺されて軽減されることがない。このため、変速ギヤ114の大きなスラスト荷重Kaxi(HEL)による軸方向移動を規制するためには、コッターやコッターカバー等の部品が必要となり、このために種々の問題が発生することは前述の通りである。
なお、以上は本発明を車両の動力伝達経路に設けられた変速ギヤに対して適用した形態について説明したが、本発明は、回転軸にスプライン嵌合によって結合される他の任意のヘリカルギヤに対しても同様に適用可能である。
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
1 ディファレンシャル装置
6 リングギヤ
11 カウンタシャフト(回転軸)
14 変速ギヤ(ヘリカルギヤ)
14a 変速ギヤのヘリカル歯
14b 変速ギヤの内径スプライン
15 サークリップ
nKaxi(SPL) 内径スプラインに作用するスラスト荷重
Kaxi(HEL) 変速ギヤとリングギヤとの噛み合い面に作用するスラスト荷重
L 回転軸中心線
R 変速ギヤの半径
r 変速ギヤの内径スプラインの半径
α ヘリカル歯の捩れ角
β 内径スプラインの捩れ角
6 リングギヤ
11 カウンタシャフト(回転軸)
14 変速ギヤ(ヘリカルギヤ)
14a 変速ギヤのヘリカル歯
14b 変速ギヤの内径スプライン
15 サークリップ
nKaxi(SPL) 内径スプラインに作用するスラスト荷重
Kaxi(HEL) 変速ギヤとリングギヤとの噛み合い面に作用するスラスト荷重
L 回転軸中心線
R 変速ギヤの半径
r 変速ギヤの内径スプラインの半径
α ヘリカル歯の捩れ角
β 内径スプラインの捩れ角
Claims (3)
- 回転軸にスプライン嵌合によって結合されたヘリカルギヤのスラスト荷重軽減構造であって、
前記ヘリカルギヤの内径スプラインを、回転軸中心線に対して斜めに捩れたヘリカルスプラインとしたことを特徴とするヘリカルギヤのスラスト荷重軽減構造。 - 前記ヘリカルスプラインの捩れ方向を、当該ヘリカルギヤの外周に刻設されたヘリカル歯の捩れ方向と同じ方向としたことを特徴とする請求項1に記載のヘリカルギヤのスラスト荷重軽減構造。
- 前記ヘリカルギヤの半径をR、前記内径スプラインの半径をr、前記ヘリカル歯の捩れ角をβとしたとき、前記ヘリカルスプラインの捩れ角αを、
α=tan−1((r/R)tanβ)
に設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘリカルギヤのスラスト荷重軽減構造。
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