JP2020133828A - 低温タンクの開放方法およびその開放システム - Google Patents
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Abstract
Description
(a)まず、低温タンクの使用を停止する、
(b)次に、低温液体を低温タンクから排出する、
(c)そして、低温タンク内に作業員等が入れる環境にするため、低温タンク内を昇温する(以下、この作業を「ホットアップ処理」と称す)、
(d)その後、低温タンク内に残存する気化ガス(例えば、メタンガス)を排出(排気)する(以下、この作業を「パージ処理」と称す)、
といった手順を踏むことによりおこなわれる(非特許文献1参照)。
(a)まず、所定温度の窒素ガス(不活性ガス)を低温タンク内に供給する、
(b)その後、低温タンク内の温度が露点温度(外気が供給された際に結露が生じない温度)まで上昇されると、低温タンク内に外気を供給する、
といった手順を踏むように構成されている。
さらに、上記「気化ガスの温度を調整する」ための装置(「気化ガス温度調整装置」)とは、少なくとも「気化ガス」を昇温することが可能な装置を意味し、例えば、「気化ガス」を直接的に加熱するヒータ(例えば、電気加熱式ヒータや蒸気加熱式ヒータ)のほか、「気化ガス」を圧縮することによって昇温させる圧縮機(コンプレッサー)が該当する。
(a)低温タンク内に貯蔵されている「低温液体」(例えば、「LNG」)を排出(液抜き)する、
(b)低温タンク内などで発生した「気化ガス」(例えば、Boil Off Gas、以下、「BOG」と称す)を昇温する、
(c)昇温された「気化ガス」を用いて、低温タンクをホットアップする、
(d)その後、「パージ用気体」(例えば、窒素ガス)を用いて、低温タンク内に残留する「気化ガス」をパージする、
といった手順を踏むことにより低温タンクの開放をおこなうことができるように構成されている。
(a)低温タンクから排出された「気化ガス」を昇温する、
(b)昇温された「気化ガス」を低温タンクに供給する、
といった手順を繰り返しおこなう((a)→(b)→(a)→(b)→・・・)ことで、低温タンクをホットアップすることができるように構成されている。
・「気化ガス」を昇温するための昇温設備(例えば、ヒータ)、および、
・「低温タンク」から排出された「気化ガス」を再度「低温タンク」に戻し入れるための配管設備など、
が設けられていない場合、その設備を追加的に準備するための作業(仮設工事)が発生するのみで、既存の設備をほとんどそのまま利用することが可能である。
この場合、前記低温タンクの開放方法は、前記温度測定工程をおこなうことにより計測された前記低温タンクの温度が所定温度に達したか否かを監視する温度監視工程をさらに含み、前記気化ガス昇温工程は、前記温度監視工程をおこなうことによって前記低温タンクの温度が前記所定温度に達していると判断されるまでの間、前記気化ガスを第1温度となるように昇温する第1気化ガス昇温工程と、前記温度監視工程をおこなうことによって前記低温タンクの温度が前記所定温度に達していると判断されると、前記気化ガスを前記第1温度よりも高い第2温度となるように昇温する第2気化ガス昇温工程と、を含み、前記低温タンク昇温工程は、前記第1温度の前記気化ガスを用いて前記低温タンク内を昇温する第1低温タンク昇温工程と、前記第2温度の前記気化ガスを用いて前記低温タンク内を昇温する第2低温タンク昇温工程と、を含む、とより好適である。
この場合、前記気化ガス昇温装置は、前記気化ガスを前記第1温度となるように昇温する第1昇温装置と、前記気化ガスを前記第2温度となるように昇温する第2昇温装置と、を有する、とより好適である。
具体的に、LNGタンクTには、内槽の上部空間の温度を計測する温度センサTe1と、内槽側板の温度を計測する温度センサTe2(本実施形態では、「4個」)と、内槽底板(以下、単に「底板」と称す)の温度を計測する温度センサTe3(本実施形態では、「2個」)とが、それぞれ、適宜位置に取り付けられている。これら温度センサTe1〜Te3により計測された温度は、例えば、図示省略のコントロールセンター(監視制御室)に送信されるように構成されている。なお、上記温度センサTe1〜Te3が、特許請求の範囲に記載の「温度計測装置」に該当する。
受入ライン10は、LNGタンカーなどに積載された「LNG」を、LNGタンクTやその他のLNGタンクに受け入れるための管路であって、LNGタンクTの頂部に接続される上部受入ライン10Aと、その下部に接続される下部受入ライン10Bとを有している。
払出ライン20は、LNGタンクTに貯蔵された「LNG」を、後述するNG供給ライン60に向けて払い出すための管路である。
具体的に、払出ライン20は、LNGタンクTと、後述する気化器Vとを接続するための管路であって、その管路中には「LNG」を所定の圧力で圧送する複数(本実施形態では、3台)の払出ポンプP1〜P3が設けられている。
なお、以下の説明においては、便宜上、LNGタンクTと払出ポンプP1〜P3の吸込側との間に設けられる管路を吸込側払出ライン20A、また、払出ポンプP1〜P3の吐出側と気化器Vとの間に設けられる管路を吐出側払出ライン20Bと称することとする。
この吸込側払出ライン20Aには、開閉弁21a、排出弁22(特許請求の範囲に記載の「低温液体排出弁」に該当)および流量制御弁21b(例えば、電動弁)が、下流側に向かって順に設けられるとともに、各払出ポンプP1〜P3の吸込側から延びる吸込側配管20Aa〜20Acが接続されている。なお、吸込側配管20Aa〜20Acの適宜位置には、通常のポンプ廻りの配管と同様に、開閉弁が設けられている。
このバイパスライン63には、開閉弁64a(常閉)、排出弁65(常閉)および開閉弁64b(常閉)が、後述する第2LNG払出ライン62に向かって順に設けられている。
このため、本実施形態では、仮に、ポンプ側払出ライン20Baからの「LNG」の供給が停止された場合(例えば、LNGタンクTが開放された場合)であっても、第1LNG払出ライン61への「LNG」の供給を継続的におこなうことが可能となっている。
具体的に、第2LNG払出ライン62には、上記バイパスライン63、後述するバイパスライン66、および、他のLNGタンクのポンプ側払出ライン(ポンプ側払出ライン20Baに相当、図示省略)等が接続されている。
このため、本実施形態では、他のLNGタンクの払出ラインからの「LNG」の供給が停止された場合であっても、バイパスライン63の開閉弁64a,64b(または、後述するバイパスライン66の開閉弁67a,67b)を開放することによって、第2LNG払出ライン62への「LNG」の供給を継続的におこなうことが可能となっている。
この気化器側払出ライン20Bbには、開閉弁27、調節弁28aおよび流量制御弁28b(例えば、電動弁)が気化器Vに向かって順に設けられている。
このバイパスライン66には、開閉弁67a,67b(常閉)が、第2LNG払出ライン62に向かって順に設けられている。
気化器Vによって生成された「NG」は、NG供給ライン60を介して需要先に供給されるようになっている。
BOGライン30は、LNGタンクT内で自然気化した「BOG」(特許請求の範囲の「気化ガス」に該当)を、LNGタンクTの外部に排出するための管路である。なお、本実施形態では、LNGタンクTから排出された「BOG」を、後述する往復式BOG圧縮機34(レシプロ型のBOG圧縮機)や遠心式BOG圧縮機39(ターボ型のBOG圧縮機)で昇圧した後、NG供給ライン60に合流させるように構成されている。
・往復式BOG圧縮機34を、「BOG」の排出量(容量)を調整するための容量調整用の圧縮機として、また、
・遠心式BOG圧縮機39を、大容量の「BOG」を処理するためのベースロード用の圧縮機として、
それぞれ、機能させるように、これらを併用運転している。なお、上記往復式BOG圧縮機34および遠心式BOG圧縮機39が、特許請求の範囲に記載の「第1昇温装置」(「気化ガス昇温装置」)および「気化ガス供給装置」に該当する。
このため、「通常の使用状態」で往復式BOG圧縮機34を駆動した場合、吸入ストレーナを通過する「BOG」は、そのほとんどがメタン(軽質成分)となっている。
ここで、一般に、「BOG」を加温すると、真っ先に沸点の低いメタン(軽質分)が徐々に蒸発していくため、その他の成分である重質成分(エタン、プロパンおよびブタン)の濃度が上昇していきがちである。
すなわち、LNGタンクTをホットアップするために、往復式BOG圧縮機を駆動すると、重質成分が吸入ストレーナを通過する結果、目詰まりしやすく、場合によっては、その前後の差圧が上昇する、といった問題、すなわち、圧縮効率の低下や消費電力の増加などの問題が生じやすい。
このため、本実施形態では、ホットアップ期間中(LNGタンクTの昇温期間中)、往復式BOG圧縮機34よりも遠心式BOG圧縮機39の駆動を優先するようにして、このような問題が生じないようにしている。
この点、LNGタンクTをホットアップする場合、予め、遠心式BOG圧縮機39(ケーシング内)に溜まっているドレンを排出しておくのが望ましい、といえる。
ベントライン40は、LNGタンクTおよび他のLNGタンクTを連通することによって、これらの内部圧力を一定に保つための管路である。
本実施形態では、ベントライン40の一端が、開閉弁を介して、LNGタンクTの頂部に接続される一方、その他端が、吐出側払出ライン20Bの所定位置に接続されている。
本実施形態では、ミニマムライン50の一端が、開閉弁を介して、LNGタンクTの頂部に接続される一方、その他端が、開閉弁や逆止弁を介して、吐出側配管20Ba1(逆止弁の上流側)に接続されている。
図2に示すように、本実施形態にかかるLNGタンクTの開放方法は、LNG排出工程S100をおこなうことから始まる。
具体的に、LNG排出工程S100では、図1および図4に示すように、受入ライン10および払出ライン20において以下のような作業をおこなう。
・流量制御弁13a等を閉塞して、他のLNGタンクの配管系統との連通状態を遮断する、
・次に、排出弁12bに排水ホース等のベント71(仮設用配管)を接続する、
・その後、排出弁12bを開放して、ベント71を介してLNGタンクT内の「LNG」を排出する、
等の作業をおこなう。
・開閉弁64a,64bおよび開閉弁25等を閉塞して、他のLNGタンクの配管系統との連通状態を遮断する、
・次に、排出弁22を開放して、ベント71を介してLNGタンクT内の「LNG」を排出する、
等の作業をおこなう。
温度測定工程S200では、LNGタンクT内の温度を計測する作業をおこなう。
具体的に、温度測定工程S200では、温度センサTe3によって計測される温度(LNGタンクTの「底板」温度)をコントロールセンター等で監視する作業をおこなう。
本実施形態では、このような温度測定工程をおこなった後、次工程である第1温度監視工程S300がおこなわれるようになっている。なお、本実施形態では、LNGタンクT内の温度を、「底板」の温度を測定する温度センサTe3を用いておこなう場合を例示するが、例えば、内槽の上部空間の温度を測定する温度センサTe1または内槽側板の温度を測定する温度センサTe2でおこなってもよい。また、1種類の温度センサ(例えば、温度センサTe3)を用いてLNGタンクT内の温度を求める場合に限られず、複数種類の温度センサTe1〜Te3により計測される各温度に基づいてLNGタンクT内の温度を求めることも可能である。
第1温度監視工程S300では、LNGタンクの温度が予め定めた第1温度(以下、「第1ホットアップ温度」と称す)まで「自然昇温」(自然に昇温)されたか否かを確認(監視)する作業をおこなう。なお、上記「第1ホットアップ温度」が特許請求の範囲に記載の「所定温度」に該当する。
例えば、この「第1ホットアップ温度」は、「底板」の温度:「−30℃」(温度センサTe3により計測される温度:「−30℃」)といったように適宜設定することが可能なものである。
本実施形態では、LNGタンクT内の温度が、「第1ホットアップ温度」に達していない場合、第1温度監視工程S300を継続しておこなう一方(待機する一方)、「第1ホットアップ温度」に達している場合、次工程である第2温度監視工程S400がおこなわれるようになっている。なお、本実施形態では、第1温度監視工程S300をおこなう例を示すが、必要に応じて、この作業を省略することも可能である。
第2温度監視工程S400では、LNGタンクT内の温度が予め定めた第2温度(以下、「第2ホットアップ温度」と称す)に達したか否かを確認(監視)する作業をおこなう。
例えば、この「第2ホットアップ温度」は、「底板」の温度:「−10℃」(温度センサTe3によって計測される温度:「−10℃」)といったように適宜設定することが可能なものである。
本実施形態では、LNGタンクT内の温度が、「第2ホットアップ温度」に達していない場合、次工程である第1BOG昇温工程S500がおこなわれる一方、「第2ホットアップ温度」に達している場合、後述する第3温度監視工程S700がおこなわれるように構成されている。
第1BOG昇温工程S500では、LNGタンクT内に残存する「BOG」を後述する「第3ホットアップ温度」(例えば、「15℃」)となるように昇温するための作業をおこなう。
・BOGライン30の排出弁36bと吸込側払出ライン20Aの排出弁23とを、分岐開閉弁81a,流量計82、バイパス弁83および分岐開閉弁81bが設けられた仮設用配管80(例えば、ホース部材)で接続する、
・BOGライン30、仮設用配管80および吸込側払出ライン20Aに設けられた各バルブを開放した状態で、往復式BOG圧縮機34または遠心式BOG圧縮機39を駆動する、
等の作業をおこなう。
・BOGライン30、仮設用配管80および吸込側払出ライン20Aを流通することによって、また、
・往復式BOG圧縮機34や遠心式BOG圧縮機39により圧縮されることによって、
「LNG基地」内の雰囲気温度(例えば、「15℃〜25℃」(常温))近くまで昇温されるようになっている。なお、上記常温が特許請求の範囲に記載の「第1温度」に該当する。
図1、図2および図5に示すように、第1LNGタンク昇温工程S600では、第1BOG昇温工程S500において昇温(常温程度まで加温)された「BOG」をLNGタンクTに「循環供給」する作業をおこなう。
これにより、LNGタンクTは、BOGライン30、仮設用配管80および吸込側払出ライン20Aを介した「BOG」の循環によって徐々に昇温されていくこととなる。
このため、本実施形態では、LNGタンクTを昇温する作業をおこなっている間、往復式BOG圧縮機34よりも遠心式BOG圧縮機39を優先して運転する制御をおこなうようにしている。
一方、遠心式BOG圧縮機39においても、「BOG」の重質成分がケーシングから溢れ出るおそれがあるため、LNGタンクTを昇温する作業を開始する前(第1LNGタンク昇温工程S600をおこなう前)に、ケーシング内に溜まっているドレンを予め除去しておくのが望ましい。
本実施形態では、第2温度監視工程S400において、LNGタンクT内の温度が「第2ホットアップ温度」(例えば、「底板」の温度:「−10℃」)に達していることが確認されると、第3温度監視工程S700がおこなわれるように構成されている。
第3温度監視工程S700では、LNGタンクT内の温度が予め定めた第3の温度(以下、「第3ホットアップ温度」と称す)に達したか否かを監視(確認)する作業をおこなう。
例えば、この「第3ホットアップ温度」は、「底板」の温度:「15℃」(温度センサTe3によって計測される温度:「15℃」)といったように適宜設定することが可能なものである。
本実施形態では、LNGタンクT内の温度が、「第3ホットアップ温度」に達していない場合、次工程である第2BOG昇温工程S800がおこなわれる一方、「第2ホットアップ温度」に達している場合、後述するメタンパージ工程S1000がおこなわれるように構成されている。
第2BOG昇温工程S800では、第1BOG昇温工程S500において昇温されたBOGをさらに昇温するための作業をおこなう。
・仮設用配管80に設けられた分岐開閉弁81bと分岐開閉弁81cとに、それぞれ、加温ヒータ84(特許請求の範囲に記載の「第2昇温装置」(「気化ガス昇温装置」)に該当)の上流側と下流側とを接続する、
・バイパス弁83を閉塞する、
・遠心式BOG圧縮機39(または往復式BOG圧縮機34)を駆動する、
・加温ヒータ84に加熱媒体(本実施形態では、蒸気)を調整しつつ送り込む、
等の作業をおこなう。なお、加温ヒータ84は、「BOG」を加温することが可能なものであれば、蒸気式のものに限られず、例えば、電気式のものを用いてもよい。
図1、図2および図6に示すように、第2LNGタンク昇温工程S900では、第2BOG昇温工程S800において昇温(例えば、加温ヒータ84の吐出側温度が「40℃」となるように加温)された「BOG」をLNGタンクTに「循環供給」する作業をおこなう。
これにより、LNGタンクTは、BOGライン30、仮設用配管80および吸込側払出ライン20Aを介した「BOG」の循環によって次第に昇温されていくこととなる。
図2に示すように、本実施形態では、第3温度監視工程S700において、LNGタンクT内の温度が「第3ホットアップ温度」に達したと判断されると、メタンパージ工程S1000がおこなわれる。
このメタンパージ工程S1000では、LNGタンクT内に存在するメタンガス(「BOG」)を窒素ガス(N2)でパージ(窒素置換)する作業をおこなう。
具体的に、このメタンパージ工程S1000では、図3に示すように、第1メタンパージ工程S1001をおこなうから始まるように構成されている。なお、上記窒素ガスと、第1メタンパージ工程S1001とが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「パージ用気体」と、「第1気化ガスパージ工程」とに該当する。
第1メタンパージ工程S1001では、「LNG基地」内に一般に常備されている窒素ガス(例えば、容器に貯蔵された液体窒素を気化させたもの、以下、「構内窒素」と称す)を用いて、LNGタンクT内のメタンガスをパージする作業をおこなう。なお、上記「構内窒素」が特許請求の範囲に記載の「気化ガスパージ装置」に該当する。
具体的に、第1メタンパージ工程S1001では、図1および図7に示すように、
・吸込側払出ライン20Aに設けられる排出弁22と、「構内窒素」(図示省略)とを、流量計94が設けられた仮設用配管93で接続する、
・吸込側払出ライン20Aに設けられた流量制御弁21bが閉塞されていることを確認する、
・吸込側払出ライン20Aを介して「常温」の窒素ガスを、LNGタンクT内に送り込み、BOGラインの所定位置からメタンガスを排出する、
等の作業をおこなう。なお、この際、窒素ガスの供給量が、例えば、「50m3N/h」以下となるように、流量計94を確認しながら、おこなうのが望ましい。
これにより、LNGタンクTでは、「常温」の窒素ガスによって、(若干)昇温されつつ、メタンガスがパージされていくこととなる。なお、上記「常温」が特許請求の範囲に記載の「第1パージ温度」に該当する。
図2に示すように、本実施形態では、第1メタンパージ工程S1001をおこなった後、第1パージ監視工程S1002がおこなわれるように構成されている。
具体的に、この第1パージ監視工程S1002では、第1メタンパージ工程S1001をおこなうことによって、予め定めた条件、例えば、
・LNGタンクTへの窒素ガスの供給時間が、所定時間(例えば、「50h」)以上となっている、といった条件や、
・LNGタンクT内でメタンガスと窒素ガスとが層状化されている、といった条件、
(以下、「第1パージ条件」と称す)が満たされたか否かを確認する作業をおこなう。なお、メタンガスおよび窒素ガスが層状化されているか否かの確認は、例えば、LNGタンクTの頂部に設けられた開閉弁(図示省略)から、公知の層状化確認治具(例えば、ヘキサプラグ)を挿入することによっておこなうことが可能である。
図1、図2および図8に示すように、第2メタンパージ工程S1003では、液体窒素が積載されたタンクローリー車TTを用いて、LNGタンクT内のメタンガスをパージする作業をおこなう。なお、上記タンクローリー車TTが特許請求の範囲に記載の「気化ガスパージ装置」に該当する。
具体的に、第2メタンパージ工程S1003では、
・複数(本実施形態では「2台」)のタンクローリー車TTと、仮設用配管80とを、仮設用配管95で接続する、
・仮設用配管80に設けられた分岐開閉弁81cと、加温ヒータ84の下流側とを、流量計97が設けられた仮設用配管96で接続する
・タンクローリー車TTから送出された窒素ガスを、加温ヒータ84で所定の温度(例えば、「60℃」)となるように加温する、
・バイパス弁83を閉塞した状態で、加温された窒素ガスを、(例えば、窒素ガスの供給量が「70m3/h」となるように流量計97で確認しつつ、)LNGタンクT内に送り込み、BOGライン30の所定位置(図示省略)からメタンを排出する、
等の作業をおこなう。なお、上記加温ヒータ84により加温された温度が特許請求の範囲に記載の「第2パージ温度」に該当する。
これにより、LNGタンクT内では、加温された窒素ガスによって、より昇温されつつ、メタンガスがパージされていくこととなる。
なお、本実施形態では、複数のタンクローリー車TTを用いているため、開閉弁98a,98bを順次切り換えることによって、窒素ガスを、途切れることなく、LNGタンクT内に送り込むことが可能となっている。
本実施形態では、第2メタンパージ工程S1003をおこなった後、第2パージ監視工程S1004がおこなわれるように構成されている。
具体的に、この第2パージ監視工程S1004では、第2メタンパージ工程S1003をおこなうことによって、予め定めた条件、例えば、
・LNGタンクTの頂部から「10m」付近のメタン濃度が所定の濃度(例えば、「VOL85%」)以下となっている、といった条件、
(以下、「第2パージ条件」と称す)が満たされているか否かを確認する作業をおこなう。なお、LNGタンクT内のガス濃度の計測は、例えば、LNGタンクTの頂部に設けられた開閉弁(図示省略)から、公知の層状化確認治具(例えば、ヘキサプラグ)を挿入することによっておこなうことが可能である。
第3メタンパージ工程S1005では、LNGタンクTの頂部に設けられた開閉弁91を開放して、放散管90からメタンガス(「BOG」)を放散する作業をおこなう。
本実施形態では、第3メタンパージ工程S1005をおこなった後、第3パージ監視工程S1006がおこなわれるように構成されている。
具体的に、この第3パージ監視工程S1006では、第3メタンパージ工程S1005をおこなうことによって、予め定めた条件、例えば、放散管90から排出(排気)される気体のメタン濃度が所定の濃度(例えば、「LEL25%」)以下となっている、といった条件(以下、「第3パージ条件」と称す)を満たしているか否かを確認する作業をおこなう。
(a)LNGタンクTに貯蔵される「LNG」を排出(液抜き)する(LNG排出工程S100)、
(b)LNGタンクT内で自然発生した「BOG」をヒータ35や加温ヒータ84等を用いて昇温する(第1BOG昇温工程S500および第2BOG昇温工程S800)、
(c)昇温された「BOG」を用いて、LNGタンクTをホットアップする(第1LNGタンク昇温工程S600および第2LNGタンク昇温工程S900)、
(d)その後、LNGタンクT内に残留する「BOG」(メタンガス)を窒素ガスでパージする(メタンパージ工程S1000)、
といった手順を踏むことによりLNGタンクTの開放をおこなうことができるように構成されている。
(a)LNGタンクTから排出された「BOG」を昇温する、
(b)昇温された「BOG」をLNGタンクT内に供給する、
といった手順を繰り返しおこなう((a)→(b)→(a)→(b)→・・・)ことで、LNGタンクT内を昇温(ホットアップ)することができるように構成されている。
(a)まず、「LNG基地」内に常備されている「構内窒素」を用いて、LNGタンクT内に常温の窒素ガスを、「第1パージ条件」(例えば、供給時間:「50h」)が満たされるまで、供給(例えば、供給量:「50m3N/h」)する(第1メタンパージ工程S1001)、
(b)次に、タンクローリー車TTを用いて、LNGタンク内に所定温度(例えば、「60℃」)まで加温された窒素ガスを、「第2パージ条件」(例えば、LNGタンクT内のメタン濃度が所定の濃度(例えば、「VOL85%」)以下)が満たされるまで、供給(例えば、供給量:「70m3/h」)する(第2メタンパージ工程S1003)、
(c)その後、LNGタンクTの頂部に設けられた放散管90からメタンガス(「BOG」)を放散して、例えば、メタン濃度を所定の濃度(例えば、「LEL25%」)まで低下させる(第3メタンパージ工程S1005)、
といった作業をおこなうように構成されている。
・タンクローリー車TTを用いた「パージ処理」を確実に減らすことが可能なため、コストの低減化を図ることができるのはもちろんのこと、
・「ホットアップ処理」で用いたライン(図5、図6および図8等参照)を利用して、「パージ処理」をおこなっているため、作業負担の低減化を図りつつ、LNGタンクT内のメタンガスを効率よく窒素置換することができる。
10 受入ライン
10A 上部受入ライン
10B 下部受入ライン
11 開閉弁
12a,12b 排出弁
13a 流量制御弁
13b 開閉弁
20 払出ライン
20A 吸込側払出ライン
20Aa〜20Ac 吸込側配管
20B 吐出側払出ライン
20Ba ポンプ側払出ライン
20Ba1〜20Ba3 吐出側配管
20Bb 気化器側払出ライン
21a,25,27 開閉弁
21b 流量制御弁
22,23,24 排出弁
28a 調節弁
28b 流量制御弁
30 BOGライン
31a,31b,33,38 開閉弁
32 合流部
34 往復式BOG圧縮機
35 ヒータ
36a,36b 排出弁
37 クーラ
39 遠心式BOG圧縮機
40 ベントライン
50 ミニマムライン
60 NG供給ライン
61 第1LNG払出ライン
62 第2LNG払出ライン
63,66 バイパスライン
64a,64b,67a,67b 開閉弁
65 排出弁
71 ベント
80 仮設用配管
81a〜81c 分岐開閉弁
82 流量計
83 バイパス弁
84 加温ヒータ
90 放散管
91 開閉弁
93,95,96 仮設用配管
94,97 流量計
98a,98b 開閉弁
T LNGタンク
Te1〜Te3 温度センサ
P1〜P3 払出ポンプ
V 気化器
X1,X2 位置
TT タンクローリー車
Claims (7)
- 低温液体を貯蔵する低温タンクの開放方法であって、
前記低温タンクに貯蔵された前記低温液体を外部に排出する低温液体排出工程と、
前記低温液体から生じた気化ガスの温度を昇温する気化ガス昇温工程と、
前記気化ガス昇温工程をおこなうことにより昇温された前記気化ガスを前記低温タンクに供給して前記低温タンク内を昇温する低温タンク昇温工程と、
前記低温タンク内の前記気化ガスをパージ用気体でパージする気化ガスパージ工程と、を含む、
ことを特徴とする低温タンクの開放方法。 - 前記低温タンクの開放方法は、
前記低温タンク内の温度を計測する温度測定工程をさらに含み、
前記気化ガス昇温工程は、
前記温度測定工程をおこなうことにより測定された前記低温タンク内の温度に基づいて前記低温タンクに供給する前記気化ガスの温度を変更する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の低温タンクの開放方法。 - 前記低温タンクの開放方法は、
前記温度測定工程をおこなうことにより計測された前記低温タンクの温度が所定温度に達したか否かを監視する温度監視工程をさらに含み、
前記気化ガス昇温工程は、
前記温度監視工程をおこなうことによって前記低温タンクの温度が前記所定温度に達していると判断されるまでの間、前記気化ガスを第1温度となるように昇温する第1気化ガス昇温工程と、
前記温度監視工程をおこなうことによって前記低温タンクの温度が前記所定温度に達していると判断されると、前記気化ガスを前記第1温度よりも高い第2温度となるように昇温する第2気化ガス昇温工程と、を含み、
前記低温タンク昇温工程は、
前記第1温度の前記気化ガスを用いて前記低温タンク内を昇温する第1低温タンク昇温工程と、
前記第2温度の前記気化ガスを用いて前記低温タンク内を昇温する第2低温タンク昇温工程と、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の低温タンクの開放方法。 - 前記気化ガスパージ工程は、
前記低温タンク内の前記気化ガスを第1パージ温度のパージ用気体でパージする第1気化ガスパージ工程と、
前記第1気化ガスパージ工程をおこなった後、前記低温タンク内の前記気化ガスを前記第1パージ温度よりも高い第2パージ温度のパージ用気体でパージする第2気化ガスパージ工程と、を含む、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の低温タンクの開放方法。 - 低温液体を貯蔵する低温タンクの開放システムであって、
前記低温タンクに貯蔵された前記低温液体を外部に排出する低温液体排出弁と、
前記低温タンク内で生じた気化ガスを外部に排出する気化ガス排出管路と、
前記気化ガス排出管路を介して排出された前記気化ガスを昇温する気化ガス昇温装置と、
前記気化ガス昇温装置により昇温された前記気化ガスを前記低温タンクに供給する気化ガス供給装置と、
前記低温タンク内の前記気化ガスをパージする気化ガスパージ装置と、を備える、
ことを特徴とする低温タンクの開放システム。 - 前記低温タンク内の温度を計測する温度計測装置をさらに備え、
前記気化ガス昇温装置は、
前記温度計測装置によって計測された前記低温タンク内の温度が所定温度となるまでの間、前記気化ガスを第1温度となるように昇温するとともに、
前記温度計測装置によって計測された前記低温タンク内の温度が前記所定温度に達すると、前記第1温度よりも高い第2温度となるように昇温する、
ことを特徴とする請求項5に記載の低温タンクの開放システム。 - 前記気化ガス昇温装置は、
前記気化ガスを前記第1温度となるように昇温する第1昇温装置と、
前記気化ガスを前記第2温度となるように昇温する第2昇温装置と、を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の低温タンクの開放システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019030733A JP6593828B1 (ja) | 2019-02-22 | 2019-02-22 | 低温タンクの開放方法およびその開放システム |
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JP2019030733A JP6593828B1 (ja) | 2019-02-22 | 2019-02-22 | 低温タンクの開放方法およびその開放システム |
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JP6593828B1 JP6593828B1 (ja) | 2019-10-23 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024034080A1 (ja) * | 2022-08-10 | 2024-02-15 | 川崎重工業株式会社 | ガス供給システム、船舶およびガス供給方法 |
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2019
- 2019-02-22 JP JP2019030733A patent/JP6593828B1/ja active Active
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