JP2020133768A - 流量制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】弁体の先端形状の制約を受けることなく、弁口と背圧室とを連通する均圧通路を比較的容易かつ低コストで形成することのできる流量制御弁を提供する。【解決手段】弁体25(の弁体部25a)が接離する弁座11aの口径D1と弁体25(の胴部25b)が摺動可能に挿通される弁体ガイド部(Oリング8b及びパッキン8cからなるシール部材付きの弁体ガイド穴8a)の内径Dsとは同一に設定されるとともに、弁口11bと弁体25の弁口11bとは反対側に画成される背圧室20とは、弁口11bに開口するように基体部材9に直線状に設けられた貫通穴9e、及び、基体部材9と該基体部材9の外側に配在された外装部材5との間に設けられて貫通穴9eに連なる連通空間4を含む均圧通路3を介して常時連通せしめられている。【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍サイクル等に組み込まれて冷媒等の流体の流量制御に使用される流量制御弁に関する。
従来、この種の流量制御弁として、弁体に加わる差圧をキャンセルする圧力バランス型のものが提案されている。この圧力バランス型の流量制御弁は、弁口の口径と弁体の上方に画成される背圧室の室径とを略同一に設定するとともに、弁口と背圧室とを連通させる均圧通路を設け、弁口の圧力を前記均圧通路を介して背圧室に導入し、弁体の上下を同圧にすることにより、閉弁状態において(換言すれば開弁時に)弁体に作用する押し下げ力(閉弁方向に働く力)と押し上げ力(開弁方向に働く力)とをバランス(差圧をキャンセル)させるようになっている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
特開2016−211600号公報 特開2013−113361号公報 特開2017−089864号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に所載の従来技術では、次のような解決すべき課題がある。
すなわち、特許文献1や特許文献2の第1実施例に所載の従来技術では、弁体を上下(軸方向)に貫通する縦孔によって、弁口と背圧室とを連通する均圧通路を構成している。そのため、例えば細い弁体に貫通孔を形成する必要があり、均圧通路(貫通孔)の加工が難しい。また、尖った先端形状を形成できないため、例えばイコールパーセント流量を実現する先端形状を採用し得ず(例えば、上記特許文献3参照)、弁体の先端形状、ひいては流量特性が制約される。
また、特許文献2の第2実施例に所載の従来技術では、大部分が弁室(弁本体)外に設けられたコの字状の導管(パイプ部材)によって、弁口と背圧室とを連通する均圧通路を構成している。そのため、部品点数が増加するとともに、加工・組立コストが高くなる懸念がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、弁体の先端形状の制約を受けることなく、弁口と背圧室とを連通する均圧通路を比較的容易かつ低コストで形成することのできる流量制御弁を提供することにある。
前記の目的を達成すべく、本発明に係る流量制御弁は、基本的には、弁体ガイド部、弁室、及び弁座付き弁口を有する基体部材、並びに前記基体部材の外側に配在された外装部材を具備する弁本体と、前記弁口を開閉すべく、前記弁体ガイド部に摺動可能に挿通されて前記弁室に昇降可能に配在される弁体と、前記弁体を昇降させるための昇降駆動部と、を備え、前記弁座の口径と前記弁体ガイド部の内径とは同一に設定されるとともに、前記弁口と前記弁体の前記弁口とは反対側に画成される背圧室とは、前記弁口に開口するように前記基体部材に設けられた貫通穴、及び、前記基体部材と前記外装部材との間に設けられて前記貫通穴に連なる連通空間を含む均圧通路を介して常時連通せしめられていることを特徴としている。
好ましい態様では、前記弁体は、前記弁口内に挿通されて前記弁座に接離する弁体部及び前記弁体ガイド部に摺動可能に挿通される胴部を有するとともに、前記弁体部と前記胴部との間の部分が、前記胴部より大径の拡幅部とされる。
他の好ましい態様では、前記基体部材における前記弁口より下側に、管継手からなる入出口が設けられる。
別の好ましい態様では、前記貫通穴は、昇降方向に対して垂直方向に形成された横穴で構成される。
別の好ましい態様では、前記弁体ガイド部又は前記弁体に、それらの間をシールするシール部材が設けられる。
別の好ましい態様では、前記弁体は、流量特性としてイコールパーセント特性あるいはそれに近似する特性を得られるように設計された曲面部を有する。
本発明に係る流量制御弁では、弁体が接離する弁座の口径と弁体が摺動可能に挿通される弁体ガイド部の内径とは同一に設定されるとともに、弁口と弁体の弁口とは反対側に画成される背圧室とは、弁口に開口するように基体部材に設けられた貫通穴、及び、基体部材と該基体部材の外側に配在された外装部材との間に設けられて貫通穴に連なる連通空間を含む均圧通路を介して常時連通せしめられているので、開弁時に弁体に作用する差圧を確実にキャンセルすることができる。また、従来のように、弁体に貫通孔を形成したり、弁室(弁本体)外に導管(パイプ部材)を別途に設ける必要は無いため、弁体の先端形状の制約を受けることなく、弁口と背圧室とを連通する均圧通路を比較的容易かつ低コストで形成することができる。
本発明に係る流量制御弁(電動弁)の一実施形態の閉弁状態を示す縦断面図。 本発明に係る流量制御弁(電動弁)の一実施形態の開弁状態を示す縦断面図。 図1のU−U矢視線に従う断面図。 図1に示される電動弁の他例を示す縦断面図。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明に係る流量制御弁としての電動弁の一実施形態を示す縦断面図、図3は、図1のU−U矢視線に従う断面図である。
なお、本明細書において、上下、左右、前後等の位置、方向を表わす記述は、説明が煩瑣になるのを避けるために図面に従って便宜上付けたものであり、実際の使用状態での位置、方向を指すとは限らない。
また、各図において、部材間に形成される隙間や部材間の離隔距離等は、発明の理解を容易にするため、また、作図上の便宜を図るため、各構成部材の寸法に比べて大きくあるいは小さく描かれている場合がある。
図示実施形態の流量制御弁1は、例えば冷凍サイクル等において冷媒流量を調整するために使用される電動弁であり、上面が開口した有底円筒状の弁本体10、該弁本体10(の外装部材5)の上端面部外周側にその下端部が溶接等により密封接合されたキャン45、弁本体10(の外装部材5)の上端面部に溶接等により固定された鍔状円板18付きのガイドステム15、該ガイドステム15の小径上部15bに形成された雌ねじ部15iに、その軸状部21a外周に形成された雄ねじ部21eが螺合せしめられた弁軸21、該弁軸21に一体回動可能に連結固定されたロータ30、及び該ロータ30を回転駆動すべく前記キャン45の外周に外嵌されたステータ50を備えている。
ここでは、ロータ30とステータ50とでステッピングモータが構成され、また、ガイドステム15の雌ねじ部15iと弁軸21の雄ねじ部21eとでねじ送り機構が構成され、前記ステッピングモータとねじ送り機構とで弁軸21を回転させながら昇降させるための昇降駆動部が構成されている。
前記弁本体10は、本例では、有底円筒状の基体部材9と、該基体部材9の外側に配在された、例えば金属を素材として作製された外装部材5とを有する。基体部材9(の円筒部9c)の上部開口には、後述する弁体25の胴部25bが挿通する弁体ガイド穴8a(詳細は後述するが、弁体ガイド部としての、Oリング8b及びパッキン8cからなるシール部材付きの弁体ガイド穴8a)が中央に形成された厚肉円筒状のガイド部材8が嵌合固定されており(図示例では、かしめ部9aによるかしめ固定)、基体部材9の内部に、弁体25が昇降可能に配在される円筒状空所からなる弁室12が画成されている。また、基体部材9の底部9bには、前記弁室12に連なる弁座11a付きの弁口11bが(縦向きに)形成されている。
前記弁口11bの形状は、図示例に限られる訳ではないが、本例では、軸線O方向(昇降方向)に沿う円筒面からなる円筒状部(ストレート部ともいう)とそれに連なる円錐台状部とで構成される弁口部を複数段有し、前記弁室12から離れるに従って口径(弁口部の円筒状部の口径)が複数段階(図示例では、3段階)で順次大きくされた多段弁口で形成されている(例えば、上記特許文献3も併せて参照)。
前記基体部材9の弁室12の一側方(つまり、基体部材9の円筒部9cの下部)には、管継手からなる第1入出口6がろう付け等により接合されている。基体部材9の底部9b(の弁口11bの下側に形成された大径接続部11c)には、管継手からなる第2入出口7がろう付け等により接合されている。
一方、外装部材5は、本例では、基体部材9の円筒部9cより若干大径に形成された円筒状を有する。前記基体部材9の底部9bの下半部は若干大径とされており、その大径部分の外周に設けられた鍔状部9dに、外装部材5の下端部が突き合わせ溶接等により接合されることで、当該外装部材5は、基体部材9の外周(つまり、弁室12の外周)に若干の隙間をあけて固定配置されている(図3を併せて参照)。また、外装部材5の上部にはガイドステム15の下部が挿入されている。
また、本例では、前記基体部材9の底部9bの上半部を横方向(軸線O方向に対して垂直方向)に直線状に貫通する横穴からなる貫通穴9eが設けられている。この貫通穴9eは、内端側が前記弁口11bを構成する円筒状部(特に、そのうち弁座11aに最も近接した円筒状部(つまり、弁座11aの直下の円筒状部))に開口せしめられ、外端側が前記基体部材9と外装部材5との間に形成された隙間からなる連通空間4に開口せしめられている。なお、本例では、前記貫通穴9eの外端側は、基体部材9(の外周)に形成されたDカット面部9fを介して前記連通空間4に開口せしめられている(図3を併せて参照)。
前記弁軸21は、前記ロータ30の連結体32が外嵌せしめられる上部小径部21b、ガイドステム15の雌ねじ部15iに螺合する雄ねじ部21eを有する軸状部21a、及び、該軸状部21a(雄ねじ部21e)より下側の鍔状部21d及びかしめ部21f付きの下部連結部21cを有する。該弁軸21の下端部には、そのかしめ部21fにその天井穴部分が連結固定され、ガイドステム15の大径円筒状胴部15aに摺動自在に嵌挿された天井部23b付き円筒状の弁ホルダ23が保持され、該弁ホルダ23の円筒部23a下部には、弁体25の上部が上下方向(昇降方向)に摺動自在に挿入されている。
弁体25は、本例では、例えば金属を素材として上下方向(軸線O方向)に沿って配置された段付き軸状の中実部材から作製されている。この弁体25は、主に、逆円錐台面部の下端部分からなる弁座11a(弁口11b)内にその下部が挿入されて前記弁座11aに着座する弁体部25a、該弁体部25aの上部に(後述する拡幅部25eを介して)連なる円柱状の胴部25b、及び、胴部25bの上部に連なる小径上部25c、及び、この小径上部25cの上部に圧入・溶接等により外嵌固定された厚肉かつ外周が窪んだ形状の抜止スリーブ25dを有する。前記小径上部25cは、前記弁ホルダ23の下端部に固定された底板部27の通し穴27aに(若干の隙間をあけて)挿通されている。また、前記胴部25bは、前記基体部材9に固定されたガイド部材8の弁体ガイド穴8aに摺動可能に挿通(内挿)されている。
詳しくは、本例では、前記弁体ガイド穴8a(の内周面)に設けられた環状溝に、シール部材として、弾性体からなるOリング8bが装着されるとともに、該Oリング8bの内側に、ガイド部材8(の弁体ガイド穴8a)に対する弁体25の摺動抵抗を低減すべく、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)等のフッ素樹脂等からなるリング状のパッキン(キャップシールともいう)8cが装着されている。前記弁体ガイド穴8aに挿通(内挿)される胴部25bは、当該弁体ガイド穴8aに装着されたOリング8bの内側に配されたパッキン8c(の内周面)に摺接し、これにより、弁体25の胴部25b(の外周面)とガイド部材8の弁体ガイド穴8a(の内周面)との間が気密的にシールされている。すなわち、ここでは、弁体ガイド穴8a(の内周面)に、シール部材としてのOリング8b及びパッキン8cが設置されることで、弁体25(の胴部25b)が摺動可能に挿通される弁体ガイド部が構成されている。
また、本例では、閉弁状態において(言い換えれば開弁時に)弁体25に作用する押し下げ力(閉弁方向に働く力)と押し上げ力(開弁方向に働く力)とをバランス(差圧をキャンセル)させるべく(後で詳述)、弁体25における弁体部25aと胴部25bとの間の部分が、前記胴部25bより若干大径の拡幅部25eとされ、前記弁体部25aが接離(着座)する弁座11aの口径(内径)(弁口径ともいう)D1と前記胴部25bの外径(言い換えれば、前記弁体ガイド部の内径(ここでは、パッキン8c部分の内径))(シール径ともいう)Dsとが略同一に設定されている(D1≒Ds)。つまり、ここでは、弁体部25aと胴部25bとの間の拡幅部25eの外径D2は、弁座11aの口径D1及び胴部25bの外径Dsよりも若干大きくされている。
なお、本例では、弁体25を弁体部25a側から(言い換えれば、ガイド部材8の上側から)ガイド部材8に組み付け(差し込み)可能とするために、前記弁体ガイド部を構成する弁体ガイド穴8a自体の穴径(内径)は、弁体25における拡幅部25eの外径D2と同等もしくはそれより大きく設定されている。ただし、弁体ガイド穴8aの穴径(内径)を、弁体25における拡幅部25eの外径D2より小さく設定し、弁体25を小径上部25c側から(言い換えれば、ガイド部材8の下側から)ガイド部材8に組み付ける(差し込む)ようにしてもよい。
前記弁体25の先端形状(つまり、弁体部25aの形状)は、図示例に限られる訳ではないが、当該弁体25は中実部材で作製されるので、例えば、前記弁座11aに着座する着座面部と、該着座面部の下側に連なる、流量特性としてイコールパーセント特性あるいはそれに近似する特性を得られるように設計された曲面部とを有するものとすることができる。前記着座面部は、弁座11aを形成する逆円錐台面部よりも軸線(中心線)Oに対する傾きが小さい逆円錐台面部で構成することができ、この着座面部(逆円錐台面部)の上部に前記拡径部25eが連設されている。また、前記のようなリフト量に応じて弁口11bを流れる流体の流量を変化させる曲面部としては、楕球面部、あるいは、曲率ないし制御角が先端に近づくに従って連続的又は段階的に大きくされた複数段の円錐テーパ面部等で構成することができる(例えば、上記特許文献3も併せて参照)。
弁ホルダ23の下端部には、前記弁体25(の抜止スリーブ25d)を、間に薄肉の環状円板からなるワッシャ29を挟んで抜け止め係止するとともに、前記通し穴27aが設けられた厚肉板からなる底板部27がかしめ・溶接等により保持固定されている。
一方、弁体25の上面には、断面外形がハット形のばね受け部材26が載せられている。このばね受け部材26の鍔状部26aと弁ホルダ23の天井部23bとの間には弁体押圧兼緩衝用の円筒状の圧縮コイルばねからなる弁体付勢ばね24が縮装されており、弁体25は(間にばね受け部材26を挟んで)弁体付勢ばね24(の付勢力)により常時下向き(閉弁方向)に付勢されている。
また、弁ホルダ23の内側と外側(つまり、基体部材9と外装部材5との間の連通空間4)とは、ガイドステム15の大径円筒状胴部15aと弁ホルダ23の円筒部23aとの摺動面隙間28等を介して常時連通せしめられるとともに、弁口11bと弁体25の上側(弁口11bとは反対側であって、背面側ともいう)に画成される背圧室20とは、前記基体部材9に形成された連通穴9e、前記連通空間4、前記摺動面隙間28等で構成される均圧通路3を通して常時連通せしめられている。
上記した弁軸21、弁ホルダ23、弁体付勢ばね24、及びばね受け部材26は、弁体25が弁座11aから離隔している状態(開弁状態)においては実質的に一体的に回転しながら昇降せしめられるが、前記Oリング8bが外装されており、前記弁ホルダ23に上下方向(昇降方向)の相対移動可能及び相対回転可能に内挿保持されている弁体25は、実質的に回転せずに昇降せしめられる。
また、ロータ30及び弁軸21の原点位置を設定すべく、ガイドステム15の小径上部15bの上面には、所定の幅、高さ、奥行きを持つ断面矩形の閉弁方向用固定ストッパ55が上向きに突設され、ガイドステム15の大径円筒状胴部15aの上部には所定の幅、高さ、奥行きを持つ断面矩形の開弁方向用固定ストッパ56が下向きに突設されている。
弁軸21における雄ねじ部21eの上端部には、閉弁方向用可動ストッパ35が螺合せしめられてロータ30の円板状天井部に抜け止め係止されている。この閉弁方向用可動ストッパ35は、雄ねじ部21eに螺合する平面視外形が六角形でその一辺が円弧状とされたナット部35aとこのナット部35aから下向きに突設された所定の幅、高さ、奥行きを持つ断面矩形のストッパ部35sとからなっている。
また、弁軸21の雄ねじ部21eの下端部には、前記開弁方向用固定ストッパ56に接当係止される開弁方向用可動ストッパ36が螺合せしめられて前記弁ホルダ23の天井部23bに抜け止め係止されている。この開弁方向用可動ストッパ36は、雄ねじ部21eに螺合するナット部36aとこのナット部36aから上向きに突設された所定の幅、高さ、奥行きを持つ断面矩形のストッパ部36sとからなっている。
前記ロータ30は、天井付き円筒状のマグネット31とこの天井部に一体結合された連結体32とからなる。連結体32は、弁軸21における上部小径部21bに外嵌されるとともに、前記閉弁方向用可動ストッパ35上に載せられて前記上部小径部21bに溶接固定されている。
ここで、前記ロータ30の天井部の下面側には、両端部が平面視でD字状に形成されたDカット部を備えた凹部33が設けられている。この凹部33に形成されたDカット部以外の円弧状とされた部分に前記閉弁方向用可動ストッパ35のナット部35aの円弧状とされた一辺が接当した状態で嵌め込まれ、Dカット部に前記ナット部35aの他の2辺が接当した状態で嵌め込まれており、これにより、ロータ30と閉弁方向用可動ストッパ35と弁軸21とは、一体的に回転しながら昇降せしめられる。
一方、前記キャン45の外周には、ヨーク51、ボビン52、コイル53、樹脂モールド54等からなるステータ50が外嵌されている。このステータ50は、その底部に設けられた位置決め固定具(図示省略)により、弁本体10に対して所定の位置に位置決め固定されている。
これにより、ロータ30が回転せしめられると、それと一体に弁軸21が回転せしめられ、このとき、前記ねじ送り機構により弁軸21とともに弁ホルダ23が弁体25を伴って昇降せしめられ、これによって、冷媒の通過流量が調整される。
詳細には、可動ストッパ35が固定ストッパ55に接当して係止され、ロータ30及び弁軸21が最下降位置にあり、弁体付勢ばね24(の付勢力)によって弁体25(の弁体部25a)が弁座11aに着座して弁口11bが閉じられた状態(図1に示される閉弁状態)から、ステータ50に開弁方向用駆動パターンとなるパルスを供給すると、ロータ30及び弁軸21が回転せしめられ、雌ねじ部15iと雄ねじ部21eからなるねじ送り機構により、ロータ30、弁軸21、弁ホルダ23及び開弁方向用可動ストッパ36が回転しながら上昇する。これに伴い、弁体25に対する押圧力が弱められながら弁体付勢ばね24が伸張して元のセット状態に戻り、その後、弁体25(の弁体部25a)が弁座11aから離れて弁口11bが開かれる(図2に示される開弁状態)。この場合、ステータ50への供給パルス数に応じて弁体25のリフト量(弁開度=流量)が定まり、さらに前記パルス供給を続けると、最終的には、可動ストッパ36が開弁方向用固定ストッパ56に接当係止され、これにより、ロータ30、弁軸21、及び弁ホルダ23の回転及び上昇が強制的に停止せしめられる。
本実施形態の流量制御弁(電動弁)1では、流体(冷媒)は、双方向(第1入出口6から第2入出口7に向かう方向(横→下)と、第2入出口7から第1入出口6に向かう方向(下→横)との双方向)に流されるようになっているが、前述したように、弁座11aの口径(弁口径)D1と胴部25bの外径(言い換えれば、弁体ガイド部の内径)(シール径)Dsとが略同一に設定されるとともに、弁体25の上下、つまり、弁口11bと弁体25の上側の背圧室20とは前記均圧通路3(横穴9e、連通空間4、摺動面隙間28等)を介して常時連通せしめられる。そのため、以下の数1で示されるように、例えば、第1入出口6を流入口(高圧側)、第2入出口7を流出口(低圧側)とする横→下流れの場合において、閉弁状態において(換言すれば開弁時に)弁体25に作用する押し下げ力(閉弁方向に働く力)と押し上げ力(開弁方向に働く力)とがバランス(差圧がキャンセル)されることになる。
[数1]
F=(Ds−D1)×π/4×(P1−P2)≒0 ・・・(数1)
F :開弁時に弁体に作用する受圧荷重
Ds:シール径
D1:弁口径
P1:第1入出口側圧力
P2:第2入出口側圧力
以上で説明したように、本実施形態の流量制御弁(電動弁)1では、弁体25(の弁体部25a)が接離する弁座11aの口径D1と弁体25(の胴部25b)が摺動可能に挿通される弁体ガイド部(Oリング8b及びパッキン8cからなるシール部材付きの弁体ガイド穴8a)の内径Dsとは同一に設定されるとともに、弁口11bと弁体25の弁口11bとは反対側に画成される背圧室20とは、弁口11bに開口するように基体部材9に直線状に設けられた貫通穴9e、及び、基体部材9と該基体部材9の外側に配在された外装部材5との間に設けられて貫通穴9eに連なる連通空間4を含む均圧通路3を介して常時連通せしめられているので、開弁時に弁体25に作用する差圧を確実にキャンセルすることができる。また、従来のように、弁体に貫通孔を形成したり、弁室(弁本体)外に導管(パイプ部材)を別途に設ける必要は無いため、弁体25の先端形状の制約を受けることなく、弁口11bと背圧室20とを連通する均圧通路3を比較的容易かつ低コストで形成することができる。
また、弁口11bが多段弁口で形成されるとともに、前記貫通穴9eの内端側は、圧力変動や冷媒剥離現象に伴う渦やキャビテーションが少ない領域である弁口11bにおける円筒状部に開口せしめられるので、流体(冷媒)通過時における騒音を効果的に抑えることができる。なお、円筒状部とそれに連なる円錐台状部とで構成される弁口部を1つ有する弁口に貫通穴9eを接続する場合にも、貫通穴9eの内端側を円筒状部に形成することで、騒音を低減できる。また、円錐台状部は、円錐台状に限られず、軸線を含む断面の形状が曲線を有する形状であってもよい。
また、上記実施形態では、弁体25の胴部25b(の外周面)とガイド部材8の弁体ガイド穴8a(の内周面)との間をシールするシール部材としてのOリング8bやパッキン8cが、弁体ガイド穴8aに設けられた環状溝に装着されているが、例えば図4に示される如くに、前記シール部材としてのOリング8bやパッキン8cを、弁体25の胴部25bの外周に設けられた環状溝に装着してもよい。この場合、Oリング8bの外側にリング状のパッキン8cが装着される。また、この場合は、弁体ガイド穴8a自体が、弁体25(の胴部25b)が摺動可能に挿通される弁体ガイド部とされ、弁体部25aが接離する弁座11aの口径(弁口径)D1と胴部25bの外径(詳しくは、ここでは、パッキン8c部分の外径)(言い換えれば、弁体ガイド部としての弁体ガイド穴8aの穴径(内径))(シール径)Dsとが略同一に設定されることになる。
また、上記実施形態では、基体部材9(弁室12)の外周の全体を均圧通路3を構成する連通空間(略円筒状の隙間)4としたが、基体部材9(弁室12)の外周の一部を前記連通空間4としてもよい。例えば、基体部材9の外周の所定位置にDカット面を形成し、その他の部分を外装部材5に内接させる、あるいは、基体部材9の外周(外壁)や外筒部材5の内周(内壁)を多角形状に形成する等して、基体部材9(弁室12)の外周の一部を前記連通空間4としてもよい。
また、本発明は、上述の実施形態で説明したような、ステータ及びロータを有するステッピングモータ等を用いて弁軸を昇降(移動)させてリフト量(弁開度)を任意に細かく調整する電動式の流量制御弁の他、例えばソレノイド等を用いて弁体を昇降させる電磁式の流量制御(切換)弁にも採用し得ることは勿論である。
1 流量制御弁(電動弁)
3 均圧通路
4 連通空間
5 外装部材
6 第1入出口
7 第2入出口
8 ガイド部材
8a 弁体ガイド穴
8b Oリング
8c パッキン
9 基体部材
9a かしめ部
9b 底部
9c 円筒部
9d 鍔状部
9e 貫通穴
9f Dカット面部
10 弁本体
11a 弁座
11b 弁口
11c 大径接続部
12 弁室
15 ガイドステム
15i 雌ねじ部
20 背圧室
21 弁軸
21e 雄ねじ部
23 弁ホルダ
24 弁体付勢ばね
25 弁体
25a 弁体部
25b 胴部
25c 小径上部
25d 抜止スリーブ
25e 拡幅部
26 ばね受け部材
27 底板部
28 摺動面隙間
29 ワッシャ
30 ロータ
35 閉弁方向用可動ストッパ
36 開弁方向用可動ストッパ
45 キャン
50 ステータ
55 閉弁方向用固定ストッパ
56 開弁方向用固定ストッパ

Claims (6)

  1. 弁体ガイド部、弁室、及び弁座付き弁口を有する基体部材、並びに前記基体部材の外側に配在された外装部材を具備する弁本体と、
    前記弁口を開閉すべく、前記弁体ガイド部に摺動可能に挿通されて前記弁室に昇降可能に配在される弁体と、
    前記弁体を昇降させるための昇降駆動部と、を備え、
    前記弁座の口径と前記弁体ガイド部の内径とは同一に設定されるとともに、
    前記弁口と前記弁体の前記弁口とは反対側に画成される背圧室とは、前記弁口に開口するように前記基体部材に設けられた貫通穴、及び、前記基体部材と前記外装部材との間に設けられて前記貫通穴に連なる連通空間を含む均圧通路を介して常時連通せしめられていることを特徴とする流量制御弁。
  2. 前記弁体は、前記弁口内に挿通されて前記弁座に接離する弁体部及び前記弁体ガイド部に摺動可能に挿通される胴部を有するとともに、前記弁体部と前記胴部との間の部分が、前記胴部より大径の拡幅部とされていることを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
  3. 前記基体部材における前記弁口より下側に、管継手からなる入出口が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流量制御弁。
  4. 前記貫通穴は、昇降方向に対して垂直方向に形成された横穴で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の流量制御弁。
  5. 前記弁体ガイド部又は前記弁体に、それらの間をシールするシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の流量制御弁。
  6. 前記弁体は、流量特性としてイコールパーセント特性あるいはそれに近似する特性を得られるように設計された曲面部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の流量制御弁。
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