JP2020132973A - 鉄基粉末冶金用混合粉、鉄基焼結合金、および焼結機械部品 - Google Patents
鉄基粉末冶金用混合粉、鉄基焼結合金、および焼結機械部品 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】優れた流動性、充填性、抜出し性を兼ね備えた鉄基粉末冶金用混合粉を提供する。【解決手段】鉄基粉末、銅粉、黒鉛粉、潤滑剤、および炭酸塩を含有し、前記炭酸塩の比表面積が3m2/g以上であり、前記炭酸塩の含有量が、前記鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計量100質量部に対して0.05〜1質量部である、鉄基粉末冶金用混合粉。【選択図】なし
Description
本発明は、鉄基粉末冶金用混合粉に関し、特に、優れた流動性と抜出し性を兼ね備える鉄基粉末冶金用混合粉に関する。また、本発明は、鉄基粉末冶金用混合粉を原料とする鉄基焼結合金および前記鉄基焼結合金を用いた焼結機械部品に関する。
粉末冶金技術に用いる鉄基混合粉末(以下、鉄基粉末冶金用混合粉という)は、一般的に、基本成分としての鉄基粉末に、合金成分を含有する金属粉末(以下、合金用粉末という)と潤滑剤とを混合して製造される。その際、前記合金用粉末としては、例えば、黒鉛粉末、銅粉末、リン化鉄粉末等が使用される。また、前記潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等が使用される。さらに、前記鉄基粉末冶金用混合粉には、必要に応じて切削性改善材(例えば、MnS等)が添加される場合もある。
粉末冶金技術においては、上述したような鉄基粉末冶金用混合粉を金型に充填し、加圧成形することによって成形体(以下、圧粉体という)とする。次いで、前記圧粉体を金型から取り出し、焼結して焼結体(焼結合金)とする。
しかし、鉄基粉末冶金用混合粉に含まれる鉄基粉末、合金用粉末、潤滑剤、切削性改善材は、それぞれ異なる特性(粒径、形状、比重等)を有している。そのため、鉄基粉末冶金用混合粉を輸送し、さらにホッパーへ装入およびホッパーから排出する際に、鉄基粉末冶金用混合粉中で構成成分が偏析するという問題があった。
偏析が生じた鉄基粉末冶金用混合粉から圧粉体を製造すると、一つの圧粉体の内部に組成や密度など方よりが生じ、特性が不均一となる。また、偏析が生じた鉄基粉末冶金用混合粉から圧粉体を製造すると、複数の圧粉体間で特性のバラツキが生じる。したがって、そのような圧粉体を焼結した焼結体は寸法や強度が不均一となり、焼結体の歩留りが低下する。
そこで、鉄基粉末冶金用混合粉における偏析を防止する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1〜3では、鉄基粉末の表面に予め合金用粉末を付着させておく技術が提案されている。このように、鉄基粉末の表面に合金用粉末を付着させる処理を偏析防止処理といい、偏析防止処理によって得られる粉末を偏析防止粉という。
また、特許文献4では、偏析防止粉に、さらに遊離潤滑剤を添加することによって粉末の流動性を改善する技術が提案されている。特許文献5では、混合粉に含まれる鉄基粉末の粒度分布を制御することにより、混合粉の圧縮性および充填性を向上させる技術が提案されている。特許文献6では、潤滑剤を内包した金属炭酸塩多孔質粒子を添加することにより、混合粉の流動性や抜出し性を改善する技術が提案されている。
しかし、一般に知られているように、鉄基粉末冶金用混合粉の流動性や金型への充填性を高めると、金型から圧粉体を取り出す際の抜出し性が低下する。抜出し性が低下すると、圧粉体の取り出しに長時間を要し、その結果、生産性が低下する。また、抜出し性が低いと、金型から圧粉体を取り出すために必要な押圧力(以下、抜出力という)が増大するため、圧粉体に欠損が生じやすくなり、歩留りが低下する。
圧粉体の抜出力を低減するためには、鉄基粉末冶金用混合粉を加圧成形する温度にて軟質で延伸性を有する潤滑剤を使用することが有効である。これは、加圧成形によって潤滑剤が鉄基粉末冶金用混合粉から滲出して金型表面に付着し、金型と圧粉体との摩擦力を低減するためである。しかし、そのような潤滑剤は延伸性を有するが故に、鉄基粉末や合金用粉末の粒子にも付着しやすく、その結果、鉄基粉末冶金用混合粉の流動性や充填性を低下させる。
そのため、鉄基粉末冶金用混合粉の流動性や充填性の改善と圧粉体の抜出力の低減とを両立させることは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた流動性、充填性、抜出し性を兼ね備えた鉄基粉末冶金用混合粉を提供することを目的とする。また、本発明は、前記鉄基粉末冶金用混合粉を原料とする鉄基焼結合金および前記鉄基焼結合金を用いた焼結機械部品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために検討を行った結果、比表面積が高い炭酸塩を添加することにより、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は上述の知見に基づいてなされたものであり、その要旨構成は以下の通りである。
1.鉄基粉末、銅粉、黒鉛粉、潤滑剤、および炭酸塩を含有し、
前記炭酸塩の比表面積が3m2/g以上であり、
前記炭酸塩の含有量が、前記鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計量100質量部に対して0.05〜1質量部である、鉄基粉末冶金用混合粉。
前記炭酸塩の比表面積が3m2/g以上であり、
前記炭酸塩の含有量が、前記鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計量100質量部に対して0.05〜1質量部である、鉄基粉末冶金用混合粉。
2.前記鉄基粉末が、還元鉄基粉末およびアトマイズ鉄基粉末の少なくとも一方である、上記1に記載の鉄基粉末冶金用混合粉。
3.前記炭酸塩が、炭酸カルシウムである、上記1または2に記載の鉄基粉末冶金用混合粉。
4.前記炭酸カルシウムが、合成炭酸カルシウムである、上記1から3のいずれか一項に記載の鉄基粉末冶金用混合粉。
5.前記炭酸塩が、前記潤滑剤を介して前記鉄基粉末の表面に付着している、上記1〜4のいずれか一項に記載の鉄基粉末冶金用混合粉。
6.上記1から5のいずれか一項に記載の鉄基粉末冶金用混合粉を原料とする鉄基焼結合金。
7.上記6に記載の鉄基焼結合金を用いた焼結機械部品。
本発明の鉄基粉末冶金用混合粉は、優れた流動性、充填性、抜出し性を兼ね備えている。本発明の鉄基粉末冶金用混合粉によれば、鉄基焼結合金を製造する際の成形工程や焼結工程における生産性を向上させることができるとともに、圧粉体や焼結体の歩留りを向上させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
[鉄基粉末冶金用混合粉]
本発明の圧粉磁芯用鉄基粉末は、鉄基粉末、銅粉、黒鉛粉、潤滑剤、および炭酸塩を必須成分として含有する。ここで、鉄基粉末冶金用混合粉とは、全体に対するFeの割合が50質量%以上である粉末冶金用混合粉を指すものとする。
本発明の圧粉磁芯用鉄基粉末は、鉄基粉末、銅粉、黒鉛粉、潤滑剤、および炭酸塩を必須成分として含有する。ここで、鉄基粉末冶金用混合粉とは、全体に対するFeの割合が50質量%以上である粉末冶金用混合粉を指すものとする。
[鉄基粉末]
前記鉄基粉末としては、特に限定されることなく任意の鉄基粉末を用いることができる。前記鉄基粉末の例としては、鉄粉や合金鋼粉が挙げられる。前記合金鋼粉としては、例えば、合金元素を溶製時に予め合金化した予合金鋼粉(完全合金化鋼粉)、鉄粉に合金元素を部分拡散させて合金化した部分拡散合金化鋼粉、予合金化鋼粉にさらに合金元素を部分拡散させたハイブリッド鋼粉からなる群より選択される1または2以上を用いることができる。前記合金元素としては、例えば、C、Cu、Ni、Mo、Mn、Cr、V、およびSiからなる群より選択される1または2以上を用いることができる。
前記鉄基粉末としては、特に限定されることなく任意の鉄基粉末を用いることができる。前記鉄基粉末の例としては、鉄粉や合金鋼粉が挙げられる。前記合金鋼粉としては、例えば、合金元素を溶製時に予め合金化した予合金鋼粉(完全合金化鋼粉)、鉄粉に合金元素を部分拡散させて合金化した部分拡散合金化鋼粉、予合金化鋼粉にさらに合金元素を部分拡散させたハイブリッド鋼粉からなる群より選択される1または2以上を用いることができる。前記合金元素としては、例えば、C、Cu、Ni、Mo、Mn、Cr、V、およびSiからなる群より選択される1または2以上を用いることができる。
なお、ここで「鉄基粉末」とは、Feを50質量%以上含む金属粉末を指す。また、「鉄粉」とは、Feおよび不可避不純物からなる粉末を指し、本技術分野においては一般的に「純鉄粉」と称される。
前記鉄基粉末としては、とくに限定されることなく任意の方法で製造される鉄基粉末を用いることができる。前記鉄基粉末としては、例えば、還元鉄基粉末、アトマイズ鉄基粉末、および電解鉄基粉末からなる群より選択される1または2以上を用いることができる。中でも、還元鉄基粉末およびアトマイズ鉄基粉末の少なくとも一方を用いることが好ましい。還元鉄基粉末は、一般に不純物が少ない点で優れている。また、アトマイズ鉄基粉末は、製造が容易である点で優れている。言い換えると、本発明の一実施形態における鉄基粉末冶金用混合粉は、前記鉄基粉末として、還元鉄基粉末、アトマイズ鉄基粉末、またはそれらの混合物を含有する。
鉄基粉末冶金用混合粉における前記鉄基粉末の含有量は、とくに限定されず任意の値とすることができるが、85質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましい。なお、ここで鉄基粉末の含有量とは、鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計質量に対する鉄基粉末の質量の割合を指すものとする。
[銅粉]
混合粉へ配合された銅粉は、焼結時に液相となって鉄基粉末へ拡散し、鉄基焼結合金の強度を増加させ焼結収縮を防止する効果を有する。
混合粉へ配合された銅粉は、焼結時に液相となって鉄基粉末へ拡散し、鉄基焼結合金の強度を増加させ焼結収縮を防止する効果を有する。
鉄基粉末冶金用混合粉における前記銅粉の含有量は、とくに限定されず任意の値とすることができるが、0.1質量%以上とすることが好ましい。銅粉の含有量を0.1質量%以上とすることにより銅粉の添加効果を高めることができる。一方、銅粉の含有量の上限についても特に限定されないが、5質量%以下とすることが好ましい。銅粉の含有量を5質量%以下とすることにより、焼結中の寸法変化を抑制し、得られる鉄基焼結合金の寸法精度を向上させることができる。なお、ここで銅粉の含有量とは、鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計質量に対する銅粉の質量の割合を指すものとする。
[黒鉛粉]
黒鉛粉は、焼結中に鉄基粉末中へ容易に拡散し、合金化して、焼結体の強度を向上させる効果を有している。前記黒鉛粉としては任意のものを用いることができる。
黒鉛粉は、焼結中に鉄基粉末中へ容易に拡散し、合金化して、焼結体の強度を向上させる効果を有している。前記黒鉛粉としては任意のものを用いることができる。
鉄基粉末冶金用混合粉における前記黒鉛粉の含有量は、とくに限定されず任意の値とすることができるが、0.1質量%以上とすることが好ましい。黒鉛粉の含有量を0.1質量%以上とすることにより黒鉛粉の添加効果を高めることができる。一方、黒鉛粉の含有量の上限についても特に限定されないが、鉄基焼結合金の寸法精度を向上させるという観点からは、2質量%以下とすることが好ましい。なお、ここで黒鉛粉の含有量とは、鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計質量に対する黒鉛粉の質量の割合を指すものとする。
[潤滑材]
前記潤滑剤としては、特に限定されることなく任意のものを用いることができる。前記潤滑剤としては、例えば、金属石鹸、ビスアミド、脂肪酸アミド、脂肪酸、液状潤滑剤、熱可塑性樹脂からなる群より選択される1または2以上を用いることが好ましい。これらの潤滑剤は圧粉体の抜出力を低減する効果を有している。
前記潤滑剤としては、特に限定されることなく任意のものを用いることができる。前記潤滑剤としては、例えば、金属石鹸、ビスアミド、脂肪酸アミド、脂肪酸、液状潤滑剤、熱可塑性樹脂からなる群より選択される1または2以上を用いることが好ましい。これらの潤滑剤は圧粉体の抜出力を低減する効果を有している。
前記金属石鹸の例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マンガン、ステアリン酸リチウム等が挙げられる。前記、ビスアミドとしては、例えば、エチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。前記脂肪酸アミドとしては、例えば、ステアリン酸モノアミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。前記脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸等が挙げられる。前記液状潤滑剤としては、例えば、リン酸エステル、ポリオールエステル、鉱油、ポリグリコール等が挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリアセタール等が挙げられる。
潤滑剤の添加量は、鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計100質量部に対して、0.5〜1.5重量部とすることが好ましい。
[炭酸塩]
本発明の鉄基粉末冶金用混合粉は、比表面積が3m2/g以上である炭酸塩を含有する。前記炭酸塩は、流動性改善材としての機能を有する。なお、ここで前記比表面積は、BET比表面積を指すものとする。
本発明の鉄基粉末冶金用混合粉は、比表面積が3m2/g以上である炭酸塩を含有する。前記炭酸塩は、流動性改善材としての機能を有する。なお、ここで前記比表面積は、BET比表面積を指すものとする。
従来、流動性改善材としては、シリカ、カーボンブラック、マイカ、黒鉛などの様々な材料が検討されてきたが、コスト、かさ密度や流れ性等のハンドリング性、混合した際の特性等、すべてを満足するものは無かった。これに対して本発明における炭酸塩は、前記のすべての観点において好ましい特性を有している。
本発明においては、比表面積が3m2/g以上と高い炭酸塩を使用する。炭酸塩の比表面積が高いということは、該炭酸塩の粒子が微細であることを意味している。このように比表面積が高い炭酸塩(微細な炭酸塩)を用いることにより、鉄基粉末冶金用混合粉の流動性や充填性の改善と圧粉体の抜出力の低減とを両立させることができる。
本発明を理論によって制限するものではないが、上記本発明の効果は、次のような理由によって得られるものと考えられる。すなわち、通常、鉄基粉末と潤滑剤とを含む混合粉においては、鉄基粉末の表面に潤滑剤が付着し、該潤滑剤が表面に露出した状態となるため混合粉の特性(流動性等)が低下する。しかし、混合粉に炭酸塩が含まれている場合、該炭酸塩が、潤滑剤を介して鉄基粉末の表面に付着するため、潤滑剤の表面が炭酸塩によってカバーされる。その際、前記炭酸塩として、比表面積が3m2/g以上であるような微細な炭酸塩を用いることにより、混合粉全体に該炭酸塩が十分に分散し、鉄基粉末表面に付着した潤滑剤の表面全体をカバーすることができる。その結果、鉄基粉末に付着した潤滑剤の露出が防止され、流動性等の特性を効果的に改善できる。
上述した効果を得るために、前記炭酸塩の含有量は、前記鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計量100質量部に対して0.05〜1質量部とする。
前記炭酸塩としては、特に限定されることなく任意の炭酸塩を用いることができる。前記炭酸塩としては、入手のしやすさ等から、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩から選択される1または2以上を用いることが好ましい。前記アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。また、前記アルカリ土類金属炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが挙げられる。中でも、炭酸カルシウムを用いることが好ましい。炭酸カルシウムを用いた場合、焼結体の寸法変化を低減することできることに加え、焼結体の切削性を改善することもできる。前記合成炭酸カルシウムとしては、例えば、沈降性(膠質)炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどが挙げられる。
前記炭酸塩として炭酸カルシウムを使用する場合、天然炭酸カルシウムと合成炭酸カルシウムのいずれも使用することができるが、合成炭酸カルシウムを用いることが好ましい。これは、天然の原料に由来する天然炭酸カルシウムに比べて、合成炭酸カルシウムは粒子径のばらつきが小さいためである。
なお、合成炭酸カルシウムは、例えば、水酸化カルシウムを炭酸ガスと反応させることによって製造することができる。水酸化カルシウムは、例えば、酸化カルシウムを水と反応させることによって製造することができる。酸化カルシウムは、例えば、石灰石原石をコークスなどで焼成することによって製造することができる。この場合、焼成時に炭酸ガスが発生するので、この炭酸ガスを水酸化カルシウムと反応させることによって炭酸カルシウムを製造することができる。
また、天然炭酸カルシウムは、天然に産出する炭酸カルシウム原石を任意の方法で粉砕することにより得られる。炭酸カルシウム原石を粉砕する方法としては、ローラーミル、高速回転ミル(衝撃剪断ミル)、容器駆動媒体ミル(ボールミル)、媒体撹拌ミル、遊星ボールミル、ジェットミルなどで粉砕する方法が挙げられる。
[製造方法]
本発明の鉄基粉末冶金用混合粉は、特に限定されることなく、任意の方法で製造することができる。例えば、鉄基粉末、銅粉、黒鉛粉、および潤滑剤の混合粉に対して炭酸塩を添加することで、鉄基粉末冶金用混合粉を得ることができる。
本発明の鉄基粉末冶金用混合粉は、特に限定されることなく、任意の方法で製造することができる。例えば、鉄基粉末、銅粉、黒鉛粉、および潤滑剤の混合粉に対して炭酸塩を添加することで、鉄基粉末冶金用混合粉を得ることができる。
鉄基粉末冶金用混合粉の製造における原料の混合は、撹拌翼型ミキサー(ヘンシェルミキサー等)や容器回転型ミキサー(V型ミキサー、ダブルコーンミキサー等)などのミキサーを用いて行うことができる。
本発明の一実施形態においては、上記鉄基粉末冶金用混合粉を用いて鉄基焼結合金を製造することができる。前記鉄基焼結合金の製造方法は特に限定されず、任意の方法で製造することができるが、通常は、粉末冶金における常法に従って、粉末冶金用混合粉をプレス成形して成形体とし、次いで、焼結すればよい。また、前記鉄基焼結合金を用いて焼結機械部品を製造することができる。なお、ここで鉄基焼結合金とは、全体に対するFeの割合が50質量%以上である焼結合金を指すものとする。
以下、本発明の作用・効果について、実施例を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の手順で鉄基粉末冶金用混合粉を製造した。
まず、鉄基粉末:97.2質量%、電解銅粉:2.0質量%、および天然黒鉛粉:0.8質量%に対して潤滑剤を添加し、へンシェルタイプの高速ミキサーで加熱混合した。前記鉄基粉末としては、アトマイズ鉄粉(JFEスチール(株)製、JIP−301A)を使用した。前記潤滑剤としては、前記鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計100質量部に対し、ステアリン酸アミド:0.35質量部およびエチレンビス脂肪酸アミド:0.35質量部を添加した。
混合後、60℃まで冷却した。前記冷却後、さらに、表1に示す炭酸塩粉末を添加し、混合して鉄基粉末冶金用混合粉を得た。前記炭酸塩の含有量(前記鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計量100質量部に対する比率)は、表1に示したとおりとした。
なお、比較のため、一部の比較例(No.14)では、炭酸塩を添加しなかった。また、一部の例(No.5、6)においては、冷却後に炭酸塩を添加することに代えて、炭酸塩を含むすべての原料を加熱混合した。
(流動度)
次いで、得られた鉄基粉末冶金用混合粉の流動性を評価するために、各混合粉の流動度を測定した。具体的には、直径2.5mmのノズルを通して、50gの混合粉が全量流れきるまでの時間(秒数)を計測し、これを流動度(s/50g)とした。
次いで、得られた鉄基粉末冶金用混合粉の流動性を評価するために、各混合粉の流動度を測定した。具体的には、直径2.5mmのノズルを通して、50gの混合粉が全量流れきるまでの時間(秒数)を計測し、これを流動度(s/50g)とした。
(圧粉密度、抜出力)
さらに、前記鉄基粉末冶金用混合粉のそれぞれを用いて圧粉体を作成し、該圧粉体の密度(圧粉密度)および該圧粉体を金型から抜出す際の抜出力を測定した。前記圧粉体の作成は、直径11mmの金型に鉄基粉末冶金用混合粉を11g充填し、室温で加圧成形することによって行った。前記加圧成形時の圧力は、686MPaとした。得られた円柱状の圧粉体の寸法と重量から圧粉密度を求めた。
さらに、前記鉄基粉末冶金用混合粉のそれぞれを用いて圧粉体を作成し、該圧粉体の密度(圧粉密度)および該圧粉体を金型から抜出す際の抜出力を測定した。前記圧粉体の作成は、直径11mmの金型に鉄基粉末冶金用混合粉を11g充填し、室温で加圧成形することによって行った。前記加圧成形時の圧力は、686MPaとした。得られた円柱状の圧粉体の寸法と重量から圧粉密度を求めた。
以上の測定結果を表1に併記する。
表1に示した結果から分かるように、本発明の条件を満たす鉄基粉末冶金用混合粉は、流動性、圧粉体密度、圧粉体の抜出力のすべての点において優れていた。これに対して、本発明の条件を満たさない鉄基粉末冶金用混合粉は、流動性、圧粉体密度、圧粉体の抜出力の少なくとも1つが劣っていた。
また、表1に示した結果から、本発明の範囲内であれば、炭酸塩の比表面積が高いほど、特性が優れていることが分かる。これは、炭酸塩の比表面積が高い、すなわち微細であるほど、鉄基粉末に付着している潤滑剤の表面をより広範囲に覆うことができるためであると考えられる。
Claims (7)
- 鉄基粉末、銅粉、黒鉛粉、潤滑剤、および炭酸塩を含有し、
前記炭酸塩の比表面積が3m2/g以上であり、
前記炭酸塩の含有量が、前記鉄基粉末、銅粉、および黒鉛粉の合計量100質量部に対して0.05〜1質量部である、鉄基粉末冶金用混合粉。 - 前記鉄基粉末が、還元鉄基粉末およびアトマイズ鉄基粉末の少なくとも一方である、請求項1に記載の鉄基粉末冶金用混合粉。
- 前記炭酸塩が、炭酸カルシウムである、請求項1または2に記載の鉄基粉末冶金用混合粉。
- 前記炭酸カルシウムが、合成炭酸カルシウムである、請求項1から3のいずれか一項に記載の鉄基粉末冶金用混合粉。
- 前記炭酸塩が、前記潤滑剤を介して前記鉄基粉末の表面に付着している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鉄基粉末冶金用混合粉。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載の鉄基粉末冶金用混合粉を原料とする鉄基焼結合金。
- 請求項6に記載の鉄基焼結合金を用いた焼結機械部品。
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