JP2020132831A - 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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JP2020132831A JP2019032733A JP2019032733A JP2020132831A JP 2020132831 A JP2020132831 A JP 2020132831A JP 2019032733 A JP2019032733 A JP 2019032733A JP 2019032733 A JP2019032733 A JP 2019032733A JP 2020132831 A JP2020132831 A JP 2020132831A
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良平 服部
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Abstract

【課題】機械特性および薄肉成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)液晶性を示さない熱可塑性ポリエステル樹脂(A成分)95〜60重量部および(B)液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂(B成分)5〜40重量部からなる樹脂組成物100重量部に対し(C)繊維状充填剤(C成分)を5〜100重量部含有することを特徴とする樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、機械特性および薄肉成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、流動性、耐熱性、機械特性を活かし、自動車や電気電子機器用途に広く使用されている。中でもポリエチレンナフタレート樹脂(以下、PENと略す)は、透明性、耐熱性、耐薬品性に優れるポリエステル樹脂であり、その特徴を活かし医薬品容器や、有機溶剤、オイル・グリス、洗剤等と接触する可能性がある家電や電気・電子・通信機器のハウジング、燃料電池に用いられる樹脂フレームやガスケットに使用されている。
近年、電気・電子・通信機器分野での小型化・軽量化の要求や、燃料電池の高容量化要求に伴い、樹脂の薄肉成形性および機械特性の更なる向上が求められている。特許文献1には、熱可塑性樹脂に、融点が熱可塑性樹脂の融点以上の融点を持つ液晶性樹脂を添加して成る樹脂組成物の流動性および機械特性について例示されている。しかしながら、PENに関する検討は成されておらず、また、特許文献1に記載の液晶性ポリエステル樹脂をPENと混合した場合、液晶性ポリエステル樹脂の融点が高いため、十分な流動性が得られないという問題がある。特許文献2には、熱可塑性ポリエステルに液晶性樹脂を添加して成るコネクタ用樹脂組成物の流動性および耐屈曲性に関して例示されている。しかしながら、PBTでの検討はなされているもののPENに関する検討はなされておらず、また、繊維状充填剤を添加した検討もなされていないため、PENと繊維状充填剤からなる樹脂組成物に適用した場合、十分な流動性が得られないという問題がある。
特開2007−277292号公報 特開平11−189709号公報
本発明の課題は、機械特性および薄肉成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、液晶性を示さない熱可塑性ポリエステル樹脂に液晶性を示すポリエステル樹脂および繊維状充填剤を配合することにより、機械特性および薄肉成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、上記課題を解決するに至った。
すなわち、上記課題は以下の態様により達成される。
(1)(A)液晶性を示さない熱可塑性ポリエステル樹脂(A成分)95〜60重量部および(B)液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂(B成分)5〜40重量部からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)繊維状充填剤(C成分)を5〜100重量部含有することを特徴とする樹脂組成物。
(2)A成分が、固有粘度0.4〜0.7dl/gの範囲にあるポリエチレンナフタレート樹脂であることを特徴とする(1)記載の樹脂組成物。
(3)B成分が、示差走査熱量計で20℃/minにて昇温して測定した融点が190〜250℃の範囲にある液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)B成分が、以下の式[I]〜[IV]で示される繰返し単位により構成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 2020132831
Figure 2020132831
Figure 2020132831
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[式中、Arは下記式[V]または[VI]であり、Arは下記式[V]または[VII]であり、p、q、r、およびsは、それぞれ各繰返し単位のモル組成比(モル%)を示し、式(1)〜(5)を満たす数値である。]
Figure 2020132831
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(5)ArおよびArが、上記式[V]である(4)に記載の樹脂組成物。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の樹脂組成物を射出成形してなる成形品厚みが0.5mm以下である成形品。
本発明によれば、機械特性および薄肉成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することが出来る。本発明により得られる成形品は、有機溶剤、オイル・グリス、洗剤等と接触する可能性がある家電や電気・電子・通信機器のハウジング、燃料電池に用いられる樹脂フレームやガスケットに適用することができる。
以下、本発明に使用する樹脂の調整方法、成形加工方法について順次説明する。
<A成分について>
本発明のA成分の液晶性を示さない熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分とジオール成分とから構成され、ジカルボン酸成分のうち少なくとも90モル%がナフタレンジカルボン酸であり、ジオール成分のうち少なくとも90モル%がエチレングリコールである液晶性を示さない熱可塑性ポリエステルであることが好ましい。
上記のナフタレンジカルボン酸以外のジカルボン酸成分の例としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸を例示することができるが、なかでもテレフタル酸が好ましい。これらのジカルボン酸は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
上記のエチレングリコール以外のジオール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−または−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノールAなどを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して使用することができる。
上記の液晶性を示さない熱可塑性ポリエステルは、従来公知の製造方法によって製造することができる。すなわちジカルボン酸成分とジオール成分とを直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、またはジカルボン酸ジメチルエステルとジオール成分とを反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。更に極限粘度数を増大させるために固相重合を行うことができる。
上記のエステル交換反応、エステル化反応および重縮合反応時には、触媒および安定剤を使用することが好ましい。エステル交換触媒としてはMg化合物、Mn化合物、Ca化合物、Zn化合物などが使用され、例えばこれらの酢酸塩、モノカルボン酸塩、アルコラート、および酸化物などが挙げられる。またエステル化反応は触媒を添加せずに、ジカルボン酸およびジオールのみで実施することが可能であるが、後述の重縮合触媒の存在下に実施することもできる。重縮合触媒としては、Ge化合物、Ti化合物、Sb化合物などが使用可能であり、例えば二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムアルコラート、チタンテトラブトキサイド、チタンテトライソプロポキサイド、および蓚酸チタンなどが挙げられる。安定剤としてはリン化合物を用いることが好ましい。好ましいリン化合物としては、リン酸およびそのエステル、亜リン酸およびそのエステル並びに次亜リン酸およびそのエステルなどが挙げられる。またエステル化反応時には、ジエチレングリコール副生を抑制するためにトリエチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウム、および炭酸ナトリウムなどの塩基性化合物を添加することもできる。また得られたポリエステルには、各種の安定剤および改質剤を配合することができる。
A成分の固有粘度は0.4〜0.7dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.5〜0.7dl/gであり、さらに好ましくは0.6〜0.7dl/gである。A成分の固有粘度が0.4dl/g未満では重合することが困難であり、0.7dl/gを超えると流動性が不足する場合がある。
<B成分について>
本発明の樹脂組成物は、液晶性を示す熱可塑性ポリエステル(以下、液晶ポリエステルと略す)を含有する。液晶ポリエステルは、繰返し単位として以下に示す式[I]〜式[IV]で表される芳香族オキシカルボニル繰返し単位により構成されることが好ましい。
Figure 2020132831
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[式中、Arは下記式[V]または[VI]であり、Arは下記式[V]または[VII]であり、p、q、r、およびsは、それぞれ各繰返し単位のモル組成比(モル%)を示し、式(1)〜(5)を満たす数値である。]
Figure 2020132831
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なお、ArおよびArが共に上記式[V]であることが好ましい。
式[I]で表される繰返し単位を与える単量体としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ならびに、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
式[II]で表される繰返し単位を与える単量体としては、p−ヒドロキシ安息香酸ならびに、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
式[III]で表される繰返し単位を与える単量体としては、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルエ−テル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレンなどの芳香族ジオール、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式[IV]で表される繰返し単位を与える単量体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エ−テルなどの芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
本発明の液晶ポリエステルは、本発明の目的を損なわない範囲で一般式[I]〜[IV]で表される繰返し単位を与える主たる単量体の他に、他の繰り返し単位を与える単量体を共重合せしめてもよい。他の繰り返し単位を与える単量体としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシジカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオールおよび芳香族メルカプトフェノールなどが例示される。これらの他の繰り返し単位を与える単量体は、一般式[I]〜[IV]で表される繰返し単位を与える単量体の合計に対し、10モル%以下であるのが好ましい。
本発明の液晶ポリエステルの製造方法には特に限定はなく、上記単量体成分間にエステル結合を形成させる公知のポリエステルの重縮合法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを用いることができる。
溶融アシドリシス法とは、最初に単量体を加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、続いて反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。この方法は、本発明において特に好適に用いられる。
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリエステルを製造する際に使用する重合性単量体成分は、ヒドロキシル基をエステル化した変性形態、すなわち低級アシルエステルとして反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2〜5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記単量体成分の酢酸エステルを反応に用いる方法が挙げられる。単量体の低級アシルエステルは、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリエステルの製造時にモノマーに無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれにおいても、必要に応じて触媒を用いてもよい。触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタン、三酸化アンチモン、アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);無機酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば硫酸カリウム);ルイス酸(たとえばBF3)、ハロゲン化水素(たとえばHCl)などの気体状酸触媒などが挙げられる。触媒の使用割合は、通常モノマー全量に対し10〜1000ppm、好ましくは20〜200ppmである。
このようにして得られる本発明の液晶ポリエステルは、示差走査熱量計(DSC)で20℃/minにて昇温して測定した融点が190〜250℃であることが好ましく、より好ましくは200〜240℃、さらに好ましくは210〜230℃である。融点が250℃を超えると、流動性が十分発現しなくなる場合がある。また、融点が190℃未満になると、液晶性を示さなくなる場合がある。
A成分とB成分との重量比率は、A成分が60〜95重量部、B成分が5〜40重量部であり、好ましくはA成分が70〜90重量部、B成分が10〜30重量部であり、より好ましくはA成分が75〜85重量部、B成分が15〜25重量部である。B成分が5重量部未満になると、流動性が不足する。また、40重量部を超えると、押出性が悪化する。
<C成分について>
本発明の樹脂組成物は繊維状充填剤(C成分)を含有する。繊維状充填剤を含有することにより、機械特性に優れた樹脂組成物を得ることができる。本発明で使用する繊維状充填剤としては、通常の熱可塑性樹脂の強化に用いられるものを用いることができる。
具体的には例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラストナイト、スラグ繊維、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化珪素繊維およびホウ素繊維等の繊維状無機充填剤が挙げられる。これら繊維状充填剤のうち、強度、流動性の観点からガラス繊維が好ましい。
本発明のガラス繊維は、繊維断面が丸型断面であっても良く、扁平断面であっても良い。平均繊維径は特に限定されないが、丸型断面の場合、繊維径は2〜30μmが好ましく、3〜25μmがより好ましく、5〜20μmが更に好ましい。繊維径が2μm以下ではガラス繊維の集束性が悪くなり、押出機を用いた溶融混練時のハンドリングの低下を起こす場合がある。また繊維径が30μm以上では、繊維径が大きすぎるために補強効果が小さくなる場合がある。扁平断面の場合、繊維断面の長径の平均値が10〜50μm、好ましくは15〜40μm、より好ましくは20〜35μmで、長径と短径の比(長径/短径)の平均値(扁平率)が1.5〜10好ましくは2〜8、更に好ましくは2.5〜6であるガラス繊維である。扁平率がこの範囲の扁平断面ガラス繊維を使用した場合、1.5未満の非扁平断面のガラス繊維を使用した場合に比べ、強度、特に異方性が大きく改良される。また扁平断面形状には扁平の他、楕円状、まゆ状、および三つ葉状、あるいはこれに類する形状の非円形断面形状が含まれる。なかでも機械的強度、低そり性の観点から扁平形状が好ましい。
ガラス繊維の繊維長は、樹脂組成物中における数平均繊維長として60〜700μmが好ましく、より好ましくは100〜500μm、特に好ましくは150〜400μmのものである。尚、かかる数平均繊維長は、成形品の高温灰化、溶剤による溶解、および薬品による分解等の処理で採取されるガラス繊維の残査から光学顕微鏡観察などから画像解析装置により算出される値である。また、かかる値の算出に際しては繊維径以下の長さのものはカウントしない方法による値である。
上記のガラス繊維のガラス組成は、Sガラス、Cガラス、Tガラス、およびEガラス等に代表される各種のガラス組成が適用され、特に限定されない。かかるガラス繊維は、必要に応じてTiO、SO、およびP等の成分を含有するものであってもよい。これらの中でもEガラス(無アルカリガラス)がより好ましい。かかるガラス繊維は、周知の表面処理剤、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、またはアルミネートカップリング剤等で表面処理が施されたものが機械的強度の向上の点から好ましい。また、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、およびウレタン系樹脂等で集束処理されたものが好ましく、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂が機械的強度の点から特に好ましい。集束処理されたガラス繊維の集束剤付着量は、ガラス繊維100重量%中、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.2〜2重量%である。
C成分の含有量は、A成分とB成分からなる樹脂成分100重量部に対し、5〜100重量部、好ましくは10〜70重量部、より好ましくは15〜50重量部である。含有量が5重量部よりも小さいと補強効果が小さく十分な剛性が得られず、100重量部よりも大きいと押出性が悪化する。
<その他の成分>
なお、本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨に反しない範囲で、酸化防止剤、離型剤等の各添加剤を含むことが出来る。
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、およびチオエーテル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤を配合することにより、成形加工時の色相や流動性が安定するだけでなく、耐加水分解性の向上にも効果がある。
ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。上記化合物の中でも、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましく利用される。特にオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ホスファイト系化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。さらに他のホスファイト系化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。好適なホスファイト系化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトである。
また、例えば2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン〔「スミライザーGP」(住友化学株式会社製)として市販されている。〕、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,4,8,10−テトラ−t−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジエチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[2,2−ジメチル−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンなどを挙げることができる。これらはいずれも入手容易である。上記ホスファイト系化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ホスホナイト系化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられる。テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト系化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト系化合物との併用可能であり好ましい。ホスホナイト系化合物としてはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、該ホスホナイトを主成分とする安定剤は、Sandostab P−EPQ(商標、Clariant社製)およびIrgafos P−EPQ(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販されておりいずれも利用できる。上記ホスホナイト系化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
チオエーテル系化合物の具体例として、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)等が挙げられる。上記チオエーテル系化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤の含有量は、A成分とB成分からなる樹脂成分100重量部に対し、0.01〜2重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。酸化防止剤の含有量が0.01重量部より少ない場合は酸化防止効果が不足し、成形加工時の色相や流動性が不安定になるだけでなく、耐加水分解性も悪化する場合がある。また、かかる含有量が2重量部よりも多い場合、酸化防止剤由来の反応成分などがかえって耐加水分解性を悪化させてしまう場合がある。
また、前記ヒンダードフェノール系化合物とホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、チオエーテル系化合物のいずれか2種類以上を組み合わせて使用することが好ましい。ヒンダードフェノール系化合物とホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、チオエーテル系化合物のいずれか2種類以上を組み合わせて使用することで、安定剤としての相乗効果が発揮され、より成形加工時の色相、流動性の安定化、耐加水分解性の向上に効果がある。
<離型剤>
本発明の樹脂組成物は離型剤を含むことができる。離型剤として具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、パラフィン、低分子量のポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸部分鹸化エステル、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルおよび変性シリコーン等を挙げることができる。これらを配合することで機械特性、成形性、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
脂肪酸としては炭素数6〜40のものが好ましく、具体的には、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、パルミチン酸、モンタン酸およびこれらの混合物等が挙げられる。脂肪酸金属塩としては炭素数6〜40の脂肪酸のアルカリ(土類)金属塩が好ましく、具体的にはステアリン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム等が挙げられる。
オキシ脂肪酸としては1,2−オキシステリン酸等が挙げられる。パラフィンとしては炭素数18以上のものが好ましく、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等が挙げられる。
低分子量のポリオレフィンとしては例えば分子量5000以下のものが好ましく、具体的にはポリエチレンワックス、マレイン酸変性ポリエチレンワックス、酸化タイプポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては炭素数6以上のものが好ましく、具体的にはオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド等が挙げられる。
アルキレンビス脂肪酸アミドとしては炭素数6以上のものが好ましく、具体的にはメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリン酸アミド等が挙げられる。
脂肪族ケトンとしては炭素数6以上のものが好ましく、高級脂肪族ケトン等が挙げられる。
脂肪酸部分鹸化エステルとしてはモンタン酸部分鹸化エステル等が挙げられる。脂肪酸低級アルコールエステルとしてはステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、アジピン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、モンタン酸エステル、イソステアリン酸エステル等が挙げられる。
脂肪酸多価アルコールエステルとしては、グリセロールトリステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールモノステアレート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスルトールトリステアレート、ペンタエリスルトールジミリステート、ペンタエリスルトールモノステアレート、ペンタエリスルトールアジペートステアレート、ソルビタンモノベヘネート等が挙げられる。脂肪酸ポリグリコールエステルとしてはポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリトリメチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
変性シリコーンとしてはポリエーテル変性シリコーン、高級脂肪酸アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸含有シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
そのうち脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミドが好ましく、脂肪酸部分鹸化エステル、アルキレンビス脂肪酸アミドがより好ましい。なかでもモンタン酸エステル、モンタン酸部分鹸化エステル、ポリエチレンワックス、酸価ポリエチレンワックス、ソルビタン脂肪酸エステル、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましく、特にモンタン酸部分鹸化エステル、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
離型剤は、1種類で用いても良いし2種以上を組み合わせて用いても良い。離型剤の含有量は、A成分とB成分からなる樹脂成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.03〜2重量部である。
<樹脂組成物の製造方法について>
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式ニ軸押出機が好ましい。他に、各成分、並びに任意に他の成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。
<成形品の製造ついて>
本発明の樹脂組成物は、通常、前記方法で製造されたペレットを射出成形して成形品を得ることにより各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる成形方法だけでなく、適宜目的に応じて射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などを挙げることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また本発明の樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより中空成形品とすることも可能である。
さらに本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品は、表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与することが可能である。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等の樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の樹脂成形品に用いられる方法が適用できる。
以下、実施例により本発明の構成、効果を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
樹脂組成物の評価は以下の方法により実施した。
(1)押出性
下記(組成物の調整)の方法で実施した押出の際の、ストランドの安定性を確認し、以下の基準で評価した。
◎・・・ ペレタイザーまでストランドが引け、連続してペレット化が可能である。
〇・・・ ペレタイザーまでストランドが引けるが、ペレタイズ時にペレットが分割してしまい円柱状のペレットにならない。
× ・・・ ペレタイザーまでストランドが引けない。
(2)剛性
得られた樹脂組成物ペレットを160℃、5時間熱風乾燥機で乾燥した後、射出成形機(東芝機械(株)製:EC130SXII−4Y)を使用して、シリンダー温度290℃、金型温度80℃、冷却時間25秒にて、80mm×10mm×4mmのISO規格に準拠した試験片を成形し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間調湿した後、ISO78に準拠して曲げ弾性率を測定した。
(3)流動性
得られた樹脂組成物ペレットを160℃、5時間熱風乾燥機で乾燥した後、流路厚0.5mm、流路幅8mmのアルキメデス型スパイラル長を射出成形機(住友重機械工業(株)SG−150U)によりシリンダー温度290℃、金型温度80℃、射出圧力88.2MPaでスパイラルフロー長を測定した。
なお、本発明の実施例、比較例においては以下の材料を使用した。
<A成分>
下記の製造例に示す方法により、A成分の製造を行った。またA成分の固有粘度は下記の方法によって求めた。
(1)固有粘度の測定方法
A成分0.6gをフェノール/テトラクロロエタン=3/2(重量比)混合溶媒50ml中に加熱溶融した後、室温に冷却し、得られた溶液の粘度はオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定し、得られた溶液粘度のデータから当該樹脂の固有粘度を求めた。
(2)樹脂の製造
A−I:下記の製造例1で製造されたポリエチレンナフタレート樹脂。
[製造例1]
ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100重量部およびエチレングリコール60重量部を酢酸コバルト四水和物0.010重量部(10ミリモル%)および酢酸マンガン四水和物0.030重量部(30ミリモル%)の存在下、常法によりエステル交換反応させ、メタノール溜出20分後に三酸化アンチモン0.012重量部(10ミリモル%)を添加し、エステル交換反応終了前に正リン酸0.020重量部(50ミリモル%)を添加し、次いで295℃、高真空下重縮合反応を行い固有粘度0.51dl/gのポリエチレンナフタレート樹脂(A−I)を得た。
[製造例2]
製造例1にて得られたポリエチレンナフタレート樹脂(A−I)を、温度227℃、真空度0.5Torrの条件にて8時間固相重合を行った。得られたポリエチレンナフタレート樹脂(A−II)の固有粘度は0.68dl/gであった。
[製造例3]
製造例1にて得られたポリエチレンナフタレート樹脂(A−I)を、温度227℃、真空度0.5Torrの条件にて24時間固相重合を行った。得られたポリエチレンナフタレート樹脂(A−II)の固有粘度は0.83dl/gであった。
<B成分>
B−I:下記の製造例4で製造された液晶ポリエステル樹脂
製造例において、下記の略号は以下の化合物を表す。
BON6:6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
POB:p−ヒドロキシ安息香酸
HQ:ハイドロキノン
TPA:テレフタル酸
[製造例4]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器にBON6、POB、HQおよびTPAを、表1に示す組成比で、総量5molとなるように仕込んだ。ここへ酢酸カリウム0.05g、および全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.025倍モルの無水酢酸を仕込み、下記条件で脱酢酸重合を行った。
窒素ガス雰囲気下に室温〜150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去させつつ210℃まで速やかに昇温し、同温度にて30分間保持した。その後、335℃まで3時間かけ昇温した後、30分かけ20mmHgにまで減圧を行なった。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステルのペレットを得た。得られた液晶ポリエステル(B−I)のDSCにより測定された融点は221℃であった。
Figure 2020132831
B−II:上野製薬(株)製 UENO LCP A−5000 [融点:280℃]
<C成分>
C−I:チョップドストランドガラス繊維[日東紡績(株)製 CSG 3PA−830]
<実施例、比較例>
(組成物の調整)
表2で示した組成比率になるようA成分とB成分を第1供給口より別々に供給し、またC成分をサイドスクリューより供給し溶融押出してペレット化した。ここで、第一供給口とは根元の供給口のことである。溶融押出は、サイドスクリューを備えた径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30α−38.5BW−3V]を用い実施した。また、押出温度は、C1/C2/C4〜D=50℃/240℃/300℃とし、メインスクリュー回転数は200rpm、サイドスクリュー回転数は50rpm、吐出量は20kg/h、ベント減圧度は3kPaとした。得られたペレットを上記の評価方法にて評価を行った。
結果を表2に示す。
Figure 2020132831
<実施例1〜12>
本発明の請求範囲にある樹脂組成物は、押出性が良好で、剛性が高く、流動性に優れている。
<比較例1>
B−I成分を含まないため、流動性に劣る。
<比較例2>
B−I成分の添加量が多いため、ストランドが引けず、剛性および流動性の評価は出来なかった。
<比較例3>
C−I成分を含まないため、剛性に劣る。
<比較例4>
C−I成分の添加量が多いため、ストランドが引けず、剛性および流動性の評価は出来なかった。

Claims (6)

  1. (A)液晶性を示さない熱可塑性ポリエステル樹脂(A成分)95〜60重量部および(B)液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂(B成分)5〜40重量部からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)繊維状充填剤(C成分)を5〜100重量部含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. A成分が、固有粘度0.4〜0.7dl/gの範囲にあるポリエチレンナフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. B成分が、示差走査熱量計で20℃/minにて昇温して測定した融点が190〜250℃の範囲にある液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. B成分が、以下の式[I]〜[IV]で示される繰返し単位により構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
    [式中、Arは下記式[V]または[VI]であり、Arは下記式[V]または[VII]であり、p、q、r、およびsは、それぞれ各繰返し単位のモル組成比(モル%)を示し、式(1)〜(5)を満たす数値である。]
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
    Figure 2020132831
  5. ArおよびArが、上記式[V]である請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を射出成形してなる成形品厚みが0.5mm以下である成形品。
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