JP2020132539A - コラゲナーゼ阻害剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】セリシンを有効成分とするコラゲナーゼ阻害剤及び該阻害剤を含有する皮膚外用剤を提供すること。【解決手段】SDS−PAGE法により150kDa以上の分子量に対応する範囲において、少なくとも一つのバンドが検出されるセリシンを含有するコラゲナーゼ阻害剤、及び蚕の繭又は生糸から無機塩含有溶媒で抽出する工程を含む方法で得られるセリシンを含有するコラゲナーゼ阻害剤。【選択図】なし
Description
本発明は、コラゲナーゼ阻害剤に関する。より詳しくは、本発明は、コラゲナーゼ阻害剤及び該阻害剤を含有する皮膚外用剤に関する。
蚕糸はセリシンとフィブロインという2種類のタンパクから主に構成されている。このうち、フィブロインは蚕繭の繊維を構成する不溶性タンパクであり、セリシンはフィブロインが形成する繊維の外側を層状に覆い、その接着等に関わる水溶性のタンパクである。
このうち、セリシンについては、近年、保湿、抗菌、抗酸化等の作用があることが判明し、例えば、特許文献1には、セリシンが抗コラゲナーゼ活性を有すると記載されている。
しかしながら、特許文献1には、蚕繭からセリシンをどのようにして抽出するかについて記載されておらず、抗コラゲナーゼ活性を示す具体的な実験結果も示されていない。また、発明者らの検討により、高温下又は高温高圧下のような条件で抽出された低分子量化されたセリシンでは、充分な抗コラゲナーゼ活性が得られないことも明らかとなった。
本発明は、良好な抗コラゲナーゼ活性を有するコラゲナーゼ阻害剤及び該阻害剤を含有する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、セリシンのコラゲナーゼ阻害作用について鋭意検討した結果、低分子量化されたセリシンよりも、高分子量のセリシンを含む画分がコラゲナーゼ阻害作用に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記〔1〕〜〔5〕に関する。
〔1〕 SDS−PAGE法により150kDa以上の分子量に対応する範囲において、少なくとも一つのバンドが検出されるセリシンを含有する、コラゲナーゼ阻害剤。
〔2〕 蚕の繭又は生糸から無機塩含有溶媒で抽出する工程を含む方法で得られるセリシンを含有する、コラゲナーゼ阻害剤。
〔3〕 セリシンが、0.5質量%濃度の水溶液にエタノールを10質量%添加することによって、4℃で12時間以内にゲルを形成するセリシンである、前記〔1〕又は〔2〕に記載のコラゲナーゼ阻害剤。
〔4〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のコラゲナーゼ阻害剤を含有する、皮膚外用剤。
〔5〕 しわ及び/又はたるみの改善又は予防用である前記〔4〕に記載の剤。
〔1〕 SDS−PAGE法により150kDa以上の分子量に対応する範囲において、少なくとも一つのバンドが検出されるセリシンを含有する、コラゲナーゼ阻害剤。
〔2〕 蚕の繭又は生糸から無機塩含有溶媒で抽出する工程を含む方法で得られるセリシンを含有する、コラゲナーゼ阻害剤。
〔3〕 セリシンが、0.5質量%濃度の水溶液にエタノールを10質量%添加することによって、4℃で12時間以内にゲルを形成するセリシンである、前記〔1〕又は〔2〕に記載のコラゲナーゼ阻害剤。
〔4〕 前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のコラゲナーゼ阻害剤を含有する、皮膚外用剤。
〔5〕 しわ及び/又はたるみの改善又は予防用である前記〔4〕に記載の剤。
本発明によれば、コラゲナーゼ阻害作用に優れたコラゲナーゼ阻害剤を提供することができる。
また、本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、皮膚に存在するコラゲナーゼを阻害して、皮膚の弾力を増すという優れた効果を奏することができ、ひいては、皮膚のしわやたるみを改善又は予防することができるものである。
本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、特定のセリシンを有効成分とすることを特徴とする。以降、かかるセリシンのことを、本発明のセリシンとして説明する。
本発明のセリシンは、例えば一つの態様として、SDS−PAGE法において、バンドが確認できなかったり、スメアになるのではなく、明確なバンドが検出されるものである。具体的には、150kDa以上の分子量に対応する範囲において、少なくとも1つのバンドが検出されるものを挙げることができる。前記バンドとしては、好ましくは150kDa以上であるが、より好ましくは160kDa以上、更に好ましくは180kDa以上の分子量に対応する範囲に検出されることが望ましい。また前記の範囲に検出されるバンド数は、少なくとも1つであれば上限は特に制限されない。具体的には、例えば、250kDa付近にバンドが検出されるものが挙げられる。なお、SDS−PAGE法は、後述の実施例に記載の方法に従って行うことができ、検出されるバンドに対応する分子量は、マーカータンパク質の分子量画分のバンドとの対比により決定することができる。また、バンドの濃さからバンドの構成比率を算出することができるが、本発明のセリシンはコラゲナーゼ阻害活性を有するのであれば、その構成は特に制限されない。
また、本発明のセリシンは、ゲル化能を有するものが好ましい。ここで言う「ゲル化能を有する」とは、例えば、溶液状態とした場合に当該溶液の粘性を増加させることを意味する。かかるゲル化能は、例えば、0.5質量%の水溶液を調製し、そこにエタノールを10質量%添加すると、4℃で24時間以内、好ましくは12時間以内、より好ましくは6時間以内、更に好ましくは2時間以内、より更に好ましくは1時間以内にゲルを形成するか否かを指標として評価することができる。
また、本発明のセリシンとしては、蚕の繭又は生糸から無機塩含有溶媒で抽出する工程を含む方法で得られるものを挙げることができる。
蚕としては、前記繭や生糸を産生するものであれば特に制限はない。また、前記以外に、クワコ、ウスバクワコといったカイコガ科の野蚕、テンサン(天蚕)、サクサン(柞蚕)、タサールサンといったヤママユガ科の野蚕、ミツバチ、スズメバチ、クモ、トビケラ等の昆虫も絹を産生することから用いてもよい。産地は特に限定されない。また、蚕は天然のものであっても、突然変異や遺伝子操作を行ったものであってもよい。例えば、高分子量のセリシンを効率よく抽出できる傾向にあることから、フィブロインの産生能が劣る蚕を用いることができ、具体的には、突然変異によりフィブロインの産生能が低下した蚕(例えば、セリシンホープ(セリシンC)、セリシンN、Nd蚕、Nd−s蚕等)、遺伝子操作によりフィブロインの産生能が欠損した蚕(例えば、特開2018−007569号公報に記載の形質転換蚕)を用いることができる。
蚕の繭とは、蚕の幼虫が蛹化の際に絹糸腺内の絹タンパクを分泌して作る構造体のことであり、繭から蛹を分離することにより得られる。また、蚕の生糸とは、前記繭から取り出した糸(絹繊維)を何本か合一させて糸状にすることにより得られる。本発明においては、着色した繭を用いなくてもよい。
繭又は生糸から本発明のセリシンを抽出する方法としては、特に限定されないが、例えば、繭又は生糸をそのまま状態で、あるいは裁断や破砕、乾燥等の加工したものを抽出溶媒に浸漬して抽出することができる。
抽出溶媒としては、特に限定されず、水及び/又は有機溶媒等を用いることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール等を用いることができ、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルモルホリン−N−オキシド等の非プロトン性溶媒であってもよい。また、本発明では、高分子量のセリシンを抽出する観点から、無機塩を使用することが好ましい。無機塩としては、特に限定されず、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩を用いることができ、具体的には、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸カリウム等が挙げられる。抽出溶媒の具体例としては、例えば、臭化リチウム水溶液、臭化カリウム水溶液、塩化リチウム水溶液、塩化カリウム水溶液、尿素水溶液、チオシアン酸リチウム水溶液、チオシアン酸カリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、塩化カルシウム/エタノール溶液、強電解水、硝酸カルシウム/メタノール溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、及びN−メチルモルホリン−N−オキシド等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。これらの中でも、臭化リチウム水溶液が好ましい。
抽出溶媒における無機塩の濃度としては、セリシンを効率的に抽出でき、またセリシンが加水分解を受けない又は受け難い限り特に限定されず、例えば、3M以上、4M以上、5M以上、6M以上、7M以上、8M以上等、適宜設定することができる。
抽出溶媒のpHとしては、好ましくはpH5〜8、より好ましくはpH5.5〜7.5である。抽出溶媒使用量としては、蚕の繭又は生糸に対して質量比20〜60倍量、30〜50倍量と適宜設定することができる。
抽出温度は、加水分解を抑制する観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下であり、抽出効率の観点から、0℃以上である。また、抽出時間は、抽出に供する原料の使用量や装置に応じて、例えば、48時間以下、24時間以下、12時間以下、6時間以下等に適宜設定することができる。下限は例えば、1時間以上等に設定することができる。
かくして得られた抽出物が、コラゲナーゼ阻害活性を有することを本発明は見出した。従来、セリシンは、蚕の繭又は生糸に対して、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解等の加水分解法により加水分解し、溶出して得られていた。しかしながら、本発明のセリシンは、例えば、蚕の繭又は生糸から前記した加水分解法を経ずに抽出して得ることができる。よって、本発明のセリシンのことを、「加水分解されていないセリシン」又は「非加水分解セリシン」と記載することもある。なお、前記抽出の際に、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、本発明のセリシンに加水分解されたものが含まれることになってもよい。また、フィブロインを含んでいてもよい。
なお、高分子量のセリシンを抽出する方法としては、例えば、臭化リチウム水溶液を用いて繭等から抽出する方法(例えば、日本シルク学会誌、20、89−94(2012))等が知られており、上記に記載の抽出方法に加え、若しくは変更し、適宜これらを参照することができる。
得られた抽出物は、コラゲナーゼ阻害活性を有するのであれば、該抽出物をそのまま用いてもよいが、ろ過、遠心分離、精製、濃縮、限外ろ過、透析、凍結乾燥、粉末化、及び分画からなる群より選ばれる1種又は2種以上の処理を、公知の方法に従って行って用いることが好ましい。必要により、常圧下又は減圧下で前記処理を行ってもよい。前記処理により、例えば、抽出時に用いた無機塩などの不溶物などを除去することができる。例えば、臭化リチウム水溶液から抽出した場合には、透析等の処理を行って臭化リチウムを除去したものを抽出物とすればよい。また、セリシンは酸性で凝集を起こしやすいため、得られた抽出物に、例えば、Gly−NaOH(pH9程度)を加えて液性を調整してもよい。
抽出物における本発明のセリシンの含有量は、抽出条件によって一概には設定されず、例えば、0.0001〜100重量%が例示される。本明細書において含有量とは、例えば、対象物が液体である場合、液体をエバポレーター等で乾燥させた場合に得られる乾燥物全体の重量に占める、目的成分の重量を百分率で示した乾固物換算値のことであり、乾燥重量又は単に含有量と記載することもある。
本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、その形状は特に限定されず、粉状、固形状、液状のいずれの形状であっても良い。前記抽出物をそのまま用いてもよく、当該抽出物を公知の方法で造粒して得た粒状の固形物として使用することもできる。また、抽出物が液状である場合には、前記抽出物そのもの、その濃縮物や希釈物の他、前記の粉状の抽出物を液体、例えば水やアルコール等に溶解して液状のコラゲナーゼ阻害剤としてもよい。その際に、セリシンは酸性で凝集を起こし易いため、溶液のpHを弱アルカリ性(pH9程度)に調整してもよい。
本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、コラゲナーゼを阻害する作用を有する。コラゲナーゼとは、コラーゲンを加水分解するタンパク分解酵素であり、当該加水分解作用を阻害するものであれば対象のコラーゲンの種類は限定されない。例えば、真皮組織には、I型コラーゲンとIII型コラーゲンが存在することが知られており、I型コラーゲンには弾力を保ち守る働きがあり、III型コラーゲンにはみずみずしさを保ち柔軟性をサポートする働きがあることから、本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、例えば、皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防するために用いることができる。
本発明はまた、本発明の有効成分である、本発明のセリシンを含有する組成物を提供する。本発明の組成物は、前記有効成分を含有するため、コラゲナーゼ阻害用として作用を奏することができる。本発明の組成物としては、前記有効成分を生体表面に塗布或いは体内に摂取することができる形態であれば特に限定はなく、例えば、医薬用組成物、飲食品用組成物、又は化粧料用組成物として好適に使用される。
以下に、本発明の組成物の一態様として、生体表面に塗布する形態の皮膚外用剤について説明する。なお、本発明における皮膚外用剤としては、特に限定なく、薬用化粧品等の薬事法における定義では医薬部外品に分類されるものも含む。
本発明の皮膚外用剤の形状は、特に限定されず、例えば、液体状、流動状、半固形状、固形状等が挙げられる。また、本発明の皮膚外用剤の形態は、特に限定されず、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、シート剤(フィルム剤、キャストフィルム剤、スポンジ剤、ゲルシート剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤等を含む)、固形剤、粉体剤等が挙げられる。これらの中でも、本発明のセリシンはゲル化能を有するため、好ましくは、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤等であり、より好ましくは、液剤、乳剤、クリーム剤等である。
本発明の皮膚外用剤の具体的な用途は、特に限定されないが、例えば、化粧水、化粧用乳液、化粧用オイル、ジェル、クリーム、美容液、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム等の基礎化粧品;化粧下地、ファウンデーション、フェイスパウダー、おしろい、アイシャドー、口紅、リップクリーム、頬紅、各種カラー等のメイクアップ化粧料;シャンプー、ドライシャンプー、コンディショナー、リンス、リンスインシャンプー、トリートメント、ヘアトニック、整髪料、髪油、ポマード、ヘアカラーリング剤などのヘアケア用品等が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、本発明のセリシン又は本発明のコラゲナーゼ阻害剤を原料成分として含有するのであれば、その他の成分は特に制限されない。本発明の皮膚外用剤に含まれる本発明のセリシンの配合量は、その他の配合成分等により適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、3重量%以下、1.5重量%以下、1.0重量%以下などに設定することができる。3重量%以下の場合、外用剤調製時にゲル化が起こり難く、外用剤の良好な状態を維持することができる。また、シート剤や固形剤、粉体剤とする場合には、例えば、1重量%以上、10重量%以上、好ましくは50重量%以上などに設定してもよい。
本発明の皮膚外用剤としては、例えば、本発明のセリシン、水、有機溶媒の他、使用目的、剤型に応じて、化粧品や外用剤で常用される成分を配合することができる。その他の成分としては、特に限定されないが、水溶性高分子、油剤、保湿剤、増粘剤、乳化剤、粉体、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤等が挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、クインスシード、カラギーナン、マンナン、カードラン、ガラクタン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、プルラン、アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、アイルランド苔、カラヤゴム、キャロブゴム、グアーガム、テキストラン、トラガントガム、デンプン、キチン、キトサン、ペクチン、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、アルギン酸及びその塩、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン等のムコ多糖類及びその塩;サクシニルキトサン、カルボキシメチルキチン、キトサン等の天然高分子物質;セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、ヒドロキシエチルグアーガム、カルボキシメチルグアーガム等の半合成高分子物質;カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメタアクリレート、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイドまたはその架橋重合物、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体、ビニルアルコール・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルピロリドン、マレイン酸、酢酸ビニル、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸の誘導体等の共重合体等の合成高分子物質等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
油剤としては、通常化粧料や医薬部外品等の皮膚外用剤に用いられるものがいずれも好適に用いられ、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル油類、硬化油類、脂肪酸類高級アルコール類、シリコーン油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、流動パラフィン、スクワランワセリン等の炭化水素類;モクロウ、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類;ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類;ロジン酸ペンタエリスリットエステル、ホホバ油、トリ(2−エチルヘキサン酸)グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類;オレイン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、べへニン酸等の脂肪酸類;ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ベへニルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン等のシリコーン油類;ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
保湿剤としては、通常化粧料や医薬部外品等の皮膚外用剤に用いられるものがいずれも好適に用いられ、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソプレングリコール等の多価アルコール類;ショ糖、乳糖、マルトース、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、トレハロース等の糖類;乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のNMF成分;グリシン、セリン、メチオニン、ロイシン、チロシン、プロリン、イソロイシン、トリプトファン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン等のアミノ酸及びその塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
乳化剤としては、通常化粧料や医薬部外品等の皮膚外用剤に用いられるものがいずれも好適に用いられ、例えばプロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン化ステロール、ポリオキシエチレン化ラノリン、ポリオキシエチレン化蜜ロウ、水素添加ステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤;脂肪酸石けん、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、N−アシルサルコシネート、N−アシル−N−メチル−β−アラニネート、N−アシルグルタメート、N−アシル−N−メチル−タウリネート等のN−アシルアミノ酸塩、アシル化加水分解コラーゲン塩、アシル化カゼイン塩、アシル化加水分解シルク塩、アシル化加水分解カゼイン塩等のアシル化タンパク質の塩等のアニオン界面活性剤;アルキルアミドヒドロキシエチルアミノ酢酸等のアミドアミノ酸型、アルキルジメチルアミノ酢酸べタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸べタイン等のカルボベタイン型、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸べタイン等のアミドベタイン型、ラウリルスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アルキルスルホベタイン等のスルホベタイン型、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アルキルヒドロキシスルホベタイン等のヒドロキシスルホベタイン型、アルキルアミドジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン等のアミドスルホベタイン型、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−ソジウムカルボキシメチル−N−カルボキシメチルオキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン型、ラウリルアミノプロピオン酸またはその塩、ラウリルアミノジプロピオン酸またはその塩及びN−アルキル−β−アラニン等のアミノ酸型、ラウリルホスホベタイン、ヤシ油脂肪酸アルキルホスホベタイン等のホスホベタイン型、2−(N−ドデシル−N,N−ジメチルアンモニオ)エチルリン酸エステル、2−(N−テトラデシル−N,N−ジメチルアンモニオ)エチルリン酸エステル、2−(N−ヘキサデシル−N,N−ジメチルアンモニオエチル)リン酸エステル、2−(N−オクタデシル−N,N−ジメチルアンモニオエチル)リン酸エステル、及びその塩等のリン酸エステル型等の両性界面活性剤;ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、ココイルトリメチルアンモニウム塩等のモノアルキル型第四級アンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、ジミリスチルジメチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジココイルジメチルアンモニウム塩等のジアルキル型第四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド等の第3級脂肪酸アミン塩、ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩、ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベへニルジメチルベンジルアンモニウム塩、ココイルジメチルベンジルアンモニウム塩等のトリアルキルベンジルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤;大豆、卵黄等から得られるホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン等、及びその誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
粉体としては、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料;酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料;タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、シリカ等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄雲母、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体;ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体;澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体;赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体;更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体;微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン二酸化珪素、酸化亜鉛二酸化珪素等の複合粉体;ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・工ポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末のラメ剤;タール色素、天然色素等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これら粉体成分は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、スクワラン、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤としては、例えばパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、3−(4’−メチルベンジリデン)−d−カンファー、3−ベンジリデン−dl−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニ酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルメトキシシンナメート、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の皮膚外用剤は、その他にも、例えば防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベンブチルパラベン、フェノキシエタノール等)、各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキユウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、pH調整剤、その他薬効成分、香料等を含んでいてもよい。
また、本発明のセリシン又は本発明のコラゲナーゼ阻害剤を含浸させることができる基材としては、公知の不織布であれば特に限定されない。例えば、コットン、パルプ、麻などの天然セルロース系繊維、レーヨン等の再生セルロース系繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維等の合成繊維、さらにセルロース系繊維と合成繊維とを配合した複合繊維等の材質のものを挙げることができる。
本発明の皮膚外用剤は、本発明のセリシン又は本発明のコラゲナーゼ阻害剤を含有するのであれば、公知の方法によって製造できる。例えば、本発明のセリシンと上述の添加剤等を混合・撹拌等して、均一な混合物を得た後に、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、シート剤(フィルム剤、キャストフィルム剤、スポンジ剤、ゲルシート剤、不織布に薬液を含浸させたシート剤等を含む)、固形剤、粉体剤等の各種剤型に製剤化することによって製造することができる。
本発明の皮膚外用剤は、優れたコラゲナーゼ阻害活性を有する本発明のセリシンが配合されているため、皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防するために好適に使用することができる。また、本発明の皮膚外用剤は、皮膚の弾力性を改善及び/又は維持するために、皮膚のはりを向上するために好適に使用することができる。
また、本発明は、下記の態様も包含する。
・ 本発明のコラゲナーゼ阻害剤又は皮膚外用剤を皮膚に適用する工程を含む、皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防する方法。
・ 皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防するための、本発明のコラゲナーゼ阻害剤又は皮膚外用剤の使用。
・ 皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防するための、セリシンの使用。
・ 皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防する剤を製造するための、本発明のコラゲナーゼ阻害剤の使用。
・ 皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防する剤を製造するための、セリシンの使用
・ 本発明のコラゲナーゼ阻害剤又は皮膚外用剤を皮膚に適用する工程を含む、皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防する方法。
・ 皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防するための、本発明のコラゲナーゼ阻害剤又は皮膚外用剤の使用。
・ 皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防するための、セリシンの使用。
・ 皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防する剤を製造するための、本発明のコラゲナーゼ阻害剤の使用。
・ 皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防する剤を製造するための、セリシンの使用
本発明の好ましい形態について説明したが、それぞれの好ましい形態を組み合わせる形態もまた、好ましい形態の一つである。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
フラスコに、遺伝子組換えによって作出されたフィブロイン産生能が欠損した蚕(特開2018−7569号)から得られるセリシン繭1g、8M LiBr(富士フイルム和光純薬株式会社製)水溶液を20mL仕込み、35℃で5時間撹拌した(pH6)。得られた溶液を遠沈管に移し、フラスコ内をGly−NaOH緩衝液(pH9)5mLで洗浄し遠沈管に合一した。4℃、9,500×gで5分間遠心分離し透析膜(Spectra/Por 4)へ流し入れ透析を開始した。外液にはまずイオン交換水を用い、2.5h、5.5h経過時に外液を交換した。次に0.1mM炭酸バッファーを用い翌日朝、翌日夕方、翌々日朝に外液を交換した。合計48h経過後、透析を停止し、遠沈管に移し替え、溶液を4℃、9,500×g、1h遠心分離した。上澄みを回収し、得られた水溶液を加熱乾燥し、濃度を測定した結果、1.1wt%であった。
フラスコに、遺伝子組換えによって作出されたフィブロイン産生能が欠損した蚕(特開2018−7569号)から得られるセリシン繭1g、8M LiBr(富士フイルム和光純薬株式会社製)水溶液を20mL仕込み、35℃で5時間撹拌した(pH6)。得られた溶液を遠沈管に移し、フラスコ内をGly−NaOH緩衝液(pH9)5mLで洗浄し遠沈管に合一した。4℃、9,500×gで5分間遠心分離し透析膜(Spectra/Por 4)へ流し入れ透析を開始した。外液にはまずイオン交換水を用い、2.5h、5.5h経過時に外液を交換した。次に0.1mM炭酸バッファーを用い翌日朝、翌日夕方、翌々日朝に外液を交換した。合計48h経過後、透析を停止し、遠沈管に移し替え、溶液を4℃、9,500×g、1h遠心分離した。上澄みを回収し、得られた水溶液を加熱乾燥し、濃度を測定した結果、1.1wt%であった。
実施例2
繭を、突然変異によって作出された蚕から得られるセリシンホープ繭((株)高原社より購入)1gに変更する以外は、実施例1と同様にしてセリシン抽出液を得た。得られた水溶液を加熱乾燥し濃度を測定した結果、1.0wt%であった。
繭を、突然変異によって作出された蚕から得られるセリシンホープ繭((株)高原社より購入)1gに変更する以外は、実施例1と同様にしてセリシン抽出液を得た。得られた水溶液を加熱乾燥し濃度を測定した結果、1.0wt%であった。
比較例1
3gの通常繭((株)エヌアンドピーより入手)を細かくし粉砕し、温水(40℃で10分間)で洗浄し、室温で一晩乾燥させた。0.2%炭酸ナトリウム水溶液を50mL加えて、オートクレーブで120℃、1時間加熱処理し、Whatman No.1濾紙で吸引濾過することでセリシン水溶液を得た。得られた水溶液を加熱乾燥し濃度を測定した結果、1.75wt%であった。
3gの通常繭((株)エヌアンドピーより入手)を細かくし粉砕し、温水(40℃で10分間)で洗浄し、室温で一晩乾燥させた。0.2%炭酸ナトリウム水溶液を50mL加えて、オートクレーブで120℃、1時間加熱処理し、Whatman No.1濾紙で吸引濾過することでセリシン水溶液を得た。得られた水溶液を加熱乾燥し濃度を測定した結果、1.75wt%であった。
試験例1
実施例1、2及び比較例1の分子量分布をSDS−PAGE法により評価した。
実施例1、2及び比較例1の分子量分布をSDS−PAGE法により評価した。
具体的には、実施例1、2及び比較例1で得られた各溶液をイオン交換水で5倍希釈した水溶液を用いた。各水溶液を15μLとり、2×ローディングバッファー(和光純薬工業株式会社製)15μLと混合して100℃で10分加熱した。その後、冷却しPAGEL(アトー(株)製)5−20%グラジエントゲルを使用し、サンプルを5μLずつアプライして20mA、75分間泳動した。分子量マーカーには、Multicolor Protein Ladder(10〜350kPa)(ニッポン・ジーン製)「M1」及びHiMarkTMUnstained(invitrogen製)「M2」を使用した。これを水で洗浄後、CBBステインワン(ナカライテスク(株)製)で振盪しながら染色し、水で振盪しながら2回洗浄した。実施した結果を図1に示す。
図1より、実施例1、2で得られたセリシンは明確なバンドが確認でき、加水分解していないセリシンが確認されたが、比較例1で得られたセリシンはバンドが消失していてスメアな状態となっており、加水分解が進行していることが分った。
試験例2
実施例1、2及び比較例1のゲル化能を評価した。
実施例1、2及び比較例1のゲル化能を評価した。
具体的には、実施例1、2及び比較例1の0.5質量%水溶液を調製し、そこにエタノールを10質量%添加して混合後、4℃で静置してゲル化するまでの時間とゲル化の程度を以下の指標で評価した。結果を表1に示す。
<ゲル化の指標>
○:ゲル化能良好(容器を傾けても形状がほとんど変化しない、溶液の粘性が増加して良好なゲルが形成された状態)
△:ゲル化能あり(容器を傾けると形状が変化するが、溶液の粘性が増加してゲルが形成された状態)
×:ゲル化能なし(溶液の粘性が増加せずゲルが形成されていない状態)
<ゲル化の指標>
○:ゲル化能良好(容器を傾けても形状がほとんど変化しない、溶液の粘性が増加して良好なゲルが形成された状態)
△:ゲル化能あり(容器を傾けると形状が変化するが、溶液の粘性が増加してゲルが形成された状態)
×:ゲル化能なし(溶液の粘性が増加せずゲルが形成されていない状態)
表1より、実施例1、2で取得したセリシン水溶液はゲル化能を有するが、比較例1で取得したセリシン水溶液はゲル化能を有さないものであった。
試験例3
実施例1、2及び比較例1のコラゲナーゼ阻害活性を評価した。
実施例1、2及び比較例1のコラゲナーゼ阻害活性を評価した。
具体的には、先ず、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(富士フイルム和光純薬株式会社製)6.05gを水800mLに溶解して塩酸でpH7.3に調整し、1Lにメスアップして50mM Tris−HCl bufferを調製した。Collagenase Type V(富士フイルム和光純薬株式会社製)を1mg秤量し、1mLの50mM Tris−HCl bufferで溶解させた。この溶液100μLを50mM Tris−HCl bufferで5mLにメスアップした。MOCAc−Pro−Leu−Gly−Leu−A2pr(Dnp)−Ala−Arg−NH2(株式会社ペプチド研究所製)1mgにDMSO 1.0mLを加え1mM DMSO溶液とし、50mM Tris−HCl bufferで200倍に希釈した。
次いで、96穴プレートに、実施例1、2及び比較例1の1wt%水溶液を50μLずつ加え、さらに上記Collagenase Type V溶液を100μL入れ、10秒間攪拌した後に37℃で10分間インキュベートした。いったん取り出し、上記MOCAc−Pro−Leu−Gly−Leu−A2pr(Dnp)−Ala−Arg−NH2基質溶液を50μL加えた。撹拌しながら300秒ごとに60分間蛍光強度を測定した(測定励起波長320nm 測定蛍光波長405nm)。60分間におけるMOCAc−Pro−Leuの遊離量をコントロール(水)と比較し、遊離率を算出してコラゲナーゼ阻害活性率(%)とした。結果を表2に示す。
表2より、実施例1及び2のセリシン水溶液は、比較例1の低分子セリシン水溶液より高いコラゲナーゼ阻害活性を示すことが明らかとなった。
試験例4
ヒトでの効果確認試験を行った。
ヒトでの効果確認試験を行った。
具体的には、被験者として、20〜60歳の男性10名に1日2回(朝、夜)連続1ヵ月間、試験品と比較品のそれぞれの皮膚外用剤を使用させ、塗布部位の状態を試験前後で比較し、改善効果を調べた。本試験には、試験品として処方例1で示した皮膚外用剤を用い(実施例3)、比較品には処方例1に示した皮膚外用剤からセリシン水溶液を除き、精製水と置き換えた皮膚外用剤を作製し(比較例2)、その使用による効果について調べた。評価は表3に示す基準に従って行った。セリシンを配合した皮膚外用剤を毎日使用しながら肌の状態を塗布開始前及び1ヶ月塗布後におけるアンケートで集計し、効果の確認を行った。結果は表4に示す。
表4に示したように、セリシンの入った試験品の皮膚外用剤では、比較品にくらべて肌の弾力が増す傾向が10人中7人に認められたことから、本発明のセリシンを配合することによる高い効果が実証された。
次に、本発明のセリシンを配合した処方例を示すが、本願発明はこれに限定されるものでない。以下、本発明に係る皮膚外用剤の処方例を示す。なお、含有量は質量%である。製法は、常法による。
<処方例1>化粧水
1,3−ブチレングリコール・・・6.00
グリセリン・・・2.00
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.0.)・・・0.15
エタノール・・・4.00
実施例1水溶液・・・10.0
メチルパラベン・・・0.2
精製水・・・残 部
合計・・・100
1,3−ブチレングリコール・・・6.00
グリセリン・・・2.00
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.0.)・・・0.15
エタノール・・・4.00
実施例1水溶液・・・10.0
メチルパラベン・・・0.2
精製水・・・残 部
合計・・・100
<処方例2>乳液
実施例1水溶液・・・1.0
スクワラン・・・6.0
ワセリン・・・2.0
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.0.)・・・2.0
カルボキシビニルポリマー・・・0.2
1,3−ブチレングリコール・・・0.5
水酸化ナトリウム・・・0.1
エタノール・・・4.0
メチルパラベン・・・0.2
精製水・・・残 部
合計・・・100
実施例1水溶液・・・1.0
スクワラン・・・6.0
ワセリン・・・2.0
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.0.)・・・2.0
カルボキシビニルポリマー・・・0.2
1,3−ブチレングリコール・・・0.5
水酸化ナトリウム・・・0.1
エタノール・・・4.0
メチルパラベン・・・0.2
精製水・・・残 部
合計・・・100
<処方例3>クリーム
実施例1水溶液・・・1.0
ワセリン・・・2.0
ステアリルアルコール・・・5.0
ステアリン酸・・・8.0
スクワラン・・・10.0
自己乳化型グリセリルモノステアレート・・・3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.0.)・・・1.0
プロピレングリコール・・・5.0
水酸化ナトリウム・・・0.3
メチルパラベン・・・0.2
精製水・・・残 部
合計・・・100
実施例1水溶液・・・1.0
ワセリン・・・2.0
ステアリルアルコール・・・5.0
ステアリン酸・・・8.0
スクワラン・・・10.0
自己乳化型グリセリルモノステアレート・・・3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.0.)・・・1.0
プロピレングリコール・・・5.0
水酸化ナトリウム・・・0.3
メチルパラベン・・・0.2
精製水・・・残 部
合計・・・100
本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、高いコラゲナーゼ阻害活性を奏することが可能となるので、例えば、皮膚のしわやたるみを改善及び/又は予防するために好適に使用することができる。
Claims (5)
- SDS−PAGE法により150kDa以上の分子量に対応する範囲において、少なくとも一つのバンドが検出されるセリシンを含有する、コラゲナーゼ阻害剤。
- 蚕の繭又は生糸から無機塩含有溶媒で抽出する工程を含む方法で得られるセリシンを含有する、コラゲナーゼ阻害剤。
- セリシンが、0.5質量%濃度の水溶液にエタノールを10質量%添加することによって、4℃で12時間以内にゲルを形成するセリシンである、請求項1又は2に記載のコラゲナーゼ阻害剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のコラゲナーゼ阻害剤を含有する、皮膚外用剤。
- しわ及び/又はたるみの改善又は予防用である請求項4に記載の剤。
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WO2022208976A1 (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-06 | 株式会社セテカ | 細胞賦活化剤、及びそれを含む皮膚外用組成物 |
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WO2022208976A1 (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-06 | 株式会社セテカ | 細胞賦活化剤、及びそれを含む皮膚外用組成物 |
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