JP2020132523A - シート - Google Patents
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Abstract
Description
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、使用時に扱いやすく、かつ肌に対する密着性に優れた湿潤シートを提供することを目的として検討を進めた。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
シートはゲル状であり、
繊維状セルロースは、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有し、
水分の含有率は、シートの全質量に対して70質量%以上であり、
引張強度が0.08MPa以上であるシート。
[2] 繊維状セルロースの繊維幅が8nm以下である[1]に記載のシート。
[3] 引張弾性率が0.5MPa以上である[1]または[2]に記載のシート。
[4] 伸度が5.0%以上である[1]〜[3]のいずれかに記載のシート。
[5] ヘーズが20.0%以下である[1]〜[4]のいずれかに記載のシート。
[6] シートの絶乾状態における密度が0.5g/cm3以上である[1]〜[5]のいずれかに記載のシート。
[7] 樹脂成分をさらに含有する[1]〜[6]のいずれかに記載のシート。
[8] 皮膚用外用剤をさらに含有する[1]〜[7]のいずれかに記載のシート。
[9] 美容シート用である[1]〜[8]のいずれかに記載のシート。
本発明は、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースと、水と、を含むゲル状のシートに関する。ここで、繊維状セルロースは、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する。また、シートの水分の含有率は、シートの全質量に対して70質量%以上であり、シートの引張強度は0.08MPa以上である。
なお、本明細書において、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースと呼ぶこともある。また、本明細書において、ゲル状のシートを、湿潤シートもしくは、微細繊維状セルロース含有湿潤シートと呼ぶこともある。
本発明のシートは、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含む。繊維状セルロースの繊維幅は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、8nm以下であることが特に好ましい。繊維状セルロースの繊維幅は、たとえば電子顕微鏡観察などにより測定することが可能である。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
ここで、単位mmol/gにおける分母は、亜リン酸基の対イオンが水素イオン(H+)であるときの繊維状セルロースの質量を示す。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
<繊維原料>
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、とくに限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わらおよびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。
亜リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、亜リン酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、亜リン酸基導入繊維が得られることとなる。
反応の均一性を向上させる観点から、化合物Bは水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性をさらに向上させる観点からは、化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。
本実施形態における微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じて亜リン酸基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶剤により亜リン酸基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、とくに限定されない。
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、亜リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。例えば、亜リン酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
亜リン酸基導入繊維を解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
本発明のシートは、樹脂成分をさらに含有することが好ましい。樹脂成分は、水溶性高分子であることが好ましく、水溶性高分子としては、たとえばカルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、メタクリル酸アルキル・アクリル酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアミンポリアミドエピハロヒドリンなどに例示される合成水溶性高分子;キサンタンガム、グアーガム、タマリンドガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、クインスシード、アルギン酸、プルラン、カラギーナン、およびペクチンなどに例示される増粘多糖類;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、およびヒロドキシエチルセルロースなどに例示されるセルロース誘導体;カチオン化デンプン、生デンプン、酸化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、およびアミロースなどに例示されるデンプン類;グリセリン、ジグリセリン、およびポリグリセリンなどに例示されるグリセリン類;ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の金属塩等を挙げることができる。
中でも、水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアミンポリアミドエピハロヒドリンであることが好ましく、ポリエチレンオキサイドであることがより好ましい。ポリビニルアルコールは、変性ポリビニルアルコールであることも好ましく、変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール等を挙げることができる。ポリアミンポリアミドエピハロヒドリンとしては、たとえば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、ポリアミンポリアミドエピブロモヒドリン、ポリアミンポリアミドエピヨードヒドリン等を挙げることができる。中でも、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンは好ましく用いられる。本発明のシートは上記樹脂成分の一種または二種以上を含んでいてもよい。
本発明のシートは、皮膚用外用剤をさらに含有することが好ましい。皮膚用外用剤としては、油性基剤、界面活性剤、アルコール類、保湿剤、高分子・増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、キレート剤、pH調整剤・酸・アルカリ、紫外線吸収剤、美白剤、角質剥離・溶解剤、鎮痒剤、消炎剤、制汗剤、清涼剤、還元剤・酸化剤、ビタミン類及びその誘導体類、糖類及びその誘導体類、有機酸類、無機粉体類、香料、色素、顔料等を挙げることができる。中でも、皮膚用外用剤は、美容成分や薬用成分であることが好ましく、保湿剤、美白剤、角質剥離・溶解剤、鎮痒剤、消炎剤、ビタミン類及びその誘導体類であることがより好ましい。本発明のシートは上記成分の一種または二種以上を含んでいてもよい。
本発明のシートは多価金属塩を含むものであってもよい。多価金属塩としては、たとえば、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、塩化第二硫酸鉄を挙げることができ、中でも、多価金属塩は、硫酸アルミニウムおよび硫酸マグネシウムから選択される少なくとも一種であることが好ましい。多価金属塩を含むことにより、シート中の微細繊維状セルロース間に架橋構造が形成され、シートの強度を高めることができる。これにより、シートの取扱い性をより高めることもできる。
本発明のシートの製造工程は、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する微細繊維状セルロースを含むスラリーを得る工程と、該スラリーを基材上に塗工する塗工工程、又は該スラリーを抄紙する抄紙工程と、塗工工程もしくは抄紙工程を経て得られたシート原紙に水分を含有させる工程と、を含むことが好ましい。これにより、水分の含有率が70質量%以上の湿潤シートが得られる。中でも、シートの製造工程は、微細繊維状セルロースを含むスラリーを得る工程と、該スラリーを基材上に塗工する塗工工程と、塗工工程を経て得られたシート原紙に水分を含有させる工程と、を含むことが好ましい。
塗工工程では、たとえば微細繊維状セルロースを含むスラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成されたシート原紙を基材から剥離することによりシート原紙を得ることができる。また、塗工装置と長尺の基材を用いることで、シート原紙を連続的に生産することができる。
抄紙工程は、抄紙機によりスラリーを抄紙することにより行われる。抄紙工程で用いられる抄紙機としては、とくに限定されないが、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等の公知の抄紙方法を採用してもよい。
本発明のシートの用途は特に限定されるものではないが、たとえば美容シートとして用いられることが好ましい。美容シートとしては、たとえばフェイスマスク等を挙げることができる。特に、本発明のシートがフェイスマスクとして用いられる場合は、使用時にシートを引っ張るなどして顔面に密着させることがある。本発明のシートはこのような使用態様においても十分な強度と伸びを発揮できるため、使用時にシートが破断することがなく、取扱いやすいシートである。
[亜リン酸化パルプの作製]
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて2回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液Aを得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
微細繊維状セルロースの亜リン酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図1)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を亜リン酸基量(mmol/g)とした。
微細繊維状セルロースの繊維幅を下記の方法で測定した。湿式微粒化装置にて処理をして得られた上記微細繊維状セルロース分散液の上澄み液を、微細繊維状セルロースの濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。これを乾燥した後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。
得られた微細繊維状セルロース分散液Aを、固形分濃度が0.5質量%となるようイオン交換水を添加して濃度調整を行った。次いで、この微細繊維状セルロース分散液Aにポリエチレンオキサイド(住友精化社製、PEO−18)の0.5質量%水溶液を、微細繊維状セルロース100質量部に対して20質量部となるよう添加し、塗工液を得た。次いで、得られるシート(上記塗工液の固形分から構成される層)の絶乾状態の坪量が50g/m2になるように塗工液を計量して、市販のアクリル板に塗工し、50℃の恒温乾燥機にて乾燥した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の金枠(内寸が180mm×180mm、高さ5cmの金枠)を配置した。次いで、上記アクリル板から乾燥後のシートを剥離し、微細繊維状セルロース含有シート1を得た。
なお、乾燥後の微細繊維状セルロース含有シート1を23℃、相対湿度50%に24時間静置した後の水分の含有率は9.6質量%であった。23℃、相対湿度50%に24時間静置した後の調湿後シートの水分含有率は、23℃、相対湿度50%の条件下に24時間静置し調湿したシートの質量を測定した後、該シートを105℃の熱風乾燥機で24時間乾燥させ絶乾状態の質量を測定し、下記の式から算出した。
調湿後の水分含有率[質量%]=(調湿後のシート質量−絶乾状態のシート質量)/調湿後のシート質量×100
得られた微細繊維状セルロース含有シート1を23℃のイオン交換水に30秒浸漬し、微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。なお、微細繊維状セルロース含有湿潤シートの水分の含有率は、50mm角の微細繊維状セルロース含有湿潤シートを23℃のイオン交換水に30秒浸漬し、浸漬後の質量を測定した後、該シートを105℃の熱風乾燥機で24時間乾燥させた絶乾状態の質量を測定し、下記の式から算出した。測定は5回繰り返し行ない、平均値を微細繊維状セルロース含有湿潤シートの水分の含有率とした。
湿潤シートの水分含有率[質量%]=(イオン交換水に浸漬後の湿潤シートの質量−シートの絶乾質量)/イオン交換水に浸漬後の湿潤シートの質量×100
なお、微細繊維状セルロース含有湿潤シートの対固形分質量における水分含有率は、下記の式から算出した。
湿潤シートの水分含有率(対固形分質量)[質量%]=(イオン交換水に浸漬後の湿潤シートの質量−シートの絶乾質量)/シートの絶乾質量×100
<湿潤処理>における浸漬時間を60秒とした以外は実施例1と同様にして微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。
<湿潤処理>における浸漬時間を120秒とした以外は実施例1と同様にして微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。
イオン交換水に、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成社製、ゴーセネックスZ200、重合度:1200、けん化度:99mol%以上)を10質量%になるように加え、95℃で1時間撹拌し、溶解した。
微細繊維状セルロース100質量部に対して、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールが40質量部になるように微細繊維状セルロース分散液Aとアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール溶液を混合した以外は、実施例2と同様にして、微細繊維状セルロース含有シート2、および微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。
固形分濃度が0.5質量%の微細繊維状セルロース分散液A100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(住友精化社製、PEO−18)の0.5質量%水溶液を20質量部添加した。その後、分散液にポリプロピレン樹脂のエマルジョン(東邦化学工業株式会社、HYTEC P−5060P、粒子径30nm)を微細繊維状セルロース100質量部に対して、10質量部になるように添加した。
ポリプロピレン樹脂のエマルジョンを添加した30秒後に、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン(星光PMC株式会社製、湿潤紙力剤WS4030)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、0.4質量部になるように添加した。この分散液からシート化した以外は、実施例1と同様にして微細繊維状セルロース含有シート3を得た。得られた乾燥状態の微細繊維状セルロース含有シート3を23℃のイオン交換水に5分浸漬し、微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。
ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンの添加量を微細繊維状セルロース100質量部に対し、0.2質量部とした以外は、実施例5と同様にして微細繊維状セルロース含有シート4および微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。
実施例1と同様にして得た乾燥状態の微細繊維状セルロース含有シート1に対し、以下の方法で架橋処理を行なった。まず、硫酸マグネシウム7水和物(関東化学製)に水を添加することで硫酸マグネシウム純分が5質量%の水溶液を調製した。この水溶液に微細繊維状セルロース含有シート1を8分浸漬し、マグネシウムによる架橋処理を行った。次いで、このシートをイオン交換水に15分浸漬し、洗浄を行った。この洗浄を2回繰り返した後、シートをアクリル板に貼り付け、35℃、相対湿度15%のチャンバーにて乾燥し、乾燥状態の微細繊維状セルロース含有シート5を得た。
得られた微細繊維状セルロース含有シート5を23℃のイオン交換水に5分浸漬し、微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。
硫酸マグネシウム水溶液への浸漬時間を3分とした以外は、実施例7と同様にして微細繊維状セルロース含有シート6および微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。
湿潤処理における浸漬時間を30秒とした以外は実施例5と同様にして微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。
実施例1における<シート化>工程で乾燥途中のシートを微細繊維状セルロース含有湿潤シートとした。比較例2で得られた微細繊維状セルロース含有湿潤シートの水分の含有率は以下の式を用いて算出した。
水分の含有率[質量%]=(乾燥途中の湿潤シートの質量−シートの絶乾質量)/乾燥途中の湿潤シートの質量×100
なお、乾燥途中の湿潤シートの質量は、<シート化>工程における50℃の恒温乾燥機に設置されたシート作製器具(アクリル板上には堰止用の金枠)とシートの全体質量から、シート作製器具の質量を差し引いて求めた。また、シートの絶乾質量は、乾燥途中に得られた微細繊維状セルロース含有湿潤シートを105℃で24時間乾燥した後のシート質量とした。
比較例2における<シート化>工程で乾燥時間をさらに短いところで止め、目視では全体の水分分布が均一な微細繊維状セルロース含有湿潤シートを得た。なお、この湿潤シートの水分の含有率は比較例2と同様の方法で算出した。
王子製紙製の針葉樹クラフトパルプからなるパルプシートを、旋回流式ジェット気流解繊装置を用いて解繊処理した後、エアレイド法のウェブ形成装置を用いて、繊維シートを形成した。該繊維シート上にエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(住化ケムテック社製、スミカフレックス755、Tg−15℃)の水性バインダー液を固形分付着量が4.5g/m2となるようにスプレー散布した後、熱風(雰囲気温度150℃)を通過させ、繊維間を相互に結合させた。更に、該繊維シートを反転させ、最初に水性バインダー液をスプレー散布した面の反対面に、固形分付着量が44.5g/m2となるように水性バインダー液をスプレー散布し、再度熱風(雰囲気温度150℃)を通過させて乾式不織布を得た。得られた不織布の坪量は48g/m2であった。
[湿潤前の微細繊維状セルロース含有シートの評価]
<打ち抜き加工性評価>
湿潤前の微細繊維状セルロース含有シートを100mm角に裁断し、23℃、相対湿度50%に24時間静置した後、打ち抜き加工機(富士商工マシナリー株式会社製、UD−5000)を用いて、打ち抜きテストを行なった。ここで、打ち抜き刃として、縦60mm×横80mmの長方形状で四隅がR=10mmにカーブした外枠打ち抜き用の刃と、短径20mm×長径40mmの楕円形状の内側貫通孔用の刃とを備えたピナクル刃を用いた。この打ち抜き刃は、シートの進行方向に対して外枠打ち抜き用の刃の短辺が垂直になるように配置した。
打ち抜きテストは5回行い、打ち抜き後のシート、およびピナクル刃を観察し、下記の基準で評価した。なお、1回の試験中においてシートの割れ及びピナクル刃の汚れの両方が発生した場合は1セットとして「1回」とカウントした。
○:5回の試験全てでシートに欠けや割れが発生せず、ピナクル刃に汚れなどの付着物がない。
△:5回の試験中、シートの割れおよび/またはピナクル刃の汚れが1回発生。
×:5回の試験中、シートの割れおよび/またはピナクル刃の汚れが2回以上発生。
<密度>
50mm角の湿潤後の微細繊維状セルロース含有シートを105℃の熱風乾燥機で24時間乾燥し絶乾状態とした後、シートの厚みおよび坪量を測定し、シートの密度(g/cm3)を算出した。
湿潤前の微細繊維状セルロース含有シートを幅25mm、長さ150mmに裁断した後、浸漬時間を各湿潤条件の時間とした以外はJIS P 8135の「7.2部分浸せき法」に準拠して湿潤処理を行い、さらにつかみ具間距離を100mmとした以外はJIS P 8113に準拠し、引張試験機テンシロン(エー・アンド・デイ社製)を用いて引張強さ(単位はN/m)、引張弾性率及び伸度を測定した。なお、引張物性試験に用いたサンプルの浸漬時間は、各実施例および比較例における浸漬時間と同様にした。引張強度(単位はMPa)は、引張強さを試験片の厚みで除すことで算出した。
湿潤後の微細繊維状セルロース含有シートを幅25mm、長さ50mmに裁断し、厚み2mmとなるよう試験片を重ね、測定時間を30秒とした以外はJIS K 6253‐3に準拠してゴム硬度を測定した。測定には、アスカーゴム硬度計E型(高分子計器社製)を用いた。
JIS K 7136に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて微細繊維状セルロース含有湿潤シートのヘーズを測定した。
微細繊維状セルロース含有湿潤シートを100mm角に裁断し、この湿潤シートを人の手の握りこぶしの中手指節関節の凹凸に沿うように貼り付け、貼り付け時の湿潤シートの取り扱いやすさを下記の基準で評価した。
○:適度な伸びと強さがあり、装着しやすい。
△:力を入れすぎると破れる、もしくは伸びすぎてやや装着しづらい。
×:簡単に破れるため装着しづらい、もしくは強度はあるが伸びが悪く装着しづらい。
100mm角の湿潤シートを人の手の握りこぶしの中手指節関節の凹凸に貼り付け、肌とシートの間の気泡の抜きやすさを下記の基準で評価した。
○:30cm以上の距離から気泡を目視確認可能であり、容易に気泡抜きをし、肌に密着させることが出来る。
×:10cm以内まで近づけないと気泡の目視確認が出来ない。あるいは、シートの凹凸由来の気泡が多数あり、気泡を全て抜いて肌に密着させることができない。
100mm角の湿潤シートを人の手の握りこぶしの中手指節関節の凹凸に貼り付けた後、1回手のひらの開閉を行なった。その際のシートの貼り付き具合を下記の基準で評価した。
○:貼りついたままはがれない。
△:シートの一部分に浮きが出る。
×:半分以上がはがれる。
Claims (9)
- 繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースと、水と、を含むシートであって、
前記シートはゲル状であり、
前記繊維状セルロースは、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有し、
水分の含有率は、前記シートの全質量に対して70質量%以上であり、
引張強度が0.08MPa以上であるシート。 - 前記繊維状セルロースの繊維幅が8nm以下である請求項1に記載のシート。
- 引張弾性率が0.5MPa以上である請求項1または2に記載のシート。
- 伸度が5.0%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート。
- ヘーズが20.0%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート。
- 前記シートの絶乾状態における密度が0.5g/cm3以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート。
- 樹脂成分をさらに含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のシート。
- 皮膚用外用剤をさらに含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート。
- 美容シート用である請求項1〜8のいずれか1項に記載のシート。
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