JP2020131915A - 連結部材 - Google Patents

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正浩 三宅
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【課題】補強部材として繊維強化樹脂体を含む連結部材において、高強度化と塑性変形能とが両立した連結部材を提供する。【解決手段】連結部材100は、孔部101を有する2つの挿入部102と、2つの挿入部102を互いに連結する連結部103とを有する。連結部103は、金属により構成された複数の外周面を有する基体110と、繊維強化樹脂により構成され、基体110の外周面のうちの第1面111に接合された略板形状の第1補強部130とを有する。基体110は、第1部分112と、孔部101に対し荷重が入力された場合に第1部分112よりも変形量が大きくなる第2部分113とを有し、第1補強部130は、第1部分112を含み、かつ、第2部分113の全てを含まないように配置された第1繊維強化樹脂部131を有している。【選択図】図1A

Description

本発明は、例えば車両等において部材同士を連結する連結部材に関するものである。
従来、車両等を構成する構造部材の高強度化(高剛性化)と軽量化との両立が要求されている。この点、繊維強化樹脂(Fiber Reinforced Plastics:FRP)は、優れた機械特性、軽量化等の要求を満たすことから、例えば車両等を構成する構造部材として使用されてきている。
このような構造部材としては、例えば、リンク(アーム)等の連結部材が挙げられる。連結部材は、孔部を有する2つの挿入部と、前記2つの挿入部を互いに連結する連結部とを有している。前記孔部には例えば軸部材等が挿入され、当該軸部材と連結部材とが連結される。連結部材に繊維強化樹脂体を適用した例として、特許文献1には、一対の筒状ブラケット部と、これらを連結するアーム部とを備えた金属部材と、金属部材を囲繞するように、補強部材として筒状ブラケット部の外周面に巻き付けられた繊維強化樹脂材(本願における繊維強化樹脂体に相当する。)とを含む連結部材が記載されている。
特開2011−126075号公報
特許文献1に記載された連結部材は、引張強度と圧縮強度とを両立させることを目的とした技術である。しかし、例えば車両等において部材同士を連結する連結部材であるアーム(リンク)等では、軽量化を図るとともに、連結部材へ連結された軸部材から過大な荷重および変形(変位)を伴う負荷が連結部材へ強制的に入力されても破壊することが無い連結部材が求められている。
しかしながら、軽量化に有効な繊維強化樹脂体は、高強度であるが塑性変形能が低い材料であるため、上記のように連結部材へ締結された軸部材(外部)から過大な荷重および変形量を伴う負荷が強制的に入力された場合、塑性変形することなく、繊維強化樹脂体が破壊する場合がある。従って、補強部材として繊維強化樹脂体を含むように連結部材を構成する場合には、高強度化だけでなく塑性変形能も考慮する必要がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、補強部材として繊維強化樹脂体を含む連結部材において、外部から過大な荷重および変形量を伴う負荷が強制的に入力された場合でも破壊することが抑制された、高強度化と塑性変形能とが両立した連結部材を提供することを目的とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
[1]連結部材は、孔部を有する2つの挿入部と、前記2つの挿入部を互いに連結する連結部とを有する。前記連結部は、金属により構成された複数の外周面を有する基体と、繊維強化樹脂により構成され、前記基体の外周面のうちの所望の外周面に接合された略板形状の補強部とを有する。前記基体の所望の外周面は、第1部分と、前記孔部に対し荷重が入力された場合に前記第1部分よりも変形量が大きくなる第2部分とを有し、前記補強部は、前記第1部分を含み、かつ、前記第2部分の全てを含まないように配置された第1繊維強化樹脂部を有している。
[2][1]記載の連結部材において、前記第1繊維強化樹脂部の前記第2部分に対応する部位は、空間である。
[3][1]記載の連結部材において、前記補強部は、前記第2部分を含むように配置された第2繊維強化樹脂部を有し、前記所望の外周面のうちの前記第2部分に配置された前記第2繊維強化樹脂部の厚さは、前記所望の外周面のうちの前記第1部分に配置された前記第1繊維強化樹脂部の厚さよりも薄い。
[4][1]〜[3]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記第2部分は、前記孔部に対し荷重が入力された場合に、前記基体の各部分に生じる歪量をD、当該基体の破断伸びをDmaxとしたとき、0.8≦D/Dmax≦1.5となる部分である。
[5][4]記載の連結部材において、前記所望の外周面の前記第1部分に対し、前記第1繊維強化樹脂部が接合される領域の面積は、前記第1部分の面積の30面積%以上である。
[6][1]〜[5]のいずれか1つに記載の連結部材において、平面視において、前記第2部分に対応する前記第1繊維強化樹脂部の角部には、R部が形成されている。
[7][1]〜[6]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記所望の外周面は、平坦面である。
[8][1]〜[6]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記所望の外周面は、突出部を有し、前記第1繊維強化樹脂部は、前記突出部の側面に接するように配置されている。
[9][1]〜[8]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記所望の外周面のうち、前記補強部が接合される領域の表面粗さ(Rz)は3.2〜200μmである。
[10][1]〜[9]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記所望の外周面が占める面積は、前記基体の外周面の面積の合計の5面積%以上である。
[11][1]〜[10]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記2つの挿入部のそれぞれの前記孔部の中心を結ぶ線分に交差する方向における断面視において、前記基体は、前記補強部が接合される前記所望の外周面を2面有し、前記2面の所望の外周面のうちの一方の面は他方の面に対し略平行に配置されている。
[12][1]〜[10]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記2つの挿入部のそれぞれの前記孔部の中心を結ぶ線分に交差する方向における断面視において、前記基体は、凹部を有し、前記凹部の底面が、前記補強部が接合される前記所望の外周面である。
[13][1]〜[10]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記2つの挿入部のそれぞれの前記孔部の中心を結ぶ線分に交差する方向における断面視における前記基体の形状は、相対する2つの凹部を有する略I形状であり、前記2つの凹部のそれぞれの底面が、前記補強部が接合される前記所望の外周面である。
[14][12]または[13]に記載の連結部材において、前記補強部は、前記凹部の内側面にも接合されている。
[15][1]〜[14]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記補強部は、積層された複数の繊維層と、樹脂とからなり、前記複数の繊維層は、配向された繊維束を含み、前記複数の繊維層のうち少なくとも1つの繊維層を構成する繊維束は、前記2つの挿入部のそれぞれの前記孔部の中心を結ぶ線分に沿う方向に配向されている。
[16][1]〜[15]のいずれか1つに記載の連結部材において、前記2つの挿入部および前記基体は、アルミニウム合金で構成されている。
本発明によれば、補強部材として繊維強化樹脂体を含む連結部材において、外部から過大な荷重および変形量を伴う負荷が強制的に入力された場合でも破壊することが抑制された、高強度化と塑性変形能とが両立した連結部材を提供することができる。
第1実施形態に係る連結部材を示す側面図である。 図1AのA−A’線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。 図1AのB−B’線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。 第1実施形態の変形例に係る連結部材において、図1AのA−A’線に相当する位置で切断した構造を示す要部断面図である。 第2実施形態に係る連結部材を示す側面図である。 図3AのA−A’線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。 第2実施形態の変形例に係る連結部材において、図3AのA−A’線に相当する位置で切断した構造を示す要部断面図である。 第1実施形態の連結部材の構成を有する試験片に対する弾塑性解析の模式図である。 第1実施形態の連結部材の構成を有する試験片に対する弾塑性解析の結果を示すグラフである。 第1実施形態の連結部材の構成を有する試験片に対する弾塑性解析の結果を示すグラフである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態(以下、第1態様と称する場合がある。他の実施の形態について同様。)について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態を示す各図中において、同一または同様の部分または構成要素は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
<第1態様の連結部材の構成およびその作用効果>
以下、第1態様の連結部材の構成について説明する。図1Aは、第1態様に係る連結部材を示す側面図、図1Bは、第1態様に係る連結部材において、図1AのA−A’線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。図1Cは、第1態様に係る連結部材において、図1AのB−B’線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
図1A〜図1Cに示すように、本発明の好ましい態様である第1態様に係る連結部材100は、孔部101を有する2つの挿入部102と、2つの挿入部102を互いに連結する連結部103とを有している。特に限定されるものではないが、好ましい形態である第1態様に係る連結部材100は、例えば車両用のアッパーアーム(アッパーリンク)として構成されている。従って、2つの挿入部102は、例えば、略円筒形状に形成され、孔部101にはシャフト等の軸部材が挿入可能なように構成されている。なお、連結部材100は、図1Aに示すように、平面視において略長尺形状の部材であり、紙面において水平方向である長尺方向を長手方向、紙面において上下方向であって長手方向に対し垂直な方向を短手方向、紙面に対し垂直な長手方向および短手方向にともに直交する方向を厚さ方向と、以下いう場合がある。
上記連結部103は、金属により構成された複数の外周面を有する基体110と、繊維強化樹脂により構成され、基体110の外周面のうち所望の外周面111,115に接合された略板形状の補強部130,132を有している(以下、符号111で示す外周面を第1面、符号115で示す外周面を第2面、符号130で示す補強部を第1補強部、符号132で示す補強部を第2補強部という場合がある)。つまり、第1態様の連結部材100では、繊維強化樹脂体である補強部130,132が、基体110を補強する補強部材となっている。そして、基体110の第1面111および第2面115は、第1部分112と、孔部101に対し荷重が入力された場合に第1部分112よりも変形量が大きくなる第2部分113とを有している。なお、第1部分112および第2部分113は、具体的には、第1面111および第2面115が、その平面視において各々有する領域のことを指す。さらに、第1補強部130および第2補強部132は、各々、第1部分112を含み、かつ、第2部分113の全てを含まないように配置された第1繊維強化樹脂部131,133を有していることを特徴としている。なお、第1態様の連結部材100において、第1繊維強化樹脂部131,133は、各々、第1補強部130および第2補強部132の全てを構成する要素である。
かかる第1態様の連結部材100によれば、上記のような構成を採用したことにより、補強部材として繊維強化樹脂体を含む連結部材100において、高強度化と塑性変形能とを両立することができる。以下、その理由について具体的に説明する。なお、図1Bおよび図1Cに示すように、略I字形状をなす第1態様の連結部材100は、その厚さ方向における中心線Cに対し線対称となるよう構成されているので、厚さ方向において中心線Cの左側に存在する第1面111および第1補強部130の構成について詳細に説明し、右側に存在する第2面115および第2補強部132の説明は適宜省略する場合がある(以下説明する、他の実施形態および変形例の構成並びにその作用効果についても同様)。
本発明者は、図1A〜図1Cに示す第1態様の連結部材100において、第1補強部130および第2補強部132が、孔部101に対し荷重が入力された場合に第1部分112よりも変形量が大きくなる第2部分113を含むように配置された繊維強化樹脂部を有している場合を検討した(以下、検討例の連結部材などという場合がある)。すなわち、当該検討例の繊維強化樹脂部は、図1Aに示す平面視において、基体110の第1面111と略同一の平面形状を有しており、第1面111のうちの第2部分113を含む領域が切り欠かれていない形状である。さらにいいかえれば、第1面111のうちの第2部分113にも当該繊維強化樹脂部が配置されており、その結果、第1面111の全域に亘って当該繊維強化樹脂部が配置されている。
検討例の連結部材にあっては、金属からなる基体110の第1面111の全域に亘って繊維強化樹脂からなる当該繊維強化樹脂部が配置されている。そのため、孔部101に対し負荷が強制的に入力された場合において、その荷重および変形量が小さい場合には、基体110に応力が発生しても、基体110が当該繊維強化樹脂部により補強される結果、連結部材全体として高い強度および剛性を有させることができる。
しかし、検討例の連結部材にあっては、孔部101に対し負荷が強制的に入力された場合において、その荷重が衝撃荷重等の大きな荷重でありかつ変形量が大きい場合には、繊維強化樹脂は塑性変形能が低い材料であるため、当該繊維強化樹脂部が破壊するという問題があった。一度、当該繊維強化樹脂部が破壊してしまうと、孔部101に入力される荷重が小さいものであったとしても、この連結部材はもはや当初の強度および剛性を有していないため、基体110自体の破壊に至る可能性がある。特に、第1態様の連結部材100のように、その軽量化を図るために基体110の一部をくり抜いて当該繊維強化樹脂部を接合した場合には、基体110自体の強度および剛性がくり抜いていない場合に比べて低下しており、基体110が破壊する可能性が高い。
これに対して、第1態様の連結部材100は、図1A〜図1Cに示すように、その特徴的な構成として、連結部103は、金属により構成された基体110、および、繊維強化樹脂により構成され、基体110の外周面のうちの第1面111に接合された略板形状の第1補強部130とを有している。そして、第1補強部130は、第1部分112を含み、かつ、第2部分113の全てを含まないように配置された第1繊維強化樹脂部131を有している。すなわち、基体110の第1面111のうち、第1部分112に第1繊維強化樹脂部131が配置される一方、孔部101に対し荷重が入力された場合に第1部分112よりも変形量が大きくなる第2部分113の全てには、第1繊維強化樹脂部131が配置されない。
第1態様の連結部材100は、上記のように特徴的な構成を有することにより、孔部101に対し所定量の負荷が強制的に入力された場合に、基体110が第1繊維強化樹脂部131により補強される一方、第1面111のうち第2部分113の全てには第1繊維強化樹脂部131が配置されていないため、基体110の第2部分113が塑性変形できるようになっている。
従って、第1態様の連結部材100にあっては、孔部101に対し負荷が強制的に入力された場合において、その荷重が小さくかつ変形量が小さい場合には、基体110に応力が発生しても、基体110が第1繊維強化樹脂部131により補強される結果、連結部材100全体として高い強度および剛性を有させることができる。
そして、第1態様の連結部材100にあっては、孔部101に対し負荷が強制的に入力された場合において、その荷重が衝撃荷重等の大きな荷重でありかつ変形量が大きい場合には、基体110の第2部分113が塑性変形することによって、発生した応力を負担し、第1繊維強化樹脂部131への負担を軽減することができる。その結果、第1補強部130および基体110の破壊を防止することができる。
以上より、第1態様の連結部材100では、補強部材として繊維強化樹脂体を含む連結部材100において、高強度化と塑性変形能とを両立することができる。以下、第1態様に係る連結部材100の各構成要素について、詳細に説明する。
<基体>
第1態様に係る基体110は、図1Bおよび図1Cに示すように、短手方向における断面視において、相対する2つの凹部114,116を有する略I形状である。具体的には、基体110は、厚さ方向に延びる略長方形状の上辺部121、短手方向において上辺部121の下方に当該上辺部121と平行に配置された略長方形状の下辺部122、および、短手方向に延び、厚さ方向において上辺部121と下辺部122とに各々の中央部で連結する略長方形状の柱部123とを有しており、上辺部121、下辺部122および柱部123で囲まれた、厚さ方向において左側の領域が凹部114、右側の領域が凹部116となっている。かかる、凹部114,116を設けることにより、基体110、ひいては連結部材100の軽量化を図ることができる。
第1態様の連結部材100は、第1補強部130および第2補強部132が接合されるべき所望の外周面111,115を2面有している。すなわち、第1補強部130が接合されるべき所望の外周面は、凹部114の底面である第1面111(柱部123の左側面)である。また、第2補強部132が接合されるべき所望の外周面は、凹部116の底面であり上記第1面111に平行な第2面115(柱部123の右側面)である。なお、短手方向の断面視における基体の断面形状は上記略I形状に限定されず、例えば略コ字形状、略L字形状、略T字形状などであってもよく、連結部材に要求される強度・変形能等に応じ適切な断面形状を適用すればよい。
そして、基体110の第1面111は、図1Aに示すように、第1部分112と、孔部101に対し荷重が入力された場合に第1部分112よりも変形量が大きくなる第2部分113とを有している。
ここで、上記「所望の外周面」とは、基体110の外周面のうち、上記のように第1補強部130、第2補強部132を接合すべき外周面のことを指す。例えば、第1態様の連結部材100の場合には、所望の外周面である第1面111および第2面115は、上辺部121、下辺部122および挿入部102で囲まれた凹部114,116の底面であり、当該第1面111および第2面115は、ともに、凹凸の無い一つの面(平坦面)のみで構成された外周面である。しかしながら、後述する変形例1のように、所望の外周面は、凹凸を含む複数の面(平面、湾曲面等)で構成された外周面であってもよい。なお、本発明の効果を奏するためには、所望の外周面(第1態様の連結部材100の場合、第1面111および第2面115)が占める面積は、基体110の外周面の面積の合計の5面積%以上と、基体110の外周面に全て対し十分な割合を占める外周面であることが望ましい。これにより、全体として高い強度および剛性を有する連結部材100を構成することができる。
第1態様に係る連結部材100においては、第1面111および第2面115は、上記のように平坦面である。すなわち、厚さ方向における基体110の厚さの関係としては、第1繊維強化樹脂部131が配置された領域の柱部123の厚さt1と、第1繊維強化樹脂部131が配置されていない領域の柱部123の厚さt2とは同じである。これにより、基体110の製造が容易となり、製造コストの低減を図れるほか、第1面111における第1繊維強化樹脂部131の接合位置の微調整および変更が容易となり、高剛性化および変形能の調整が可能となる。
第1態様に係る連結部材100において、基体110の第1面111のうち、第1補強部130(第1繊維強化樹脂部131)が接合されるべき領域の表面粗さ(Rz)は、3.2〜200μmである。第1態様に係る連結部材100にあっては、第1補強部130(第1繊維強化樹脂部131)と基体110との間に、例えば熱硬化性エポキシ樹脂等の接着剤(図示せず)が配置されることにより、第1補強部130と基体110とが接合されるが、その表面粗さを3.2〜200μmとすることで、基体110の表面に接着剤が食い込むアンカー効果が大きくなるため、基体110と第1補強部130とをより強固に接合し、第1補強部130が基体110から剥がれるといった事態を防止できる。
第1態様の2つの挿入部102と基体110は、金属、好ましくは鉄、アルミニウム、または、マグネシウム、もしくはこれらの合金により一体的に構成されている。特に、剛性および軽量化を両立することができるため、挿入部102および基体110は、アルミニウム合金で構成されていることが好ましい。
<補強部>
上記態様の基体110に対し、所望の外周面である第1面111に第1補強部130が接合されている。すなわち、第1態様に係る連結部材100において、第1面111は凹部114の底面である。
このように第1態様に係る連結部材100では、図1Bおよび図1Cに示すように、短手方向における断面視において、軽量化を図るため基体110の一部をくり抜いた凹部114の底面である第1面111に、第1補強部130を接合することにより、連結部材100の剛性および強度を向上させることができる。また、厚さ方向における第1補強部130の厚さt3が凹部114の深さよりも小さい場合には、第1補強部130が基体110の表面から突出しないため、第1補強部130の表部が傷つくことを防止できる。
また、第1態様の連結部材100にあっては、基体110の外周面のうち、第1面111および第2面115の各々に第1補強部130および第2補強部132が接合されているが、これに限定されるものではなく、第1面111および第2面115の少なくとも一方の面(一つの面)のみに補強部が接合されていてもよいし、さらに第1面111および第2面115以外の他の外周面、例えば凹部114,116の短手方向において上方および下方の内側面117等の複数の面に補強部が接合されていてもよい。しかしながら、第1態様に係る連結部材100では、基体110は、所望の外周面として第1面111および当該第1面111と平行な第2面115の2面を有し、第1面111および第2面115の両方に第1補強部130および第2補強部132を接合することにより、基体110が互いに略平行に配置された第1補強部130および第2補強部132で補強されるため、連結部材100全体として特に高い強度および剛性を有させることができる。加えて、好ましい形態である第1態様に係る連結部材100においては、前記断面視において、基体110は、相対する2つの凹部114,116を有する略I形状であり、第1補強部130は凹部114の底面に、第2補強部132は凹部116の底面に接合されている。こうすることで、基体110は、厚さ方向において左右対称構造となり、ねじれ等の変形発生を抑制することができる。
第1補強部130は、第1面111の第1部分112を含むとともに第2部分113の全てを含まないように配置された第1繊維強化樹脂部131を有している。すなわち、基体110の第1面111のうち、第1部分112に第1繊維強化樹脂部131が配置される一方、孔部101に対し荷重が入力された場合に第1部分112よりも変形量が大きくなる第2部分113の全てには、第1繊維強化樹脂部131が配置されない。なお、第1繊維強化樹脂部131は、図1Aに示すように、第1面111の第1部分112の全てを覆うように配置されている必要はなく、連結部材100に求められる強度・剛性に応じ、当該第1部分112の一部を覆うように配置されていてもよい。また、第1繊維強化樹脂部131は、第1面111の第2部分113の全てを含まないように配置されていればよく、連結部材100に求められる塑性変形能に応じ、当該第2部分113の一部を覆うように配置されていてもよい。
ここで、第1態様の第1繊維強化樹脂部131は、第1面111のうちの第2部分113に対応する領域が切り欠かれた空間(切欠部)140となっている。
第1繊維強化樹脂部131は、第2部分113の全てを含まないように配置されていればよいため、切り欠かれた空間(切欠部)140としての形状は限定されるものではない。例えば、第1面111のうちの第2部分が第1面111の中央部に位置している場合には、当該第2部分に対応する第1繊維強化樹脂部の中央部の領域が除去された空間となる。
また、第1繊維強化樹脂部は、複数個の繊維強化樹脂体により構成されていてもよい。そして、第2部分を避けるために、例えば2つの繊維強化樹脂体を離間して配置することもできる。この場合は、第1面111のうち、この2つの繊維強化樹脂体間に存在する空隙が、第1繊維強化樹脂が配置されない領域(すなわち空間)に相当する。
好ましい形態である第1態様に係る連結部材100において、第1面111(所望の外周面)の第2部分113は、孔部101に対し荷重が入力された場合に、引張、曲げなどの各モードまたはそれらのモードの組合せにより基体110の各部分に生じる歪量をD、当該基体の破断伸びをDmaxとしたとき、0.8≦D/Dmax≦1.5となる部分である。これにより、連結部材100全体として高い塑性変形能を有させることができる。なお、上記基体110の各部分に生じる歪量Dは、例えば基体110の表面の所定の部位に歪ゲージを貼付け測定する常用の歪ゲージ法またはビデオカメラ等を使用した画像相間法により確認することができる。また、破断伸びDmaxは、JIS Z−2241に準拠して確認することができる。
さらに、好ましい形態である第1態様の連結部材100にあっては、第1面111(所望の外周面)の第1部分112(つまり、上記D/Dmaxが0.8未満となる領域)に対し、第1繊維強化樹脂部131が接合される領域の面積は、当該第1部分112の面積30面積%以上である。これにより、連結部材100の強度・剛性を向上することができる。
また、図1Cに示すように、短手方向において、第1補強部130の両端面は、凹部114の上方および下方の内側面117にも接合されている。こうすることで、第1補強部130と基体110との接着面積を大きくできると共に、第1補強部130が凹部114の底面111および内側面117という互いに直交する3つの面に接合されるため、基体110と第1補強部130とをさらに強固に接合することができる。なお、上記と同じ理由から、内側面117のうち、第1補強部130(第1繊維強化樹脂部131)が接合される領域の表面粗さ(Rz)は、3.2〜200μmとすることが接合強度の向上の面で好ましい。
第1補強部130は、前述のように繊維強化樹脂で構成された繊維強化樹脂体であり、積層された複数の繊維層と、樹脂136とからなる。複数の繊維層は、配向された繊維束135を含んでいる。第1補強部130のマトリックスを構成する樹脂136は、繊維束135の間に含浸された状態で存在している。そして、第1態様の第1補強部130では、積層された全ての繊維層が含む繊維束135が長手方向、すなわち2つの挿入部102のそれぞれの孔部101の中心Oを結ぶ線分に沿う方向に配向されている。このように全ての繊維層の繊維束が長手方向(一方向)にのみ配向される必要はないが、複数の繊維層のうち少なくとも1つの繊維層を構成する繊維束135は、2つの挿入部102のそれぞれの孔部101の中心Oを結ぶ線分の方向に配向されている(引き揃えられている)ことが望ましい。
第1態様に係る連結部材100において、孔部101に対し荷重が入力される際には、2つの挿入部102のそれぞれの孔部101の中心Oを結ぶ線分の方向に沿って応力が作用しやすい。この点、好ましい形態である第1態様に係る連結部材100にあっては、複数の繊維層のうち少なくとも1つの繊維層を構成する繊維束135は、2つの挿入部102のそれぞれの孔部101の中心Oを結ぶ線分に沿う方向に配向されている(引き揃えられている)ので、第1補強部130の強度を向上させることができる。
第1補強部130を構成する各繊維層は、例えば一方向材、ノンクリンプ織物(Non-crimp fabric:NCF)材、または、平織り材等を用いて構成することができる。ノンクリンプ織物材とは、所定の方向に配向された繊維束の層を複数積層し、ナイロンやポリエステル等の糸によってステッチ加工したものである。また、平織り材とは、例えば、互いに直交(交差)する向きに配向された1組の繊維束を編み込んだものである。
第1補強部130の各繊維層が一方向材やノンクリンプ織物材により構成されている場合は、平織り材を用いた場合に比べ、繊維層の積層構造により繊維束の配向パターンを適切に設定することで、第1補強部130の強度を容易に調整可能な点で有利である。一方、繊維強化樹脂の各繊維層が平織り材により構成されている場合は、繊維束同士が編んであるため繊維がほどけにくい点で、一方向材やノンクリンプ織物材を用いた場合に比べて有利である。
また、各繊維層が含む繊維束を構成する繊維の種類は特に限定されず、炭素繊維、合成繊維やガラス繊維等の各種の繊維を用いることができるが、機械的強度が高くかつ軽量な第1補強部130を得ることができる点で、当該繊維束には炭素繊維を用いることが好適である。
なお、第1態様の第1補強部130は、積層された複数の繊維層を含む繊維強化樹脂で構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、一方向材で構成された1層の繊維層と樹脂とからなる繊維強化樹脂で構成されていてもよく、また疑似等方積層構造または直交積層構造となるよう複数の繊維層が積層されたものであってもよい。この場合においても、複数の繊維層のうち少なくとも1つの繊維層を構成する繊維束は、2つの挿入部102のそれぞれの孔部101の中心Oを結ぶ線分の方向に配向されていることが好ましい。
また、図1Aに示すように、平面視において、第2部分113に対応する第1繊維強化樹脂部131の長手方向における内側の角部には、R部137が形成されている。このように第1繊維強化樹脂部131の角部にR部137を形成することで、当該角部への応力集中を緩和して、第1補強部130が基体110から剥がれるといった事態を防止できる。
また、好ましい形態である第1態様の連結部材100は、図1Cに示すように、基体110と第1補強部130とを結合し、かつ、基体110と第2補強部132とを結合する機械的結合要素(ボルト104およびナット105)を有している。具体的には、第1態様の連結部材100において、基体110には第1面111から第2面115へ通じる貫通孔118が形成されている。さらに、第1補強部130および第2補強部132には、貫通孔134が、上記貫通孔118と同軸に形成されている。そして、ボルト104が貫通孔134,118に挿通されており、ナット105により固定されている。これにより、孔部101に対し荷重が入力された場合に、第1補強部130および第2補強部132がせん断応力等により基体110から剥がれるといった事態を防止できる。なお、図示しないが、ワッシャーやスペーサー等を有していてもよい。
(変形例1)
以下、上記第1態様の変形例(以下、変形例1と称する)について、図面を参照して説明する。なお、変形例1を示す各図中において、第1態様の連結部材と同一または同様の部分または構成要素は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さず、省略する(以下、説明する他の変形例および実施の形態についても同様)。
以下、変形例1の連結部材の構成について説明する。図2は、変形例1に係る連結部材において、図1AのA−A’線に相当する位置で切断した構造を示す要部断面図である。
図2に示すように、変形例1の連結部材200は、基本的には第1態様の連結部材と同様に構成されているが、変形例1の連結部材200の第1面111は、突出部219を有しており、所望の外周面である第1面111が、突出部219の厚さ方向における表面および短手方向における側面を含む複数の面で構成されている点で、図1A〜図1Cに示した第1面が一つの平坦面のみで構成された第1態様の連結部材100と相違している。以下、変形例1の連結部材200について、詳述する。
図2に示すように、変形例1の連結部材200において、凹部114の底面である第1面111は、突出部219を有しており、第1補強部130の第1繊維強化樹脂部131は、短手方向において上側の端面が突出部219の側面220に接するように配置されている。より具体的には、突出部219は、第1面111のうち、第1繊維強化樹脂部131が配置されていない領域である第2部分113に設けられており、第1繊維強化樹脂部131が配置されていない領域の柱部123の厚さt2を、第1繊維強化樹脂部131が配置された領域の柱部123の厚さt1よりも大きくしたものに相当する。そして、第1繊維強化樹脂部131は、第1面111および突出部219の側面220に接合されている。
ここで、厚さ方向における基体210の厚さと第1繊維強化樹脂部131の厚さとの関係について説明する。図1Bに示したように、上記第1態様の連結部材100にあっては、基体110の厚さの関係として、第1繊維強化樹脂部131が配置された領域である第1部分112の柱部123の厚さt1と、第1繊維強化樹脂部131が配置されていない領域である第2部分113の柱部123の厚さt2とは同じである。その結果、第1補強部130(第1繊維強化樹脂部131)が接合される第1面111は、平坦面であった。
一方で、図2に示す変形例1の連結部材200にあっては、第1面111は、その第2部分113に突出部219を有しているので、基体210の厚さの関係として、第1繊維強化樹脂部131が配置された領域である第1部分112の柱部123の厚さt1よりも、第1繊維強化樹脂部131が配置されていない領域である第2部分113の柱部123の厚さt2の方が大きい(厚い)。
以上のように、変形例1の連結部材200は、図1Bに示した第1態様の連結部材100の第1繊維強化樹脂部131が配置されていない領域である第2部分113の柱部123の厚さt2を、図2に示すように第1繊維強化樹脂部131(第1繊維強化樹脂部133)が配置された領域である第1部分112の柱部123の厚さt1よりも大きくして突出部219として構成したものである。
従って、変形例1の連結部材200でも、上記第1態様の連結部材と同様に、孔部101に対し負荷が強制的に入力された場合において、その荷重が小さくかつ変形量が小さい場合には、基体210に応力が発生しても、基体210が第1繊維強化樹脂部131により補強される結果、連結部材200全体として高い強度および剛性を有させることができる。そして、変形例1の連結部材200にあっては、孔部101に対し負荷が強制的に入力された場合において、その荷重が衝撃荷重等の大きな荷重でありかつ変形量が大きい場合には、第2部分113が塑性変形することによって、発生した応力を負担し、第1繊維強化樹脂部131への負担を軽減することができる。その結果、第1繊維強化樹脂部131および基体210の破壊を防止することができる。
さらに、変形例1の連結部材200にあっては、突出部219は、第1面111のうち、第1繊維強化樹脂部131が配置されていない領域である第2部分113に設けられており、第1補強部130は、短手方向におけるその上方の端面が、第1面111および突出部219の下方の側面220に接合されているため、第1補強部130、基体210との接着面積を大きくできると共に、第1補強部130が第1面111および突出部219の側面220、および短手方向において下方の内側面117という互いに直交する3つの面に接合される。その結果、第1補強部130に対してせん断応力が作用した場合に、第1補強部130が基体210から剥がれるといった事態を防止できる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照して説明する。
<第2態様の連結部材の構成およびその作用効果>
以下、第2態様の連結部材の構成について説明する。図3Aは、第2態様に係る連結部材を示す側面図、図3Bは、第2態様に係る連結部材において、図3AのA−A’線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
図3A〜図3Bに示すように、第2態様の連結部材300は、基本的に第1態様の連結部材と同様に構成されているが、第1補強部330および第2補強部332は、第1繊維強化樹脂部131、133に加えて、第2繊維強化樹脂部338、339を有している点で、第1態様の連結部材と相違している。以下、第2態様の連結部材300について、詳述する。
図3A〜図3Bに示すように、第2態様の連結部材300において、第1補強部330は、第1面111の第1部分112を含み、かつ、第2部分113の全てを含まないように配置された第1繊維強化樹脂部131と、第2部分113を含むように配置された第2繊維強化樹脂部338とを有している。そして、第1面111のうちの第2部分113に配置された第2繊維強化樹脂部338の厚さ方向の厚さt4は、第1面111のうちの第1部分112に配置された第1繊維強化樹脂部131の厚さt3よりも薄い(t4<t3)。なお、第1補強部330は、上記のように厚さt4<t3の関係を満たすよう、第1繊維強化樹脂部131と第2繊維強化樹脂部338とが一体となった1つの繊維強化樹脂体として形成されている。また、第2繊維強化樹脂部338は、図3Aに示すように、第1面111の第2部分113の全てを覆うように配置されている必要はなく、連結部材300に求められる強度・塑性変形能に応じ、当該第2部分113の一部を覆うように配置されていてもよい。
また、短手方向において、第1補強部330両端面は、凹部114の上下の内側面117にも接合されている。
かかる構成の第2態様に係る連結部材300によれば、孔部101に対し荷重が入力された場合に、第1面111のうち第1部分112は厚さt3の第1繊維強化樹脂部131で補強される一方、第1面111のうち第2部分113には厚さt4(t4<t3)の第2繊維強化樹脂部338が配置されているため、第2部分113が第1部分112に比べて塑性変形しやすくなっている。
従って、第2態様の連結部材300にあっては、上記第1態様の連結部材と同様に、孔部101に対し負荷が強制的に入力された場合において、その荷重が衝撃荷重等の大きな荷重でありかつ変形量が大きい場合には、第2部分113が塑性変形することによって、発生した応力を負担し、第1繊維強化樹脂部131への負担を軽減することができる。その結果、第1繊維強化樹脂部131および基体110の破壊を防止することができる。
なお、第2態様に係る連結部材300にあっては、孔部101に大きな荷重が入力された結果、第2繊維強化樹脂部338が破壊した場合であっても、第2部分113の全てを含まないように配置された第1繊維強化樹脂部131を有しているため、連結部材300の強度および剛性が維持され、基体110が破壊するという事態を防止することができる。
また、好ましい形態である第2態様の連結部材300にあっては、第1面111のうち第2部分113には第2繊維強化樹脂部338が配置されている。その結果、第1繊維強化樹脂部131が配置された第1部分112のみならず、第2繊維強化樹脂部338が配置された第2部分113を含む第1面111の所定領域が第1補強部330で補強される。そのため、孔部101に対し荷重が入力された場合において、その荷重が小さい場合には、基体110に応力が発生しても、基体110が第1補強部330により補強される結果、連結部材300全体としてより高い強度および剛性を有させることができる。
以上より、第2態様では、上記第1態様と同様に、補強部材として繊維強化樹脂体を含む連結部材300において、高強度化と塑性変形能とを両立することができる。
また、好ましい形態である第2態様の連結部材300にあっては、第1補強部330が、第1面111の第2部分113全域に亘って配置された第2繊維強化樹脂部338と、第1部分112を含み、かつ、第2部分113の全てを含まないように配置された第1繊維強化樹脂部131とが一つの繊維強化樹脂体として一体に構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1補強部330は、第1面111のうちの第1部分112に配置された1つの第1繊維強化樹脂部(厚さt3)と、この第1繊維強化樹脂部とは別体として形成された、第1面111のうちの第2部分113に配置された1つの第2繊維強化樹脂部(厚さt4)とにより構成されていてもよい。また、第1繊維強化樹脂部131および第2繊維強化樹脂部338がさらに複数の部材に分かれて構成されていてもよい。
(変形例2)
以下、上記第2態様の変形例(以下、変形例2と称する)の連結部材の構成について、図面を参照して説明する。図4は、変形例2に係る連結部材において、図1AのA−A’線に相当する位置で切断した構造を示す要部断面図である。
図4に示すように、変形例2の連結部材400は、基本的には第2態様の連結部材と同様に構成されているが、変形例2の連結部材400は、第1面111に突出部219が設けられており、第1面111が複数の面で構成されている点で、相違している。以下、変形例2の連結部材400について、詳述する。
図4に示すように、変形例2の連結部材400において、凹部114の底面である第1面111は、突出部219を有し、その第1補強部430の第1繊維強化樹脂部131は、短手方向において突出部219の側面220に接するように配置されている。この点では変形例1の連結部材と同様である。ただし、変形例2の連結部材400では、厚さ方向において突出部219の表面に接するように第2繊維強化樹脂部438が配置されている点で、図2に示した変形例1の連結部材200と相違している。すなわち、好ましい形態である変形例2の連結部材400にあっては、第1繊維強化樹脂部131は、第1面111、突出部219の側面220、凹部114の下方の内側面117に接合されている。そして、第2繊維強化樹脂部438は、突出部219の表面224および凹部114の上方の内側面117に接合されている。なお、第1補強部430は、図4に示すように、厚さt4<t3の関係を満たすよう、第1繊維強化樹脂部131と第2繊維強化樹脂部438とが一体となった1つの繊維強化樹脂体として形成されている。
以上のように、変形例2の連結部材400は、変形例1の連結部材および第2態様の連結部材と同様に、繊維強化樹脂を含む材料で構成された連結部材400において、高強度化と塑性変形能とを両立することができる。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例>
図5Aは、第1態様の連結部材の構成を有する試験片100aに対する弾塑性解析の模式図である。図5Aに示すように、実施例として、図1A〜図1Cに示した構成の第1態様の連結部材からなる試験片100aを作製し、下記詳述する弾塑性解析に供した。試験片100aの各構成要素には以下の材料を用いた。基体110は、アルミニウム合金(JIS AC4CH相当材)により構成し、第1面111および第2面115を有する柱部123(図1B、図1C参照)の厚さ方向における厚さは5mmとした。第1補強部130および第2補強部132は、繊維強化樹脂により構成し、その厚さは5mmとした。図5Aに示すように、基体110の第2部分113(具体的には、孔部101に対し荷重が入力された場合に、基体110の各部分に生じる歪量をD、基体110の破断伸びをDmaxとしたとき、0.8≦D/Dmax≦1.5となる部分)に、切欠部(空間)140を形成した。繊維強化樹脂を構成する繊維束135としては、東レ製T800一方向炭素繊維シートを用い、全ての繊維束135が長手方向に配向するよう配置した。また、繊維強化樹脂を構成する樹脂136としては、硬化剤を含む日新レジンZ1エポキシ樹脂を用いた。上記材料を使用し、第1態様の連結部材100からなる試験片100aを作製した。なお、試験片100aにあっては、図1Aおよび図1Cに示した、基体110の貫通孔118および第1補強部130および第2補強部132の貫通孔134を設けず、ボルト104およびナット105も取り付けなかった。
<弾塑性解析>
上記作製した試験片100aの荷重変位線図を、弾塑性解析により評価した。具体的には、図5Aに示すように、2つの挿入部102のそれぞれの孔部101の中心O1,O2を結ぶ線分に沿った方向を荷重および変形を入力する負荷方向として、2つの挿入部102のうちの一方の孔部101の中心O1を固定し、他方の孔部101の中心O2を起点として当該荷重方向に沿って荷重を入力し、破断に至るまでの荷重および変位量(変形量)を計算した。なお、O1とO2とが離間する方向をP+方向とし、O1とO2とが接近する方向をP−方向と定義した。
<比較例>
上記実施例に係る試験片100aと異なり、第1補強部130および第2補強部132が、孔部101に対し荷重が入力された場合に第1部分112よりも変形量が大きくなる第2部分113を含み上記実施例1の試験片100aのように切欠部(空間)140を有さないように、第1面111および第2面115の全域に亘って配置された繊維強化樹脂部を有する上記検討例の連結部材に相当する試験片を、上記弾塑性解析に供した。
<試験結果>
図5Bおよび図5Cは、第1態様の連結部材の構成を有する試験片に対する弾塑性解析の結果を示すグラフである。図5BはP+方向に荷重を入力したものであり、図5CはP−方向に荷重を入力したものである。なお、図5Bおよび図5Cともに、横軸である変位量は、図5Aに示した試験片100aの2つの孔部101の中心O1,O2を結ぶ線分の長さを基準に正規化した値であり、縦軸である荷重は、実施例である試験片100aに求められる設計仕様上の破断荷重を基準に正規化した値で示している。また、本試験に適用した実施例および比較例に係る試験片における強度および塑性変形能の良否の判断基準は、図5Aに示すP+方向に負荷を強制的に入力した場合は、図5Bにおいて点線で示すように、荷重が1.0以上、変位量が1.0以上であった。また、図5Aに示すP−方向に負荷を強制的に入力した場合は、図5Cにおいて点線で示すように、荷重が1.0以上、変位量が1.0以上であった。
図5Bに示すように、P+方向において、比較例の試験片では破断時の荷重は、上記P+方向において求められる破断荷重(1.0)以上である3.62であったが、破断時の変位量(変形量)は、求められる変位量(1.0)以下である0.95であった。一方、実施例の試験片100aでは、破断時の荷重は、上記P+方向において求められる破断荷重以上である3.62であり、かつ、破断時の変位量も、求められる変位量以上である1.28であった。
また、図5Cに示すように、P−方向において、比較例の試験片では、破断時の荷重は、上記P−方向において求められる破断荷重(1.0)以上である2.19であったが、破断時の変位量は、求められる変位量(1.0)以下である0.90であった。一方、実施例の試験片100aでは、破断時の荷重は、上記P−方向において求められる破断荷重以上である2.19であり、かつ、破断時の変位量も、求められる変位量以上である1.21であった。以上により、実施例の試験片(連結部材)100aは、過大な荷重および変形量を伴う負荷が強制的に入力された場合でも破損せず、高強度化および塑性変形能が両立していることが確認された。
本発明は前記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
100,200,300,400 連結部材
100a 試験片
101 孔部
102 挿入部
103 連結部
104 ボルト
105 ナット
110,210,410 基体
111 所望の外周面(第1面)
112 第1部分
113 第2部分
114 凹部
115 所望の外周面(第2面)
116 凹部
117 内側面
118 貫通孔
121 上辺部
122 下辺部
123 柱部
130,330,430 補強部(第1補強部)
131,133 第1繊維強化樹脂部
132,332,432 補強部(第2補強部)
134 貫通孔
135 繊維束
136 樹脂
137 R部
140 空間(切欠部)
219 突出部
220 側面
224 表面
338,339,438,439 第2繊維強化樹脂部

Claims (16)

  1. 孔部を有する2つの挿入部と、前記2つの挿入部を互いに連結する連結部とを有する連結部材であって、
    前記連結部は、
    金属により構成された複数の外周面を有する基体と、
    繊維強化樹脂により構成され、前記基体の外周面のうちの所望の外周面に接合された略板形状の補強部と、
    を有し、
    前記基体の所望の外周面は、第1部分と、前記孔部に対し荷重が入力された場合に前記第1部分よりも変形量が大きくなる第2部分とを有し、
    前記補強部は、前記第1部分を含み、かつ、前記第2部分の全てを含まないように配置された第1繊維強化樹脂部を有していることを特徴とする連結部材。
  2. 請求項1記載の連結部材において、
    前記第1繊維強化樹脂部の前記第2部分に対応する部位は、空間であることを特徴とする連結部材。
  3. 請求項1記載の連結部材において、
    前記補強部は、前記第2部分を含むように配置された第2繊維強化樹脂部を有し、
    前記所望の外周面のうちの前記第2部分に配置された前記第2繊維強化樹脂部の厚さは、前記所望の外周面のうちの前記第1部分に配置された前記第1繊維強化樹脂部の厚さよりも薄いことを特徴とする連結部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記第2部分は、前記孔部に対し荷重が入力された場合に、前記基体の各部分に生じる歪量をD、当該基体の破断伸びをDmaxとしたとき、0.8≦D/Dmax≦1.5となる部分であることを特徴とする連結部材。
  5. 請求項4記載の連結部材において、
    前記所望の外周面の前記第1部分に対し、前記第1繊維強化樹脂部が接合される領域の面積は、前記第1部分の面積の30面積%以上であることを特徴とする連結部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の連結部材において、
    平面視において、前記第2部分に対応する前記第1繊維強化樹脂部の角部には、R部が形成されていることを特徴とする連結部材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記所望の外周面は、平坦面であることを特徴とする連結部材。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記所望の外周面は、突出部を有し、
    前記第1繊維強化樹脂部は、前記突出部の側面に接するように配置されていることを特徴とする連結部材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記所望の外周面のうち、前記補強部が接合される領域の表面粗さ(Rz)は3.2〜200μmであることを特徴とする連結部材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記所望の外周面が占める面積は、前記基体の外周面の面積の合計の5面積%以上であることを特徴とする連結部材。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記2つの挿入部のそれぞれの前記孔部の中心を結ぶ線分に交差する方向における断面視において、前記基体は、前記補強部が接合される前記所望の外周面を2面有し、
    前記2面の所望の外周面のうちの一方の面は他方の面に対し略平行に配置されていることを特徴とする連結部材。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記2つの挿入部のそれぞれの前記孔部の中心を結ぶ線分に交差する方向における断面視において、前記基体は、凹部を有し、
    前記凹部の底面が、前記補強部が接合される前記所望の外周面であることを特徴とする連結部材。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記2つの挿入部のそれぞれの前記孔部の中心を結ぶ線分に交差する方向における断面視における前記基体の形状は、相対する2つの凹部を有する略I形状であり、
    前記2つの凹部のそれぞれの底面が、前記補強部が接合される前記所望の外周面であることを特徴とする連結部材。
  14. 請求項12または13に記載の連結部材において、
    前記補強部は、前記凹部の内側面にも接合されていることを特徴とする連結部材。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記補強部は、積層された複数の繊維層と、樹脂とからなり、
    前記複数の繊維層は、配向された繊維束を含み、
    前記複数の繊維層のうち少なくとも1つの繊維層を構成する繊維束は、前記2つの挿入部のそれぞれの前記孔部の中心を結ぶ線分に沿う方向に配向されていることを特徴とする連結部材。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の連結部材において、
    前記2つの挿入部および前記基体は、アルミニウム合金で構成されていることを特徴とする連結部材。
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