JP2020131736A - 光学装置付き車両用窓ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用窓ガラスの遮蔽層とその内側の領域との境界で生じる凹凸に起因する歪みを解消し、光学素子で利用できる範囲を広くし、車両用窓ガラスを容易に製造できる光学装置付き車両用窓ガラスを提供すること。【解決手段】車両用窓ガラス2の光透過領域20の車内側に板状透光性部材5が光透過接着剤で貼り付けられ、板状透光性部材5と光透過接着剤4との厚さの合計が車両用窓ガラス2の厚さの50%以下であり、板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁との隙間のうち2mm以内の部分が板状透光性部材5の全外周に対して40%以上とした。【選択図】図2

Description

本発明は、光学装置付き車両用窓ガラスに関する。
車両用窓ガラスの車内側に設置される車載カメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging)、その他の光学装置が知られている。
例えば、車載カメラ付き車両用窓ガラスの車内側には、車載カメラの撮像領域を囲う遮蔽層が設けられている。この遮蔽層は、車両用窓ガラスとは異なる材料、例えば、セラミック材料から形成されている。
遮蔽層が設けられた車両用窓ガラスを製造するには、遮蔽層が積層されたガラス板を加熱炉で加熱し、曲げ成形する。
しかし、遮蔽層の部分が他の部分より厚くなり、成形時に遮蔽層の温度が他の部分より高くなる、等の原因から、車両用窓ガラスにおける遮蔽層の内縁と非遮蔽層との境界で凹凸が生じ、車載カメラやLiDARで撮像される像が歪むおそれがある。
車載カメラ付き車両用窓ガラスの従来例として、車両用窓ガラスを介して撮像された像に歪曲が生じることを低減する技術(特許文献1)がある。
特許文献1の従来例では、像の歪曲を低減するために、車両用窓ガラスの厚さを上に比べて下を厚くした楔状にしたり、車載カメラに対向する領域に特殊な形状の補正部材を設けたりしている。
他の従来例として、車両用窓ガラスの車外面から車載カメラのレンズまでの最大光路距離を短縮して小型化を図るため、車両用窓ガラスと、車載カメラのレンズとの間に、光を屈折する透明ガラス板を配置した技術(特許文献2)がある。
特許文献2の従来例では、車両用窓ガラスの車内面に車載カメラの撮像領域を囲う遮蔽層が設けられている。
国際公開WO2016/143582公報 特開2003−25928号公報
特許文献1の従来例では、像の歪曲を低減するために、車両用窓ガラスを楔状にしたり、特殊な形状の補正部材を用いたりしているので、これらの製造が煩雑となる。
特許文献2の従来例では、遮蔽層の内縁と透明ガラス板の端縁との間に大きな隙間があり、この隙間がある領域では、遮蔽層の内縁と非遮蔽部との境界の凹凸によって、車載カメラで撮像された像が歪むおそれがある。
さらに、特許文献2の従来例では、透明ガラス板は車外からの光を屈折するために厚みが必要とされており、透明ガラス板の厚みが車両用窓ガラスの厚みと同じになるように図示されている。このように、透明ガラス板の厚みが厚いと、車外から入射した光が透明ガラス板の側面に反射した後に車載カメラに入射することになり、車載カメラで撮像された像に歪みが生じるおそれがある。この歪みは、透明ガラス板の厚みに比例して、大きくなる。
本発明の目的は、車両用窓ガラスの遮蔽層とその内側の領域との境界で生じる凹凸に起因する歪みを解消し、光学素子で利用できる範囲を広くし、車両用窓ガラスを容易に製造できる光学装置付き車両用窓ガラスを提供することにある。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスは、車両用窓ガラスと、光学素子を有し前記車両用窓ガラスを通じて光を送信、受信または送受信する光学装置と、を備える光学装置付き車両用窓ガラスであって、前記車両用窓ガラスは、前記光学素子で処理される光が透過する光透過領域と、前記光透過領域の少なくとも一部を囲うように前記車両用窓ガラスの車内側に設けられる遮蔽層と、を有し、前記遮蔽層の内側には、板状透光性部材が光透過接着剤を介して貼り付けられ、前記板状透光性部材は、以下の条件1および条件2を満たすように配置されていることを特徴とする。
条件1:前記板状透光性部材と前記光透過接着剤との厚さの合計が前記車両用窓ガラスの厚さの50%以下である。
条件2:互いに対向する前記板状透光性部材の外縁と前記遮蔽層の内縁との隙間のうち2mm以内の部分が前記板状透光性部材の全外周に対して40%以上ある。
本発明では、光透過領域の車内側に板状透光性部材が光透過接着剤で貼り付けられている。しかも、板状透光性部材における外縁と、遮蔽層における内縁とが互いに対向しかつ外縁と内縁との隙間のうち2mm以内の部分が板状透光性部材の全外周に対して40%以上である。ここで、隙間は0mmが好ましいが、板状透光性部材を車両用窓ガラスに貼り付ける場合にあっては、製造しやすさ等を考慮し、隙間を2mm以内とした。なお、本発明における「遮蔽層の内側」は車両用窓ガラスの平面視において光透過領域側を意味する。
これにより、車両用窓ガラスを製造する際に、仮に、遮蔽層と光透過領域との境界で凹凸が生じているとしても、その部分が光透過接着剤を介して板状透光性部材で覆われているので、光学装置で撮像される像の歪みが解消される。
さらに、光透過領域に貼り付けられているのが車両用窓ガラスの凹凸の形状に応じて変形するフィルムではなく、板状透光性部材である。板状透光性部材は、車内側面が平面であるため、車両用窓ガラスの凹凸の形状に応じて板状透光性部材が変形することが少なく、この点からも、歪みが解消される。
そして、板状透光性部材と光透過接着剤の厚さの合計は、車両用窓ガラスの厚さの50%以下になるように薄くしたので、板状透光性部材によって被写体からの光が大きく屈折することがないから、光学素子で利用できる範囲が広くなる。
しかも、板状透光性部材を薄くすることで、板状透光性部材の入射面から入った光が板状透光性部材の側面に反射して出射面から出射する場合が少なくなり、光学装置で撮像される像に歪みが生じにくくなる。
また、板状透光性部材と光透過接着剤の厚さの合計を前述の厚さとすることにより、カメラのレンズやセンサー等の光学装置を構成する部材の配置に制約を受けず、光の透過する面積が広くなる。
遮蔽層は、板状透光性部材の全外周を囲うように形成されている場合だけでなく、一部が省略されて板状透光性部材の外縁が遮蔽層の内縁と対向しない場合がある。さらに、遮蔽層が板状透光性部材の全外周を囲うように形成されている場合であっても、板状透光性部材の外縁と遮蔽層の内縁との隙間が大きいと、隙間が大きい部分は遮蔽層が省略されているものと同等と考えられる。そのため、本発明では、前述の効果を奏するために、板状透光性部材の外縁と遮蔽層の内縁との隙間のうち2mm以内の部分を板状透光性部材の全外周に対して40%以上とした。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスは、車両用窓ガラスと、光学素子を有し前記車両用窓ガラスを通じて光を送信、受信または送受信する光学装置と、を備える光学装置付き車両用窓ガラスであって、前記車両用窓ガラスは、前記光学素子で処理される光が透過する光透過領域と、前記光透過領域の少なくとも一部を囲うように前記車両用窓ガラスの車内側に設けられた遮蔽層と、を有し、前記遮蔽層の少なくとも内側には、板状透光性部材が光透過接着剤を介して貼り付けられ、前記板状透光性部材は、当該板状透光性部材と前記光透過接着剤との厚さの合計が前記車両用窓ガラスの厚さの50%以下となり、かつ、その外縁と前記遮蔽層の内縁とが重ねられた状態で配置された部分が前記板状透光性部材の全外周に対して80%以上あり、前記板状透光性部材と前記遮蔽層との重なり部分の幅は、3.5mm未満であることを特徴とする。
本発明では、板状透光性部材は、その外周縁が遮蔽層に重ねられた状態で配置されているので、車両用窓ガラスの平面上において、板状透光性部材と遮蔽層との間に屈折率が空気よりガラスに近い光透過接着剤で充たされるため、歪みが解消される。
さらに、前述の通り、板状透光性部材は、車内側面が平面であるため、車両用窓ガラスの凹凸の形状に応じて板状透光性部材が変形することが少ないので、この点からも、歪みが解消される。そして、板状透光性部材と光透過接着剤の板厚が車両用窓ガラスの板厚の50%以下なので、光学素子で利用できる範囲が広くなり、さらに、板状透光性部材の入射面から入った光が板状透光性部材の側面に反射して出射面から出射する場合が少なくなって、像に歪みが生じにくくなる。
また、板状透光性部材と光透過接着剤を所定の厚さとすることにより、カメラやセンサー等の光学装置を構成する部材の配置に制約を受けず、光の透過する面積が広くなる。
本発明では、前述の効果を奏するために、板状透光性部材の外縁と遮蔽層の内縁とが重ねられた状態で配置された部分が板状透光性部材の全外周に対して80%以上、好ましくは、90%以上とした。
さらに、板状透光性部材と遮蔽層との重なり部分の幅を3.5mm未満としたので、板状透光性部材と重なる遮蔽層の大きさが必要以上に大きくならない。
光学装置を車両用窓ガラスに取り付ける際に、光学装置を取り付けるための部材を、板状透光性部材と干渉しないように遮蔽層に固定する。板状透光性部材と重なる遮蔽層の大きさが大きいと、遮蔽層自体を大きくしなければならないが、前述の幅寸法を満たせば、光学装置を取り付けるための部材を確実に遮蔽層に取り付けることが可能となる。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスでは、前記板状透光性部材と前記光透過接着剤とを合わせた透過率は、70%以上である構成が好ましい。
本発明のこの態様では、板状透光性部材は、光学素子で使用される光の波長領域、例えば、車載カメラのレンズで使用される可視光領域(380〜800nm)や、LiDAR(Light Detection and Ranging)の画像検出素子で使用される赤外線領域(例えば、900nmや1000nm)において、透過率が70%以上透過する透明性を有する。そのため、異なる種類の光学装置において、透過率が高い光学素子を用いることで、正確に画像認識できる。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスでは、前記板状透光性部材の材質は、ガラス、または、「ASTM D790」における曲げ弾性率が50MPa以上の合成樹脂である構成が好ましい。
本発明のこの態様では、板状透光性部材が硬質であるため、光透過接着剤で板状透光性部材を車両用窓ガラスに貼り付ける際に、板状透光性部材が車両用窓ガラスの車内側面の凹凸に沿って変形することを効果的に防止できる。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスでは、前記板状透光性部材は、車内側面の表面粗さRaが800nm以下であることが好ましい。
本発明のこの態様では、板状透光性部材の車内側面の表面粗さRaが800nm以下という低い値であるため、板状透光性部材の車内側から出射する光が乱射しにくくなる。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスでは、前記光学素子は、赤外線を用いる画像検出素子であり、前記板状透光性部材の材質はプラスチックであり、前記板状透光性部材および前記光透過接着剤の少なくとも一方は、黒色系であって赤外線を通す材料から形成されることが好ましい。
本発明のこの態様では、板状透光性部材のみ、光透過接着剤のみ、板状透光性部材および光透過接着剤の双方を黒色系としたので、光学素子が車外から視認されにくくなり、外観が良好となる。しかも、光学素子を、LiDARと略称される光学装置に用いられ、赤外線、例えば、900nmから1000nm付近の近赤外線を用い画像検出素子とするので、板状透光性部材と光透過接着剤との少なくとも一方を黒色系としても、光を透過することが可能となり、画像検出素子による画像認識を良好にできる。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスでは、前記板状透光性部材の車内側面には透過する光の反射を低減する低反射層が設けられていることが好ましい。
本発明のこの態様では、板状透光性部材の車内側面に低反射層が設けられているので、板状透光性部材の透過率を向上させることができる。
なお、低反射層は、所定の液状の材料をウェットコートで塗布後に乾燥させて形成してもよいし、スパッタリング、真空蒸着、CVD等の方法で低屈折層と高屈折層とを交互に積層させて形成してもよい。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスでは、前記板状透光性部材には、曇り止め用のヒータが設けられていることが好ましい。
本発明のこの態様では、曇り止め用のヒータにより、板状透光性部材が曇ることを防止できる。しかも、車両用窓ガラスに比べて面積の小さな板への加工で足るため、工程が簡素化されると同時に、設置後はカメラ等の光学装置を保護するカバーで覆われることにより、外部との日常的な接触がなくなるため材料の選択幅が広がる。さらに、小面積の板状透光性部分のみをヒータで加熱するので、効率的であり省電力となる。ヒータの発熱部は線条であってもよく、導電膜であってもよい。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスでは、前記板状透光性部材には、帯電防止層と防曇層の少なくとも一方が設けられていることが好ましい。
本発明のこの態様では、帯電防止層により、板状透光性部材が帯電することが防止され、防曇層により、板状透光性部材が曇ることを防止できる。
なお、帯電防止層は公知のものが使用できる。防曇層は吸水性の防曇膜が好ましい。
本発明の光学装置付き車両用窓ガラスでは、前記遮蔽層に基部が設けられたカバーを備え、前記カバーは、前記光学素子と前記光透過接着剤に貼り付けられた前記板状透光性部材とを覆うことが好ましい。
本発明のこの態様では、カバーにより板状透光性部材が保護されることになる。
本発明の第1実施形態にかかる光学装置付き車両用窓ガラスを車内から見た概略図。 図1の要部を拡大した図。 図1の3−3線に沿う矢視断面図。 本発明の第2実施形態にかかる光学装置付き車両用窓ガラスを示すもので図2に対応した図。 第2実施形態にかかる光学装置付き車両用窓ガラスを示すもので図3に対応した図。 車両用窓ガラスに板状透光性部材が貼り付けられた後の状態の一例を示す概略図。 本発明の第3実施形態にかかる光学装置付き車両用窓ガラスを示すもので図3に対応した図。 本発明の変形を示す図2に相当する図。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は発明の一例を示すものであり、本発明は以下の実施形態に限定されない。
(第1実施形態)
図1から図3には、本発明の第1実施形態が示されている。
[光学装置付き車両用窓ガラスの概略構成]
図1から図3において、第1実施形態の光学装置付き車両用窓ガラス11は、車両用窓ガラス2と、車内に設置された光学装置3と、車両用窓ガラス2の車内側に光透過接着剤4を介して貼り付けられた板状透光性部材5とを備えている。
光学装置3は、光学素子30としてのレンズと、被写体の像を受光する受光素子(図示せず)とを有する車載カメラである。車載カメラは、可視光を検出するもの、赤外光を検出するもの等が挙げられる。
車両用窓ガラス2は、車両のフロントガラスであり、光学素子30で処理される光が透過する光透過領域20と、車内側において光透過領域20を囲うように形成された遮蔽層6と、フロントガラスの外周縁に配置された外周用遮光層7とを有する。
[遮蔽層と外周用遮光層]
遮蔽層6は、上辺部6U、下辺部6D、左辺部6Lおよび右辺部6Rを有する。
外周用遮光層7は、遮蔽層6の上辺部6Uと連続して形成された上辺部7U、下辺部7D、左辺部7Lおよび右辺部7Rを有し、内側に開口部が形成されている。
遮蔽層6と外周用遮光層7とは、黒色のセラミック粒子を含む組成物を調製した材料をガラス面上に塗布後し、高温で焼成することにより形成される。このようなインク状組成物は、例えば、ガラス組成物および耐熱顔料を含むセラミック粒子の固形成分を有機ビヒクルに混合、分散させることにより調製される。また、必要に応じて、固形成分は、耐火物フィラー等の添加材を含んでもよい。
[板状透光性部材および遮蔽層の形状]
車両用窓ガラス2のうち光透過領域20の厚さはT0であり、T0は、3.0mm以上5.0mm以下である。
板状透光性部材5の厚さはT1である。
光透過接着剤4の厚さはT2であり、T2は、200μm以下、さらに100μm以下がより好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下がより好ましく、板状透光性部材5の厚さT1に比べて極めて薄い。なお、車両用窓ガラス2は曲率を有するのに対して、板状透光性部材5は平らなので、光透過接着剤4の厚さは、板状透光性部材5の中央部に対応する部分が厚いのに対して、エッジ部に対応する部分が薄い。例えば、光透過接着剤4の板状透光性部材5のエッジ部に対応する部分の厚さは、0μmに近い。
遮蔽層6の厚さT4は、1μm以上30μm以下である。
板状透光性部材5は、その外縁が遮蔽層6の開口部の内縁に沿った同じ形状であることが好ましい。
板状透光性部材5は、第1外縁51、第2外縁52、第3外縁53および第4外縁54を有する。遮蔽層6は、第1外縁51の全長に渡って対向する第1内縁61、第2外縁52の全長に渡って対向する第2内縁62、第3外縁53の全長に渡って対向する第3内縁63および第4外縁54の全長に渡って対向する第4内縁64を有する。
なお、板状透光性部材5の平面形状は、図2では、長方形として図示されているが、台形などの他の四角形も含まれる。
第1外縁51と第1内縁61との間は隙間p1であり、第2外縁52と第2内縁62との間は隙間p2であり、第3外縁53と第3内縁63との間は隙間p3であり、第4外縁54と第4内縁64との間は隙間p4である、
また、本実施形態では、遮蔽層6の開口部が閉じていないものでもよく、例えば、遮蔽層6を構成する4辺部のうち下辺部6Dを省略するものでもよい。遮蔽層6の開口部が閉じていない場合では、その閉じていない辺に対応する板状透光性部材5の辺は任意の形状としてもよい。例えば、遮蔽層6のうち下辺部6Dが省略されている場合では、板状透光性部材5の第1外縁51は、直線状であることを要せず、曲線状であってもよい。
[板状透光性部材と遮蔽層との配置関係]
板状透光性部材5は、以下の条件1、条件2および条件3を満たすように配置されている。
条件1:板状透光性部材5の厚さT1と光透過接着剤4の厚さT2との合計t(=T1+T2)が車両用窓ガラス2の厚さT0さの50%以下である。なお、光透過接着剤4の厚さT2は、板状透光性部材5の厚さT1に比べて極めて薄いので、板状透光性部材5の厚さT1の設定にあたっては、無視できる。
条件2:互いに対向する板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁との隙間のうち2mm以内の部分が板状透光性部材5の全外周に対して40%以上ある。
遮蔽層6の開口部が閉じており、第1外縁51と第1内縁61との間の隙間p1、第2外縁52と第2内縁62との間の隙間p2、第3外縁53と第3内縁63との間の隙間p3、および第4外縁54と第4内縁64との間の隙間p4がそれぞれ2mm以内である場合には、板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁との隙間のうち2mm以内の部分が板状透光性部材5の全外周となる100%であり、条件2を満たす。
遮蔽層6の開口部の一部が省略されている場合や、開口部の一部が省略されていなくても、隙間p1、隙間p2、隙間p3および隙間p4の少なくとも1つが2mmを超える場合では、板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁との隙間のうち2mm以内の部分が板状透光性部材5の全外周に対して、40%以上となるように、隙間p1、隙間p2、隙間p3および隙間p4や、板状透光性部材5の各辺の比を設定する。例えば、遮蔽層6のうち下辺部6Dが省略されており、隙間p2、隙間p3および隙間p4が2mm以内である場合では、板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁との隙間のうち2mm以内の部分が板状透光性部材5の全外周に対して50%を超えることになる。
条件3:車両用窓ガラス2の車外側面であって板状透光性部材5のうち第1外縁51に対応する位置、つまり、板状透光性部材5の平面に直交する線V1であって第1外縁51を通る点をP51とし、第2外縁52に対応する位置、つまり、板状透光性部材5の平面と直交する線V2であって第2外縁52を通る点をP52とする。
車両用窓ガラス2の車外側面であって、点P51より点P52に向き、かつ、光が有効に利用されない第1非有効領域E1の寸法をLaとし、点P52より点P51に向き、かつ、光が有効に利用されない第2非有効領域E2の寸法をLbとする。
ここで、車両用窓ガラス2の第1非有効領域E1に入射した光A0が光透過接着剤4を通って板状透光性部材5の側面5Sに反射した後、出射面5Pから出射して光学素子30に入射されると、光学装置3で撮像される像に歪みが生じる。この像の歪みは、板状透光性部材5の側面5Sで光A0が反射する点が第1外縁51であって車内側の第一角部510に一致した位置となるまで生じる。
同様に、車両用窓ガラス2の第2非有効領域E2に入射した光A0が板状透光性部材5の側面5Sに反射した後、出射面5Pから出射して光学素子30に入射されると、像に歪みが生じ、この像の歪みは、板状透光性部材5の側面5Sで光A0が反射する点が第2外縁52であって車内側の第二角部520に一致した位置となるまで生じる。
光学素子30の光学中心Cを挟んで互いに反対側にある一対の端縁のうち、図3中下方に位置する第1の端縁31と板状透光性部材5の第一角部510とを結ぶ線B1と、板状透光性部材5の平面に直交する線V1とのなす角度であって鋭角をθaとし、光学素子30の一対の端縁のうち図3中上方に位置する第2の端縁32と板状透光性部材5の第二角部520とを結ぶ線B2と板状透光性部材5の平面と直交する線V2とのなす角度であって鋭角をθbとする。
車両用窓ガラス2の車外側面から板状透光性部材5の車内側面までの厚さ寸法TはT0+T1+T2である。
以上において、第1非有効領域E1の寸法Laは(1−1)の式から求められ、第2非有効領域E2の寸法Lbは、(1−2)の式から求められる。
そして、板状透光性部材5が遮蔽層6の内側に設置される条件は(2)の式から求められる。
La=Ttanθa……(1−1)
Lb=Ttanθb……(1−2)
T(tanθa+tanθb)+p1+p2<10mm ……(2)
ここで、θa≦60°、θb≦30°である。
θa>60°、θb>30°では、板状透光性部材5の側面5Sでの反射率が大きくなるので、(2)の式が満たされにくくなる。
以上の式により、本実施形態では、光が有効に利用されない非有効領域を考慮して板状透光性部材5を容易に製造できる。
なお、図3では、板状透光性部材5と光学素子30との関係をわかりやすくするために、板状透光性部材5の厚さ寸法に比べて長さ寸法が小さく図示されている。そのため、第1非有効領域E1の寸法Laと第2非有効領域E2の寸法Lbとの板状透光性部材5の長さ寸法に対する相対的な長さが小さく図示されている。
第1実施形態では、第3外縁53、第3内縁63、第4外縁54および第4内縁64は、条件3と同じ条件を満たす構成としてもよい。
[車両用窓ガラスの概略構成]
車両用窓ガラス2は、平板状でもよいが、湾曲した形状でもよい。
車両用窓ガラス2は、1枚のガラス板から構成されるものでもよく、一対のガラス板の間に中間層が設けられた合わせガラスから構成されるものでもよい。
ガラス板の材質としては、透明な無機ガラスや有機ガラス(樹脂)が挙げられる。無機ガラスとしては通常のソーダライムガラス(ソーダライムシリケートガラスともいう)、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が特に制限なく用いられる。これらのうちでもソーダライムガラスが特に好ましい。成形法についても特に限定されないが、例えば、フロート法等により成形されたフロート板ガラスが好ましい。
ガラス板は、風冷強化、化学強化といった表面強化処理がなされていてもよい。車両用窓ガラス2が1枚のガラス板から構成される場合、ガラス板の板厚は3mm以上5mm以下であることが好ましい。車両用窓ガラス2が一対のガラス板から構成される泡絵ガラスの場合、それぞれのガラス板の板厚は1mm以上3mm以下であることが好ましく、1.3mm以上2.5mm以下であることが好ましい。一対のガラス板は、車外側に位置するガラス板の板厚が1.8mm以上2.5mm以下であることが好ましく、車内側に位置するガラス板のガラス板が1mm以上1.8mm以下であることが好まししい。
中間層は、熱可塑性樹脂が多く用いられ、例えば、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、可塑化飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、可塑化ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂等の従来からこの種の用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。また、特開2015−821号公報に記載されている変性ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂組成物も好適に使用できる。中間層は、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂であることが好ましく、ポリビニルブチラールであることがより好ましい。
中間層の層厚は、0.3mm以上であることが好ましい。中間層の層厚が0.3mm以上であるとフロントガラスとして必要な耐貫通性が十分となる。また、中間層の層厚は、2mm以下であることが好ましい。中間層の層厚が2mm以下であると、合わせガラスの質量が大きくなり過ぎない。中間層の層厚は、0.3mm以上1mm以下であることが好ましい。また、中間層は層厚が均一ではなく、断面視楔形状を有してもよい。
なお、中間層は、遮音性の機能を有していてもよい。例えば、中間層を3層以上の層から構成し、内部層のショア硬度を可塑剤の調整等により外側の層のショア硬度よりも低くすることにより、合わせガラスの遮音性を向上できる遮音膜であってもよい。この場合、外側の層のショア硬度は同じでもよいし、異なってもよい。
中間層を成形するには、例えば、中間膜となる上記の樹脂材料を適宜選択し、押出機を用い、加熱溶融状態で押し出し成形する。押出機の押出速度等の押出条件は均一となるように設定する。その後、押し出し成形された樹脂膜を、窓のデザインに合わせて、上辺及び下辺に曲率を持たせるために、例えば必要に応じ伸展してもよい。
車両用窓ガラス2を製造するため、一対のガラス板の一方を熱により曲げ成形して所望の湾曲形状に曲げ成形した後に、化学強化した一対のガラス板の他方を、中間層を介してガラス板の一方に貼り合わせて製造する方法、通称、コールドベンド法を採用することができる。さらに、車両用窓ガラス2を製造するため、中間層を間に挟んだ一対のガラス板を予備圧着し、オートクレーブにより本圧着してもよい。
[板状透光性部材の材質・機能]
板状透光性部材5は、光学素子30で使用される光の波長領域における透過率が光透過接着剤4や図示しない透明光学部材と合わせて70%以上透過する。第1実施形態では、光学素子30が車載カメラのレンズであるため、可視光領域や赤外線領域で使用される。
板状透光性部材5の材質は、ガラス、または、「ASTM D790」における曲げ弾性率が50MPa以上の合成樹脂である。この合成樹脂は、例えば、アクリル、ポリカーボネート等である。これにより、板状透光性部材5は、車両用窓ガラス2の凹凸の形状に応じて変形することが少なくなる。
板状透光性部材5は、車内側面の表面粗さRaは800nm以下である。ここで、表面粗さの測定には、表面粗さ測定機(サーフコム 1400D-3DF、株式会社東京精密製)を用いた。
板状透光性部材5の車内側には機能層8が設けられている。
機能層8の厚さは、例えば、1.1mmである。
機能層8は、帯電防止層、防曇層、低反射層のうち少なくとも1つである。
帯電防止層は、界面活性剤系等の公知のものが使用できる。
防曇層は、エポキシ系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ウレタン系樹脂等の公知の材料が使用でき、吸水系の合成樹脂であることが好ましい。
低反射層は、高屈折率層と低屈折率層との積層体からなるもの、例えば、シリカ系のマトリックス中に微細な空孔を設けたもの、等が使用できる。
なお、第1実施形態では、防曇層に代えて、曇り止め用のヒータを設けてもよい。曇り止め用のヒータは、ワイヤから構成するものでもよい。
[光透過接着剤の材料]
光透過接着剤4の材料としては、シリコン系、アクリル系、ウレタン系の材料であり、透明性が板状透光性部材5と合わせて70%以上を確保できるものを例示できる。
シリコン系の接着剤としては、例えば、超透明ボンド(神東産業株式会社)、美透明接着剤MJ199(GSIクレオス製)を例示できる。
アクリル系の接着剤としては、例えば、キレークレ(R)−501(Aタイプ)(AIZ合同会社製)を例示できる。
ウレタン系の接着剤としては、途別接着剤[ガラス用]6425N(スコッチ社製)、パンドー156A(スリーボンド社製)を例示できる。
[板状透光性部材の貼り付け]
予め製造された車両用窓ガラス2の光透過領域20に光透過接着剤4を塗布し、この光透過接着剤4の上に板状透光性部材5を載置するものでもよく、あるいは、車両用窓ガラス2をオートクレーブで製造する際に、板状透光性部材5を車両用窓ガラス2と一体に形成するものでもよい。
[第1実施形態の効果]
車両用窓ガラス2の光透過領域20の車内側に板状透光性部材5が光透過接着剤4で貼り付けられているので、仮に、遮蔽層6と光透過領域20との境界で凹凸が生じているとしても、その部分が光透過接着剤4を介して板状透光性部材5で覆われているので、光学装置で撮像される像の歪みが解消される。
さらに、光透過領域20に貼り付けられているのが板状透光性部材であるため、車両用窓ガラスの凹凸の形状に応じて板状透光性部材が変形することが少なく、この点からも、歪みが解消される。
さらに、板状透光性部材5の外縁と遮蔽層の内縁との隙間の2mm以内の部分が板状透光性部材5の全外周に対して40%以上としたので、遮蔽層6は、板状透光性部材5の全外周を囲うように矩形状、三角形状、または、環状に形成されている場合だけでなく、一部が省略されて板状透光性部材5の外縁が遮蔽層6の内縁と対向しない場合であっても、前述の効果を奏することができる。
板状透光性部材5と光透過接着剤4の板厚の合計は、車両用窓ガラスの板厚の50%以下なので、板状透光性部材5によって被写体からの光が大きく屈折することがないため、光学素子30で利用できる範囲が広くなる。しかも、板状透光性部材5を薄くすることで、板状透光性部材5の入射面から入った光が板状透光性部材5の側面5Sに反射して出射面5Pから出射する場合が少なくなり、光学装置3で撮像された像に歪みが生じにくくなる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図4から図6に基づいて説明する。
第2実施形態は、板状透光性部材の外周が遮蔽層に重なる構成が第1実施形態と異なるもので、他の構成は第1実施形態と同じである。
第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
[光学装置付き車両用窓ガラスの概略構成]
図4および図5において、第2実施形態の光学装置付き車両用窓ガラス12は、車両用窓ガラス2、光学装置3、光透過接着剤4および板状透光性部材5を備えている。
第2実施形態では、板状透光性部材5は、その平面形状が遮蔽層6の内周形状に比べて大きく、その内縁が遮蔽層6の外縁に重なって配置される。
板状透光性部材5は、第1外縁51、第2外縁52、第3外縁53および第4外縁54を有する平面四角形である。遮蔽層6は、第1内縁61、第2内縁62、第3内縁および第4内縁64の開口部を有する。ここで、第1外縁51と第1内縁61とは、幅r1だけ重なり、第2外縁52と第2内縁62は、幅r2だけ重なり、第3外縁53と第3内縁63とは、幅r3だけ重なり、第4外縁54と第4内縁64は、幅r4だけ重なる。幅r1〜r4の全ては、3.5mm未満である。
第2実施形態では、遮蔽層6の開口部が閉じていないものでもよく、例えば、遮蔽層6を構成する4辺部のうち下辺部6Dを省略するものでもよい。遮蔽層6の開口部が閉じていない場合では、その閉じていない辺に対応する板状透光性部材5の辺は任意の形状としてもよい。
板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁とが重ねられた状態で配置された部分が板状透光性部材5の全外周に対して80%以上、好ましくは、90%以上である。
遮蔽層6の開口部が閉じており、第1外縁51と第1内縁61、第2外縁52と第2内縁62、第3外縁53と第3内縁63、および第4外縁54と第4内縁64とがそれぞれ重ねられている場合には、板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁とが重ねられた状態で配置された部分が板状透光性部材5の全外周に対して100%である。
遮蔽層6の開口部の一部が省略されている場合では、板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁との重なった部分が板状透光性部材5の全外周に対して、80%以上、好ましくは90%以上となるように、板状透光性部材5の各辺の比を設定する。
第2実施形態では、(1−1)の式および(1−2)の式が満たされることが好ましい。
板状透光性部材5と車両用窓ガラス2との間には光透過接着剤4が設けられている。
なお、第2実施形態では、光透過接着剤4の厚さは遮蔽層6の厚さと同じであることが好ましい。
板状透光性部材5を車両用窓ガラス2に貼り付ける方法は、第1実施形態と同じである。第2実施形態では、板状透光性部材5の外周縁が遮蔽層6に重ねられているので、コールドベンドにより製造された車両用窓ガラス2に光透過接着剤4を介して板状透光性部材5を貼り付けると、板状透光性部材5は、貼り付けられた直後では、図6の想像線で示される通り、真っ平らな平面形状であるが、接着工程で車両用窓ガラス2の平面形状になじむと、一例として、図6の実線で示される通り、湾曲した平面となる。
第2実施形態では、板状透光性部材5の平面は、車両用窓ガラス2に貼り付けられた直後で真っ直ぐであればよく、接着後に、湾曲しても問題はない。
[第2実施形態の効果]
板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁とが重ねられた状態で配置された部分が板状透光性部材5の全外周に対して80%以上あるので、車両用窓ガラス2の平面上において、板状透光性部材5と遮蔽層6との間の隙間がなくなり、光学装置3で撮像される像の歪みが解消される。
板状透光性部材5における第1外縁51と、遮蔽層6における第1内縁61との幅をr1とし、第2外縁52と第2内縁62との幅をr2とし、第3外縁53と第3内縁63との幅をr3とし、第4外縁54と第4内縁64との幅をr4とすると、r1,r2,r3,r4<3.5mmであるので、板状透光性部材5と重なる遮蔽層6の大きさを必要以上に大きくする必要がない。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図7に基づいて説明する。
第3実施形態は光学装置のカバーが遮蔽層に設けられた点が第2実施形態と異なるもので、他の構成は第2実施形態と同じである。第3実施形態の説明において、第2実施形態と同一構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
[光学装置付き車両用窓ガラスの概略構成]
図7において、第3実施形態の光学装置付き車両用窓ガラス13は、車両用窓ガラス2、光学装置3、光透過接着剤4および板状透光性部材5を備えている。
第3実施形態では、車両用窓ガラス2には光学装置3を取り付けられたカバー9が設けられている。
カバー9は、合成樹脂、金属、合成樹脂と金属の組み合わせから形成されるものであって、遮蔽層6に設けられた基部91と、基部91に一体に形成された本体92とを有する。
本体92は、光学素子30と光透過接着剤4に貼り付けられた板状透光性部材5とを覆うものである。
なお、第3実施形態では、(3)の式、(1−1)の式および(1−2)の式が満たされる。
[第3実施形態の効果]
車両用窓ガラス2には、光学素子30と光透過接着剤4に貼り付けられた板状透光性部材5とを覆うカバー9が設けられているので、カバー9により板状透光性部材5が保護される。
(変形例)
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
[光学装置の変形]
本発明では、光学装置3を、車載カメラに代えてLiDAR(Light Detection and Ranging)としてもよい。LiDARは、赤外線を用い、被測定対象の形状、性質、速度や距離等の情報を測定する装置である。LiDARにおける光学素子30は、赤外線を用いた画像検出素子である。画像検出素子は、赤外線領域で使用されるものであり、900ないしは1000nm付近の近赤外線では、光の透過率が70%以上である。
板状透光性部材5のみ、光透過接着剤4のみ、または、板状透光性部材5および光透過接着剤4の双方は、黒色系であって、光が可視光領域を透過しないが赤外線を通す材料から形成される。
例えば、板状透光性部材5として、黒色系で赤外線を透過するアクリル板(CLAREX N885(日東樹脂工業株式会社製))を例示できる。
光透過接着剤4として、可視光領域を透過しないが赤外線を通すアクリル、シリコーン、エポキシ等の材料を例示できる。黒色系とするための材料を接着剤に配合するが、黒色系の配合として、カラーIrウインドウ(東海光学株式会社製)の材料を用いることができる。
板状透光性部材5または光透過接着剤4を黒色系としたので、光学素子30が車外から視認されにくくなり、外観が良好となる。しかも、光学素子30を赤外線を用い画像検出素子とするので、板状透光性部材5および光透過接着剤4を黒色系としても、光を透過することが可能となり、光学素子30による画像認識を良好にできる。
[板状透光性部材の変形]
板状透光性部材5の平面形状は、四角形に限定されるものではなく、六角形、八角形、三角形であってもよい。この場合、遮蔽層6の内周形状は、板状透光性部材5の平面形状に合わせて形成されもよく、または、一部が省略された形状でもよい。
図8には、板状透光性部材5の平面形状が三角形で、遮蔽層6の一部が省略されている例が示されている。
図8において、板状透光性部材5の外縁は、第1外縁51、第2外縁52および第3外縁53を有する。遮蔽層6は、第1外縁51の全長に渡って対向する第1内縁61と、第2外縁52の全長に渡って対向する第2内縁62とを有するもので、第3外縁53に対向する部分が省略されて下方が開口された平面V字状となっている。第1外縁51と第1内縁61との間の隙間p1、第2外縁52と第2内縁62との間の隙間p2は、それぞれ2mm以内である。ここで、三角形の2辺の長さの合計は、残り1辺の長さより大きいことから、板状透光性部材5の外縁と遮蔽層6の内縁との隙間のうち2mm以内の部分が板状透光性部材5の全外周に対して、40%以上となる。
11,12,13……光学装置付き車両用窓ガラス、2……車両用窓ガラス、20……光透過領域、3……光学装置、30……光学素子、31……第1の端縁、32……第2の端縁、4……光透過接着剤、5……板状透光性部材、51……第1外縁、510……第一角部、52……第2外縁、520……第二角部、6……遮蔽層、61……第1内縁、62……第2内縁、9……カバー、91……基部、92……本体、C……光学中心、E1……第1非有効領域、E2……第2非有効領域

Claims (10)

  1. 車両用窓ガラスと、光学素子を有し前記車両用窓ガラスを通じて光を送信、受信または送受信する光学装置と、を備える光学装置付き車両用窓ガラスであって、
    前記車両用窓ガラスは、前記光学素子で処理される光が透過する光透過領域と、前記光透過領域の少なくとも一部を囲うように前記車両用窓ガラスの車内側に設けられる遮蔽層と、を有し、
    前記遮蔽層の内側には、板状透光性部材が光透過接着剤を介して貼り付けられ、
    前記板状透光性部材は、以下の条件1および条件2を満たすように配置されている
    条件1:前記板状透光性部材と前記光透過接着剤との厚さの合計が前記車両用窓ガラスの厚さの50%以下である
    条件2:互いに対向する前記板状透光性部材の外縁と前記遮蔽層の内縁との隙間のうち2mm以内の部分が前記板状透光性部材の全外周に対して40%以上ある
    ことを特徴とする光学装置付き車両用窓ガラス。
  2. 車両用窓ガラスと、光学素子を有し前記車両用窓ガラスを通じて光を送信、受信または送受信する光学装置と、を備える光学装置付き車両用窓ガラスであって、
    前記車両用窓ガラスは、前記光学素子で処理される光が透過する光透過領域と、前記光透過領域の少なくとも一部を囲うように前記車両用窓ガラスの車内側に設けられた遮蔽層と、を有し、
    前記遮蔽層の少なくとも内側には、板状透光性部材が光透過接着剤を介して貼り付けられ、
    前記板状透光性部材は、当該板状透光性部材と前記光透過接着剤との厚さの合計が前記車両用窓ガラスの厚さの50%以下となり、かつ、その外縁と前記遮蔽層の内縁とが重ねられた状態で配置された部分が前記板状透光性部材の全外周に対して80%以上あり、
    前記板状透光性部材と前記遮蔽層との重なり部分の幅は、3.5mm未満である
    ことを特徴とする光学装置付き車両用窓ガラス。
  3. 前記板状透光性部材と前記光透過接着剤とを合わせた透過率は、70%以上である
    請求項1または2に記載の光学装置付き車両用窓ガラス。
  4. 前記板状透光性部材の材質は、ガラス、または、「ASTM D790」における曲げ弾性率が50MPa以上の合成樹脂である
    請求項1から3のいずれか一項に記載の光学装置付き車両用窓ガラス。
  5. 前記板状透光性部材は、車内側面の表面粗さRaが800nm以下である
    請求項1から4のいずれか一項に記載の光学装置付き車両用窓ガラス。
  6. 前記光学素子は、赤外線を用いる画像検出素子であり、前記板状透光性部材の材質はプラスチックであり、前記板状透光性部材および前記光透過接着剤の少なくとも一方は、黒色系であって赤外線を通す材料から形成される
    請求項1から5のいずれか一項に記載の光学装置付き車両用窓ガラス。
  7. 前記板状透光性部材の車内側面には透過する光の反射を低減する低反射層が設けられている
    請求項1から6のいずれか一項に記載の光学装置付き車両用窓ガラス。
  8. 前記板状透光性部材には、曇り止め用のヒータが設けられている
    請求項1から7のいずれか一項に記載の光学装置付き車両用窓ガラス。
  9. 前記板状透光性部材には、帯電防止層と防曇層の少なくとも一方が設けられている
    請求項1から8のいずれか一項に記載の光学装置付き車両用窓ガラス。
  10. 前記遮蔽層に基部が設けられたカバーを備え、前記カバーは、前記光学素子と前記光透過接着剤に貼り付けられた前記板状透光性部材とを覆う
    請求項1から9のいずれか一項に記載の光学装置付き車両用窓ガラス。
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