JP2020131340A - 保持装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、例えば、特許文献1(特開2007−83383号公報)に開示されている保持装置が知られている。特許文献1には、図10に示されているような、工具ホルダを保持する保持装置が開示されている。図10に示されている保持装置では、工作機械主軸装置300の回転部に工具ホルダ400が保持される。
工具ホルダ400は、工具ホルダ外周面402を有している。工具ホルダ外周面402は、外径が先端側(図10の矢印A側)から後端側(図10の矢印B側)に向かって小さくなるようにテーパー状に延在している工具ホルダ外周面部分402aを含んでいる。
工作機械主軸装置300の回転部は、回転軸320と、回転軸320に固定されたスリーブ340により構成され、ハウジング310に対して回転可能に支持されている。回転部は、回転部内側空間を形成する回転部内周面を有している。回転部内周面は、回転軸320の回転軸内周面部分321c、321dおよびスリーブ340のスリーブ内周面部分341a〜341cを含んでいる。スリーブ内周面部分341aは、内径が先端側(図10の矢印A側)から後端側(図10の矢印B側)に向かって小さくなるようにテーパー状に延在している。
工具ホルダ400を工作機械主軸装置300の回転部に保持する際には、工具ホルダ400の、工具ホルダ外周面部分402aに対応する部分を、回転部内側空間内に引き込む。具体的には、ドローバー350の先端側に取り付けられている把持部材360の把持部361により、工具ホルダ400の後端側に取り付けられているプルスタッド500のつかみ部510を把持した状態で、ドローバー350を後端側(図10の矢印B側)に移動させる。これにより、工具ホルダ400の工具ホルダ外周面部分402aとスリーブ内周面部分341aが当接し、工具ホルダ400が回転部に保持される。すなわち、工具ホルダ400は、テーパー状の工具ホルダ外周面部分402aとテーパー状のスリーブ内周面部分341aとのテーパー嵌合によって、工作機械主軸装置300の回転部に保持される。
このため、工具ホルダ400の、工具ホルダ外周面部分402aに対応する部分が回転部内側空間内に引き込まれた時に、回転部に対する工具ホルダ400の軸芯性(振れ精度)が悪くなることがある。すなわち、雄テーパー面である工具ホルダ外周面部分402aと雌テーパー面であるスリーブ内周面部分341aが正常にテーパー嵌合された場合には、図12に示されている状態で工具ホルダ400が回転部に保持される。図12に示されている状態では、工具ホルダ400の中心線Qが回転部の中心線Pと一致(「略一致」を含む)している。この場合、工具ホルダ400の中心線Qと回転部の中心線Pが、同一線上(「略同一線上」を含む)に配置されるため、回転部に対する工具ホルダ400の振れ精度が高い。一方、工具ホルダ外周面部分402aとスリーブ内周面部分341aが正常にテーパー嵌合されなかった場合には、例えば、図13に示されている状態で工具ホルダ400が回転部に保持される。図13に示されている状態では、工具ホルダ外周面部分402aは、先端側(図13の右側)において、径方向一方側(図13の下方側)の箇所T1がスリーブ内周面部分341aに当接し、後端側(図13の左側)において、径方向他方側(図13の上方側)の箇所T2がスリーブ内周面部分341aに当接している。この場合、工具ホルダ400の中心線Qと回転部の中心線Pが同一線上に配置されない(工具ホルダ400の中心線Qが回転部の中心線Pに対して傾斜している)ため、回転部に対する工具ホルダ400の振れ精度が悪い。
図13に示されている状態でワーク(加工対象物)の加工作業を行うと加工精度が低下する。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、テーパー嵌合によって被保持部材を保持する保持装置において、保持装置に対する被保持部材の振れ精度を簡単に、短時間に高めることができる技術を提供することを目的とする。
被保持部材は、被保持部材外周面を有している。被保持部材外周面は、傾斜角度θ1で傾斜している第1のテーパー面を含んでいる。第1のテーパー面は、外径が軸方向一方側から軸方向他方側に向かって小さくなるように傾斜している。第1のテーパー面の傾斜角度θ1は、被保持部材の中心線と第1のテーパー面の延在方向(延在線)との間の角度である。
保持装置は、保持部を有している。保持部は、保持部内側空間を形成する保持部内周面を有している。保持部内周面は、傾斜角度θ2で傾斜している第2のテーパー面を含んでいる。第2のテーパー面は、内径が軸方向一方側から軸方向他方側に向かって小さくなるように傾斜している。第2のテーパー面の傾斜角度θ2は、保持部の中心線と第2のテーパー面の延在方向(延在線)との間の角度である。第2のテーパー面の傾斜角度θ2は、第1のテーパー面の傾斜角度θ1以下(θ2≦θ1)に設定されている。保持部の中心線は、保持部内側空間の中心線に対応する。そして、被保持部材の、第1のテーパー面に対応する部分が保持部内側空間内に引き込まれると、被保持部材の第1のテーパー面と保持部の第2のテーパー面との当接(テーパー嵌合)によって、被保持部材が保持部に保持されるように構成されている。
なお、「被保持部材の、第1のテーパー面に対応する部分が保持部内側空間内に押し込まれる」態様は、「被保持部材の、第1のテーパー面に対応する部分が保持部内側空間内に引き込まれる」態様と等価である。
本発明では、保持部の第2のテーパー面の一部分は、径方向内側に弾性変形可能に構成されている。また、保持部の第2のテーパー面の一部分を径方向内側に弾性変形させる力を発生する力発生部を有している。そして、力発生部から発生される力により保持部の第2のテーパー面の一部分が径方向内側に弾性変形することによって、保持部の第2のテーパー面の一部分から被保持部材の第1のテーパー面に、被保持部材の中心線を保持部の中心線に一致させる力が作用するように構成されている。被保持部材の中心線を保持部の中心線に一致させる力は、保持部の第2のテーパー面の一部分の少なくとも一部と被保持部材の第1のテーパー面との当接箇所を介して被保持部材の第1のテーパー面に作用すればよい。
ここで、保持部の第2のテーパー面の一部分から被保持部材の第1のテーパー面に作用する力の分力は、被保持部材の、第1のテーパー面に対応する部分を保持部内側空間から引き抜く力として作用する。このため、保持部の第2のテーパー面の一部分から被保持部材の第1のテーパー面に作用する力が、被保持部材の第1のテーパー面と保持部の第2のテーパー面とのテーパー嵌合による被保持部材の保持の妨げにならないように設定する必要がある。
本発明は、被保持部材の、第1のテーパー面に対応する部分を保持部内側空間内に引き込む操作と、保持部の第2のテーパー面の一部分を径方向内側に弾性変形させる操作を行うことによって、簡単に、短時間で、保持部に対する被保持部材の振れ精度を高めながら、テーパー嵌合によって被保持部材を保持部に保持することができる。
本発明は、種々の被保持部材、例えば、工具ホルダやワーク等を保持する保持装置として構成することができる。
本発明の他の形態では、保持部の第2のテーパー面の一部分は、径方向内側に弾性変形可能な壁の内周面により形成されている。好適には、第2のテーパー面の一部分は、第2のテーパー面の、一部分を除く他の部分の厚さより薄い薄肉の壁の内周面により形成される。そして、力発生部は、壁の外周側に設けられた加圧空間により構成される。加圧空間内には、壁を径方向内側に弾性変形させる加圧力を発生する加圧媒体が注入される。加圧媒体としては、好適には、流体、より好適には、油が用いられる。加圧空間内の圧力が高くなると、壁が径方向内側に弾性変形する。加圧空間内の圧力を高める方法としては、加圧空間内に密封した加圧媒体を圧縮する方法や、加圧空間内の圧力が所定値となるように加圧空間内への加圧媒体の注入を制御する方法等を用いることができる。壁や加圧空間の形状は、適宜変更可能である。
本形態では、簡単な構成で、保持部の第2のテーパー面の一部分を径方向内側に弾性変形させることができる。
本発明の他の形態では、保持部の第2のテーパー面の一部分は、周方向に沿って離間して設けられている、径方向内側に弾性変形可能な複数の壁の内周面により形成されている。複数の壁は、好適には、周方向に沿って等間隔の箇所に設けられる。壁の厚さおよび形状(周方向に沿った長さ、軸方向に沿った長さ)は、壁が径方向内側に弾性変形した時に、壁の内周面(第2のテーパー面の一部分)の少なくとも一部(好適には、周方向中央部)が、保持部内側空間内に引き込まれた被保持部材の第1のテーパー面に当接可能に設定される。
本形態では、第2のテーパー面の、周方向に沿って離間した複数の部分と被保持部材の第1のテーパー面との当接によって、被保持部材の中心線を保持部の中心線に一致させる力が作用する。
本発明の他の形態では、保持部の第2のテーパー面の一部分は、周方向に沿って環状に設けられている、径方向内側に弾性変形可能な壁の内周面により形成されている。好適には、周方向全体に延在する壁が設けられる。壁の厚さおよび形状(軸方向に沿った長さ、周方向に沿った長さ)は、壁が径方向内側に弾性変形した時に、壁の内周面(第2のテーパー面の一部分)の少なくとも一部(好適には、軸方向中央部)が、保持部内側空間内に引き込まれた被保持部材の第1のテーパー面に当接可能に設定される。
本形態では、第2のテーパー面の、周方向に沿って延在する部分と被保持部材の第1のテーパー面との当接によって、被保持部材の中心線を保持部の中心線に一致させる力が作用する。
本発明の他の形態では、被保持部材の、第1のテーパー面に対応する部分を保持部内側空間内に引き込む力を発生する引き込み部を有している。「被保持部材の、第1のテーパー面に対応する部分を保持部内側空間内に押し込む力を発生する押し込み部」は、「被保持部材の、第1のテーパー面に対応する部分を保持部内側空間内に引き込む力を発生する引き込み部」と等価である。引き込み部(または押し込み部)は、例えば、バネ等の弾性体、電磁コイルや油圧機構等を用いて構成することができる。
本明細書では、工作機械主軸装置の回転部(保持部)の延在方向(図1では、左右方向)を「軸方向」といい、回転部内側空間(保持部内側空間)内に工具ホルダ(被保持部材)が挿入される側(図1では、矢印A側)を「軸方向一方側」あるいは「先端側」といい、回転部内側空間内に工具ホルダが挿入される側と反対側(図1では、矢印B側)を「軸方向他方側」あるいは「後端側」という。なお、工具ホルダ(被保持部材)に関しては、回転部内側空間(保持部内側空間)内に挿入される側(図1では、矢印B側)を「軸方向他方側」あるいは「後端側」といい、回転部内側空間内に挿入される側と反対側(図1では、矢印A側)を「軸方向一方側」あるいは「先端側」という。勿論、工具ホルダ(被保持部材)が回転部内側空間(保持部内側空間)内に挿入される方向に応じて、「軸方向一方側」(あるいは「先端側」)および「軸方向他方側」(「後端側」)で示される方向は異なる。
図1は、第1実施形態の保持装置の、軸方向に沿った断面図である。また、図2は、図1を矢印II方向から見た図であり、図3は、図1のIII−III線断面図(軸方向と直交する断面図)である。
工具ホルダ内側空間400aは、軸方向に沿って延在し、後端側が開口している。また、工具ホルダ内周面401には、雌ネジ401aが形成されている。
工具ホルダ外周面402は、工具ホルダ外周面部分402aを含んでいる。工具ホルダ外周面部分402aは、外径が先端側から後端側に向かって小さくなるように、傾斜角度θ1でテーパー状に延在している。工具ホルダ外周面部分402aの傾斜角度θ1は、工具ホルダ400の中心線Qと工具ホルダ外周面部分402aの延在方向(延在線)との間の角度である。工具ホルダ外周面部分402aは、軸方向と直交する断面で見て、中心線Qを中心とする円形形状を有している。
なお、図示は省略しているが、工具ホルダ400の先端側には、工具を把持する工具把持部が設けられている。工具ホルダ400の工具把持部は、公知であるため、説明は省略する。
プルスタッド500は、後端側につかみ部510を有している。つかみ部510は、先端側に係合面511を有している。つかみ部510は、後述する把持部材160の把持部161によって把持される。
また、プルスタッド500は、プルスタッド外周面502を有している。プルスタッド外周面502には、先端側に雄ネジ502aが形成されている。プルスタッド500の雄ネジ502aを工具ホルダ400の雌ネジ401aに螺合させることによって、プルスタッド500が工具ホルダ400に取り付けられる。
回転軸120は、ハウジング内周面111と回転軸外周面122との間に軸受130が配置された状態でハウジング内側空間内に回転可能に配置されている。軸受130は、スペーサ131によって軸方向に沿った移動が規制されている。なお、ハウジング110には、ハウジング先端面110Aと対向する位置に、ボルト133によってカバー132が取り付けられている。
回転軸外周面122は、回転軸外周面部分122a〜122eを含んでいる。回転軸外周面部分122b〜122dによって、外周側に飛び出ている鍔部が形成されている。
スリーブ内周面141は、スリーブ内周面部分141a〜141dを含んでいる。スリーブ内周面部分141aは、図11に示されている従来の保持装置と同様に、スリーブ内側空間140aの内径が先端側から後端側に向かって小さくなるように、傾斜角度θ2でテーパー状に延在している。スリーブ内周面部分141aの傾斜角度θ2は、スリーブ140(スリーブ内側空間140a)の中心線とスリーブ内周面部分141aの延在方向(延在線)との間の角度である。スリーブ内周面部分141aは、軸方向と直交する断面で見て、スリーブ140の中心線を中心とする円形形状を有している。スリーブ内周面部分141bと141dは、軸方向に沿って延在している。スリーブ内周面部分141cは、スリーブ内周面部分141bの後端部とスリーブ内周面部分141dの先端部に接続され、径方向に沿って延在している。
スリーブ外周面142は、スリーブ外周面部分142a〜142cを含んでいる。スリーブ外周面部分142aと142cは、軸方向に沿って延在している。スリーブ外周面部分142bは、スリーブ外周面部分142aの後端部とスリーブ外周面部分142cの先端部に接続され、径方向に沿って延在している。スリーブ外周面部分142cは、軸方向と直交する断面で見て、スリーブ140の中心線を中心とする円形形状を有している。
把持部材160は、径方向に弾性変形可能な複数の把持部161を有している。把持部161は、後端側に係合面161aを有している。把持部161によって、プルスタッド500のつかみ部510が挿入可能な把持部材内側空間160aが形成されている。
本実施形態では、図3に示されているように、周方向に沿って延在する溝146が、周方向に沿って等間隔(「略等間隔」を含む)に離間する3箇所に設けられている。
溝146の底面146aは、スリーブ内周面部分141aと平行(「略平行」を含む)に延在している。これにより、溝146の底面146aとスリーブ内周面部分141aとの間に、他の部分の厚さより薄く、径方向内側に弾性変形可能な薄肉の壁147が形成される。壁147の厚さ、周方向に沿った長さ(底面146aの周方向に沿った長さ)および軸方向に沿った長さ(底面146aの軸方向に沿った長さ)は、壁147が径方向内側に弾性変形することによって、スリーブ内周面部分141aの、壁147に対応する部分の少なくとも一部が、回転部内側空間内に引き込まれた工具ホルダ400の工具ホルダ外周面部分402aに当接可能に設定される。
なお、スリーブ外周面部分142cの外径が回転軸内周面部分121aの内径より少し小さく設定されているため、スリーブ140が回転軸内側空間120a内に挿入された状態において、スリーブ外周面部分142cが回転軸内周面部分121aに密着固定される。これにより、溝146は、密閉性の高い空間として形成される。以下では、スリーブ140が回転軸内側空間120a内に挿入された状態における溝146を、「加圧空間146」という。
また、回転軸120の中心線(回転軸内側空間120aの中心線)およびスリーブ140が回転軸120に固定された状態におけるスリーブ140の中心線(スリーブ内側空間140aの中心線)が、本発明の「工作機械主軸装置の回転部(主軸)の中心線P」あるいは「保持部の中心線P」に対応する。
図4は、第1実施形態の保持装置に工具ホルダ400が保持されている状態を示す断面図である。図5は、図4の要部の拡大図であり、図6は、図5のVI−VI線断面図である。
先ず、ドローバー150を先端側に移動させ、ドローバー150に取り付けられている把持部材160を、先端側に移動させる。例えば、バネ等の弾性部材によって、後端側に移動する力が加えられているドローバー150に、弾性部材の弾性力に抗して先端側に移動させる力を加える。これにより、把持部材160の把持部161は、回転軸内周面部分121dに対応する領域から回転軸内周面部分121cに対応する領域に移動する。そして、把持部161が径方向外周側に弾性復帰することによって、把持部材内側空間160aの開口部が拡開する。
次に、プルスタッド500が取り付けられた工具ホルダ400を回転部内側空間内に挿入する。この時、プルスタッド500のつかみ部510が把持部材内側空間160a内に挿入される。
次に、ドローバー150を後端側に移動させる。例えば、バネ等の弾性部材の弾性力によってドローバー150を後端側に移動させる。これにより、把持部材160の把持部161は、回転軸内周面部分121cに対応する領域から回転軸内周面部分121dに対応する領域に移動する。そして、把持部161が径方向内周側に弾性変形することによって、把持部161の係合面161aがプルスタット500のつかみ部510の係合面511と係合可能となる。さらに、把持部161の係合面161aとつかみ部510の係合面511が係合した状態で、ドローバー150とともに工具ホルダ400が後端側に移動する。
ドローバー150とともに工具ホルダ400が後端側に移動することによって、工具ホルダ400の、工具ホルダ外周面部分402aに対応する部分が回転部内側空間内に引き込まれる。そして、工具ホルダ400の工具ホルダ外周面部分402a(雄テーパー面)と回転部内周面部分141a(雌テーパー面)との当接(テーパー嵌合)によって、工具ホルダ400が回転部に保持される。
各加圧空間146内の圧力が高くなると、各加圧空間146から各壁147に加わる加圧圧力F(図5、図6参照)が増大する。これにより、各壁147は、図5および図6に破線で示されている状態から、実線で示されているように、径方向内側に弾性変形する。そして、回転部内周面部分141aの、各壁147に対応する部分の一部が、回転部内側空間内に引き込まれている工具ホルダ400の工具ホルダ外周面部分402aに当接する。本実施形態では、各壁147は、周方向中央部が、周方向両端部より径方向内側に位置し、軸方向中央部が、軸方向両端部より径方向内側に位置するように弾性変形する。そして、図6に示されているように、回転部内周面部分141aの、各壁147の周方向中央部に対応する部分が、回転部内側空間内に引き込まれた工具ホルダ400の工具ホルダ外周面部分402aに当接する。すなわち、回転部内周面部分141aの、壁147の周方向中央部と工具ホルダ外周面部分402aとの当接箇所を介して、工具ホルダ400を径方向内側に移動させる力G(図5、図6参照)が工具ホルダ400に加わる。
本実施形態では、壁147が周方向に沿って等間隔(「略等間隔」を含む)に設けられているため、工具ホルダ外周面部分402aの、周方向に沿って等間隔(「略等間隔」を含む)の個所で回転部内周面部分141aと当接する。また、各加圧空間146内の圧力が等しくなるように設定されている。このため、各壁147は、回転部内周面部分141aの、各壁147に対応する部分と工具ホルダ外周面部分402aとの当接箇所に加わる力Gが等しくなるように径方向内側に弾性変形する。すなわち、回転部内周面部分141aの、各壁147に対応する部分から工具ホルダ外周面部分402aに加わるGは、工具ホルダ400の中心線Qを主軸の中心線Pに一致させるように作用する。
このため、壁147を径方向内側に弾性変形させる力、すなわち、加圧空間146内の圧力は、工具ホルダ外周面部分402aと回転部内周面部分141aとのテーパー嵌合による工具ホルダ400の保持の妨げにならないように設定する必要がある。例えば、工具ホルダ外周面部分402aと回転部内周面部分141aとのテーパー嵌合による工具ホルダ400の保持の妨げにならない範囲内で、回転部に対する工具ホルダ400の傾きを修正可能な加圧圧力Fを壁147に加えることができるように、壁147の厚さ、周方向に沿った長さおよび軸方向に沿った長さが設定される。
第2実施形態は、スリーブに設けられている壁の形状が第1実施形態と異なっている。したがって、以下では、壁の形状のみを説明する。
なお、図7において、第1実施形態の構成要素に付されている符号と百番台以外が同じである符号が付されている構成要素は、当該第1実施形態の構成要素と同じものである。
なお、前述したように、スリーブ240が回転軸内側空間220a内に挿入された状態において、スリーブ外周面部分242cが回転軸内周面部分221aに密着固定されるため、溝246は、密閉性の高い空間として形成される。以下では、スリーブ240が回転軸内側空間220a内に挿入された状態における溝246を、「加圧空間246」という。
前述したように、工具ホルダ400を回転部内側空間内に引き込むと同時あるいは引き込んだ後、加圧空間246内の圧力を高める。加圧空間246内の圧力を高める方法としては、前述した方法を用いることができる。
加圧空間246内の圧力が高くなると、加圧空間246から壁247に加わる加圧圧力F(図8、図9参照)が増大する。これにより、壁247は、図8、図9に破線で示されている状態から、実線で示されているように、径方向内側に弾性変形する。本実施形態では、壁247は、軸方向中央部が、軸方向両端部より径方向内側に位置するように弾性変形する。そして、回転部内周面部分241aの、壁247の軸方向中央部に対応する部分が、回転部内側空間内に引き込まれている工具ホルダ400の工具ホルダ外周面部分402aに当接する。すなわち、回転部内周面部分241aの、壁247の軸方向中央部に対応する部分と工具ホルダ外周面部分402aとの当接箇所を介して、工具ホルダ400を径方向内側に移動させる力G(図8、図9参照)が工具ホルダ400に加わる。
本実施形態では、壁247が周方向に沿って環状に設けられているため、回転部内周面部分241aと工具ホルダ外周面部分402aは、周方向に沿って連続する個所で当接する。また、加圧空間246内の圧力が所定値に設定されている。このため、壁247は、回転部内周面部分241aの、壁247に対応する周方向に沿った各部分と工具ホルダ外周面部分402aとの当接箇所に加わる力Gが等しくなるように径方向内側に弾性変形する。すなわち、回転部内周面部分241aの、壁247に対応する周方向に沿った各部分から工具ホルダ外周面部分402aに加わる力Gは、工具ホルダ400の中心線Qを回転部の中心線Pに一致させるように作用する。
実施形態では、工具ホルダを保持する保持装置について説明したが、本発明は、ワークを保持する保持装置、さらに、工具ホルダやワーク以外の種々の被保持部材を保持する保持装置として構成することができる。
実施形態では、被保持部材を、回転可能な回転部に保持する場合について説明したが、被保持部材を保持する保持部は、固定されていてもよい。
実施形態では、被保持部材を保持する保持部を複数の部材により構成したが、保持部は、一つの部材で構成することもできる。
テーパー状に延在する保持部内周面部分の一部分を薄肉の壁により形成することによって、保持部内周面部分の一部分を径方向内側に弾性変形可能に構成したが、保持部内周面部分の一部分を径方向内側に弾性変形可能に構成する方法はこれに限定されない。
薄肉の壁を周方向に沿って等間隔に3個設けたが、壁の数はこれに限定されない。好適には、3個以上設けられる。また、各壁の厚さ、周方向に沿った長さおよび軸方向に沿った長さは、適宜設定可能である。
環状の壁としては、好適には、周方向全体に延在する壁が用いられるが、周方向全体に延在していない壁を用いることもできる。
壁(保持部の第2のテーパー面の一部分)は、壁の径方向内側への弾性変形によって保持部に対する被保持部材の振れ精度を高める(被保持部材の中心線を保持部の中心線に一致させる)ことができる適宜の位置に設けることができる。
加圧空間内の圧力を高める方法としては、加圧空間内の圧力を所定値に制御することができる種々の方法を用いることができる。
薄肉の壁を径方向内側に弾性変形させる力を発生する力発生部を、加圧媒体が注入される加圧空間により構成したが、力発生部は、加圧空間以外の構成要素により構成することができる。
被保持部材の第1のテーパー面の傾斜角度θ1と保持部の第2のテーパー面の傾斜角度θ2は、適宜設定可能である。
保持部の構造は、被保持部材の形状等に応じて適宜変更可能である。
被保持部材を保持部内側空間内に引き込む力を発生する引き込み部(保持部内側空間内に押し込む力を発生する押し込み部)としては、種々の構成の引き込み部(押し込み部)を用いることができる。また、引き込み部から発生する引き込み力(押し込み部から発生する押し込み力)を被保持部材に伝達する方法としては、種々の方法を用いることができる。
110、210、310 ハウジング
110A、210A、310A ハウジング先端面
111、211、311 ハウジング内周面
112、212、312 ハウジング外周面
120、220、320 回転軸
120a、220a、320a 回転軸内側空間
120A、220A、320A 回転軸先端面
121 回転軸内周面
121a、121b、121c、121d、221a、221b、221c、221d、321a、321b、321c、321d 回転軸内周面部分
122 回転軸外周面
122a、122b、122c、122d、122e、222a、222b、222c、222d、222e、32a、322b、322c、322d、322e 回転軸外周面部分
130、230、330 軸受
131、231、331 スペーサ
132、232、332 カバー
133、233、333 ボルト
140、240、340 スリーブ
140a、240a、340a スリーブ内側空間
140A、240A、340A スリーブ先端面
140B、240B、340B スリーブ後端面
141 スリーブ内周面
141a、141b、141c、141d、241a、241b、241c、241d スリーブ内周面部分
142、242、342 スリーブ外周面
142a、142b、142c、242a、242b、242c、342a、342b、342c スリーブ外周面部分
143、243、343 凹部
144、244、344 回り止めキー
145、245、345 ボルト
150、250、350 ドローバー
151、251、351、 ボルト
160、260、360 把持部材
160a、260a、360a 把持部材内側空間
161、261、361 把持部
161a、261a、361a 係合面
400 工具ホルダ
400a 工具ホルダ内側空間
401 工具ホルダ内周面
401a 雌ネジ
402 工具ホルダ外周面
402a 工具ホルダ外周面部分(第1のテーパー面)
410 鍔部
411 切欠溝
500 プルスタッド
502 プルスタッド外周面
502a 雄ネジ
510 つかみ部
511 係合面
Claims (5)
- 傾斜角度θ1で延在する第1のテーパー面を含む被保持部材外周面を有する被保持部材を保持する保持部を備え、
前記保持部は、保持部内側空間を形成する保持部内周面を有し、
前記保持部内周面は、前記被保持部材の前記第1のテーパー面の傾斜角度θ1以下の傾斜角度θ2(θ2≦θ1)で延在する第2のテーパー面を含み、
前記被保持部材の、前記第1のテーパー面に対応する部分が前記保持部内側空間内に引き込まれると、前記被保持部材の前記第1のテーパー面と前記保持部の前記第2のテーパー面とが当接することによって、前記被保持部材が前記保持部に保持されるように構成されている保持装置であって、
前記保持部の前記第2のテーパー面の一部分は、径方向内側に弾性変形可能であり、
さらに、前記保持部の前記第2のテーパー面の前記一部分を径方向内側に弾性変形させる力を発生する力発生部を有し、
前記力発生部から発生される力により前記保持部の前記第2のテーパー面の一部分が径方向内側に弾性変形することによって、前記保持部の前記第2のテーパー面の前記一部分から前記被保持部材の前記第1のテーパー面に、前記被保持部材の中心線を前記保持部の中心線に一致させる力が作用するように構成されていることを特徴とする保持装置。 - 請求項1に記載の保持装置であって、
前記保持部の前記第2のテーパー面の前記一部分は、径方向内側に弾性変形可能な壁の内周面により形成され、
前記力発生部は、前記壁の外周側に設けられ、前記壁を径方向内側に弾性変形させる加圧力を発生する加圧媒体が注入される加圧空間により構成されていることを特徴とする保持装置。 - 請求項2に記載の保持装置であって、
前記保持部の前記第2のテーパー面の前記一部分は、周方向に沿って離間して設けられている、径方向内側に弾性変形可能な複数の壁の内周面により形成されていることを特徴とする保持装置。 - 請求項2に記載の保持装置であって、
前記保持部の前記第2のテーパー面の前記一部分は、周方向に沿って環状に設けられている、径方向内側に弾性変形可能な壁の内周面により形成されていることを特徴とする保持装置。 - 請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の保持装置であって、
前記被保持部材の、前記第1のテーパー面に対応する部分を前記保持部内側空間内に引き込む引き込み部を有していることを特徴とする保持装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019026900A JP2020131340A (ja) | 2019-02-18 | 2019-02-18 | 保持装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019026900A JP2020131340A (ja) | 2019-02-18 | 2019-02-18 | 保持装置 |
Publications (1)
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JP2020131340A true JP2020131340A (ja) | 2020-08-31 |
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ID=72277283
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019026900A Pending JP2020131340A (ja) | 2019-02-18 | 2019-02-18 | 保持装置 |
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5912507U (ja) * | 1982-07-19 | 1984-01-26 | 福久 宣夫 | 回転工具保持装置 |
JPS5962941U (ja) * | 1982-10-20 | 1984-04-25 | 富士精工株式会社 | ハイドロリツクホルダ |
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JP2006326696A (ja) * | 2005-05-23 | 2006-12-07 | Brother Ind Ltd | 工具ホルダ |
-
2019
- 2019-02-18 JP JP2019026900A patent/JP2020131340A/ja active Pending
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