JP2020129762A - 複合基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウムを拡散させたタンタル酸リチウム単結晶基板と支持基板とを表面活性化して接合した場合でも、表面に凹みのない複合基板の製造方法を提供する。【解決手段】タンタル酸リチウム単結晶基板と支持基板とで構成される複合基板の製造方法において、タンタル酸リチウム単結晶基板は、基板表面と基板内部のリチウム濃度が異なっており、タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面の表面粗さは、算術平均粗さRa≦1nmかつ最大高さRz≦30nmである。複合基板の製造方法は、タンタル酸リチウム単結晶基板1の接合面に保護層4を設ける工程と、単結晶基板の接合面に設けた保護層および支持基板2の接合面に表面活性化処理を施す工程と、単結晶基板の接合面に設けた保護層と、支持基板とを接合する工程と、単結晶基板の接合面とは反対側の表面から、単結晶基板の一部を除去するとともに他の一部を複合基板3として残す工程と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、タンタル酸リチウム単結晶基板と支持基板とを含んで構成される複合基板の製造方法に関する。
携帯電話などの周波数調整・選択用の部品として、圧電基板上に弾性表面波を励起するための櫛形電極(IDT)が形成された弾性表面波(SAW)デバイスが用いられている。
弾性表面波デバイスには、小型で挿入損失が小さく、不要波を通さない性能が要求されるため、その材料としてタンタル酸リチウム(LiTaO3:LT)やニオブ酸リチウム(LiNbO3:LN)などの圧電材料が用いられる。
一方で、第四世代の携帯電話の通信規格は、送信受信の周波数バンド間隔が狭く、かつバンド幅が広くなっているが、このような通信規格のもとでは、弾性表面波デバイス用材料の温度による特性変化が十分に小さくないと、周波数選択域のずれが生じて、デバイスのフィルタやデュプレクサ機能に支障をきたしてしまうという問題が生じる。したがって、温度に対して特性変動が少なく、帯域が広い弾性表面波デバイス用の材料が渇望されている。
このような弾性表面波デバイス用材料に関して、特許文献1では、基板表面から内部へリチウム(Li)を拡散させて、基板表面と基板内部のLi濃度が異なるLT単結晶基板を開示している。このようなLT基板は、温度特性、電気機械結合係数、Q値等が従来のLT基板に比べて優れている。
国際公開第2016/167165号
"Domain reversal in stoichiometric LiTaO3 prepared by vapor transport equilibration", APPLIED PHYSICS LETTERS, VOLUME 85, NUMBER 19, 8 NOVEMBER 2004
発明者は、上記のようなLiを拡散させたLT基板の複合基板への適用を検討した。複合基板は、例えば、LT基板を支持基板に接合して、研磨やイオン注入法等の手法によってLTを所望の膜厚にすることによって得られる。
しかしながら、ポーリング処理を施したLiを拡散させたLT基板を支持基板に直接接合して、LTを所望の膜厚に研磨で仕上げた場合、複合基板のLT側表面に六角形状の凹みが観察されることがわかった。この凹みの境界では分極状態が180°反転しており、分極状態が異なることによる研磨レートの差から凹みが形成されたと考えられる。このような凹みがある複合基板は、デバイスへの応用に好ましくない。
発明者が検討した結果、Liを拡散させたLT基板と支持基板とを表面活性化して接合する場合において、表面活性化処理によって、Liを拡散させたLT基板の接合面側に分極状態が180°反転した層が形成されることが確認された。
表面活性化処理では、鏡面研磨された接合面にイオンビーム、中性子ビーム、プラズマ等を作用させて表面を活性化させる。これにより、接合表面の原子の結合状態を変化させて、異種材料を直接接合することが可能となる。
しかし、このような活性化処理によって、基板表面の電気的なバランスが崩れると、局所的な電界が発生して、Liを拡散させたLT基板では、接合面側で分極状態が180°反転してしまうと予想される。
通常、Liを拡散させたLT基板の表面は、内部よりもLi濃度が高く、疑似ストイキオメトリー組成になっている。非特許文献1によると、ストイキオメトリー組成のLTは抗電界が低いことが報告されている。全体がコングルエント組成のLT基板では、表面活性化処理を施しても分極反転することはないが、一部が疑似ストイキオメトリー組成であるLiを拡散させたLT基板では、分極反転が起こってしまうと考えられる。
発明者は、Liを拡散させたLT基板を用いて作製した複合基板に観察される凹みは、このようなメカニズムによるものであると考えた。
したがって、本発明の目的は、Liを拡散させたLT基板と支持基板とを表面活性化して接合した場合でも、表面に凹みのない複合基板の製造方法を提供することである。
発明者は、Liを拡散させたLT基板の表面に保護層を設けて、LT基板に直接表面活性化処理を施さないようにすれば、分極反転に起因する凹みの発生を抑制できることを見出した。
すなわち上記の課題を解決すべく、本発明に係る複合基板の製造方法は、タンタル酸リチウム単結晶基板と支持基板とを含んで構成される複合基板の製造方法である。本発明において、タンタル酸リチウム単結晶基板は、基板表面と基板内部のLi濃度が異なっており、タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面の表面粗さは、算術平均粗さRa≦1nmかつ最大高さRz≦30nmである。該複合基板の製造方法は、タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面に保護層を設ける工程と、タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面に設けた保護層および支持基板の接合面に表面活性化処理を施す工程と、タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面に設けた保護層と、支持基板とを接合する工程と、タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面とは反対側の表面から、タンタル酸リチウム単結晶基板の一部を除去するとともに他の一部を複合基板として残す工程と、を含むことを特徴とする。
本発明では、タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面の組成が疑似ストイキオメトリー組成であるとよい。
本発明では、複合基板として残すタンタル酸リチウム単結晶基板の他の一部の組成が疑似ストイキオメトリー組成であるとよい。
本発明では、保護層は、SiO、Al、SiN、a−Si、p−Siから選択される少なくとも一種の材料を含むとよい。また、保護層の厚みは、0.05μm以上とするとよく、2.0μm以下とするとよい。
本発明では、複合基板として残すタンタル酸リチウム単結晶基板の他の一部の厚みが、0.5μm以上5.0μm未満であるとよい。
本発明では、表面活性化処理は、イオンビーム、中性子ビーム、プラズマの何れかを用いた処理とするとよい。
本発明では、タンタル酸リチウム単結晶基板は、当該基板の厚み方向について、基板表面側の方がLi濃度が高く、基板内部側の方がLi濃度が低い濃度プロファイルを有するとよい。
本発明では、タンタル酸リチウム単結晶基板は、基板内部の組成がコングルエント組成であることよい。
本発明では、複合基板として残すタンタル酸リチウム単結晶基板の他の一部は、単一分極化されているとよい。この場合、複合基板の製造方法は、複合基板として残すタンタル酸リチウム単結晶基板の他の一部を、単一分極化する工程をさらに備えるとよい。
本発明によれば、LT基板と支持基板とを表面活性化して行う接合によりタンタル酸リチウム側表面に凹みのない複合基板を製造することができる。本発明により製造された複合基板は、弾性表面波デバイスに応用することができる。
実施例1に用いたLT基板の厚み方向におけるLi濃度を示すグラフを示す。 実施例1の複合基板の製造方法の手順を示す図である。 比較例1の複合基板の製造方法の手順を示す図である。 比較例1の複合基板のLT側表面に生じた凹み部分の光学顕微鏡像の一例を示す。 原子間力顕微鏡のPFMモードにて得た凹み部分の境界の圧電応答像を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。本発明は、タンタル酸リチウム単結晶基板と支持基板とを含んで構成される複合基板に関するものである。
本発明に用いるLT単結晶基板は、基板表面と基板内部のLi濃度が異なっている。
このようなLT単結晶基板は、例えば、チョクラルスキー法などの公知の方法から得られた概略コングルエント組成のLT単結晶基板に、基板表面から内部へLiを拡散させる気相処理を施す方法によって得られる。
具体的には、LT単結晶基板を、LiTaOを主成分とする粉体に埋め込み、熱処理を施すことによって行うことができる。このとき、熱処理条件によって、Li濃度やLi濃度の異なる範囲を調整することができる。
この方法により得られたLT基板は、通常、基板の厚み方向について、基板表面側の方がLi濃度が高く、基板内部側の方がLi濃度が低い濃度プロファイルを有し、基板表面は疑似ストイキオメトリー組成、内部はコングルエント組成となる。
なお、LT単結晶基板のLi濃度については、公知の方法により測定すればよいが、例えば、ラマン分光法により評価することができる。タンタル酸リチウム単結晶基板については、ラマンシフトピークの半値幅とLi濃度(Li/(Li+Ta)の値)との間に、おおよそ線形な関係があることが知られている。したがって、このような関係を表す式を用いれば、酸化物単結晶基板の任意の位置における組成を評価することが可能である。
ラマンシフトピークの半値幅とLi濃度との関係式は、その組成が既知であって、Li濃度が異なる幾つかの試料のラマン半値幅を測定することによって得られるが、ラマン測定の条件が同じであれば、文献などで既に明らかになっている関係式を用いてもよい。
例えば、LT単結晶については、下記数式(1)を用いてもよい(2012 IEEE International Ultrasonics Symposium Proceedings, Page(s):1252-1255参照)。
Li/(Li+Ta)=(53.15−0.5FWHM)/100 (1)
ここで、「FWHM」は、600cm−1付近のラマンシフトピークの半値幅である。測定条件の詳細については文献を参照されたい。
このようなLT単結晶基板の接合面を鏡面研磨、例えば、表面粗さを、算術平均粗さRa≦1nmかつ最大高さRz≦30nm、好ましくは算術平均粗さRa≦0.5nmかつ最大高さRz≦15nmとして、さらに、表面活性化処理を施して支持基板と直接接合して、LTを所望の膜厚にした場合には、作製した複合基板のLT側表面に六角形状の凹みが形成されてしまう。
そこで、本発明では、LT単結晶基板の接合面に保護層を設ける工程を含む。保護層を構成する材料は特に限定されないが、信頼性の観点から無機材料であることが好ましく、SiO、Al、SiN、a−Si、p−Siから選択される少なくとも一種の材料を含むことが好ましい。
保護層を形成する方法は特に限定されないが、例えば、SiO等を堆積させる方法として、PE‐CVD法(プラズマ強化化学気相成長法) やスパッタ等に代表されるPVD法(物理気相成長法)を用いることができる。また、アルコキシドシラン等のシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン、パーヒドロポリシラザン等のポリシラザン、シリコーンオイル等のシリコーンオリゴマーやそれらの溶液をウェーハ上に塗布して、熱処理によって硬化させてもよい。
また、保護層の厚みは、0.05μm以上であれば凹みの発生を十分に抑制することができるため好ましい。凹みの発生を抑制する観点からは、厚みの上限は特に設けられないが、保護層を厚くし過ぎると、堆積時間が長くなるため生産性が悪化するほか、LT単結晶基板の温度が上昇することによって割れや亀裂が発生しやすくなり歩留りも低下する。したがって、保護層の厚みは、2.0μm以下であることが好ましい。
さらに、LT単結晶基板の接合面に設けた保護層と、支持基板の接合面に表面活性化処理を施す工程を含む。このとき、支持基板の接合面にも鏡面研磨を施すことが好ましい。
なお、表面活性化処理は公知の手法で行えばよく、イオンビーム、中性子ビーム、プラズマの何れかを用いて行うことが好ましい。
LT単結晶基板の接合面に設けた保護層と、支持基板とを接合する工程を含む。
なお、支持基板は特に限定されないが、接合する圧電材料に対して熱膨張係数の小さな材料が好ましく、シリコン、ガラス、石英、アルミナ、サファイア、炭化ケイ素、窒化ケイ素の何れかであることが好ましい。
LT単結晶基板の接合面とは反対側の表面から、LT単結晶基板の一部を除去して、一部を複合基板として残す工程を含む。
接合面の組成が疑似ストイキオメトリー組成であるLT単結晶基板を用いて、疑似ストイキオメトリー組成の部分のみを複合基板として残せば、疑似ストイキオメトリー組成のLT単結晶基板と支持基板から構成される複合基板が得られる。
このような複合基板は、LTがコングルエント組成でなく疑似ストイキオメトリー組成であるため、諸特性に優れる。
このとき、基板の厚み方向について、基板表面側の方がLi濃度が高く、基板内部側の方がLi濃度が低い濃度プロファイルを有し、基板内部の組成がコングルエント組成であるLT単結晶基板を用いれば、高価な二重ルツボ法等により製造されたLT単結晶基板や、長時間の処理によって反りや割れが発生しやすい全体にLi拡散処理を施したLT単結晶基板等を用いる必要がない。
複合基板として残すLT単結晶基板は、単一分極化されていることが好ましい。単一分極化する手法は特に限定されず、接合前のLT単結晶基板に単一分極化処理を施してもよい。
複合基板として残すタンタル酸リチウム単結晶基板の厚みは、特に限定されないが、0.5μm以上5.0μm未満であることが好ましい。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1は、実施例1〜12および比較例1〜3における複合基板の作製条件と評価結果を示している。以下、各例について説明する。
〈実施例1〉
図2は実施例1の複合基板の製造方法の手順を示している。
はじめに、引き上げ法によって、コングルエント組成(Li/(Li+Ta)=0.485)の4インチ(φ100mm)径LT単結晶を作製した(図示せず)。
このLT単結晶の側面にLT組成のペーストを塗布し、そこに電極を貼り付けて、キュリー温度以上に加熱し、結晶のYZ軸方向に150Vの電圧を印加して、そのまま室温まで降温することにより、結晶全体が単一分極化されたLT結晶を作製した。
このLT結晶をスライスし、両面にラップ加工を施すことによって、厚さ350μmの42°回転YカットLT基板1を作製した。
次に、このLT基板1を900℃、1h、大気中で熱処理して、加工による残留歪を除去した。単一分極化されていた基板は、この熱処理によって多分極化した。
一方、Li拡散処理で使用するLi拡散源として、モル比でLiCO:Ta=7:3の割合に混合した粉末を1300℃で10時間焼成して、LiTaOを主成分とする粉体を準備した。
次に、高純度アルミナ容器の中に、コングルエント組成の4インチLT基板と、Li拡散源となる粉体をLT基板1と隙間なく接触するようにして入れた。この容器を1000℃まで昇温し、50時間のLi拡散処理を行った(図2(a))。これにより、LT基板1の表面及び裏面にLi拡散層11が形成される。
このようにしてLi拡散処理が施されたLT基板について、レーザーラマン分光測定装置(HORIBA Scientific社製LabRam HRシリーズ、He−Neイオンレーザー、スポットサイズ1μm、室温)を用いて、Li量の指標となる600cm−1付近のラマンシフトピークの半値幅(FWHM)を測定し、測定した半値幅から下記数式(1)を用いてLi濃度を算出した。
Li/(Li+Ta)=(53.15−0.5FWHM)/100 (1)
このLT基板1の厚み(深さ)方向についてのLi濃度を図1に示す。なお、ここでは、Li/(Li+Ta)=0.495〜0.505の範囲を疑似ストイキオメトリー組成とし、(Li+Ta)=0.480〜0.490の範囲をコングルエント組成とする。また、逆側の面から測定した結果もほぼ同様であった。すなわち、図1から読み取れるように、LT基板は、基板表面と基板内部のLi濃度が異なっており、基板の厚み方向について、基板表面側の方がLi濃度が高く、基板内部側の方がLi濃度が低い濃度プロファイルを有する。そして、LT基板は、表面および裏面の組成が疑似ストイキオメトリー組成であり、基板内部の組成がコングルエント組成である。
上述のようにLi拡散処理され、Li拡散層11が形成されたLT基板1の厚さ方向に数十枚積み重ねて、側面にLT組成のペーストを塗布し、そこに電極を貼り付けた。これを720℃まで加熱し、加熱後LT基板のYZ軸方向に300Vの電圧を印加して、そのまま室温まで冷却することで分極処理を行った。
次に、高純度アルミナ容器の中に、分極処理したLT基板1とLiCO粉体を隙間なく接触するようにして入れた。この容器をHとNの混合ガス中で570℃まで昇温し、570℃に達した時に、Hガスを止めて、Nガスのみで、8時間の焦電性除去処理を行った。
取り出したLT基板1を洗浄した後、表面の研磨加工を行い鏡面化した(図2(b))。研磨後の鏡面を観察したが、凹みなどの異常は見られないことから、LT基板の表面は単一分極化されていると判断できる。
研磨したLT基板1を洗浄した後、このLT基板の鏡面に、保護層4としてスパッタ法によるSiO膜を約0.3μm堆積した。さらに、堆積したSiO膜を研磨して、0.2μmの厚さに調整した(図2(c))。
このLT基板1と支持基板2としてのシリコン基板を、プラズマ処理により表面活性化処理を施し、その後、直接接合し、LT/SiO/シリコンの複合基板3を作製した(図2(d)及び(e))。LT基板1はSiOが堆積した側を接合面とした。支持基板2はシリコンに限定されるものではなく、サファイア、石英ガラス、多結晶スピネル(MgAl)などであってもよい。
このように作製したLT/SiO/シリコンの複合基板3のLTを薄くするべく、研削加工を行い、研磨加工でLTの厚みを4μmに仕上げた(図3(f))。この研磨により、複合基板3には疑似ストイキオメトリー組成となっている部分のLTが残ることになる。
このようにして、複合基板3を10枚作製したところ、10枚ともLT側表面に凹み等の異常は観察されなかった。
〈実施例2〜5〉
実施例1と同様にして、Liを拡散させたLT基板に分極処理、焦電性除去処理、および研磨加工を行った。
これらの処理を施したLT基板について、表1に示すとおり、各種保護層をスパッタ法により堆積し、保護層の表面を研磨加工して0.2μmの厚さに調整した。保護層の堆積方法はCVD法であってもよい。
次に、それぞれの基板を表1に示す方法にて、表面活性化処理を施し、支持基板のシリコンもしくはサファイア基板と接合を行い、複合基板を作製した。
このように作製した各種複合基板のLTを薄くするべく、研削加工を行い、研磨加工でLTの厚みを4μmに仕上げた。この研磨により、複合基板には疑似ストイキオメトリー組成となっている部分のLTが残ることになる。
このようにして、複合基板を10枚作製したところ、10枚ともLT側表面に凹み等の異常は観察されなかった。
〈実施例6〜12〉
実施例1と同様にして、Liを拡散させたLT基板に分極処理、焦電性除去処理、研磨加工を行った。
これらの処理を施したLT基板の鏡面に、保護層としてスパッタ法によるSiO膜を堆積した。さらに、堆積したSiO膜を研磨して、SiO膜を表1にそれぞれ示したとおりの厚さに調整した。
これらLT基板と支持基板としてのSiO基板を、プラズマ処理により表面活性化処理を施し、その後、直接接合し、LT/SiO/シリコンの複合基板を作製した。LT基板はSiOが堆積した側を接合面とした。
このように作製した各種複合基板のLTを薄くするべく、研削加工を行い、研磨加工でLTの厚みを4μmに仕上げた。この研磨により、複合基板には疑似ストイキオメトリー組成となっている部分のLTが残ることになる。
SiO膜が0.05μmの場合、10枚中7枚には凹みなどの異常は見られなかったが、3枚には凹みが数個所確認された。また、SiO膜が0.03μmの場合、10枚中4枚には凹みなどの異常は見られなかったが、6枚には凹みが数個所確認された。この結果より、保護膜を極端に薄くすると、面内膜厚分布や研磨代のバラつきによってLT基板自体が部分的に剥き出しになってしまったり、表面活性化処理の影響がLT基板まで到達してしまったりすることにより、凹みが発生する確率が高くなると考えられる。
一方で、SiO膜が0.18μmの場合、10枚中10枚とも凹みは見られなかったが、2枚の基板でLT部分に亀裂が確認された。また、SiO膜が0.25μmの場合、10枚中10枚とも凹みは見られなかったが、5枚の基板でLT部分に亀裂が確認された。SiO膜が厚くなるほど、SiO膜堆積時にLT基板の温度も上昇するため、SiOとLT基板の熱膨張率の差による残留熱応力が大きくなる。この残留熱応力によって、LTを薄くした時に、亀裂が生じたと考えられる。また、必要以上に膜を厚くすることは、コスト高となるため好ましくない。
その他、SiO膜が0.1μm以上、1.5μm以下の場合は、凹みなどの異常は見られず、LT部分の亀裂も確認されなかった。
〈比較例1〉
実施例1と同様にして、Liを拡散させたLT基板1に分極処理、焦電性除去処理、および研磨加工を行った(図3(a)及び(b))。
これらの処理を施したLT基板1と支持基板2としてのシリコン基板を、プラズマ処理により表面活性化処理を施し、その後、直接接合し、LT/シリコンの複合基板3’を作製した(図3(d)及び(e))。
このように作製した複合基板3’のLTを薄くするべく、研削加工を行い、研磨加工でLTの厚みを4μmに仕上げた(図3(f))。この研磨により、複合基板3’には疑似ストイキオメトリー組成となっている部分のLTが残ることになる。
複合基板3’のLT側表面を観察したところ、10枚中10枚の基板で縦横の幅0.1〜1mm、深さ0.1〜1μmの凹みが散見された。図4は、凹み部分の光学顕微鏡像の一例を示している。この凹み部分の境界を原子間力顕微鏡(オックスフォード・インストゥルメンツ製MFP-3D-SA)のPFMモードにて分析したところ、図5に示すように、凹み部分を境に、分極構造が180°反転していることが確認された。これは接合によって接合界面に発生した分極反転領域が表面に現れたためであると考えられる。
〈比較例2〉
実施例1と同様にして、Liを拡散させたLT基板に分極処理、焦電性除去処理、および研磨加工を行い、準備した。
このLT基板と支持基板としてのサファイア基板を、Ar中性子ビームにより表面活性化処理を施し、その後、直接接合し、LT/サファイアの複合基板を作製した。
このように作製した複合基板のLTを薄くするべく、研削加工を行い、研磨加工でLTの厚みを4μmに仕上げた。この研磨により、複合基板には疑似ストイキオメトリー組成となっている部分のLTが残ることになる。
複合基板のLT側表面を観察したところ、比較例1と同様に10枚中10枚の基板で縦横の幅0.1〜1mm、深さ0.1〜1μmの凹みが散見された。接合によって接合界面に発生した分極反転領域が表面に現れたためであると考えられる。また、LT/シリコンの複合基板の場合においても、同様に表面に凹みが散見された。
〈比較例3〉
実施例1と同様にして、Liを拡散させたLT基板に分極処理、焦電性除去処理、および研磨加工を行い、準備した。
このLT基板と支持基板としてのサファイア基板を、Arイオンビームにより表面活性化処理を施し、その後、直接接合し、LT/サファイアの複合基板を作製した。
このように作製した複合基板のLTを薄くするべく、研削加工を行い、研磨加工でLTの厚みを4μmに仕上げた。この研磨により、複合基板には疑似ストイキオメトリー組成となっている部分のLTが残ることになる。
複合基板のLT側表面を観察したところ、比較例1と同様に10枚中10枚の基板で縦横の幅0.1〜1mm、深さ0.1〜1μmの凹みが散見された。接合によって接合界面に発生した分極反転領域が表面に現れたためであると考えられる。また、LT/シリコンの複合基板の場合においても、同様に表面に凹みが散見された。
上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1 LT基板
2 支持基板
3 複合基板
4 保護層
11 Li拡散層

Claims (12)

  1. タンタル酸リチウム単結晶基板と支持基板とを含んで構成される複合基板の製造方法であって、
    前記タンタル酸リチウム単結晶基板は、基板表面と基板内部のLi濃度が異なっており、
    前記タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面の表面粗さは、算術平均粗さRa≦1nmかつ最大高さRz≦30nmであり、
    前記タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面に保護層を設ける工程と、
    前記タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面に設けた保護層および前記支持基板の接合面に表面活性化処理を施す工程と、
    前記タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面に設けた保護層と、前記支持基板とを接合する工程と、
    前記タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面とは反対側の表面から、タンタル酸リチウム単結晶基板の一部を除去するとともに他の一部を複合基板として残す工程と、を含むことを特徴とする複合基板の製造方法。
  2. 前記タンタル酸リチウム単結晶基板の接合面の組成が疑似ストイキオメトリー組成であることを特徴とする請求項1に記載の複合基板の製造方法。
  3. 複合基板として残すタンタル酸リチウム単結晶基板の前記他の一部の組成が疑似ストイキオメトリー組成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合基板の製造方法。
  4. 前記保護層は、SiO、Al、SiN、a−Si、p−Siから選択される少なくとも一種の材料を含むことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の複合基板の製造方法。
  5. 前記保護層の厚みは、0.05μm以上であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の複合基板の製造方法。
  6. 前記保護層の厚みは、2.0μm以下であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の複合基板の製造方法。
  7. 複合基板として残すタンタル酸リチウム単結晶基板の前記他の一部の厚みが、0.5μm以上5.0μm未満であることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の複合基板の製造方法。
  8. 前記表面活性化処理は、イオンビーム、中性子ビーム、プラズマの何れかを用いた処理であることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の複合基板の製造方法。
  9. 前記タンタル酸リチウム単結晶基板は、当該基板の厚み方向について、基板表面側の方がLi濃度が高く、基板内部側の方がLi濃度が低い濃度プロファイルを有することを特徴とする請求項1から8何れかに記載の複合基板の製造方法。
  10. 前記タンタル酸リチウム単結晶基板は、基板内部の組成がコングルエント組成であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の複合基板の製造方法。
  11. 複合基板として残すタンタル酸リチウム単結晶基板の前記他の一部は、単一分極化されていることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の複合基板の製造方法。
  12. 複合基板として残すタンタル酸リチウム単結晶基板の前記他の一部を、単一分極化する工程をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の複合基板の製造方法。
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