JP2020128563A - 摺動部材および摺動部材用Al合金層の製造方法 - Google Patents

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Ryuichi Morioka
竜一 森岡
直人 洞田
Naoto Horata
直人 洞田
俊雄 羽賀
Toshio Haga
俊雄 羽賀
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Abstract

【課題】AlとMnとを含む金属間化合物によって耐疲労性を向上させることが可能な技術を提供する。【解決手段】2質量%以上かつ20質量%以下のSnと、0.4質量%以上かつ2.5質量%以下のMnと、0.1質量%以上かつ7質量%以下のSiと、0.3質量%以上かつ2.0質量%以下のCuと、0質量%以上かつ0.35質量%以下のCrと、を含み、残部が不可避不純物とAlとからなるAl合金層を備え、前記Al合金層において、Mnを含む金属間化合物とSi粒子の平均粒子径が0.7μm以上かつ5.5μm以下となっている。【選択図】図3

Description

本発明は、摺動部材および摺動部材用Al合金層の製造方法に関する。
硬質の金属間化合物の粒子径を適正な大きさに調整することにより、耐疲労性の向上を図った技術が知られている(特許文献1、参照。)。特許文献1においては、Al合金中においてAlとMnとを含む金属間化合物が形成されることが開示されている。
特開2013−11356号公報
特許文献1においてMnの含有量を大きくすることにより、AlとMnとを含む硬質の金属間化合物の含有量を大きくすることができ、耐疲労性の向上が期待できる。しかし、Mnの含有量を大きくすると、AlとMnとを含む粗大な金属間化合物が析出しやすくなるという問題があった。粗大な金属間化合物が析出すると、粗大な金属間化合物に集中した応力によってクラックが発生しやすくなり、却って耐疲労性が損なわれてしまうという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、AlとMnとを含む金属間化合物によって耐疲労性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明の摺動部材は、2質量%以上かつ20質量%以下のSnと、0.4質量%以上かつ2.5質量%以下のMnと、0.1質量%以上かつ7質量%以下のSiと、0.3質量%以上かつ2.0質量%以下のCuと、0質量%以上かつ0.35質量%以下のCrと、を含み、残部が不可避不純物とAlとからなるAl合金層を備え、Al合金層において、Mnを含む金属間化合物とSi粒子の平均粒子径が0.7μm以上かつ5.5μm以下となっている。
前記の構成において、Al合金層において0.4質量%以上のMnを含有させることにより、硬質の金属間化合物の含有量を増大させることができ、耐摩耗性を向上させることができる。その一方で、Mnを含む金属間化合物とSi粒子の平均粒子径を0.7μm以上かつ5.5μm以下とすることにより、耐疲労性を向上させることができる。以下、Mnを含む金属間化合物とSi粒子とを硬質粒子と総称する場合がある。硬質粒子の平均粒子径を小さくすることにより、粗大な硬質粒子に応力が集中することを防止でき、応力が集中した硬質粒子の付近にて疲労クラックが発生することを防止できる。その結果、耐疲労性を向上させることができ、耐摩耗性と耐疲労性とを両立できる。
また、0.3質量%以上かつ2.0質量%以下のCuをAl合金層に含有させることにより、Alのマトリクスを固溶強化することができ、耐摩耗性を向上させることができる。AlとSiとCrは、Mnとともに硬質の金属間化合物を形成する。また、SiはMnと金属間化合物を形成するだけでなく、単独のSi粒子として析出してAl合金層を析出強化する。
Mnを含む金属間化合物の平均粒子径を0.7μm以上かつ5.5μm以下とするための好適な摺動部材用Al合金層の製造方法として、冷却速度が20℃/s以上かつ200℃/s以上となるように鋳造を行う鋳造工程を含む製造方法を採用してもよい。このように、鋳造における冷却速度を20℃/s以上かつ200℃/s以上となるように急冷することにより、Mnを含む金属間化合物の結晶が成長することを防止し、Mnを含む金属間化合物の平均粒子径を小さくすることができる。特に、耐摩耗性を確保するためにAl合金層において0.3質量%以上のMnを含有させると、Mnを含む金属間化合物が粗大化しやすくなるが、急冷によって金属間化合物の粗大化を防止できる。従って、耐摩耗性と耐疲労性とを両立できる。
本発明の実施形態にかかる摺動部材の斜視図である。 疲労試験の模式図である。 ロール圧延装置の模式図である。 硬質粒子の平均粒子径のグラフである。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)すべり軸受の構成:
(2)すべり軸受の製造方法:
(3)冷却速度について:
(4)他の実施形態:
(1)すべり軸受の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる摺動部材としてのすべり軸受1の斜視図である。すべり軸受1は、裏金10と中間層11とライニング12とを含む。すべり軸受1は、円筒を直径方向に2等分した半割形状の金属部材であり、断面が半円弧状となっている。2個のすべり軸受1が円筒状になるように組み合わせられた状態で、自動車のエンジンのコンロッドに取り付けられる。2個のすべり軸受1を組み合わせることによって形成される円柱状の中空部分にて、相手軸2としてのクランクシャフトを軸受けする。相手軸2の外径はすべり軸受1の内径よりもわずかに小さく形成されている。相手軸2の外周面と、すべり軸受1の内周面との間に形成される隙間に潤滑油(エンジンオイル)が供給される。相手軸2は、すべり軸受1の曲率中心と一致する回転軸を中心に回転する。その際に、すべり軸受1の内周面上を相手軸2の外周面が摺動する。
すべり軸受1は、曲率中心から遠い順に、裏金10と中間層11とライニング12とが順に積層された構造を有する。従って、裏金10がすべり軸受1の最外層を構成し、ライニング12がすべり軸受1の最内層を構成する。裏金10と中間層11とライニング12とは、それぞれ円周方向において一定の厚みを有している。裏金10の厚みは1.2mmであり、中間層11の厚みは0.1mmであり、ライニング12の厚みは0.2mmである。ライニング12の曲率中心側の表面の半径(すべり軸受1の内径)は42mmである。
なお、コンロッドや相手軸2の形状に応じてすべり軸受1の形状を決定すればよく、すべり軸受1の幅は10〜300mmの間のいずれかの値であってもよいし、すべり軸受1の外径は25〜1000mmの間のいずれかの値であってもよいし、すべり軸受1全体の厚さは0.5〜18mmの間のいずれかの値であってもよい。また、ライニング12の厚さは0.05〜3mmの間のいずれかの値であってもよいし、中間層11の厚さは0.01〜0.6mmの間のいずれかの値であってもよい。以下、内側とはすべり軸受1の曲率中心側を意味し、外側とはすべり軸受1の曲率中心と反対側を意味することとする。ライニング12の内側の表面は、相手軸2の摺動面を構成する。
裏金10は、Cを0.15質量%含有し、Mnを0.06質量%含有し、残部がFeと不可避不純物とからなる低炭素鋼で形成されている。なお、裏金10は、ライニング12を介して相手軸2からの荷重を支持できる材料で形成されればよく、必ずしも鋼で形成されなくてもよい。
中間層11は、裏金10の内側、かつ、ライニング12の外側に積層された層である。中間層11は、アルミニウム合金によって形成されている。具体的に、中間層11は、Cuを3質量%含有し、Zrを0.1質量%含有し、残部がAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金で形成されている。なお、中間層11は、上述したアルミニウム合金でなくてもよく、純アルミニウムであってもよい。さらに、中間層11は省略されてもよく、裏金10上にライニング12が積層されてもよい。
ライニング12は、中間層11の内側に積層された層であり、本発明のAl合金層である。ライニング12は、7.0質量%のSnと、1.0質量%のSiと、1.5質量%のCuと、1.2質量%のMnと、0.15質量%のCrとを含み、残部がAlと不可避不純物とからなる。また、ライニング12の不可避不純物はZn,V,Fe,Ti,B等であり、精錬もしくはスクラップにおいて混入する不純物である。不可避不純物の含有量は、全体で1.0質量%以下である。なお、すべり軸受1の各層を構成する元素の質量は、ICP発光分光分析装置(島津製作所製ICPS−8100)によって計測した。
ライニング12のマトリクスはAl合金であり、このマトリクス中に硬質粒子としてSi粒子と金属間化合物とが析出している。Si粒子のビッカース硬さは1100HV程度であり、金属間化合物のビッカース硬さ800HV程度であった。このような硬質粒子がマトリクス中に析出することにより、ライニング12を析出強化することができる。
ライニング12の断面のうち金属間化合物が存在している部分をEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)によって分析したところ、AlとFeとMnとSiとCrが検出された。従って、金属間化合物は、AlとFe(不可避不純物由来)とMnとSiとCrとが化合した化合物であると考えられる。また、金属間化合物とSi粒子の平均粒子径を計測したところ、3.4μmであった。また、ライニング12において、Cuはマトリクス中に固溶してマトリクスを固溶強化する。ライニング12において、Snはマトリクス中に析出し、なじみ性を向上させる。
以下、ライニング12における金属間化合物とSi粒子の平均粒子径の計測方法について説明する。まず、摺動面と平行なライニング12の断面のうち、面積が0.2mm2となる任意の観察範囲を金属顕微鏡によって200倍の光学倍率で撮影することにより、観察画像の画像データを得た。そして、観察画像を画像解析装置(ニレコ社製 LUZEX_AP)に入力し、金属間化合物とSi粒子の像を抽出するとともに、抽出した像の円相当径(計測パラメータ:HEYWOOD)の平均値を平均粒子径として計測した。なお、計測が可能な円相当径の下限値は0.667μmであった。そのため、面積が0.349μm2未満となる金属間化合物とSi粒子は平均粒子径の計測において無視されることとなった。
ライニング12の疲労発生面圧を計測したところ、120MPaと良好であった。疲労発生面圧とは、後述する往復動荷重試験機によって疲労試験を行った場合に疲労破壊が生じなかった面圧の上限値である。また、疲労破壊が生じたとは、疲労試験後の摺動面に亀裂が生じていたことを意味する。
図2は、往復動荷重試験機によって行った疲労試験の模式図である。図2に示すように、長さ方向の両端に円柱状の貫通穴が形成されたコンロッドRを用意し、一端の貫通穴にて相手軸2(ドットハッチング)を軸受けさせた。なお、相手軸2を軸受けするコンロッドRの貫通穴の内周面に、2個のすべり軸受1(斜めハッチング)を円筒形に組み合わせた状態で取り付けた。相手軸2の軸方向におけるコンロッドRの両外側において相手軸2を軸受けし、単位時間あたりの回転数が3000回転/分となるように相手軸2を回転させた。相手軸2とは反対側のコンロッドRの端部を、コンロッドRの長さ方向に往復移動する移動体Fに連結し、当該移動体Fの往復荷重を、疲労試験を行うごとに変化させた。また、単位時間あたりの移動体Fの往復回数が3000回/分となるように移動体Fを往復させた。また、コンロッドRと相手軸2との間に、エンジンオイル(CF−4 0W−20)を給油した。また、試験時において160℃のエンジンオイルを給油した。なお、相手軸2は、高周波焼入れを行った炭素鋼(S55C)とした。そして、相手軸2の回転数(移動体Fの往復回数)が106回となるまで、すべり軸受1の疲労試験を継続した。疲労試験後において摺動面に亀裂が生じなかった上限の移動体Fの往復荷重を特定し、当該往復荷重を相手軸2とすべり軸受1との接触面積で除算した面圧を疲労発生面圧として計測した。
さらに、ライニング12の引張強度を計測したところ、230MPaであった。引張試験機(島津製作所製 AG−IS)によってライニング12と同一組成の試験片の引張強度を50kNの引張荷重の下で計測することにより、ライニング12の引張強度を計測した。試験片は、後述する製造条件と同様の条件でライニング12のみの平面状のシートを形成することにより用意した。
以上説明したように、Al合金層において0.3質量%以上のMnを含有させることにより、硬質の金属間化合物の含有量を増大させることができ、耐摩耗性を向上させることができる。その一方で、硬質粒子の平均粒子径を0.7μm以上かつ5.5μm以下とすることにより、耐疲労性を向上させることができる。硬質粒子の平均粒子径を小さくすることにより、粗大な硬質粒子に応力が集中することを防止でき、応力が集中した硬質粒子の付近にて疲労クラックが発生することを防止できる。その結果、耐疲労性を向上させることができ、耐摩耗性と耐疲労性とを両立できる。
(2)すべり軸受の製造方法:
本実施形態においてすべり軸受1は、a.溶融、b.ロール鋳造、c.冷間圧延、d.切断、e.機械加工の各工程を順に行うことにより製造される。なお、裏金10と中間層11については公知の製造方法によって製造すればよいため、おもにライニング12の製造方法について説明する。以下、各工程について説明する。
a.溶融
7.0質量%のSnと1.0質量%のSiと1.5質量%のCuと1.2質量%のMnと0.15質量%のCrとを含み、残部がAlとなるように、各材料の単体または合金のインゴットを計量して用意する。次に、各材料のインゴットを、高周波誘導炉によって850℃まで加熱した。これにより、AlとSnとSiとCuとMnとが融解し、ライニング12の溶湯が用意できることとなる。その後、ライニング12の溶湯にArガスの気泡を分散噴出させて、水素ガスや介在物の除去を行った。
b.ロール鋳造
次に、ライニング12の溶湯をロール鋳造装置に注入してロール鋳造を行った。
図3は、ロール鋳造装置100の模式図である。ロール鋳造装置100は、上ロール110と下ロール120とバックダムプレート130とサイドダムプレート140と搬送ローラ150を備える。上ロール110と下ロール120は、銅や軟鋼等の熱伝導性に優れた金属によって円柱状に形成されている。
上ロール110の中心には円筒状の冷却水流路111が形成されており、冷却水流路111に冷却水を流すことにより上ロール110が冷却される。上ロール110の直径を300mmとし、下ロール120の直径を1000mmとした。上ロール110と下ロール120の長さをそれぞれ100mmとした。上ロール110の回転軸110Cと下ロール120の回転軸120Cは、水平であり、互いに平行である。
バックダムプレート130とサイドダムプレート140とは、それぞれ平面板であり、平面視においてコの字状となるように接合されている。バックダムプレート130とサイドダムプレート140の下端面は下ロール120に摺接する。また、サイドダムプレート140のバックダムプレート130と反対側の端面は上ロール110に摺接する。これにより、上ロール110と下ロール120とバックダムプレート130とサイドダムプレート140との間に、溶湯プールを形成することができる。
上ロール110と下ロール120とは、それぞれ周速が30m/minとなるように回転する。周速とは、上ロール110と下ロール120の表面が単位時間あたりに移動する速度を意味する。上ロール110と下ロール120の回転方向は互いに反対方向であり、ロールギャップGが形成される箇所において、上ロール110と下ロール120の表面が同一方向に移動する。
以上のように、上ロール110と下ロール120とを回転させた状態で、上述した溶湯プールに坩堝160等から溶湯Mを注いだ。溶湯プールに注ぐ溶湯Mの温度は、690℃とした。上ロール110と下ロール120との間に形成された隙間から溶湯Mが下流方向へと導出される。上ロール110の回転軸110Cと下ロール120の回転軸120Cとを結ぶ線分L上において、上ロール110と下ロール120との間の最小の隙間(以下、ロールギャップG)が形成される。
上ロール110は、弾性力によって線分Lの方向において下ロール120に接近するように付勢されており、この弾性力を調整することによりロールギャップGを3mmとした。溶湯Mは、線分Lに近づくにつれて隙間が狭くなる上ロール110と下ロール120によって急冷され、線分Lにて500℃まで冷却される。線分Lよりも上流において溶湯Mが上ロール110に接する上ロール110上の距離を60mmとし、線分Lよりも上流において溶湯Mが下ロール120に接する下ロール120上の距離を100mmとした。この場合において、溶湯Mの冷却速度は150℃/sとなった。このように溶湯Mを急冷することにより、硬質粒子の平均粒子径を小さくすることができる。
溶湯Mが線分Lを通過するとライニング12のロール鋳造板が形成され、ライニング12のロール鋳造板が搬送ローラ150上にて搬送される。このとき、ライニング12の鋳造材はさらに冷却される。ライニング12のロール鋳造板の厚みは、ロールギャップGと同じく3mmである。
なお、以上説明したロール鋳造装置100の構成は一例に過ぎず、ライニング12の硬質粒子の狙いの平均粒子径が小さくなるほど、溶湯Mの冷却速度が大きくなるように、上ロール110と下ロール120の回転速度が大きく設定されてもよい。さらに、溶湯Mの冷却速度に応じて上ロール110と下ロール120の直径や水冷の有無等が変更されてもよい。溶湯Mの冷却速度は、20〜200℃/sの間で任意に設定されてもよく、好ましくは80〜160℃/sの間で任意に設定されてもよい。むろん、ロールギャップGは、ロール鋳造板の狙いの厚みに応じて調整されてもよい。
c.冷間圧延
次に、ライニング12のロール鋳造板を焼鈍し、その後、ライニング12のロール鋳造板と中間層11の材料板とをロール圧接機によって圧接圧延した。このときの圧下率を50〜80%とした。さらに、ライニング12のロール鋳造板と中間層11の材料板との圧接板を焼鈍し、その後、当該圧接板と裏金10の材料板とをロール圧接機によって圧接した。このときの圧下率を50〜70%とした。以上により、ライニング12のロール鋳造板と中間層11の材料板と裏金10の材料板とが圧着されたすべり軸受1の圧延板を形成した。すべり軸受1の圧延板をさらに焼鈍し、自然冷却をした。なお、以上説明した冷間圧延において行われる焼鈍と圧接の温度を、340〜400℃から選択した温度とした。焼鈍の時間を1〜10時間から選択した時間とした。
d.切断
次に、すべり軸受1の圧延板を所定の大きさごとに切断した。所定の大きさとは、後述する機械加工を行うことにより、すべり軸受1が形成できる大きさであり、すべり軸受1が取り付けられるコンロッドの形状によって定まる大きさである。
f.機械加工
最後に、切断後のすべり軸受1の圧延板に対してプレス加工を行うことにより、半割形状のすべり軸受1を形成する。さらに、切削加工によって形状や表面状態を仕上げることにより、すべり軸受1を完成させた。
(3)冷却速度について:
表1は、鋳造における冷却速度を変化させた場合のライニング12の疲労発生面圧等を示す表である。試料1は、従来の連続鋳造によって鋳造されたものである。試料1,2は、ロール鋳造装置100によって鋳造されたものである。試料1〜3の材料組成はほぼ同様であるが、試料3(第1実施形態)のMnの含有量は試料1,2のMnの含有量よりも大きくなっている。
表1に示すように、冷却速度が早くなるほど、硬質粒子の平均粒子径が小さくなり、結果としてライニング12の疲労発生面圧が大きくなる。また、冷却速度が早くなるほど、ライニング12の引張強度が大きくなる。なお、試料3のようにMnの含有量が多くなっても、冷却速度を早くすることにより、Mnを含む金属間化合物の粗大化を防止できる。そのため、硬質粒子の密度を高くしつつも硬質粒子の粗大化を防止でき、耐摩耗性と態疲労性とを両立させることができる。なお、Mnを2.5質量%まで含有させても、冷却速度を大きくすることにより、ライニング12の硬質粒子の平均粒子径を5.5μm以下まで小さくすることできることを確認できた。
図4は、ライニング12の冷却速度と硬質粒子の平均粒子径との関係を示すグラフである。同図の縦軸は硬質粒子の平均粒子径を示し、横軸は冷却速度を示す。図4に示すように、冷却速度が20℃/s以上の範囲において、確実に硬質粒子の平均粒子径を5.5μm以下とすることができる。
(4)他の実施形態:
前記実施形態においては、エンジンのクランクシャフトを軸受けするすべり軸受1を構成する摺動部材を例示したが、本発明の摺動部材によって他の用途のすべり軸受1を形成してもよい。例えば、本発明の摺動部材によってトランスミッション用のギヤブシュやピストンピンブシュ・ボスブシュ等のラジアル軸受を形成してもよい。さらに、本発明の摺動部材は、スラスト軸受を構成してもよく、各種ワッシャであってもよいし、カーエアコンコンプレッサ用の斜板であってもよい。また、裏金10や中間層11は、必須ではなく省略されてもよい。さらに、ライニング12上に、BiやSnを主成分とするオーバーレイが形成されてもよい。
また、ロール鋳造装置100は、図2に示すものに限定されない。例えば、ロール鋳造装置100における2個のロールの直径が互いに等しくてもよい。また、ロール鋳造装置100における2個のロールが鉛直方向に並んで配置されてもよく、ロール鋳造板が水平方向に排出されてもよい。さらに、ロール鋳造装置100における2個のロールが水平方向に並んで配置されてもよく、ロール鋳造板が鉛直下方に排出されてもよい。
1…すべり軸受、2…相手軸、10…裏金、11…中間層、12…ライニング、100…ロール鋳造装置、110…上ロール、110C…回転軸、111…冷却水流路、120…下ロール、120C…回転軸、130…バックダムプレート、140…サイドダムプレート、150…搬送ローラ、F…移動体、G…ロールギャップ、L…線分、M…溶湯、R…コンロッド

Claims (2)

  1. 2質量%以上かつ20質量%以下のSnと、
    0.4質量%以上かつ2.5質量%以下のMnと、
    0.1質量%以上かつ7質量%以下のSiと、
    0.3質量%以上かつ2.0質量%以下のCuと、
    0質量%以上かつ0.35質量%以下のCrと、を含み、
    残部が不可避不純物とAlとからなるAl合金層を備え、
    前記Al合金層において、Mnを含む金属間化合物とSi粒子の平均粒子径が0.7μm以上かつ5.5μm以下となっている、
    ことを特徴とする摺動部材。
  2. 2質量%以上かつ20質量%以下のSnと、
    0.4質量%以上かつ2.5質量%以下のMnと、
    0.1質量%以上かつ7質量%以下のSiと、
    0.3質量%以上かつ2.0質量%以下のCuと、
    0質量%以上かつ0.35質量%以下のCrと、を含み、
    残部が不可避不純物とAlとからなる摺動部材用Al合金層の製造方法であって、
    冷却速度が20℃/s以上かつ200℃/s以下となるように鋳造を行う鋳造工程を含む、
    ことを特徴とする摺動部材用Al合金層の製造方法。
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