JP6285760B2 - すべり軸受用アルミニウム圧延合金およびすべり軸受 - Google Patents

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本発明は、すべり軸受用アルミニウム圧延合金およびすべり軸受に関する。
1〜15wt%のSnを含有するアルミニウムを圧延し、圧延後に温度差が10℃以上となるように300〜400℃の室温焼鈍と400〜480℃の高温焼鈍とを行うことにより、すべり軸受用合金を形成することが知られている(特許文献1、参照)。特許文献1においては、室温焼鈍と高温焼鈍とを行うことにより、SiやCrやZrを含む硬質の金属間化合物の析出を促進し、当該析出した金属間化合物によって高面圧下での耐疲労性を向上させることができる。また、Snを析出させることにより、摩擦抵抗を抑制し、耐焼付性を向上させることができる。
特許第3868630号
しかしながら、Snによって高温での硬度が大きく減少するという問題があった。特許文献1において、高温での耐疲労性を十分に確保しようとすると、Snによる硬度の減少を見越して、室温での硬度を大きくしておかなければならない。つまり、特許文献1において、高温での耐疲労性を十分に確保しようとすると、金属間化合物の析出量を増大させなければならなくなる。その結果、金属間化合物と相手軸とが直接接触しやすくなり、金属間化合物と相手軸との間の摩擦熱によって焼付きが発生しやすくなるという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、耐焼付性と高温での耐疲労性とを両立できるすべり軸受用アルミニウム圧延合金およびすべり軸受を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明のすべり軸受用アルミニウム圧延合金は、固溶強化成分と析出強化成分とを含有し、残部は不可避不純物とAlとからなる。析出強化成分は、0.05wt%以上かつ0.35wt%以下のCrと、0.05wt%以上かつ0.3wt%以下のMnと、0.05wt%以上かつ0.3wt%以下のZrとのうち少なくとも1種類で構成され、これらを含んだ化合物または合金が硬質相としてマトリクス中に析出することにより、軸受用アルミニウム圧延合金の硬度を大きくすることができる。一方、固溶強化成分は、0.3wt%以上かつ5.0wt%以下のMg、0.3wt%以上かつ5.0wt%以下のAg、0.3wt%以上かつ2.0wt%以下のCu、または、合計が0.3wt%以上かつ6.0wt%以下のCuおよびAgであり、これらがマトリクス中に固溶することにより、軸受用アルミニウム圧延合金の硬度を大きくすることができる。
MgとAgとCuとは、マトリクスとの親和性が高く、マトリクスに固溶することにより、マトリクスの結晶構造に歪みを持たせることができる。この歪みにより、転位の移動を抑制でき、高温においても硬度の低下を抑制できる。そのため、室温での硬度を過度に高くしなくても、高温における硬度を十分に確保できる。また、固溶強化を行うことにより析出強化成分で構成される硬質相の析出量を抑制できるため、繰返し荷重を受けた場合に、硬質相の界面にて疲労破壊の起点となる亀裂が発生することを防止できる。さらに、固溶強化を行うことにより硬質相の析出量を抑制できるため、硬質相と相手軸との間の摩擦熱を抑制して耐焼付性を向上させることができる。以上説明したように、本発明のすべり軸受用アルミニウム圧延合金では、耐焼付性と高温での耐疲労性とを両立できる。
また、硬質相と相手軸との間の摩擦熱を抑制することを目的として、Snを含有させなくてもよいため、Snによって高温での硬度が小さくなることを防止できる。例えば、180℃における硬度が、室温における硬度の85%以上かつ95%以下となるように構成されてもよい。これにより、室温での硬度を大きくするために、析出強化成分で構成される硬質相の析出量を大きくしなくても、高温における硬度を十分に確保できる。従って、耐焼付性と高温での耐疲労性とを両立できる。また、Snを含有させなくてもよいため、Snによる白化に留意することなく、容易に圧延を行うことができる。
さらに、上述したすべり軸受用アルミニウム圧延合金を加工することによりすべり軸受を形成してもよい。これにより、耐焼付性と高温での耐疲労性とを両立できるすべり軸を形成できる。さらに、すべり軸受用アルミニウム圧延合金と、裏金との間にAlまたはAl合金の中間層が接合されたすべり軸受を形成してもよい。これにより、すべり軸を強化できる。また、本発明のすべり軸受の用途は、特に限定されない。特に、本発明のすべり軸受を、使用温度範囲が広く、かつ、高面圧下において使用することにより、本発明の効果を発揮できる。
コンロッド用のすべり軸受の斜視図である。 (2A)は疲労試験を説明する模式図、(2B)は焼付試験を説明する模式図である。 (3A)は高温での耐疲労性能値を示すグラフ、(3B)は高温での耐焼付性能値を示すグラフ、(3C)は室温での耐焼付性能値を示すグラフ、(3D)は各温度でのビッカース硬さを示すグラフである。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)すべり軸受の構成:
(2)すべり軸受の製造方法:
(3)実験結果:
(4)他の実施形態:
(1)すべり軸受の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかるすべり軸受1の斜視図である。すべり軸受1は、裏金10と中間層11とライニング12とを含む。すべり軸受1は、円筒を直径方向に2等分した半割形状の金属部材であり、断面が半円弧状となっている。2個のすべり軸受1が円筒状になるように組み合わせられた状態で、自動車のエンジンのコンロッドに取り付けられる。2個のすべり軸受1を組み合わせることによって形成される円柱状の中空部分にて、相手軸2(ドットハッチング)としてのクランクシャフトを軸受けする。相手軸2の外径はすべり軸受1の内径よりもわずかに小さく形成されている。相手軸2の外周面と、すべり軸受1の内周面との間に形成される隙間に潤滑油(エンジンオイル)が供給される。相手軸2は、すべり軸受1の曲率中心と一致する回転軸を中心に回転する。その際に、すべり軸受1の内周面上を相手軸2の外周面が摺動する。
すべり軸受1は、曲率中心から遠い順に、裏金10と中間層11とライニング12とが順に積層された構造を有する。従って、裏金10がすべり軸受1の最外層を構成し、ライニング12がすべり軸受1の最内層を構成する。裏金10と中間層11とライニング12とは、それぞれ円周方向において一定の厚みを有している。裏金10の厚みは2mmであり、中間層11の厚みは0.05mmであり、ライニング12の厚みは0.35mmである。ライニング12の曲率中心側の表面の半径(すべり軸受1の内径)は50mmである。なお、コンロッドや相手軸2の形状に応じてすべり軸受1の形状を決定すればよく、すべり軸受1の幅は10〜300mmの間のいずれかの値であってもよいし、すべり軸受1の外径は25〜1000mmの間のいずれかの値であってもよいし、すべり軸受1全体の厚さは0.5〜18mmの間のいずれかの値であってもよい。また、ライニング12の厚さは0.05〜10mmの間のいずれかの値であってもよいし、中間層11の厚さは0.01〜2mmの間のいずれかの値であってもよい。以下、内側とはすべり軸受1の曲率中心側を意味し、外側とはすべり軸受1の曲率中心と反対側を意味することとする。ライニング12の内側の表面は、相手軸2の摺動面を構成する。
裏金10は、Cを0.15wt%含有し、Mnを0.06wt%含有し、残部がFeと不可避不純物とからなる低炭素鋼で形成されている。なお、裏金10は、ライニング12を介して相手軸2からの荷重を支持できる材料で形成されればよく、必ずしも鋼で形成されなくてもよい。
中間層11は、裏金10の内側、かつ、ライニング12の外側に積層された層である。中間層11は、アルミニウム合金によって形成されている。具体的に、中間層11は、Cuを3wt%含有し、Liを1wt%含有し、Mnを0.5wt%含有し、Mgを0.3wt%含有し、Zrを0.1wt%含有し、残部がAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金で形成されている。
ライニング12は、中間層11の内側に積層された層であり、本発明のすべり軸受用アルミニウム圧延合金で形成される。すなわち、本発明のすべり軸受用アルミニウム圧延合金を成形することにより、ライニング12が形成される。ライニング12は、固溶強化成分と析出強化成分とを含有し、残部は不可避不純物とAlとからなる。
具体的に、ライニング12の析出強化成分は、0.2wt%のMnである。Mnはライニング12中においてAl−Mn化合物を形成し、Al−Mn化合物はライニング12中において硬質相として析出している。一方、ライニング12の固溶強化成分は、3.5wt%のMgであり、Mgは全量マトリクス中に固溶している。また、ライニング12の不可避不純物はSi,Zn,V,Fe,Ti,B等であり、精錬もしくはスクラップにおいて混入する不純物である。不可避不純物の含有量は、全体で1.0wt%以下である。
なお、すべり軸受1の各層を構成する元素の質量は、ICP発光分光分析装置(島津製作所製ICPS−8100)によって計測した。
ライニング12のビッカース硬さ(硬度)を計測したところ、室温(20℃)におけるビッカース硬さは64.4であり、180℃におけるビッカース硬さは59.0であった。そのため、180℃におけるライニング12のビッカース硬さを、室温におけるライニング12のビッカース硬さで除算した硬度比は92%であった。ライニング12のビッカース硬さを計測するための試験片は、半割形状へと機械加工する前における板状のすべり軸受用アルミニウム圧延合金の表面を鏡面に仕上げることにより用意した。ビッカース硬さは、マイクロビッカース硬さ計(明石製作所製 MVK−EII)によって、100gの荷重で試験片上の測定点に形成した圧痕の大きさ(2個の対角線の長さの平均値)を測定点のビッカース硬さとして計測した。試験片上における7点の測定点にて測定したビッカース硬さの平均値をライニング12のビッカース硬さとして採用した。また、ヒーター上に試験片を載置することによって試験片を加熱した。
ライニング12の耐疲労性能値を計測したところ、135MPaであった。耐疲労性能値とは、後述する往復動荷重試験機によって疲労試験を行った場合に疲労破壊が生じなかった面圧の上限値である。また、疲労破壊が生じたとは、疲労試験後の摺動面に亀裂が生じていたことを意味する。
図2Aは、往復動荷重試験機によって行った疲労試験の模式図である。図2Aに示すように、長さ方向の両端に円柱状の貫通穴が形成されたコンロッドRを用意し、一端の貫通穴にて相手軸2(ドットハッチング)を軸受けさせた。なお、相手軸2を軸受けするコンロッドRの貫通穴の内周面に、2個のすべり軸受1(斜めハッチング)を円筒形に組み合わせた状態で取り付けた。相手軸2の軸方向におけるコンロッドRの両外側において相手軸2を軸受けし、単位時間あたりの回転数が3000回転/分となるように相手軸2を回転させた。相手軸2とは反対側のコンロッドRの端部を、コンロッドRの長さ方向に往復移動する移動体Fに連結し、当該移動体Fの往復荷重を、疲労試験を行うごとに変化させた。また、単位時間あたりの移動体Fの往復回数が3000回/分となるように移動体Fを往復させた。また、コンロッドRと相手軸2との間に、エンジンオイル(CF−4 10W−30)を給油した。また、試験時のすべり軸受1の温度が180℃となるようにエンジンオイルの温度を調整した。なお、相手軸2は、高周波焼入れを行った炭素鋼(S55C)とした。そして、相手軸2の回転数(移動体Fの往復回数)が107回となるまで、すべり軸受1の疲労試験を継続した。疲労試験後において摺動面に亀裂が生じなかった上限の移動体Fの往復荷重を特定し、当該往復荷重を相手軸2とすべり軸受1との接触面積で除算した面圧を耐疲労性能値として計測した。
摺動面を構成するライニング12の耐焼付性能値を計測したところ、室温において95MPaであり、高温において100MPaであった。耐焼付性能値とは、後述する静荷重試験機によって焼付試験を行った場合に焼付きが生じなかった面圧の上限値である。
図2Bは、静荷重試験機によって行った焼付試験の模式図である。図2Bに示すように、円柱状の相手軸2(ドットハッチング)を軸受けしたすべり軸受1(斜めハッチング)を用意し、すべり軸受1を相手軸2の径方向の外側から一対の保持体Sによって支持した。単位時間あたりの回転数が1300〜8000回転/分となるように相手軸2を回転させた。また、相手軸2の中心軸と垂直に交差する軸上において、一対の保持体Sを互いに相手軸2の中心軸に向けて接近させる静荷重を作用させ、当該静荷重の大きさを5MPaずつ漸増させた。また、少なくともすべり軸受1の全体がエンジンオイルO(SN 0W−20)中に浸漬するようにオイル浴中で焼付試験を行った。相手軸2を回転に要するトルクが所定値以上となった場合と、すべり軸受1の温度が所定温度以上となった場合とにおいて、静荷重試験機を停止させるとともに、静荷重試験機の停止直前に一対の保持体Sに作用させていた面圧(単位接触面積あたりの静荷重)を耐焼付性能値として計測した。所定温度とは、目標温度に許容上昇温度を加算した温度である。高温での耐焼付性能値を計測する際の目標温度は160〜180℃であり、室温での耐焼付性能値を計測する際の目標温度は20〜40℃である。すべり軸受1の温度が目標温度となるようにオイル浴のエンジンオイルOの温度を調整した。許容上昇温度とは、焼付きが生じていない正常な摩擦状態で上昇し得るすべり軸受1の温度であり、目標温度からの上昇温度が許容上昇温度以上となった場合に、焼付きが生じたと見なすことができる。焼付試験において焼付きが生じなかった上限の静荷重を特定し、当該静荷重を相手軸2とすべり軸受1との接触面積で除算した面圧を耐焼付性能値として計測した。
以上説明したように、180℃におけるライニング12のビッカース硬さは、室温におけるビッカース硬さの92%であり、室温における硬度を過度に大きくしなくても、高温における硬度を確保できる。そのため、高温において良好な耐疲労性能値が得られた。ライニング12を固溶強化成分としてのMgによって強化できるため、ライニング12のマトリクス中に硬質相を多量に析出させなくても済む。すなわち、硬質相としてのAl−Mn化合物の析出量を抑制できるため、硬質相と相手軸2との間の摩擦熱によって生じる焼付きを防止できる。また、すべり軸受1を製造する際に、Al−Mn化合物を多量に析出させるための温度管理をしなくても済む。さらに、硬質相の析出量を抑制できるため、潤滑性を確保するためにSnを含有させなくても済み、高温での硬度をより確保しやすくできるとともに、圧延を容易に行うことができる。
(2)すべり軸受の製造方法:
本実施形態においてすべり軸受1は、a.溶融、b.連続鋳造、c.冷間圧延、d.自然冷却、e.切断、f.機械加工の各工程を順に行うことにより製造される。
以下、各工程について説明する。
a.溶融
まず、Mgが3.5wt%となり、Mnが0.2wt%となるように、AlのインゴットとAl−Mg(Al:10wt%)のインゴットとAl−Mn(Al:5wt%)のインゴットとをそれぞれ計量して用意する。次に、AlのインゴットとAl−MgのインゴットとAl−Mnのインゴットとを、高周波誘導炉によって850℃まで加熱した。これにより、AlとMgとMnとが融解し、ライニング12の溶融材料が形成されることとなる。その後、Arガスの気泡を分散噴出させて、水素ガスや介在物の除去を行った。
b.連続鋳造
次に、ライニング12の溶融材料を鋳型に注入し、当該鋳型の開口からライニング12の溶融材料を鋳造方向に引き抜くことにより、ライニング12の連続鋳造板を形成する。連続鋳造によって形成されるライニング12の連続鋳造板の厚みは3〜20mmとした。
c.冷間圧延
次に、ライニング12の連続鋳造板を、ライニング12の厚さとなるまで冷間圧延する。この冷間圧延において、325〜375℃の範囲で焼鈍を繰り返して行うことにより、加工硬化を防止する。ライニング12の連続鋳造板は、必ずしも冷間圧延によって圧延されなくてもよく、熱間圧延によって圧延されてもよい。また、ライニング12の連続鋳造板とともに、中間層11のアルミニウム合金板を冷間圧延することにより、ライニング12の連続鋳造板と中間層11のアルミニウム合金板とを圧着(接着)する。なお、中間層11のアルミニウム合金板は、ライニング12の連続鋳造板と同様に、連続鋳造と圧延を行うことによって製造した。さらに、裏金10の低炭素鋼板(市販品)も合わせて冷間圧延することにより、中間層11のアルミニウム合金板側に裏金10の低炭素鋼板を圧着した。以上により、ライニング12の連続鋳造板と中間層11のアルミニウム合金板と裏金10の低炭素鋼板とが圧着されたすべり軸受1の圧延板を形成した。
d.自然冷却
次に、すべり軸受1の圧延板を室温に放置し、自然冷却する。
e.切断
次に、すべり軸受1の圧延板を所定の大きさごとに切断する。所定の大きさとは、後述する機械加工を行うことにより、すべり軸受1が形成できる大きさであり、すべり軸受1が取り付けられるコンロッドの形状によって定まる大きさである。
f.機械加工
最後に、切断後のすべり軸受1の圧延板に対してプレス加工を行うことにより、半割形状のすべり軸受1を形成する。さらに、切削加工によって形状や表面状態を仕上げることにより、すべり軸受1を完成させる。
(3)実験結果:
表1は、ライニング12の各試験片(本発明の実施例1〜8,比較例1〜4)の機械特性(ビッカース硬さ、硬度比、耐疲労性能値、耐焼付性能値)を測定した結果を示す。
実施例1〜8の各試験片は、上述したすべり軸受の製造方法(f.機械加工を除く)と同様の手法によって製造した。ただし、冷間圧延において中間層11と裏金10とをライニング12に圧着せず、機械加工においてはライニング12の表面の鏡面仕上げのみを行った。比較例1〜4の各試験片は、特許第3868630号に記載されたライニングの製造方法によって製造した。すなわち、CrやMnやZrやSiを含む硬質相の析出が促進されるように比較例1〜4の各試験片を製造した。また、比較例1〜4の各試験片はSnを含有するのに対して、実施例1〜8の各試験片はSnを含有しない。各機械特性は上述した実施形態と同様の手法によって計測した。
Figure 0006285760
図3Aは、室温と180℃との間の硬度比(横軸)と、180℃における耐疲労性能値(縦軸)との関係を示すグラフである。図3Bは、室温と180℃との間の硬度比(横軸)と、室温における耐焼付性能値(縦軸)との関係を示すグラフである。図3Cは、室温と180℃との間の硬度比(横軸)と、180℃における耐焼付性能値(縦軸)との関係を示すグラフである。図3A〜3Cに示すように、実施例1〜8は、比較例1〜4よりも、室温と180℃との間の硬度比が100%に近い値になることが分かった。図3A〜3Cに示すように、室温と180℃との間の硬度比が大きい実施例1〜8は、室温と180℃との間の硬度比が小さい比較例1〜4よりも耐疲労性能値と耐焼付性能値とが良好となることが分かった。比較例1〜4では、CrやMnやZrやSiを含む硬質相を積極的に析出させているが、Snの影響によって高温での耐疲労性が確保できなかったものと考えられる。
図3Dは、実施例2と比較例3,4について、温度(横軸)と、ビッカース硬さ(縦軸)との関係を示すグラフである。同図において、実施例2は、比較例3,4と比較して、高温でも室温に近い硬度が維持できていることが分かった。比較例4では、高温での硬度が不足しており、高温での耐疲労性も確保できていないことが分かった。また、比較例3のように高温でのビッカース硬さを大きくしようとすると、硬質相の析出を促進しなければならず、当該硬質相による摩擦熱が大きくなり、結果として耐焼付性が悪化してしまうことが分かった。これに対して、実施例2は、室温と高温とにおいてほぼ同等のビッカース硬さを維持でき、硬質相の析出量が過多となることもないため、耐焼付性と高温での耐疲労性とを両立できることが分かった。
(4)他の実施形態:
前記実施形態においては、本発明のすべり軸受用アルミニウム圧延合金によって形成したすべり軸受1をコンロッドに使用したが、すべり軸受1の用途はコンロッドに限定されない。例えば、本発明のすべり軸受用アルミニウム圧延合金によってスラスト軸受を形成してもよい。また、すべり軸受1は、ライニング12上にオーバーレイが形成されてもよく、当該オーバーレイは金属層であってもよいし樹脂層であってもよい。
本発明においては、固溶強化成分の全量がライニング12のマトリクスに固溶すればよく、0.3wt%以上かつ5.0wt%以下のMgを固溶強化成分として含有してもよい。ライニング12においてMgを0.3wt%以上とすることにより固溶強化によって耐疲労性を良好にすることができ、ライニング12においてMgを5.0wt%以下とすることによりMgの全量をマトリクスに固溶させることができる。同様に、0.3wt%以上かつ5.0wt%以下のAgを固溶強化成分として含有してもよい。さらに、0.3wt%以上かつ2.0wt%以下のCuを固溶強化成分として含有してもよい。また、CuおよびAgを双方ともライニング12に含有させてもよく、CuおよびAgの合計を6.0wt%以下となるようにすることにより、CuおよびAgの全量をマトリクスに固溶させることができる。CuとAgとは、Al中に同時に含まれても金属間化合物を形成しないため、双方ともライニング12において固溶することができる。
1…すべり軸受、2…相手軸、10…裏金、11…中間層、12…ライニング、F…移動体、R…コンロッド、S…保持体。

Claims (4)

  1. .3wt%以上かつ5.0wt%以下のAg、0.3wt%以上かつ2.0wt%以下のCu、または、合計が0.3wt%以上かつ6.0wt%以下のCuおよびAgを固溶強化成分として含有し、
    0.05wt%以上かつ0.35wt%以下のCrと、0.05wt%以上かつ0.3wt%以下のMnと、0.05wt%以上かつ0.3wt%以下のZrとのうち少なくとも1種類を析出強化成分として含有し、
    残部が不可避不純物とAlとからなることを特徴とするすべり軸受用アルミニウム圧延合金。
  2. 180℃におけるビッカース硬さが、室温におけるビッカース硬さの85%以上かつ95%以下である、
    請求項1に記載のすべり軸受用アルミニウム圧延合金。
  3. .3wt%以上かつ5.0wt%以下のAg、0.3wt%以上かつ2.0wt%以下のCu、または、合計が0.3wt%以上かつ6.0wt%以下のCuおよびAgを固溶強化成分として含有し、
    0.05wt%以上かつ0.35wt%以下のCrと、0.05wt%以上かつ0.3wt%以下のMnと、0.05wt%以上かつ0.3wt%以下のZrとのうち少なくとも1種類を析出強化成分として含有し、
    残部が不可避不純物とAlとからなるすべり軸受用アルミニウム圧延合金と、
    前記すべり軸受用アルミニウム圧延合金と接着された低炭素鋼の裏金と、
    を備えることを特徴とするすべり軸受。
  4. 前記すべり軸受用アルミニウム圧延合金と、前記裏金との間にAlまたはAl合金の中間層が接着されている、
    請求項3に記載のすべり軸受。
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