JP2020128505A - 繊維状セルロース含有組成物及び塗料 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は以下の構成を有する。
[3] 前記グアニジンの塩が塩酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、又はリン酸グアニジンである[2]に記載の繊維状セルロース含有組成物。
[4] 以下の条件により得た塗膜の表面粗さRaが0.20μm以下である[1]〜[3]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
(条件)
前記繊維状セルロース含有組成物と、前記繊維状セルロース1質量部に対してアクリル樹脂156質量部と、前記繊維状セルロース1質量部に対してポリイソシアネート44質量部と、を混ぜて得られた塗布液を、アプリケーターを用いて30μm厚となるように平滑なポリエチレンテレフタレート板上に塗工し塗工後すぐに80℃で30分間乾燥させる。
[5] 前記繊維状セルロースと前記式(A)で表される化合物又はその塩と水との合計量が、組成物全体に対して90質量%以上である[1]〜[4]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
[6] 前記式(A)で表される化合物又はその塩の含有量が、繊維状セルロース100質量部に対して10質量部以上である[1]〜[5]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
[7] 前記繊維状セルロースの固形分濃度を0.4質量%として23℃及び回転数3rpmの条件で測定した粘度が40,000mPa・s以下である[1]〜[6]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
[8] 繊維状セルロースを分散液とし、当該分散液について下記条件で分離した上澄みを回収したときの上澄み収率が80質量%以上となる[1]〜[7]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
(条件)
繊維状セルロースの分散液を固形分濃度0.2質量%に調整し、冷却高速遠心分離機を用い、12000G、10分の条件で遠心分離する。得られた上澄み液を回収し、上澄み液の固形分濃度を測定した。下記式に基づいて、繊維状セルロースの収率を求める。
上澄み収率(%)=上澄みの固形分濃度(%)/0.2×100
[9] 以下の条件により得た塗膜のヤング率が0.7GPa以上である[1]〜[8]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
(条件)
前記繊維状セルロース含有組成物と、前記繊維状セルロース1質量部に対してアクリル樹脂156質量部と、前記繊維状セルロース1質量部に対してポリイソシアネート44質量部と、を混ぜて得られた塗布液を、アプリケーターを用いて30μm厚となるように平滑なポリプロピレン板上に塗工し塗工後すぐに80℃で30分間乾燥させる。
[10] 酵素をさらに含む[1]〜[9]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
[11] 塗料において使用するための[1]〜[10]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
[12] 増粘剤において使用するための[1]〜[10]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
[13] [1]〜[12]のいずれか1に記載の繊維状セルロース含有組成物を含む塗料。
[14] 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、下記式(A)で表される化合物又はその塩とを組み合わせた、繊維状セルロース含有組成物用キット。
本発明の繊維状セルロース含有組成物は、微細繊維状セルロースを含む。微細繊維状セルロースは、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基(以下、単に亜リン酸基ともいう)を有する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
繊維状セルロースの軸比(繊維長/繊維幅)は、とくに限定されないが、たとえば20以上10000以下であることが好ましく、50以上1000以下であることがより好ましい。軸比を上記下限値以上とすることにより、微細繊維含有シートを形成しやすい、また、溶媒分散体を作製した際に十分な増粘性が得られやすい。軸比を上記上限値以下とすることにより、たとえば繊維状セルロースを水分散液として扱う際に、希釈等のハンドリングがしやすくなる点で好ましい。
亜リン酸基の導入は、セルロースを含む繊維原料に対し、亜リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(以下、「亜リン酸化試薬」又は「化合物A」という)を反応させることにより行うことができる。このような亜リン酸化試薬は、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に粉末や水溶液の状態で混合してもよい。また別の例としては、繊維原料のスラリーに亜リン酸化試薬の粉末や水溶液を添加してもよい。
亜リン酸基を有する化合物としては亜リン酸を挙げることができ、亜リン酸としては、たとえば99%亜リン酸(ホスホン酸)が挙げられる。亜リン酸基を有する化合物の塩としては、亜リン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。これらのうち、リンオキソ酸基の導入の効率が高く、後述する解繊工程で解繊効率がより向上しやすく、低コストであり、かつ工業的に適用しやすい観点から、亜リン酸、亜リン酸のナトリウム塩、亜リン酸のカリウム塩、または、亜リン酸のアンモニウム塩が好ましく用いられる。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、亜リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。本実施形態の一例としては、亜リン酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行う場合が挙げられる。
亜リン酸基導入繊維は、解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば湿式微粒化装置、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、又はビーターなどを使用することができ、解繊処理時の微細繊維状セルロースの固形分濃度は適宜設定できる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない湿式微粒化装置、高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。解繊処理(微細化)の回数は特に限定されないが、十分な微細化を促すために複数回行うことが好ましい。上限は特に限定されないが10回以下であることが実際的である。
本発明においては、酵素処理を行ってもよい。即ち、本発明のセルロース含有組成物は、酵素を含んでいてもよい。また、本発明のセルロース含有組成物は、酵素が失活してなるタンパク質を含んでいてもよい。
本発明で用いることができる酵素は、セルラーゼ系酵素であり、セルロースの加水分解反応機能を有する触媒ドメインの高次構造に基づく糖質加水分解酵素ファミリーに分類される。セルラーゼ系酵素はセルロース分解特性によってエンド型グルカナーゼ(endo−glucanase)とセロビオヒドロラーゼ(cellobiohydrolase)に分類される。エンド型グルカナーゼはセルロースの非晶部分や可溶性セロオリゴ糖、又はカルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体に対する加水分解性が高く、それらの分子鎖を内側からランダムに切断し、重合度を低下させる。しかし、エンド型グルカナーゼは結晶性を有するセルロースミクロフィブリルへの加水分解反応性は低い。これに対して、セロビオヒドロラーゼはセルロースの結晶部分を分解し、セロビオースを与える。また、セロビオヒドロラーゼはセルロース分子の末端から加水分解し、エキソ型或いはプロセッシブ酵素とも呼ばれる。本発明においては、エンド型グルカナーゼを使用することが好ましい。
本発明においては、酵素処理後に酵素を失活させてもよい。酵素を失活させるための方法としては、微細繊維状セルロースと酵素の混合物を加熱して100℃にし、温度を保ったまま30分〜1時間静置したり、微細繊維状セルロースと酵素の混合物に対し、強塩基を加えてpHを10以上に調整することなどが挙げられるが、特に限定されない。
上記したセルロース含有組成物の製造方法により、本発明のセルロース含有組成物を製造することができる。
酵素の添加量を上記の範囲内とすることにより、塗工物における粒(凝集物)を抑制することができる。
微細繊維状セルロースと酵素の反応温度及び反応pHは、使用する酵素の至適温度及び至適pHに保つことが好ましく、一般的には、20℃〜80℃、pH4.5〜9.5に保つことが好ましい。
反応条件を上記の範囲内とすることにより、塗工物における粒(凝集物)を抑制することができる。
上述したように微細繊維状セルロースを得る工程においては、繊維原料(粗大繊維状セルロース)を微細化する工程を含むことが好ましい。このとき粗大繊維状セルロースの大部分は微細化されるが、その一部は微細化されずに残る場合がある。このような場合、本発明繊維状セルロース含有組成物には、粗大繊維状セルロースが含まれることとなる。
微細繊維状セルロース分散液を遠心分離した後の上澄み収率を以下に記載の方法により測定した。遠心分離後の上澄み収率は、微細繊維状セルロースの収率の指標となり、上澄み収率が高い程、微細繊維状セルロースの収率が高い。
微細繊維状セルロースの収率(%)=上澄みの固形分濃度(%)/0.2×100
本発明では下記式(A)で表される化合物もしくはその塩(「特定成分」ともいう)を用いる。
本発明において上記式(A)で表される化合物を添加することにより優れた効果を奏する理由は定かではないが、セルロースと、式(A)で表される化合物とが、特に水素結合を介して相互作用し、微細繊維状セルロースの凝集を抑制することが推定される。
本発明の繊維状セルロース含有組成物は、例えば塗料とする場合、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂などの樹脂をさらに含んでもよい。樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、ニトロセルロース、塩化ビニル系樹脂、塩化ゴム系樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるがこれらに制限されない。
本発明の繊維状セルロース含有組成物は、塗料とする場合、硬化剤を含有させることが好ましい。硬化剤としては、公知のものを適宜使用することができるが、例えば、イソシアネート系硬化剤(ポリイソシアネート等)、エポキシ(オキシラン)系硬化剤、オキセタン系硬化剤等が挙げられる。本発明においては、中でも、イソシアネート系硬化剤が好ましい。
本発明の繊維状セルロース含有組成物には、上述した成分以外の任意成分が含まれていてもよい。任意成分としては、たとえば、消泡剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、界面活性剤、カップリング剤、無機層状化合物、無機化合物、レベリング剤、有機系粒子、帯電防止剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、防腐剤、架橋剤等を挙げることができる。また、任意成分として、有機イオンを添加してもよい。
繊維状セルロースの含有量は、繊維状セルロース含有組成物が塗料である場合には、繊維状セルロース含有組成物中の固形分に対して、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。また、繊維状セルロースの含有量は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の繊維状セルロース含有組成物はこれを塗工して塗膜とすることが好ましい。塗膜の厚さは特に限定されないが、塗料としての利用形態を考慮するときには、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、80μm以下であることが特に好ましい。下限値としては、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が特に好ましい。
増粘剤、塗料、膜等の製造工程は、特に限定されない。
増粘剤は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含む分散液(スラリー状の場合がある)と、特定成分もしくはこれを含む溶液と、必要により他の成分(例えば水)とを混合することにより製造することができる。
塗料は、微細繊維状セルロース(分散液であってもよい)と、特定成分(溶液であってもよい)と、樹脂(例えばアクリル樹脂)と、硬化剤(例えばポリイソシアネート)と、必要により他の成分(例えば有機溶媒)とを混合することにより製造することができる。
膜は、微細繊維状セルロースと特定成分とを含む組成物(例えば、上記した塗料又は増粘剤など)を塗布して、塗膜を形成することにより製造することができる。具体的には、例えば、微細繊維状セルロースと特定成分とを含む組成物を基材上に塗工する工程とこれを乾燥する工程により塗膜を形成することができる。
上記で形成した塗膜は基材から剥離して、シートにしてもよい。
また、シートは、微細繊維状セルロースと特定成分とを含む組成物(上記した塗料又は増粘剤でもよい)を抄紙することにより製造してもよい。
塗工工程は、微細繊維状セルロースと特定成分とを含む組成物(上記した塗料又は増粘剤でもよい)を基材上に塗工する工程である。
シートを製造する場合には、塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。
シートを製造する場合、シートの製造工程は、微細繊維状セルロースと特定成分とを含む組成物(上記した塗料又は増粘剤でもよい)を抄紙する工程を含んでもよい。抄紙工程で抄紙機としては、長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等公知の抄紙を行ってもよい。
上述した工程で得られた塗膜又はシートに、さらに他の層を積層して積層体を形成してもよい。このような他の層は、塗膜又はシートの両表面上に設けられていてもよいが、塗膜又はシートの一方の面上にのみ設けられていてもよい。塗膜又はシートの少なくとも一方の面上に積層される他の層としては、例えば、樹脂層や無機層を挙げることができる。
樹脂層は、天然樹脂や合成樹脂を主成分とする層である。ここで、主成分とは、樹脂層の全質量に対して、50質量%以上含まれている成分を指す。樹脂の含有量は、樹脂層の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。なお、樹脂の含有量は、100質量%とすることもでき、95質量%以下であってもよい。
密着助剤としては、例えば、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミノ基及びシラノール基から選択される少なくとも1種を含む化合物や、有機ケイ素化合物が挙げられる。中でも、密着助剤はイソシアネート基を含む化合物(イソシアネート化合物)及び有機ケイ素化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。有機ケイ素化合物としては、例えば、シランカップリング剤縮合物や、シランカップリング剤を挙げることができる。
なお、親水化処理以外の表面処理の方法としては、コロナ処理、プラズマ放電処理、UV照射処理、電子線照射処理、火炎処理等を挙げることができる。
無機層を構成する物質としては、特に限定されないが、例えばアルミニウム、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン;これらの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、もしくは酸化炭化窒化物;又はこれらの混合物が挙げられる。高い防湿性が安定に維持できるとの観点からは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、又はこれらの混合物が好ましい。
本発明のセルロース含有組成物は、増粘剤として各種用途に使用することができる。
また、本発明の繊維状セルロース含有組成物は、例えば、塗料、樹脂、エマルジョン、水硬性材料(セメント)、又はゴムと混合し補強材として使用してもよい。
本発明のセルロース含有組成物を用いて、各種の塗膜又はシートを作製してもよい。
(亜リン酸化工程)
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液(1)を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を下記の測定方法に準じて透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
なお、上記微細繊維状セルロースの0.4質量%粘度を測定したところ22400[mPa・s]であった。
微細繊維状セルロースの繊維幅を下記の方法で測定した。
湿式微粒化装置にて処理をして得られた上記微細繊維状セルロース分散液の上澄み液を、微細繊維状セルロースの濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。これを乾燥した後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。
微細繊維状セルロース分散液(1)に、微細繊維状セルロース1質量部に対して、酵素含有液(AB Enzymes社製、 ECOPULP R、酵素含有量は約5質量%)を3.0×10-6質量部添加し、18,500回転で2分間撹拌した。これを回収し、微細繊維状セルロース分散液(2)を得た。微細繊維状セルロース分散液(2)は酵素を含む。
なお、上記微細繊維状セルロースの0.4質量%粘度を測定したところ9200[mPa・s]であった。
(TEMPO酸化工程)
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(未乾燥)を使用した。この原料パルプに対してアルカリTEMPO酸化処理を次のようにして行った。まず、乾燥質量100質量部相当の上記原料パルプと、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)1.6質量部と、臭化ナトリウム10質量部を、水10000質量部に分散させた。次いで、13質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して3.8mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10以上10.5以下に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了とみなした。
次いで、得られた追酸化済みTEMPO酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、追酸化後のパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、5000質量部のイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
また、得られたTEMPO酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られたTEMPO酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液Aを得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
なお、上記微細繊維状セルロースの0.4質量%粘度を測定したところ20400[mPa・s]であった。
微細繊維状セルロースの亜リン酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図1)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を亜リン酸基量(mmol/g)とした。
微細繊維状セルロースのカルボキシ基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース含有スラリーにイオン交換水を添加して、含有量を0.2質量%とし、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、0.2質量%の微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社製、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察すると、図2に示されるような滴定曲線が得られる。図2に示されるように、この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が一つ観測される。この増分の極大点を第1終点と呼ぶ。ここで、図2における滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼ぶ。第1領域で必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中のカルボキシ基量と等しくなる。そして、滴定曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象の微細繊維状セルロース含有スラリー中の固形分(g)で除すことで、カルボキシ基の導入量(mmol/g)を算出した。
なお、上述のカルボキシ基導入量(mmol/g)は、カルボキシ基の対イオンが水素イオン(H+)であるときの繊維状セルロースの質量1gあたりの置換基量(以降、カルボキシ基量(酸型)と呼ぶ)を示している。
微細繊維状セルロース分散液の粘度は、次のように測定した。まず、微細繊維状セルロース分散液を固形分濃度が0.4質量%となるようにイオン交換水により希釈した後に、ディスパーザーにて1500rpmで5分間撹拌した。次いで、これにより得られた分散液の粘度をB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて測定した。測定条件は、回転速度3rpmとし、測定開始から3分後の粘度値を当該分散液の粘度とした。また、測定対象の分散液は測定前に23℃、相対湿度50%の環境下に一昼夜静置した。粘度の測定温度は23℃とした。その他の詳細な測定条件等は、JISZ8803:2011に準拠した。1水準につき5つの試料を調製し、各2回、合計10回の計測を行い、その算術平均値を採用した。
微細繊維状セルロース分散液を遠心分離した後の上澄み収率を以下に記載の方法により測定した。遠心分離後の上澄み収率は、微細繊維状セルロースの収率の指標となり、上澄み収率が高い程、微細繊維状セルロースの収率が高い。
微細繊維状セルロース分散液を固形分濃度0.2質量%に調整し、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H−2000B)を用い、12000G、10分の条件で遠心分離した。得られた上澄み液を回収し、上澄み液の固形分濃度を測定した。下記式に基づいて、微細繊維状セルロースの収率を求めた。
上澄み収率(%)=上澄みの固形分濃度(%)/0.2×100
1水準につき5つの試料を調製し、各2回、合計10回の測定を行い、その算術平均値を採用した。
(繊維状セルロース含有組成物の調整)
リン酸グアニジン(三和ケミカル社製、品名:アピノン307)にイオン交換水を加え固形分濃度2質量%の水溶液とした。
固形分濃度が2質量%の微細繊維状セルロース分散液(1)100gをビーカーに取り、そこにイオン交換水360g、2質量%のリン酸グアニジン水溶液40gを添加した。添加はT.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)で1500rpmにて撹拌しながら行い、リン酸グアニジン添加後さらに5分間撹拌を行なった後、脱泡装置(シンキー社製、自転・公転ミキサーAR−250)にて脱泡処理を行なった。
これにより、微細繊維状セルロースの固形分濃度が0.4質量%、リン酸グアニジンの固形分濃度が0.16%、微細繊維状セルロース対リン酸グアニジン100対40(質量比)である繊維状セルロース含有組成物を得た。
得られた繊維状セルロース含有組成物の粘度は、23℃、相対湿度50%の環境下に一昼夜静置した後、B型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて測定した。測定条件は、回転速度3rpmとし、測定開始から3分後の粘度値を当該分散液の粘度とした。粘度の測定温度は23℃とした。その他の詳細な測定条件等は、JISZ8803:2011に準拠した。1水準につき5つの試料を調製し、各2回、合計10回の計測を行い、その算術平均値を採用した。
繊維状セルロース含有組成物のpHの測定は繊維状セルロース含有組成物をイオン交換水で0.2質量%となるように希釈した後、pHメーター(D−71S、HORIBA製)により測定した。測定温度は25℃とした。1水準につき5つの試料を調製し、各2回、合計10回の計測を行い、その算術平均値を採用した。pHの測定においてその他の詳細はJISZ 8802:2011に準拠した。
得られた繊維状セルロース含有組成物24.8gをビーカーにはかりとり、イオン交換水34.6g、アクリル樹脂(DIC社、品名:バーノック WD−551、固形分濃度44.1%)35.1g、硬化剤(DIC社製、品名:バーノック DNW−5500、ポリイソシアネート、固形分濃度79.8%)5.5gの順に添加した。添加はT.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)で1500rpmにて撹拌しながら行ない、全て添加後さらに5分間撹拌を行なった後、脱泡装置(シンキー社製、自転・公転ミキサーAR−250)にて脱泡処理を行なった。
このようにして、固形分比:アクリル樹脂:78、硬化剤:22、微細繊維状セルロース:0.5、リン酸グアニジン:0.2(質量比)であり、全固形分の濃度が20質量%である評価用塗料を得た。
リン酸グアニジンの代わりに塩酸グアニジン(三和ケミカル社製、品名:GH−L)の2質量%水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、評価用塗料を得た。
リン酸グアニジンの代わりにスルファミン酸グアニジン(三和ケミカル社製、品名:アピノン145)の2質量%水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、評価用塗料を得た。
微細繊維状セルロース分散液(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、評価用塗料を得た。実施例4の繊維状セルロース含有組成物は酵素を含む。
繊維状セルロース含有組成物中の微細繊維状セルロース対リン酸グアニジンの固形分比を100対20(質量比)とし、塗料調製での取り量を繊維状セルロース含有組成物24.9g、イオン交換水34.5g、アクリル樹脂を35.2g、とした以外は実施例1と同様にして評価用塗料を得た。
(得られた評価用塗料の固形分比はアクリル樹脂:78、硬化剤:22、微細繊維状セルロース:0.5、リン酸グアニジン:0.1(質量比)である。)
繊維状セルロース含有組成物中の微細繊維状セルロース対リン酸グアニジンの固形分比を100対160(質量比)とし、塗料調製での取り量を水分散体24.7g、イオン交換水35g、アクリル樹脂を34.9g、硬化剤を5.4gとした以外は実施例1と同様にして評価用塗料を得た。
(得られた評価用塗量の固形分比はアクリル樹脂:78、硬化剤:22、微細繊維状セルロース:0.5、リン酸グアニジン:0.8(質量比)である。)
固形分濃度が0.4質量%の微細繊維状セルロース分散液(1)24.9gをビーカーに取り、イオン交換水34.4g、アクリル樹脂35.2g、硬化剤5.5gの順に添加した。添加はT.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)で1500rpmにて撹拌しながら行ない、全て添加後、さらに5分間撹拌を行なった後、脱泡装置(シンキー社製、自転・公転ミキサーAR−250)にて脱泡処理を行なった。
このようにして、固形分比アクリル樹脂:78、硬化剤:22、微細繊維状セルロース:0.5(質量比)の評価用塗料を得た。
微細繊維状セルロース分散液Aを用いた以外は比較例1と同様にして、評価用塗料を得た。
微細繊維状セルロース分散液を添加せず、塗料調製での取り量をアクリル樹脂35.2g、イオン交換水34.4g、硬化剤5.5gとし、またこの順で添加した以外は実施例1と同様にして、評価用塗料を得た。
(得られた評価用塗料の固形分比はアクリル樹脂:78、硬化剤:22(質量比)である。)
得られた塗料を用い、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東レ社製、品名:ルミラーT60、厚み75μm)を基材とし、アプリケーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが30μmとなるよう室温で塗工した。塗工後すぐに温度80℃の乾燥機で30分間加熱してPETフィルムを基材とした硬化塗膜の塗工物を得た。なお、塗膜の厚みは、触針式厚さ計(マール社製、ミリトロン1202D)で測定し、20点の算術平均値を採用した。その他の測定条件、算出方法等の詳細は、JISP8118:2014に準じて行った。
光干渉式非接触表面形状測定器(菱化システム社製、非接触表面・層断面形状測定システムVertScan2.0、型式:R5500GML)を用い、×10対物レンズで測定範囲470.92μm×353.16μmの算術平均粗さ(Ra)を測定した。測定は1水準につき5回行い、その平均値から算術平均粗さを求めた。算術平均粗さ(Ra)の定義、測定条件、算出方法等の詳細は、JISB0601:2013に準じて行った。
光学顕微鏡(ニコン社製)を用いてPETフィルムを基材とした塗工物の観察を行い、1mm2中における5μm以上の大きさの凝集物数N(個/mm2)を20箇所で確認し、その算術平均値(N/20)を求めた。測定は1水準につき5回行いその平均値を採用した。その数値(個/mm2)を表に示すとともに、結果を次のように区別した評価した。
サイズ5μm以上の粒が3個/mm2以上あり:×
サイズ5μm以上の粒が3個/mm2未満あり又はなし:○
なお、粒子の大きさは円相当径とし、測定条件、算出方法等の詳細は、JISZ8827−1:2008に準じて行った。
基材にPP(ポリプロピレン)フィルム(東レ社製、品名:トレファンBO、厚み60μm)を用いた以外は「外観評価用塗膜作成」で作成した試験片と同様に作成した。
作成した塗膜はPPフィルムからはがし、強度及びヤング率評価用の試料とした。
試験片の長さ80mm、チャック間距離を50mmとした以外はJIS P 8113:2006に準拠し、引張試験機テンシロン(エー・アンド・デイ社製)を用いてヤング率を算出した。なお、ヤング率を測定する際には、23℃、相対湿度50%で24時間調湿したものを試験片として用いた。測定は1水準につき5回行い、その平均値を採用した。
参考例の繊維状セルロース含有組成物を用いて作成した塗膜の強度(引張強さ)をベース強度とした。このときの試験機、試験条件及び準拠規格は上記ヤング率の測定と同じとした。実施例及び比較例の各試験片について同様に試験を行い、ベース強度から20%以上強度(引張強さ)が高まったものを「○」とした。10%以上20%未満のものを「△」、10%未満のものを「×」とした。測定は1水準につき5回行い、その平均値を採用した。
Claims (14)
- 前記式(A)で表される化合物の塩がグアニジンの塩である請求項1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 前記グアニジンの塩が塩酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、又はリン酸グアニジンである請求項2に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 以下の条件により得た塗膜の表面粗さRaが0.20μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
(条件)
前記繊維状セルロース含有組成物と、前記繊維状セルロース1質量部に対してアクリル樹脂156質量部と、前記繊維状セルロース1質量部に対してポリイソシアネート44質量部と、を混ぜて得られた塗布液を、アプリケーターを用いて30μm厚となるように平滑なポリエチレンテレフタレート板上に塗工し塗工後すぐに80℃で30分間乾燥させる。 - 前記繊維状セルロースと前記式(A)で表される化合物又はその塩と水との合計量が、組成物全体に対して90質量%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 前記式(A)で表される化合物又はその塩の含有量が、繊維状セルロース100質量部に対して10質量部以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 前記繊維状セルロースの固形分濃度を0.4質量%として23℃及び回転数3rpmの条件で測定した粘度が40,000mPa・s以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 繊維状セルロースを分散液とし、当該分散液について下記条件で分離した上澄みを回収したときの上澄み収率が80質量%以上となる請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
(条件)
繊維状セルロースの分散液を固形分濃度0.2質量%に調整し、冷却高速遠心分離機を用い、12000G、10分の条件で遠心分離する。得られた上澄み液を回収し、上澄み液の固形分濃度を測定した。下記式に基づいて、繊維状セルロースの収率を求める。
上澄み収率(%)=上澄みの固形分濃度(%)/0.2×100 - 以下の条件により得た塗膜のヤング率が0.7GPa以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
(条件)
前記繊維状セルロース含有組成物と、前記繊維状セルロース1質量部に対してアクリル樹脂156質量部と、前記繊維状セルロース1質量部に対してポリイソシアネート44質量部と、を混ぜて得られた塗布液を、アプリケーターを用いて30μm厚となるように平滑なポリプロピレン板上に塗工し塗工後すぐに80℃で30分間乾燥させる。 - 酵素をさらに含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 塗料において使用するための請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 増粘剤において使用するための請求項1〜10のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物を含む塗料。
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