JP2020128611A - シート - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明者らは、セルロースナノファイバー(微細繊維状セルロース)の添加により、シートの弾性率を効果的に向上させることを目的として検討を進めた。
針葉樹パルプの含有量をN、広葉樹パルプの含有量をLとした場合、N/Lの値が1以上8以下であるシート。
[2] 繊維状セルロースの含有量が、シートの全質量に対して1質量%以上30質量%以下である[1]に記載のシート。
[3] 繊維状セルロースの繊維幅が、8nm以下である[1]又は[2]に記載のシート。
[4] 針葉樹パルプと広葉樹パルプの混合体のカナダ標準フリーネスが600ml以下である[1]〜[3]のいずれかに記載のシート。
[5] 針葉樹パルプと広葉樹パルプの混合体の変則フリーネスが800ml以下である[1]〜[3]のいずれかに記載のシート。
[6] 下記式で算出される比引張弾性率の上昇率が25%以上である[1]〜[5]のいずれかに記載のシート;
比引張弾性率の上昇率(%)=(シートの比引張弾性率−コントロールシートの比引張弾性率)/コントロールシートの比引張弾性率×100
ここで、コントロールシートとは繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを配合しないで作製したシートである。
本発明は、針葉樹パルプと、広葉樹パルプと、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、を含むシートに関する。本発明のシートにおいて、針葉樹パルプの含有量をN、広葉樹パルプの含有量をLとした場合、N/Lの値は1以上8以下である。本明細書においては、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースは、微細繊維状セルロースということもあり、また上記シートは、微細繊維状セルロース含有シートということもある。
比引張弾性率の上昇率(%)=(シートの比引張弾性率−コントロールシートの比引張弾性率)/コントロールシートの比引張弾性率×100
ここで、コントロールシートとは繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを配合しないで作製したシートである。コントロールシートにおける針葉樹パルプと広葉樹パルプの含有量の比率はシートにおける比率と同様である。
引張強さ(単位はN/m)は、たとえばJIS P 8113に準拠し、引張試験機テンシロン(エー・アンド・デイ社製)を用いて測定される。この引張強さを試験片の厚みで除し、引張強度(単位はMPa)を算出する。なお、引張強さを測定する際には、23℃、相対湿度50%で24時間調湿したものを試験片として用いる。
層間強度は、たとえばJ TAPPI 18−2に準拠し、インターナルボンドテスター(熊谷理機工業社製)を用いて測定できる。また、層間強度を測定する際には、23℃、相対湿度50%で24時間調湿したシートを試験片として用いる。
本発明のシートは、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含む。なお、本明細書においては、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを、微細繊維状セルロースともいう。本発明においては、強度を向上させる観点から、繊維状セルロースの繊維幅は100nm以下であることがより好ましく、8nm以下であることがさらに好ましい。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。この場合、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
微細繊維状セルロースの製造工程は、亜リン酸基導入工程を含む。亜リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、亜リン酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、亜リン酸基導入繊維が得られることとなる。
本実施形態における微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じて亜リン酸基を導入した繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒により亜リン酸基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、とくに限定されない。
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、とくに限定されないが、たとえばアルカリ溶液中に、亜リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。たとえば、亜リン酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理および解繊処理をこの順で行ってもよい。
亜リン酸基導入繊維は、解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。
解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、とくに限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
解繊処理時の微細繊維状セルロースの固形分濃度は適宜設定できる。また、亜リン酸基導入繊維を分散媒に分散させて得たスラリー中には、たとえば水素結合性のある尿素などの亜リン酸基導入繊維以外の固形分が含まれていてもよい。
本発明のシートは、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプを含む。本明細書においては、パルプ(パルプ繊維)は、繊維幅が1000nmより大きいセルロース繊維である。本明細書では、パルプ(パルプ繊維)を粗大セルロース繊維や粗大繊維状セルロースともいう。
なお、本発明のシートにおいて、針葉樹パルプの含有量と広葉樹パルプの含有量の比率は、例えば、JIS P 8120:1998に準拠して、シートから離解し染色した繊維を顕微鏡下で定量することで求めることができる。
微細繊維状セルロースの含有量をC1とし、パルプ繊維の含有量をC2とした場合、C1/(C1+C2)は、0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.08以上であることがとくに好ましい。一方で、C1/(C1+C2)は、0.3以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましい。これにより、シートの生産性と強度のバランスをより効果的に向上させることができる。
ここで、シート中の微細繊維状セルロースは、たとえば走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−3600N)にて観察することが可能である。また、パルプ繊維は、たとえば高分解能電界放出型走査電子顕微鏡(日立製作所製、S−5200)にて観察することが可能である。このような観察により、各繊維の体積比率から質量比率を算出してもよい。但し、後述するようなシートの製造工程における、各セルロース繊維の混合比は、シートにおける微細繊維状セルロースとパルプ繊維の比率と同等である。
本発明のシートには、上述した成分以外の任意成分が含まれていてもよい。任意成分としては、たとえば、親水性樹脂、紙力増強剤、防腐剤、消泡剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、界面活性剤、サイズ剤、歩留まり向上剤、嵩高剤、濾水性向上剤、pH調整剤、蛍光増白剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、消泡剤、保水剤、分散剤等を挙げることができる。
シートの製造工程は、針葉樹パルプと、広葉樹パルプと、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、を含むスラリーを得る工程と、このスラリーを基材上に塗工する工程、又は、スラリーを抄紙する工程を含む。なお、スラリーにおける針葉樹パルプの含有量をN、広葉樹パルプの含有量をLとした場合、N/Lの値は1以上8以下である。
抄紙工程は、抄紙機によりスラリーを抄紙することにより行われる。抄紙工程で用いられる抄紙機としては、とくに限定されないが、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等の公知の抄紙方法を採用してもよい。
塗工工程では、たとえばセルロース繊維を含むスラリー(塗工液)を基材上に塗工し、これを乾燥して形成されたシートを基材から剥離することによりシートを得ることができる。また、塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。
スラリーを基材に塗工する塗工機としては、とくに限定されないが、たとえばロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。シートの厚みをより均一にできることから、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーターがとくに好ましい。
本発明は、上述したシートにさらに他の層が積層された積層体に関するものであってもよい。他の層としては、たとえば、塗布層を挙げることができる。塗布層は、上述したシートの少なくとも一方の面上に直接積層されるものであることが好ましい。
本発明に使用できるバインダーとしては、カゼイン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子、またはポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、カルボキシメチルセルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が使用できる。
本発明において使用できる顔料としてはカオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、合成マイカ、二酸化チタン、酸化亜鉛などの無機顔料、さらにはポリイソプレン、ポリネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン等のポリアルケン類、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系モノマーの重合体や共重合体類、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等の各種の密実型、中空型あるいは貫通孔型粒子等の有機顔料が挙げられ、顔料の1種又は2種以上を使用することができる。
本発明のシートは、本発明の効果を損なわない限りにおいて必要に応じて平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理は通常のスーパーキャレンダー、グロスキャレンダー、ソフトキャレンダー等の平滑化処理装置を用いることができる。
本発明のシートは、単独で又は他の材料と組み合わせて、印刷用の紙、フィルター、セパレーター、粒子担持シート、包装材、ダンボールなどの種々の紙製品、湿式、乾式不織布、おむつ、家電の部材、各種の乗り物や建物の内装材、外装材などに使用することができる。
<パルプ成分の作製>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の濃度が2質量%になるよう水を加えて分散した後、ビーターで叩解した。広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)にも同様の操作を行った。固形分質量比が80:20(NBKP:LBKP)となるように各パルプを混合し、NBKP80/LBKP20パルプスラリーを得た。NBKPとLBKPの固形分質量比が80:20の混合体のカナダ標準フリーネスは450mlであった。なお、カナダ標準フリーネスはJIS P 8121−1995に規定のカナダ標準ろ水度法により測定した値である。
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
パルプ混合体の固形分が80質量部、微細繊維状セルロースの固形分が20質量部となるように、NBKP80/LBKP20(フリーネス450ml)パルプスラリーと微細繊維状セルロース含有分散液を混合し、さらにポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリン(星光PMC株式会社製、湿潤紙力剤WS4030)0.5質量部を添加して抄紙用スラリーを得た。抄紙用スラリーの固形分濃度は0.5質量%であった。
この抄紙用スラリーを、角型手抄き装置を用い、ワイヤー上で抄紙・脱水し、湿潤シートを得た。湿潤シートを、ヤンキードライヤーにて温度110℃で乾燥して、厚み50μm、坪量20g/m2のシートを作製した。
なお、実施例1のコントロールシートとして、NBKP80/LBKP20パルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
<パルプ成分の作製>において、NBKPとLBKPの混合比を60:40(NBKP:LBKP)とした以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
なお、実施例2のコントロールシートとして、NBKP60/LBKP40パルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
<パルプ成分の作製>において、NBKPとLBKPの混合比を50:50(NBKP:LBKP)とした以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
なお、実施例3のコントロールシートとして、NBKP50/LBKP50パルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
NBKP60質量部とLBKP40質量部の合計濃度が4質量%になるよう水を加えて分散した後、ダブルディスクレファイナーで叩解し、NBKP60/LBKP40高叩解パルプスラリーを得た。NBKPとLBKPの固形分質量比が60:40の高叩解パルプの変則フリーネスは570mlであった。なお、変則フリーネスは、JIS P 8121−1995に規定のカナダ標準ろ水度法において、パルプ濃度を0.3質量%から0.03質量%に変更し、JIS規格スクリーンプレートから80メッシュワイヤーに変更して測定したフリーネスである。
この抄紙用スラリーを、角型手抄き装置を用い、ワイヤー上で抄紙・脱水し、湿潤シートを得た。湿潤シートを、ヤンキードライヤーにて温度110℃で乾燥して、厚み40μm、坪量20g/m2のシートを作製した。
なお、実施例4のコントロールシートとして、NBKP60/LBKP40高叩解パルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
高叩解パルプ混合体の固形分が90質量部、微細繊維状セルロースの固形分が10質量部となるように、NBKP60/LBKP40(変則フリーネス570ml)高叩解パルプスラリーと微細繊維状セルロース含有分散液を混合し、さらにポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリン(星光PMC株式会社製、湿潤紙力剤WS4030)0.5質量部を添加して抄紙用スラリーを得た。抄紙用スラリーの固形分濃度は0.5質量%であった。
この抄紙用スラリーを、角型手抄き装置を用い、ワイヤー上で抄紙・脱水し、湿潤シートを得た。湿潤シートを、ヤンキードライヤーにて温度110℃で乾燥して、厚み40μm、坪量20g/m2のシートを作製した。
なお、実施例5のコントロールシートとして、NBKP60/LBKP40高叩解パルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
<パルプ成分の作製>において、LBKPを混合しなかった以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
なお、比較例1のコントロールシートとして、NBKPパルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
<パルプ成分の作製>において、NBKPとLBKPの混合比を90:10(NBKP:LBKP)とした以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
なお、比較例2のコントロールシートとして、NBKP90/LBKP10パルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
<パルプ成分の作製>において、NBKPとLBKPの混合比を40:60(NBKP:LBKP)とした以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
なお、比較例3のコントロールシートとして、NBKP40/LBKP60パルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
<パルプ成分の作製>において、NBKPを混合しなかった以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
なお、比較例4のコントロールシートとして、LBKPパルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
NBKP100質量部の濃度が4質量%になるよう水を加えて分散した後、ダブルディスクレファイナーで叩解し、NBKP100高叩解パルプスラリーを得た。NBKP100の高叩解パルプの変則フリーネスは330mlであった。
この抄紙用スラリーを、角型手抄き装置を用い、ワイヤー上で抄紙・脱水し、湿潤シートを得た。湿潤シートを、ヤンキードライヤーにて温度110℃で乾燥して、厚み20μm、坪量20g/m2のシートを作製した。
なお、比較例5のコントロールシートとして、NBKP高叩解パルプスラリーを100質量部及びポリアミンポリアミド・エピクロロヒドリンを0.5質量部含む抄紙用スラリーから上記と同様の方法でシートを作製した。
<置換基量の測定>
微細繊維状セルロースの亜リン酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図1)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を亜リン酸基量(mmol/g)とした。
微細繊維状セルロースの繊維幅は下記の方法で測定した。
微細繊維状セルロース分散液の上澄み液を濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。
カナダ標準フリーネスは、JIS P 8121−1995に準じて、カナダ標準ろ水度法により測定される値である。高叩解パルプの濾水度は、一般的なカナダ標準ろ水度法では測定が難しいため、変則フリーネスの測定方法で測定した。具体的には、JIS P 8121−1995に規定のカナダ標準ろ水度法において、パルプ濃度を0.3質量%から0.03質量%に変更し、JIS規格スクリーンプレートから80メッシュワイヤーに変更して測定した濾水度を変則フリーネスとした。
[比引張弾性率]
試験片の長さを80mm、チャック間距離を50mmとした以外はJIS P 8113に準拠し、引張試験機テンシロン(エー・アンド・デイ社製)を用いて引張弾性率を測定した。なお、弾性率は、SSカーブにおける正の最大の傾き値から計算した値である。なお、引張弾性率を測定する際には、23℃、相対湿度50%で24時間調湿したものを試験片として用いた。その後、以下の式を用いて比引張弾性率を算出した。なお、試験片の密度はJIS P 8118:2014に準拠して測定したものである。
比引張弾性率(kNm/g)=シートの引張弾性率(GPa)/密度(g/cm3)
さらに、比引張弾性率を以下の基準で評価した。
A:10kNm/gを超える
B:10kNm/g以下で8.5kNm/gを超える
C:8.5kNm/g以下で7kNm/gを超える
D:7kNm/g以下
比引張弾性率の上昇率を以下の式を用いて算出した。
比引張弾性率の上昇率(%)=(シートの比引張弾性率−コントロールシートの比引張弾性率)/コントロールシートの比引張弾性率×100
なお、コントロールシートとは繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを配合しないで作製したシートである。例えば、実施例1では、NBKP80質量部と、LBKP20質量部を混合したスラリーから形成したシートがコントロールシートとなる。
さらに、比引張弾性率の上昇率を以下の基準で評価した。
A:35%を超える
B:35%以下で25%を超える
C:25%以下で15%を超える
D:15%以下
手抄き用スラリー(固形分濃度0.5質量%)250gをワイヤー(ハイク・ワグナー社製、HT2525−30)上に流し、水が引くまでの時間(ワイヤー上のパルプスラリーから水が抜け、パルプ表面から光沢が消えるまでの時間)を測定し、以下の基準で評価した。
A:5分未満
B:5分以上30分未満
C:30分以上
Claims (6)
- 針葉樹パルプと、広葉樹パルプと、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、を含み、
前記針葉樹パルプの含有量をN、前記広葉樹パルプの含有量をLとした場合、N/Lの値が1以上8以下であるシート。 - 前記繊維状セルロースの含有量が、前記シートの全質量に対して1質量%以上30質量%以下である請求項1に記載のシート。
- 前記繊維状セルロースの繊維幅が、8nm以下である請求項1又は2に記載のシート。
- 前記針葉樹パルプと前記広葉樹パルプの混合体のカナダ標準フリーネスが600ml以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート。
- 前記針葉樹パルプと前記広葉樹パルプの混合体の変則フリーネスが800ml以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート。
- 下記式で算出される比引張弾性率の上昇率が25%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート;
比引張弾性率の上昇率(%)=(シートの比引張弾性率−コントロールシートの比引張弾性率)/コントロールシートの比引張弾性率×100
ここで、コントロールシートとは繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを配合しないで作製したシートである。
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