次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による車両電源システムを搭載した車両のレイアウト図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による車両電源システム10を搭載した車両1は、運転席よりも前方の、車両の前部に内燃機関であるエンジン12が搭載され、主駆動輪である左右1対の後輪2aを駆動する所謂FR(Front engine, Rear drive)車である。また、後述するように、後輪2aは主駆動モータによっても駆動され、副駆動輪である左右1対の前輪2bは、インホイールモータである副駆動モータによって駆動される。
即ち、車両1は、車両駆動装置として、後輪2aを駆動するエンジン12と、後輪2aに駆動力を伝達する動力伝達機構14と、後輪2aを駆動する主駆動モータ16と、前輪2bを駆動する副駆動モータ20と、制御装置24と、を搭載している。また、車両1には、直流電圧を交流電圧に変換して主駆動モータ16を駆動するインバータ16aと、直流電圧を交流電圧に変換して副駆動モータ20を駆動するインバータ20aが搭載されている。
また、車両1に搭載された本発明の第1実施形態による車両電源システム10は、バッテリ18と、キャパシタ22と、外部電源17からの電力を受け入れて、バッテリ18及びキャパシタ22に充電するための充電装置19及び給電口23と、を有する。本実施形態の車両電源システム10の具体的構成については、後述する。
エンジン12は、車両1の主駆動輪である後輪2aに対する駆動力を発生するための内燃機関である。本実施形態においては、エンジン12として直列4気筒エンジンが採用されており、車両1の前部に配置されたエンジン12が動力伝達機構14を介して後輪2aを駆動するようになっている。
動力伝達機構14は、エンジン12及び主駆動モータ16が発生した駆動力を主駆動輪である後輪2aに伝達するように構成されている。図1に示すように、動力伝達機構14は、エンジン12及び主駆動モータ16に接続された動力伝達軸であるプロペラシャフト14a、及び変速機であるトランスミッション14bを備えている。
主駆動モータ16は、主駆動輪に対する駆動力を発生するための電動機であって、車両1の車体上に設けられ、エンジン12の後ろ側に、エンジン12に隣接して配置されている。また、主駆動モータ16に隣接してインバータ16aが配置されており、このインバータ16aにより、バッテリ18の直流電圧が交流電圧に変換されて主駆動モータ16に供給される。さらに、図1に示すように、主駆動モータ16はエンジン12と直列に接続されており、主駆動モータ16が発生した駆動力も動力伝達機構14を介して後輪2aに伝達される。また、本実施形態においては、主駆動モータ16として、48Vで駆動される25kWの永久磁石電動機(永久磁石同期電動機)が採用されている。
副駆動モータ20は、副駆動輪である前輪2bに対する駆動力を発生するように、前輪2b各輪に設けられている。また、副駆動モータ20はインホイールモータであり、前輪2b各輪のホイール内に夫々収容されている。また、キャパシタ22の直流電圧は、トンネル部15内に配置されたインバータ20aにより交流電圧に変換されて、各副駆動モータ20に供給される。さらに、本実施形態においては、副駆動モータ20には減速機構である減速機が設けられておらず、副駆動モータ20の駆動力は前輪2bに直接伝えられ、車輪が直接駆動される。また、本実施形態においては、各副駆動モータ20として、17kWの誘導電動機が夫々採用されている。
バッテリ18は、主として主駆動モータ16を作動させる電気エネルギーを蓄積するための蓄電器である。さらに、本実施形態においては、バッテリ18として、48V、3.5kWhのリチウムイオンバッテリ(LIB)が使用されている。
キャパシタ22は、副駆動モータ20によって回生された電力を蓄積可能に設けられている。後述するように、キャパシタ22は車両1後部のプラグイン式の充電装置19と概ね対称の位置に配置されると共に、車両1の前輪2b各輪に設けられた副駆動モータ20に電力を供給する。主としてキャパシタ22に蓄積された電力により駆動される副駆動モータ20は、主駆動モータ16よりも高い電圧で駆動される。
充電装置19はバッテリ18及びキャパシタ22に電気的に接続され、充電スタンド等の外部電源17から給電口23を介して供給された電力を、これらに充電するように構成されている。一般に、充電スタンド等の外部電源17は、所定の下限電圧(例えば、50V)以上の電圧で充電を行うように構成されており、本実施形態の車両電源システム10は、この下限電圧に対応している。
給電口23は、車両1の後部側面に設けられたコネクタであり、充電装置19に電気的に接続されている。給電口23のコネクタは、充電スタンド等の外部電源17から延びる電気ケーブル17aの外部充電プラグ17bを接続可能に構成されており、給電口23を介して電力が充電装置19に供給される。このように、本実施形態の車両電源システム10は、直流電力を供給する外部電源17を、電気ケーブル17aを介して給電口23に接続することにより、バッテリ18及びキャパシタ22に充電可能に構成されている。
また、給電口23は開閉可能な給電口カバー23aによって覆われており、充電時においては、給電口カバー23aを開けて給電口23を露出させ、給電口23に電気ケーブル17aの外部充電プラグ17bを接続する。さらに、給電口カバー23aにはロック機構23bが設けられており、給電口カバー23aは、ロック機構23bにより閉状態(給電口カバー23aが閉まった状態)にロックされる。充電時においては、ロック機構23bを、ロック状態から非ロック状態に切り替えることにより、給電口カバー23aを開けることができるようにする。
制御装置24は、エンジン12、主駆動モータ16、及び副駆動モータ20を制御して、電動機走行モード及び内燃機関走行モードを実行するように構成されている。具体的には、制御装置24は、マイクロプロセッサ、メモリ、インタフェイス回路、及びこれらを作動させるプログラム(以上、図示せず)等によって構成することができる。
次に、図2乃至図4を参照して、本発明の第1実施形態による車両電源システム10の構成及び作用を概略的に説明する。図2は、本発明の第1実施形態による車両電源システム10のブロック図であり、外部電源17による充電時の電流の流れを概略的に示す図である。図3は、本発明の第1実施形態による車両電源システム10のブロック図であり、主駆動モータ16及び副駆動モータ20を駆動する際の電流の流れを概略的に示す図である。図4は、本発明の第1実施形態による車両電源システム10のブロック図であり、副駆動モータ20により回生された電力を充電する際の電流の流れを概略的に示す図である。
まず、図2に示すように、本実施形態の車両電源システム10においては、バッテリ18とキャパシタ22が直列に接続されている。即ち、本実施形態においては、バッテリ18の正極端子と、キャパシタ22の負極端子を接続することにより、これらが電気的に直列に接続されている。また、バッテリ18の負極端子は、車両1の車体アースに接続されている。ここで、本実施形態においては、バッテリ18の定格電圧は、外部電源17の下限電圧(50V)よりも低い48Vに設定され、キャパシタ22の定格電圧は、外部電源17の下限電圧よりも高い72Vに設定されている。なお、本明細書において、バッテリ18の定格電圧とは、一般的な条件下での作動電圧の最大値を意味し、キャパシタ22の定格電圧とは、キャパシタ22に与えられる最大の電圧を意味する。また、バッテリが一般的な条件下で放電した場合の平均的な作動電圧をバッテリの公称電圧という。さらに、バッテリ18の定格電圧はキャパシタ22の定格電圧よりも低く設定されているが、バッテリ18に蓄積可能な電荷(電気量:クーロン)は、キャパシタ22に蓄積可能な電荷よりも多くなるように構成されている。
このように、本実施形態においては、バッテリ18の定格電圧が下限電圧よりも低い電圧に設定されているため、電圧の変換を行うことなく外部電源17からバッテリ18に直接充電を行うことはできない。一方、直列に接続されたバッテリ18及びキャパシタ22に対しては、電圧の変換を行うことなく外部電源17から直接充電を行うことが可能になる。即ち、バッテリ18と直列に接続されたキャパシタ22の電圧(バッテリ18の負極とキャパシタ22の正極の間の電圧)は、下限電圧以上であるため、外部電源17からバッテリ18及びキャパシタ22に充電することができる。従って、図2に示すように、外部電源17による充電時においては、外部電源17からの直流電流がキャパシタ22、バッテリ18に流れ、キャパシタ22及びバッテリ18が充電される。また、充電装置19は、キャパシタ22及びバッテリ18に夫々接続されており、これらに対する充電を制御するように構成されている。充電装置19の具体的な構成及び作用については後述する。
なお、充電装置19は、キャパシタ22に蓄積されている電荷を降圧してバッテリ18に充電したり、バッテリ18蓄積されている電荷を昇圧してキャパシタ22に充電したりすることができるように、DC−DCコンバータを内蔵していても良い。この場合には、充電装置19に内蔵された充電コントローラ19a(図5)がDC−DCコンバータを制御して、バッテリ18の出力電圧を昇圧してキャパシタ22に充電する。このように、バッテリ18及びキャパシタ22に接続されたDC−DCコンバータを備えることにより、バッテリ18とキャパシタ22の間で電荷の授受が可能となる。これにより、車両電源システム10の使用状況に応じてバッテリ18及びキャパシタ22の蓄電量を調整することができる。
次に、図3に示すように、主駆動モータ16及び副駆動モータ20を駆動する場合には、夫々異なる経路で電力が供給される。まず、主駆動モータ16は、48V程度の比較的低電圧で駆動されるため、主駆動モータ16用のインバータ16aには、バッテリ18から直接電力が供給される。即ち、インバータ16aには、バッテリ18の正極端子及び負極端子が接続され、バッテリ18の直流電圧が印加される。一方、副駆動モータ20は、120V程度の比較的高電圧で駆動されるため、副駆動モータ20用のインバータ20aには、バッテリ18及びキャパシタ22から電力が供給される。即ち、インバータ20aには、キャパシタ22の正極端子と、バッテリ18の負極端子が接続され、バッテリ18及びキャパシタ22の電圧を加算した電圧が印加される。また、キャパシタ22の電荷が放電され、キャパシタ22の端子間電圧が低下した場合には、バッテリ18に蓄積された電荷が充電装置19によってキャパシタ22に充電される。これにより、キャパシタ22の端子間電圧が上昇し、副駆動モータ20の駆動に必要な電圧が確保される。一方、車両1に搭載された12V系の車載機器28に対しては、バッテリ18の出力電圧をDC−DCコンバータ26によって降圧して電力が供給される。
さらに、図4に示すように、車両1の制動時においては、車両1の運動エネルギーが主駆動モータ16によって回生され、電力が生成される。主駆動モータ16からの出力電圧は、バッテリ18の正極端子と負極端子の間に印加され、バッテリ18に充電が行われる。また、車両1の制動時においては、副駆動モータ20によっても回生が行われ、電力が生成される。副駆動モータ20からの出力電圧は、キャパシタ22の正極端子とバッテリ18の負極端子の間に印加され、バッテリ18及びキャパシタ22に充電が行われる。なお、副駆動モータ20によって回生された電力が大きく、キャパシタ22の端子間電圧が所定値以上に上昇した場合には、充電装置19によってキャパシタ22に蓄積された電荷が放電され、バッテリ18に充電される。
次に、図5乃至図11を参照して、本発明の第1実施形態による車両電源システム10の詳細な構成、及び作用を説明する。
図5は、本実施形態の車両電源システム10の回路を示す図である。図6は、本実施形態の車両電源システム10による外部電源からの充電時における作用を示すタイムチャートである。図7は、本実施形態の車両電源システム10による外部電源からの充電時における回路の状態を示す図である。図8は、本実施形態の車両電源システム10によるキャパシタの充電時における作用を示すタイムチャートである。図9は、本実施形態の車両電源システム10によるキャパシタの充電時における回路の状態を示す図である。図10は、本実施形態の車両電源システム10においてキャパシタの電荷をバッテリに充電する作用を示すタイムチャートである。図11は、本実施形態の車両電源システム10においてキャパシタの電荷をバッテリに充電する際の回路の状態を示す図である。
図5に示すように、本実施形態の車両電源システム10は、給電口23を介して外部電源17の電気ケーブル17aに接続され、外部電源17により充電可能に構成されている。また、車両電源システム10には、バッテリ18と、キャパシタ22と、充電装置19が備えられ、外部電源17からの電力がバッテリ18及びキャパシタ22に充電されるように構成されている。
また、上述したように、バッテリ18の正極端子はキャパシタ22の負極端子に接続され、バッテリ18とキャパシタ22が電気的に直列に接続されている。さらに、バッテリ18の正極端子にはスイッチSWbattが接続され、キャパシタ22の正極端子にはスイッチSWcapが接続され、バッテリ18及びキャパシタ22の接続、非接続が切り替え可能に構成されている。
充電装置19は、直列接続されたバッテリ18及びキャパシタ22に対して並列に接続されている。また、充電装置19には直列に接続された4つのスイッチが内蔵されており、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4が、この順序で接続されている。スイッチSW1の一端はキャパシタ22の正極端子に接続される一方、スイッチSW4の一端はバッテリ18の負極端子に接続されている。また、スイッチSW2とSW3の接続点は、バッテリ18とキャパシタ22の接続点に接続されている。これらのスイッチSW1〜SW4、及びバッテリ18及びキャパシタ22に夫々設けられたSWbatt、SWcapは、充電装置19に内蔵された充電コントローラ19aによって開閉が制御される。具体的には、制御器である充電コントローラ19aは、マイクロプロセッサ、メモリ、インタフェイス回路、及びこれらを作動させるプログラム(以上、図示せず)等によって構成することができる。さらに、スイッチSW1とSW2の接続点と、スイッチSW3とSW4の接続点の間には、充電用キャパシタ19bが接続されている。なお、本実施形態においては、各スイッチとして半導体スイッチが採用されているが、機械接点によるリレーをスイッチとして使用することもできる。
次に、図6及び図7を参照して、外部電源17によるバッテリ18及びキャパシタ22への充電を説明する。なお、図6及び図7は、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計が、外部電源17による充電が可能な下限電圧以上である場合を示している。
図6は、外部電源17によるバッテリ18及びキャパシタ22への充電時における車両電源システム10の作用を示すタイムチャートである。図6は、上段から順に、外部電源17から入力される電圧Vin、スイッチSWbatt及びSWcapの開閉状態、スイッチSW1及びSW3の開閉状態、スイッチSW2及びSW4の開閉状態を示している。これに続いて図6には、キャパシタ22の端子間電圧Vcap(キャパシタ22の正極端子と負極端子の間の電圧)、キャパシタ22に流れる電流Icap、バッテリ18の端子間電圧Vbatt、バッテリ18に流れる電流Ibatt、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vc、充電用キャパシタ19bに流れる電流Icが示されている。
図7は、外部電源17によるバッテリ18及びキャパシタ22への充電時における各スイッチの状態、及び電流の流れを示す図である。各スイッチは、外部電源17による充電中において、図7の上段に示すステージ(1)、中段に示すステージ(2)、下段に示すステージ(3)の状態に順次設定される。
まず、図6の時刻t1において、外部電源17による充電が開始されると、充電コントローラ19aは、スイッチSWbatt及びSWcapをON(閉状態)にし、スイッチSW1〜SW4をOFF(開状態)にする。これにより、車両電源システム10は、図7の上段に示すステージ(1)の状態となる。この状態では、バッテリ18及びキャパシタ22が外部電源17に接続される一方、充電装置19は外部電源17から切り離される。これにより、外部電源17から供給された電流が、キャパシタ22及びバッテリ18に流入(電流Icap、Ibatt>0)し、これらに充電される。これに伴い、キャパシタ22の端子間電圧Vcap及びバッテリ18の端子間電圧Vbattが上昇する。ここで、キャパシタ22に蓄積可能な電荷は、バッテリ18に蓄積可能な電荷よりも少ないため、キャパシタ22の端子間電圧Vcapはバッテリ18の端子間電圧Vbattよりも急激に上昇する。このため、時刻t2においてキャパシタ22の端子間電圧Vcapは、キャパシタ22の定格電圧近くまで上昇する。
キャパシタ22の端子間電圧Vcapが上昇すると、時刻t2において充電コントローラ19aは、スイッチSW1及びSW3をONにする(スイッチSWbatt及びSWcapはONのまま、スイッチSW2及びSW4はOFFのまま)。これにより、車両電源システム10は、図7の中段に示すステージ(2)の状態となる。この状態では、外部電源17からの電流が充電装置19の充電用キャパシタ19bに流入すると共に、キャパシタ22に蓄積された電荷が放電(電流Icap<0)され、充電用キャパシタ19bに流入(電流Ic>0)する。これにより、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが上昇し、一方、キャパシタ22の端子間電圧Vcapは低下する。これにより、キャパシタ22は、再び充電可能な状態となる。なお、キャパシタ22の電圧が低下した時刻t3の状態においても、バッテリ18の端子間電圧Vbattとキャパシタ22の端子間電圧Vcapを合計した電圧は、外部電源17による充電が可能な下限電圧以上に維持される。
充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが所定電圧まで上昇すると、時刻t3において充電コントローラ19aは、スイッチSW1及びSW3をOFFにし、スイッチSW2及びSW4をONにする(スイッチSWbatt及びSWcapはONのまま)。これにより、車両電源システム10は、図7の下段に示すステージ(3)の状態となる。この状態では、外部電源17からの電流がキャパシタ22及びバッテリ18に流入して、これらが充電されると共に、充電用キャパシタ19bに蓄積された電荷もスイッチSW2、SWbattを通ってバッテリ18に充電される。これにより、キャパシタ22の端子間電圧Vcap及びバッテリ18の端子間電圧Vbattが上昇すると共に、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが低下する。
キャパシタ22の端子間電圧Vcapが定格電圧近くまで上昇すると、時刻t4において充電コントローラ19aは、各スイッチを切り替えて、再び車両電源システム10を、図7の中段に示すステージ(2)の状態にする。この状態では、キャパシタ22の端子間電圧Vcapが低下すると共に、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが上昇する(バッテリ18の端子間電圧Vbattはほぼ一定)。次いで、時刻t5において充電コントローラ19aは、各スイッチを図7の下段に示すステージ(3)の状態に切り替え、キャパシタ22及びバッテリ18の端子間電圧を上昇させ、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcを低下させる。以降、充電コントローラ19aは、ステージ(2)の状態とステージ(3)の状態を交互に切り替え、バッテリ18の端子間電圧Vbattを上昇させる(バッテリ18に充電する)。充電コントローラ19aは、バッテリ18の端子間電圧Vbattが充電終了閾値まで上昇し、キャパシタ22の端子間電圧Vcapが定格電圧近くまで上昇すると、キャパシタ22及びバッテリ18への充電を終了する。
次に、図8及び図9を参照して、バッテリ18に蓄積された電荷によるキャパシタ22への充電を説明する。なお、図8及び図9に示す作用は、外部電源17による充電を可能にするために、充電コントローラ19aの指令信号に基づいて、所定のタイミングで実行される。即ち、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計(キャパシタ22の電圧)が、外部電源17による充電が可能な下限電圧未満に低下すると充電が不可となるため、キャパシタ22に充電してキャパシタ22の電圧を上昇させて充電を可能にする。また、図8及び図9に示す作用は、車両1の走行中等に、キャパシタ22に蓄積された電荷が低下した場合において、キャパシタ22の端子間電圧を上昇させる目的でも実行される。即ち、走行中にキャパシタ22に蓄積された電荷が減少し、端子間電圧が低下すると、副駆動モータ20を駆動するために必要な電圧が得られなくなるため、キャパシタ22に充電を行うことにより、必要な電圧を回復する。
図8は、バッテリ18によるキャパシタ22への充電時における車両電源システム10の作用を示すタイムチャートである。図8は、上段から順に、バッテリ18とキャパシタ22の端子間電圧の合計Vin、スイッチSWbatt及びSWcapの開閉状態、スイッチSW1及びSW3の開閉状態、スイッチSW2及びSW4の開閉状態を示している。これに続いて図8には、キャパシタ22の端子間電圧Vcap、キャパシタ22に流れる電流Icap、バッテリ18の端子間電圧Vbatt、バッテリ18に流れる電流Ibatt、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vc、充電用キャパシタ19bに流れる電流Icが示されている。
図9は、バッテリ18の電荷によるキャパシタ22への充電時における各スイッチの状態、及び電流の流れを示す図である。各スイッチは、キャパシタ22への充電中において、図9の上段に示すステージ(11)、中段に示すステージ(12)、下段に示すステージ(13)の状態に順次設定される。
まず、図8の時刻t11においては、バッテリ18とキャパシタ22の端子間電圧の合計Vinが下限電圧未満であるため、これを上昇させるべくキャパシタ22への充電が実行される。キャパシタ22への充電を開始すべく、充電コントローラ19aは、時刻t11においてスイッチSWbatt及びSWcapをON(閉状態)にする。さらに、充電コントローラ19aは、時刻t12においてスイッチSW2及びSW4をONにする(スイッチSW1及びSW3はOFF(開状態)のまま)。これにより、車両電源システム10は、図9の上段に示すステージ(11)の状態となる。この状態では、バッテリ18から出力された電流(Ibatt<0)が、スイッチSWbatt及びスイッチSW2を通って充電装置19の充電用キャパシタ19bに流入(Ic>0)する。これにより、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが上昇する。一方、バッテリ18の端子間電圧Vbattは低下するが、バッテリ18には十分な電荷が蓄積されているため、その低下量は僅かである。
充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが所定電圧まで上昇すると、時刻t13において充電コントローラ19aは、スイッチSW1及びSW3をONにし、スイッチSW2及びSW4をOFFにする(スイッチSWbatt及びSWcapはONのまま)。これにより、車両電源システム10は、図9の中段に示すステージ(12)の状態となる。この状態では、充電装置19の充電用キャパシタ19bから放電された電流(電流Ic<0)がキャパシタ22に流入(電流Icap>0)する。これにより、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが低下し、一方、キャパシタ22の端子間電圧Vcapは上昇する(バッテリ18の端子間電圧Vbattは変化しない)。この結果、キャパシタ22とバッテリ18の端子間電圧の合計(Vin)が上昇する。
充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが所定電圧まで低下すると、時刻t14において充電コントローラ19aは、スイッチSW1及びSW3をOFFにし、スイッチSW2及びSW4をONにする(スイッチSWbatt及びSWcapはONのまま)。これにより、車両電源システム10は、図9の上段に示すステージ(11)の状態に戻る。この状態では、上述したように、バッテリ18からの電流が充電用キャパシタ19bに流入して、充電用キャパシタ19bに充電される。これにより、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが上昇すると共に、バッテリ18の端子間電圧Vbattが僅かに低下する。
充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが所定の電圧まで低下すると、時刻t15において充電コントローラ19aは、各スイッチを切り替えて、再び車両電源システム10を、図9の中段に示すステージ(12)の状態にする。この状態では、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが低下すると共に、キャパシタ22の端子間電圧Vcapが上昇する(バッテリ18の端子間電圧Vbattはほぼ一定)。この結果、キャパシタ22とバッテリ18の端子間電圧の合計(Vin)が更に上昇する。以降、充電コントローラ19aは、ステージ(11)の状態とステージ(12)の状態を交互に切り替え、キャパシタ22の端子間電圧Vcap、及びキャパシタ22とバッテリ18の端子間電圧の合計(Vin)を上昇させる(キャパシタ22に充電する)。即ち、図9のステージ(11)とステージ(12)を交互に繰り返すことにより、バッテリ18に蓄積されている電荷が放電されてキャパシタ22に充電され、キャパシタ22の端子間電圧Vcapが上昇する。一方、バッテリ18の電荷は放電されるが、バッテリ18の容量は十分に大きいため、バッテリ18の端子間電圧Vbattの低下は僅かである。このため、バッテリ18の電荷をキャパシタ22に充電することにより、キャパシタ22とバッテリ18の端子間電圧の合計(Vin)を上昇させることができる。
図8の時刻t18において、キャパシタ22とバッテリ18の端子間電圧の合計が外部充電開始閾値の電圧に達すると、充電コントローラ19aは、時刻t19において外部電源17からの充電を開始する。なお、外部充電開始閾値は、外部電源17による充電が可能な下限電圧以上に設定されている。即ち、充電コントローラ19aは時刻t19において、スイッチSWbatt及びSWcapをONにする一方、スイッチSW1〜SW4をOFFにし、車両電源システム10を図9の下段に示すステージ(13)の状態にする。これにより、外部電源17から供給された電流がキャパシタ22及びバッテリ18に流入し、キャパシタ22及びバッテリ18の端子間電圧が上昇する。なお、時刻t19の後、キャパシタ22の端子間電圧Vcapが所定電圧に到達した場合には、図6及び図7により説明した動作に移行し、バッテリ18への充電を実行する。
上記の図8及び図9により説明した動作は、キャパシタ22及びバッテリ18の端子間電圧の合計を、外部電源17からの充電が可能な下限電圧以上の電圧に上昇させる目的で実行されたものである。しかしながら、図8及び図9による動作は、副駆動モータ20に必要な電圧を印加することを目的として、キャパシタ22及びバッテリ18の端子間電圧の合計を上昇させる場合にも実行される。この場合には、図8及び図9による動作は、キャパシタ22及びバッテリ18の端子間電圧の合計が、下限電圧よりも高い状態においても実行される。
次に、図10及び図11を参照して、キャパシタ22に蓄積された電荷によるバッテリ18への充電を説明する。なお、図10及び図11に示す作用は、副駆動モータ20により回生された電力をキャパシタ22に充電することにより、キャパシタ22の端子間電圧が、所定電圧以上に上昇した場合に実行される。即ち、キャパシタ22の端子間電圧が定格電圧以上に上昇すると、キャパシタ22が劣化する虞がある。このため、キャパシタ22に充電された電荷を、バッテリ18に充電し、回生された電力を有効に活用する。
図10は、キャパシタ22によるバッテリ18への充電時における車両電源システム10の作用を示すタイムチャートである。図11は、上段から順に、バッテリ18とキャパシタ22の端子間電圧の合計Vin、スイッチSWbatt及びSWcapの開閉状態、スイッチSW1及びSW3の開閉状態、スイッチSW2及びSW4の開閉状態を示している。これに続いて図11には、キャパシタ22の端子間電圧Vcap、キャパシタ22に流れる電流Icap、バッテリ18の端子間電圧Vbatt、バッテリ18に流れる電流Ibatt、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vc、充電用キャパシタ19bに流れる電流Icが示されている。
図11は、キャパシタ22の電荷によるバッテリ18への充電時における各スイッチの状態、及び電流の流れを示す図である。各スイッチは、バッテリ18への充電中において、図11の上段に示すステージ(21)、中段に示すステージ(22)、下段に示すステージ(23)の状態に順次設定される。
まず、図10の時刻t21においては、キャパシタ22の端子間電圧Vcapが所定電圧以上であるため、これ以上キャパシタ22への充電が行えない状態となっている。このため、副駆動モータ20によって回生された電力をキャパシタ22に充電可能な状態とすべく、キャパシタ22に蓄積された電荷をバッテリ18へ充電し、キャパシタ22の端子間電圧Vcapを低下させる。充電コントローラ19aは、時刻t22においてスイッチSW1及びSW3をONにする(スイッチSWbatt及びSWcapはON(閉状態)のまま、スイッチSW2及びSW4はOFF(開状態)のまま)。これにより、車両電源システム10は、図11の上段に示すステージ(21)の状態となる。この状態では、キャパシタ22から放電された電流(Icap<0)が、スイッチSWcap及びスイッチSW1を通って充電装置19の充電用キャパシタ19bに流入(Ic>0)する。これにより、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが上昇し、キャパシタ22の端子間電圧Vcapは低下する。
充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが所定電圧まで上昇すると、時刻t23において充電コントローラ19aは、スイッチSW2及びSW4をONにし、スイッチSW1及びSW3をOFFにする(スイッチSWbatt及びSWcapはONのまま)。これにより、車両電源システム10は、図11の中段に示すステージ(22)の状態となる。この状態では、充電装置19の充電用キャパシタ19bから放電された電流(電流Ic<0)がバッテリ18に流入(電流Ibatt>0)する。これにより、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが低下し、一方、バッテリ18の端子間電圧Vbattは僅かに上昇する(キャパシタ22の端子間電圧Vcapは変化しない)。
充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが所定電圧まで低下すると、時刻t24において充電コントローラ19aは、スイッチSW1及びSW3をONにし、スイッチSW2及びSW4をOFFにする(スイッチSWbatt及びSWcapはONのまま)。これにより、車両電源システム10は、図11の上段に示すステージ(21)の状態に戻る。この状態では、上述したように、キャパシタ22からの電流が充電用キャパシタ19bに流入して、充電用キャパシタ19bに充電される。これにより、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが上昇すると共に、キャパシタ22の端子間電圧Vcapが低下する。
充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが所定の電圧まで低下すると、時刻t25において充電コントローラ19aは、各スイッチを切り替えて、再び車両電源システム10を、図11の中段に示すステージ(22)の状態にする。この状態では、充電用キャパシタ19bの端子間電圧Vcが低下すると共に、バッテリ18の端子間電圧Vbattが僅かに上昇する。以降、充電コントローラ19aは、ステージ(21)の状態とステージ(22)の状態を交互に切り替えて、キャパシタ22に蓄積された電荷をバッテリ18に充電して、キャパシタ22の端子間電圧Vcapを低下させる。即ち、図11のステージ(21)とステージ(22)を交互に繰り返すことにより、キャパシタ22の端子間電圧Vcapを低下させ、副駆動モータ20によって回生された電力をキャパシタ22に充電可能な状態に復帰させる。
図10の時刻t28において、キャパシタ22の端子間電圧Vcap、又はキャパシタ22とバッテリ18の端子間電圧の合計が、夫々に対して設定された放電終了閾値の電圧まで低下すると、充電コントローラ19aは、車両電源システム10を、図11の下段に示すステージ(23)の状態にする。即ち、充電コントローラ19aは、時刻t29において、スイッチSWbatt及びSWcapをOFFにすると共に、スイッチSW1〜SW4もOFFにして、車両電源システム10を待機状態とする。
次に、図12を参照して、バッテリ18に蓄積された電荷によるキャパシタ22への充電を説明する。
図12は、バッテリ18の電荷によるキャパシタ22への充電のタイミングを決定するためのフローチャートである。
図12に示すフローチャートによる処理は、バッテリ18の電荷によりキャパシタ22への充電を行うか否かを決定するために、充電コントローラ19aによって所定の時間間隔で繰り返し実行される。まず、図12のステップS1においては、車両1に搭載された各センサから種々の検出信号が、充電コントローラ19aに読み込まれる。ステップS1において読み込まれる検出信号には、少なくともキャパシタ22の電圧を表す信号、車速センサ(図示せず)により検出された車速の信号、及びロック機構23bから出力されるロックが解除されているか否かを示す信号が含まれている。
次いで、ステップS2においては、車速センサから読み込まれた信号に基づいて、車両1が停車しているか否かが判断される。本実施形態においては、車速センサから読み込まれた車速がゼロである場合に、車両1が停車していると判断される。車両1が停車している場合にはステップS3に進み、車両1が走行していない場合には、図12に示すフローチャートの1回の処理を終了する。即ち、車両1が走行している場合には、充電スタンド等の外部電源17による充電が行われることがないため、ステップS3以下の処理によりキャパシタ22の電圧を充電可能な状態まで上昇させる必要はない。
一方、ステップS3においては、ロック機構23bによる給電口カバー23aのロックが解除されているか否かが判断される。給電口カバー23aのロックが解除されている場合にはステップS4に進み、ロックが解除されていない場合には、図12に示すフローチャートの1回の処理を終了する。即ち、外部電源17による充電は、ロック機構23bによる給電口カバー23aのロックが解除され、給電口カバー23aが開けられた状態で行われるため、給電口カバー23aが閉状態にロックされている状態で充電が行われることはない。
このように、本実施形態においては、ステップS3において給電口カバー23aのロックが解除されているか否かに基づいて、ステップS4以下の処理を行うか否かを判断している。しかしながら、変形例として、給電口カバー23aの開閉を検出する開閉センサ(図示せず)を設けておき、給電口カバー23aが開状態にあることが開閉センサによって検出された場合に、ステップS4以下の処理が行われるように本発明を構成することもできる。これにより、充電を行おうとしたとき、キャパシタの電圧を早期に下限電圧以上にすることができ、外部電源による充電を開始することができる。
一方、ステップS4においては、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計が、外部電源17による充電が可能な下限電圧未満であるか否かが判断される。端子間電圧の合計が下限電圧未満である場合にはステップS5に進み、下限電圧以上である場合には、図12に示すフローチャートの1回の処理を終了する。即ち、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計が、外部電源17による充電が可能な下限電圧以上である場合には、キャパシタ22の端子間電圧を上昇させることなく、そのまま外部電源17による充電が可能であるため、ステップS5による処理は実行されない。
一方、ステップS5において、充電コントローラ19aは、図7及び図8によって説明した手順を実行することにより、バッテリ18に蓄積されている電荷を放電してキャパシタ22に充電し、キャパシタ22の端子間電圧を上昇させる。これにより、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計が下限電圧以上にされ(図8の時刻t18の状態)、外部電源17による充電が可能な状態とされ、図12のフローチャートの処理を終了する。このように、充電コントローラ19aは、外部電源17による充電の準備が為されると、バッテリ18の電荷を放電してキャパシタ22に充電し、車両電源システム10を充電可能な状態にする。
本発明の第1実施形態の車両電源システム10によれば、制御器である充電コントローラ19aが、キャパシタ充電器である充電装置19を制御して、バッテリ18に蓄積されている電荷を放電してキャパシタに充電する(図7及び図8)。これにより、キャパシタ22の電圧が下限電圧よりも低い場合(図8の時刻t11の状態)には、キャパシタ22の電圧を下限電圧以上に上昇させる(図8の時刻t18の状態)。このため、電圧の低いバッテリ18を使用している場合でも、キャパシタ22の電圧を外部電源17による充電が可能な下限電圧以上とすることができ、車両電源システム10を外部電源17により充電することが可能になる。
また、本実施形態の車両電源システム10によれば、車両1の停車しているとき、キャパシタの電圧が下限電圧よりも低い場合には、バッテリ18に蓄積されている電荷が放電されキャパシタ22に充電される(図12のステップS2→S3)。このため、充電が実行される可能性のある停車時に、キャパシタ22の電圧を下限電圧以上にしておくことができ、停車後、早期に外部電源17により充電を開始することができる。
さらに、本実施形態の車両電源システム10によれば、給電口カバー23aのロック機構23bが非ロック状態に切り替えられたとき(図12のステップS3→S4)、キャパシタ22に充電し、キャパシタ22の電圧を下限電圧以上にすることができる。このため、充電を行おうとしたとき、早期に外部電源17による充電を開始することができる。
次に、図13を参照して、本発明の第2実施形態による車両電源システムを説明する。
本実施形態の車両電源システムは、バッテリの電荷により、キャパシタへの充電を実行するタイミングが上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の部分については説明を省略する。
図13は、バッテリ18の電荷によるキャパシタ22への充電のタイミングを決定するためのフローチャートである。
図13に示すフローチャートによる処理は、バッテリ18の電荷によりキャパシタ22への充電を行うか否かを決定するために、充電コントローラ19aによって所定の時間間隔で繰り返し実行される。まず、図13のステップS11においては、車両1に搭載された各センサから種々の検出信号が、充電コントローラ19aに読み込まれる。ステップS1において読み込まれる検出信号には、少なくともキャパシタ22の電圧を表す信号、車速センサ(図示せず)により検出された車速の信号、及び給電口23から出力される給電口23に外部電源17の外部充電プラグ17bが接続されているか否かを示す信号が含まれている。
次いで、ステップS12においては、車速センサから読み込まれた信号に基づいて、車両1が停車しているか否かが判断される。車両1が停車している場合にはステップS13に進み、車両1が走行していない場合には、図13に示すフローチャートの1回の処理を終了する。即ち、車両1が走行している場合には、充電スタンド等の外部電源17による充電が行われることがないため、ステップS13以下の処理によりキャパシタ22の電圧を充電可能な状態まで上昇させる必要はない。
一方、ステップS13においては、給電口23に外部電源17の外部充電プラグ17bが接続されているか否かが判断される。即ち、給電口23には、外部電源17の外部充電プラグ17bが給電口23に接続されているか否かを検出するセンサ(図示せず)が設けられており、このセンサの検出信号に基づいて外部充電プラグ17bが接続されているか否かが判断される。外部充電プラグ17bが接続されている場合にはステップS14に進み、外部充電プラグ17bが接続されていない場合には、図13に示すフローチャートの1回の処理を終了する。即ち、外部電源17による充電は、給電口23に外部電源17の外部充電プラグ17bが接続された状態で行われるため、外部充電プラグ17bが接続されていない状態で充電が行われることはない。
一方、ステップS14においては、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計が、外部電源17による充電が可能な下限電圧未満であるか否かが判断される。端子間電圧の合計が下限電圧未満である場合にはステップS15に進み、下限電圧以上である場合には、図13に示すフローチャートの1回の処理を終了する。
一方、ステップS15において、充電コントローラ19aは、図7及び図8によって説明した手順を実行することにより、バッテリ18に蓄積されている電荷を放電してキャパシタ22に充電し、キャパシタ22の端子間電圧を上昇させる。これにより、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計が下限電圧以上にされ(図8の時刻t18の状態)、外部電源17による充電が可能な状態とされ、図13のフローチャートの処理を終了する。
本発明の第2実施形態の車両電源システムによれば、外部電源17が給電口23に接続されたとき、キャパシタ22に充電し、キャパシタ22の電圧を下限電圧以上にすることができる。このため、充電を行おうとしたとき、早期に外部電源17による充電を開始することができる。
次に、図14を参照して、本発明の第3実施形態による車両電源システムを説明する。
本実施形態の車両電源システムは、バッテリの電荷により、キャパシタへの充電を実行するタイミングが上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本実施形態の、第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の部分については説明を省略する。
図14は、バッテリ18の電荷によるキャパシタ22への充電のタイミングを決定するためのフローチャートである。
図14に示すフローチャートによる処理は、バッテリ18の電荷によりキャパシタ22への充電を行うか否かを決定するために、充電コントローラ19aによって所定の時間間隔で繰り返し実行される。まず、図14のステップS21においては、車両1に搭載された各センサから種々の検出信号が、充電コントローラ19aに読み込まれる。ステップS21において読み込まれる検出信号には、少なくともキャパシタ22の電圧を表す信号が含まれている。
次に、ステップS22においては、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計(キャパシタ22の電圧)が、外部電源17による充電が可能な下限電圧未満であるか否かが判断される。端子間電圧の合計が下限電圧未満である場合にはステップS23に進み、下限電圧以上である場合には、図14に示すフローチャートの1回の処理を終了する。
ステップS23においては、充電コントローラ19aは、図7及び図8によって説明した手順を実行することにより、バッテリ18に蓄積されている電荷を放電してキャパシタ22に充電し、キャパシタ22の端子間電圧を上昇させる。これにより、バッテリ18の端子間電圧とキャパシタ22の端子間電圧の合計が下限電圧以上に維持され(図8の時刻t18の状態)、外部電源17による充電が可能な状態にされ、図14のフローチャートの処理を終了する。
本発明の第3実施形態の車両電源システムによれば、制御器である充電コントローラ19aは、キャパシタ充電器である充電装置19を制御して、バッテリ18に蓄積されている電荷を放電してキャパシタ22に充電し、キャパシタ22の電圧を下限電圧以上に維持している。即ち、本実施形態の車両電源システムにおいては、キャパシタ22の電圧が外部電源17による充電が可能な下限電圧未満に低下すると、車両1の走行中であってもバッテリ18の電荷が放電されキャパシタ22に充電される。このため、電圧が下限電圧以下のバッテリを使用している場合でも、車両電源システムは、常に外部電源による充電が可能な状態に維持され、何時でも充電を行うことができる。
また、本発明の第3実施形態の車両電源システムにおいては、キャパシタ22の電圧が下限電圧未満に低下すると、キャパシタ22への充電が実行されている。これに対して、変形例として、キャパシタ22の電圧が下限電圧よりも高い所定の電圧未満に低下したとき、キャパシタ22への充電が実行されるように本発明を構成することもできる。本変形例によれば、キャパシタ22の電圧を、確実に下限電圧以上に維持することができ、外部電源による充電が可能な状態を確実に維持することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態において、車両電源システムは、車両の主駆動モータ及び副駆動モータの駆動に使用されていたが、本発明の車両電源システムは、車両に搭載される任意の電気機器に電力供給に使用することができる。また、上述した実施形態においては、車両電源システムの給電口に、外部電源の外部充電プラグを接続することにより充電を行っていたが、車両の停車中や走行中に外部電源から非接触で充電できるように本発明を構成することもできる。この場合には、外部電源からの電力を非接触で受電することができる給電機器を設けておき、この給電機器を介して受電した電力をバッテリ及び/又はキャパシタに充電できるように車両電源システムを構成する。さらに、上述した実施形態においては、定格電圧48Vのバッテリを有する車両電源システムに本発明を適用していたが、公称電圧が下限電圧よりも低いバッテリを有する車両電源システムに本発明を適用することもできる。