JP2020125454A - ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂ワニス、光学フィルム及びフレキシブル表示装置 - Google Patents

ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂ワニス、光学フィルム及びフレキシブル表示装置 Download PDF

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Kentaro Masui
建太朗 増井
皓史 宮本
Koji Miyamoto
皓史 宮本
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Sung-Min Kim
成民 金
池内 淳一
Junichi Ikeuchi
淳一 池内
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Abstract

【課題】高い全光線透過率、高い弾性率を有する光学フィルムを製造することが可能であるポリアミドイミド系樹脂の提供。【解決手段】テトラカルボン酸化合物に由来する式(a)、ジカルボン酸化合物に由来する式(b)、及び、ジアミン化合物に由来する式(c)で表される構成単位を有する。[Yは4価、Zは2価、Xは2価の有機基を表し、Rcは、互いに独立に、水素原子又は結合手]【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミドイミド系樹脂、該樹脂を含むポリアミドイミド系樹脂ワニス及び光学フィルム、並びに、該光学フィルムを備えるフレキシブル表示装置に関する。
現在、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置は、テレビのみならず、携帯電話やスマートウォッチといった種々の用途で広く活用されている。従来、このような表示装置の前面板としてはガラスが用いられてきた。しかし、ガラスは透明度が高く、種類によっては高硬度を発現できる反面、非常に剛直であり、割れやすいため、フレキシブル表示装置の前面板材料としての利用は難しい。
そのため、ガラスに代わる材料として高分子材料の活用が検討されている。高分子材料からなる前面板はフレキシブル特性を発現し易いため、種々の用途に用いることが期待される。柔軟性を有する高分子材料の1つとして、例えばポリアミドイミド系樹脂を用いる光学フィルムが検討されている(特許文献1及び2)。
特表2015−521686号公報 特開2018−119132号公報
ポリアミドイミド系樹脂を用いる光学フィルムが検討されているものの、光学フィルムの光学特性及び弾性率のさらなる向上に対する要求はなお存在する。さらに、ポリアミドイミド系樹脂を含む光学フィルムを製造する際、該樹脂又は該樹脂の前駆体を溶媒に溶解させたワニスを塗工する工程が行われており、ポリアミドイミド系樹脂を構成するモノマーの種類によっては、ワニスの安定性が十分でない場合があり、ワニス中にゲルが発生し、製膜性及び光学フィルムの光学特性が低下する場合があった。
従って本発明は、高い全光線透過率を維持しつつ、高い弾性率を有する光学フィルムを製造することが可能であり、ワニスの状態での安定性に優れる、ポリアミドイミド系樹脂を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の構成単位を少なくとも有し、特定範囲の重量平均分子量を有するポリアミドイミド系樹脂が、得られる光学フィルムの全光線透過率を維持しつつ、弾性率を高めやすく、かつ、ワニスの状態での安定性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕テトラカルボン酸化合物に由来する式(a)で表される構成単位、ジカルボン酸化合物に由来する式(b)で表される構成単位、及び、ジアミン化合物に由来する式(c)で表される構成単位:
Figure 2020125454
[式(a)中、Yは4価の有機基を表し、
式(b)中、Zは2価の有機基を表し、
式(c)中、Xは2価の有機基を表し、
は、互いに独立に、水素原子又は結合手を表し、
*は結合手を表す]
を少なくとも有するポリアミドイミド系樹脂であって、該テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(a)中のYが式(1):
Figure 2020125454
[式(1)中、Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、
に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
nは0〜2の整数を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位(a1)を含み、該ポリアミドイミド系樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量は330,000以上である、ポリアミドイミド系樹脂。
〔2〕ジカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(2):
Figure 2020125454
[式(2)中、Zは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位(b1)を含み、かつ、ジアミン化合物に由来する構成単位として、式(3):
Figure 2020125454
[式(3)中、Xは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
は、互いに独立に、水素原子又は結合手を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位(c1)を含む、前記〔1〕に記載のポリアミドイミド系樹脂。
〔3〕式(3)中のXは式(4):
Figure 2020125454
[式(4)中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、
に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
rは、互いに独立に、1〜4の整数を表し、
*は結合手を表す]
で表される、前記〔2〕に記載のポリアミドイミド系樹脂。
〔4〕ジカルボン酸化合物に由来する構成単位として式(b)中のZが式(5):
Figure 2020125454
[式(5)中、Arは、互いに独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
Vは、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R12)−を表し、ここで、該炭化水素基に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
12は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、
mは1〜3の整数を表し、ただし、mが2又は3の場合に複数存在するVは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、
*は結合手を表す]
で表される構成単位(b2)を含む、及び/又は、ジアミン化合物に由来する構成単位として式(c)中のXが式(5)で表される構成単位(c2)を含む、及び/又は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(a)中のYが式(6):
Figure 2020125454
[式(6)中、Arは、互いに独立に、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表し、
sは0〜2の整数を表し、
Ar、V及び*は、式(5)中のAr、V及び*について定義した通りであり、ただし、sが2の場合に複数存在するV及びArは、それぞれ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい]
で表される構成単位(a2)をさらに含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリアミドイミド系樹脂。
〔5〕式(5)及び式(6)は、式(7):
Figure 2020125454
[式(7)中、Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、Rに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
は、R又は結合手を表し、
*は結合手を表し、
Vは、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R12)−を表し、ここで、該炭化水素基に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、R12は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す〕
で表される、前記〔4〕に記載のポリアミドイミド系樹脂。
〔6〕式(7)は、式(7’):
Figure 2020125454
[式(7’)中、Rは、水素原子又は結合手を表し、*は結合手を表す]
又は式(7”):
Figure 2020125454
[式(7”)中、*は結合手を表す]
で表される、前記〔5〕に記載のポリアミドイミド系樹脂。
〔7〕式(1)は式(1’):
Figure 2020125454
[*は、結合手を表す]
で表される、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリアミドイミド系樹脂。
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のポリアミドイミド系樹脂及び溶媒を含む、ポリアミドイミド系樹脂ワニス。
〔9〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のポリアミドイミド系樹脂を含む光学フィルム。
〔10〕前記〔9〕に記載の光学フィルムを備えるフレキシブル表示装置。
〔11〕タッチセンサをさらに備える、前記〔10〕に記載のフレキシブル表示装置。
〔12〕偏光板をさらに備える、前記〔10〕又は〔11〕に記載のフレキシブル表示装置。
本発明のポリアミドイミド系樹脂によれば、高い全光線透過率を維持しつつ、高い弾性率を有する光学フィルムを提供することができる。また、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、ワニスの状態での安定性が良好である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、テトラカルボン酸化合物に由来する式(a)で表される構成単位、ジカルボン酸化合物に由来する式(b)で表される構成単位、及び、ジアミン化合物に由来する式(c)で表される構成単位:
Figure 2020125454
[式(a)中、Yは4価の有機基を表し、
式(b)中、Zは2価の有機基を表し、
式(c)中、Xは2価の有機基を表し、
は、互いに独立に、水素原子又は結合手を表し、
*は、結合手を表す]
を少なくとも有するポリアミドイミド系樹脂であって、該テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(a)中のYが式(1):
Figure 2020125454
[式(1)中、Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、
に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
nは0〜2の整数を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位を含み、該ポリアミドイミド系樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量は330,000以上である。本明細書において、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位を、「構成単位(a1)」とも称する。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、テトラカルボン酸化合物に由来する式(a)で表される構成単位(以下において、「構成単位(a)」とも称する)、ジカルボン酸化合物に由来する式(b)で表される構成単位(以下において、「構成単位(b)」とも称する)、及び、ジアミン化合物に由来する式(c)で表される構成単位(以下において、「構成単位(c)」とも称する)を少なくとも有し、該テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)として、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を含む。本発明のポリアミドイミド系樹脂は、通常、複数個の構成単位(a)、複数個の構成単位(b)及び複数個の構成単位(c)、並びに、任意に複数個の他の構成単位を有する。本明細書において、本発明のポリアミドイミド系樹脂が、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)として、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を含むとは、ポリアミドイミド系樹脂が有する複数の構成単位(a)において、少なくとも一部の構成単位(a)が、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)であることを意味する。上記の記載は、本明細書中の同様の他の記載にも当てはまる。なお、式(a)〜式(c)中の結合手は、隣接する構成単位と結合する結合手である。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、構成単位(a)、構成単位(b)及び構成単位(c)を少なくとも有し、ここで、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)及びジアミン化合物に由来する構成単位(c)が、通常、式(D):
Figure 2020125454
[式(D)中、Yは4価の有機基を表し、
Xは2価の有機基を表し、
*は結合手を表す]
で表されるイミド結合を形成して、ポリアミドイミド系樹脂に含まれ、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)及びジアミン化合物に由来する構成単位(c)が、式(E):
Figure 2020125454
[式(E)中、Z及びXは、互いに独立に、2価の有機基を表し、
*は結合手を表す]
で表されるアミド結合を形成して、ポリアミドイミド系樹脂に含まれている。なお、式(D)中のY及び4つのカルボニル基を有する部分がテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)に相当し、式(E)中のZ及び2つのカルボニル基を有する部分がジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)に相当し、式(D)及び式(E)中のX及びアミノ基を有する部分が、ジアミン化合物に由来する構成単位(c)に相当する。なお、式(D)及び式(E)中のジアミン化合物に由来する構成単位(c)に相当する部分おいて、2価の有機基を表すXは、一方の結合手がアミノ基に結合し、他方の*で表される結合手は隣接する構成単位に結合する。式(D)及び式(E)で表される構成単位が繰り返される場合、隣接する構成単位に結合する*で表される結合手は、式(D)又は式(E)中のアミノ基部分に結合する。そのため、式(D)及び式(E)中のX及びアミノ基を有する部分が、ジアミン化合物に由来する構成単位(c)に相当する部分であるといえる。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)として式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を含む。この場合、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、Yが式(1)で表される構成単位(D)を有する。式(D)及び式(E)中の*は隣接する構成単位と結合する結合手を表す。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、式(a)中のYが式(1)で表されるテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a1)、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)、及び、ジアミン化合物に由来する構成単位(c)を少なくとも有していればよく、上記以外の他のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位、及び/又は、上記以外の他のモノマーに由来する構成単位をさらに有していてもよい。具体的には、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、1種類又は2種類以上の式(a)中のYが式(1)で表されるテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a1)、1種類又は2種類以上のジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)、及び、1種類又は2種類以上のジアミン化合物に由来する構成単位(c)を少なくとも有し、これらの他に、式(a)中のYが式(1)に該当しない1種類又は2種類以上のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(例えば後述する構成単位(a2))、及び/又は、テトラカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びジアミン化合物以外の、1種類又は2種類以上の他のモノマーに由来する構成単位(以下において構成単位(d)とも称する)をさらに有していてもよい。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)として、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を含む。ポリアミドイミド系樹脂が構成単位(a1)を含むことにより、式(1)で表される構成単位がポリアミドイミド系樹脂に含まれることとなる。式(1)で表される構成単位は剛直性の高い構造であり、ポリアミドイミド系樹脂の骨格に剛直性を有する部分が含まれることとなる。その結果、驚くべきことに、得られる光学フィルムの弾性率及び全光線透過率を向上させやすくなる。
また、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、ポリスチレン換算による重量平均分子量が330,000以上であることにより、得られる光学フィルムの弾性率及び光学特性を向上させやすいと共に、ポリアミドイミド系樹脂を含有するワニスの安定性を高めることができる。なお、本明細書において、ポリアミドイミド系樹脂を含有するワニスを、「樹脂ワニス」とも称する。ポリアミドイミド系樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量が330,000未満である場合、樹脂ワニスの経時的なゲル化を抑制することが難しく、その結果、光学フィルムの製造時の樹脂ワニスの製膜性が低下する、及び/又は、得られる光学フィルムの光学特性が低下することが明らかとなった。その理由は明らかではないが、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を含むポリアミドイミド系樹脂においては、隣接するポリマー鎖間において、式(1)で表される構成単位を有する部分がパッキングしやすいため、ポリアミドイミド系樹脂の分子間の相互作用が高くなりやすいと考えられる。また、ポリアミドイミド系樹脂の末端部分に存在し得るアミノ基及びカルボキシル基は、ポリマー鎖間で水素結合しやすいと考えられる。ポリアミドイミド系樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量が330,000未満である場合には、式(1)で表される構成単位、及び、末端部分に存在し得るアミノ基及びカルボキシル基に起因する、ポリマー鎖間の相互作用が高くなりすぎるために、ワニスが経時的にゲル化しやすいと考えられる。なお、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
本発明のポリアミドイミド系樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量は、330,000以上であり、ワニスの安定性を向上させやすく、光学フィルムの光学特性、弾性率、表面硬度及び耐屈曲性を高めやすい観点から、好ましくは400,000以上、より好ましくは420,000、さらに好ましくは440,000以上、とりわけ好ましくは460,000以上であり、ポリアミドイミド系樹脂の溶媒に対する溶解性を向上しやすいと共に、光学フィルムの延伸性及び加工性を向上させやすい観点から、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは800,000以下、さらに好ましくは700,000以下、とりわけ好ましくは600,000以下である。重量平均分子量は、例えばGPC測定を行い、標準ポリスチレン換算によって求めることができ、例えば実施例に記載の方法により算出してよい。
ポリアミドイミド系樹脂の重量平均分子量を調整する方法は特に限定されないが、例えばポリアミドイミド系樹脂を得るために、テトラカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びジアミン化合物を共重合させる際に、テトラカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物の合計モル量に対するジアミン化合物のモル量の割合を、1.0程度となるように調整することで、上記所望の範囲の重量平均分子量を有するポリアミドイミド系樹脂を製造することが好ましい。具体的には、テトラカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物の合計モル量を1としたときのジアミン化合物のモル量の割合(ジアミン化合物のモル量/(テトラカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物の合計モル量)、この割合を以下において「アミン比」とも称する)は、好ましくは0.95以上、より好ましくは0.97以上、さらに好ましくは0.98以上、とりわけ好ましくは0.99以上であり、ポリアミドイミド系樹脂の重量平均分子量を好ましい範囲に調整しやすい観点から、好ましくは1.05以下、より好ましくは1.03以下、さらに好ましくは1.02以下、とりわけ好ましくは1.01以下である。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(a)中のYが式(1):
Figure 2020125454
[式(1)中、Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、
に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
nは0〜2の整数を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位(a1)を含む。本発明のポリアミドイミド系樹脂は、式(a)中のYが式(1)で表される1種類の構成単位(a1)を有していてもよいし、式(a)中のYが式(1)で表される2種類以上の構成単位(a1)を有していてもよい。
式(1)中のRは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、Rに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。本発明の好ましい一態様において、ポリアミドイミド系樹脂を用いて得られる光学フィルムの全光線透過率及び弾性率を高めやすい観点からは、Rは水素原子であることが好ましい。
炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式のアルキル基が挙げられる。炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖状のアルキル基、分枝状のアルキル基、又は、脂環式炭化水素構造を含む脂環式のアルキル基であってよい。炭素数1〜12のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3である。上記の炭素数1〜12のアルキル基は、少なくとも1つの水素原子が、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、又は、カルボキシル基で置換された基であってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。ここで、炭素数1〜12のアルキル基が、炭素原子を含む置換基(例えば炭素数1〜4のアルキル基)で置換されている場合、当該置換基に含まれる炭素原子の数は、炭素数1〜12のアルキル基の炭素数には含めない。例えば上記の炭素数1〜12のアルキル基が、炭素数1〜4のアルキル基で置換された基は、炭素数1〜12のアルキル基を主鎖とし、該アルキル基の少なくとも1つの水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で置換された基である。主鎖となるアルキル基部分の炭素数が1〜12であれば、アルキル基全体としての炭素数は12を超えていてもよい。なお、アルキル基全体としての炭素原子の数が12を超えない基の場合、炭素数1〜12のアルキル基が炭素数1〜4のアルキル基で置換された基は、炭素数1〜12の分枝状のアルキル基の定義にも包含される基である。
炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基及びデシルオキシ基等が挙げられる。炭素数1〜12のアルコキシ基におけるアルキル基部分及び/又はアルキレン基部分は、直鎖状、分枝状、又は、脂環式のいずれであってもよい。炭素数1〜12のアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3である。上記の炭素数1〜12のアルコキシ基は、少なくとも1つの水素原子が、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、又は、カルボキシル基で置換された基であってもよい。ハロゲン原子としては、上記に記載した原子が挙げられる。ここで、炭素数1〜12のアルコキシ基が炭素原子を含む置換基で置換されている場合、当該置換基に含まれる炭素原子の数は、炭素数1〜12のアルコキシ基の炭素数には含めない。
炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基の炭素数は、好ましくは6又は10又は12である。上記の炭素数6〜12のアリール基は、少なくとも1つの水素原子が、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、又は、カルボキシル基で置換された基であってもよい。ハロゲン原子としては、上記に記載した原子が挙げられる。ここで、炭素数6〜12のアリール基が炭素原子を含む置換基で置換されている場合、当該置換基に含まれる炭素原子の数は、炭素数6〜12のアリール基の炭素数には含めない。
に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、上記に記載した原子が挙げられる。
式(1)中のnは0〜2の整数を表し、ポリアミドイミド系樹脂を用いて得られる光学フィルムの全光線透過率及び弾性率を高めやすい観点からは、nは好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
式(1)中の*は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位中の、カルボキシル基に由来する部分(例えばイミド基部分)と結合する結合手を表す。本明細書において、テトラカルボン酸化合物とは、4個のカルボキシル基を有する化合物、該化合物のカルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル、及び/又は、隣接する2つのカルボキシル基が脱水縮合したカルボン酸二無水物であってよく、合成時の重合のし易さの観点からは、テトラカルボン酸化合物は、好ましくはテトラカルボン酸二無水物である。
式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を与えるテトラカルボン酸化合物は、例えば該テトラカルボン酸化合物がテトラカルボン酸二無水物である場合、式(8):
Figure 2020125454
[式(8)中、R及びnは式(1)において定義したとおりである]
で表される。
本発明のポリアミドイミド系樹脂において、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)の量は、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる全構成単位に基づいて、好ましくは2〜45モル%、より好ましくは5〜40%、さらに好ましくは10〜40モル%、とりわけ好ましくは15〜35モル%である。構成単位(a1)の量が上記の下限以上であると、光学フィルムの弾性率を向上させやすい。また、構成単位(a1)の量が上記の上限以下であると、光学フィルムの全光線透過率を向上させやすい。ここで、本明細書において、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる全構成単位とは、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる全単量体単位を表す。なお、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる構成単位(a1)及び全構成単位の量は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
式(1)は、好ましくは式(1’):
Figure 2020125454
[*は結合手を表す]
で表される。なお、式(1’)は、式(1)中のRが水素原子であり、nが0である構造に相当する。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)の他に、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)、及び、ジアミン化合物に由来する構成単位(c)を少なくとも有する。ポリアミドイミド系樹脂は、1種類の構成単位(b)を有していてもよいし、2種類以上の構成単位(b)を有していてもよい。また、ポリアミドイミド系樹脂は、1種類の構成単位(c)を有していてもよいし、2種類以上の構成単位(c)を有していてもよい。
本発明のポリアミドイミド系樹脂において、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)の量は、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる全構成単位に基づいて、好ましくは5〜70モル%、より好ましくは10〜65%、さらに好ましくは20〜60モル%である。構成単位(b)の量が上記の下限以上であると、樹脂の溶媒への溶解性を高めやすく、ワニスの安定性を高めやすい。また、構成単位(b)の量が上記の上限以下であると、弾性率を高めやすい。
本発明のポリアミドイミド系樹脂において、ジアミン化合物に由来する構成単位(c)の量は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)及びジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)の合計量を100モル%としたときに、好ましくは95〜105モル%、より好ましくは97〜103モル%、さらに好ましくは、98〜102モル%、とりわけ好ましくは99〜101モル%である。構成単位(c)の量が上記の範囲外であると分子量が上がりにくく、ワニスの安定性が低下し易い。
本発明のポリアミドイミド系樹脂において、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)は、式(b):
Figure 2020125454
[式(b)中、Zは2価の有機基を表し、
*は結合手を表す]
で表される。ここで、式(b)中の*は、本発明のポリアミドイミド系樹脂において、通常、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位に隣接する、ジアミン化合物に由来する構成単位(c)と連結する結合手である。構成単位(b)は、例えば上記の式(E)で表されるアミド結合を形成している。
式(b)中のZは2価の有機基であり、好ましくは、炭素数1〜8の炭化水素基、フッ素置換された炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はフッ素置換された炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい、炭素数4〜40の2価の有機基であり、より好ましくは、炭素数1〜8の炭化水素基、フッ素置換された炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はフッ素置換された炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい、環状構造を有する炭素数4〜40の2価の有機基である。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられる。Zとしては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29):
Figure 2020125454
で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった2価の有機基及び炭素数6以下の2価の鎖式炭化水素基が例示され、Zのヘテロ環構造としてはチオフェン環骨格を有する2価の有機基が例示される。光学積層体の黄色度を抑制(YI値を低減)しやすい観点から、式(20)〜式(29)で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった2価の有機基、及び、チオフェン環骨格を有する2価の有機基が好ましい。本発明の一実施形態において、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる構成単位(b)は、Zとして1種類の有機基を含んでいてもよいし、2種類以上の有機基を含んでいてもよい。
式(20)〜式(29)中、
*は結合手を表し、Wは、単結合、−O−、−CH−、−CH−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−C(CF−、−Ar−、−SO−、−CO−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH−Ar−、−Ar−C(CH−Ar−又は−Ar−SO−Ar−を表す。Arは、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基を表し、具体例としてはフェニレン基が挙げられる。Arが複数存在する場合、Arは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Zの有機基としては、式(20’)、式(21’)、式(22’)、式(23’)、式(24’)、式(25’)、式(26’)、式(27’)、式(28’)及び式(29’):
Figure 2020125454
[式(20’)〜式(29’)中、W及び*は、式(20)〜式(29)において定義する通りである]
で表される2価の有機基がより好ましい。なお、式(20)〜式(29)及び式(20’)〜式(29’)における環上の水素原子は、炭素数1〜8の炭化水素基、フッ素置換された炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フッ素置換された炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい。
ポリアミドイミド系樹脂が、式(b)中のZが上記の式(20’)〜式(29’)のいずれかで表される構成単位を有する場合、ポリアミドイミド系樹脂は、該構成単位に加えて、次の式(d1):
Figure 2020125454
[式(d1)中、R24は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、
25は、R24又は−C(=O)−*を表し、
*は結合手を表す]
で表されるカルボン酸由来の構成単位をさらに有することが、ワニスの成膜性を高めやすく、得られる光学フィルムの均一性を得やすい観点から好ましい。
24において、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数6〜12のアリール基としては、それぞれ、式(1)中のRに関して例示のものが挙げられる。構成単位(d1)としては、具体的には、R24及びR25がいずれも水素原子である構成単位(ジカルボン酸化合物に由来する構成単位)、R24がいずれも水素原子であり、R25が−C(=O)−*を表す構成単位(トリカルボン酸化合物に由来する構成単位)等が挙げられる。
構成単位(b)を与えるジカルボン酸化合物は、カルボニル基を2つ有する化合物であれば特に限定されず、例えば式(b’):
Figure 2020125454
[式(b’)中、Zは2価の有機基を表し、
31及びR32は、互いに独立に、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は塩素原子を表す]
で表される化合物が挙げられる。
本発明のポリアミドイミド系樹脂において、ジアミン化合物に由来する構成単位(c)は、式(c):
Figure 2020125454
[式(c)中、Xは2価の有機基を表し、
は、互いに独立に、水素原子又は結合手を表し、
*は結合手を表す]
で表される。ここで、式(c)で表される構成単位(c)は、本発明のポリアミドイミド系樹脂において、通常、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)又はジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)に隣接し、通常、例えば上記の式(D)で表されるイミド結合、及び/又は、上記の式(E)で表されるアミド結合を形成している。構成単位(c)において、Rは、互いに独立に、水素原子又は結合手を表す。*で表される一方の結合手が隣接するテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位に結合する場合、式(D)からも明らかなように、Rは結合手を表し、隣接するテトラカルボン酸に由来する構成単位に結合する。構成単位(c)において、*で表される一方の結合手が隣接するジカルボン酸化合物に由来する構成単位に結合する場合、式(E)からも明らかなように、Rは水素原子を表す。
式(c)中のXは2価の有機基を表し、好ましくは炭素数4〜40の2価の有機基、より好ましくは環状構造を有する炭素数4〜40の2価の有機基を表す。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられる。前記有機基は、有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよく、その場合、炭化水素基及びフッ素置換された炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜8である。本発明の一実施形態において、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる構成単位(c)は、Xとして1種類の2価の有機基を含んでいてもよいし、2種類以上の2価の有機基を含んでいてもよい。
構成単位(c)を与えるジアミン化合物は、アミノ基を2つ有する化合物であれば特に限定されず、例えば式(c’):
Figure 2020125454
[式(c’)中、Xは2価の有機基を表す]
で表される化合物が挙げられる。
本発明のポリアミドイミド系樹脂において、式(1)で表される構成単位を含むテトラカルボン酸化合物(例えば式(8)で表される化合物)と例えば式(c’)で表されるジアミン化合物とが反応すると、式(10):
Figure 2020125454
[式(10)中、R及びnは、式(1)中のR及びnについて定義した通りであり、
Xは式(c)中のXについて定義した通りであり、
*は結合手を表す]
で表される構成単位が形成される。また、例えば式(b’)で表されるジカルボン酸化合物と、例えば式(c’)で表されるジアミン化合物が反応すると、式(11):
Figure 2020125454
[式(11)中、Zは式(b)中のZについて定義した通りであり、
Xは式(c)中のXについて定義した通りであり、
*は結合手を表す]
で表される構成単位が形成される。
本発明の好ましい一態様において、ポリアミドイミド系樹脂は、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)として、式(2):
Figure 2020125454
[式(2)中、Zは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位(b1)を含む。本発明のポリアミドイミド系樹脂は、通常、複数個の式(b)で表される構成単位(b)を有する。本態様においては、複数個の構成単位(b)の少なくとも一部が、式(2)で表される構成単位(b1)であればよい。この態様において、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、構成単位(b)として1種類の構成単位(b1)を有していてもよいし、2種以上の構成単位(b1)を有していてもよいし、構成単位(b1)以外の他の構成単位(b)を有していてもよい。
式(2)中のZは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基は、単環式芳香族環、縮合多環式芳香族環又は環集合芳香族環の2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。2価の芳香族基は、炭素原子のみで環(単環、縮合多環又は環集合)が形成された芳香族環を含んでいてもよいし、炭素原子以外の原子を含んで環が形成されたヘテロ芳香族環を含んでいてもよい。炭素原子以外の原子としては、例えば窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族環を形成する炭素原子及び炭素原子以外の原子の合計数は、特に限定されないが、好ましくは5〜18、より好ましくは5〜14、さらに好ましくは5〜13、とりわけ好ましくは5〜12である。
単環式芳香族環としては、例えばベンゼン、フラン、ピロール、チオフェン、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン等が挙げられる。
縮合多環式芳香族環としては、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インドール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
環集合芳香族環としては、2以上の単環式芳香族環及び/又は縮合多環式芳香族環が単結合で連結された構造が挙げられ、その例としては、単環式芳香族環又は縮合多環式芳香族環の例として上記に記載する環の2以上が単結合で連結された基、例えばビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ビナフチル、1−フェニルナフタレン、2−フェニルナフタレン、ビピリジン等が挙げられる。
光学フィルムの弾性率及び全光線透過率を向上させやすい観点からは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基は、好ましくは芳香族炭化水素環の2つの水素原子が結合手に置き換わった基、より好ましくは、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル又はクアテルフェニルの2つの水素原子が結合手に置き換わった基、さらに好ましくは、ベンゼン又はビフェニルの2つの水素原子が結合手に置き換わった基、とりわけ好ましくはベンゼンの2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。
式(2)中のZで表される2価の芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、(i)炭素数1〜12のアルキル基、(ii)炭素数1〜12のアルコキシ基、(iii)炭素数6〜12のアリール基、(iv)炭素数6〜12のアリールオキシ基、及び、(v)ヒドロキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの基が挙げられる。なお、上記の置換基に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、又は、カルボキシル基でさらに置換されていてもよい。該2価の芳香族基は、上記(i)〜(v)の置換基、及び、上記(i)〜(v)の置換基に含まれる水素原子が、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、又は、カルボキシル基でさらに置換された基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよい。高い弾性率及を有する光学フィルムを製造しやすい観点からは、式(2)中のZで表される2価の芳香族基は置換基を有さないことが好ましい。
(i)炭素数1〜12のアルキル基、(ii)炭素数1〜12のアルコキシ基及び(iii)炭素数6〜12のアリール基としては、式(1)中のRに関して上記に例示した基が挙げられ、これらに関する好ましい記載が同様に上記にもあてはまる。
(iv)炭素数6〜12のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリールオキシ基の炭素数は、好ましくは6又は10又は12である。上記の炭素数6〜12のアリールオキシ基は、少なくとも1つの水素原子が、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、又は、カルボキシル基で置換された基であってもよい。ハロゲン原子としては、上記に記載した原子が挙げられる。ここで、炭素数6〜12のアリールオキシ基が炭素原子を含む置換基で置換されている場合、当該置換基に含まれる炭素原子の数は、炭素数6〜12のアリールオキシ基の炭素数には含めない。
本発明のポリアミドイミド系樹脂がジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)として式(2)で表される構成単位(b1)を含む本発明の好ましい一態様において、光学フィルムの全光線透過率及び弾性率を向上させやすい観点から、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる構成単位(b)の合計を100モル%としたときに、式(2)で表される構成単位(b1)の割合は、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%であり、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる構成単位(b)の全てが構成単位(b1)であってもよい。なお、構成単位(b)及び構成単位(b1)の含有量は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の好ましい一態様において、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、ジアミン化合物に由来する構成単位として、式(3):
Figure 2020125454
[式(3)中、Xは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
は、互いに独立に、水素原子又は結合手を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位(c1)を含む。本発明のポリアミドイミド系樹脂は、通常、式(c)で表される複数個の構成単位(c)を有する。本態様においては、複数個の構成単位(c)の少なくとも一部が、式(3)で表される構成単位(c1)であればよい。この態様において、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、構成単位(c)として1種類の構成単位(c1)を有していてもよいし、2種以上の構成単位(c1)を有していてもよいし、構成単位(c1)以外の他の構成単位(c)を有していてもよい。
式(3)中のXは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基は、単環式芳香族環、縮合多環式芳香族環又は環集合芳香族環の2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。2価の芳香族基は、炭素原子のみで環(単環、縮合多環又は環集合)が形成された芳香族環を含んでいてもよいし、炭素原子以外の原子を含んで環が形成されたヘテロ芳香族環を含んでいてもよい。炭素原子以外の原子としては、例えば窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族環を形成する炭素原子及び炭素原子以外の原子の合計数は、特に限定されないが、好ましくは5〜18、より好ましくは5〜14、さらに好ましくは5〜13、とりわけ好ましくは5〜12である。単環式芳香族環、縮合多環式芳香族環及び環集合芳香族環の例としては、式(2)中のZについて上記に記載した例が挙げられる。
光学フィルムの弾性率及び全光線透過率を向上させやすい観点からは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基は、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環の2つの水素原子が結合手に置き換わった基、より好ましくは、置換基を有していてもよいベンゼン、ビフェニル、テルフェニル又はクアテルフェニルの2つの水素原子が結合手に置き換わった基、さらに好ましくは、置換基を有していてもよいベンゼン又はビフェニルの2つの水素原子が結合手に置き換わった基、とりわけ好ましくは置換基を有していてもよいビフェニルの2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。
式(3)中のXで表される2価の芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、及び、ハロゲノ基、並びに、これらに含まれる水素原子がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、及び、これらに含まれる水素原子がハロゲン原子で置換された基の具体例としては、式(2)中のZで表される2価の芳香族基が有し得る置換基として(i)炭素数1〜12のアルキル基、(ii)炭素数1〜12のアルコキシ基、(iii)炭素数6〜12のアリール基について記載した基が挙げられる。ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基又はヨード基が挙げられる。
式(3)中のXで表される2価の芳香族基が有し得る置換基としては、ハロゲン基、又は、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、メチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基がより好ましい。
本発明の好ましい一態様において、式(3)中のXは、光学フィルムの全光線透過率及び弾性率を高めやすい観点、及び、ワニスの安定性を高めやすい観点から、好ましくは式(4):
Figure 2020125454
[式(4)中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、
に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
rは、互いに独立に、1〜4の整数を表し、
*は結合手を表す]
で表される。
式(4)中のRは、互いに独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Rに含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、及び、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、式(3)中のXで表される2価の芳香族基が有し得る置換基として上記に例示した基が挙げられる。式(4)中のRは、好ましくはハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のフルオロアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、さらにより好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、とりわけ好ましくはトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基、とりわけより好ましくはトリフルオロメチル基である。
式(4)中、rは、互いに独立に、1〜4の整数を表し、光学フィルムの全光線透過率及び弾性率を向上させやすい観点から、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2、さらに好ましくは1の整数を表す。
本発明の好ましい一態様において、式(4)は、式(4’):
Figure 2020125454
[式(4’)中、R16〜R23は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、ただし、R16〜R19の少なくとも1つ、及び、R20〜R23の少なくとも1つは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、
*は結合手を表す]
で表される。光学フィルムの弾性率及び全光線透過率を向上させやすい観点から、式(4’)中、少なくともR18及びR20が炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表すことがより好ましく、R18及びR20が炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表し、R16、R17、R19、R21、R22及びR23が水素原子を表すことがさらに好ましい。また、上記態様において、炭素数1〜6のフルオロアルキル基は、好ましくは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、より好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、さらにより好ましくはトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基、とりわけ好ましくはトリフルオロメチル基である。
本発明の好ましい一態様において、式(4’)は、式(4”):
Figure 2020125454
[式(4”)中、*は結合手を表す]
で表される。なお、式(4”)は、式(4’)中のR18及びR20がトリフルオロメチル基を表し、R16、R17、R19、R21、R22及びR23が水素原子を表す式に相当する。
本発明のポリアミドイミド系樹脂がジアミン化合物に由来する構成単位(c)として式(3)で表される構成単位(c1)を含む本発明の好ましい一態様において、光学フィルムの全光線透過率及び弾性率を向上させやすく、ワニスの安定性を高めやすい観点から、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる構成単位(c)の合計を100モル%としたときに、式(3)で表される構成単位(c1)の割合は、好ましくは50〜98モル%、より好ましくは60〜95モル%、さらに好ましくは70〜94モル%である。ポリアミドイミド系樹脂に含まれる構成単位(c)の一部が構成単位(c1)であってもよいし、構成単位(c)の全てが構成単位(c1)であってもよいが、光学フィルムの全光線透過率及び弾性率を向上させやすく、ワニスの安定性を高めやすい観点からは、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる構成単位(c)の一部が構成単位(c1)であることが好ましい。なお、構成単位(c)及び構成単位(c1)の含有量は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、光学フィルムの全光線透過率及び弾性率を向上させやすく、ワニスの安定性を高めやすい観点から、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を含み、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(2)で表される構成単位(b1)を含み、かつ、ジアミン化合物に由来する構成単位として、式(3)で表される構成単位(c1)を含むことが好ましい。
本発明の好ましい一態様において、ポリアミドイミド系樹脂は、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位として式(b)中のZが式(5):
Figure 2020125454
[式(5)中、Arは、互いに独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
Vは、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R12)−を表し、ここで、該炭化水素基に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
12は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、
mは1〜3の整数を表し、ただし、mが2又は3の場合に複数存在するVは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、
*は結合手を表す]
で表される構成単位を含む、及び/又は、ジアミン化合物に由来する構成単位として式(c)中のXが式(5)で表される構成単位を含む、及び/又は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として式(a)中のYが式(6):
Figure 2020125454
[式(6)中、Arは、互いに独立に、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表し、
sは0〜2の整数を表し、
Ar、V及び*は、式(5)中のAr、V及び*について定義した通りであり、ただし、sが2の場合に複数存在するV及びArは、それぞれ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい]
で表される構成単位をさらに含む。なお、本明細書において、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位として含まれ得る式(b)中のZが式(5)で表される構成単位を「構成単位(b2)」とも称し、ジアミン化合物に由来する構成単位として含まれ得る式(c)中のXが式(5)で表される構成単位を「構成単位(c2)」とも称し、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として含まれ得る式(a)中のYが式(6)で表される構成単位を「構成単位(a2)」とも称する。本発明のポリアミドイミド系樹脂は、上記構成単位(a1)、構成単位(b)及び構成単位(c)を少なくとも有し、好ましい一態様において、構成単位(b)として構成単位(b2)を含む、構成単位(c)として構成単位(c2)を含む、及び/又は、構成単位(a)として構成単位(a1)に加えて構成単位(a2)をさらに含む。この態様においては、式(1)で表される構成単位に加えて、式(5)で表される構成単位、及び/又は、式(6)で表される構成単位が、本発明のポリアミドイミド系樹脂中に含まれることとなる。なお、ポリアミドイミド系樹脂が構成単位(b)として構成単位(b2)を含む場合、該樹脂は、構成単位(b1)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。また、ポリアミドイミド系樹脂が構成単位(c)として構成単位(c2)を含む場合、該樹脂は、構成単位(c1)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
ここで、式(5)で表される構成単位及び式(6)で表される構成単位は、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R12)−を表す2価の連結基Vを含むため、柔軟性の高い構造である。ポリアミドイミド系樹脂が上記のような柔軟性の高い構造をさらに含む場合、ポリアミドイミド系樹脂の分子間の相互作用を低減しやすくなる。その結果、ポリアミドイミド系樹脂を含む光学フィルムの弾性率を向上させやすい。また、ポリアミドイミド系樹脂のワニスの状態における安定性も向上させやすい。
本発明のポリアミドイミド系樹脂が、式(b)中のZが式(5)で表されるジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b2)、式(c)中のXが式(5)で表されるジアミン化合物に由来する構成単位(c2)、及び/又は、式(a)中のYが式(6)で表されるテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a2)を有する場合、構成単位(b2)、構成単位(c2)及び構成単位(a2)の合計量は、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる全構成単位に基づいて、好ましくは1〜25モル%、より好ましくは2〜20モル%、さらに好ましくは3〜15モル%である。該合計量が上記の範囲内であると、ワニスの安定性を向上させやすく、光学フィルムの加工性及び全光線透過率を向上させやすい。なお、この態様において、構成単位(b2)、構成単位(c2)及び構成単位(a2)の合計量とは、ポリアミドイミド系樹脂がこれら3種類の構成単位を全て有することを意味するものではなく、ポリアミドイミド系樹脂は、構成単位(b2)、構成単位(c2)及び構成単位(a2)からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位を有していればよい。
また、本発明のポリアミドイミド系樹脂が、構成単位(b2)、構成単位(c2)、及び/又は、構成単位(a2)を有する場合、構成単位(b2)、構成単位(c2)及び構成単位(a2)の合計モル量は、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)1モルに対して、好ましくは0.01〜1.0、より好ましくは0.02〜0.50、さらに好ましくは0.05〜0.20である。該合計モル量が上記の下限以上であると、ワニスへの溶解性を高めやすい。また、該合計モル量が上記の上限以下であると、弾性率を向上させやすい。なお、この態様においても、上記の合計モル量は、ポリアミドイミド系樹脂がこれら3種類の構成単位を全て有することを意味するものではない。
式(5)及び式(6)中のArは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基は、単環式芳香族環、縮合多環式芳香族環又は環集合芳香族環の2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。2価の芳香族基は、炭素原子のみで環(単環、縮合多環又は環集合)が形成された芳香族環を含んでいてもよいし、炭素原子以外の原子を含んで環が形成されたヘテロ芳香族環を含んでいてもよい。炭素原子以外の原子としては、例えば窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族環を形成する炭素原子及び炭素原子以外の原子の合計数は、特に限定されないが、好ましくは5〜18、より好ましくは5〜14、さらに好ましくは5〜13、とりわけ好ましくは5〜12である。単環式芳香族環、縮合多環式芳香族環及び環集合芳香族環の例としては、式(2)中のZについて上記に記載した例が挙げられる。
光学フィルムの弾性率及び全光線透過率を向上させやすい観点からは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基は、好ましくは芳香族炭化水素環の2つの水素原子が結合手に置き換わった基、より好ましくは、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル又はクアテルフェニルの2つの水素原子が結合手に置き換わった基、さらに好ましくは、ベンゼン又はビフェニルの2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。
式(5)及び式(6)中のArで表される2価の芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、(i)炭素数1〜12のアルキル基、(ii)炭素数1〜12のアルコキシ基、(iii)炭素数6〜12のアリール基、(iv)炭素数6〜12のアリールオキシ基、(v)炭素数1〜12のカルボニル基、(vi)炭素数1〜12のオキシカルボニル基、又は、(vii)ハロゲノ基が挙げられる。なお、上記の置換基に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、又は、カルボキシル基でさらに置換されていてもよい。該2価の芳香族基は、少なくとも1種類の上記(i)〜(vii)の置換基、及び/又は上記(i)〜(vii)の置換基に含まれる水素原子が、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、又は、カルボキシル基でさらに置換された基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよい。高い弾性率を有する光学フィルムを製造しやすい観点からは、式(5)及び式(6)中のArで表される2価の芳香族基は置換基を有さないことが好ましい。
(i)炭素数1〜12のアルキル基、(ii)炭素数1〜12のアルコキシ基及び(iii)炭素数6〜12のアリール基及び(iv)炭素数6〜12のアリールオキシ基としては、式(2)中のZで表される2価の芳香族基が有し得る置換基に関して上記に例示した基が挙げられる。
(v)炭素数1〜12のカルボニル基は、*−CO−R又は*−R−CO−Rで表される基である。Rとしては、(i)炭素数1〜12のアルキル基について記載した基が挙げられ、Rとしては、(i)炭素数1〜12のアルキル基について記載した基の少なくとも1つの水素原子が結合手に置き換わった、炭素数1〜12の2価のアルキレン基が挙げられる。上記の炭素数1〜12のカルボニル基は、少なくとも1つの水素原子が、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、又は、カルボキシル基で置換された基であってもよい。ハロゲン原子としては、上記に記載した原子が挙げられる。ここで、炭素数1〜12のカルボニル基が炭素原子を含む置換基で置換されている場合、当該置換基に含まれる炭素原子の数は、炭素数1〜12のカルボニル基の炭素数には含めない。
(vi)炭素数1〜12のオキシカルボニル基は、*−CO−O−R、*−R−CO−O−R、*−O−CO−R、又は、−R−O−CO−Rで表される基である。Rとしては、(i)炭素数1〜12のアルキル基について記載した基が挙げられ、Rとしては、(i)炭素数1〜12のアルキル基について記載した基の少なくとも1つの水素原子が結合手に置き換わった、炭素数1〜12の2価のアルキレン基が挙げられる。上記の炭素数1〜12のオキシカルボニル基は、少なくとも1つの水素原子が、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、又は、カルボキシル基で置換された基であってもよい。ハロゲン原子としては、上記に記載した原子が挙げられる。ここで、炭素数1〜12のオキシカルボニル基が炭素原子を含む置換基で置換されている場合、当該置換基に含まれる炭素原子の数は、炭素数1〜12のオキシカルボニル基の炭素数には含めない。
(vii)ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基又はヨード基が挙げられる。
式(6)中のArは、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表す。3価の芳香族基は、単環式芳香族環、縮合多環式芳香族環又は環集合芳香族環の3つの水素原子が結合手に置き換わった基である。3価の芳香族基は、炭素原子のみで環(単環、縮合多環又は環集合)が形成された芳香族環を含んでいてもよいし、炭素原子以外の原子を含んで環が形成されたヘテロ芳香族環を含んでいてもよい。炭素原子以外の原子としては、例えば窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族環を形成する炭素原子及び炭素原子以外の原子の合計数は、特に限定されないが、好ましくは5〜18、より好ましくは5〜14、さらに好ましくは5〜13、とりわけ好ましくは5〜12である。3価の芳香族基におおける、単環式芳香族環、縮合多環式芳香族環又は環集合芳香族環としては、上記のArについて記載したものが挙げられる。3価の芳香族基が有し得る置換基としては、上記のArについて記載した置換基が挙げられ、Arについて記載した好ましい記載が、Arに同様に当てはまる。
光学フィルムの弾性率及び全光線透過率を向上させやすい観点からは、置換基を有していてもよい3価の芳香族基は、好ましくは芳香族炭化水素環の3つの水素原子が結合手に置き換わった基、より好ましくはベンゼン、ビフェニル、テルフェニル又はクアテルフェニルの3つの水素原子が結合手に置き換わった基、さらに好ましくはベンゼン又はビフェニルの3つの水素原子が結合手に置き換わった基である。
式(5)中のmが1以上である場合、及び/又は、式(6)中のsが2である場合に複数存在するArは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、式(6)中に複数存在するArは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(5)中のmは1〜3の整数を表し、弾性率を向上させ、ワニスへの溶解性を確保する観点からは、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。式(5)中の*は、結合手を表す。
式(6)中のsは0〜2の整数を表し、ワニスへの溶解性を確保し、高い透過率を確保する観点からは、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。式(6)中の*は、結合手を表す。
式(5)及び式(6)中のVは、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R12)−を表し、ここで、該炭化水素基に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、R12は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す。炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式のアルキル基としては、式(1)中のRの炭素数1〜12のアルキル基について記載した基が挙げられる。
式(5)及び式(6)中のVに関し、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式のアルキル基の少なくとも1つの水素原子が結合手に置き換わった基が挙げられる。なお、かかる炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜12の2価の炭化水素基は、直鎖状のアルキレン基、分枝状のアルキレン基、又は、脂環式炭化水素構造を含む脂環式のアルキレン基であってよい。炭素数1〜12の2価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3である。上記の炭素数1〜12の2価の炭化水素基は、少なくとも1つの水素原子が、互いに独立に、ハロゲン原子で置換された基であってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
式(5)及び式(6)において、Ar、Ar及び/又はVが複数存在する場合、これらはそれぞれ、互いに同一であってもよいし、異なってもよいが、複数存在するArが互いに同一であること、複数存在するArが互いに同一であること、及び/又は、複数存在するVが互いに同一であることが、ポリアミドイミド系樹脂を合成しやすい観点から好ましい。
本発明の好ましい一態様において、式(5)及び式(6)は、式(7):
Figure 2020125454
[式(7)中、Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、
に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
は、R又は結合手を表し、
*は結合手を表し、
Vは、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R12)−を表し、ここで、該炭化水素基に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
12は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す]
で表されることが好ましい。なお、式(5)が式(7)で表される場合、式(7)における結合手は2つとなるため、RはRを表す。また、式(6)が式(7)で表される場合、式(7)における結合手は4つとなるため、Rは結合手を表す。また、式(7)中のRについては、式(5)中のAr及び式(6)中のArが有し得る置換基に関する記載が同様に当てはまり、好ましい記載も同様に当てはまる。また、式(7)中のVについても、式(5)及び式(6)中のVに関する記載が同様に当てはまる。
本発明の好ましい一態様において、ポリアミドイミド系樹脂が、ジアミン化合物に由来する構成単位として、式(c)中のXが式(5)又は式(7)で表される構成単位(c2)を含む場合、及び/又は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(a)中のYが式(6)又は式(7)で表される構成単位(a2)をさらに含む場合、式(5)、式(6)及び式(7)中のVは、光学フィルムの弾性率、全光線透過率、表面硬度及び耐屈曲性の観点及びワニスの安定性の観点から、好ましくは、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、又は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基に含まれる水素原子がハロゲン原子で置換された基を表し、より好ましくは炭素数1〜12の2価の炭化水素基、又は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基に含まれる水素原子がハロゲン原子で置換された基を表す。
この態様において、式(5)、式(6)及び式(7)中のVは、さらに好ましくは、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式のアルキレン基の少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換された基(好ましくは炭素数1〜12のフルオロアルキレン基)であり、さらにより好ましくは、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式のアルキレン基の全ての水素原子がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換された基(好ましくは炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン基、とりわけ好ましくはジトリフルオロメチルメチレン基)である。
この態様において、式(7)は、好ましくは式(7’):
Figure 2020125454
[式(7’)中、Rは水素原子又は結合手を表し、
*は結合手を表す]
又は式(7”):
Figure 2020125454
[式(7”)中、*は結合手を表す]
で表される。ポリアミドイミド系樹脂が、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として式(a)中のYが式(6)で表される構成単位(a2)をさらに含む場合、及び、ジアミン化合物に由来する構成単位(c)として式(c)中のXが式(5)で表される構成単位(c2)含む場合、式(5)は式(7)で表されることが好ましく、式(7)は式(7’)で表されることがより好ましい。また、ポリアミドイミド系樹脂が、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位として式(b)中のZが式(5)で表される構成単位(b2)含む場合、式(5)は式(7)で表されることが好ましく、式(7)は式(7”)で表されることがより好ましい。
本発明の好ましい一態様において、ポリアミドイミド系樹脂は、上記の構成単位(a1)、構成単位(b)及び構成単位(c)に加えて、さらに式(a)中のYが式(6)で表されるテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a2)を少なくとも有する。この場合、構成単位(a2)の量は、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる全構成単位に基づいて、好ましくは1〜25モル%、より好ましくは2〜20モル%、さらに好ましくは3〜15モル%である。構成単位(a2)の量が上記の範囲内であると、ワニスの安定性を向上させやすく、光学フィルムの加工性及び全光線透過率を向上させやすい。
本発明の別の好ましい一態様において、ポリアミドイミド系樹脂は、上記の構成単位(a1)及び構成単位(b)に加えて、ジアミン化合物に由来する構成単位(c)として、式(c)中のXが式(5)で表される構成単位(c2)を少なくとも有する。なお、この態様において、ポリアミドイミド系樹脂中に存在する複数の構成単位(c)の中で、少なくとも一部の構成単位が構成単位(c2)であればよい。ポリアミドイミド系樹脂が、上記の構成単位(a1)、構成単位(b)及び構成単位(c2)を少なくとも有する場合、構成単位(c2)の量は、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる全構成単位に基づいて、好ましくは1〜25モル%、より好ましくは2〜20モル%、さらに好ましくは3〜15モル%である。構成単位(c2)の量が上記の範囲内であると、ワニスの安定性を向上させやすく、光学フィルムの加工性及び全光線透過率を向上させやすい。
本発明の好ましい一態様において、ポリアミドイミド系樹脂が、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(b)中のZが式(5)又は式(7)で表される構成単位(b2)を含む場合、式(5)及び式(7)中のVは、光学フィルムの弾性率、全光線透過率、表面硬度及び耐屈曲性の観点及びワニスの安定性の観点から、好ましくは、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、又は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基に含まれる水素原子がハロゲン原子で置換された基を表し、より好ましくは−O−を表す。
この態様において、式(5)は、好ましくは式(9):
Figure 2020125454
[式(9)中、R〜R11は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表し、
〜R11に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
mは1〜4の整数であり、
*は結合手を表す]
で表される。
式(9)中のR〜R11は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R〜R11に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。光学フィルムの表面硬度及び柔軟性の観点から、R〜R11は、互いに独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、さらに好ましくは水素原子を表す。ここで、R〜R11に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
式(9)中のmは1〜4の整数であり、mがこの範囲内であると、光学フィルムの耐屈曲性や弾性率が良好になりやすい。また、式(9)中のmは、好ましくは1〜3の範囲の整数、より好ましくは1〜2、さらに好ましくは1である。mがこの範囲内であると、光学フィルムの耐屈曲性や弾性率を向上させやすい。本発明のポリアミドイミド系樹脂が、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)として、式(b)中のZが式(9)で表される構成単位を有する場合、ポリアミドイミド系樹脂は、式(b)中のZが式(9)で表される1種類又は2種類以上の構成単位を有してよい。
この態様において、式(9)は、好ましくは式(7”):
Figure 2020125454
で表される。この場合、光学フィルムの表面硬度及び耐屈曲性を向上させやすく、黄色度を低減しやすい。
本発明のポリアミドイミド樹脂が、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)として、式(b)中のZが式(5)、式(7)、式(9)又は式(7”)で表される構成単位(b2)を含む場合、ポリアミドイミド系樹脂に含まれる全構成単位の量を100モル%としたときに、構成単位(b2)の割合は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上、さらに好ましくは3モル%以上、とりわけ好ましくは4モル%以上であり、好ましくは45モル%以下、より好ましくは35モル%以下、さらに好ましくは25モル%以下、とりわけ好ましくは15モル%以下である。構成単位(b2)の割合が上記の下限以上であると、光学フィルムの表面硬度及び耐屈曲性を高めやすい。また、該割合が上記の上限以下であると、樹脂含有ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上しやすい。なお、これらの構成単位の含有量は、例えばH−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の好ましい一実施形態において、本発明のポリアミドイミド樹脂が、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)として、式(b)中のZが式(5)、式(7)、式(9)又は式(7”)で表される構成単位(b2)を含む場合、構成単位(b)中の、好ましくは5モル%以上、より好ましくは8モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上、とりわけ好ましくは12モル%以上が、構成単位(b2)であることが好ましい。構成単位(b2)の量が上記の範囲であると、光学フィルムの表面硬度を高めやすく、かつ耐屈曲性及び弾性率を高めやすい。また、本発明のポリアミドイミド系樹脂が有するジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)中の、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下、とりわけ好ましくは30モル%以下が、構成単位(b2)であることが好ましい。構成単位(b2)の量が上記の範囲であると、樹脂含有ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上しやすい。本発明のポリアミドイミド樹脂が、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)として、上記の量の構成単位(b2)を含み、その他の構成単位(b)として、上記の構成単位(b1)を有することが好ましい。
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)に加えて、式(b)で表される構成単位(b)及び式(c)で表される構成単位(c)を少なくとも含む。ここで、ワニスの安定性を向上させやすく、得られる光学フィルムの全光線透過率、弾性率、表面硬度及び耐屈曲性を高めやすい観点からは、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)に加えて、
(i)ジアミン化合物に由来する構成単位(c)としての、式(c)中のXが式(5)で表される構成単位(c2)、
(ii)テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)としての、式(a)中のYが式(6)で表される構成単位(a2)、
(iii)ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)としての、式(b)中のZが式(5)で表される構成単位(b2)、
(iv)ジアミン化合物に由来する構成単位(c)としての、式(c)中のXが式(3)で表される構成単位(c1)、
及び/又は
(v)ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)としての、式(b)中のZが式(2)で表される構成単位(b1)
を含むことが好ましい。
ポリアミドイミド系樹脂のワニス安定性を向上させやすく、得られる光学フィルムの全光線透過率、弾性率、表面硬度及び耐屈曲性を高めやすい観点から、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)に加えて、上記(iv)及び(v)を有すること、及び/又は、上記(i)〜(iii)の少なくとも1つを有することが好ましく、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)に加えて、上記(iv)及び(v)を有し、かつ、上記(i)〜(iii)の少なくとも1つを有することがより好ましい。また、本発明のポリアミドイミド系樹脂が、上記(i)〜(iii)の少なくとも1つを有する場合、上記(i)を少なくとも有することが好ましい。
本発明のポリアミドイミド系樹脂において、構成単位(a)、構成単位(b)及び構成単位(c)は、上記の式(D)で表されるイミド結合、及び、上記の式(E)で表されるアミド結合を含む構造を形成していてよいが、(D)及び(E)で表される構造の他に、例えば、構成単位(a)及び構成単位(c)が式(30)で表される構造を形成して含まれていてもよいし、構成単位(a)〜(c)とは異なる構成単位(d)と構成単位(c)とが式(31)で表される構成単位を形成して含まれていてもよい。
Figure 2020125454
式(30)において、Yは4価の有機基であり、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい4価の有機基である。Yは、例えば式(1)で表される構成単位であってもよい。本発明の一実施形態において、ポリアミドイミド系樹脂は、複数種のYを含み得、複数種のYは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(31)において、Yは3価の有機基であり、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい3価の有機基である。本発明の一実施形態において、ポリアミドイミド系樹脂は、複数種のYを含み得、複数種のYは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式(30)及び式(31)において、X及びXは、互いに独立に、2価の有機基であり、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。X及びXとしては、式(c)中のXとして記載した基、式(2)中のX’として記載した基が例示される。
本発明の一実施形態において、ポリアミドイミド系樹脂は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位(a)及びジアミン化合物に由来する構成単位(c)から構成される式(D)で表される構成単位、ジカルボン酸化合物に由来する構成単位(b)及びジアミン化合物に由来する構成単位(c)から構成される式(E)で表される構成単位、並びに、場合により式(30)で表される構成単位、及び/又は、式(31)で表される構成単位からなる。光学フィルムの弾性率、全光線透過率、光学特性、表面硬度を向上させやすい観点から、上記ポリアミドイミド系樹脂において、式(D)及び式(E)で表される構成単位は、式(D)及び式(E)、並びに場合により式(30)及び式(31)で表される構成単位の合計に基づいて、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。なお、ポリアミドイミド系樹脂において、式(D)及び式(E)で表される構成単位は、式(D)及び式(E)、並びに場合により式(30)及び/又は式(31)で表される構成単位の合計に基づいて、通常100%以下である。なお、上記割合は、例えば、H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の一実施形態において、光学フィルム中におけるポリアミドイミド系樹脂の含有量は、光学フィルム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、好ましくは99.5質量部以下、より好ましくは95質量部以下である。ポリアミドイミド系樹脂の含有量が上記範囲内であると、光学フィルムの光学特性、弾性率及び全光線透過率を向上させやすい。
本発明の光学フィルムの弾性率は、光学フィルムのシワや傷付き等を防止しやすい観点から、好ましくは5.2GPa以上、より好ましくは5.5GPa以上、さらに好ましくは5.8GPa以上、さらにより好ましくは6.0GPa以上、とりわけ好ましくは6.2GPa以上、とりわけより好ましくは6.4GPa以上であり、通常100GPa以下である。なお、弾性率は、引張試験機を用いて、例えば、チャック間距離50mm、引張速度10mm/分の条件で測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の光学フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは88%以上、さらにより好ましくは89%以上、とりわけ好ましくは90%以上であり、通常100%以下である。全光線透過率が上記の下限以上であると、光学フィルムを、特に前面板として、表示装置に組み込んだ際に視認性を高めやすい。本発明の光学フィルムは通常、高い全光線透過率を示すので、例えば、透過率の低いフィルムを用いた場合と比べて、一定の明るさを得るために必要な表示素子等の発光強度を抑えることが可能となる。このため、消費電力を削減することができる。例えば、本発明の光学フィルムを表示装置に組みこむ場合、バックライトの光量を減らしても明るい表示を得られる傾向があり、エネルギーの節約に貢献できる。なお、全光線透過率は、例えばJIS K 7361−1:1997に準拠してヘーズコンピュータを用いて測定できる。全光線透過率は、後述する光学フィルムの厚さの範囲における全光線透過率であってよい。なお、本明細書において、光学フィルムが光学特性に優れるとは、全光線透過率が高いことを意味する。
本発明の光学フィルムのヘーズは、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、さらにより好ましくは2.5%以下、さらにより好ましくは2%以下、とりわけ好ましくは1%以下、とりわけより好ましくは0.5%以下であり、通常0.01%以上である。光学フィルムのヘーズが上記の上限以下であると、光学フィルムを、特に前面板として、表示装置に組み込んだ際に、視認性を高めやすい。なお、ヘーズは、JIS K 7136:2000に準拠してヘーズコンピュータを用いて測定できる。
本発明の光学フィルムの黄色度(以下、YI値と略すことがある)は、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下であり、通常−5以上、好ましくは−2以上である。光学フィルムの黄色度が上記の上限以下であると、透明性が良好となり、表示装置の前面板に使用した場合に、高い視認性に寄与することができる。なお、YI値は紫外可視近赤外分光光度計を用いて300〜800nmの光に対する透過率測定を行い、3刺激値(X、Y、Z)を求め、YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Yの式に基づいて算出できる。
本発明の光学フィルムの厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上、とりわけ好ましくは30μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらにより好ましくは80μm以下、とりわけ好ましくは60μm以下であり、これらの上限と下限の組合せであってよい。光学フィルムの厚さが上記の範囲内であると、光学フィルムの弾性率をより高めやすい。なお、光学フィルムの厚さは、マイクロメーターを用いて測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の光学フィルムの少なくとも一方の面の鉛筆硬度は、好ましくはHB以上、より好ましくはF以上である。光学フィルムの少なくとも一方の面の鉛筆硬度が上記の硬度以上である場合、光学フィルムの該表面における傷等を防止しやすい。なお、鉛筆硬度は、JIS K 5600−5−4:1999に準拠して測定できる。
ポリアミドイミド系樹脂のイミド化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは96%以上であり、通常100%以下である。光学フィルムの光学特性を向上させやすい観点から、イミド化率が上記の下限以上であることが好ましい。イミド化率は、ポリアミドイミド系樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値に対する、ポリアミドイミド系樹脂中のイミド結合のモル量の割合を示す。なお、ポリアミドイミド系樹脂がトリカルボン酸化合物を含む場合には、ポリアミドイミド系樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値と、トリカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量との合計に対する、ポリアミドイミド系樹脂中のイミド結合のモル量の割合を示す。また、イミド化率は、IR法、NMR法などにより求めることができる。
ポリアミドイミド系樹脂におけるハロゲン原子の含有量は、ポリアミドイミド系樹脂の質量を基準として、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。ハロゲン原子の含有量が上記の下限以上であると、光学フィルムの弾性率、表面硬度、透明性及び視認性をより向上させやすい。ハロゲン原子の含有量が上記の上限以下であると、樹脂の合成がしやすくなる。
<樹脂の製造方法>
本発明のポリアミドイミド系樹脂は、テトラカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として製造できる。ここで、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を含むため、原料として、式(1)で表される構造を含むテトラカルボン酸化合物を少なくとも使用する。
樹脂の製造に用いられるテトラカルボン酸化合物としては、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を与えるようなテトラカルボン酸化合物、例えば芳香族テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸化合物が挙げられる。テトラカルボン酸化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。テトラカルボン酸化合物は、二無水物の他、酸クロリド化合物等のテトラカルボン酸化合物類縁体であってもよい。例えば上記の式(8)で表される化合物が挙げられる。
樹脂の製造に用いられるテトラカルボン酸化合物としては、上記の式(8)で表される化合物(テトラカルボン酸二無水物)、例えば3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)が挙げられる。
また、樹脂の製造に用いられる他のテトラカルボン酸化合物としては、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDAと記載することがある)、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。また、単環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸二無水物(PMDA))が挙げられ、縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらの中でも、テトラカルボン酸化合物として、好ましくは4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(PMDA)、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物及び4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられ、より好ましくは4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物及び1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(PMDA)が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
光学フィルムの弾性率、全光線透過率、表面硬度及び耐屈曲性の観点から、樹脂の製造に用いられるテトラカルボン酸化合物として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を使用することが好ましく、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)とを使用することも好ましい。
ポリアミドイミド系樹脂の製造に用いられるジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロリド化合物、酸無水物等が挙げられ、これらのジカルボン酸化合物の2種以上を組合せて用いてもよい。ジカルボン酸化合物としては、好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−オキシビス安息香酸又はそれらの酸クロリド化合物が用いられる。テレフタル酸や4,4’−オキシビス安息香酸又はそれらの酸クロリド化合物に加えて、他のジカルボン酸化合物を用いてもよい。他のジカルボン酸化合物としては、具体例としては、イソフタル酸;ナフタレンジカルボン酸;4,4’−ビフェニルジカルボン酸;3,3’−ビフェニルジカルボン酸;炭素数8以下である鎖式炭化水素のジカルボン酸化合物及び2つの安息香酸が単結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−若しくはフェニレン基で連結された化合物並びに、それらの酸クロリド化合物が挙げられる。具体例としては、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)、テレフタロイルクロリドが好ましく、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)とテレフタロイルクロリドとを組合せて用いることがより好ましい。
本発明のポリアミドイミド系樹脂の製造に使用されるジアミン化合物としては、例えば、芳香族ジアミンが挙げられる。なお、本実施形態において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族基又はその他の置換基を含んでいてもよい。この芳香環は単環でも縮合環でもよく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びフルオレン環等が例示され、好ましくはベンゼン環が例示されるが、これらに限定されるわけではない。
芳香族ジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン等の、芳香環を1つ有する芳香族ジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMBと記載することがある)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン等の、芳香環を2つ以上有する芳香族ジアミンが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
芳香族ジアミンは、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジアニリン(6FDAM)であり、より好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジアニリン(6FDAM)である。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
本発明のポリアミドイミド系樹脂の製造に使用されるジアミン化合物として、芳香族ジアミンの他に、脂肪族ジアミンをさらに使用してもよい。なお、「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香環やその他の置換基を含んでいてもよい。脂肪族ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン等の非環式脂肪族ジアミン、並びに1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミン及び4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の環式脂肪族ジアミン等が挙げられる。
上記ジアミン化合物の中でも、光学フィルムの表面硬度、全光線透過率、弾性率、柔軟性、屈曲耐性を高め安く、低着色性を得やすい観点からは、ビフェニル構造を有する芳香族ジアミンからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジアニリンからなる群から選ばれる1種以上を用いることがより好ましく、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)及び/又は4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジアニリン(6FDAM)を用いることがさらに好ましい。
なお、上記ポリアミドイミド系樹脂は、光学積層体の各種物性を損なわない範囲で、上記テトラカルボン酸化合物に加えて、テトラカルボン酸及びトリカルボン酸並びにそれらの無水物及び誘導体をさらに反応させたものであってもよい。
他のテトラカルボン酸としては、上記テトラカルボン酸化合物の無水物の水付加体が挙げられる。
トリカルボン酸化合物としては、芳香族トリカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロリド化合物、酸無水物等が挙げられ、2種以上を組合せて用いてもよい。具体例としては、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸又はその酸クロリド化合物、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸の無水物;2,3,6−ナフタレントリカルボン酸−2,3−無水物;フタル酸無水物と安息香酸とが単結合、−O−、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−若しくはフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
樹脂の製造において、ジアミン化合物、テトラカルボン酸化合物及び/又はジカルボン酸化合物の使用量は、所望とするポリアミドイミド系樹脂の各構成単位の比率に応じて適宜選択できる。
本発明のポリアミドイミド系樹脂の製造方法は、上記のポリアミドイミド系樹脂が得られる限り特に限定されないが、光学フィルムの弾性率及び全光線透過率を高めやすい観点、及び、ポリアミドイミド系樹脂のワニスの状態における安定性を高めやすい観点からは、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とジカルボン酸化合物とを反応させる製造方法であって、ジカルボン酸化合物を分割添加する製造方法により、ポリアミドイミド系樹脂を製造することが好ましく、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とを反応させて中間体(A)を生成する工程(I)、及び、該中間体(A)とジカルボン酸化合物とを反応させる工程(II)を含み、該工程(II)において、該ジカルボン酸化合物を分割添加する方法によりポリアミドイミド系樹脂を製造することがより好ましい。
本発明のポリアミドイミド系樹脂を、ジカルボン酸化合物を分割添加する方法を用いて製造することにより、ポリアミドイミド系樹脂の重量平均分子量を330,000以上の範囲としやすく、光学フィルムの全光線透過率及び弾性率を向上しやく、かつ、ワニスの安定性を高めやすいと考えられる。
したがって、本発明のポリアミドイミド系樹脂は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とジカルボン酸化合物とを反応させる製造方法であって、ジカルボン酸化合物を分割添加する製造方法により製造された樹脂であることが好ましく、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とを反応させて中間体(A)を生成する工程(I)、及び、該中間体(A)とジカルボン酸化合物とを反応させる工程(II)を含む製造方法であって、該工程(II)において、該ジカルボン酸化合物を分割添加する製造方法により製造された樹脂であることがより好ましい。
上記の工程(I)及び工程(II)を含む製造方法によりポリアミドイミド系樹脂を製造する場合、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とを反応させて中間体(A)を生成する工程(I)の反応温度は、特に限定されないが、例えば5〜200℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは5〜50℃、さらに好ましくは5℃〜室温(ここで、室温は、25℃程度を意味する。)であってよい。反応時間は、例えば1分〜72時間、好ましくは10分〜24時間であってよい。また、反応は空気中又は不活性ガス雰囲気(例えば窒素、アルゴン等)で撹拌しながら行ってよく、常圧下、加圧下又は減圧下で行ってもよい。好ましい実施態様では、常圧及び/又は不活性ガス雰囲気下、撹拌しながら行う。
工程(I)では、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とが反応して中間体(A)、すなわち、ポリアミック酸が生成する。そのため、中間体(A)はジアミン化合物由来の構成単位とテトラカルボン酸化合物由来の構成単位とを少なくとも有する。
次に工程(II)において、中間体(A)とジカルボン酸化合物とを反応させ、ここで、該ジカルボン酸化合物を分割添加することが好ましい。工程(I)で得られた反応液にジカルボン酸化合物を分割添加し、中間体(A)とジカルボン酸化合物とを反応させる。ジカルボン酸化合物を一度に添加するのではなく、分割添加することにより、ポリアミドイミド系樹脂の分子量を上記の好ましい範囲に調整しやすい。なお、本明細書において、分割添加とは、添加するジカルボン酸化合物を何回かに分けて添加すること、より詳細には添加するジカルボン酸を特定量に分け、所定間隔又は所定時間をあけてそれぞれ添加することを意味する。該所定間隔(所定時間)は非常に短い間隔又は時間も含まれるため、分割添加には連続添加又は連続フィードも含まれる。
工程(II)において、ジカルボン酸化合物を分割添加する際の分割回数は、反応スケールや原料の種類等により適宜選択でき、好ましくは2〜20回、より好ましくは3〜10回、さらに好ましくは3〜6回である。分割回数が上記範囲であると、光学フィルムの透過率を維持しつつ、弾性率を高めるに最適な構造となりやすいと考えられる。また、ポリアミドイミド系樹脂の重量平均分子量も、上記の好ましい範囲に調整しやすいと考えられる。
ジカルボン酸化合物は、均等な量に分割して添加してもよく、不均等な量に分割して添加してもよい。各添加の間の時間(添加間隔という場合がある)は、全て同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、ジカルボン酸化合物を二種以上添加する場合、用語「分割添加」は、全てのジカルボン酸化合物の合計量を分割して添加することを意味し、各ジカルボン酸化合物の分割の仕方は特に限定されないが、例えば各ジカルボン酸化合物を別々に一括又は分割添加してもよいし、各ジカルボン酸化合物を一緒に分割添加してもよいし、これらの組合せであってもよい。
工程(II)において、ポリアミド系樹脂の重量平均分子量が、得られるポリアミド系樹脂の重量平均分子量に対して好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上に達した時点で、添加するジカルボン酸化合物の総モル量に対して好ましくは1〜40モル%、より好ましくは2〜25モル%のジカルボン酸化合物を添加することが好ましい。
工程(II)の反応温度は、特に限定されないが、例えば5〜200℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは5〜50℃、さらに好ましくは5〜室温(25℃程度)であってよい。また、反応は空気中又は不活性ガス雰囲気(例えば窒素、アルゴン等)で撹拌しながら行ってよく、常圧下、加圧下又は減圧下で行ってもよい。好ましい態様では、常圧及び/又は不活性ガス雰囲気下、撹拌しながら工程(II)を行う。
工程(II)において、ジカルボン酸化合物を分割添加後、所定時間撹拌等して反応させることで、ポリアミドイミド前駆体が得られる。なお、ポリアミドイミド前駆体は、例えば、ポリアミドイミド前駆体を含む反応液に多量の水等を加え、ポリアミドイミド前駆体を析出させ、濾過、濃縮、乾燥等を行うことにより単離できる。
工程(II)では、中間体(A)とジカルボン酸化合物とが反応してポリアミドイミド前駆体が得られる。そのため、ポリアミドイミド前駆体は、ジアミン化合物由来の構成単位、テトラカルボン酸由来の構成単位、及びジカルボン酸化合物由来の構成単位を少なくとも有するイミド化前(閉環前)のポリアミドイミドを示す。
樹脂の製造において、ジアミン化合物、テトラカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物の反応温度は、特に限定されないが、例えば5〜350℃、好ましくは5〜200℃、より好ましくは5〜100℃である。反応時間も特に限定されないが、例えば30分〜10時間程度である。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において反応を行ってよい。好ましい態様では、反応は、常圧及び/又は不活性ガス雰囲気下、撹拌しながら行う。また、反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、反応に影響を与えない限り特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せなどが挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アミド系溶媒を好適に使用できる。
ポリアミドイミド系樹脂の製造方法は、さらに、イミド化触媒の存在下、ポリアミドイミド前駆体をイミド化する工程(III)を含んでいてもよい。工程(II)で得たポリアミドイミド前駆体を工程(III)に供することにより、ポリアミドイミド前駆体の構成単位のうち、ポリアミック酸構造を有する構成単位部分がイミド化され(閉環され)、式(1)で表される構成単位と式(2)で表される構成単位とを含むポリアミドイミド系樹脂を得ることができる。イミド化触媒としては、例えばトリプロピルアミン、ジブチルプロピルアミン、エチルジブチルアミン等の脂肪族アミン;N−エチルピペリジン、N−プロピルピペリジン、N−ブチルピロリジン、N−ブチルピペリジン、及びN−プロピルヘキサヒドロアゼピン等の脂環式アミン(単環式);アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアザビシクロ[3.2.2]ノナン等の脂環式アミン(多環式);並びにピリジン、2−メチルピリジン(2−ピコリン)、3−メチルピリジン(3−ピコリン)、4−メチルピリジン(4−ピコリン)、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3,4−シクロペンテノピリジン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、及びイソキノリン等の芳香族アミンが挙げられる。また、イミド化反応を促進しやすい観点から、イミド化触媒とともに、酸無水物を用いることが好ましい。酸無水物は、イミド化反応に用いられる慣用の酸無水物等が挙げられ、その具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。
ポリアミドイミド系樹脂は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により単離(分離精製)してもよく、好ましい態様では、ポリアミドイミド系樹脂を含む反応液に、多量のメタノール等のアルコールを加え、樹脂を析出させ、濃縮、濾過、乾燥等を行うことにより単離することができる。
<フィラー>
本発明は、上記のポリアミドイミド系樹脂を含む光学フィルムも提供する。本発明の光学フィルムは、少なくとも1種のフィラーを含んでよい。フィラーとしては、例えば有機粒子、無機粒子などが挙げられ、好ましくは無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物粒子などが挙げられ、これらの中でも、光学フィルムの弾性率及び/又は引裂き強度を高め、耐衝撃性を向上しやすい観点から、好ましくはシリカ粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子が挙げられ、より好ましくはシリカ粒子が挙げられる。これらのフィラーは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
フィラー、好ましくはシリカ粒子の平均一次粒子径は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上、とりわけ好ましくは20nm以上であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm以下、さらに好ましくは80nm以下、さらにより好ましくは70nm以下、とりわけ好ましくは60nm以下、とりわけより好ましくは50nm以下、とりわけさらに好ましくは40nm以下である。シリカ粒子の平均一次粒子径が上記範囲内であると、シリカ粒子の凝集を抑制し、得られる光学フィルムの光学特性を向上しやすい。フィラーの平均一次粒子径は、BET法により測定できる。なお、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡の画像解析により、平均一次粒子径を測定してもよい。
本発明の光学フィルムがフィラー、好ましくはシリカ粒子を含有する場合、フィラーの含有量は、光学フィルム100質量部に対して、通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、さらによりに好ましくは20質量部以上、とりわけ好ましくは30質量部以上であり、好ましくは60質量部以下である。フィラーの含有量が上記の下限以上であると、得られる光学フィルムの弾性率を向上しやすい。また、フィラーの含有量が上記の上限以下であると、光学フィルムの光学特性を向上しやすい。
<紫外線吸収剤>
本発明の光学フィルムは、少なくとも1種の紫外線吸収剤を含んでもよい。紫外線吸収剤は、樹脂材料の分野で紫外線吸収剤として通常用いられているものから、適宜選択することができる。紫外線吸収剤は、400nm以下の波長の光を吸収する化合物を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリアジン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。紫外線吸収剤は単独又は二種以上を組合せて使用できる。光学フィルムが紫外線吸収剤を含有することにより、樹脂の劣化が抑制されるため、本発明の光学フィルムを表示装置等に適用した場合に視認性を高めることができる。本明細書において、「系化合物」とは、当該「系化合物」が付される化合物の誘導体を指す。例えば、「ベンゾフェノン系化合物」とは、母体骨格としてのベンゾフェノンと、ベンゾフェノンに結合している置換基とを有する化合物を指す。
本発明の光学フィルムが紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有量は、光学フィルムに含まれるポリアミドイミド系樹脂の質量に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部、さらに好ましくは2〜7質量部である。紫外線吸収剤の含有量が上記の下限以上であると、紫外線吸収性を向上させやすい。紫外線吸収剤の含有量が上記の上限以下であると、基材製造時の熱による紫外線吸収剤の分解を抑制でき、光学特性を向上させやすく、例えばヘーズを低減させやすい。
<他の添加剤>
本発明の光学フィルムは、フィラー、紫外線吸収剤以外の他の添加剤をさらに含有していてもよい。他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤等の着色剤、難燃剤、pH調整剤、シリカ分散剤、滑剤、増粘剤、及びレベリング剤等が挙げられる。他の添加剤を含有する場合、その含有量は、光学フィルムの質量に対して、好ましくは0.001〜20質量部、より好ましくは0.01〜15質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部であってよい。
(光学フィルムの製造方法)
本発明のポリアミドイミド系樹脂を用いて光学フィルムを製造する方法は、特に限定されないが、例えば以下の工程:
(a)前記ポリアミドイミド系樹脂及び溶媒を少なくとも含むポリアミドイミド系樹脂ワニスを調製する工程(ワニス調製工程)、
(b)ワニスを支持材に塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、及び
(c)塗布された液(塗膜)を乾燥させて、光学フィルムを形成する工程(光学フィルム形成工程)
を含む製造方法であってよい。なお、本発明は、本発明のポリアミドイミド系樹脂及び溶媒を少なくとも含むポリアミドイミド系樹脂ワニスも提供する。
ワニス調製工程において、ポリアミドイミド系樹脂を溶媒に溶解させ、必要に応じて、前記フィラー、紫外線吸収剤等の添加剤を添加して撹拌混合することによりワニスを調製する。なお、フィラーとしてシリカ粒子を用いる場合、シリカ粒子を含むシリカゾルの分散液を、前記樹脂が溶解可能な溶媒、例えば下記のワニスの調製に用いられる溶媒で置換したシリカゾルを樹脂に添加してもよい。
ワニスの調製に用いる溶媒は、前記樹脂を溶解可能であれば特に限定されない。かかる溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せ(混合溶媒)が挙げられる。これらの中でも、アミド系溶媒又はラクトン系溶媒が好ましい。ラクトン系溶媒を用いると光学特性が高いフィルムになる傾向にある。これらの溶媒は単独又は二種以上組合せて使用できる。また、ワニスには水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非環状エステル系溶媒、エーテル系溶媒などが含まれてもよい。本発明のポリアミドイミド系樹脂ワニスにおける固形分濃度は、ポリアミドイミド系樹脂ワニスの安定性を高めやすい観点から、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。また、本発明のポリアミドイミド系樹脂ワニスにおける溶媒の濃度は、ポリアミドイミド系樹脂ワニスの安定性を高めやすい観点から、ポリアミドイミド系樹脂ワニスの総量に基づいて、好ましくは75〜99質量%、より好ましくは80〜95質量%、さらに好ましくは85〜95質量%である。
本発明のポリアミドイミド系樹脂及び溶媒を少なくとも含むポリアミドイミド系樹脂ワニスは、高い安定性を有する。ポリアミドイミド系樹脂を含むワニスを用いて、ポリアミド系樹脂を含む光学フィルムを製造する場合、ワニス調製工程の直後に塗布工程を行う場合もあるが、ワニス調製工程の後、調製したワニスがしばらくの間貯蔵、輸送等されることにより、塗布工程までに所定の時間が経過する場合がある。ワニス調製工程の後、塗布工程までの間において、ワニスのゲル化が生じると、塗布工程において十分な塗工性が得らない場合がある。また、ワニス中のゲルにより、光学フィルムの品質、特に光学特性が損なわれる場合がある。本発明のポリアミドイミド系樹脂ワニスは、高い安定性を有するため、上記のような問題が生じにくい。なお、本明細書において、ポリアミドイミド系樹脂ワニスは、高い安定性を有するため、例えば室温(例えば25℃)の条件下で、好ましくは1日以上、より好ましくは3日以上、さらに好ましくは10日以上、とりわけ好ましくは30日以上静置しても、樹脂ワニスのゲル化が起こらない。なお、イミド化することにより本発明のポリアミドイミド系樹脂を与えるポリアミドイミド前駆体を含むワニスを使用して、本発明のポリアミドイミド系樹脂を含む光学フィルムを製造する場合、本発明のポリアミドイミド系樹脂を与えるイミド化前のポリアミドイミド前駆体及び溶媒を少なくとも含むワニスも、高い安定性を有する。
塗布工程において、公知の塗布方法により、支持材上にワニスを塗布して塗膜を形成する。公知の塗布方法としては、例えばワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法、流涎成形法等が挙げられる。
フィルム形成工程において、塗膜を乾燥し、支持材から剥離することによって、光学フィルムを形成することができる。剥離後にさらに光学フィルムを乾燥する工程を設けてもよい。塗膜の乾燥は、通常50〜350℃の温度にて行うことができる。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において塗膜の乾燥を行ってよい。
支持材の例としては、金属系であれば、SUS板、樹脂系であればPETフィルム、PENフィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリイミド系樹脂フィルム、シクロオレフィン系ポリマー(COP)フィルム、アクリル系フィルム等が挙げられる。中でも、平滑性、耐熱性に優れる観点から、PETフィルム、COPフィルム等が好ましく、さらに光学フィルムとの密着性及びコストの観点から、PETフィルムがより好ましい。
本発明の光学フィルムの用途は特に限定されず、種々の用途に使用してよい。本発明の光学フィルムは、上記に述べたように単層であっても、積層体であってもよく、本発明の光学フィルムをそのまま使用してもよいし、さらに他のフィルムとの積層体として使用してもよい。なお、光学フィルムが積層体である場合、光学フィルムの片面又は両面に積層された全ての層を含めて光学フィルムと称する。
(機能層)
本発明の光学フィルムの少なくとも一方の面には、1以上の機能層が積層されていてもよい。機能層としては、例えば紫外線吸収層、ハードコート層、プライマー層、ガスバリア層、粘着層、色相調整層、屈折率調整層などが挙げられる。機能層は単独又は二種以上を組合せて使用できる。
紫外線吸収層は、紫外線吸収の機能を有する層であり、例えば、紫外線硬化型の透明樹脂、電子線硬化型の透明樹脂、及び熱硬化型の透明樹脂から選ばれる主材と、この主材に分散した紫外線吸収剤とから構成される。
本発明の光学フィルムの少なくとも一方の面には、ハードコート層が設けられていてもよい。ハードコート層の厚さは特に限定されず、例えば、2〜100μmであってもよい。前記ハードコート層の厚さが前記の範囲にあると、十分な耐擦傷性を確保することができ、また耐屈曲性が低下しにくく、硬化収縮によるカール発生の問題が発生し難い傾向がある。
前記ハードコート層は、活性エネルギー線照射、或いは熱エネルギー付与により架橋構造を形成し得る反応性材料を含むハードコート組成物を硬化させて形成することができ、活性エネルギー線照射によるものが好ましい。活性エネルギー線は、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることができるエネルギー線と定義され、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線及び電子線などが挙げられ、好ましくは紫外線が挙げられる。前記ハードコート組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有する。
前記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物である。前記ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、炭素‐炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、前記ラジカル重合性化合物が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記ラジカル重合性化合物が1分子中に有するラジカル重合性基の数は、ハードコート層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上である。前記ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられ、具体的には1分子中に2〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーが挙げられ、好ましくはエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートから選択された1種以上が挙げられる。
前記カチオン重合性化合物は、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基等のカチオン重合性基を有する化合物である。前記カチオン重合性化合物が1分子中に有するカチオン重合性基の数は、ハードコート層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。
また、前記カチオン重合性化合物としては、中でも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高くなりやすく、低毒性であり、得られたハードコート層のカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記ハードコート組成物は重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等が挙げられ、適宜選択して用いられる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過安息香酸等の有機過酸化物、アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物等があげられる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、分子の分解でラジカルが生成されるType1型ラジカル重合開始剤と、3級アミンと共存して水素引き抜き型反応でラジカルを生成するType2型ラジカル重合開始剤があり、それらは単独で又は併用して使用される。
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、シクロペンタジエニル鉄(II)錯体等が使用できる。これらは、構造の違いによって活性エネルギー線照射又は加熱のいずれか又はいずれでもカチオン重合を開始することができる。
前記重合開始剤は、前記ハードコート組成物全体100質量%に対して好ましくは0.1〜10質量%を含むことができる。前記重合開始剤の含量が前記の範囲にあると、硬化を十分に進行させることができ、最終的に得られる塗膜の機械的物性や密着力を良好な範囲とすることができ、また、硬化収縮による接着力不良や割れ現象及びカール現象が発生し難くなる傾向がある。
前記ハードコート組成物は、溶剤及び添加剤からなる群から選択される一つ以上をさらに含むことができる。前記溶剤は、前記重合性化合物及び重合開始剤を溶解又は分散させることができるもので、本技術分野のハードコート組成物の溶剤として知られている溶剤であれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、使用することができる。前記添加剤は、無機粒子、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、潤滑剤、防汚剤などをさらに含むことができる。
粘着層は、粘着性の機能を有する層であり、光学フィルムを他の部材に接着させる機能を有する。粘着層の形成材料としては、通常知られたものを用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を用いることができる。この場合、事後的にエネルギーを供給することで樹脂組成物を高分子化し硬化させることができる。
粘着層は、感圧型接着剤(Pressure Sensitive Adhesive、PSA)と呼ばれる、押圧により対象物に貼着される層であってもよい。感圧型接着剤は、「常温で粘着性を有し、軽い圧力で被着材に接着する物質」(JIS K 6800)である粘着剤であってもよく、「特定成分を保護被膜(マイクロカプセル)に内容し、適当な手段(圧力、熱等)によって被膜を破壊するまでは安定性を保持できる接着剤」(JIS K 6800)であるカプセル型接着剤であってもよい。
色相調整層は、色相調整の機能を有する層であり、光学フィルムを含む積層体を目的の色相に調整することができる層である。色相調整層は、例えば、樹脂及び着色剤を含有する層である。この着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、弁柄、チタニウムオキサイド系焼成顔料、群青、アルミン酸コバルト、及びカーボンブラック等の無機顔料;アゾ系化合物、キナクリドン系化合物、アンスラキノン系化合物、ペリレン系化合物、イソインドリノン系化合物、フタロシアニン系化合物、キノフタロン系化合物、スレン系化合物、及びジケトピロロピロール系化合物等の有機顔料;硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等の体質顔料;並びに塩基性染料、酸性染料、及び媒染染料等の染料を挙げることができる。
屈折率調整層は、屈折率調整の機能を有する層であり、例えば光学フィルムとは異なる屈折率を有し、光学積層体に所定の屈折率を付与することができる層である。屈折率調整層は、例えば、適宜選択された樹脂、及び場合によりさらに顔料を含有する樹脂層であってもよいし、金属の薄膜であってもよい。屈折率を調整する顔料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化タンタルが挙げられる。該顔料の平均一次粒子径は、0.1μm以下であってもよい。顔料の平均一次粒子径を0.1μm以下とすることにより、屈折率調整層を透過する光の乱反射を防止し、透明度の低下を防止することができる。屈折率調整層に用いられる金属としては、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸窒化チタン、窒化チタン、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素等の金属酸化物又は金属窒化物が挙げられる。
本発明の光学フィルムは、単層であっても、積層体であってもよく、例えば上記のようにして製造される光学フィルムをそのまま使用してもよいし、さらに他のフィルムとの積層体として使用してもよい。
本発明の一実施態様において、光学フィルムは、少なくとも一方の面(片面又は両面)に保護フィルムを有していてもよい。例えば光学フィルムの片面に機能層を有する場合には、保護フィルムは、光学フィルム側の表面又は機能層側の表面に積層されていてもよく、光学フィルム側と機能層側の両方に積層されていてもよい。光学フィルムの両面に機能層を有する場合には、保護フィルムは、片方の機能層側の表面に積層されていてもよく、両方の機能層側の表面に積層されていてもよい。保護フィルムは、光学フィルム又は機能層の表面を一時的に保護するためのフィルムであり、光学フィルム又は機能層の表面を保護できる剥離可能なフィルムである限り特に限定されない。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム及びアクリル系樹脂フィルムからなる群から選択されることが好ましい。光学フィルムが保護フィルムを2つ有する場合、各保護フィルムは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、通常、10〜120μm、好ましくは15〜110μm、より好ましくは20〜100μmである。光学フィルムが保護フィルムを2つ有する場合、各保護フィルムの厚さは同一であってよいし、異なっていてもよい。
本発明の好ましい一実施形態において、本発明の光学フィルムは、表示装置の前面板、特にフレキシブル表示装置の前面板(以下、ウインドウフィルムと称することがある)として有用である。フレキシブル表示装置は、例えば、フレキシブル機能層と、フレキシブル機能層に重ねられて前面板として機能する光学フィルムを有する。すなわち、フレキシブル表示装置の前面板は、フレキシブル機能層の上の視認側に配置される。この前面板は、フレキシブル機能層を保護する機能を有する。
表示装置としては、テレビ、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション、タブレットPC、携帯ゲーム機、電子ペーパー、インジケーター、掲示板、時計、及びスマートウォッチ等のウェアラブルデバイス等が挙げられる。フレキシブル表示装置としては、フレキシブル特性を有する全ての表示装置、中でも好ましくは折り曲げ可能な、フォルダブル表示装置やローラブル表示装置が挙げられる。
[フレキシブル表示装置]
本発明は、本発明の光学フィルムを備える、フレキシブル表示装置も提供する。本発明の光学フィルムは、好ましくはフレキシブル表示装置において前面板として用いられ、該前面板はウインドウフィルムと称されることがある。該フレキシブル表示装置は、フレキシブル表示装置用積層体と、有機EL表示パネルとからなり、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブル表示装置用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。フレキシブル表示装置用積層体は、ウインドウフィルム、偏光板(好ましくは円偏光板)、タッチセンサを含有していてもよく、それらの積層順は任意であるが、視認側からウインドウフィルム、偏光板、タッチセンサ又はウインドウフィルム、タッチセンサ、偏光板の順に積層されていることが好ましい。タッチセンサの視認側に偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、前記ウインドウフィルム、偏光板、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
[偏光板]
本発明のフレキシブル表示装置は、偏光板、好ましくは円偏光板をさらに備えてよい。円偏光板は、直線偏光板にλ/4位相差板を積層することにより右若しくは左円偏光成分のみを透過させる機能を有する機能層である。たとえば外光を右円偏光に変換して有機ELパネルで反射されて左円偏光となった外光を遮断し、有機ELの発光成分のみを透過させることで反射光の影響を抑制して画像を見やすくするために用いられる。円偏光機能を達成するためには、直線偏光板の吸収軸とλ/4位相差板の遅相軸は理論上45°である必要があるが、実用的には45±10°である。直線偏光板とλ/4位相差板とは必ずしも隣接して積層される必要はなく、吸収軸と遅相軸の関係が前述の範囲を満足していればよい。全波長において完全な円偏光を達成することが好ましいが実用上は必ずしもその必要はないので本発明における円偏光板は楕円偏光板をも包含する。直線偏光板の視認側にさらにλ/4位相差フィルムを積層して、出射光を円偏光とすることで偏光サングラスをかけた状態での視認性を向上させることも好ましい。
直線偏光板は、透過軸方向に振動している光は通すが、それとは垂直な振動成分の偏光を遮断する機能を有する機能層である。前記直線偏光板は、直線偏光子単独又は直線偏光子及びその少なくとも一面に貼り付けられた保護フィルムを備えた構成であってもよい。前記直線偏光板の厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは、0.5〜100μmである。厚さが前記の範囲にあると柔軟性が低下し難い傾向にある。
前記直線偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを染色、延伸することで製造されるフィルム型偏光子であってもよい。延伸によって配向したPVA系フィルムに、ヨウ素等の二色性色素が吸着、又はPVAに吸着した状態で延伸されることで二色性色素が配向し、偏光性能を発揮する。前記フィルム型偏光子の製造においては、他に膨潤、ホウ酸による架橋、水溶液による洗浄、乾燥等の工程を有していてもよい。延伸や染色工程はPVA系フィルム単独で行ってもよいし、ポリエチレンテレフタレートのような他のフィルムと積層された状態で行うこともできる。用いられるPVA系フィルムの厚さは好ましくは10〜100μmであり、延伸倍率は好ましくは2〜10倍である。
さらに前記偏光子の他の一例としては、液晶偏光組成物を塗布して形成する液晶塗布型偏光子であってもよい。前記液晶偏光組成物は、液晶性化合物及び二色性色素化合物を含むことができる。前記液晶性化合物は液晶状態を示す性質を有していればよく、特にスメクチック相等の高次の配向状態を有していると高い偏光性能を発揮することができるため好ましい。また、液晶性化合物は重合性官能基を有していることも好ましい。
前記二色性色素は、前記液晶化合物とともに配向して二色性を示す色素であって、二色性色素自身が液晶性を有していてもよいし、重合性官能基を有していることもできる。液晶偏光組成物の中のいずれかの化合物は重合性官能基を有している。
前記液晶偏光組成物はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。
前記液晶偏光層は、配向膜上に液晶偏光組成物を塗布して液晶偏光層を形成することにより製造される。
液晶偏光層は、フィルム型偏光子に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmであってもよい。
前記配向膜は、例えば基材上に配向膜形成組成物を塗布し、ラビング、偏光照射等により配向性を付与することで製造することができる。前記配向膜形成組成物は、配向剤の他に溶剤、架橋剤、開始剤、分散剤、レベリング剤、シランカップリング剤等を含んでいてもよい。前記配向剤としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリレート類、ポリアミック酸類、ポリイミド類を使用できる。光配向を適用する場合にはシンナメート基を含む配向剤を使用することが好ましい。前記配向剤として使用される高分子の重量平均分子量が10,000〜1,000,000程度であってもよい。前記配向膜の厚さは、配向規制力の観点から、好ましくは5〜10,000nm、より好ましは10〜500nmである。前記液晶偏光層は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウインドウの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
前記保護フィルムとしては、透明な高分子フィルムであればよく、前記透明基材に使用される材料、添加剤が使用できる。セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、アクリルフィルム、ポリエステル系フィルムが好ましい。エポキシ樹脂等のカチオン硬化組成物やアクリレート等のラジカル硬化組成物を塗布して硬化して得られるコーティング型の保護フィルムであってもよい。必要により可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤等を含んでいてもよい。前記保護フィルムの厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは1〜100μmである。前記保護フィルムの厚さが前記の範囲にあると、保護フィルムの柔軟性が低下し難い。保護フィルムは、ウインドウの透明基材の役割を兼ねることもできる。
前記λ/4位相差板は、入射光の進行方向に直交する方向(フィルムの面内方向)にλ/4の位相差を与えるフィルムである。前記λ/4位相差板は、セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等の高分子フィルムを延伸することで製造される延伸型位相差板であってもよい。必要により位相差調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤等を含んでいてもよい。前記延伸型位相差板の厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは1〜100μmである。厚さが前記の範囲にあるとフィルムの柔軟性が低下し難い傾向にある。
さらに前記λ/4位相差板の他の一例としては、液晶組成物を塗布して形成する液晶塗布型位相差板であってもよい。前記液晶組成物は、ネマチック、コレステリック、スメクチック等の液晶状態を示す性質を有する液晶性化合物を含む。液晶組成物の中の液晶性化合物を含むいずれかの化合物は重合性官能基を有している。前記液晶塗布型位相差板はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。前記液晶塗布型位相差板は、前記液晶偏光層での記載と同様に配向膜上に液晶組成物を塗布硬化して液晶位相差層を形成することで製造することができる。液晶塗布型位相差板は、延伸型位相差板に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであってもよい。前記液晶塗布型位相差板は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウインドウの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
一般的には、短波長ほど複屈折が大きく長波長になるほど小さな複屈折を示す材料が多い。この場合には全可視光領域でλ/4の位相差を達成することはできないので、視感度の高い560nm付近に対してλ/4となるような面内位相差100〜180nm、好ましくは130〜150nmとなるように設計されることが多い。通常とは逆の複屈折率波長分散特性を有する材料を用いた逆分散λ/4位相差板を用いることは視認性をよくすることができるので好ましい。このような材料としては延伸型位相差板の場合は特開2007−232873号公報等、液晶塗布型位相差板の場合には特開2010−30979号公報に記載されているものを用いることも好ましい。
また、他の方法としてはλ/2位相差板と組合せることで広帯域λ/4位相差板を得る技術も知られている(特開平10−90521号公報)。λ/2位相差板もλ/4位相差板と同様の材料方法で製造される。延伸型位相差板と液晶塗布型位相差板との組合せは任意であるが、どちらも液晶塗布型位相差板を用いることは厚さを薄くすることができるので好ましい。
前記円偏光板には斜め方向の視認性を高めるために、正のCプレートを積層する方法も知られている(特開2014−224837号公報)。正のCプレートも液晶塗布型位相差板であっても延伸型位相差板であってもよい。厚さ方向の位相差は、通常−200〜−20nm、好ましくは−140〜−40nmである。
[タッチセンサ]
本発明のフレキシブル表示装置は、タッチセンサをさらに備えていてもよい。タッチセンサは入力手段として用いられる。タッチセンサとしては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が提案されており、いずれの方式でも構わない。中でも静電容量方式が好ましい。静電容量方式タッチセンサは活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサはフレキシブルな特性を有する基板と;前記基板の活性領域に形成された感知パターンと;前記基板の非活性領域に形成され、前記感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。フレキシブルな特性を有する基板としては、前記ウインドウの透明基板と同様の材料が使用できる。タッチセンサの基板は、その靱性が2,000MPa%以上であるものがタッチセンサのクラック抑制の面から好ましい。より好ましくは靱性が2,000〜30,000MPa%であってもよい。ここで、靭性は、高分子材料の引張実験を通じて得られる応力(MPa)−歪み(%)曲線(Stress-strain curve)で破壊点までの曲線の下部面積として定義される。
前記感知パターンは、第1方向に形成された第1パターン及び第2方向に形成された第2パターンを備えることができる。第1パターンと第2パターンは互いに異なる方向に配置される。第1パターン及び第2パターンは、同一層に形成され、タッチされる地点を感知するためには、それぞれのパターンが電気的に接続されなければならない。第1パターンは各単位パターンが継ぎ手を介して互いに接続された形態であるが、第2パターンは各単位パターンがアイランド形態に互いに分離された構造になっているので、第2パターンを電気的に接続するためには別途のブリッジ電極が必要である。感知パターンは周知の透明電極素材を適用することができる。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)、PEDOT(poly(3,4−ethylenedioxythiophene))、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン、金属ワイヤなどを挙げることができ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。好ましくはITOを使用することができる。金属ワイヤに使用される金属は特に限定されず、例えば、銀、金、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、セレニウム、クロムなどを挙げることができる。これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
ブリッジ電極は感知パターン上部に絶縁層を介して前記絶縁層上部に形成することができ、基板上にブリッジ電極が形成されており、その上に絶縁層及び感知パターンを形成することができる。前記ブリッジ電極は感知パターンと同じ素材で形成することもでき、モリブデン、銀、アルミニウム、銅、パラジウム、金、白金、亜鉛、スズ、チタン又はこれらのうちの2種以上の合金などの金属で形成することもできる。第1パターンと第2パターンは電気的に絶縁されなければならないので、感知パターンとブリッジ電極の間には絶縁層が形成される。絶縁層は第1パターンの継ぎ手とブリッジ電極の間にのみ形成することもでき、感知パターンを覆う層の構造に形成することもできる。後者の場合は、ブリッジ電極は絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して第2パターンを接続することができる。前記タッチセンサはパターンが形成されたパターン領域と、パターンが形成されていない非パターン領域間の透過率の差、具体的には、これらの領域における屈折率の差によって誘発される光透過率の差を適切に補償するための手段として基板と電極の間に光学調節層をさらに含むことができ、前記光学調節層は無機絶縁物質又は有機絶縁物質を含むことができる。光学調節層は光硬化性有機バインダー及び溶剤を含む光硬化組成物を基板上にコーティングして形成することができる。前記光硬化組成物は無機粒子をさらに含むことができる。前記無機粒子によって光学調節層の屈折率を上昇させることができる。
前記光硬化性有機バインダーは、例えば、アクリレート系単量体、スチレン系単量体、カルボン酸系単量体などの各単量体の共重合体を含むことができる。前記光硬化性有機バインダーは、例えば、エポキシ基含有繰り返し単位、アクリレート繰り返し単位、カルボン酸繰り返し単位などの互いに異なる各繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
前記無機粒子は、例えば、ジルコニア粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などを含むことができる。前記光硬化組成物は、光重合開始剤、重合性モノマー、硬化補助剤などの各添加剤をさらに含むこともできる。
[接着層]
前記フレキシブル表示装置用積層体を形成する各層(ウインドウ、偏光板、タッチセンサ)並びに各層を構成するフィルム部材(直線偏光板、λ/4位相差板等)は接着剤によって接着することができる。接着剤としては、水系接着剤、有機溶剤系接着剤、無溶剤系接着剤、固体接着剤、溶剤揮散型接着剤、水系溶剤揮散型接着剤、湿気硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、硬化剤混合型接着剤、熱溶融型接着剤、感圧型接着剤(粘着剤)、再湿型接着剤等、汎用に使用されているものが使用できる。中でも水系溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤がよく用いられる。接着層の厚さは、求められる接着力等に応じて適宜調節することができ、例えば0.01〜500μm、好ましくは0.1〜300μmである。接着層は、前記フレキシブル表示装置用積層体には複数存在してよいが、それぞれの厚さ及び用いられる接着剤の種類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記水系溶剤揮散型接着剤としてはポリビニルアルコール系ポリマー、でんぷん等の水溶性ポリマー、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系エマルジョン等水分散状態のポリマーを主剤ポリマーとして使用することができる。水、前記主剤ポリマーに加えて、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、染料、顔料、無機フィラー、有機溶剤等を配合してもよい。前記水系溶剤揮散型接着剤によって接着する場合、前記水系溶剤揮散型接着剤を被接着層間に注入して被着層を貼合した後、乾燥させることで接着性を付与することができる。前記水系溶剤揮散型接着剤を用いる場合の接着層の厚さは0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μmであってもよい。前記水系溶剤揮散型接着剤を複数層の形成に用いる場合、それぞれの層の厚さ及び前記接着剤の種類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線を照射して接着剤層を形成する反応性材料を含む活性エネルギー線硬化組成物の硬化により形成することができる。前記活性エネルギー線硬化組成物は、ハードコート組成物と同様のラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有することができる。前記ラジカル重合性化合物とは、ハードコート組成物と同様であり、ハードコート組成物と同様の種類のものが使用できる。接着層に用いられるラジカル重合性化合物としてはアクリロイル基を有する化合物が好ましい。接着剤組成物としての粘度を下げるために単官能の化合物を含むことも好ましい。
前記カチオン重合性化合物は、ハードコート組成物と同様であり、ハードコート組成物と同様の種類のものが使用できる。活性エネルギー線硬化組成物に用いられるカチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物が好ましい。接着剤組成物の粘度を下げるために単官能の化合物を反応性希釈剤として含むことも好ましい。
活性エネルギー線組成物には重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等であり、適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。ハードコート組成物の記載の中で活性エネルギー線照射によりラジカル重合又はカチオン重合の内の少なくともいずれか開始することができる開始剤を使用することができる。
前記活性エネルギー線硬化組成物はさらに、イオン捕捉剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、密着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動粘度調整剤、可塑剤、消泡剤溶剤、添加剤、溶剤を含むことができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤によって接着する場合、前記活性エネルギー線硬化組成物を被接着層のいずれか又は両方に塗布後貼合し、いずれかの被着層又は両方の被着層を通して活性エネルギー線を照射して硬化させることで接着することができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合の接着層の厚さは0.01〜20μm、好ましくは0.1〜10μmであってもよい。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を複数層の形成に用いる場合には、それぞれの層の厚さ及び用いられる接着剤の種類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記粘着剤としては、主剤ポリマーに応じて、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等に分類され何れを使用することもできる。粘着剤には主剤ポリマーに加えて、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、染料、顔料、無機フィラー等を配合してもよい。前記粘着剤を構成する各成分を溶剤に溶解・分散させて粘着剤組成物を得て、該粘着剤組成物を基材上に塗布した後に乾燥させることで、粘着層(接着層)が形成される。粘着層は直接形成されてもよいし、別途基材に形成したものを転写することもできる。接着前の粘着面をカバーするためには離型フィルムを使用することも好ましい。前記粘着剤を用いる場合の接着層の厚さは1〜500μm、好ましくは2〜300μmであってもよい。前記粘着剤を複数層の形成に用いる場合、それぞれの層の厚さ及び用いられる粘着剤の種類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
[遮光パターン]
前記遮光パターンは前記フレキシブル表示装置のベゼル又はハウジングの少なくとも一部として適用することができる。遮光パターンによって前記フレキシブル表示装置の辺縁部に配置される配線が隠されて視認されにくくすることで、画像の視認性が向上する。前記遮光パターンは単層又は複層の形態であってもよい。遮光パターンのカラーは特に制限されることはなく、黒色、白色、金属色などの多様なカラーを有することができる。遮光パターンはカラーを具現するための顔料と、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーンなどの高分子で形成することができる。これらの単独又は2種類以上の混合物で使用することもできる。前記遮光パターンは、印刷、リソグラフィ、インクジェットなど各種の方法にて形成することができる。遮光パターンの厚さは、通常1〜100μm、好ましくは2〜50μmである。また、遮光パターンの厚さ方向に傾斜等の形状を付与することも好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、質量%及び質量部を意味する。まず評価方法について説明する。
<弾性率の測定>
実施例及び比較例において得られたポリアミドイミドフィルムの弾性率を(株)島津製作所製「オートグラフAG−IS」を用いて測定した。縦横10mm幅のフィルムを作製し、チャック間距離50mm、引張速度10mm/分の条件で応力−歪曲線を測定し、その傾きから弾性率を算出した。
<全光線透過率の測定>
サンプルの全光線透過率(Tt)を、JIS K 7105:1981に準拠して、スガ試験機(株)製の全自動直読ヘーズコンピュータHGM−2DPにより、実施例及び比較例で得られた光学フィルムについて測定した。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定
(1)前処理方法
サンプルにDMF溶離液(10mmol/L臭化リチウム溶液)を濃度2mg/mLとなるように加え、80℃にて30分間撹拌しながら加熱し、冷却後、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:東ソー(株)製TSKgel α−2500((7)7.8mm径×300mm)×1本、α−M((13)7.8mm径×300mm)×2本
溶離液:DMF(10mmol/Lの臭化リチウム添加)
流量:1.0mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μL
分子量標準:標準ポリスチレン
<厚さの測定>
実施例及び比較例で得られたポリアミドイミドフィルムの厚さは、マイクロメーター((株)ミツトヨ製「ID−C112XBS」)を用いて測定した。
<ワニス安定性試験>
粘度が30,000〜40,000cPになるように濃度を調整して、ポリアミドイミド樹脂とジメチルアセトアミドとを混合し、かき混ぜながら70℃で加熱し、ワニスを作製した。作製したワニス10gを、直径27mmのガラススクリュー管内に入れ、25℃で直立の状態で3日間静置した。その後、ガラススクリュー管を90°横倒しさせて、さらに1時間静置した。1時間後に液面が水平状態となっているものを溶液状態と判断し、水平にならなかったものはゲル状態と判断した。なお、表1に記載する結果において、溶液状態と判断した場合には〇とし、ゲル状態と判断した場合は×とした。
<実施例1>
[ポリアミドイミド樹脂(1)の調製]
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)をTFMBの固形分が5.39質量%となるように加え、さらに4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジアニリン(6FDAM)をTFMBに対して11.11mol%加え、室温で撹拌しながらTFMBと6FDAMをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)をTFMBに対して44.67mol%になるように添加し、室温で3時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、テレフタル酸クロライド(TPC)をTFMBに対して60.30mol%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.70mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリンをそれぞれTFMBに対して60.30mol%、無水酢酸をTFMBに対して313.67mol%とを加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(1)を得た。
[ポリアミドイミドフィルム(1)の製造]
得られたポリアミドイミド樹脂(1)に、濃度が6.5質量%となるようにDMAcを加え、ポリアミドイミドワニス(1)を作製し、25℃で3日間放置した。その後、得られたポリアミドイミドワニス(1)をポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の厚さが45μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜を金枠に固定し、さらに200℃で60分間乾燥し、厚さ40μmのポリアミドイミドフィルム(1)を得た。
<実施例2>
[ポリアミドイミド樹脂(2)の調製]
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及びDMAcをTFMBの固形分が4.81質量%となるように加え、さらに6FDAMをTFMBに対して25.00mol%加え、室温で撹拌しながらTFMBと6FDAMをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコにBPDAをTFMBに対して50.25mol%になるように添加し、室温で3時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して67.84mol%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して7.54mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリンをそれぞれTFMBに対して75.38mol%、無水酢酸をTFMBに対して351.76mol%とを加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(2)を得た。
[ポリアミドイミドフィルム(2)の製造]
得られたポリアミドイミド樹脂(2)に、濃度が6.0質量%となるようにDMAcを加え、ポリアミドイミドワニス(2)を作製し、25℃で3日間放置した。その後、得られたポリアミドイミドワニス(2)をポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の厚さが45μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜を金枠に固定し、さらに200℃で60分間乾燥し、厚さ40μmのポリアミドイミドフィルム(2)を得た。
<実施例3>
[ポリアミドイミド樹脂(3)の調製]
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及びDMAcをTFMBの固形分が5.44質量%となるように加え、さらに6FDAMをTFMBに対して11.11mol%加え、室温で撹拌しながらTFMBと6FDAMをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコにBPDAをTFMBに対して34.01mol%になるように添加し、室温で3時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して71.43mol%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して7.94mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリンをそれぞれTFMBに対して79.37mol%、無水酢酸をTFMBに対して238.10mol%とを加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(3)を得た。
[ポリアミドイミドフィルム(3)の製造]
得られたポリアミドイミド樹脂(3)に、濃度が8.0質量%となるようにDMAcを加え、ポリアミドイミドワニス(3)を作製し、25℃で3日間放置した。その後、得られたポリアミドイミドワニス(3)をポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の厚さが55μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜を金枠に固定し、さらに200℃で60分間乾燥し、厚さ50μmのポリアミドイミドフィルム(3)を得た。
<実施例4>
[ポリアミドイミド樹脂(4)の調製]
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及びDMAcをTFMBの固形分が5.39質量%となるように加え、さらに6FDAMをTFMBに対して11.11mol%を加え、室温で撹拌しながらTFMBと6FDAMをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコにBPDAをTFMBに対して33.50mol%になるように添加し、室温で3時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、4,4’オキシビス(ベンゾイルクロライド)(OBBC)をTFMBに対して11.17mol%、TPCをTFMBに対して60.30mol%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.70mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリンをそれぞれTFMBに対して78.17mol%、無水酢酸をTFMBに対して234.51mol%とを加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(4)を得た。
[ポリアミドイミドフィルム(4)の製造]
得られたポリアミドイミド樹脂(4)に、濃度が6.5質量%となるようにDMAcを加え、ポリアミドイミドワニス(4)を作製し、25℃で3日間放置した。その後、得られたポリアミドイミドワニス(4)をポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の厚さが42μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜を金枠に固定し、さらに200℃で60分間乾燥し、厚さ38μmのポリアミドイミドフィルム(4)を得た。
<比較例1>
[ポリアミドイミド樹脂(5)の調製]
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及びDMAcをTFMBの固形分が5.36質量%となるように加え、さらに6FDAMをTFMBに対して11.11mol%を加え、室温で撹拌しながらTFMBと6FDAMをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコにBPDAをTFMBに対して43.35mol%になるように添加し、室温で3時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して61.23mol%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.80mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリンをそれぞれTFMBに対して68.03mol%、無水酢酸をTFMBに対して317.46mol%とを加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(5)を得た。
[ポリアミドイミドフィルム(5)の製造]
得られたポリアミドイミド樹脂(5)に、濃度が9.0質量%となるようにDMAcを加え、ポリアミドイミドワニス(5)を作製し、25℃で3日間放置した。3日後に安定性確認したときにはゲル状態となっており、流動性を失っていたため、塗工することができずフィルムを得ることができなかった。
<比較例2>
[ポリアミドイミド樹脂(6)の調製]
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及びDMAcをTFMBの固形分が5.31質量%となるように加え、さらに6FDAMをTFMBに対して11.11mol%を加え、室温で撹拌しながらTFMBと6FDAMをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコにBPDAをTFMBに対して46.30mol%になるように添加し、室温で3時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して62.50mol%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.94mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリンをそれぞれTFMBに対して69.44mol%、無水酢酸をTFMBに対して324.07mol%とを加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(6)を得た。
[ポリアミドイミドフィルム(6)の製造]
得られたポリアミドイミド樹脂(6)に、濃度が8.0質量%となるようにDMAcを加え、ポリアミドイミドワニス(6)を作製し、25℃で3日間放置した。3日後に安定性確認したときにはゲル状態となっており、流動性を失っていたため、塗工することができずフィルムを得ることができなかった。
<比較例3>
[ポリアミドイミド樹脂(7)の調製]
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及びDMAcをTFMBの固形分が4.89質量%となるように加え、さらに6FDAMをTFMBに対して11.11mol%を加え、室温で撹拌しながらTFMBと6FDAMをDMAc中に溶解させた。次に、6FDAをTFMBに対して44.67mol%になるように添加し、室温で3時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して60.30mol%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.70mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリンをそれぞれTFMBに対して67.00mol%、無水酢酸をTFMBに対して312.67mol%とを加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(7)を得た。
[ポリアミドイミドフィルム(7)の製造]
得られたポリアミドイミド樹脂(7)に、濃度が8.0質量%となるようにDMAcを加え、ポリアミドイミドワニス(7)を作製し、25℃で3日間放置した。その後、得られたポリアミドイミドワニス(7)をポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の厚さが55μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜を金枠に固定し、さらに200℃で60分間乾燥し、厚さ50μmのポリアミドイミドフィルム(7)を得た。
<実施例5>
[ポリアミドイミド樹脂(8)の調製]
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及びDMAcをTFMBの固形分が4.65質量%となるように加え、さらに6FDAMをTFMBに対して25.00mol%加え、室温で撹拌しながらTFMBと6FDAMをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコにBPDAをTFMBに対して75.76mol%になるように添加し、室温で3時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して45.46mol%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して5.05mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリンをそれぞれTFMBに対して50.51mol%、無水酢酸をTFMBに対して530.30mol%とを加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(8)を得た。
[ポリアミドイミドフィルム(8)の製造]
得られたポリアミドイミド樹脂(8)に、濃度が6.5質量%となるようにDMAcを加え、ポリアミドイミドワニス(8)を作製し、25℃で3日間放置した。その後、得られたポリアミドイミドワニス(8)をポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の厚さが55μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜を金枠に固定し、さらに200℃で60分間乾燥し、厚さ50μmのポリアミドイミドフィルム(8)を得た。
<実施例6>
[ポリアミドイミド樹脂(9)の調製]
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及びDMAcをTFMBの固形分が5.35質量%となるように加え、さらに6FDAMをTFMBに対して11.11mol%を加え、室温で撹拌しながらTFMBと6FDAMをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコにBPDAをTFMBに対して34.01mol%になるように添加し、室温で3時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、OBBCをTFMBに対して11.34mol%、TPCをTFMBに対して61.23mol%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.80mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリンをそれぞれTFMBに対して79.37mol%、無水酢酸をTFMBに対して238.10mol%とを加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(9)を得た。
[ポリアミドイミドフィルム(9)の製造]
得られたポリアミドイミド樹脂(9)に、濃度が9.0質量%となるようにDMAcを加え、ポリアミドイミドワニス(9)を作製し、25℃で3日間放置した。その後、得られたポリアミドイミドワニス(9)をポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の厚さが55μmとなるようにアプリケーターを用いて塗工し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥し、自立膜を得た。自立膜を金枠に固定し、さらに200℃で60分間乾燥し、厚さ50μmのポリアミドイミドフィルム(9)を得た。
実施例及び比較例で得たポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量、ポリアミドイミド系樹脂フィルム(1)〜(4)及び(8)〜(9)の弾性率、全光線透過率及びワニス安定性を上記の方法に従い測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2020125454
表1から明らかなように、実施例1〜6のポリアミドイミド樹脂を含むフィルムは、高い全光線透過率を維持しつつ、高い弾性率を有するフィルムであった。また、ワニスの安定性も良好であった。これに対し、樹脂の重量平均分子量が低い比較例1及び2のポリアミドイミド樹脂を含むフィルムは、ワニスの安定性が悪く、製膜できなかった。また、式(a)中のYが式(1)で表される構成単位(a1)を含まない比較例3のポリアミドイミド樹脂を含むフィルムは、十分な弾性率を有するものではなかった。

Claims (12)

  1. テトラカルボン酸化合物に由来する式(a)で表される構成単位、ジカルボン酸化合物に由来する式(b)で表される構成単位、及び、ジアミン化合物に由来する式(c)で表される構成単位:
    Figure 2020125454
    [式(a)中、Yは4価の有機基を表し、
    式(b)中、Zは2価の有機基を表し、
    式(c)中、Xは2価の有機基を表し、
    は、互いに独立に、水素原子又は結合手を表し、*は結合手を表す]
    を少なくとも有するポリアミドイミド系樹脂であって、該テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(a)中のYが式(1):
    Figure 2020125454
    [式(1)中、Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、
    に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
    nは0〜2の整数を表し、
    *は結合手を表す]
    で表される構成単位(a1)を含み、該ポリアミドイミド系樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量は330,000以上である、ポリアミドイミド系樹脂。
  2. ジカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(2):
    Figure 2020125454
    [式(2)中、Zは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
    *は結合手を表す]
    で表される構成単位(b1)を含み、かつ、ジアミン化合物に由来する構成単位として、式(3):
    Figure 2020125454
    [式(3)中、Xは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
    は、互いに独立に、水素原子又は結合手を表し、
    *は結合手を表す]
    で表される構成単位(c1)を含む、請求項1に記載のポリアミドイミド系樹脂。
  3. 式(3)中のXは式(4):
    Figure 2020125454
    [式(4)中、Rは、互いに独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、
    に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
    rは、互いに独立に、1〜4の整数を表し、
    *は結合手を表す]
    で表される、請求項2に記載のポリアミドイミド系樹脂。
  4. ジカルボン酸化合物に由来する構成単位として式(b)中のZが式(5):
    Figure 2020125454
    [式(5)中、Arは、互いに独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
    Vは、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R12)−を表し、ここで、該炭化水素基に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、R12は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表し、
    mは1〜3の整数を表し、ただし、mが2又は3の場合に複数存在するVは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、
    *は結合手を表す]
    で表される構成単位(b2)を含む、及び/又は、ジアミン化合物に由来する構成単位として式(c)中のXが式(5)で表される構成単位(c2)を含む、及び/又は、テトラカルボン酸化合物に由来する構成単位として、式(a)中のYが式(6):
    Figure 2020125454
    [式(6)中、Arは、互いに独立に、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表し、
    sは0〜2の整数を表し、
    Ar、V及び*は、式(5)中のAr、V及び*について定義した通りであり、ただし、sが2の場合に複数存在するV及びArは、それぞれ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい]
    で表される構成単位(a2)をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドイミド系樹脂。
  5. 式(5)及び式(6)は、式(7):
    Figure 2020125454
    [式(7)中、Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、
    に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
    は、R又は結合手を表し、
    *は結合手を表し、
    Vは、−O−、ジフェニルメチレン基、炭素数1〜12の直鎖状、分枝状又は脂環式の2価の炭化水素基、−SO−、−S−、−CO−又は−N(R12)−を表し、ここで、該炭化水素基に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよく、
    12は、水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を表す〕
    で表される、請求項4に記載のポリアミドイミド系樹脂。
  6. 式(7)は、式(7’):
    Figure 2020125454
    [式(7’)中、Rは、水素原子又は結合手を表し、
    *は結合手を表す]
    又は式(7”):
    Figure 2020125454
    [式(7”)中、*は結合手を表す]
    で表される、請求項5に記載のポリアミドイミド系樹脂。
  7. 式(1)は式(1’):
    Figure 2020125454
    [*は結合手を表す]
    で表される、請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミドイミド系樹脂。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミドイミド系樹脂及び溶媒を含む、ポリアミドイミド系樹脂ワニス。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミドイミド系樹脂を含む光学フィルム。
  10. 請求項9に記載の光学フィルムを備えるフレキシブル表示装置。
  11. タッチセンサをさらに備える、請求項10に記載のフレキシブル表示装置。
  12. 偏光板をさらに備える、請求項10又は11に記載のフレキシブル表示装置。
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