JP2020125444A - 熱可塑性エラストマー組成物、成形体及び複合成形体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物、成形体及び複合成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】軟質な質感を有し、色調及び耐候性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供する。【解決手段】下記(A)〜(C)を含む熱可塑性エラストマー組成物。この熱可塑性エラストマー組成物のデュロ硬度はA40〜D60であることが好ましい。(A) チタン含有量が240wtppm未満であるポリエステルエラストマー(B) 少なくとも2個の芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物及び/又はコアシェル型ゴム質重合体(C) ゴム用軟化剤【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物、成形体及び複合成形体に関し、より詳細には、色調及び耐候性に優れた、熱可塑性エラストマー組成物と、この熱可塑性エラストマー組成物を用いた軟質な質感を有する成形体及び複合成形体に関するものである。
熱可塑性エラストマー、中でもポリエステルエラストマーを含む熱可塑性エラストマーは、強度、耐衝撃性、弾性回復性、柔軟性などの機械的性質や、低温、恒温特性に優れ、さらに耐油性、耐摩耗性にも優れており、加えてポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の硬質樹脂に対して熱融着成形が可能であることから、自動車、電気・電子部品、消費材などの分野に広く使用されている。
近年、ポリエステルエラストマーをゴム質重合体と可塑剤で柔軟化し、その柔らかな触感、耐油性、耐摩耗性に着目して、カメラ、電動工具、自転車等のグリップまたはパッキン等への適用が検討され、実用化されている。
ポリエステルエラストマーはまた、ゴム質重合体以外にも他のエラストマーや添加剤などと共にアロイ化した熱可塑性エラストマー組成物として、様々な成形体や用途に使用されている。
特許文献1には、ポリカーボネート樹脂やABS樹脂との融着性に優れ、表面に油分が付着しても良好な防滑性を維持することができる熱可塑性エラストマー組成物として、ポリエステル系ブロック共重合体とウレタン系ブロック共重合体に木質フィラーを配合した熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。
特許文献2には、柔軟性と極性樹脂への融着性に優れ、耐摩耗性にも優れる熱可塑性エラストマー組成物として、熱可塑性スチレン系エラストマーと熱可塑性ポリエステル系エラストマーと軟化剤とを配合した熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。
特許文献3には、融着性や透明性を満足しつつ、圧縮永久ひずみ特性や柔軟性に優れた熱可塑性エラストマー組成物として、熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、軟化剤及びアイオノマーを含有する熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。
特開2017−171823号公報 特開2017−88812号公報 特開2016−79226号公報
特許文献1〜3に記載されている熱可塑性エラストマー組成物は、カメラ、電動工具、自転車等のグリップまたはパッキンの原料として用いると、軟質な触感を有してはいるものの、黄色味を帯びやすく、耐候性にも劣るものであった。このため、これらのポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形体を無着色で使用したり、屋外で使用したりすると、経時により外観が低下する恐れがあった。
本発明の目的は、軟質な質感を有し、色調及び耐候性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、特許文献1〜3の熱可塑性エラストマー組成物に使用されている原料ポリエステルエラストマーは、一般に1,4−ブタンジオールなどのグリコール成分とポリテトラメチレンエーテルグリコールなどの成分とを、ジメチルテレフタレートなどの二官能性カルボン酸の低級アルキル成分と触媒の存在下反応させて製造されており、このポリエステルエラストマーはその分子構造上、熱安定性が必ずしも十分でない上に、反応に使用した触媒に含まれるチタンなどの金属化合物が、製造されたポリエステルエラストマー中に残存することに起因して、末端COOH基の濃度が増大し、耐加水分解性が悪化したり、ポリエステルエラストマーの色調が悪化したりするなどの問題があることを見出した。
また、ポリエステルエラストマーは、成形時の熱に起因して成形後の製品の末端COOH基の濃度が大きく増大し、そのため製品の耐加水分解性が更に劣るものとなることも判明した。
そこで、使用するポリエステルエラストマー中のチタン含有量を所定値以下に制御にしたポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物とすることで上記課題を解決し得ることを見出した。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[9]に存する。
[1] 下記(A)〜(C)を含む熱可塑性エラストマー組成物。
(A) チタン含有量が240wtppm未満であるポリエステルエラストマー
(B) 少なくとも2個の芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物及び/又はコアシェル型ゴム質重合体
(C) ゴム用軟化剤
[2] ISO 7619−1で測定したデュロ硬度がA40〜D60である、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 前記成分(A)のポリエステルエラストマーの末端酸価が25eq/T以下である、[1]または[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 前記成分(A)のポリエステルエラストマーが芳香族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] 前記成分(A)のポリエステルエラストマーがポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体である、[4]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6] 前記成分(B)のコアシェル型ゴム質重合体がメタクリル酸アルキル/アクリル酸アルキル共重合樹脂である、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形体。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を熱可塑性樹脂と共に複合成形してなる複合成形体。
[9] 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂である、[8]に記載の複合成形体。
本発明によれば、軟質な質感を有し、YI値などに代表される色調が良好で、耐候性にも優れた熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体と複合成形体を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。尚、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔熱可塑性エラストマー組成物〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、以下の(A)〜(C)を含む。
(A) チタン含有量が240wtppm未満であるポリエステルエラストマー
(B) 少なくとも2個の芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物及び/又はコアシェル型ゴム質重合体
(C) ゴム用軟化剤
以下、各成分について詳述する。
[成分(A)]
本発明で用いる成分(A)のポリエステルエラストマーは、通常、結晶性を有するハードセグメントと、柔軟性を有するソフトセグメントとを有するブロック共重合体である。
<ブロック成分組成>
ポリエステルエラストマーとしては、例えば、環状ポリエステル(本発明において「環状ポリエステル」とは、原料であるジカルボン酸またはそのアルキルエステルが環状構造を有するジカルボン酸又はそのアルキルエステルを含むものを意味する。)からなるハードセグメント(以下、「環状ポリエステルユニット」と称することがある。)とポリアルキレングリコールからなるソフトセグメント(以下、「ポリアルキレングリコールユニット」と称することがある。)とを有するブロック共重合体(以下、「環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体」と称することがある。)、及び環状ポリエステルからなるハードセグメントと鎖状脂肪族ポリエステル(本発明において「鎖状脂肪族ポリエステル」とは、原料であるジカルボン酸又はそのアルキルエステルが鎖状構造のみを有するジカルボン酸又はそのアルキルエステルであるものを意味する。)からなるソフトセグメント(以下、「鎖状脂肪族ポリエステルユニット」と称することがある。)とを有するブロック共重合体(以下、「環状ポリエステル−鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体」と称することがある。)等が挙げられる。これらの中でも好ましいのは環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体である。
環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体としては、例えば、芳香族ポリエステルからなるハードセグメント(以下、「芳香族ポリエステルユニット」と称する場合がある。)とポリアルキレングリコールユニットを有する共重合体(以下、「芳香族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体」と称することがある。)及び脂環族ポリエステルからなるハードセグメント(以下、「脂環族ポリエステルユニット」と称することがある。)とポリアルキレングリコールユニットとを有するブロック共重合体(以下、「脂環族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体」と称することがある。)等が挙げられる。これらの中でも芳香族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体が好ましい。
芳香族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体は、特開平10−130451号公報等に記載されているように公知の熱可塑性エラストマーであり、ポリアルキレングリコールユニットを含有する重合体であれば、各々のブロックは単一重合体であっても共重合体であってもよい。
芳香族ポリエステルユニットの原料は以下に詳述するが、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとして含むことが好ましい。一方、ポリアルキレングリコールユニットの原料についても以下に詳述するが、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを原料とするソフトセグメント(以下、「ポリテトラメチレングリコールユニット」と称することがある。)を含むことが好ましい。
本発明に用いるポリエステルエラストマーとしては、ポリブチレンテレフタレート−ポリアルキレングリコールブロック共重合体が好ましく、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体が特に好ましい。
また、脂環族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体としては、例えば、脂環族ジカルボン酸(本明細書において「脂環族ジカルボン酸」とは環状脂肪族炭化水素に2つのカルボキシル基が直接結合した化合物を意味する。)、脂環族ジオール及びポリアルキレングリコールを原料として得られるものが代表的なものとして挙げられる。
ポリアルキレングリコールユニットを含有する重合体であれば、各々のブロックは、単一重合体であっても共重合体であってもよい。脂環族ポリエステルユニットとしては、シクロヘキサンジカルボン酸とシクロヘキサンジメタノールを原料として得られるハードセグメントを含むことが好ましい。また脂環族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体のポリアルキレングリコールユニットとしてはポリテトラメチレンエーテルグリコールを原料として得られるソフトセグメント(ポリテトラメチレングリコールユニット)を含むことが好ましい。
環状ポリエステル−鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体としては、例えば、芳香族ポリエステルからなるハードセグメントと鎖状脂肪族ポリエステルからなるソフトセグメント(を有するブロック共重合体(以下、「芳香族ポリエステル−鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体」と称することがある。)及び脂環族ポリエステルからなるハードセグメントと鎖状脂肪族ポリエステルからなるソフトセグメントを有するブロック共重合体(以下、「脂環族ポリエステル−鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体」と称することがある。)が挙げられる。
これらの中でも芳香族ポリエステル−鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体が好ましい。芳香族ポリエステル−鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体の中でも、芳香族ポリエステルユニットがポリブチレンテレフタレートからなる、ポリブチレンテレフタレート−鎖状脂肪族ポリエステルブロック共重合体がより好ましい。また、鎖状脂肪族ポリエステルユニットとして好ましいのはセバシン酸及びアジピン酸に代表される炭素数4〜10の鎖状脂肪族ジカルボン酸と鎖状脂肪族ジオールとから得られるものである。
柔軟性を有するソフトセグメントの特徴としては、ポリアルキレンエーテルグリコールが好ましい。ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び1,3−)プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリヘキサメチレングリコール等の直鎖状及び分岐状の脂肪族エーテルの他、シクロヘキサンジオールの縮合体及びシクロヘキサンジメタノールの縮合体の脂環状エーテルの単一重合体または共重合体が挙げられる。
また、これらのエーテルユニット内でのランダム共重合体でも良い。また、ポリアルキレングリコールユニットを有するブロック共重合体も用いることができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体に含まれるポリアルキレングリコールの数平均分子量は600〜4,000であることが好ましく、800〜2,500であることがより好ましく、900〜2,100であることがさらに好ましい。
なお、ここでポリアルキレングリコールの数平均分子量とは、磁気共鳴スペクトル法(NMR)により算出された値を言う。
これらのポリアルキレングリコールは、環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体に1種のみが含まれていてもよく、数平均分子量または構成成分が異なるものが2種以上含まれていてもよい。
ポリエステルエラストマーの製造方法には特に制限はなく、バッチ重合法、連続重合法のいずれでもよく、例えば、環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体のうち、芳香族ポリエステルとポリアルキレンエーテルグリコールを用いた芳香族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体であれば、炭素数1〜12の鎖状脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、芳香族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルと、ポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応またはエステル交換反応により得られたオリゴマーを縮合させて得ることができる。
前記の炭素数1〜12の鎖状脂肪族及び/又は脂環族ジオールとしては、ポリエステルの原料として通常用いられるものを使用することができる。鎖状脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール及び1,6−ヘキセングリコール等が挙げられる。中でも1,4−ブチレングリコールが好ましい。
脂環族ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキセングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
これらの炭素数2〜12の鎖状脂肪族及び/又は脂環族ジオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルとしては、ポリエステルの原料として一般的に用いられているものが使用でき、例えば、テレフタル酸及びその低級(本明細書において「低級」は炭素数4以下を意味する。)アルキルエステル、並びにイソフタル酸、フタル酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びそれらの低級アルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸及びイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルについても1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、前述の如く、例えば、ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び1,3−)プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリヘキサンメチレングリコール等の直鎖状及び分岐状の脂肪族エーテルグリコールの他、シクロヘキサンジオールの縮合体及びシクロヘキサンジメタノールの縮合体等の脂環状エーテルの単一重合体又は共重合体が挙げられる。
また、これらエーテルユニット内でのランダム共重合体でもよい。
これらの中でも好ましいのはポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び1,3−)プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリヘキサメチレングリコール等の直鎖状及び分岐状の脂肪族エーテルグリコールであり、より好ましいのはポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び1,3−)プロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールであり、特に好ましいのはポリテトラメチレングリコールである。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、脂環族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体を製造する場合には、上記の芳香族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体を製造する場合の原料として用いる場合の原料として用いる芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルに代えて脂環族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルを用いればよい。
すなわち、炭素数2〜12の鎖状脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、脂環族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルと、ポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させて得ることができる。
脂環族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルとしては、ポリエステルの原料として一般的に用いられているものが使用でき、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸及びその低級アルキルエステル、シクロペンタンジカルボン酸及びその低級アルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、シクロヘキサンジカルボン酸及びその低級アルキルエステルが好ましく、特にシクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
これらの脂環族ジカルボン酸についても1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体中の環状ポリエスエルユニット及びポリアルキレングリコールユニットのそれぞれの含有量は限定されないが、ハードセグメントの結晶性とソフトセグメントの柔軟性のバランスから、通常以下のような範囲となる。
即ち、環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体中の環状ポリエステルユニットの含有量の下限値は限定されないが、通常10wt%以上、好ましくは15wt%以上である。また、環状ポリエステルユニットの含有量の上限値は限定されないが、通常95wt%以下、好ましくは90wt%以下、より好ましくは85wt%以下である。
また、環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体中のポリアルキレングリコールユニットの含有量の下限値は限定されないが、通常5wt%以上、好ましくは10wt%以上、より好ましくは15wt%以上である。また、ポリアルキレングリコールユニットの含有量の上限値は限定されないが、通常90wt%以下、好ましくは85wt%以下である。
なお、環状ポリエステルユニットを有するブロック共重合体中の環状ポリエステルユニットの含有量は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を使用し、その水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。同様に、ポリアルキレングリコールユニットを有するブロック共重合体中のポリアルキレングリコールユニットの含有量は、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を使用し、その水素原子の化学シフト及びその含有量に基づいて算出することができる。
芳香族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体としては、特に結晶化速度が速く、成形性に優れることから、ポリブチレンテレフタレート−ポリアルキレングリコールブロック共重合体が好ましく、ここで、ポリアルキレングリコールユニットのアルキレン基の炭素数は、2〜12が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜5が更に好ましく、4が特に好ましい。
尚、本発明に係る芳香族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体に代表される、環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体には、上記成分以外に3官能のアルコールやトリカルボン酸及び/またはそのエステルの1種または2種以上を少量共重合させてもよく、更に、アジピン酸等の鎖状脂肪族ジカルボン酸又はそのジアルキルエステルを共重合成分として導入してもよい。
上記の環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体は、市販品としても入手することができる。このような市販品としては例えば、「KEYFLEX(登録商標)」(LGケミカル社製)、「プリマロイ(登録商標)」(三菱ケミカル社製)、「ペルプレン(登録商標)」(東洋紡績社製)、「ハイトレル(登録商標)」(デュポン社製)及び「ヘトロフレックス(登録商標)」(ヘトロン社製)等が挙げられる。
環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体等のポリエステルエラストマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<デュロ硬度>
本発明で用いるポリエステルエラストマーは、ISO 7619−1で測定されるデュロ硬度がA70〜D60であることが好ましく、より好ましくはA75〜D55である。デュロ硬度が上記下限以上であれば、得られるポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物が柔らかすぎることがなく、上記上限以下であれば硬すぎることがない。
<チタン含有量>
前述の通り、環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体等のポリエステルエラストマーの製造においては、重合触媒としてチタン化合物が使用される場合がある。その際に用いるチタン化合物としては、例えば、シュウ酸チタン酸カリウム、アルコキシ又はアリーロキシチタン酸化合物、炭酸チタン化合物、ハロゲン化チタン化合物、チタンアセチルアセトネート等が挙げられる。中でも、シュウ酸チタン酸カリウム、アルコキシ又はアリーロキシチタン化合物、チタンアセチルアセトネートが好ましく、特にアルコキシ又はアリーロキシチタン化合物が最も好ましい。この中でもテトラアルキルチタネート(テトラアルコキシチタン)又はテトラアリールチタネート(テトラアリーロキシチタン)が好ましく、具体的には、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート、あるいはこれらの混合チタネートが挙げられる。これらのうち特にテトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが最も好ましい。また、これらのチタン化合物の2種以上を併用して用いても良い。
このポリエステルエラストマーの製造過程において触媒として使用されるチタン化合物によって、得られるポリエステルエラストマー中にチタン化合物が残留する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成分(A)として配合するポリエステルエラストマー中のチタン(チタン原子)含有量は240wtppm未満であるが、下限値は10wtppm以上が好ましく、30wtppm以上がより好ましく、50wtppm以上が特に好ましい。一方、上限値は、220wtppm以下が好ましく、200wtppm以下がより好ましく、190wtppm以下がさらに好ましい。
ポリエステルエラストマーのチタン含有量が少ないと、十分な重合反応性が得られず、ポリエステルエラストマーを得ることができない場合がある。一方、ポリエステルエラストマーのチタン含有量が多くなるほど、これを含むポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物を成形することで得られる成形体の黄色味が強くなり、色調に劣り、耐候性も悪化する恐れがある。
なお、ポリエステルエラストマー中のチタン含有量は、灰化−アルカリ融解−ICP/AES法で定量することができる。後掲の実施例において用いた各種のポリエステルエラストマーのチタン含有量についても、この方法で測定した値である。
ポリエステルエラストマーのチタン含有量は、ポリエステルエラストマー製造時のチタン化合物触媒量と反応温度、反応時間等を調整することで低減することができ、上記範囲に調整することができる。
<末端酸価>
環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体等のポリエステルエラストマーの分子鎖末端にはCOOH基が存在しこの末端COOH基量が増大すると、耐加水分解性が悪化し、着色する等、色調が悪くなる。このため、末端COOH基量である末端酸価が多いポリエステルエラストマーとその他のエラストマー等をアロイ化して得られるポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物は、黄色味が高く、耐候試験において黄色味を帯びやすく、耐候試験前後でのYI値増加量が大きいものとなる。ただし、この末端酸価が小さすぎると、成形時等に加熱した際に副生するテトラヒドロフランが多くなり作業者の安全の観点から好ましくない。
色調に優れると共に安全性にも優れるポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物を提供し得るポリエステルエラストマーの末端酸価の下限値は1eq/T(当量/トン)以上、より好ましくは5eq/T以上、特に好ましくは10eq/T以上であり、上限値は好ましくは25eq/T以下、より好ましくは23eq/T以下、特に好ましくは20eq/T以下である。
ポリエステルエラストマーの末端酸価は例えば、環状ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体等のポリエステルエラストマーをベンジルアルコールに溶解させ、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液で滴定し、1×10g当りのCOOH基量を定量することで求めることができる。
ポリエステルエラストマーの末端酸価は、ポリエステルエラストマー製造時の温度、時間、重合度などを調整することにより上記範囲に調整することができる。
<含有量>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)のポリエステルエラストマーの含有量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計を100wt%としたときに、30wt%以上が好ましく、40wt%以上がより好ましく、50wt%以上が特に好ましい。一方、90wt%以下が好ましく、85wt%以下がより好ましく、80wt%以下が特に好ましい。熱可塑性エラストマー組成物中の成分(A)のポリエステルエラストマーの含有量が上記下限値以上であれば、ポリエステルエラストマーが本来有している耐熱性、耐油性、耐摩耗性を十分に発揮させることができる。熱可塑性エラストマー組成物中の成分(A)のポリエステルエラストマーの含有量が上記上限値以下であれば、相対的に成分(B),(C)の含有量を十分なものとして、これらの成分による柔軟化で、得られるポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物をより軟質な質感を有するものとすることができる。
[成分(B)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、成分(B)として、少なくとも2個の芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物(以下、「水添ブロック共重合体」と称す場合がある。)及び/又はコアシェル型ゴム質重合体を含む。
<水添ブロック共重合体>
成分(B)の少なくとも2個の芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物において、ブロックPを構成する芳香族ビニル化合物としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好ましく用いられる。特に好ましくはスチレンである。
ブロックPは、1種の芳香族ビニル化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上の芳香族ビニル化合物単位から構成されていてもよい。また、ブロックPには、ビニル芳香族化合物単位以外の単量体単位が含まれていてもよい。
ブロックPが芳香族ビニル化合物単位以外の単量体単位を含む場合、その単量体としてはエチレンやα−オレフィン等が挙げられる。また、ブロックPが、芳香族ビニル化合物単位以外の単量体単位を含む場合、その含有量は、ブロックP全体に対して通常50wt%未満、好ましくは40wt%以下である。芳香族ビニル化合物単位以外の単量体単位の含有量が上記上限以下であることにより本発明の熱可塑性エラストマーに強度を付与することができる。
ブロックQを構成する共役ジエン化合物とは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく用いられる。特に好ましくは1,3−ブタジエンである。
ブロックQは、1種の共役ジエン化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上の共役ジエン化合物単位から構成されていてもよい。また、ブロックQには、共役ジエン化合物単位以外の単量体単位が含まれていてもよい。
ブロックQが共役ジエン化合物単位以外の単量体単位を含む場合、その単量体としては、スチレンやエチレン等が挙げられる。また、ブロックQが、共役ジエン化合物単位以外の単量体単位を含む場合、その含有量は、ブロックQ全体に対して通常50wt%未満、好ましくは40wt%以下である。共役ジエン化合物単位以外の単量体単位の含有量が上記上限以下であることにより本発明の熱可塑性エラストマーに柔軟性を付与することができる。
ブロックPの少なくとも2個と、ブロックQの少なくとも1個とを有する水素添加前のブロック重合体は、直鎖状、分岐状、放射状等の何れであってもよいが、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
P−(Q−P)m (1)
(P−Q)n (2)
(式中、PはブロックPを、QはブロックQをそれぞれ表し、mは1〜5の整数を表し、nは2〜5の整数を表す。また、ブロックP、ブロックQがそれぞれ複数存在する場合には、各々のブロックを構成する単量体単位の種類及び組成はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
式(1)又は(2)においてm及びnは、ゴム的高分子体としての秩序−無秩序転移温度を下げる点では大きい方がよいが、製造のしやすさ及びコストの点では小さい方がよい。本発明で用いる成分(B)の水添ブロック共重合体は、mが3以下である式(1)で表されるブロック共重合体の水素添加物であることがより好ましく、mが2以下である式(1)で表されるブロック共重合体の水素添加物であることがさらに好ましく、mが1である式(1)で表されるブロック共重合体の水素添加物であることが最も好ましい。
成分(B)の水添ブロック共重合体におけるブロックPの含有量(ブロックPの合計量)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物及び成形体の透明性、柔軟性、及び表面硬度の観点から3〜40wt%であることが好ましく、8〜38wt%であることがより好ましく、10〜35wt%であることがさらに好ましい。
また、成分(B)の水添ブロック共重合体におけるブロックQの含有量(重合体ブロックQの合計量)は75〜97wt%であることが好ましく、80〜92wt%であることがより好ましく、81〜90wt%であることがさらに好ましい。
また、成分(B)の少なくとも2個の芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の全共役ジエン化合物単位の80モル%以上が水素添加されていることが好ましく、より好ましくは85モル%以上であり、更により好ましくは90モル%以上である。
なお、本明細書中、共役ジエン化合物単位は、水素添加前後に係らず「共役ジエン化合物単位」と称する。
また、水素添加前のブロック共重合体に含まれる全共役ジエン化合物単位中の1,2−結合量(以下「ビニル結合量」と称す場合がある。)は20wt%以上であることが好ましく、25wt%以上であることがより好ましく、30wt%以上であることが更に好ましい。生産性の観点から、ビニル結合量の上限値としては95wt%以下であり、93wt%以下がより好ましい。
ここで、ビニル結合量とは、水素添加前の共役ジエン化合物の1,2−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれているうち、1,2−結合で組み込まれているものの割合とする。水素添加前に含まれる全共役ジエン化合物単位中のビニル結合量は、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により測定できる。
成分(B)の水添ブロック共重合体としては市販品を用いることもでき、例えば、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)」シリーズや、クラレ社製「ハイブラー(登録商標)」シリーズ、TSRC社製「タイポール(登録商標)」、LCY社製「グローバルプレン」、旭化成社製「タフテック(登録商標)」シリーズから該当品を選択して使用することができる。
上記水添ブロック共重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<コアシェル型ゴム質重合体>
コアシェル型ゴム質重合体の具体例としては、メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン共重合樹脂(MBS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)等のジエン系コアシェル型ゴム質重合体、アクリレート/スチレン/アクリロニトリル共重合樹脂(ASA樹脂)、メタクリル酸アルキル/アクリル酸アルキル共重合樹脂、例えばアクリレート/メチルメタクリレート共重合樹脂等のアクリル系コアシェル型ゴム質重合体、シリコーン/アクリレート/メチルメタクリレート共重合樹脂、シリコーン/アクリレート/アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂等のシリコーン系コアシェル型ゴム質重合体等が挙げられる。
これらのコアシェル型ゴム質重合体のうち本発明の熱可塑性エラストマーを柔軟化する観点からアクリル系コアシェル型ゴム質重合体が好ましく、特にメタクリル酸アルキル/アクリル酸アルキル共重合樹脂が好ましい。
コアシェル型ゴム質重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、前述の水添ブロック共重合体の1種又は2種以上と上記コアシェル型ゴム質重合体の1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<含有量>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(B)の含有量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計を100wt%としたときに、5wt%以上が好ましく、10wt%以上がより好ましい。一方で40wt%以下が好ましく、30wt%以下がより好ましい。成分(B)の含有量が少なくなるほど、十分に柔軟化されず、得られる熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体は軟質な質感が損なわれる恐れがある。一方、成分(B)の含有量が多くなるほど、耐熱性、耐油性、耐摩耗性が低減する傾向にある。
[成分(C)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(C)としてゴム用軟化剤を含む。
成分(C)のゴム用軟化剤としては、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤等の炭化水素系ゴム用軟化剤が挙げられる。
炭化水素系ゴム用軟化剤としては、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤等が挙げられるが、他の成分との親和性の観点から鉱物油系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。これらの中で、本発明においては、パラフィン系オイルを用いることが好ましい。なお、炭化素系ゴム用軟化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度は特に限定されないが、好ましくは20センチストークス以上、より好ましくは50センチストークス以上であり、また、好ましくは800センチストークス以下、より好ましくは600センチストークス以下である。また、成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。
成分(C)の炭化水素系ゴム用軟化剤は市販品として入手することができる。市販品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー社製日石ポリブテン(登録商標)HVシリーズ、出光興産社製ダイアナ(登録商標)プロセスオイルPWシリーズ等が挙げられ、これらの中から該当品を適宜選択して使用することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(C)の含有量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計を100wt%としたときに、5wt%以上が好ましく、10wt%以上がより好ましい。一方、35wt%以下が好ましく、30wt%以下がより好ましい。成分(C)の含有量が少ないほど、十分に柔軟化されず、得られる熱可塑性エラストマー組成物及びそれよりなる成形体は軟質な質感が損なわれる傾向にある。一方で、成分(C)の含有量が多すぎると、ゴム用軟化剤がブリードアウトする恐れがある。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて上記成分(A)〜(C)以外のその他の成分、例えば、添加剤、充填材や、成分(A)、(B)以外の樹脂やゴム等を適宜配合することができる。
充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、ガラスカットファイバー、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラス粉末、炭化ケイ素、窒化ケイ素、石膏、石膏ウィスカー、焼成カオリン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、金属粉、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等の無機充填材;澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等の有機充填材等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。充填材の配合量は通常、全成分の50wt%以下であり、好ましくは30wt%以下である。
添加剤としては、酸化防止剤、酸性化合物及びその誘導体、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、難燃剤、衝撃改良剤、発泡剤、着色剤、有機過酸化物や、無機添加剤、展着剤、粘着剤等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂又は各種のエラストマー等が挙げられる(ただし、これらのうち、本発明に用いる成分(A)、(B)に該当するものは除くものとする。)。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。その他の樹脂の配合量は通常、全成分の10wt%以下であり、好ましくは5wt%以下である。
[熱可塑性エラストマーの製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマーは、成分(A)〜(C)、必要に応じて配合されるその他の成分を、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラーブレンダー等で機械的に混合した後、公知の方法で機械的に溶融混練することにより製造することができる。機械的溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー、単軸又は二軸押出機等の一般的な溶融混練機を用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマーは、成分(C)を成分(B)に含浸させて複合体とした後、成分(A)、必要に応じて配合されるその他の成分を、公知の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラーブレンダー等で機械的に混合し、更に公知の方法で機械的に溶融混練することにより製造することもできる。機械的溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー、単軸又は二軸押出機等の一般的な溶融混練機を用いることができる。
[熱可塑性エラストマー組成物の物性]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、その適用される用途の観点から、柔らかな触感が求められるため、ISO 7619−1で測定したデュロ硬度がA40〜D60であることが好ましく、A50〜D55であることがより好ましく、A60〜D50であることがさらに好ましい。
〔成形体〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより、種々の成形体として用いることができる。成形体の具体例としては、射出成形体、押出成形体、プレス成形体等が挙げられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、通常の射出成形法、押出成形法、プレス成形法等の各種成形方法を用いることができ、必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形方法を用いることにより、成形体とすることができる。
特に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形する際の成形条件は以下の通りである。
成形温度は一般に150〜300℃であり、好ましくは180〜280℃である。射出圧力は通常、5〜100MPaであり、好ましくは10〜80MPaである。また、金型温度は通常0〜80℃であり、好ましくは20〜60℃である。
本発明の成形体は、軟質な質感を有し、色調、耐候性や耐熱性等に優れたものである。このため、文房具;玩具;携帯電話やスマートフォン等のカバー;グリップ等の部品;学校教材、家電製品、OA機器の補修部品、自動車、オートバイ、自転車等の各種パーツ;建装材等の部材等の用途に好適に用いることができる。
〔複合成形体〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱融着、好ましくはポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)のような極性樹脂に熱融着して、複合成形体として用いることもできる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物と熱融着する極性樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂は、芳香族ヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンと反応させることによって製造される。また、芳香族ジヒドロキシ化合物、又は、少量のポリヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルによりエステル交換反応を行なうことによっても製造することができる。必要により分岐剤の三官能以上の化合物や分子量調整剤が反応に供される。この芳香族ポリカーボネート樹脂は分岐していても分岐していなくても良い熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂である。
芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、単に「ビスフェノールA」という場合がある。)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−イソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4´−ジヒドロキシフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。これらの中でも、特にビスフェノールAを用いることが好ましい。
また、分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂は、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で例示されるポリヒドロキシ化合物、及び、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール[=イサチン(ビスフェノールA)]、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロモイサチン等を、前記ジヒドロキシ化合物の一部、例えば、0.1〜2モル%をポリヒドロキシ化合物で置換することにより得ることができる。更に、分子量を調節するのに適した一価芳香族ヒドロキシ化合物としては、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−ブロモフェノール、p−第3級−ブチルフェノール、及び、p−長鎖アルキル置換フェノール等を挙げることができる。
好適な芳香族ポリカーボネート樹脂としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、特に好ましくはビスフェノールAを主原料とするポリカーボネートである。
2種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物を併用して得られるポリカーボネート共重合体、3価のフェノール系化合物を少量併用して得られる分岐化ポリカーボネート樹脂も好適な例として挙げることができる(特開昭63−30524号、特開昭56−55328号、特公昭55−414号、特公昭60−25049号、特公平3−49930号の各公報参照)。芳香族ポリカーボネート樹脂は2種以上の混合物としても用いても良い。好ましいポリカーボネート樹脂の分子量は、耐熱性、機械的強度、成形加工性等のバランスから、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量で10,000〜150,000の範囲であり、中でも15,000〜100,000の範囲が好ましく、35,000〜80,000の範囲が特に好ましい。市販品としては、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製「ユーロピロン」、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製「ノバレックス」等を挙げることができる。
ABS樹脂は、乳化重合法、マス・懸濁重合法、マス重合法で製造された、例えばアクリロニトリル10〜30wt%、ブタジエン単位5〜45wt%、スチレン単位50〜85wt%の組成を有する樹脂であり、スチレンの替わりにα−メチルスチレンを使用したものも含まれる。
その他、本発明の熱可塑性エラストマー組成物と熱融着して複合成形体とし得る極性樹脂としてはアクリル系樹脂やアクリロニトリル−エチレン・プロピレン系ゴム−スチレン共重合樹脂(AES樹脂)も挙げられる。
アクリル系樹脂とは、アクリル酸及びその誘導体を重合及び共重合して得られる樹脂である。具体的には、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等の重合体及び共重合体を挙げることができる。これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル等の重合体が好ましく、メタクリル酸メチルの重合体(ポリメチルメタアクリレート樹脂)を用いることが特に好ましい。市販品としては、三菱ケミカル(株)製「アクリペット」等を挙げることができる。
AES樹脂は、ABS樹脂と同様にアクリロニトリル10〜30wt%、エチレン・プロピレン系ゴム5〜45wt%、スチレン50〜85wt%の組成を有する樹脂であり、スチレンの替わりにα−メチルスチレンを使用したものも含まれる。
これらの樹脂は、必要に応じて、ゴム成分、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維等のフィラー、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、潤滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤等を配合することができる。
複合成形体の製造方法としては、Tダイラミネート成形法、共押出成形法、ブロー成形法、インサート射出成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクションプレス成形法等の各種成形法を用いることができる。上記成形法のうち、インサート射出成形法とは、予め芯材(極性樹脂)を射出成形し、賦形された成形品を金型内にインサートした後、該成形品と金型との間の空隙に表層材(本発明の熱可塑性エラストマー組成物)を射出成形する成形方法であり、また、二色射出成形法とは、二台以上の射出成形機を用いて、芯材(極性樹脂)を射出成形した後に、金型が回転、又は移動することにより、金型のキャビティーが交換され、該成形品と金型との間に空隙ができ、そこに表層材(本発明の熱可塑性エラストマー組成物)を射出成形する成形方法である。また、コアバック射出成形法とは、1台の射出成形機と1個の金型を用いて、芯材(極性樹脂)を射出成形した後に、金型のキャビティー容積を拡大させ、該成形品と金型との間の空隙に表層材(本発明の熱可塑性エラストマー組成物)を射出成形する成形方法である。
芯材の成形は、通常の射出成形法を用いたものでも良く、ガスインジェクション成形をしたものでも良い。
芯材となる極性樹脂の射出成形条件としては、一般に100〜300℃、好ましくは150〜280℃の成形温度、50〜1,000kg/cm、好ましくは100〜800kg/cmの射出圧力が採用される。
この射出成形体における芯材層の平均肉厚は、0.6〜6mmであることが好ましく、上記範囲を超えるものは芯材層にヒケが発生し、成形品表面の平滑性に劣るものとなり、上記範囲未満のものでは、例えば、各種用途に用いる場合に必要とされる剛性、強度等の機械的特性、耐熱性、耐久性を満たせない場合がある。また、表層材層の平均肉厚は1〜5mmであることが好ましく、上記範囲を超えるものはソフト感に劣り、上記範囲未満のものは芯材と表層材との付着性が悪くなる。また、表層材層の射出成形条件としては、一般に150〜300℃、好ましくは200〜290℃、特に好ましくは220〜280℃の成形温度、50〜1,000kg/cm、好ましくは100〜800kg/cmの射出圧力が採用される。また、表層材のみからなるランナー、スプール類等を表層材に、芯材のみ、又、は芯材と表層材からなるランナー、スプール類等や不良成形品等を芯材にリサイクルして使用することもできる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物よりなる層と、ポリカーボネート樹脂やABS樹脂といった極性樹脂よりなる層が熱融着により一体化された本発明の複合成形体は、各種工業部品として使用することができる。具体的には、カメラ、電動工具、自転車等のグリップまたはパッキン、電子部品、玩具、スポーツ用品等を挙げることができる。
特に本発明の複合成形体は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物による柔軟性と、極性樹脂層に対する高い接着性から、カメラ、電動工具、自転車等のグリップまたはパッキンに好適である。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔原料〕
<成分(A)>
A−1:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量:1,700
ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量:18wt%
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:73wt%
チタン含有量:150wtppm
末端酸価:18.3eq/T
デュロA硬度:81
A−2:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量:1,800
ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量:20wt%
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:71wt%
チタン含有量:110wtppm
末端酸価:15.5eq/T
デュロA硬度:82
A−3:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量:1,700
ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量:27wt%
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:64wt%
チタン含有量:83wtppm
末端酸価:14.6eq/T
デュロA硬度:88
A−4:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量:1,000
ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量:58wt%
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:32wt%
チタン含有量:140wtppm
末端酸価:30.5eq/T
デュロD硬度:54
A−5:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量:1,700
ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量:16wt%
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:75wt%
チタン含有量:330wtppm
末端酸価:34.7eq/T
デュロA硬度:78
A−6:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量:1,700
ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量:20wt%
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:70wt%
チタン含有量:300wtppm
末端酸価:33.0eq/T
デュロA硬度:82
A−7:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量:1,700
ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量:27wt%
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:64wt%
チタン含有量:250wtppm
末端酸価:32.8eq/T
デュロA硬度:88
A−8:ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体
ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量:970
ポリブチレンテレフタレートユニットの含有量:59wt%
ポリテトラメチレングリコールユニットの含有量:31wt%
チタン含有量:300wtppm
末端酸価:61.7eq/T
デュロD硬度:54
<成分(B)>
B−1:クレイトン社製クレイトン(登録商標) G1641HU
スチレン−エチレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物
スチレン単位含有量:32wt%
ブタジエンのビニル結合量:70wt%
B−2:TSRC社製タイポール(登録商標) 6151
スチレン−エチレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物
スチレン単位含有量:33wt%
ブタジエンのビニル結合量:30wt%
B−3:LCY社製グローバルプレン(登録商標) 7551
スチレン−エチレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物
スチレン単位含有量:33wt%
B−4:三菱ケミカル社製メタブレン(登録商標) W−450A
メタクリル酸アルキル/アクリル酸アルキル共重合樹脂
<成分(C)>
C−1:出光興産社製ダイアナ(登録商標)プロセスオイル PW−90
40℃における動粘度:90.5mm/s
C−2:出光興産社製ダイアナ(登録商標)プロセスオイル PW−380
40℃における動粘度:408.8mm/s
<その他の成分(D)>
D−1:備北粉化社製ソフトン(登録商標)1200
炭酸カルシウム
D−2:富士タルク社製タルク FH105
タルク
〔実施例1〜7、比較例1〜7〕
[熱可塑性エラストマー組成物の製造]
表−1及び表−2の配合組成に記載の各成分を二軸混練機により溶融混練(シリンダー温度:200℃)し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
[物性評価用成形体の作成]
上記の熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、射出成形機(日本製鋼所社製「J110AD」、型締め力110T)を用いて、金型温度40℃、シリンダー温度200〜230℃にて射出成形を行い、100mm×100mm、厚み2mmの成形体を得た。
以下、それぞれ「物性評価用成形体」と称す。
〔評価方法〕
表−1及び表−2に示す実施例1〜7、比較例1〜7の熱可塑性熱可塑性エラストマー組成物のペレット及び物性評価用成形体を以下の方法により評価した。結果を表−1及び表−2に示す。
<MFR>
熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kgf))を測定した。このMFRの値は、成形性の観点から0.1〜10g/10minの範囲であることが好ましい。
<デュロ硬度>
上記で作成した物性評価用成形体について、ISO 7619−1に準拠してデュロ硬度を測定した。このデュロ硬度は前述の通りA40〜D60の範囲であることが好ましい。
<YI値>
上記で作成した物性評価用成形体について、日本電色工業株式会社製「ZE−2000」を使用してYI値を測定した。YI値が低いほど黄色味が少なく、色調に優れることを示す。
<耐候性>
上記で作成した物性評価用成形体について、スガ試験機株式会社製耐候試験機「WEL−SUN−HCH」を使用して、温度83℃の雰囲気下、430時間耐候試験を実施した(実施例2,3、比較例2,3)。その後、試験前後のYI値増加量を測定し、ΔYIとして表した。YI値増加量が小さいほど耐候試験により黄色着色が少なく、耐候性に優れることを示す。
Figure 2020125444
Figure 2020125444
表−1及び表−2に示す通り、実施例の熱可塑性エラストマー組成物は、同等のデュロ硬度を有するもの同士で比較した場合、比較例の熱可塑性エラストマー組成物に比べてYIが低く、色調に優れることがわかる(実施例1〜7と比較例1〜7)。
また、実施例の熱可塑性エラストマー組成物は、比較例の熱可塑性エラストマー組成物に比べて耐候試験前後でのYI増加量が小さく、耐候性に優れることがわかる(実施例2,3と比較例2,3)。
以上より、本発明によれば、チタン含有量が所定値以下であるポリエステルエラストマーを原料に用いることで、軟質な質感を有し、色調及び耐候性に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られることがわかる。
本発明によれば、熱可塑性エラストマー組成物の原料として、チタン含有量が所定値以下のポリエステルエラストマーを使用することで、軟質な質感を有し、色調及び耐候性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物により製造された成形体はカメラ、電動工具、自転車等のグリップまたはパッキン、電子部品、玩具、スポーツ用品等の用途に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 下記(A)〜(C)を含む熱可塑性エラストマー組成物。
    (A) チタン含有量が240wtppm未満であるポリエステルエラストマー
    (B) 少なくとも2個の芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQとを有するブロック共重合体の水素添加物及び/又はコアシェル型ゴム質重合体
    (C) ゴム用軟化剤
  2. ISO 7619−1で測定したデュロ硬度がA40〜D60である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記成分(A)のポリエステルエラストマーの末端酸価が25eq/T以下である、請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記成分(A)のポリエステルエラストマーが芳香族ポリエステル−ポリアルキレングリコールブロック共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記成分(A)のポリエステルエラストマーがポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体である、請求項4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記成分(B)のコアシェル型ゴム質重合体がメタクリル酸アルキル/アクリル酸アルキル共重合樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物よりなる成形体。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を熱可塑性樹脂と共に複合成形してなる複合成形体。
  9. 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂である、請求項8に記載の複合成形体。
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JP2018150525A (ja) * 2017-03-13 2018-09-27 Mcppイノベーション合同会社 ポリエステル系熱可塑性エラストマー組成物およびその成形体

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