JP2020125425A - 繊維状セルロース含有組成物、その製造方法、及び膜 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、以下の構成を有する。
[2] 前記タンパク質の含有量が、前記繊維状セルロース1質量部に対して1×10-7質量部以上である、[1]に記載のセルロース含有組成物。
[3] 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースとタンパク質とを含むセルロース含有組成物であって、前記タンパク質は酵素を含み、前記酵素のエンドグルカナーゼ活性が840U/L以下であり、前記繊維状セルロースの固形分濃度を0.4質量%として25℃及び回転数3rpmの条件で測定した粘度が10mPa・s以上11000mPa・s以下である、セルロース含有組成物。
[4] 前記酵素のエンドグルカナーゼ活性が0.084U/L以上である、[3]に記載のセルロース含有組成物。
[5] 前記繊維状セルロースの重合度が、200以上450以下である、[1]から[4]の何れか一に記載のセルロース含有組成物。
[6] 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、タンパク質とを含む膜であって、前記タンパク質は酵素を含み、前記タンパク質の含有量が、前記繊維状セルロース1質量部に対して1×10-3質量部以下である、膜。
[7] 前記タンパク質の含有量が、前記繊維状セルロース1質量部に対して1×10-7質量部以上である、[6]に記載の膜。
[8] 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロース1質量部に対して、1×10-3質量部以下の酵素を添加する工程を含む、セルロース含有組成物の製造方法。
本発明は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロース(以下、微細繊維状セルロースともいう)とタンパク質とを含むセルロース含有組成物であって、前記タンパク質は酵素を含み、前記タンパク質の含有量が、前記繊維状セルロース1質量部に対して1×10-3質量部以下であり、前記繊維状セルロースの固形分濃度を0.4質量%として25℃及び回転数3rpmの条件で測定した粘度が10mPa・s以上11000mPa・s以下である、セルロース含有組成物に関する。
タンパク質の含有量は、酵素の添加量を調整すること、又は酵素処理を含む微細繊維状セルロースの製造プロセスを調整すること等により制御できる。本実施形態では、たとえば酵素処理を行うタイミング等に起因してタンパク質量を調整することができる。タンパク質の含有量を上記の範囲内とすることにより良好な塗工適性を達成することができる。
酵素のエンドグルカナーゼ活性は、酵素の添加量を調整すること、又は酵素処理を含む微細繊維状セルロースの製造プロセスを調整すること等により制御できる。本実施形態では、たとえば酵素処理を行うタイミング等に起因して酵素のエンドグルカナーゼ活性を調整することができる。酵素のエンドグルカナーゼ活性を上記の範囲内とすることにより良好な塗工適性を達成することができる。
濃度1%(W/V)のカルボキシメチルセルロースの基質溶液(濃度100mM、pH5.0の酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液含有)を調製する。製造直後のセルロース含有組成物を予め緩衝液(前記同様)で希釈(希釈倍率は下記酵素溶液の吸光度が下記グルコース標準液から得られた検量線に入るようにする)する。90μlの前記基質溶液に前記希釈して得られた評価用スラリー溶液10μlを添加し、37℃、30分間反応させる。検量線を作成するために、イオン交換水(ブランク)、グルコース標準液(濃度0.5〜5.6mMからすくなくとも濃度が異なる標準液4点)を選択し、それぞれ100μlを用意し、37℃、30分間保温する。前記反応後の酵素含有評価用スラリー溶液、検量線用ブランク及びグルコース標準液に、それぞれ300μlのDNS発色液(1.6質量%のNaOH、1質量%の3,5−ジニトロサリチル酸、30質量%の酒石酸カリウムナトリウム)を加えて、5分間煮沸し発色させる。発色後直ちに氷冷し、2mlのイオン交換水を加えてよく混合した。30分間静置した後、1時間以内に吸光度を測定する。吸光度の測定は96穴マイクロウェルプレートに200μlを分注し、マイクロプレートリーダーを用い、540nmの吸光度を測定する。ブランクの吸光度を差し引いた各グルコース標準液の吸光度とグルコース濃度を用い検量線を作成する。セルロース含有組成物中のグルコース相当生成量はセルロース含有組成物の吸光度からブランクの吸光度を引いてから検量線を用いて算出する。1分間に1μmolのグルコース等量の還元糖を生成する酵素量を1単位と定義し、下記式からEG活性を求める。
EG活性=緩衝液で希釈して得られたセルロース含有組成物1mlのグルコース相当生成量(μmol)/30分×希釈倍率
8000mPa・s以下がより好ましく、6500mPa・s以下がより一層好ましく、5000mPa・s以下がさらに好ましく、4000mPa・s以下がさらに一層好ましく、3000mPa・s以下が特に好ましく、2000mPa・s以下が最も好ましい。
本発明のセルロース含有組成物は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基(単に亜リン酸基ということもある)を有する繊維状セルロース(微細繊維状セルロースとも言う)を含む。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。この場合、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
亜リン酸基の導入は、セルロースを含む繊維原料に対し、亜リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(以下、「亜リン酸化試薬」又は「化合物A」という)を反応させることにより行うことができる。このような亜リン酸化試薬は、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に粉末や水溶液の状態で混合してもよい。また別の例としては、繊維原料のスラリーに亜リン酸化試薬の粉末や水溶液を添加してもよい。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程の間にアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、亜リン酸導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されないが、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよい。溶媒は、極性溶媒(水、またはアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が特に好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は特に限定されないが、亜リン酸基導入繊維の絶乾質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
微細繊維状セルロースを製造する場合、亜リン酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。例えば、亜リン酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
繊維状セルロースは、解繊処理工程で解繊処理される。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。好ましい解繊処理方法としては、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミの心配が少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーが挙げられる。
本発明のセルロース含有組成物は、タンパク質を含み、上記タンパク質は酵素を含む。
本発明で用いる酵素は、セルラーゼ系酵素であり、セルロースの加水分解反応機能を有する触媒ドメインの高次構造に基づく糖質加水分解酵素ファミリーに分類される。セルラーゼ系酵素はセルロース分解特性によってエンド型グルカナーゼ(endo−glucanase)とセロビオヒドロラーゼ(cellobiohydrolase)に分類される。エンド型グルカナーゼはセルロースの非晶部分や可溶性セロオリゴ糖、又はカルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体に対する加水分解性が高く、それらの分子鎖を内側からランダムに切断し、重合度を低下させる。しかし、エンド型グルカナーゼは結晶性を有するセルロースミクロフィブリルへの加水分解反応性は低い。これに対して、セロビオヒドロラーゼはセルロースの結晶部分を分解し、セロビオースを与える。また、セロビオヒドロラーゼはセルロース分子の末端から加水分解し、エキソ型或いはプロセッシブ酵素とも呼ばれる。本発明においては、エンド型グルカナーゼを使用することが好ましい。
本発明においては、酵素処理後に酵素を失活させてもよい。酵素を失活させるための方法としては、微細繊維状セルロースと酵素の混合物を加熱して100℃にし、温度を保ったまま30分〜1時間静置したり、微細繊維状セルロースと酵素の混合物に対し、強塩基を加えてpHを10以上に調整することなどが挙げられるが、特に限定されない。
上記したセルロース含有組成物の製造方法により、本発明のセルロース含有組成物を製造することができる。
酵素の添加量を上記の範囲内とすることにより、製造されるセルロース含有組成物の良好な塗工適性を達成することができる。
微細繊維状セルロースと酵素の反応温度及び反応pHは、使用する酵素の至適温度及び至適pHに保つことが好ましく、一般的には、20℃〜80℃、pH4.5〜9.5に保つことが好ましい。
反応条件を上記の範囲内とすることにより、製造されるセルロース含有組成物の良好な塗工適性を達成することができる。
本発明のセルロース含有組成物において、繊維状セルロースの重合度は特に限定されないが、200以上450以下であることが好ましく、250以上400以下であることがより好ましく、250以上350以下であることがよりさらに好ましく、270以上300以下であることが特に好ましい。
対象の繊維状セルロースを分散媒に分散させて測定した粘度(η1とする)、および分散
媒体のみで測定したブランク粘度(η0とする)を測定したのち、比粘度(ηsp)、固
有粘度([η])を下記式に従って測定する。
ηsp=(η1/η0)−1
[η]=ηsp/(c(1+0.28×ηsp))
ここで、式中のcは、粘度測定時の微細繊維状セルロースの濃度を示す。
さらに、下記式から微細繊維状セルロースの重合度(DP)を算出する。
DP=1.75×[η]この重合度は粘度法によって測定された平均重合度であることから、「粘度平均重合度」と称されることもある。
本発明のセルロース含有組成物は、親水性高分子をさらに含んでいてもよい。特に、繊維状セルロース含有組成物が塗膜形成用スラリーである場合は、親水性高分子を含むことが好ましい。塗膜形成用スラリーが親水性高分子を含むことにより、透明性が高くかつ機械的強度に優れた微細繊維状セルロース含有膜を得ることができる。
本発明の繊維状セルロース含有組成物には、上述した成分以外の任意成分が含まれていてもよい。任意成分としては、たとえば、消泡剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、界面活性剤、カップリング剤、無機層状化合物、無機化合物、レベリング剤、有機系粒子、帯電防止剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、防腐剤、架橋剤等を挙げることができる。また、任意成分として、有機イオンを添加してもよい。
本発明は、上述したセルロース含有組成物から形成されたセルロース含有膜に関するものでもある。本発明は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースとタンパク質とを含むセルロース含有膜であって、前記タンパク質は酵素を含み、前記タンパク質の含有量が、前記繊維状セルロース1質量部に対して1×10-3質量部以下である、セルロース含有膜に関するものである。なお、本願明細書において、膜とは、他の基材上に積層された膜や、基材から剥離されたシートなどを含む。
セルロース含有膜におけるタンパク質の含有量は、酵素の添加量を調整すること、又は酵素処理を含む微細繊維状セルロースの製造プロセスを調整すること等により制御できる。本実施形態では、たとえば酵素処理を行うタイミングや、酵素処理後であって膜形成工程の前に洗浄工程を含まないこと等に起因して、セルロース含有膜におけるタンパク質量を調整することができる。セルロース含有膜におけるタンパク質の含有量を、繊維状セルロース1質量部に対して1×10-3質量部以下とすることにより、セルロース含有膜の光学物性を良好なものとすることができる。
セルロース含有膜の形成工程は、繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、タンパク質とを含むスラリーを得る工程と、このスラリーを基材上に塗工する工程、又は、スラリーを抄紙する工程を含む。
塗工工程は、スラリーを得る工程で得られたスラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して膜を形成する工程である。形成されたセルロース含有膜は、基材から剥離せずに用いてもよいが、基材から剥離することによりシート単体として用いてもよい。塗工装置と長尺の基材を用いることで、セルロース含有膜を連続的に生産することができる。
セルロース含有膜の製造工程は、スラリーを抄紙する工程を含んでもよい。抄紙工程で用いられる抄紙機としては、長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等公知の抄紙を行ってもよい。
上述した工程で得られたセルロース含有膜に、さらに他の層を積層して積層体を形成してもよい。このような他の層は、セルロース含有膜の両表面上に設けられていてもよいが、セルロース含有膜の一方の面上にのみ設けられていてもよい。セルロース含有膜の少なくとも一方の面上に積層される他の層としては、例えば、樹脂層や無機層を挙げることができる。
セルロース含有膜の少なくとも一方の面上に樹脂層が直接積層された積層体;
セルロース含有膜の少なくとも一方の面上に無機層が直接積層された積層体;
樹脂層、セルロース含有膜、無機層がこの順で積層された積層体;
セルロース含有膜、樹脂層、無機層がこの順で積層された積層体;及び
セルロース含有膜、無機層、樹脂層がこの順で積層された積層体:
を挙げることができる。
積層体の層構成は上記に限定されるものではなく、用途に応じて種々の態様とすることができる。
樹脂層は、天然樹脂や合成樹脂を主成分とする層である。ここで、主成分とは、樹脂層の全質量に対して、50質量%以上含まれている成分を指す。樹脂の含有量は、樹脂層の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。なお、樹脂の含有量は、100質量%とすることもでき、95質量%以下であってもよい。
密着助剤としては、例えば、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミノ基及びシラノール基から選択される少なくとも1種を含む化合物や、有機ケイ素化合物が挙げられる。中でも、密着助剤はイソシアネート基を含む化合物(イソシアネート化合物)及び有機ケイ素化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。有機ケイ素化合物としては、例えば、シランカップリング剤縮合物や、シランカップリング剤を挙げることができる。
なお、親水化処理以外の表面処理の方法としては、コロナ処理、プラズマ放電処理、UV照射処理、電子線照射処理、火炎処理等を挙げることができる。
無機層を構成する物質としては、特に限定されないが、例えばアルミニウム、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン;これらの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、もしくは酸化炭化窒化物;またはこれらの混合物が挙げられる。高い防湿性が安定に維持できるとの観点からは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、またはこれらの混合物が好ましい。
本発明のセルロース含有組成物は、例えば、塗料、樹脂、エマルジョン、水硬性材料(セメント)、又はゴムと混合し補強材として用いることができる。本発明のセルロース含有組成物のスラリーを用いて製膜して、セルロース含有膜を作製してもよい。本発明のセルロース含有組成物は、増粘剤として各種用途に使用することもできる。
<亜リン酸基導入繊維状セルロースの作製>
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量208g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
この原料パルプに対して亜リン酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、亜リン酸(ホスホン酸)と尿素の混合水溶液を添加して、亜リン酸(ホスホン酸)33質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で250秒加熱し、パルプ中のセルロースに亜リン酸基を導入し、亜リン酸化パルプを得た。
得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。
このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液Aを得た。
X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。
また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
微細繊維状セルロースの亜リン酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作成した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図1)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を第1解離酸量(mmol/g)とした。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を総解離酸量(mmol/g)とした。
微細繊維状セルロースの繊維幅を下記の方法で測定した。
湿式微粒化装置にて処理をして得られた上記微細繊維状セルロース分散液の上澄み液を、微細繊維状セルロースの濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。これを乾燥した後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。
微細繊維状セルロース分散液Aに、微細繊維状セルロース1質量部に対して、酵素含有液(AB Enzymes社製、 ECOPULP R、酵素含有量は約5質量%)を3.0×10-6質量部添加し、18,500回転で2分間撹拌した。これを回収し、評価用スラリーを得た。
実施例1の<酵素処理>において、微細繊維状セルロース1質量部数に対して、酵素含有液を1.0×10-2質量部添加した。その他の手順は実施例1と同様にし、評価用スラリーを得た。
実施例1の<酵素処理>において、微細繊維状セルロース1質量部数に対して、酵素含有液を1.0×10-5質量部添加した。その他の手順は実施例1と同様にし、評価用スラリーを得た。
実施例1の<酵素処理>において、微細繊維状セルロース1質量部数に対して、酵素含有液を4.76×10-5質量部添加した。その他の手順は実施例1と同様にし、評価用スラリーを得た。
実施例1において、<酵素処理>を行わなかった。上記以外は実施例1と同様にし、評価用スラリーを得た。
<酵素処理>
実施例1の、<亜リン酸基導入繊維状セルロースの作製>で得たアルカリ処理、洗浄処理後の亜リン酸化パルプをイオン交換水で2%に希釈した後、酵素含有液の添加を行った。酵素含有液の添加量は、固形分量1質量部数に対して、酵素含有液を4.76×10-5質量部数添加とした。次いで、この亜リン酸化パルプを25℃の環境下に24時間静置した後、脱水して脱水シートを得た後、5000質量部のイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水した。その後、再度5000質量部のイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水した。
得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。
このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロースを含む評価用スラリーを得た。
X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。
また、微細繊維状セルロースの繊維幅を上述の透過型電子顕微鏡を用いた方法で測定したところ、3〜5nmであった。
後述する<TEMPO酸化>を経て得たアルカリ処理、洗浄処理後のTEMPO酸化パルプをイオン交換水で2%に希釈した後、酵素含有液の添加を行った。酵素含有液の添加量は、固形分量1質量部数に対して、酵素含有液を4.76×10-5質量部数添加数とした。次いで、このTEMPO酸化パルプを25℃の環境下に24時間静置した後、脱水して脱水シートを得た後、5000質量部のイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水した。その後、再度5000質量部のイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水した。
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(未乾燥)を使用した。
この原料パルプに対してアルカリTEMPO酸化処理を次のようにして行った。
まず、乾燥質量100質量部相当の上記原料パルプと、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)1.6質量部と、臭化ナトリウム10質量部を、水10000質量部に分散させた。次いで、13質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して3.8mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10以上10.5以下に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした。
次いで、得られたTEMPO酸化パルプに対して洗浄処理を行った。
洗浄処理は、TEMPO酸化後のパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、5000質量部のイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
この脱水シートに対して、残存するアルデヒド基の追酸化処理を次のようにして行った。
洗浄処理は、追酸化後のパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、5000質量部のイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。これにより得られたTEMPO酸化パルプについて、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gであった。
また、得られたTEMPO酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られた脱水シートにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて4回処理し、微細繊維状セルロースを含む評価用スラリーを得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を上述の透過型電子顕微鏡を用いた方法で測定したところ、3〜5nmであった。
微細繊維状セルロースのカルボキシ基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース含有スラリーにイオン交換水を添加して、含有量を0.2質量%とし、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、0.2質量%の微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社製、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察すると、図2に示されるような滴定曲線が得られる。図2に示されるように、この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が一つ観測される。この増分の極大点を第1終点と呼ぶ。ここで、図2における滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼ぶ。第1領域で必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中のカルボキシ基量と等しくなる。そして、滴定曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象の微細繊維状セルロース含有スラリー中の固形分(g)で除すことで、カルボキシ基の導入量(mmol/g)を算出した。
なお、上述のカルボキシ基導入量(mmol/g)は、カルボキシ基の対イオンが水素イオン(H+)であるときの繊維状セルロースの質量1gあたりの置換基量(以降、カルボキシ基量(酸型)と呼ぶ)を示している。
比較例3において、酵素含有液の添加量を、固形分量1質量部数に対して、1.0×10-1質量部数とした。上記以外は比較例3と同様にし、評価用スラリーを得た。
実施例1において、微細繊維状セルロース1質量部に対して、酵素含有液1質量部数添加した。上記以外は実施例1と同様にし、評価用スラリーを得た。
実施例及び比較例で得られた評価用スラリーを用いて、以下の方法に従って測定を行った。
評価用スラリーの製造から24時間後にイオン交換水を注ぎ、固形分濃度が0.4質量%となるよう調製した。その後、25℃の環境下にて24時間静置し、B型粘度計(No.3ローター)(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて25℃にて回転数3rpmで3分間回転させて粘度を測定した。
微細繊維状セルロースの比粘度および重合度は、Tappi T230に従い測定した。すなわち、測定対象の微細繊維状セルロースを分散媒に分散させて測定した粘度(η1とする)、および分散媒体のみで測定したブランク粘度(η0とする)を測定したのち、比粘度(ηsp)、固有粘度([η])を下記式に従って測定した。
ηsp=(η1/η0)−1
[η]=ηsp/(c(1+0.28×ηsp))
ここで、式中のcは、粘度測定時の微細繊維状セルロースの濃度を示す。
さらに、下記式から微細繊維状セルロースの重合度(DP)を算出した。
DP=1.75×[η]
この重合度は粘度法によって測定された平均重合度であることから、「粘度平均重合度」と称されることもある。
評価用スラリーのEG活性は下記のように測定し、定義した。
濃度1%(W/V)のカルボキシメチルセルロース(CMCNa High viscosity:Cat No.150561,MP Biomedicals,Inc.)の基質溶液(濃度100mM、pH5.0の酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液含有)を調製した。製造直後の評価用スラリーを予め緩衝液(前記同様)で希釈(希釈倍率は下記酵素溶液の吸光度が下記グルコース標準液から得られた検量線に入るようにした)した。90μlの前記基質溶液に前記希釈して得られた評価用スラリー溶液10μlを添加し、37℃、30分間反応させた。
前記反応後の酵素含有評価用スラリー溶液、検量線用ブランク及びグルコース標準液に、それぞれ300μlのDNS発色液(1.6質量%のNaOH、1質量%の3,5−ジニトロサリチル酸、30質量%の酒石酸カリウムナトリウム)を加えて、5分間煮沸し発色させた。発色後直ちに氷冷し、2mlのイオン交換水を加えてよく混合した。30分間静置した後、1時間以内に吸光度を測定した。
EG活性=緩衝液で希釈して得られた評価用サンプル溶液1mlのグルコース相当生成量(μmol)/30分×希釈倍率 [福井作蔵, “生物化学実験法 (還元糖の定量法)第二版 ”, 学会出版センター、p23〜24 (1990年)参照]
全ての実施例において、EG活性は、酵素の添加直後の評価用スラリーと、評価用スラリーを製造してから24時間経過後の評価用スラリーとで変化はなかった。
評価用スラリーに含まれるタンパク質は、ビュレット法によって求めた。
牛血清アルブミンに対し純水を加え、タンパク質の質量%が5.0%以下となるように調製した。
上記にて調製した牛血清アルブミン溶液に対し、4倍量のビュレット薬を加えてよく混合し、20℃から25℃の環境下で30分放置した。その後、分光光度計を使用し540nmの吸光波長を測定した。測定値をもとに、検量線を引いた。
次に、評価用スラリーを分取し、4倍量のビュレット試薬を加えてよく混合し、20℃から25℃の環境下で30分放置した。その後、分光光度計を使用し540nmの吸光波長を測定した。測定値は検量線へ書き込み、評価用スラリーに含まれるタンパク質量を求めた。
実施例及び比較例で得られた評価用スラリーを以下の方法に従って評価した。
実施例及び比較例で得られた評価用スラリーを使用してセルロース含有膜を形成し、ヘーズを測定した。なお、セルロース含有膜の形成方法は後述する。
JIS K 7136に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いてヘーズを測定した。実施例の評価結果において、ヘーズが1.0%未満であるなら◎、1.5%未満であるなら○、2.0%未満であるなら△、2.0%以上ならば×と表記した。
評価用スラリーを、固形分濃度が1.0質量%となるようイオン交換水を添加して濃度調整を行った。
次いで、この微細繊維状セルロース分散液100質量部に対して、水溶性ポリエステル樹脂(互応化学社製、プラスコートZ−221、固形分濃度は20質量%)を100質量部添加し、塗料組成物Aを得た。
次いで、得られる塗膜(上記塗料組成物Aの固形分から構成される)の仕上がり坪量が50g/m2になるように塗工液を計量して、市販のアクリル板に塗工し、50℃、相対湿度15%の恒温恒湿器にて乾燥した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の金枠(内寸が180mm×180mmの金枠)を配置した。乾燥後に形成された塗膜をアクリル板から剥離し、微細繊維状セルロースを含む、厚さ37μmの塗膜(セルロース含有膜)を得た。
上記の[セルロース含有膜の光学物性]にて得られたセルロース含有膜を使用し、引張弾性率を測定した。
試験片の長さを80mm、チャック間距離を50mmとした以外はJIS P 8113に準拠し、引張試験機テンシロン(エー・アンド・デイ社製)を用いて引張弾性率を測定した。なお、引張弾性率を測定する際には、23℃、相対湿度50%で24時間調湿したものを試験片として使用し、23℃、相対湿度50%の条件下で測定を行った。実施例の評価結果において、引張弾性率が4GPa以上であるなら◎、2GPa以上であるなら○、1GPa以上であるなら△、1GPa未満ならば×と表記した。
実施例及び比較例で得られた評価用スラリー100質量部に対して、水溶性ポリエステル樹脂(互応化学社製、プラスコートZ−221、固形分濃度は20質量%)を100質量部添加し、塗料組成物Bを得た。次いで、この塗料組成物Bを、フィルムアプリケーターを使用してポリカーボネートフィルム(帝人社製、パンライトPC−2151、厚み300μm)上に塗工してウェット膜を形成した。なお、フィルムアプリケーターの塗工幅は150mm、ギャップ(塗工厚)は3mmとした。評価用スラリーを塗工する際の塗工適性について、官能評価を行った。ウェット膜の目視確認時に、凹凸が見られない場合は◎、多少の凹凸が見られる場合は○、目立った凹凸が見られる場合は△、凹凸により連続したウェット膜が形成できない場合には×と表記した。
一方、表2から明らかなように、酵素を添加しない比較例1では、塗工適性が劣る結果となった。また、比較例2〜4では、パルプに対して酵素処理をした後に、イオン交換水により酵素を洗浄しているが、このような場合においてもタンパク質の含有量とエンドグルカナーゼ活性は低く、かつ塗工適性が劣る結果となった。また、タンパク質の含有量、及びエンドグルカナーゼ活性が好適な範囲より高い比較例5においては、膜の光学物性が不良であった。
Claims (8)
- 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、タンパク質とを含むセルロース含有組成物であって、前記タンパク質は酵素を含み、前記タンパク質の含有量が、前記繊維状セルロース1質量部に対して1×10-3質量部以下であり、前記繊維状セルロースの固形分濃度を0.4質量%として25℃及び回転数3rpmの条件で測定した粘度が10mPa・s以上11000mPa・s以下である、セルロース含有組成物。
- 前記タンパク質の含有量が、前記繊維状セルロース1質量部に対して1×10-7質量部以上である、請求項1に記載のセルロース含有組成物。
- 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、タンパク質とを含むセルロース含有組成物であって、前記タンパク質は酵素を含み、前記酵素のエンドグルカナーゼ活性が840U/L以下であり、前記繊維状セルロースの固形分濃度を0.4質量%として25℃及び回転数3rpmの条件で測定した粘度が10mPa・s以上11000mPa・s以下である、セルロース含有組成物。
- 前記酵素のエンドグルカナーゼ活性が0.084U/L以上である、請求項3に記載のセルロース含有組成物。
- 前記繊維状セルロースの重合度が、200以上450以下である、請求項1から4の何れか一項に記載のセルロース含有組成物。
- 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースと、タンパク質とを含む膜であって、前記タンパク質は酵素を含み、前記タンパク質の含有量が、前記繊維状セルロース1質量部に対して1×10-3質量部以下である、膜。
- 前記タンパク質の含有量が、前記繊維状セルロース1質量部に対して1×10-7質量部以上である、請求項6に記載の膜。
- 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロース1質量部に対して、1×10-3質量部以下の酵素を添加する工程を含む、セルロース含有組成物の製造方法。
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