JP2020125327A - ターメロンを有効成分とするβ‐セクレターゼ阻害剤、並びに該阻害剤を含む医薬製剤及び飲食品 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2では、安全性の高いβ−セクレターゼ阻害剤を得るために、例えばコショウ、ゴマ、ターメリック等のスパイスとして一般的に用いられる天然物からβ−セクレターゼ阻害剤が抽出されている。特許文献2ではさらに抽出物に含まれる化合物の内β−セクレターゼ阻害活性を示す化合物が特定されている。
しかし、より阻害活性が高く且つより安価で得られるβ−セクレターゼ阻害剤が求められている。
しかし、特許文献3はウコン抽出物がアミロイド凝集を阻害することが記載されているものの、具体的な作用機序が明らかにされていないという問題点を有する。
しかし、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有する物質はβ−アミロイドの蓄積を緩和する対症療法に役立つが、アルツハイマー型痴呆症の予防に効果的であるとはいえないという問題点を有する。
特願2015−146208記載の発明は、β−セクレターゼ阻害活性を有する化合物として上記3つの化合物を特定しており、それぞれの化合物のIC50値を算出することで具体的な阻害活性を示している。
しかし、より阻害活性が高く且つより安価で得られるβ−セクレターゼ阻害剤が求められている。
さらに、ターメリックから化合物を抽出する方法が簡便であるため、低いコストで製造することができる。
AR−ターメロン、α−ターメロン及びβ−ターメロンはターメリックの根茎からヘキサンによって好適に抽出される。その理由は、ターメリックの根茎をヘキサンで抽出することにより、AR−ターメロン、α−ターメロン及びβターメロンを多く溶出させることができるからである。
このうち、賦形剤としては、これらに限定されないが例えば、微粒子二酸化ケイ素のような粉末類、ショ糖脂肪酸エステル、結晶セルロース・カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、小麦デンプン,米デンプン,トウモロコシデンプン,バレイショデンプン,デキストリン,シクロデキストリン等のでんぷん類、結晶セルロース類、乳糖,ブドウ糖,砂糖,還元麦芽糖,水飴,フラクトオリゴ糖,ガラクトオリゴ糖,大豆オリゴ糖,イソマルトオリゴ糖,キシロオリゴ糖,マルトオリゴ糖,乳果オリゴ糖などの糖類、ソルビトール,エリストール,キシリトール,ラクチトール,マンニトール等の糖アルコール類が挙げられる。これらの賦形剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
ターメリックの根茎1kgを粉砕し、40℃のヘキサン5000mlで1時間の攪拌抽出を行い、上澄み液4200mlをろ紙でろ過した。
次いで、その残渣に40℃のヘキサン2500mlで0.5時間の攪拌抽出を行い、ろ紙でろ過した。得られた抽出液に含まれる溶媒をエバポレーター(40℃)で留去し、ターメリックのヘキサン抽出物を得た。
ターメリックのヘキサン抽出後の残渣を乾燥させ、40℃の酢酸エチル5000mlで1時間撹拌抽出し、上澄み液4800mlをろ紙でろ過した。得られた抽出液に含まれる溶媒をエバポレーター(40℃)で留去し、ターメリックの酢酸エチル抽出物を得た。
ヘキサン抽出物及び酢酸エチル抽出物の収率を以下の表1に示す。
上記のように抽出したヘキサン抽出物及び酢酸エチル抽出物の酵素阻害活性を、以下の方法により検討した。また、Lys-Thr-Glu-Glu-Ile-Ser-Glu-Val-Asn-Sta-Val-Ala-Glu-Phe(Sta: (3S,4S)-4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプタン酸;ペプチド研究所製)を陽性対照として用いた。
具体的には、まず各抽出物及び陽性対照について、それぞれを含むDMSO溶液2μlを、0.02M酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5、0.1%Triton X−100)78μlとともに0.6mlサンプルチューブに入れた。コントロールとして2μlのDMSOを上記の78μlの0.02M酢酸ナトリウム緩衝液とともに0.6mlサンプルチューブに入れた。
その後、酵素溶液(β−セクレターゼ、17.4μg protein/ml)10μlを入れて混合し、37℃で10分間前培養した。
基質としてMOCAc-Ser-Glu-Val-Asn-Leu-Asp-Ala-Glu-Phe-Arg-Lys(Dnp)-Arg-Arg-NH2 (ペプチド研究所製)0.1 mmol/l溶液を10μl加えて混合し、37℃で1時間培養した。反応後,2.5 M 酢酸ナトリウム溶液50μlを加え、反応を停止させた。
・カラム;L-column ODS (4.6 id × 250 mm)
・移動相;water / 0.1% formic acid : acetonitrile(9:1 v/v)→17.50 min(11:9,v/v)→17.51 min(1:19,v/v)→22.50 min(1:19,v/v)→22.51 min(9:1,v/v)→27.50 min(STOP)
・カラム温度;40℃
・検出;Ex. 325 nm / Em. 395 nm
・注入量;20μl
生成した蛍光ペプチド断片のピーク面積値から,下記の式より阻害率(%)を算出した。
β−セクレターゼ阻害率(%)= 100−〔(各抽出物由来のピークの面積値/コントロール由来のピーク面積値)×100〕
・カラム;Intertcap Pure Wax (0.25 i.d. × 0.25μm × 60 m)
・注入量;1.0μl
・昇温;50℃で2分保持、2.5℃昇温/分→240℃まで
・気化室温;250℃
・キャリーガス流量;ヘリウム 1.2 ml/分
・スプリット比;1/80
GCMS分析の結果から付属のライブラリー検索(wiley7nおよびNIST08)で化合物をAR−ターメロン、α−ターメロン及びβターメロンと推定した。
ヘキサン抽出物はAR−ターメロンを9.9%、α−ターメロンを30.4%、及びβ−ターメロンを11.5%含有していた。
・カラム;L-column ODS (20 id × 250 mm)
・移動相;water:acetonitrile(20:80, v/v)
・流速:18.9 ml/min
・カラム温度;室温
・検出;UV 243 nm
・注入量;10μl
ヘキサン抽出物の有効成分としてRT7.5、10.5及び11.0の画分よりそれぞれ無色のオイル状物質を得た。従来、α−ターメロン及びβ−ターメロンは分離することが難しい物質として知られていたが、上記のような簡便な方法で抽出できたのは特筆すべきことである。
AR−ターメロン:92μM
α−ターメロン:39μM
β−ターメロン:62μM
上記IC50値により、AR−ターメロン、α−ターメロン及びβ−ターメロンが、β−セクレターゼ阻害活性を有することがわかった。
このIC50値は、本発明者らが以前に見出し、特願2015−146208において記載したセサモリン、ピパタリン及びエチル4−メトキシシンナメートのIC50値(セサモリン:0.14mM、エチル4−メトキシシンナメート:0.676mM、ピパタリン:0.304mM)と比較しても顕著に低いものであり、AR−ターメロン、α−ターメロン及びβ−ターメロンは非常に高いβ‐セクレターゼ阻害活性を有することが明らかになった。
また、本発明の抽出方法は特願2015−140208記載の抽出方法と比較して簡便なものであるため、生産コストを1/10以下に抑えることができる。
Claims (3)
- AR−ターメロン、α−ターメロン及びβ−ターメロンからなる群から選択される1以上の化合物のみを有効成分として含有する、β‐セクレターゼの活性を阻害するβ‐セクレターゼ阻害剤。
- 請求項1に記載のβ‐セクレターゼ阻害剤を含む、β‐セクレターゼの活性を阻害するβ‐セクレターゼ阻害用医薬製剤。
- 請求項1に記載のβ‐セクレターゼ阻害剤を含む、β‐セクレターゼの活性を阻害するβ−セクレターゼ阻害用飲食品。
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INTERNATIONAL IMMUNOPHARMACOLOGY, vol. Volume 14,Issue 1, JPN6021015229, 2012, pages 13 - 20, ISSN: 0004491994 * |
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