以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、ゲーベルトップ型の紙容器1の前上方から見た斜視図である。図2は、図1に示すゲーベルトップ型の紙容器1の後上方から見た斜視図である。図3は、図1、図2に示すゲーベルトップ型の紙容器1を展開したブランク板100を示す図である。図4は、図3に示すブランク板100を筒状に貼り合せた筒状体101の前上方から見た斜視図である。図5は、底部30を内部から見た図である。なお、本実施形態において、紙容器1および筒状体101の方向を示す「前」、「後」、「上」、「下」、「右」、「左」は、図1に示す紙容器1および図4に示す筒状体101を基準とする。
図1に示すように、紙容器1は、ゲーベルトップ型である。紙容器1は、酒類(日本酒、ワイン、焼酎等)、飲料類(コーヒー、乳飲料、ジュース、お茶等)、調味料(醤油、ドレッシング等)および衛生用品(シャンプー、ボディーソープ等)等の液状の内容物が充填された後、密閉される。
(1. 紙容器1について)
紙容器1は、本体部2と、注出部材3とを備える。本体部2は、例えば、紙製のブランク板100(図3参照)を箱型に折曲して形成される。より詳しくは、本体部2は、ブランク板100を筒状に貼り合せて筒状体101(図4参照)を形成し、筒状体101の上端および下端を折曲して形成される。注出部材3は、樹脂の成型体であり、本体部2に取り付けられる。注出部材3は、後述の蓋部33を備える。蓋部33は、開閉可能であり、蓋部33を開いた時に注出部材3は内容物を注出する注出口を形成する。なお、以下の説明では、ブランク板100を筒状に貼り合せたものを筒状体101とし、筒状体101であって後述の傾斜屋根部20および底部40を形成し、注出部材3を取り付けたものを紙容器1とする。
(2. 本体部2について)
図1等に示すように、本体部2は、胴部10と、傾斜屋根部20と、底部40とを備える。胴部10は、対向する前面板13と背面板11の両側端を一対の側面板12、14により連結した筒体である。胴部10は、水平断面が矩形(ここでは、正方形)である。胴部10の上端部は、傾斜屋根部20によって塞がれる。また、胴部10の下端部は、底部40によって塞がれる。
(2.1 傾斜屋根部20について)
図1、図2に示すように、傾斜屋根部20は、傾斜して対向する一対の傾斜天板部21、23と、傾斜天板部21、23の間に配置されるとともに内側に折り込まれた一対の側面天板部22、24と、傾斜天板部21、23の上端部に配されて上方に延びる頂部25と、を備える。
なお、以下の説明において、説明の便宜上、傾斜天板部21を後傾斜天板部21、傾斜天板部23を前傾斜天板部23とする。また、側面天板部22を右側面天板部22とし、側面天板部24を左側面天板部24とする。後傾斜天板部21は、前面板13の上端に連設され前方に傾斜する。前傾斜天板部23は、背面板11の上端に連設され後方に傾斜する。また、右側面天板部22および左側面天板部24は、それぞれ、側面板12、14の上端に連結され、内側に向かって傾斜するとともに、前傾斜天板部23と後傾斜天板部21との間に配置される。
(2.2 底部40について)
図4および後述の図12に示すように、底部40は、筒状体101の前後に対向して配置される一対の底壁板部41、43と、底壁板部41、43の左右を連結する一対の底連結板部42、44を平坦に折り曲げることで形成される。なお、以下の説明において、説明の便宜上、底壁板部41を後底壁板部41、底壁板部43を前底壁板部43とする。また、底連結板部42を右底連結板部42とし、底連結板部44を左底連結板部44とする。底部40は、筒状体101から見たとき、内側に頂点を有する三角パネル部46、47が形成されている(図5参照)。
(3. 注出部材3について)
注出部材3は、傾斜屋根部20の前傾斜天板部23に形成された挿通孔232に挿入されて、固定されている。図1および後述の図16に示すように、注出部材3は、管部31と、フランジ部32と、蓋部33とを備える。管部31は、筒状である。そして、フランジ部32は、管部31の軸方向の一端側から径方向外側に拡がる円板状である。注出部材3は、前傾斜天板部23の内面にフランジ部32を熱接着して固定されている。
管部31の外周面には雄ねじ(不図示)が形成されている。蓋部33は有蓋円筒状であり、内面に雌ねじ(不図示)が形成されている。蓋部33の雌ねじを管部31の雄ねじに螺合させることで、蓋部33が管部31を開閉する。すなわち、注出部材3は、蓋部33によって、開閉可能である。なお、蓋部33の内面にパッキンを設けてもよい。このように構成することで、注出部材3を高いシール状態で閉鎖できる。
(4. ブランク板100について)
次に、紙容器1の本体部2を構成するブランク板100について説明する。図3に示すように、本体部2を展開したブランク板100には、所定位置に折り線90(図3中、破線で示す)が設けられる。そして、折り線90によって、背面板11、側面板12、前面板13、側面板14および糊代片15が一方向(図3において右から左)に順に連設される。
背面板11の上端には第1上板部111が連設され、下端には後底壁板部41が連設される。第1上板部111は、後傾斜天板部21と、後上端部211とを含む。すなわち、背面板11の上端に後傾斜天板部21が連設され、後傾斜天板部21の上端に後上端部211が連設される。
側面板12の上端には第2上板部121が連設され、下端には右底連結板部42が連設される。第2上板部121は、右側面天板部22と、右上端部221とを含む。すなわち、側面板12の上端に右側面天板部22が連設され、右側面天板部22の上端に右上端部221が連設される。
前面板13の上端には第1上板部131が連設され、下端には前底壁板部43が連設される。第1上板部131は、前傾斜天板部23と、前上端部231とを含む。すなわち、前面板13の上端に前傾斜天板部23が連設され、前傾斜天板部23の上端に前上端部231が連設される。また、前傾斜天板部23の中央部には、貫通孔である挿通孔232が形成されている。
側面板14の上端には第2上板部141が連設され、下端には左底連結板部44が連設される。第2上板部141は、左側面天板部24と、左上端部241とを含む。すなわち、側面板14の上端に左側面天板部24が連設され、左側面天板部24の上端に左上端部241が連設される。
また、糊代片15の上端には糊代片151が連設され、下端には糊代片152が連設される。右底連結板部42および左底連結板部44には、上辺の両端から下方に向かって接近する折り線90が形成されている。折り線90にて囲まれる部分が、それぞれ、三角パネル部46、47を構成する。
ブランク板100の糊代片15、151、152の外面を、背面板11、第1上板部111、後底壁板部41の内面に貼着することで、筒状体101が形成される(図4参照)。筒状体101において、第1上板部111と第1上板部131とは前後に対向する。すなわち、筒状体101は、前後に対向する一対の第1上板部111、131を備える。また、第2上板部121、141は、左右に対向する。すなわち、筒状体101は、左右に対向する一対の第2上板部121、141とを備える。そして、第2上板部121、141は、第1上板部111と第1上板部131とを連結する。
次にブランク板100の構成について図面を参照して説明する。図6は、ブランク板100の構成を示す断面図である。
図6に示すように、ブランク板100は外面接着層71、紙基材層72、中間層74、内面接着層76が順に積層されており、中間層74と紙基材層72とは層間接着層73を介して接着されている。また、中間層74と内面接着層76とは層間接着層75を介して接着されている。また、中間層74はバリア基材層74aの一面にガスバリア性を有するバリア層74bを配して形成される。
紙基材層72は紙基材としては250〜450g/m2 の坪量の板紙が使用される。紙基材層72の外面には外面接着層71が積層されている。外面接着層71は熱可塑性を有する低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン等の熱接着可能な樹脂が使用され、押出しラミネーション法により紙基材層72の上に積層される。外面接着層71の外面には、所定位置にグラビア印刷またはオフセット印刷による印刷層77が形成されている。
層間接着層73は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフイン共重合体、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系樹脂が用いられ、押出しラミネーション法により紙基材層72と中間層74を積層する。層間接着層73の厚さは、通常、10〜50μmである。
中間層74は、バリア基材層74aとバリア層74bとからなり、バリア基材層74aには蒸着加工適性やラミネーション加工適性の観点から加工適性の優れた二軸延伸されたポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が用いられる。厚さは通常、4〜40μmであり、好ましくは9〜25μmである。
バリア層74bはバリア基材層74aの上面に形成されるアルミニウム等の金属の蒸着膜や、酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜であり、防湿性、ガスバリア性を備える。これにより、紙容器1に充填される内容物の酸化劣化、味覚低下等を防止し化学的に保護する。なお、バリア層74bはバリア基材層74aに対して紙基材層72側に積層しているが、内面接着層76側に積層してもよい。
また、バリア層74bにアルミニウム等の金属箔を用いてバリア基材層74aとドライラミネーション法や押出しラミネーション法で積層して中間層74を形成してもよい。この場合、金属箔は紙基材層72側に積層する方が好ましい。
層間接着層75は、層間接着層73と同じ樹脂を用いて押出しラミネーション法により中間層74と内面接着層76を積層するためのものであり、その厚さは、通常、10〜50μmである。また、層間接着層75としてポリエステルポリオール−イソシアネート系、ポリエーテルポリオール−イソシアネート系、ウレタン−イソシアネート系等の主剤と硬化剤とからなる2液タイプのドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネーション法により積層することもできる。ドライラミネーション法の場合、層間接着層75の塗布量は、通常、固形分重量1〜5g/m2 である。
内面接着層76は、熱可塑性を有する熱接着性樹脂が使用され、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等の樹脂を用いたフィルムが使用される。特に環状ポリオレフィン樹脂等を用いた易引裂き性を付与したフィルムを用いることが好ましい。内面接着層76の厚さは通常20〜100μmであり、層間接着層75の積層方法や内容物等の条件を加味して適宜決定される。
ブランク板100を折曲して紙容器1を形成する際に、対向する内面接着層76同士、対向する外面接着層71同士、対向する内面接着層76と外面接着層71とがそれぞれ熱接着される。
以下に紙容器1の形成方法を具体的に説明する。まず、ロール状に巻き取られた紙基材層72を引出し、紙基材層72の両面にアンカーコート剤が印刷される。次に、EC(Extrusion Coating)法により紙基材層72の外面に外面接着層71が積層される。次に、外面接着層71を積層した紙基材層72と、中間層74のバリア層74bとがEC法によって層間接着層73を介して貼り合わせられる。
次に、中間層74のバリア基材層74aの内面にアンカーコート剤が印刷され、EC法により中間層74と内面接着層76とが層間接着層75を介して貼り合わせられる。
次に、外面接着層71の外面にコロナ処理が施され、グラビア印刷またはオフセット印刷によって商品名等の図柄を描く印刷層77が形成される。これにより、ブランク板100を構成する積層体が形成される。
次に、打抜き加工によってブランク板100が打ち抜かれる。この時、挿通孔232が形成されるとともに、押罫による折り線90が形成される。次に、ブランク板100の糊代片15、151、152のスカイブヘミング加工が施される。
(5. 充填装置5について)
このように形成されたブランク板100を折曲するとともに接着して紙容器1が製造される。ブランク板100から紙容器1の形成と紙容器1への内容物の充填とは一連の作業で実行される。ここで、ブランク板100から紙容器1に内容物を充填する充填装置について図面を参照して説明する。図7は、本発明にかかる充填装置5の一例の概略正面図である。図8は、充填装置5の機能ブロック図である。図9は、容器搬送部50の概略平面図である。
図7に示すように、充填装置5では、容器搬送部50に沿って、筒状体供給部51、立ち起こし部52、底部組立部53、底部検査部601、注出部材取付部54、注出部材検査部602、充填部55、頂部組立部56および選別部57が筒状体101の搬送方向に順に配置される。充填装置5では、各部(工程部と称する)ごとにそれぞれ割り当てられた工程(作業)を筒状体101に対して実行する。また、充填装置5は、選別部57で選別された不良品を受ける受け容器58を備える。
内容物が充填されて密閉された紙容器1が製造される場合において、紙容器1の密閉性が不十分になる場合がある。そこで、充填装置5では、底部検査部601で底部30のシール状態を検査する。また、注出部材検査部602で注出部材3と紙容器1とのシール状態を検査する。なお、頂部組立部56には、頂部検査装置63が含まれており、頂部検査装置63が、頂部25のシール状態を検査する。つまり、充填装置5は、頂部25、底部30および注出部材3のシール状態を検査して、紙容器1の密閉性の良否を判別している。
充填装置5において、ブランク板100の背面板11、第1上板部111および後底壁板部41の内面と、糊代片15、151および152の外面とをフレームシールすることで、上下面が開かれた筒状体101が供給される。なお、本実施形態に示す充填装置5では、予め作製された筒状体101を供給する構成であるが、これに限定されず、ブランク板100から筒状体101を作製する筒状体作製部(不図示)を備えていてもよい。
図8に示すように、充填装置5は、各部の動作を制御する主制御部80を備える。上述した、容器搬送部50、筒状体供給部51、立ち起こし部52、底部組立部53、底部検査部601、注出部材取付部54、注出部材検査部602、充填部55、頂部組立部56および選別部57は、主制御部80に接続され、主制御部80からの指示に従って動作する。
また、図8に示すように、充填装置5は、記憶部64、入力部81および表示部82をさらに備える。記憶部64、入力部81および表示部82は主制御部80に接続されており、主制御部80に制御される。記憶部64は、ROMやRAM等の半導体メモリ、フラッシュメモリ等の可搬性を有するメモリ、ハードディスク等を備え、各種設定、動作状態のログ、画像データ等の情報を記憶する。また、記憶部64に制御プログラムを記憶させておき、主制御部80が必要に応じて必要な制御プログラムを起動させて、制御を行ってもよい。
入力部81は、使用者(例えば、充填装置5を操作する操作者)による入力を受け付ける入力装置(不図示)を備える。なお、入力装置としては、例えば、キーボード、タッチパネル、ジョイスティック等を挙げることができる。また、これ以外の入力装置を採用してもよい。また、表示部82は、充填装置5の状態、底部検査装置61、注出部材検査装置62および頂部検査装置63で取得された画像、タッチパネルによる入力のための入力画像等を表示するディスプレイ装置(不図示)を備える。ディスプレイ装置としては、液晶パネル、有機ELパネル等を挙げることができるが、これに限定されない。また、表示部82は、音声、振動等で使用者に対して情報を伝達する機器を備えていてもよい。
(5.1 容器搬送部50)
容器搬送部50は、筒状体101を搬送する。容器搬送部50は、筒状体供給部51から底部組立部53までの第1搬送部501と、底部組立部53以降の第2搬送部502とを含む。第1搬送部501は、例えば、平ベルトを用いたベルトコンベア等の従来周知の構成の搬送装置を用いる。
図9に示すように、第2搬送部502は、ベルト503、押え体504、駆動プーリ505および従動プーリ506とを備える。駆動プーリ505と従動プーリ506とは筒状体101の搬送方向に配列される。駆動プーリ505は、搬送方向において従動プーリ506よりも下流側に配置される。ベルト503は無端状に接続されている。ベルト503は、駆動プーリ505と従動プーリ506とに、一定以上の張力が作用した状態で巻き回されている。
そして、図9に示すように、押え体504は、ベルト503の外側に突出するようにベルト503に取り付けられる。押え体504は、一定の周期でベルト503に取り付けられる。駆動プーリ505には、図示を省略したモータ等の駆動装置が取り付けられている。駆動装置は主制御部80の指示に基づいて動作する。これにより、ベルト503が、回転する。
そして、図9に示すように、ベルト503、駆動プーリ505および従動プーリ506は、筒状体101を搬送方向と直交する方向に筒状体101を挟むように対をなして配置される。押え体504は、筒状体101の搬送方向上流側と下流側と接触し、筒状体101を支持する。この状態でベルト503が回転することで、筒状体101が搬送方向に搬送される。
第2搬送部502は、選別部57の上流まで、筒状体101および筒状体101から形成された紙容器1を搬送する。第2搬送部502の下流側は、第1搬送部501と同様、紙容器1の底部40を支持する平ベルトを用いたベルトコンベア等を備える。なお、ベルト503は、一定期間経過するごとに(一定周期で)、一定の回転数回転する。すなわち、第2搬送部502は、一定の期間経過するごとに筒状体101を一定距離移動させる。
第2搬送部502は、筒状体101を一定の期間で一定距離移動した後、所定の時間停止する。すなわち、第2搬送部502は、間欠的に筒状体101を搬送する。第2搬送部502が筒状体101を間欠的に搬送する構成とすることで、筒状体101は、各工程部に対して決められた位置で、搬送方向において所定の時間停止する。なお、所定の時間は、各工程部による工程時間のうち最も長い時間にあわせて決定される。
(5.2 筒状体供給部51、立ち起こし部52)
筒状体供給部51は、折り畳まれた状態の筒状体101(図10参照)がストックされている。筒状体供給部51は従来周知の構成であり、詳細な説明を省略する。筒状体供給部51は、折り畳まれた筒状体101を1つずつ容器搬送部50に供給する。
容器搬送部50は筒状体供給部51から供給された折り畳まれた状態の筒状体101を立ち起こし部52に送る。立ち起こし部52は、搬送された折り畳まれた状態の筒状体101(図10参照)を立ち起こし、立体形状の筒状体101(図4等参照)とする。立ち起こし部52も従来周知の構成であるため、詳細な説明を省略する。立ち起こし部52は、筒状体101の上部が搬送方向下流側(前方側)となるように筒状体101を立ち起こし、第1搬送部501にて、底部組立部53に搬送される。
(5.3 底部組立部53)
底部組立部53は、筒状体101の下端部を折曲するとともに、熱接着して底部40を組み立てる。図7、図8に示すように、底部組立部53は、6個のマンドレル530と、ターレット531と、第1次加熱ヒータ532と、第2次加熱ヒータ533と、型付け部534と、押圧部535とを備える。第1次加熱ヒータ532、第2次加熱ヒータ533、型付け部534および押圧部535は、それぞれ、中心角度60度間隔で順に配置される。
図7に示すとおり、ターレット531は、正面視において正六角形状である。図7に示す底部組立部53において、ターレット531は、反対側に向いた一組の辺が水平となるように配置される。そして、マンドレル530が、ターレット531の各辺から径方向外側に突出する。なお、第1搬送部501から搬送された筒状体101は、図7に示す底部組立部53の右下方に延びるマンドレル530を外嵌する。
ターレット531は、第2搬送部502の上部に配置され、搬送方向と直交する方向に延びる中心軸周りに回転可能である。ターレット531は、主制御部80からの指示に従って動作する。なお、図7中に示す底部組立部53において、ターレット531は、一定期間経過するごとに(一定周期で)反時計回り方向に60度回転する。
第1搬送部501で搬送された筒状体101は、図7における底部組立部53における右下のマンドレル530に外嵌される。そして、ターレット531が回転する毎に、筒状体101が外嵌したマンドレル530の径方向外縁は、第1次加熱ヒータ532、第2次加熱ヒータ533、型付け部534および押圧部535と順に径方向に対向する。次に、底部組立部53の各工程部について説明する。
(5.3.1 第1次加熱ヒータ532、第2次加熱ヒータ533)
図11は、加熱ヒータ532(533)で筒状体101の下端部を加熱する状態を示す概略斜視図である。第1次加熱ヒータ532および第2次加熱ヒータ533は、基本構成が同じであり、図11では、加熱ヒータ532(533)として示す。また、図11では、筒状体101の上下方向を基準として、加熱ヒータ532(533)を示している。実際の底部組立部53において第1次加熱ヒータ532および第2次加熱ヒータ533はマンドレル530と径方向に対向するように配置される。
図11に示すように、底部組立部53では、筒状体101の下端部を加熱ヒータ532(533)で加熱する。加熱ヒータ532(533)は、内部に熱風を通すための通気孔(不図示)を備える。そして、加熱ヒータ532(533)の筒状体101の内部に挿入される側の先端には、外方に向かって熱風を吹出すための吹出し孔5321(5331)が複数備えられる。加熱ヒータ532(533)に備えられる通気孔を通って供給された熱風は、吹出し孔5321(5331)から吹き出される。
加熱を行うとき、加熱ヒータ532(533)の先端が、筒状体101の下端部に挿入される。そして、熱風を供給することで、筒状体101の内面に熱風が吹き付けられる。これにより、筒状体101の下端部の内面が加熱される。そして、加熱が終了した後に、加熱ヒータ532(533)を筒状体101の下端部から引き抜く。
底部組立部53において、筒状体101の急激な温度上昇を抑制するため、ターレット531を60度回転させるごとに、筒状体101の底部を第1次加熱ヒータ532で予熱し、第2次加熱ヒータ533で本加熱する。なお、温度変化が許容範囲内である場合、1回の工程で加熱を完了するようにしてもよい。また、3回以上に分けて加熱を行うようにしてもよい。
加熱ヒータ532(533)による加熱は、外面接着層71および内面接着層76を熱接着可能な温度に昇温させる。
(5.3.2 型付け部534、押圧部535)
図12は、型付けされた筒状体の底部の下方から見た概略斜視図である。図13は、底部の折曲状態を下方から見た概略斜視図である。図14は、底部の押圧状態を示す概略斜視図である。型付け部534は、筒状体101の下端部に外部から力を付与して、折り線90で折曲して、折り型をつける(図12参照)。型付け部534は、後底壁板部41を前底壁板部43の外側に配置するとともに、前底壁板部43の下端部を折り曲げて平坦になる方向に折り曲げる(図13参照)。このとき、右底連結板部42および左底連結板部44が内側に折り込まれて三角パネル部46、47が内側に折り曲げられる。
型付け部534で筒状体101の底部に型付けを行った後、ターレット531を60度回転することで、マンドレル530は押圧部535と径方向に対向する。図14に示すように、押圧部535は、径方向に対向するマンドレル530とで折り曲げられた底部40を挟む。折り曲げられた底部40は押圧部535とマンドレル530とで押圧される。これにより、底部40の後底壁板部41、前底壁板部43、右底連結板部42および左底連結板部44は、熱接着される。このとき、三角パネル部46、47の頂点が左右対向する(図5参照)。
底部40を熱接着した後に、ターレット531をさらに60度回転させることで、筒状体101を鉛直状態とすることができる。この状態で、筒状体101を下方に移動させる。これにより、筒状体101は、第2搬送部502に起立した状態で配置される。筒状体101は前面板13が前方に向くように第2搬送部502に配置される。
なお、本実施形態の充填装置5において、底部組立部53は、上下方向に回転するターレット531にマンドレル530が放射状に取り付けられた構成を有している。しかしながら、これに限定されず、マンドレル530が水平方向に回転する構成であってもよい。マンドレル530の回転方向以外は、図7に示す底部組立部53と同じ構成である。
(5.4 底部検査部601)
紙容器1では熱接着により接着される部分に接着不良があると、接着不良の部分から液体の収容物が漏れる場合がある。そのため、充填装置5では、漏れが発生する虞がある部分のシール状態(密封性)を検査する構成を備えている。まず、底部組立部53にて組み立てられた底部40のシール状態を検査する底部検査部601について説明する。
図15は、底部検査部601の概略構成を示す斜視図である。底部検査部601は、底部検査装置61を備える。底部検査装置61は、第2搬送部502の上部に配置されて、筒状体101の上部の開口から、底部40の内面を撮像する撮像部611と、撮像部611で撮像した画像に対して画像処理を施すとともに良品であるか不良品であるかを判別する処理部612(図8参照)と、を備える。撮像部611は、筒状体101が停止したときに筒状体101の直上となる位置に配置される。処理部612は、画像データの処理を行うことができる演算装置を備えている。
図5に示すように、底部組立部53で組み立てられた底部40は、左右に三角パネル部46、47が配置される。このとき、折り線90の位置がずれていたり、折り曲げ、接着が不十分であると、三角パネル部46、47の形状が変化する。そこで、撮像部611で、筒状体101の底部40を撮像する。そして、処理部612で撮像データに対して画像処理を施し、三角パネル部46、47の形状に基づいて底部が良品であるか不良品であるか判別する。
撮像部611は、筒状体101の底部40の内面を撮像し、撮像データを生成する、撮像素子を備える。撮像部611としては、例えば、デジタルカメラを含む構成を挙げることができる。撮像部611で撮像された底部40の撮像データは、処理部612に送られる。処理部612にて、三角パネル部46、47を認識する。そして、処理部612は、認識された三角パネル部46、47の形状に基づいて、良品であるか不良品であるかを判別する。なお、良品であるか不良品であるかの判別を処理部612で行う構成としているが、これに限定されない。例えば、処理部612で処理された後のデータに基づいて、主制御部80が良品と不良品とを判別するようにしてもよい。
上述したとおり、底部検査部601は、底部40の撮像データに基づいて、底部40のシール状態を検査している。そのため、筒状体101の内部には、内容物が充填されていない方がよい。そのため、底部検査部601は、搬送方向において充填部55よりも前に配置される。
(5.5 注出部材取付部54)
図16は、筒状体101への注出部材3の取り付けを行っている状態の斜視図である。図17は、筒状体101に注出部材3を熱接着を行っている状態の斜視図である。図7、図8に示すように、注出部材取付部54は、注出部材供給部541と、超音波照射器542と、当て部材543と、リフト544とを備える。
図7に示すように、注出部材供給部541は、筒状体101の上部の開口から注出部材3を筒状体101の挿通孔232に取り付ける。注出部材3は、管部31が挿通孔232を貫通して外部に突出する。このとき、フランジ部32が筒状体101の内面に当接する。フランジ部32が筒状体101の内部と当接することで、注出部材3を筒状体101に位置決めできる。
注出部材3が取り付けられた後、筒状体101は、リフト544によって上方に持ち上げられる。これにより、筒状体101の内部に当て部材543が挿入される。当て部材543は、板状の部材である。当て部材543が筒状体101の内部にあるとき、当て部材543は、フランジ部32の内面と当接する。超音波照射器542は、リフト544が所定の高さまで筒状体101を持ち上げた後、前側から注出部材3に接近する。
超音波照射器542は、内部に空間を有する筒形状である。超音波照射器542は、軸方向の端部から超音波を出射する。管部31の挿通孔232から突出した部分が、超音波照射器542の内部空間に収納される。このとき、超音波照射器542の先端は、第1上板部131のフランジ部32に面した部分の外面と接触する。超音波照射器542から超音波を照射することで第1上板部131と接触している部分には超音波による振動と加圧力が作用する。超音波による振動と加圧力により、第1上板部131の内面接着層76とフランジ部32とが熱接着される。超音波を用いた熱溶着は従来周知の技術であり、詳細は省略する。
(5.6 注出部材検査部602)
上述のとおり、注出部材3と第1上板部131とは超音波によって加熱、加圧されて熱接着される。熱接着では、熱接着が行われたときの温度によって、接着の強度、すなわち、シール状態が変化する。注出部材検査部602は、この熱接着時の温度に基づいて、シール状態の検査を行う。
図18は、注出部材検査部602の概略構成を示す斜視図である。注出部材検査部602は、注出部材検査装置62を備える。注出部材検査装置62は、注出部温度検知部621と、処理部622(図8参照)と、を備える。注出部温度検知部621は、第2搬送部502の前面側に配置される。そして、注出部温度検知部621は、第1上板部131のフランジ部32と面する部分の外面の周囲の検知領域Acの温度を検知する。
注出部温度検知部621は、例えば、サーマルカメラであり、検知領域Acの温度分布を画像データとして取得する。そして、その画像データを処理部622に送る。処理部622は、画像データの処理を行うことができる演算装置を備えている。処理部622は、温度分布の画像データに対して画像処理を行い、画像処理の結果に基づいて、良品であるか不良品であるかを判別する。温度分布に基づく良品と不良品との判別方法としては、例えば、所定の下限温度以上の領域の検知領域Acにおける面積比率が所定値よりも大きい場合に良品とする。良品と不良品との判別の詳細については、後述する。
なお、本実施形態では、注出部材検査装置62では、注出部温度検知部621として、サーマルカメラを備えた構成としているが、これに限定されない。例えば、検知領域Ac内の複数の代表点の温度を検知し、その温度に基づいて、良品と不良品とを判別するようにしてもよい。また、注出部材検査装置62において、処理部622が、良品であるか不良品であるかの判別を行うが、これに限定されない。例えば、処理部622で処理された後のデータに基づいて、主制御部80で良品と不良品とを判別するようにしてもよい。
(5.7 充填部55)
充填部55は、底部40が組み立てられた筒状体101に液状の内容物を充填する。図7に示すとおり、充填部55は、洗浄殺菌部551と、乾燥部552と、型付け部553と、注出部554と、リフト部555と、タンク556と、を備える。
(5.7.1 洗浄殺菌部551、乾燥部552)
洗浄殺菌部551は、筒状体101の上部の開口から洗浄・殺菌作用を有する液剤を噴霧する。これにより、筒状体101の内面の洗浄、殺菌を行う。液剤を噴霧する構成とすることで、筒状体101の内面に液剤をいきわたらせることが可能である。なお、洗浄・殺菌作用を有する液剤は、1剤であってもよいし、複数の液剤を組み合わせたものであってもよい。
乾燥部552は、洗浄殺菌部551で噴霧した液剤を取り除く。乾燥部552は、例えば、液体を吹き飛ばすエアーを吹き付けるノズルと、乾燥した高温の空気を吹き付けるノズルと、筒状体101を冷却する低温の空気を吹き付けるノズルを備えたものとすることができるが、これに限定されない。洗浄殺菌部551で吹き付けた液剤を乾燥させることができる構造を広く採用できる。
例えば、充填部55が設置される場所が清浄である場合、洗浄殺菌は不要である。そのため、充填部55において、洗浄殺菌部551および乾燥部552は、必要に応じて設けられるようにしてもよい。すなわち、充填部55では、洗浄殺菌部551および乾燥部552を、省略してもよい。
(5.7.2 型付け部553)
図19は、型付けされた筒状体101の上端部を示す斜視図である。筒状体101を折曲するときには、筒状体101にある程度強い力が作用する。内部に内容物が充填されている状態で、傾斜屋根部20を形成するために筒状体101の上端の型付けを行うための折曲を行うと、型折りによる力で内容物がこぼれる虞がある。そのため、型付け部553は、注出部554の前段に配置される。
型付け部553によって、筒状体101の上端部は、折り線90に沿って折曲される。型付け部553は、傾斜屋根部20の組み立てを容易にするために、予め折り線90に沿って、型付けを行うものである。図19に示すように、第1上板部111および第1上板部131は互いの上端部に連設された後上端部211および前上端部231が接近するように、内側に折り曲げられる。これと同時に、第2上板部121および第2上板部141では、互いの上端部に連設された右上端部221および左上端部241が二つ折りされるとともに、後上端部211および前上端部231の間に挟まれるように内側に折り曲げられる。なお、型付け部553の構成については、従来公知であるため、詳細は省略する。
(5.7.2 注出部554、リフト部555、タンク556)
図20は、充填部55で筒状体101に内容物を充填している状態を示す斜視図である。型付け部553の後段には、リフト部555が配置される。リフト部555で筒状体101を持ち上げることで、筒状体101の上部の開口に注出部554の先端を挿入することができる。注出部554は、下方に開口したノズルであり、上部に配置されたタンク556に接続される。タンク556から注出部554に流入する部分には、不図示のバルブが設けられている。主制御部80は、バルブを制御することで内容物を注出部554から筒状体101に注出する。
充填部55は、以上の動作によって、筒状体101に内容物を充填する。なお、詳細は後述するが、底部検査装置61または注出部材検査装置62で不良品と判別された筒状体101には、内容物を充填しない。充填部55による内容物の充填を行うか否かは、主制御部80からの指示によって決定される。このとき、不良品と判別された筒状体101が搬送されたときには、注出部554およびリフト部555が動作しないようにしてもよいし、注出部554だけ動作しないようにしてもよい。
なお、内容物の量が少ない、内容物の粘度が高い等、筒状体101が多少動いてもこぼれにくい場合、型付け部553は、注出部554よりも後に配置してもよい。この場合、型付け部553は、頂部組立部56の一部とすることも可能である。
(5.8 頂部組立部56)
頂部組立部56は、筒状体101の上端を折曲して頂部25を熱接着し、傾斜屋根部20を形成する。図7および図8に示すように、頂部組立部56は、第1次加熱ヒータ561と、第2次加熱ヒータ562と、頂部検査装置63と、第1次押圧部563と、第2次押圧部564と、を備える。
(5.8.1 第1次加熱ヒータ561、第2次加熱ヒータ562)
図21は、加熱ヒータ561(562)で筒状体101の上端部を加熱する状態を示す拡大斜視図である。第1次加熱ヒータ561および第2次加熱ヒータ562は、基本構成が同じであり、図21では、加熱ヒータ561(562)としてまとめて示す。
図21に示すように、頂部組立部56では、筒状体101の上端部を加熱ヒータ561(562)で加熱する。なお、加熱ヒータ561(562)は、充填部55で型付けされた筒状体101の上端部を加熱する。そのため、加熱ヒータ561(562)の下端部は、筒状体101の上端部の型付け形状にあわせて一部が凹んだ形状となっている。
そして、加熱ヒータ561(562)の下端部には、内部に熱風を通すための通気孔(不図示)を備える。そして、加熱ヒータ561(562)の上端側の先端には、外方に向かって熱風を吹出すための吹出し孔5611(5621)が複数備えられる。加熱ヒータ561(562)に備えられる通気孔を通って供給された熱風は、吹出し孔5611(5621)から吹き出される。
加熱ヒータ561(562)の先端は、筒状体101の上端部に挿入される。この状態で熱風が供給されることで、筒状体101の上端部の内面が加熱される。そして、加熱が終了した後に、加熱ヒータ561(562)を筒状体101の上端部から引き抜く。
頂部組立部56において、筒状体101の急激な温度上昇を抑制するため、第1次加熱ヒータ561で予熱し、第2次加熱ヒータ562で本加熱する。なお、温度変化が許容範囲内である場合、1回の工程で加熱を完了するようにしてもよい。また、3回以上に分けて加熱を行うようにしてもよい。
頂部組立部56では、第2次加熱ヒータ562で加熱した後、第1次押圧部563で加圧する前に頂部検査装置63で頂部25のシール状態の検査を行う。
(5.8.2 頂部検査装置63)
頂部25のシール状態は、熱接着を行うときの頂部25の温度によって判断することができる。頂部検査装置63は、このことを利用している。図22は、頂部検査装置63の概略構成を示す斜視図である。頂部検査装置63は、頂部温度検知部631と、処理部632(図8参照)と、を備える。頂部温度検知部631は、第2搬送部502を挟んで前後に対をなして配置される。頂部温度検知部631は、第2搬送部502における所定位置の筒状体101の第1上板部111および131の上端部分(後上端部211および231)の温度を検知する。
さらに詳しく説明すると、第2搬送部502の前側に配置される頂部温度検知部631は後上端部211の温度を検知する。第2搬送部502の後側に配置される頂部温度検知部631は前上端部231の温度を検知する。温度を検知する部分をこのように決めることで、第1次加熱ヒータ561および第2次加熱ヒータ562から熱風が吹き付けられた、筒状体101の内面の温度を検知できる。
頂部温度検知部631は、例えば、サーマルカメラであり、後上端部211および前上端部231の温度分布を画像データとして取得する。そして、その画像データを処理部632に送る。処理部632は、画像データの処理を行うことができる演算装置を備えている。処理部632は、温度分布の画像データに対して画像処理を行い、画像処理の結果に基づいて、良品であるか不良品であるかを判別する。温度分布に基づく良品と不良品との判別方法としては、例えば、所定の下限温度以上の領域の検知領域における面積比率が所定値よりも大きい場合に良品とする。良品と不良品との判別の詳細については、後述する。
なお、本実施形態では、頂部温度検知部631として、サーマルカメラを備えた構成としているが、これに限定されない。例えば、後上端部211および前上端部231の複数の代表点の温度を検知し、その温度に基づいて、良品と不良品とを判別するようにしてもよい。
また、本実施形態の頂部検査装置63では、後上端部211および前上端部231、すなわち、第1上板部111および第1上板部131の一部の温度を検知しているが、これに限定されない。例えば、第1上板部111、131の他の部分(後傾斜天板部21、前傾斜天板部23)の温度を検知してもよい。また、第2上板部121および第2上板部141の一部(例えば、右上端部221および左上端部241)の温度を検知するようにしてもよい。
(5.8.3 第1次押圧部563、第2次押圧部564)
加熱された後上端部211および前上端部231が加圧されることで熱接着されて、頂部25が形成される。頂部組立部56では、第1次押圧部563および第2次押圧部564で2回押圧することで熱接着の確実性を高め、頂部25の密着性を高めている。
まず、第1次押圧部563について説明する。図23は、第1次押圧部563に筒状体101が搬送されてきた状態を示す拡大斜視図である。図23に示すように、第1次押圧部563は、前後に接近離間できる一対のプレス部5631を備えている。第1次押圧部563は、プレス部5631で、後上端部211および前上端部231を前後に挟むとともに押圧することで、熱接着を行う。
そのため、第1次押圧部563に筒状体101が搬送されてきたとき、筒状体101の上端部(後上端部211および前上端部231)は、一対のプレス部5631の間に収まる。すなわち、一対のプレス部5631の対向する面同士の隙間W1は、後上端部211および前上端部231の前後方向の距離よりも大きい。
そして、一対のプレス部5631が接近する。このとき、一対のプレス部5631によって後上端部211および前上端部231が押されて、突き合せられる。筒状体101の上端部が型付けされているため、右上端部221および左上端部241は二つ折りされた状態で、後上端部211と前上端部231との間に挟まれる。そして、一対のプレス部5631による押圧によって、後上端部211と前上端部231の内面接着層76同士、右上端部221と左上端部241の外面接着層71同士、後上端部211の内面接着層76と右上端部221および左上端部241の外面接着層71、前上端部231の内面接着層76と右上端部221および左上端部241の外面接着層71がそれぞれ熱接着される。これにより、頂部25が熱接着される。
第1次押圧部563による押圧では頂部25が十分にシールされない場合がある。そのため、第2次押圧部564で頂部25を再度押圧している。これにより、頂部25のシール状態をさらに高める。図24は、第2次押圧部564に筒状体101が搬送されてきた状態を示す拡大斜視図である。
第2次押圧部564は、第1次押圧部563と同様、一対のプレス部5641を備える。第2次押圧部564に搬送される筒状体101では、第1次押圧部563によって頂部25が一度熱接着されている。そのため、第2次押圧部564の一対のプレス部5641の間の隙間W2は、頂部25が通過できる幅であればよい。
隙間W2は、隙間W1よりも狭い。また、隙間W2を隙間W1よりも狭くすることで、プレス部5641の移動距離を短くできる。プレス部5641の移動距離を短くできることで、駆動部を簡略化でき、装置の簡略化が可能である。また、移動距離を短くすることで消費エネルギを減らすことができる。
一対のプレス部5641によって後上端部211および前上端部231が押す。これにより、頂部25がより確実に熱接着される。
以上のように、頂部25が熱接着されることで、胴部10の上部が傾斜屋根部20によって塞がれて、紙容器1が形成される。詳細は後述するが、充填装置5では、底部検査装置61、注出部材検査装置62および頂部検査装置63の少なくとも一つで不良品と判別された場合であっても頂部25の熱接着を実行する。そのため、容器搬送部50で搬送される筒状体101が良品であっても不良品であっても、第2次押圧部564の隙間W2のプレス部5641の間を通過できる。
(5.9 選別部57、受け容器58)
頂部組立部56で傾斜屋根部20が組み立てられた紙容器1は、選別部57に搬送される。図25は、選別部57の概略斜視図である。図25に示すように、選別部57は、選別バー571を備える。
第2搬送部502は、紙容器1が選別部57に到達する前に、押え体504による搬送が終了し、底部40だけを支持する構成に切り替わる。底部40だけを支持する構成としては、平ベルトを備えたベルトコンベアを挙げることができるがこれに限定されない。選別バー571の駆動によって、紙容器1を搬送方向と交差する方向に移動させることができる構成を広く採用できる。
図25に示すように、選別バー571は、第2搬送部502の後側に上端が手前に回動可能なように配置される。選別バー571は、起立した退避位置P1と、容器搬送部50と直交した選別位置P2とに回動する。選別バー571は、搬送方向下流側に向かうほど外側に傾斜した傾斜面を有する。選別バー571が選別位置P2にある状態で、第2搬送部502が紙容器1を搬送させることで、紙容器1は第2搬送部502から前側にずれ、第2搬送部502から落下する。なお、選別部57は、この構成に限定されるものではなく、例えば、紙容器1自体を押す構成であってもよい。選別部57は、紙容器1を搬送部50から外部に排出することができる構成を広く採用できる。
選別部57は、主制御部80からの指示に従って、選別バー571を動作させる。具体的には、良品の紙容器1が搬送されてきたときには、選別バー571を退避位置P1に移動させて、紙容器1を第2搬送部502の最後まで搬送し、製品として出荷する。また、不良品の紙容器1が搬送されてきたときには、選別バー571を選別位置P2に移動させて、紙容器1を第2搬送部502から受け容器58に排出させる。受け容器58は、選別バー571によって第2搬送部502から排出された紙容器1を受ける容器である。
なお、受け容器58に向けて落下される紙容器1は、内容物が充填されている場合がある。そのため、受け容器58は、内容物の漏れが抑制された容器が用いられる。なお、再利用が可能な内容物の場合、受け容器58に落下された紙容器1の内部の内容物を再利用するための構成を備えていてもよい。
本実施形態の充填装置5では、底部検査装置61、注出部材検査装置62および頂部検査装置63がそれぞれ処理部612、622、632を備えているが、これに限定されない。たとえば、主制御部80に接続された不図示の処理装置を利用して、画像処理及び良品、不良品の判別処理を行うようにしてもよい。この場合、処理部は、主制御部80と別体であってもよいし、主制御部80と少なくとも一部を共用していてもよい。また、主制御部80が、記憶部64に記憶されたプログラムの実行することで、処理部として動作する構成であってもよい。また、サーモカメラによる画像を取得する注出部材検査装置62および頂部検査装置63は、共用の画像処理部を利用し、光学画像データを用いる底部検査装置61は、専用の画像処理部を利用するようにしてもよい。
(6.充填装置5の動作)
充填装置5は、以上のような構成を有している。次に、充填装置5による、紙容器1の良品、不良品の判別及び選別を行う手順について新たな図面を参照して説明する。図26は、充填装置5の動作を示すフローチャートである。図26に示すフローチャートは、搬送される筒状体101および紙容器1の順に各工程部の動作を説明している。実際には、容器搬送部50は、定期的に動作しているため、各工程部は、定期的に動作している。
図26に示すように、充填装置5の駆動が開始されると、主制御部80は、容器搬送部50を駆動する。そして、主制御部80は、筒状体供給部51から折り畳まれた筒状体101を1つずつ第1搬送部501に供給する(ステップS101)。なお、主制御部80は、供給される筒状体101を個別に認識しており、各個体の容器搬送部50内での位置を把握している。そして、立ち起こし部52は、主制御部80からの指示に従って搬送されてきた折り畳まれた筒状体101を立ち起こす(ステップS102)。
立ち起こされた筒状体101は、底部組立部53に送られて、マンドレル530に外嵌される。なお、筒状体101のマンドレル530への外嵌は、第1搬送部501による搬送によって自動的に行われてもよいし、搬送された筒状体101をマンドレル530に取り付ける取付装置を備えていてもよい。本実施形態の充填装置5では、筒状体101がマンドレル530に自動的に外嵌されるようになっている。
主制御部80は、底部組立部53の各工程部を動作させ、筒状体101の底部40を組み立てる(ステップS103)。底部40が組み立てられた筒状体101は、底部組立部53から第2搬送部502に受け渡される。そして、筒状体101が、第2搬送部502で底部検査部601に搬送されると、主制御部80は、底部検査部601で底部40の検査を行う(ステップS104)。
ここで、底部検査部601に備えられた底部検査装置61による筒状体101の底部40の検査の詳細について図面を参照して説明する。図27は、底部検査装置61の撮像部611で底部40を撮像した撮像データPtを示す図である。図28は、底部検査装置61で行われる底部40のシール状態の検査工程のフローチャートである。
図28に示すように、底部検査装置61は、主制御部80からの指示に基づき、撮像部611で筒状体101の上部の開口から底部40の内面を撮像し、撮像データPt(図7参照)を取得する(ステップS201)。処理部612は、画像処理として、撮像データPtにおける、三角パネル部46の1つの辺Sd1を検出する(ステップS202)。また、同様に、処理部612は、三角パネル部46のもう1つの辺Sd2を検出する(ステップS203)。辺Sd1、Sd2の検出方法としては、例えば、エッジ検出等の従来周知の方法によって検出されるが、これに限定されない。撮像データPtにおける辺Sd1、Sd2を正確に検出できる方法を広く採用することができる。そして、処理部612は、辺Sd1および辺Sd2から三角パネル部46の頂点Tp1を検出する(ステップS204)。
撮像データPtにおいて、辺Sd1、Sd2は、例えば、撮像データPtに座標軸を設定し、その設定した座標軸における直線として検出する。そして、辺Sd1、Sd2を示す直線の式に基づいて頂点Tp1を検出する。頂点Tp1としては、座標を検出するものを挙げることができる。
また、処理部612は、撮像データPtにおいて三角パネル部47についても、同様の処理を行う。すなわち、辺Sd3の検出(ステップS205)、辺Sd4の検出(ステップS206)および頂点Tp2の検出(ステップS207)を行う。そして、処理部612は、頂点Tp1と頂点Tp2の距離Lgtを取得する(ステップS208)。
ここで、底部40の気密性(良品、不良品)の判別について説明する。筒状体101の底部40は、図12、13に示すように、折り線90に沿って折り曲げることで、組み立てられる。例えば、ブランク板100において、折り線90の位置がずれていたり、筒状体101がマンドレル530の所定の位置に外嵌されていない場合がある。このような場合において、上述した底部組立部53で底部40を組み立てると、底部40の折り込み状態が設計状態と異なり、これにより、熱溶着が不十分な場所が発生する場合がある。
本発明の発明者は、鋭意研究の結果、底部40を適切に折り曲げて十分に熱接着を行った場合、頂点間距離Lgtが一定の範囲内に収まるとの知見を得た。そこで、本実施形態の底部検査装置61では、この知見を利用している。すなわち、処理部612は、頂点間距離Lgtが所定の下限値Lg1よりも大きいか否か確認する(ステップS209)。頂点間距離Lgtが下限値Lg1以下の場合(ステップS209でNoの場合)、処理部612は、筒状体101が不良品と判別する(ステップS212)。
頂点間距離Lgtが下限値Lg1よりも大きい場合(ステップS209でYesの場合)、処理部612は、頂点間距離Lgtが上限値Lg2よりも小さいか否か確認する(ステップS210)。頂点間距離Lgtが上限値Lg2以上の場合(ステップS210でNoの場合)、処理部612は、筒状体101が不良品と判別する(ステップS212)。また、頂点間距離Lgtが上限値Lg2よりも小さい場合(ステップS210でYesの場合)、処理部612は、筒状体101が良品と判別する(ステップS211)。
以上のようにして、底部検査装置61は、底部40を検査し、筒状体101が良品であるか不良品であるか判別する。処理部612は、良品であるか不良品であるかの判別結果を主制御部80に送る。主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、良品であるか不良品であるかの情報を関連付けて、記憶部64に記憶する。
なお、頂点間距離の下限値Lg1および上限値Lg2は、経験的に、例えば、これまでの結果に基づいて実験的に求められてもよいし、何らかの演算式等を用いて理論的に求められてもよい。
また、底部検査装置61による底部の検査方法として、三角パネル部46、47の頂点間距離Lgtに基づいて良品、不良品を判別している。しかしながら、これに限定されない。例えば、頂点の相対位置(軸方向のずれ)、各辺の傾き等を利用してもよい。また、これらを組み合あせて行ってもよい。
図26のフローチャートに戻り、充填装置5の動作説明を再開する。上述のように、底部の検査の結果、良品であるか不良品であるかの情報に基づき、主制御部80は、筒状体101に対する次の工程を決定する(ステップS105)。
筒状体101が良品の場合(ステップS105でYesの場合)、主制御部80は注出部材取付部54を駆動して、注出部材3の取り付けを行う(ステップS106)。筒状体101が不良品の場合(ステップS105でNoの場合)、詳細は後述するが、頂部組立部56における型付けを行う(ステップS117に移動する)。
充填装置5では、底部検査部601で不良品と判別された筒状体101であっても、選別部57まで良品と同じルートで容器搬送部50(第2搬送部502)によって搬送される。そのため、不良品と判別された筒状体101も、容器搬送部50の注出部材取付部54が配置されている領域を通過する。上述したとおり、主制御部80は、筒状体101の個体を良品、不良品の情報と共に識別している。そのため、主制御部80は、注出部材取付部54に搬送された筒状体101が良品であるか、不良品であるかの情報を所持している。
主制御部80は、良品の筒状体101が搬送されたときには、注出部材3を取り付ける動作を注出部材取付部54に指示を送り、不良品の筒状体101が搬送されたときには、注出部材取付部54を素通りするように、注出部材取付部54に指示を送る。以下、充填部55において、良品または不良品に対する動作も、同様に行われるものとする。
そして、注出部材取付部54で注出部材3が取り付けられた(ステップS106の)後、主制御部80は、注出部材検査部602の注出部材検査装置62に注出部材3の検査を実行させる(ステップS107)。
ここで、注出部材検査部602に備えられた注出部材検査装置62による注出部材3の密着性の検査の詳細について図面を参照して説明する。図29は、良品と判断される筒状体101の注出部材が取り付けられている部分の温度に基づく温度分布図である。図30は、不良品と判断される筒状体101の注出部材が取り付けられている部分の温度に基づく温度分布図である。図31は、注出部材検査装置62で行われる注出部材3のシール状態の検査工程のフローチャートである。
上述のとおり、注出部材3は、フランジ部32と第1上板部131との熱接着によって固定される。そのシール状態は、熱接着時の温度に左右される。例えば、超音波照射器542が正常に動作した場合、熱接着が精度よく行われる。このとき、熱接着時の温度は高くなる。一方で、第1上板部131およびフランジ部32の間の不純物の介在、超音波照射器542のずれ等によって接触が不十分であったりすると、第1上板部131とフランジ部32との温度が上昇しにくく熱接着が不十分になる虞がある。
そして、熱接着時の温度は、所定の温度(ここでは、下限温度Tc1とする)以上であればよく、下限温度Tc1よりも高い部分が大きいほど、密着性が高くなる。すなわち、注出部材3を熱接着するときに接着する部分の外面温度Tcが下限温度Tc1よりも高い部分の面積が一定以上であることが好ましい。
そこで、注出部材検査装置62は、注出部温度検知部621(サーモカメラ)を駆動して、第1上板部131のフランジ部32と面する部分を検知領域Acとし外面温度Tcの温度分布の画像データTccを取得する(ステップS301)。処理部622は、検知領域Acの面積Scを取得する(ステップS302)。第1上板部131とフランジ部32とが接着されるため、処理部622は、検知領域Acとして、第1上板部131のフランジ部32と面する部分としている。
そして、処理部622は、検知領域Acにおける外面温度Tcが下限温度Tc1よりも高い第1領域Ac1を認識し、その面積Sc1を取得する(ステップS303)。そして、処理部622は、検知領域Acにおける第1領域Ac1の面積比率Rc1(Sc1/Sc)を算出する(ステップS304)。そして、面積比率Rc1と閾値Rcth比較して、面積比率Rc1が閾値Rcthよりも大きいか否か確認する(ステップS305)。面積比率Rc1が閾値Rcthよりも大きい場合(ステップS305でYesの場合)、処理部622は、筒状体101が良品であると判別する(ステップS306)。また、面積比率Rc1が閾値Rcth以下の場合(ステップS305でNoの場合)、処理部622は、筒状体101が不良品であると判別する(ステップS307)。
例えば、図29に示すように、検知領域Acにおける第1領域Ac1の面積が大きい場合、処理部622は良品と判断する。また、図30に示すように、検知領域Acにおける第1領域Ac1の面積が小さい場合、処理部622は不良品と判別する。
以上のようにして、注出部材検査装置62は、注出部材3が取り付けられている部分を検査し、筒状体101が良品であるか不良品であるか判別する。なお、処理部622は、良品であるか不良品であるかの判別結果を主制御部80に送る。主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、良品であるか不良品であるかの情報を関連付けて、記憶部64に記憶する。
なお、下限温度Tc1は、第1上板部131の外面の温度の下限値であり、熱接着部分の界面の温度とは異なる。そして、下限温度Tc1は、注出部材3を構成する樹脂およびブランク板100の内面接着層76の材質によって決まる。また、面積の閾値Rcthは、経験的に、例えば、これまでの結果に基づいて実験的に求められてもよいし、何らかの演算式を用いて解析的に求められてもよい。
(第1変形例)
注出部材検査装置62の他の例について図面を参照して説明する。図32は、不良品と判断される筒状体101の注出部材が取り付けられている部分の温度に基づく温度分布図である。図33は、注出部材検査装置62で行われる注出部材3のシール状態の検査工程のフローチャートである。なお、図33に示すフローチャートは、ステップS301とステップS302の間にステップS3011が挿入されているだけであり、それ以外は、図31に示すフローチャートと同じである。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
第1上板部131と注出部材3とは、熱接着にて固定される。熱接着では、接着される両部材の温度が一定の温度範囲であることが重要である。すなわち、上述したように下限温度よりも高いことが要求される。一方で、所定の温度よりも高くなると樹脂が変質してしまい、熱接着が不十分になる。そこで、本変形例では、検知領域Acの外面温度Tcに上限温度Tc2以上の部分がある場合、上述の面積比率にかかわらず、不良品であると判断する。
例えば、図32に示す温度分布の画像データTccでは、検知領域Acにおいて、温度分布の画像データTccには、外面温度Tcが上限温度Tc2よりも高い第2領域Ac2が含まれる。そのため、処理部622は、筒状体101を不良品と判別する。
図33に示すように、処理部622は、ステップS301で取得した温度分布の画像データTccから、外面温度Tcが上限温度Tc2以上の第2領域Ac2があるかいない確認する(ステップS3011)。第2領域Ac2がある場合(ステップS3011でYesの場合)、処理部622は、筒状体101が不良品であると判別する(ステップS307)。また、第2領域Ac2が無い場合(ステップS3011でNoの場合)、ステップS302に進み、検知領域Acの面積を取得する。
このような構成とすることで、注出部材3のシール状態をより精度よく検査することが可能である。
なお、上限温度Tc2は、第1上板部131の外面の温度の上限値であり、熱接着部分の界面の温度とは異なる。そして、上限温度Tc2は、注出部材3を構成する樹脂およびブランク板100の内面接着層76の材質によって決まる。
(第2変形例)
上述の例では、単純に面積比率Rc1と閾値Rcthとを比較していた。フランジ部32を取り付ける場合、フランジ部32の外周部分と挿通孔232との間の接着が不十分な場合、内容物が漏れる虞がある。そこで、第1領域Ac1が、周方向に途切れて、フランジ部32の外周部分と挿通孔232とが繋がるような形状の場合、面積比率Rc1にかかわらず、筒状体101が不良品であると判断してもよい。
(第3変形例)
上述の例では、サーモカメラを用いて、第1上板部131のフランジ部32と面する部分の外面の温度分布の画像データを取得している。しかしながら、これに限定されない。例えば、検知領域Ac内の複数の点(例えば、20点)の外面温度Tcを検知し、外面温度Tcと下限温度Tc1および(または)上限温度Tc2と比較するようにしてもよい。このようにすることで、画像処理を減らすことができ、処理速度を速めることが可能である。
図26のフローチャートに戻り、充填装置5の動作説明を再開する。上述のように、注出部材の検査の結果、良品であるか不良品であるかの情報に基づき、主制御部80は、筒状体101に対する次の工程を決定する(ステップS108)。
筒状体101が良品の場合(ステップS108でYesの場合)、主制御部80は洗浄殺菌部551を駆動して筒状体101の内面に洗浄殺菌用の液剤を噴霧する(ステップS109)。これにより、筒状体101の内面の洗浄殺菌を行う。そして、主制御部80は、乾燥部552を駆動して、筒状体101の内部にエアー、熱風、冷風等を吹き付け、液剤を吹き飛ばし液剤を乾燥させて冷却を行う(ステップS110)。さらに、主制御部80は、型付け部553を駆動して、筒状体101の上端部の型付けを行う(ステップS111)。その後、主制御部80は、リフト部555および注出部554を駆動して、筒状体101の上部の開口から内容物を充填する(ステップS112)。
主制御部80は、内容物が充填された筒状体101の上端部に第1次加熱ヒータ561を挿入させて筒状体101の上端部の内面から第1次加熱する(ステップS113)。その後、主制御部80は、第2次加熱ヒータ562を挿入させて筒状体101の上端部の内面から第2次加熱する(ステップS114)。その後、主制御部80は、頂部検査装置63を動作させて筒状体101の上端部を検査する(ステップS115)。
ここで、頂部検査装置63による筒状体101の上端部の検査の詳細について図面を参照して説明する。図34は、良品と判断される筒状体101の上端部分の温度に基づく温度分布図である。図35は、不良品と判断される筒状体101の上端部分の温度に基づく温度分布図である。図36は、頂部検査装置63で行われる頂部25のシール状態の検査工程のフローチャートである。
上述のとおり、注出部材3は、フランジ部32と第1上板部131との熱接着によって固定される。頂部25は、後上端部211、右上端部221、前上端部231および左上端部241を熱接着して形成される。例えば、第1次加熱ヒータ561の吹出し孔5611および(または)第2次加熱ヒータ562の吹出し孔5621が塞がれている、注出部554から抽出された内容物の付着等で、後上端部211、右上端部221、前上端部231および左上端部241の温度がばらつく場合がある。
そして、後上端部211、右上端部221、前上端部231および左上端部241の熱接着時の温度は、所定の温度(ここでは、下限温度Tt1とする)以上であればよく、下限温度Tt1よりも高い部分が大きいほど、密着性が高くなる。さらに詳しく説明すると、頂部25の熱接着時に下限温度Tt1よりも高い部分の面積が一定以上であるが好ましい。なお、本実施形態では、頂部温度検知部631で、後上端部211および前上端部231の温度を検知しているが、ここでは、代表して後上端部211を検知領域Atとして説明する。
実際には、後上端部211および前上端部231で検知した各検知領域Atに対して、以下の手順で良品、不良品を判別し、両方良品と判断されたときに、頂部25が良品であると判別してもよい。また、2つの検知領域における下限温度Tt1よりも高い部分の総面積に基づいて良品、不良品を判別してもよい。
主制御部80は、頂部検査装置63の頂部温度検知部631(サーモカメラ)を駆動して、後上端部211の内面を検知領域Atとし温度Ttの温度分布の画像データTpcを取得する(ステップS401)。処理部632は、検知領域Atの面積Stを取得する(ステップS402)。
そして、処理部632は、検知領域Atにおける温度Ttが下限温度Tt1よりも高い第1領域At1を認識し、その面積St1を取得する(ステップS403)。そして、処理部632は、検知領域Atにおける第1領域At1の面積比率Rt1(St1/St)を算出する(ステップS404)。そして、面積比率Rt1と閾値Rtth比較して、面積比率Rt1が閾値Rtthよりも大きいか否か確認する(ステップS405)。面積比率Rt1が閾値Rtthよりも大きい場合(ステップS405でYesの場合)、処理部632は、筒状体101が良品であると判別する(ステップS406)。また、面積比率Rt1が閾値Rtth以下の場合(ステップS405でNoの場合)、処理部632は、筒状体101が不良品であると判別する(ステップS407)。
例えば、図34に示すように、検知領域Atにおける第1領域At1の面積が大きい場合、処理部632は良品と判断する。また、図35に示すように、検知領域Atにおける第1領域At1の面積が小さい場合、処理部632は不良品と判別する。
以上のようにして、頂部検査装置63は、頂部25を押圧する前に、頂部25のシール状態を検査して、良品か不良品かを判別する。処理部632は、良品であるか不良品であるかの判別結果を主制御部80に送る。主制御部80は、検査された筒状体101の個体識別情報と、良品であるか不良品であるかの情報を関連付けて、記憶部64に記憶する。
なお、下限温度Tt1は、ブランク板100の外面接着層71および内面接着層76の材質によって決まる。また、面積の閾値Rtthは、経験的に、例えば、これまでの結果に基づいて実験的に求められてもよいし、何らかの演算式を用いて解析的に求められてもよい。
(第1変形例)
頂部検査装置63の他の例について図面を参照して説明する。図37は、不良品と判断される筒状体101の注出部材が取り付けられている部分の温度に基づく温度分布図である。図38は、頂部検査装置63で行われる頂部25のシール状態の検査工程のフローチャートである。なお、図38に示すフローチャートは、ステップS401とステップS402の間にステップS4011が挿入されているだけであり、それ以外は、図36に示すフローチャートと同じである。そのため、実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
頂部25は熱接着される。熱接着では、接着される両部材の温度が一定の温度範囲であることが重要である。すなわち、上述したように下限温度よりも高いことが要求される。一方で、所定の温度よりも高くなると樹脂が変質してしまい、熱接着が不十分になる。そこで、本変形例では、検知領域Atの温度Ttに上限温度Tt2以上の部分がある場合、上述の面積比率にかかわらず、不良品であると判断する。
例えば、図37に示す温度分布の画像データTpcでは、検知領域Atにおいて、温度分布の画像データTpcには、温度Ttが上限温度Tt2よりも高い第2領域At2が含まれる。そのため、処理部632は、筒状体101を不良品と判別する。
図38に示すように、処理部632は、ステップS401で取得した温度分布の画像データTpcから、温度Ttが上限温度Tt2以上の第2領域At2があるかいない確認する(ステップS4011)。第2領域At2がある場合(ステップS4011でYesの場合)、処理部632は、筒状体101が不良品であると判別する(ステップS407)。また、第2領域At2が無い場合(ステップS4011でNoの場合)、ステップS402に進み、検知領域Acの面積を取得する。
このような構成とすることで、頂部25のシール状態をより精度よく検査することが可能である。
なお、上限温度Tt2は、ブランク板100の内面接着層76の材質によって決まる。
(第2変形例)
上述の例では、単純に面積比率Rt1と閾値Rtthとを比較していた。頂部25の接着が不十分な場合、内容物が漏れる恐れがある。そこで、第1領域At1が、一部、途切れて、左右方向に分断される形状の場合、面積比率Rt1にかかわらず、筒状体101が不良品であると判断してもよい。
(第3変形例)
上述の例では、サーモカメラを用いて温度分布の画像データを取得している。しかしながら、これに限定されない。例えば、検知領域At内の複数の点(例えば、20点)の温度Ttを検知し、温度Ttと下限温度Tt1および(または)上限温度Tt2と比較するようにしてもよい。このようにすることで、画像処理を減らすことができ、処理速度を速めることが可能である。
図26のフローチャートに戻り、充填装置5の動作説明を再開する。上述のように、頂部25の熱接着の検査の結果、良品であるか不良品であるかの情報に基づき、主制御部80は、筒状体101に対する次の工程を決定する(ステップS116)。
筒状体101が良品の場合(ステップS116でYesの場合)、主制御部80は、第1次押圧部563のプレス部5631を駆動して後上端部211および前上端部231を前後に挟み、第1次加圧を行う(S120)。また、主制御部80は、第2次押圧部564のプレス部5641を駆動して後上端部211および前上端部231を前後に挟み、第2次加圧を行う(S121)。その後、主制御部80は、選別バー571を退避位置P1に移動させておき、紙容器1を製品として充填装置5の外部に搬送する。
また、筒状体101は頂部検査装置63で不良品と判別された場合(ステップS116でNoの場合)主制御部80は、第1次押圧部563のプレス部5631を駆動して後上端部211および前上端部231を前後に挟み、第1次加圧を行う(S123)。また、主制御部80は、第2次押圧部564のプレス部5641を駆動して後上端部211および前上端部231を前後に挟み、第2次加圧を行う(S124)。そして、主制御部80は、選別部57の選別バー571を駆動して、紙容器1を受け容器58に不良品として排除する。
また、底部検査装置61にて不良品と判別された場合(ステップS105でNoのとき)、主制御部80は、注出部材3の取り付けを行わずに、筒状体101の上端部を型付けし(ステップS117)、第1次加熱(ステップS118)、第2次加熱(ステップS119)を行う。なお、型付け(ステップS117)、第1次加熱(ステップS118)および第2次加熱(ステップS119)は、型付け(ステップS111)、第1次加熱(ステップS113)および第2次加熱(ステップS114)と同じ工程である。また、筒状体101が不良品の場合、主制御部80は、内容物の充填は行わない。
その後、主制御部80は、第1次押圧部563のプレス部5631を駆動して後上端部211および前上端部231を前後に挟み、第1次加圧を行う(S123)。また、主制御部80は、第2次押圧部564のプレス部5641を駆動して後上端部211および前上端部231を前後に挟み、第2次加圧を行う(S124)。そして、主制御部80は、選別部57の選別バー571を駆動して、紙容器1を受け容器58に不良品として排除する。
注出部材検査装置62で不良品と判別された筒状体101も同様に、主制御部80は、筒状体101の上端部を型付けし(ステップS117)、第1次加熱(ステップS118)、第2次加熱(ステップS119)を行う。その後、主制御部80は、第1次押圧部563のプレス部5631を駆動して後上端部211および前上端部231を前後に挟み、第1次加圧を行う(S123)。また、主制御部80は、第2次押圧部564のプレス部5641を駆動して後上端部211および前上端部231を前後に挟み、第2次加圧を行う(S124)。そして、主制御部80は、選別部57の選別バー571を駆動して、紙容器1を受け容器58に不良品として排除する。つまり、注出部材検査装置62で不良品と判別された場合も、内容物の充填を行わない。
すなわち、底部検査装置61および(または)注出部材検査装置62で不良品と判別された筒状体101には、内容物を充填せずに、頂部25を熱接着する。これにより、不良品であっても、頂部25が、第2次押圧部564のプレス部5641の間の隙間を通過することが可能である。そのため、紙容器1を容器搬送部50から排除する選別部57を、容器搬送部50の最後段に配置することができ、充填装置5の構成を簡略化できる。
なお、底部検査装置61および(または)注出部材検査装置62で不良品と判別された筒状体101は、頂部25が第2次押圧部564を通過させるために頂部25を押圧する。そのため、第2次押圧部564による押圧を省略してもよい。
上述の実施形態では、充填装置5の最後段に、紙容器1の良品と不良品とを選別する選別部を備えているが、これに限定されない。例えば、選別部57として、底部検査部601の後段且つ充填部55の前段で、筒状体101を容器搬送部50から排除するようにしてもよい。このような構成としては、例えば、ロボットアームを用いるものを挙げることができる。また、選別部57として、注出部材検査部602の後段で且つ充填部55の前段で、筒状体101を容器搬送部50から排除するようにしてもよい。このように構成することで、頂部25の不要な熱接着を行わないため、省エネルギ化が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。