JP2020125110A - 無人飛行体、3次元通信品質情報生成システム及び3次元通信品質情報の取得方法 - Google Patents

無人飛行体、3次元通信品質情報生成システム及び3次元通信品質情報の取得方法 Download PDF

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Abstract

【課題】上空における電波状況を3次元的に測定するための、無人飛行体、3次元通信品質情報生成システム及び3次元通信品質情報の取得方法の提供。【解決手段】自律飛行又は遠隔操作若しくは目視操作によって飛行する無人飛行体であって、無線基地局からの電波を測定する電波測定部112と、電波測定部112によって測定された所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比を算出する演算部111と、信号対雑音比を算出した電波の測定時における測定位置の3次元位置情報を取得するGPSレシーバ113と、信号対雑音比と3次元位置情報を対応付けて記憶する記憶部114と、を備える無人飛行体。【選択図】図2

Description

本発明は、自律飛行又は遠隔操作若しくは目視操作によって飛行する無人飛行体を利用した3次元通信品質情報の取得に関する。
近年、自律飛行又は遠隔操作若しくは目視操作によって飛行する無人飛行体(ドローン)の活用が進んでいる。現状では空撮用途(単なる景観の撮影から、測量や点検、監視等を目的とするものなど多岐にわたる)が最も多いが、物流分野や農業分野等への活用も進んで行きつつある。
このようなドローンの商業利用が進んで行くと、ドローンの遠隔操作や各種データの送受信のために、無線ネットワークが広く利用されることが想定される。利用される無線ネットワークとしては、既にインフラが網羅的に整備されている携帯電話網を利用するのが現実的な案となる。
特開2017−91072号公報
上述のごとく、ドローンの遠隔操作や各種データの送受信のために、携帯電話網を利用することが想定されるが、ドローンの飛行ルート(上空)における電波状況はよくわかっていないのが現状である。
携帯電話の基地局は、基本的に地上にいるユーザの利用を想定して設けられている。即ち、電波を下向きに発射したり、電波に指向性を持たせたり、その放射方向や電力を制御するなどして、基地局の電波干渉を抑えるようにしているが、これらは基本的に地上における電波状況を考慮した設計となっており、上空においてどのような電波状況であるか(電波干渉の有無等)は不明であるのが現状である(上空における電波状況を考慮するという発想がそもそもない状況)。
特許文献1には、ドローンを利用して、無線を用いた安全運転支援システムの電波状況を測定することに関する技術が開示されているが、思想としては地上の電波状況(自動車が受信可能であるか否か)を測定するもの、即ち2次元な電波状況を測定するものであり、上空における電波状況を3次元的に測定するという思想はないものであった。
本発明は、上記の点に鑑み、上空における電波状況を3次元的に測定するための、無人飛行体、3次元通信品質情報生成システム及び3次元通信品質情報の取得方法を提供することを目的とする。
(構成1)
自律飛行又は遠隔操作若しくは目視操作によって飛行する無人飛行体であって、電波発信源からの電波を測定する電波測定装置と、前記電波測定装置によって測定された所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比を算出する演算部と、前記信号対雑音比を算出した電波の測定時における測定位置の3次元位置情報を取得する3次元位置情報取得装置と、前記信号対雑音比と前記3次元位置情報を対応付けて記憶する記憶部と、を備えることを特徴とする無人飛行体。
(構成2)
前記信号対雑音比と前記3次元位置情報の対応付けにおいて、前記所望信号の電波強度も対応付けて前記記憶部に記憶することを特徴とする、構成1に記載の無人飛行体。
(構成3)
信号対雑音比を複数のレベルに分ける閾値情報が格納された記憶部と、構成1又は2に記載の無人飛行体によって取得された前記信号対雑音比を、前記閾値情報に基づいてレベル分けし、当該レベル分けに関する情報を前記3次元位置情報と対応付けた、3次元通信品質情報を算出する演算部と、を備えることを特徴とする3次元通信品質情報生成システム。
(構成4)
信号対雑音比を複数のレベルに分ける閾値情報と、前記所望信号の電波強度の下限値と、が格納された記憶部と、構成2に記載の無人飛行体によって取得された前記信号対雑音比を、前記閾値情報に基づいてレベル分けし、当該レベル分けに関する情報と前記所望信号の電波強度が前記下限値以上であるか否かを示す情報とを前記3次元位置情報と対応付けた、3次元通信品質情報を算出する演算部と、を備えることを特徴とする3次元通信品質情報生成システム。
(構成5)
前記演算部において、前記信号対雑音比のレベル分けに応じた識別情報を、3次元マップ上の対応する位置に表示させる3次元通信品質マップを生成する構成3又は4に記載の3次元通信品質情報生成システム。
(構成6)
前記演算部において、前記信号対雑音比のレベルが所定値以下である位置と、前記所望信号の電波強度が前記下限値未満である位置を、3次元マップ上において無人飛行体の飛行禁止エリアとして表示させる3次元通信品質マップを生成する構成4に記載の3次元通信品質情報生成システム。
(構成7)
ドローンの運航を管理する運航管理システムであって、信号対雑音比の下限値情報が格納された記憶部と、ドローンの飛行ルートに対応する位置情報に対して対応付けられている、構成1又は2に記載の無人飛行体によって取得された前記信号対雑音比が、前記下限値情報を下回っているか否かを判別し、下回っていた場合には、警告情報を出力する演算部と、を備えることを特徴とする運航管理システム。
(構成8)
ドローンの運航を管理する運航管理システムであって、信号対雑音比の下限値情報と、所望信号の電波強度の下限値情報と、が格納された記憶部と、ドローンの飛行ルートに対応する位置情報に対して対応付けられている、構成2に記載の無人飛行体によって取得された前記信号対雑音比が、前記信号対雑音比の下限値情報を下回っていた場合と、構成2に記載の無人飛行体によって取得された前記所望信号の電波強度が、前記所望信号の電波強度の下限値情報を下回っていた場合に、警告情報を出力する演算部と、を備えることを特徴とする運航管理システム。
(構成9)
無人飛行体による、通信品質に関する情報を3次元位置情報と対応付けた3次元通信品質情報の取得方法であって、電波発信源からの電波を受信する受信装置と、3次元位置情報を取得する3次元位置情報取得装置を搭載した無人飛行体を、測定対象エリア内を飛行させるステップと、前記飛行中に、前記受信装置によって所望信号の電波強度と、所望信号以外の電波強度を測定し、当該測定位置の3次元位置情報を3次元位置情報取得装置によって取得するステップと、前記所望信号の電波強度と、所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比を算出するステップと、前記信号対雑音比と前記3次元位置情報を対応付けて記憶媒体に記憶させるステップと、前記信号対雑音比と前記3次元位置情報の取得及び記憶の処理を、前記測定対象エリア内で複数回繰り返すステップと、を有することを特徴とする、3次元通信品質情報の取得方法。
(構成10)
前記信号対雑音比と前記3次元位置情報を対応付けにおいて、前記所望信号の電波強度も対応付けて前記記憶媒体に記憶させるステップを有することを特徴とする、構成9に記載の3次元通信品質情報の取得方法。
本発明の無人飛行体、3次元通信品質情報生成システム及び3次元通信品質情報の取得方法によれば、信号対雑音比が3次元位置情報と対応付けられて取得されるため、上空における電波状況(電波の干渉の状況)を3次元的に得ることができる。
実施形態1の無人飛行体(ドローン)を示す概念図 実施形態1の無人飛行体(ドローン)に搭載された電波スキャン装置の構成の概略を示すブロック図 実施形態1の電波スキャン装置における処理動作の概略を示すフローチャート 上空の電波状況の測定結果の一例を示す図 実施形態2の3次元通信品質情報生成システムの構成の概略を示すブロック図 実施形態2の3次元通信品質情報生成システムにおける処理動作の概略を示すフローチャート 実施形態3の運航管理システムにおける処理動作の概略を示すフローチャート
以下、本発明の実施態様について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
<実施形態1>
図1は、本発明に係る実施形態1の無人飛行体を示す概念図である。
実施形態1の無人飛行体1は、ドローン12に電波スキャン装置11を備えさせたものである。
ドローン12自体は、電波スキャン装置11の取り付け及びこれを取り付けた状態での飛行が可能なものであれば任意のものを利用することができる。自律飛行可能なものであってもよいし、遠隔操作又は目視での操作によって飛行させるものであってもよい。ドローン12の飛行のための機構や、その制御については、本発明とは直接的な関係はないため、ドローン12の飛行のための機構や制御に関するここでの説明を省略する。
図2は、電波スキャン装置11の構成の概略を示すブロック図である。
電波スキャン装置11は、無線基地局(電波発信源)からの電波を測定する電波測定部(電波測定装置)112と、電波測定部112によって測定された所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比を算出する処理などの各種の演算を行う演算部111と、3次元位置情報を取得するGPSレシーバ(3次元位置情報取得装置)113と、各種データの記憶等をする記憶部114と、を備える。
上記構成を備える電波スキャン装置11は、所望信号の電波強度、即ち所望信号の受信電力(RSRP)と、所望信号以外の電波強度、即ち雑音信号の受信電力を測定することができ、これらに基づいて、所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比(SINR)を算出することができる。また、これら電波状況の測定を行った地点の3次元位置情報(緯度、経度、高度の情報)を取得することができ、測定した電波状況のデータを3次元位置情報に対応付けてログすることができるものである。
次に、図3を参照しつつ、無人飛行体1を利用した、3次元通信品質情報の取得方法(上空における電波状況を3次元的に測定する方法)について説明する。
図3は、電波スキャン装置11における電波状況に関する情報の取得の処理動作の概略を示すフローチャートであり、当該処理を行う電波スキャン装置11を搭載したドローン12(即ち無人飛行体1)を、測定対象エリア内で飛行させることによって、上空における電波状況を3次元的に測定するものである。
“測定対象エリア内の飛行”は、電波状況の測定を行う必要があるエリア内を網羅的に飛行させるものであればどのような飛行ルートとしても構わない。例えば、パネルヒーター内に配されるニクロム線のように一面内を網羅するように蛇行する線を飛行ルートとし、当該飛行ルートを各高度毎に多段的に飛行させるもの等である。蛇行の間隔や各高度の間隔を狭めると、より緻密な電波状況の測定を行うことができる一方、測定にかかる時間は長くなり、蛇行の間隔や各高度の間隔を広げると、その逆となる。なお、無人飛行体1の飛行は、前述のごとく、自律飛行であってもよいし、遠隔操作又は目視での操作によって飛行させるものであってもよい。
無人飛行体1の測定対象エリア内の飛行中において、電波スキャン装置11では図3の処理が実行される。
ステップ301は、電波測定を行うタイミングを判別する処理である。“電波測定を行うタイミング”は、測定の目的などに応じて適宜設定されるものであり、例えば、一定周期で測定を行うもの(無人飛行体1を一定速度で飛行させることにより、一定間隔にて測定されることになる)や、予め設定された測定地点にて測定するもの等である。前者の場合には演算部111等に備えられるクロックや、GPSレシーバ113で得られる時間情報に基づく等して、一定間隔にて測定を行う。後者の場合には、予め設定された測定地点を通るように飛行ルートが設定され、GPSレシーバ113で得られる位置情報が、測定地点であると判断された場合に測定を行う。
ステップ301において測定のタイミングであると判断された場合には、ステップ302へと移行し、電波測定及びその時点での位置情報の取得を行う。電波測定は、電波測定部112によって所望信号の受信電力と、所望信号以外の受信電力を測定するものである。なお、さらに、無線基地局から得られる各情報をここで取得するものであってもよい。無線基地局から得られる情報としては、無線基地局IDの情報や、MIMO(multiple−input and multiple−output)に関する情報、ビームフォーミングに関する情報等である。
位置情報は、GPSレシーバ113によって得られる3次元位置(緯度、経度、高度)情報である。ステップ301では、測定を行った時間情報(年月日等の日付情報を含むものであってよい)も取得する。時間情報は電波スキャン装置11に時計機能を備えさせることや、GPSレシーバ113から得られる時刻情報を用いる等すればよい。
続くステップ303では、演算部111において、ステップ302で取得した所望信号の受信電力と、所望信号以外の受信電力から、信号対雑音比を算出する処理を行う。
ステップ304では、電波測定で得られた各情報(所望信号の受信電力値と、所望信号以外の受信電力値、信号対雑音比など)を、時間情報と共に位置情報に対応付けて、記憶部114に記憶させる処理を行う。前述のごとく、無線基地局から取得した各情報も対応付けて記憶させるようにしてもよい。
ステップ305では、電波測定の終了であるか否かを判別し、終了でない場合にはステップ301へと戻って上記の各処理を繰り返し、終了であった場合には、処理を終了する。
“電波測定の終了”の条件は、適宜定められるものであり、例えば操作者(ドローンの操縦者等)からの終了指示等である。
以上のごとく、本実施形態の無人飛行体1によれば、信号対雑音比が3次元位置情報と対応付けられて取得されるため、上空における電波状況(電波の干渉の状況)を3次元的に得ることができる。
前述のごとく、携帯電話の基地局は、基本的に地上にいるユーザの利用を想定して設けられており、上空においてどのような電波状況であるか(電波干渉の有無等)は不明であるのが現状である。基地局は基本的には隣接する基地局間における電波干渉が無いように設計されているものであるが、上空においては、遠方の基地局からの電波の影響を強く受ける可能性もある。即ち、地上付近では想定されていない電波干渉が起きている場合がある。
図4には、実際に上空の電波測定を行った測定結果の一例を示した。図4の上側は所望信号の受信電力(RSRP)の測定結果を3次元的に表示したものであり、下側は信号対雑音比(SINR)の結果を3次元的に表示したものである。なお、本来はカラーであるものをグレースケールの図としているため、図面上での判別がし難いものであるが、RSRPとSINRの何れについても良好な状態(左側の表における下の方)を青系の表示とし、悪い状態(左側の表における上の方)を赤系の表示としているものである。中間付近は黄色系の表示とし、良い状態から悪い状態の各レベルを、青色系から黄色系を経て赤色系へと変化する色にて示しているものである。
図4ではやや見難いが、RSRPについては地表付近に青色の表示が少しあり、それ以外は概ね緑色となっており、上空まで概ね良好であると言える。一方SINRに関しては、地上付近に緑や黄色といった表示が混じっている状態で、上空に行くに従いピンクや赤の表示となっている。即ち、SINRに関しては、地上付近では比較的良好であるが、上空では悪い(干渉がおこり、通信品質が低下している)ことがわかる。ドローンの遠隔操作や各種データの送受信のために、この通信網を利用する場合、通信品質が非常に低下している上空部分をドローンの飛行ルートに設定することは好ましくないと言える。
従来は、このような上空の通信品質を考慮するという発想がそもそもない状態であり、上空における通信品質は全くの不明であったが、本実施形態の無人飛行体1によれば、上空における通信品質に関する情報を3次元的に得ることができるため、非常に有用である。
本実施形態では、電波スキャン装置11をドローン12に搭載するものを例としたが、電波スキャン装置11とドローン12がハード的若しくはソフト的に別構成である必要はなく、ドローン内部(ドローン自体)に電波スキャン装置11の機能が組み込まれるもの等であってもよい。自律飛行型のドローンの場合には、GPS機能や気圧センサ等が組み込まれるものであるため、3次元の位置情報を取得するための構成(ハード及びソフト)を共通化することができる。
本実施形態では、高度の情報をGPSレシーバ113から得るようにしている。一般的にGPSレシーバから得られる高度情報は、標高(海抜高度)とは異なっているため、3次元位置情報の取得処理等において、GPSレシーバから得られた高度情報標を標高に変換する処理を行う等してもよい。また、上記のごとく、気圧センサ等から高度情報を得るようなものであってもよい。
なお、測定対象エリア内の電波測定において、無人飛行体1を一機使用して測定するものであってもよいし、複数機を使用して測定するもの等であってもよい。
<実施形態2>
実施形態2では、実施形態1の無人飛行体1による電波測定の結果(3次元的な情報)を利用して、“3次元通信品質情報”を生成する3次元通信品質情報生成システムについて説明する。“3次元通信品質情報”とは、通信品質に関する情報を3次元位置情報と対応付けた情報であり、実施形態1の無人飛行体1による電波測定の結果(いわゆる“生データ”に近いもの)もこれに該当するが、実施形態2の3次元通信品質情報生成システムはこれをより利用しやすい形式にするものである。
図5は、実施形態2の3次元通信品質情報生成システム2の概略を示すブロック図である。
3次元通信品質情報生成システム2は、信号対雑音比(SINR)を複数のレベルに分ける閾値情報と、所望信号の受信電力(RSRP)を複数のレベルに分ける閾値情報が格納されている記憶部24と、当該閾値情報に基づいて、無人飛行体1による電波測定の結果である信号対雑音比(SINR)と所望信号の受信電力(RSRP)をレベル分けし、当該レベル情報を前記3次元位置情報と対応付けた、3次元通信品質情報を算出する演算部21と、各種データの入出力(表示などを含む)を行う入力部22、出力部23を備えている。
次に、図6を参照しつつ、無人飛行体1による電波測定の結果(3次元的な情報)を利用して、“3次元通信品質情報”を生成する処理について説明する。
図6は、実施形態2の3次元通信品質情報生成システム2における処理動作の概略を示すフローチャートであり、実施形態1で説明した無人飛行体1による電波測定の結果(所望信号の受信電力値と、所望信号以外の受信電力値、信号対雑音比が、時間情報と共に位置情報に対応付けられた情報)が、入力部22から入力されて記憶部24に格納されている状態にて行われる処理である。入力部22は、電波スキャン装置11から電波測定の結果が入力される任意の手段であってよく、有線若しくは無線で電波スキャン装置11から情報を受信する受信部や記憶媒体を介して情報を受け取る記憶媒体読み取り部等であり、キーボード等の入力装置等であってもよい。
図6の処理は、ステップ601と602の処理を、電波スキャン装置11によって得られた電波測定結果の全てに対して行うものである。即ち、所望信号の受信電力値と、所望信号以外の受信電力値、信号対雑音比が、時間情報と共に位置情報に対応付けられた各レコードの全てに対して、ステップ601と602の処理を行うものである。
ステップ601では、所望信号の受信電力(RSRP)を、記憶部24に設定されている閾値情報に基づいてレベル分けし、当該レベル分けした情報を該当レコードに追加する処理を行う。
RSRPを複数のレベルに分ける閾値情報とは、例えば、電波強度を「高」、「中」、「低」の3段階に分けるための閾値情報である。図4の例では、6段階に分けており、図4の上側の左の表の数値が、“閾値情報”に該当する。
ここでは複数のレベルに分けるものを例としているが、電波強度の下限値のみを定めるものとしてもよい。即ち、例えば、ドローンを遠隔操作するための制御信号を安定的に送受信するのに最低限必要と認められるRSRPの値を下限値として定めておき、当該下限値を満たすか否かを示す情報を該当レコードに追加する処理をステップ601にて行うものであってもよい。ここでいう下限値は、例えば、−110dBmから−130dBmの間の値である。
ステップ602では、信号対雑音比(SINR)を、記憶部24に設定されている閾値情報に基づいてレベル分けし、当該レベル分けした情報を該当レコードに追加する処理を行う。
SINRを複数のレベルに分ける閾値情報とは、例えば、電波干渉の状況を「良」、「中」、「否」の3段階に分けるための閾値情報である。図4の例では、6段階に分けており、図4の下側の左の表の数値が、“閾値情報”に該当する。
電波干渉の状況は、通信品質に大きな影響を及ぼし、安定して送受信できるデータ量に制限を与えるものである。ドローンの遠隔操作や各種データの送受信での利用を考える場合、概ね下記のレベル分けがされていると、用途に合わせた効率的な運用に資するものとなる。
レベル1:ドローンを遠隔操作するための制御信号を安定的に送受信するのに最低限必要な値
レベル2:マルチメディアを安定的に送受信するのに必要な値
レベル1の下限値(制御信号を安定的に送受信するのに最低限必要な値)は、例えば上りにおいて−5dB、下りにおいて−10dBである。
レベル2については、さらに細分化するとより有用性が高まる。例えば音声や画像を安定的に送受信するのに必要なレベルを定めたり、映像の画質レベル(SD、HD、フルHD、4K、480p、720p、1080p)等に応じて、各画質レベルの映像を安定的に送受信するのに必要なレベルを定めるもの等である。
上記のステップ601と602の処理を全てのレコードに対して行ったら、図6の処理を終了する。
以上のごとく、本実施形態の3次元通信品質情報生成システムによれば、所望信号の受信電力や信号対雑音比が、ドローンの運用(遠隔操作や各種情報の送受信)に対してどの程度のレベルを有しているかを、3次元的に示す情報が得られるため、非常に有用である。
例えば、所望信号の受信電力や信号対雑音比のレベル分けに応じた識別情報を、3次元マップ上の対応する位置に表示させることで、視覚的にドローンの運用に適したエリア(飛行ルート)であるか否かを認識させることができる。“レベル分けに応じた識別情報”とはアイコンや色分けなどの視覚的に区別して表現するためのものである。図4はこれの一例であり、測定点をドットで3次元マップ上に表示しており、前述のごとくドットの色によってレベルを表現している。
また、所望信号の受信電力や信号対雑音比のレベル分けの情報に基づいて、ドローンを遠隔操作するための制御信号を安定的に送受信するのに最低限必要なレベルに達していないと判断される位置については、3次元マップ上に、無人飛行体の飛行禁止エリアとして表示させるものであってもよい。
当該処理は、上述した図6の処理によって、所望信号の受信電力や信号対雑音比のレベル分けの情報と3次元位置情報が格納されている各レコードに基づいて、3次元マップ上の対応する位置に、“レベル分けに応じた識別情報(色分けや飛行禁止表示等)”として表示させるものであればよく、演算部21によって処理された結果を出力部23から出力(モニター表示や外部装置へ送信など)するものである。
上記で得られたデータ等は、ドローンの運航管理システム等において活用することができる。例えば、自律飛行または遠隔操作するドローンの飛行ルートの設定において、図4のようなマップを提示することにより、飛行ルートとして設定すべきエリアを即座に認識できるものである。通信品質がレベル分けされていることにより、目的に応じた飛行ルートの選択も可能となり、非常に有用である。
また、運航管理対象である各ドローンに、実施形態1と同様の機能を持たせて電波測定を行わせ、これをドローンの運航管理システム側にリアルタイムで送信させることにより、各ドローンの飛行ルートにおける通信品質をリアルタイムで監視することも可能となる。
電波状況は常に一定ということはなく、各種の要因によって変動するものであるため、リアルタイムの電波状況をドローンの運航管理システムで得ることにより、これに基づいたより効率的な運航管理をすること(例えば、飛行禁止エリアのリアルタイムでの更新)、も可能となる。
さらに付け加えると、電波状況の変動は、その要因によって定期的に生じるものもある。例えば四季の変化により植物の葉等の遮蔽物に変動が生じるような場合等があり、時期や時間帯に応じて定期的な変動傾向を示す場合がある。従って、実施形態1で説明したごとく電波計測の際に日時情報も対応付けてデータを取得しておくことにより、このような定期的な電波状況の変動などについても解析可能となり、これに基づいたより効率的な運航管理をすることも可能となり得る。
<実施形態3>
実施形態3として、実施形態1の無人飛行体1による電波測定の結果(3次元的な情報)や、実施形態2の3次元通信品質情報生成システムによって生成された3次元通信品質情報を利用した、ドローンの運航管理システムについて説明する。
なお、ドローンの運航管理システムの構成の概念は、実施形態2の3次元通信品質情報生成システムと大きく変わるものではないため、図5を利用して説明をする。
実施形態3の運航管理システムは、信号対雑音比(SINR)の下限値情報と、所望信号の電波強度(RSRP)の下限値情報と、が格納された記憶部24と、ドローンの飛行ルートにおいて、当該各下限値を下回っている地点が無いかを判別し、下回っていた場合に、警告情報を出力する演算部24と、各種データの入出力(表示などを含む)を行う入力部22、出力部23を備えている。
図7は、実施形態3の運航管理システムにおける処理動作の概略を示すフローチャートであり、実施形態1で説明した無人飛行体1による電波測定の結果(所望信号の受信電力値と、所望信号以外の受信電力値、信号対雑音比が、時間情報と共に位置情報に対応付けられた情報)が、入力部22から入力されて記憶部24に格納されている状態において、運航管理対象であるドローンの飛行ルートが入力若しくは算出された際に行われる処理である。入力部22は、電波スキャン装置11から電波測定の結果が入力される任意の手段であってよく、有線若しくは無線で電波スキャン装置11から情報を受信する受信部や記憶媒体を介して情報を受け取る記憶媒体読み取り部等であり、キーボード等の入力装置等であってもよい。
なお、ドローンの飛行ルートとは、運航管理対象であるドローンを飛行させるルートを示す情報(3次元の位置情報)である。当該飛行ルートは、手入力等によって入力・設定されるものであっても良いし、例えば、出発地点と目的地点の入力に基づいてシステムによって自動算出されたもの等であってもよい。何れにせよ、図7は、飛行ルート情報が得られた際に実行される処理である。
ステップ701では、ドローンの飛行ルートに対応する位置情報に基づいて、飛行ルートにおいてSINRが下限値を下回っている地点があるか否かを判別する。即ち、実施形態1で説明した無人飛行体1による電波測定の結果として得られているデータに基づき、飛行ルート中の各地点において、当該地点に対応付けられているSINRが、記憶部24に設定されている下限値情報を下回っているか否かを判別するものである。
ステップ701での判別の結果、飛行ルートにSINRの下限値を下回っている地点があった場合にはステップ702へ移行し、なかった場合にはステップ702をスキップする。
飛行ルートにSINRの下限値を下回っている地点があった場合に実行されるステップ702では、警告情報を出力部23から出力(モニター表示や外部装置へ送信など)する処理を行う。当該警告は、該当する位置情報と共に行うことが好ましい。また、該当地点のSINRの値等もあわせて出力してもよい。
ステップ703では、ドローンの飛行ルートに対応する位置情報に基づいて、飛行ルートにおいてRSRPが下限値を下回っている地点があるか否かを判別する。即ち、実施形態1で説明した無人飛行体1による電波測定の結果として得られているデータに基づき、飛行ルート中の各地点において、当該地点に対応付けられているRSRPが、記憶部24に設定されている下限値情報を下回っているか否かを判別するものである。
ステップ703での判別の結果、飛行ルートにRSRPの下限値を下回っている地点があった場合にはステップ704へ移行し、なかった場合にはステップ704をスキップする。
飛行ルートにRSRPの下限値を下回っている地点があった場合に実行させるステップ704では、警告情報を出力部23から出力(モニター表示や外部装置へ送信など)する処理を行う。当該警告は、該当する位置情報と共に行うことが好ましい。また、該当地点のRSRPの値等もあわせて出力してもよい。
以上のごとく、本実施形態のドローンの運航管理システムによれば、運航管理対象であるドローンを飛行させるルートにおいて通信品質が悪い箇所があった場合に、これを警告として出力してくれるため、より安全で効率的な運航管理をすることが可能となる。
なお、本実施形態では、実施形態1の無人飛行体1による電波測定の結果をそのまま利用するものを例として説明したが、実施形態1の無人飛行体1による電波測定の結果を加工したものを利用するものであっても勿論よい。例えば、実施形態2の3次元通信品質情報生成システムによって生成された3次元通信品質情報を利用するものであってもよい。即ち、レベル分けされた情報に基づいて、飛行ルート中に所定レベル以下である地点があった場合に警告を出力するものである。この場合、記憶部24に設定される“信号対雑音比(SINR)の下限値情報”や、“所望信号の電波強度(RSRP)の下限値情報”は、レベル分けに応じたレベル情報となる。実施形態2の3次元通信品質情報生成システムにおいて、“飛行禁止エリア”が算出されている場合には、飛行ルートが飛行禁止エリア通っているか否かを判別して警告を出力するようなものであってもよい。
なお、実施形態2の3次元通信品質情報生成システム2は、実施形態3で説明したようなドローンの運航管理システム内で構成される(サーバ上でソフトウェア的に構成される)ものであってよい。また、実施形態2の3次元通信品質情報生成システム2や実施形態3の運航管理システムは、PC等の汎用の情報処理装置によって構成されるものであってもよいし、ASICやFPGA等を利用して構成されるものであってもよい。
上記各実施形態においては、電波発信源として、携帯電話網の無線基地局を例としているが、本発明における電波の測定対象をこれに限定するものではなく、各種の電波の計測に利用することができる。
1...無人飛行体
11...電波スキャン装置
111...演算部
112...電波測定部(電波測定装置)
113...GPSレシーバ(3次元位置情報取得装置)
114...記憶部
12...ドローン
2...3次元通信品質情報生成システム
21...演算部
22...入力部
23...出力部
24...記憶部

Claims (10)

  1. 自律飛行又は遠隔操作若しくは目視操作によって飛行する無人飛行体であって、
    電波発信源からの電波を測定する電波測定装置と、
    前記電波測定装置によって測定された所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比を算出する演算部と、
    前記信号対雑音比を算出した電波の測定時における測定位置の3次元位置情報を取得する3次元位置情報取得装置と、
    前記信号対雑音比と前記3次元位置情報を対応付けて記憶する記憶部と、
    を備えることを特徴とする無人飛行体。
  2. 前記信号対雑音比と前記3次元位置情報の対応付けにおいて、前記所望信号の電波強度も対応付けて前記記憶部に記憶することを特徴とする、請求項1に記載の無人飛行体。
  3. 信号対雑音比を複数のレベルに分ける閾値情報が格納された記憶部と、
    請求項1又は2に記載の無人飛行体によって取得された前記信号対雑音比を、前記閾値情報に基づいてレベル分けし、当該レベル分けに関する情報を前記3次元位置情報と対応付けた、3次元通信品質情報を算出する演算部と、
    を備えることを特徴とする3次元通信品質情報生成システム。
  4. 信号対雑音比を複数のレベルに分ける閾値情報と、前記所望信号の電波強度の下限値と、が格納された記憶部と、
    請求項2に記載の無人飛行体によって取得された前記信号対雑音比を、前記閾値情報に基づいてレベル分けし、当該レベル分けに関する情報と前記所望信号の電波強度が前記下限値以上であるか否かを示す情報とを前記3次元位置情報と対応付けた、3次元通信品質情報を算出する演算部と、
    を備えることを特徴とする3次元通信品質情報生成システム。
  5. 前記演算部において、前記信号対雑音比のレベル分けに応じた識別情報を、3次元マップ上の対応する位置に表示させる3次元通信品質マップを生成する請求項3又は4に記載の3次元通信品質情報生成システム。
  6. 前記演算部において、前記信号対雑音比のレベルが所定値以下である位置と、前記所望信号の電波強度が前記下限値未満である位置を、3次元マップ上において無人飛行体の飛行禁止エリアとして表示させる3次元通信品質マップを生成する請求項4に記載の3次元通信品質情報生成システム。
  7. ドローンの運航を管理する運航管理システムであって、
    信号対雑音比の下限値情報が格納された記憶部と、
    ドローンの飛行ルートに対応する位置情報に対して対応付けられている、請求項1又は2に記載の無人飛行体によって取得された前記信号対雑音比が、前記下限値情報を下回っているか否かを判別し、下回っていた場合には、警告情報を出力する演算部と、
    を備えることを特徴とする運航管理システム。
  8. ドローンの運航を管理する運航管理システムであって、
    信号対雑音比の下限値情報と、所望信号の電波強度の下限値情報と、が格納された記憶部と、
    ドローンの飛行ルートに対応する位置情報に対して対応付けられている、請求項2に記載の無人飛行体によって取得された前記信号対雑音比が、前記信号対雑音比の下限値情報を下回っていた場合と、請求項2に記載の無人飛行体によって取得された前記所望信号の電波強度が、前記所望信号の電波強度の下限値情報を下回っていた場合に、警告情報を出力する演算部と、
    を備えることを特徴とする運航管理システム。
  9. 無人飛行体による、通信品質に関する情報を3次元位置情報と対応付けた3次元通信品質情報の取得方法であって、
    電波発信源からの電波を受信する受信装置と、3次元位置情報を取得する3次元位置情報取得装置を搭載した無人飛行体を、測定対象エリア内を飛行させるステップと、
    前記飛行中に、前記受信装置によって所望信号の電波強度と、所望信号以外の電波強度を測定し、当該測定位置の3次元位置情報を3次元位置情報取得装置によって取得するステップと、
    前記所望信号の電波強度と、所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比を算出するステップと、
    前記信号対雑音比と前記3次元位置情報を対応付けて記憶媒体に記憶させるステップと、
    前記信号対雑音比と前記3次元位置情報の取得及び記憶の処理を、前記測定対象エリア内で複数回繰り返すステップと、
    を有することを特徴とする、3次元通信品質情報の取得方法。
  10. 前記信号対雑音比と前記3次元位置情報を対応付けにおいて、前記所望信号の電波強度も対応付けて前記記憶媒体に記憶させるステップを有することを特徴とする、請求項9に記載の3次元通信品質情報の取得方法。
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