JP2020123714A - 放熱部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
金属−炭化珪素複合体の金属としては、アルミニウムやその合金がしばしば用いられる。
例えば、放熱部材を他の部品に接合する場合、一般的には放熱部材の周縁部に設けられた孔を利用して、放熱部材を他の部品にネジ固定する。しかし、放熱部材の他の部品に接する面が凹面であったり、微少な凹凸が多く存在していたりすると、放熱部材と他の部品との間に隙間が生じ、熱伝導性が低下してしまうという問題があった。
これは、上述のように、放熱部材は、他の部品と、ネジ等の固定部材で固定して用いられることが通常であるところ、他の部品との接合面が凸型に湾曲していることで、固定部材で固定された際にその接合面が「適度に平ら」になり、他の部品との接合性(密着性)が高まるためである。
すなわち、湾曲した放熱部材の片面に部品を接続してパワーモジュール等を製造するに当たっては、その製造安定性(歩留まりなど)の点で改善の余地がある。
アルミニウムまたはマグネシウムを含む金属−炭化珪素複合体を備えた板状の放熱部材であって、
当該放熱部材は実質的に矩形であり、
当該放熱部材の2つの主面のうち一方の主面は当該放熱部材の外側方向に凸に湾曲し、他方の主面は当該放熱部材の内側方向に凸に湾曲しており、
当該放熱部材を、当該放熱部材に略垂直で、かつ、前記他方の主面の2つの短辺の中点の両方を通る断面で断面視したときの、前記他方の主面が成す曲線Cにおいて、
曲線Cの両端点P1およびP2を通る直線をl1とし、
曲線C上でのl1との距離が最大となる点をPmaxとし、
Pmaxからl1に下ろした垂線とl1との交点をP3とし、
線分P1P3の中点をP4とし、
P4を通り、l1に垂直である直線と、曲線Cとの交点をPmidとし、
線分P1P3の長さをL、線分P3Pmaxの長さをH、線分P4Pmidの長さをhとしたとき、
(2h/L)/(H/L)が1.1以上である放熱部材
が提供される。
上記の放熱部材の製造方法であって、
アルミニウムまたはマグネシウムを含む金属−炭化珪素複合体を準備する準備工程と、
前記金属−炭化珪素複合体を凹凸型で挟み加熱プレスする加熱プレス工程と
を含む放熱部材の製造方法
が提供される。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。特に、説明上のわかりやすさのため、形状や寸法比は誇張して描かれている場合がある。とりわけ、各図において「湾曲」の大きさは実際の物品よりも誇張されている。
図1(a)は、本実施形態の放熱部材(放熱部材1)の俯瞰図である。
放熱部材1は、板状である。
放熱部材1の主たる材質は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む金属−炭化珪素複合体である(材質の詳細は、放熱部材1の製造方法とあわせて、追って説明する)。
ここで「実質的に矩形である」とは、放熱部材1の四隅の少なくとも1つが、直角形状ではなく、丸みを帯びた形状に加工されていてもよいことを意味する(もちろん、四隅は直角形状であってもよい)。
なお、放熱部材1の四隅の少なくとも1つが丸みを帯びた形状に加工されている場合、矩形の「頂点」は、放熱部材1の一方の主面を上面として放熱部材1を上面視したときの、短辺の直線部分と長辺の直線部分を延長したときに交差する点と定義される。また、このとき、放熱部材1の「短辺の長さ」や「長辺の長さ」は、上記「頂点」を始点または終点として定義される。
放熱部材1の厚みは、一例として2mm以上6mm以下、好ましくは3mm以上5mm以下である。なお、放熱部材1の厚みが一様ではない場合には、少なくとも放熱部材1の重心部分における厚みが上記範囲にあることが好ましい。または、放熱部材1の厚みが一様ではない場合には、孔以外の各部分での厚みが上記範囲内に収まっていることが好ましい。
板状の放熱部材1は、2つの主面を備える(一方の主面を主面2A、他方の主面を主面2Bとする)。典型的には、主面2Aのほうが放熱フィン等の他の部品と接合される面、主面2Bのほうがパワー素子等と接続される面である。
放熱部材1においては、主面2Aが、放熱部材1の内側方向ではなく外側方向に凸に湾曲している。また、主面2Bは、放熱部材1の外側方向ではなく内側方向に凸に湾曲している(放熱部材1の外側方向に向かっては凹型形状となっている)。
また、図3は、その主面2Bを、放熱部材1に略垂直で、かつ、主面2Bの2本の短辺の中点の両方を通る面βで断面視したとき(面βで切断したとき)の、主面2Bが成す曲線Cを表す。
曲線Cは、好ましくは、略左右対称である。すなわち、曲線Cの「湾曲の度合い」は、左右で略同様である。
・曲線Cの両端点P1およびP2を通る直線をl1(破線で示している)、
・曲線C上でのl1との距離が最大となる点をPmax、
・Pmaxからl1に下ろした垂線とl1との交点をP3、
・線分P1P3の中点をP4、
・P4を通り、l1に垂直である直線と、曲線Cとの交点をPmid、
・線分P1P3の長さをL、
・線分P3Pmaxの長さをH、
・線分P4Pmidの長さをh
とする。
なお、曲線Cが略左右対称である場合、P3は、線分P1P2の略中点となる。
一方、2h/Lは、面βにおける(放熱部材1の長辺方向における)、主面2Bの「端に近い部分」の局所的な湾曲の度合いと意味づけられる(2h/L=h/(L/2)であることに留意されたい)。ここで、主面2Bの「端に近い部分」とは、具体的には、図3では、点P1から点Pmidまでの部分である。
そうすると、(2h/L)/(H/L)が1.1以上であるということは、面βにおいては、主面2Bの全体的な湾曲の度合いよりも、主面2Bの「端に近い部分」の湾曲の度合いのほうが、十分に大きいことを表している。
その一方で、放熱部材1の端に近い部分、すなわちネジ等の固定用部材により放熱部材1を他の部品(放熱フィン等)に接合する際に特に力が強くかかる部分の湾曲の度合いが比較的大きいことにより、固定用部材により放熱部材1を他の部品に接合した際、放熱部材1を「全体として」一層「平ら」にしやすくなる。これにより、放熱部材1と他の部品(放熱フィン等)との間の「すき間」を少なくすることができ、接合性ひいては放熱性をより高めることができる。
主面2Bの「全体的な」湾曲の度合い、または、単位長さあたりの湾曲量と解釈されるH/Lの値を最適に設計すること、すなわち、放熱部材1全体としての湾曲の程度を適切に設計することで、通常の固定部材(ネジ等)による力で、ちょうどよい具合に主面2Bを「平らに」しやすい。すなわち、放熱部材1と他の部品との接合性を一層高めることができる。
上記では、図2の「面βの方向」(放熱部材1の長辺方向)における、全体的な湾曲の度合いや局所的な湾曲の度合いなどについて定量的に説明した。
同様に、図2の「面γの方向」(放熱部材1の短辺方向)における、全体的な湾曲の度合いや局所的な湾曲の度合いについても適切に設計することで、パワー素子の接続のしやすさや放熱フィンとの接合性などを一層高めうる。
・曲線C'の両端点P1'およびP2'を通る直線をl1' (破線で示している)、
・曲線C'上でのl1'との距離が最大となる点をPmax'、
・Pmax'からl1'に下ろした垂線とl1'との交点をP3'、
・線分P1'P3'の中点をP4'、
・P4'を通り、l1'に垂直である直線と、曲線C'との交点をPmid'、
・線分P1'P3'の長さをL'、
・線分P3'Pmax'の長さをH'、
・線分P4'Pmid'の長さをh'
とする。
なお、曲線C'が略左右対称である場合、P3'は、線分P1'P2'の略中点となる。
図2の「面βの方向」(放熱部材1の長辺方向)だけでなく、図2の「面γの方向」(放熱部材1の短辺方向)についても、主面2Bの「端に近い部分」の湾曲の度合いを相当に大きく設計することで、パワー素子の接続のしやすさや放熱フィンとの接合性などを一層高めうる。
放熱部材1においては、特に主面2B側の湾曲形状を適切なものとすることで、パワーモジュール製造における製造安定性を高める等の効果を得ることができるが、主面2A側の湾曲形状も適切に設計することが好ましい。
具体的には、主面2Aは放熱部材1の内側方向ではなく外側方向に凸に湾曲していることを除き、主面2Aの湾曲形状は、主面2Bと同様に「端に近い部分」の湾曲の度合いが比較的大きく、中心付近の湾曲の度合いが比較的小さいことが好ましい。
より定量的には、図2の「主面2B」を「主面2A」とした図を考え、主面2AにおけるL、H、h、L'、H'、h'などを定義したとすると、主面2AにおけるL、Hおよびhの関係については、主面2Bと同様であることが好ましい(例えば、(2h/L)/(H/L)が1.1以上あることを満たす等)。L'、H'およびh'の関係についても同様である(例えば、(2h'/L')/(H'/L')が1.1以上である等)。
放熱部材1の周縁部には、好ましくは、貫通孔が設けられている。貫通孔を利用して放熱部材1を他の部品(放熱フィン等)に接合することで、放熱性が良好な最終製品(パワーデバイス等)を得ることができる。
(1)放熱部材1(主面2B)の長辺からL/3以内の領域(長辺の周縁部)
(2)放熱部材1(主面2B)の短辺からL'/3以内の領域(短辺の周縁部)
要は、貫通孔は、上記(1)または(2)の領域内(もしくは(1)と(2)が重複する領域内)に収まっていることが好ましい。
放熱部材1においては、短辺方向(図2における面βの方向)に特定の湾曲を有することが必須である。よって、放熱部材1の長辺の周縁部に貫通孔があり、その貫通孔にネジを通して放熱部材1を他の部品(放熱フィン等)に接合することで、特に短辺方向における主面2Bの平面性を一層高めることができる。
なお、放熱部材1を他の部品に接合するための手段は、ネジに限定されない。例えば、他の部品への取り付けができる専用冶具などにより接合を行ってもよい。
[製造方法/材質]
好ましくは、本実施形態の放熱部材は、アルミニウムまたはマグネシウムを含む金属−炭化珪素複合体を準備する準備工程(以下、単に「準備工程」とも表記する)と、その金属−炭化珪素複合体を凹凸型で挟み加熱プレスする加熱プレス工程(以下、単に「加熱プレス工程」とも表記する)により製造することができる。換言すると、本実施形態の放熱部材は、まず、湾曲が無いまたは湾曲が小さい平板状の金属−炭化珪素複合体を準備し、その金属−炭化珪素複合体を、適切な湾曲形状の凹凸型で挟み加熱プレスすることで製造することができる。
アルミニウムまたはマグネシウムを含む金属−炭化珪素複合体の製造に好ましく用いられる方法は、高圧下で多孔質体に金属を含浸させる高圧鍛造法である。より具体的には、溶湯鍛造法またはダイキャスト法を採用することができる。高圧鍛造法は、高圧容器内に炭化珪素の多孔体(プリフォーム)を装填し、これにアルミニウムまたはマグネシウムを含む金属の溶湯を高圧で含浸させて複合体を得る方法である。
大量に安定して製造することができるという理由から、金属−炭化珪素複合体の製造には、溶湯鍛造法が特に好ましい。以下、溶湯鍛造法による製造方法を説明する。
金属−炭化珪素複合体の製造においては、まず、平板状の炭化珪素多孔体(SiCプリフォーム)を形成する。これの製造方法に関して特に制限はなく、公知の方法で製造することが可能である。例えば、原料である炭化珪素(SiC)粉末にシリカ若しくはアルミナ等を結合材として添加して混合、成形し、800℃以上で焼成することによって製造することができる。なお、ここで、原料としてシリカやアルミナ等を用いてよいように、炭化珪素多孔体は、化学成分として炭化珪素のみにより構成されずともよく、例えば全体の50質量%以上が炭化珪素により構成されていればよい。
成形方法についても特に制限は無く、プレス成形、押し出し成形、鋳込み成形等を用いることができ、必要に応じて保形用バインダーの併用が可能である。
実用的には、平均粒子径が好ましくは40μm以上の粗いSiC粒子を40質量%以上含み、SiCプリフォームの相対密度が好ましくは55%以上75%以下の範囲にあるものが好適である。炭化珪素多孔体(SiCプリフォーム)の強度は、取り扱い時や含浸中の割れを防ぐため、曲げ強度で3MPa以上あることが好ましい。平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(例えば日本電子社製「JSM−T200型」)と画像解析装置(例えば日本アビオニクス社製)を用い、1000個の粒子について求めた径の平均値を算出することによって測定することができる。また、相対密度は、アルキメデス法等によって測定することができる。
具体的には、(i)平均粒子径40μm以上150μm以下のSiC粗粉と、(ii)平均粒子径5μm以上15μm以下のSiC微粉を混合した混合粉末が好適である。ここで、混合粉末中の(i)と(ii)の量比は、好ましくは、(i)が40質量%以上80質量%以下、(ii)が20質量%以上60質量%以下である。
ただし、酸化性雰囲気中では、1100℃を超える温度で焼成すると、SiCの酸化が促進され、金属−炭化珪素複合体の熱伝導率が低下してしまう場合がある。よって、酸化性雰囲気中では、1100℃以下の温度で焼成することが好ましい。
焼成時間は、炭化珪素多孔体(SiCプリフォーム)の大きさ、焼成炉への投入量、焼成雰囲気等の条件に合わせて適宜決めればよい。
高圧鍛造法等により、上記のようにして得られた炭化珪素多孔体(SiCプリフォーム)に、アルミニウムまたはマグネシウムを含む金属を含浸させ、金属−炭化珪素複合体を得ることができる。
アルミニウムまたはマグネシウムを含む金属(合金)を、炭化珪素多孔体(SiCプリフォーム)に含浸させて、金属−炭化珪素複合体を得る方法としては、例えば、下記方法がある。
一例として、含浸の際の金型として、SiCプリフォームの寸法よりも若干大きな寸法の金型を準備し、その金型内にSiCプリフォームを配置し、溶融金属を注入することで、表面金属層を設けることができる。
別の例として、アルミナ若しくはシリカからなる、繊維、球状粒子、及び破砕形状の粒子のうち1種以上を、SiCプリフォームの表面に直接接するように配置したうえで、金属を含浸させることでも、表面金属層を設けることができる。このとき、表面金属層中の、アルミナ若しくはシリカからなる繊維、球状粒子及び破砕形状の粒子のうちの1種以上からなる材料の含有量は、金属−炭化珪素複合体の質量に対して、好ましくは5質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
さらに別の例として、金属の薄板または薄膜をSiCプリフォームの表面に配置してから金属を含浸させる、SiCプリフォームの表面に予め溝などを付加しておくなどの方法によっても、表面金属層を設けることができる。
この点で、例えばシリコンを7質量%以上25質量%以下含有したアルミニウム合金が好ましく挙げられる。更にマグネシウムを0.2質量%以上5質量%以下含有させることで、炭化珪素粒と金属部分との結合がより強固になり好ましい。アルミニウム合金中のアルミニウム、シリコン、マグネシウム以外の金属成分に関しては、極端に特性が変化しない範囲であれば特に制限はなく、例えば銅等が含まれていてもよい。
加熱プレス工程では、例えば、図5(a)、図5(b)および図5(c)に示されるように、プレス凸型10とプレス凹型11とにより、金属−炭化珪素複合体1Aを挟み、加熱プレスする(加熱しながら押圧する)。これにより、所定の湾曲が付与された放熱部材1を得ることができる。
プレス凸型10の凸部の形態と、プレス凹型11の凹部の形態は、典型的には略同一である。つまり、典型的には、金属−炭化珪素複合体1Aを挟まずにプレス凸型10とプレス凹型11とを重ねた場合、プレス凸型10とプレス凹型11の間にすき間はほとんどできない。
適切な湾曲が付与された放熱部材1が得られる限り、加熱プレスの時間も特に限定されない。しかしながら、金属−炭化珪素複合体1Aに対して確実に湾曲を付与する等の観点から、例えば、金属−炭化珪素複合体1A自体の温度が450℃以上となる時間が、30秒以上となることが好ましく、30秒以上300秒以下となることがより好ましい。
つまり、適切な湾曲が付与された放熱部材1を得るためには、適切な形状のプレス凸型10とプレス凹型11を用いることに加え、加熱プレスの温度および時間、加熱プレス後の冷却の具体的方法などを適切に調整・最適化することが重要である。なお、ここでの調整・最適化は、何度かの予備実験により湾曲の傾向を把握するようにすれば、さほど難しいことではない。
例えば、ネジ止め用の孔を設ける工程を含んでもよい。具体的には、機械加工などにより、他の部品と接合するためのネジ止め用の孔を設けることができる。ネジ止め用の孔を設ける位置などについては既に述べたため省略する。
ネジ止め用の孔を設ける工程は、例えば、準備工程と加熱プレス工程の間に行うことができる。または、加熱プレス工程の後に行うことができる。
例えば、機械的加工により放熱部材1の主面2Aおよび/または主面2Bの湾曲形状を微調整し、これにより一層パワー素子と接続をしやすくしたり、放熱フィンとの接合性を一層高めたりすることができる。
また例えば、放熱部材1の表面(主面2A、2B等)を研磨することで、その表面粗さを適切に調整し、パワー素子の接続性や放熱フィン等との接合性を一層高めることも考えられる。
[実施例1]
(炭化珪素多孔体の作成)
炭化珪素粉末A(大平洋ランダム株式会社製:NG−150、平均粒径:100μm) 300g、炭化珪素粉末B(屋久島電工株式会社製:GC−1000F、平均粒径:10μm)150g、および、シリカゾル(日産化学工業株式会社製:スノーテックス)30gを撹拌混合機で30分混合した。得られた混合物を178mm×128mm×5.5mmの金型へ投入し、10MPaの圧力でプレス成形した。これを大気中で温度900℃にて2時間焼成し、炭化珪素多孔体を得た。
なお、以下の工程のために、同様の炭化珪素多孔体を30枚作製した。
上記のブロックを、電気炉で温度600℃に予備加熱した。その後、そのブロックを、あらかじめ加熱しておいた内寸400mmφ×300mmの空隙を有するプレス型内に収めた。
その後、珪素を12%、マグネシウムを1%含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなる組成を有する温度800℃のアルミニウム合金の溶湯をプレス型内に注ぎ、100MPaの圧力で20分間加圧した。これにより、炭化珪素多孔体にアルミニウム合金を含浸させ、アルミニウム−炭化珪素複合体を含む金属塊を得た。
得られた金属塊を、室温まで冷却し、その後、湿式バンドソーにて離型板の側面形状に沿って切断し、そして挟んだステンレス板を剥がした。
以上により、アルミニウム−炭化珪素複合体を得た。
得られたアルミニウム−炭化珪素複合体の外周をNC旋盤で加工し、縦横の大きさを180mm×130mmとした。その後、縁周部8カ所に直径7mmの貫通穴、4カ所にφ10−4mmの皿穴を加工した。
アルミニウム−炭化珪素複合体に湾曲を付与するため、プレス凸型とプレス凹型を準備した。具体的には、所望の湾曲形状を得るため、中心部の曲率半径が比較的小さく、中心部から離れた部分の曲率半径が比較的大きいプレス凸型とプレス凹型を準備した。
これらの凹凸型を加熱プレス機に装着し、加熱して型の表面温度を460℃とした。この凹凸型の間に上記のアルミニウム−炭化珪素複合体を配置し、そして40kPaでプレスした。この際、複合体の側面に熱電対を接触させて測温した。複合体の温度が450℃になった時点からそのまま3分間保持し、その後、加圧を解除し、室温まで自然冷却した。
以下構成のレーザー三次元形状測定機を用いて、主面2A、主面2B、それぞれの形状に関するデータを取得し、そのデータを解析することで、L、H、h、L'、H'およびh'を求めた(これらの記号の定義は前述のとおりである)。
装置:レーザー三次元形状測定機(以下4つの装置が一体となったもの)
XYθステージユニット:K2−300(神津精機株式会社製)
高精度レーザー変位計:LK−G500(株式会社キーエンス製)
モータコントローラ:SC−200K(神津精機株式会社製)
AD変換機:DL−100(神津精機株式会社製)
放熱部材の長辺および短辺の長さ、上記(湾曲の付与)におけるプレス凸型とプレス凹型の湾曲形状を変更したこと以外は、実施例1と同様にして放熱部材を作製した。そして、実施例1と同様にして、各種数値を測定した。
比較例1では、凹凸型の湾曲形状を変更したこと以外は、実施例1と同様の工程により放熱部材を作製した。
念のため述べておくと、表1に記載のL、H、hなどの値は、放熱部材の内側方向に凸に湾曲している方の主面(他方の主面、図1の(b)の主面2B)についての値である。
放熱部材の外側方向に凸に湾曲している方の主面(一方の主面、図1の(b)の主面2A)の湾曲度合に関する数値自体は表1には記載していないが、湾曲の方向が逆であること以外は、おおよそ同様の湾曲形状を有していた。具体的には、図2の「主面2B」を「主面2A」とした図を考え、hを測定したところ、(主面2Bにおけるh)/(主面2Aにおけるh)の値はほぼ1.0であった。
各実施例または比較例の放熱部材を10個ずつ準備し、それらに模擬的なパワー素子を接続することで、模擬パワーモジュール用基板を製造した。
製造の具体的な手順としては、パワーモジュールの製造に通常用いられている装置を利用して、各実施例または比較例の放熱部材の2つの主面のうち、主面2B上の特定の6箇所に、セラミックス基板(セラミックス板の両面に銅、アルミニウム等の金属層が設けられた基板)をはんだ付けした。これにより模擬パワーモジュール用基板を得た。
その後、模擬パワーモジュールとするため、模擬パワーモジュール用基板に対し、ケース付、樹脂封止、蓋付を行い、模擬パワーモジュールを得た。
各実施例の放熱部材を用いて製造した模擬パワーモジュール全てにおいて、量産上問題となりうる不具合は存在しなかった。
2A 主面(一方の主面)
2B 主面(他方の主面)
1A 金属−炭化珪素複合体
10 プレス凸型
11 プレス凹型
Claims (8)
- アルミニウムまたはマグネシウムを含む金属−炭化珪素複合体を備えた板状の放熱部材であって、
当該放熱部材は実質的に矩形であり、
当該放熱部材の2つの主面のうち一方の主面は当該放熱部材の外側方向に凸に湾曲し、他方の主面は当該放熱部材の内側方向に凸に湾曲しており、
当該放熱部材を、当該放熱部材に略垂直で、かつ、前記他方の主面の2つの短辺の中点の両方を通る断面で断面視したときの、前記他方の主面が成す曲線Cにおいて、
曲線Cの両端点P1およびP2を通る直線をl1とし、
曲線C上でのl1との距離が最大となる点をPmaxとし、
Pmaxからl1に下ろした垂線とl1との交点をP3とし、
線分P1P3の中点をP4とし、
P4を通り、l1に垂直である直線と、曲線Cとの交点をPmidとし、
線分P1P3の長さをL、線分P3Pmaxの長さをH、線分P4Pmidの長さをhとしたとき、
(2h/L)/(H/L)が1.1以上である放熱部材。 - 請求項1に記載の放熱部材であって、
前記一方の主面および前記他方の主面は、アルミニウムまたはマグネシウムを含有する表面金属層を備える放熱部材。 - 請求項1または2に記載の放熱部材であって、
当該放熱部材を、当該放熱部材に略垂直で、かつ、前記他方の主面の2つの長辺の中点の両方を通る断面で断面視したときの、前記他方の主面が成す曲線C'において、
曲線C'の両端点P1'およびP2'を通る直線をl1'とし、
曲線C'上でのl1'との距離が最大となる点をPmax'とし、
Pmax'からl1'に下ろした垂線とl1'との交点をP3'とし、
線分P1'P3'の中点をP4'とし、
P4'を通り、l1'に垂直である直線と、曲線C'との交点をPmid'とし、
線分P1'P3'の長さをL'、線分P3'Pmax'の長さをH'、線分P4'Pmid'の長さをh'としたとき、
(2h'/L')/(H'/L')が1.1以上である放熱部材。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の放熱部材であって、
前記H/Lの値が5.0×10−4以上6.0×10−3以下である放熱部材。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の放熱部材であって、
周縁部に貫通孔が設けられている放熱部材。 - 請求項5に記載の放熱部材であって、
前記貫通孔は、当該放熱部材の長辺の周縁部に設けられている放熱部材。 - 請求項6に記載の放熱部材であって、
4個以上の貫通孔が、当該放熱部材の長辺の周縁部に設けられている放熱部材。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の放熱部材の製造方法であって、
アルミニウムまたはマグネシウムを含む金属−炭化珪素複合体を準備する準備工程と、
前記金属−炭化珪素複合体を凹凸型で挟み加熱プレスする加熱プレス工程と
を含む放熱部材の製造方法。
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