JP2020122556A - 多点接触玉軸受 - Google Patents

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菊池 文
Fumi Kikuchi
文 菊池
迫田 裕成
Hiroshige Sakota
裕成 迫田
佑太 千原
Yuta CHIHARA
佑太 千原
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Abstract

【課題】軸受からの保持器の抜けを防止することができ、アキシアル荷重の負荷側の許容負荷容量が大きな多点接触玉軸受を提供する。【解決手段】多点接触玉軸受10では、負荷側の接触角θ1は、反負荷側の接触角θ2より大きい。内輪20では、負荷側の肩部22の外径D1が、反負荷側の肩部23の外径D2より大きく、外輪30では、反負荷側の肩部32の内径D3が、負荷側の肩部33の内径D4より大きい。冠型保持器50は、内周面に径方向に突出する抜け止め部56を備え、抜け止め部56は、内輪20の反負荷側の肩部23の外周面に形成された凹溝24に係合する。【選択図】図1

Description

本発明は、多点接触玉軸受に関し、より詳細には、一方向荷重のクラッチアクチュエータやブレーキアクチュエータなどに使用される、ナットを回転させるタイプのボールねじを支持するのに好適な多点接触玉軸受に関する。
電動アクチュエータにはさまざまな種類があるが、ボールねじを用いたアクチュエータは摩擦が低く効率が良い為、電動で油圧を発生させるアクチュエータ等に使用される。
ブレーキアクチュエータ用ボールネジを支持する軸受は、例えば、特許文献1に記載されているように、ナットの外径に配置され、ブレーキ作動時にボールネジが推力を発生させるとその反力をアキシアル荷重として受ける。該軸受に作用するアキシアル荷重は、ブレーキ押圧時において発生する一方向への負荷が主であり、ブレーキ戻り側(他方向)にはアキシアル荷重はほとんど負荷されない。また、ベルトによりナットが駆動される場合には、ベルトから入力されるラジアル荷重も受ける。
従来、アキシアル荷重負荷側の溝肩高さを高くすることで、アキシアル荷重負荷側の許容負荷容量を大きくした軸受が提案されている。その際、荷重負荷側の溝肩高さを高くすると、玉の組み込みがし難くなるため、荷重負荷側の溝肩高さを高くした分、反負荷側の溝肩高さを低くして組立性の向上が図られている(例えば、特許文献2、3参照)。
特許文献2に記載の多点接触玉軸受では、内輪及び外輪の軌道溝がゴシックアーチ状断面になっており、軌道溝中心に対してそれぞれの軌道溝の曲率中心又は曲率が異なっており、ボールが4点で接触する。また、内輪の軌道溝の両側の一方の内輪側肩部の外径が他方の内輪側肩部の外径より大きく、外輪の軌道溝の両側の一方の外輪側肩部の内径が、他方の外輪側肩部の内径より大きい。また、特許文献3には、内輪および外輪の軌道溝の両側に肩部が形成され、一方の接触角が0°〜5°、他方の接触角が35°〜45°であり、ラジアル荷重だけでも使用することが可能なアンギュラ玉軸受が開示されている。
特許第5293887号公報 特開2006−118591号公報 特開2016−44756号公報
ところで、荷重負荷側と反負荷側の溝肩高さが異なる軸受に冠型保持器を使用する場合では、保持器が玉のピッチ円直径(以下、PCDとも言う)の位置から内径側、もしくは外径側にオフセットされた位置に配置されるため、保持器(特に冠型保持器)による玉の抱え込みが小さくなって保持器が軸受から抜け易くなる虞がある。また、溝肩高さが低い反負荷側では、玉の肩部への乗り上げも不利になる。さらに、接触角が異なる軸受にラジアル荷重が負荷されると、接触角の違いによるすべりが発生して、玉の進み遅れ(玉の保持器に対する相対運動)が生じることが懸念される。特許文献2、3に開示されている多点接触玉軸受では、保持器についての記載がなく、軸受からの保持器の抜けや、玉の進み遅れについて検討されておらず、改善の余地があった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸受からの保持器の抜けを防止することができ、荷重負荷側の許容負荷容量が大きな多点接触玉軸受を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 外周面に内輪軌道溝を有する内輪と、
内周面に外輪軌道溝を有する外輪と、
前記内輪軌道溝及び前記外輪軌道溝間に転動自在に配置された複数の玉と、
前記玉を回転自在に保持する複数のポケットを有する樹脂製の冠型保持器と、
を備え、一方の接触角が他方の接触角よりも大きい状態で、前記玉が前記内輪及び前記外輪と3点又は4点で接触する多点接触玉軸受であって、
前記内輪は、前記一方の接触角をなす接触点に近い側である負荷側の肩部の外径が、前記他方の接触角をなす接触点に近い側である反負荷側の肩部の外径より大きく、
前記外輪は、前記反負荷側の肩部の内径が、前記負荷側の肩部の内径より大きく、
前記複数の玉及び前記冠型保持器が組み付けられていない状態で、前記内輪を前記外輪に対して径方向に相対移動させ、前記内輪の外周面と前記外輪の内周面とを当接させた際に形成される径方向最大隙間は、玉径よりも大きく、
前記冠型保持器は、その内周面と外周面の少なくとも一方に径方向に突出する抜け止め部を備え、
前記内輪の外周面と前記外輪の内周面の少なくとも一方には、前記抜け止め部と係合することで前記冠型保持器が軸受外へ抜け出ることを防止する凹溝を備える、多点接触玉軸受。
この構成によれば、組立性を悪化させずに、荷重負荷側の許容負荷容量を大きくでき、また、冠型保持器が玉のPCD位置から半径方向に外れた位置に配置されても、冠型保持器が玉軸受から脱落するのを防止することができる。
(2) 前記冠型保持器のポケットは、前記ポケットと前記玉の円周方向のポケット隙間が、軸方向のポケット隙間より大きい、(1)に記載の多点接触玉軸受。
この構成によれば、負荷側の接触角と反負荷側の接触角が異なる玉軸受にラジアル荷重が負荷された際に生じる玉の進み遅れを、ポケットと玉の円周方向のポケット隙間により吸収することができ、玉の挙動が安定する。
(3) 前記冠型保持器の隣り合う柱部によって形成される前記ポケットの両側面は、前記冠型保持器の軸方向から見たとき、互いの曲率中心が円周方向にずれており、且つ、互いの曲率半径が前記玉の半径よりも長い略円筒面状にそれぞれ形成されている、(1)に記載の多点接触玉軸受。
この構成によれば、負荷側の接触角と反負荷側の接触角が異なる軸受にラジアル荷重が負荷された際に生じる玉の進み遅れを、柱部の弾性変形により吸収することができる。
(4) 前記冠型保持器の隣り合う柱部によって形成される前記ポケットの両側面は、平面である、(1)に記載の多点接触玉軸受。
この構成によれば、負荷側の接触角と反負荷側の接触角が異なる軸受にラジアル荷重が負荷された際に生じる玉の進み遅れを、柱部の弾性変形により吸収することができる。
(5) 前記内輪軌道溝と前記内輪の両肩部の接続部、及び前記外輪軌道溝と前記外輪の両肩部の接続部は、曲面で接続される、(1)〜(4)のいずれかに記載の多点接触玉軸受。
この構成によれば、アキシアル荷重負荷により玉が肩部に乗り上げた場合に発生するエッジ面圧を抑制することができ、玉に生じるキズや圧痕を緩和することができる。
(6) 前記各負荷側の肩部は、前記玉径の20〜45%の溝底からの高さを有し、
前記各反負荷側の肩部は、前記玉径の5〜20%の溝底からの高さを有し、
前記内輪及び前記外輪は、それぞれ前記負荷側の肩部及び前記反負荷側の肩部の高さの合計が、前記玉径の50%以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載の多点接触玉軸受。
この構成によれば、反負荷側の肩部に作動する際の小さなアキシアル荷重を支えることができ、玉に対して内輪又は外輪が抜けないようにできる。
(7) 前記玉の中心が、径方向において、前記玉のピッチ円上に位置し、且つ、軸方向において、前記内輪及び外輪の軌道溝中心に位置すると共に、該玉の中心と前記冠型保持器のポケットの中心が一致した状態である、前記玉及び前記冠型保持器が中立位置にある状態において、前記玉の軸方向中心から前記冠型保持器の爪部の先端までの軸方向距離は、前記抜け止め部の反爪部側側面と前記凹溝の側面との軸方向距離よりも大きい、(1)〜(6)のいずれかに記載の多点接触玉軸受。
この構成によれば、負荷側のアキシアル荷重が作用し、内輪及び外輪が軸方向に相対移動した際でも、凹溝の側面が抜け止め部の反爪部側側面に当接することで、保持器が玉から離れず、保持器の玉軸受からの脱落をより確実に防止することができる。
本発明の多点接触玉軸受によれば、冠型保持器の内周面または外周面の少なくとも一方に、径方向に突出する抜け止め部を設け、内輪の外周面と外輪の内周面の少なくとも一方は、抜け止め部と係合することで冠型保持器が軸受外へ抜け出ることを防止する凹溝を備えることで、冠型保持器が玉のPCD位置から半径方向に外れた位置に配置されても、軸受からの冠型保持器の抜けを防止することができ、アキシアル荷重負荷側の許容負荷容量を大きくできる。
本発明の第1実施形態に係る多点接触玉軸受の要部断面図である。 図1に示す冠型保持器の斜視図である。 図1に示す内輪の拡大断面図である。 内輪及び外輪を径方向に当接させた状態を示す側面図である。 第1実施形態の変形例に係る多点接触玉軸受の要部断面図である。 図5の冠型保持器の斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る冠型保持器の斜視図である。 (a)は、従来の保持器のポケットと玉の関係を示す要部断面図、(b)は、図5に示す冠型保持器のポケットと玉の関係を示す要部断面図である。 (a)は、本発明の第3実施形態に係る冠型保持器の斜視図、(b)は、軸方向から見た玉とポケットの関係を示す要部断面図である。 第3実施形態の変形例の冠型保持器の斜視図である。
以下、本発明の各実施形態に係る多点接触玉軸受を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、第1実施形態の多点接触玉軸受10は、外周面に内輪軌道溝21を有する内輪20と、内周面に外輪軌道溝31を有する外輪30と、内輪軌道溝21及び外輪軌道溝31間に転動自在に配置される複数の玉40と、複数の玉40を回転自在に保持する複数のポケット53を有する冠型保持器50と、を備える。
なお、本実施形態では、内輪20及び外輪30はいずれも単一部材からなる。
内輪軌道溝21及び外輪軌道溝31はゴシックアーチ状断面になっており、軌道溝中心に対してそれぞれの軌道溝の曲率中心又は曲率が異なっている。また、主としてアキシアル荷重が負荷される側である一方の接触角θ1が、他方の接触角θ2よりも大きい状態で(θ1>θ2)、玉40は内輪軌道溝21及び外輪軌道溝31と3点又は4点で接触する。なお、接触角とは、玉40が内輪20及び外輪30とそれぞれ接触する2つの接触点を相互に結んだ作用線が、玉軸受10の中心軸に垂直な平面との間に成す所定の角度のことをいう。
内輪20は、内輪軌道溝21の左右両側に外周面が円筒面状の肩部22,23を備える。一方の接触角θ1をなす接触点に近い側である負荷側の肩部22の外径D1は、他方の接触角θ2をなす接触点に近い側である反負荷側の肩部23の外径D2より大きい。したがって、内輪軌道溝21では、負荷側の肩部22と反負荷側の肩部23とによって、負荷側の部分が反負荷側の部分よりも溝深さ違いΔDiだけ高くなる。
外輪30は、外輪軌道溝31の左右両側に内周面が円筒面状の肩部32,33を備える。一方の接触角θ1をなす接触点に近い側である負荷側の肩部32の内径D3は、他方の接触角θ2をなす接触点に近い側である反負荷側の肩部33の外径D4より大きい。したがって、外輪軌道溝31には、負荷側の肩部32と反負荷側の肩部33とによって、負荷側の部分が反負荷側の部分よりも溝深さ違いΔDoだけ高くなる。
上記内輪20及び外輪30の構成により、負荷側の許容負荷容量は、反負荷側の許容負荷容量より大きくなる。
内輪20の負荷側の肩部22は、玉径Dの20〜45%の溝底からの高さΔD1を有し、各反負荷側の肩部23は、玉径Dの5〜20%の溝底からの高さΔD2を有する。また、外輪30の負荷側の肩部33は、玉径の20〜45%の溝底からの高さΔD3を有し、反負荷側の肩部32は、玉径の5〜20%の溝底からの高さΔD4を有する。さらに、内輪20及び外輪30は、それぞれ負荷側の肩部22,33及び反負荷側の肩部23,32の高さの合計が、玉径Dの50%以下である。
これにより、玉軸受10は、アクチュエータがブレーキ戻り側に作動する際の小さなアキシアル荷重を支えることができ、玉40に対して内輪20又は外輪30が抜けないようにできる。
なお、本実施形態では、内輪20と外輪30の軸方向長さは同じであり、また、内輪軌道溝21及び外輪軌道溝31の各溝底の軸方向位置となる軌道溝中心は、軸方向(図中左側)にオフセットしている。このため、内輪20の反負荷側の肩部23は、負荷側の肩部22より長く、また、外輪30の負荷側の肩部33は、反負荷側の肩部32よりも長い。
ただし、本実施形態では、玉軸受10の組み立て条件として、図4に示すように、複数の玉40及び冠型保持器50が組み付けられていない状態で、内輪20を外輪30に対して径方向に相対移動させ、内輪20の外周面と外輪30の内周面とを当接させた際に形成される径方向最大隙間Gが、玉径Dよりも大きくなるように形成されている。この場合、内輪20の負荷側の肩部22の外周面と外輪30の反負荷側の肩部32の内周面が当接するか、或いは、内輪20の反負荷側の肩部23の外周面と外輪30の反負荷側の肩部33の内周面が当接する。
冠型保持器50は、射出成形により製作された樹脂製の保持器であり、円環状のリム部51と、リム部51の軸方向端面に円周方向に所定の間隔を有して配置され、軸方向に突出する複数の柱部52と、柱部52の先端部に形成される一対の爪部54と、を備える。ポケット53は、リム部51の軸方向端面と、爪部54を含む、隣り合う柱部52の対向する両側面によって形成され、また、一対の爪部54の各先端間に開口部55が形成される。
そして、開口部55から玉40を一対の爪部54を押し広げつつポケット53に押し込むことによって、ポケット53内に玉40が微小なポケットすきまを介して回転可能に保持される。
冠型保持器50は、内輪20及び外輪30の負荷側の肩部22,33が径方向に突出しているので、玉40のPCD位置に合わせて配設することができず、内径側、または外径側にオフセット(図1では、内径側にオフセット)されて組み付けられる。このため、冠型保持器50による玉40の抱え込み深さが浅くなり、保持器50が玉軸受10から抜けやすくなる。なお、図1中、PCDは、玉40のピッチ円直径の位置を表し、Cは、冠型保持器50の径方向中間位置を表す。
このため、本実施形態では、リム部51の内周面には、径方向内側に突出する複数の抜け止め部56が形成される。また、内輪20の反負荷側の肩部23には、抜け止め部56が係合することで冠型保持器50が軸受外へ抜け出ることを防止する凹溝24が円周方向全周に亘って形成されている。したがって、抜け止め部56を凹溝24に係合させることで、保持器50の玉軸受10からの脱落を防止している。
抜け止め部56は、内輪20の反負荷側の肩部23を乗り越えて凹溝24に係合するため、挿入性の観点から、爪部側の軸方向側面56aは、傾斜面で構成されている。また、凹溝24も、抜け止め部56の形状に対応して、断面略台形形状に形成される。また、凹溝24は、抜け止め部56の軸方向移動を許容するように、抜け止め部56との間に軸方向隙間を持って係合している。なお、図2では、抜け止め部56は、柱部52の円周方向中間位置に、すべての柱部52に形成されているが、抜け止め部56の数は、2つ以上であればよく、3つ以上が好ましい。また、抜け止め部56の位置はリム部51の内周面に限定されず、柱部52の根元部分に設けることもできる。
また、図1に示すように、玉40及び冠型保持器50が中立位置にある状態において、玉40の中心Oから冠型保持器50の爪部34の先端までの軸方向距離aは、抜け止め部56の反爪部側側面56bと凹溝24の側面との軸方向距離bよりも大きく設定されている。なお、玉40及び冠型保持器50が中立位置にあるとは、玉40の中心Oが、径方向において、玉40のピッチ円上に位置し、且つ、軸方向において、内輪20及び外輪30の軌道溝中心に位置すると共に、該玉40の中心と冠型保持器50のポケットの中心(本実施形態では、ポケット53の曲率中心)が一致した状態とする。a<bの条件を満たすことで、負荷側のアキシアル荷重が作用し、内輪20及び外輪30が軸方向に相対移動した際でも、凹溝24の側面が抜け止め部56の反爪部側側面56bに当接することで、保持器50が玉40から離れず、保持器50の玉軸受10からの脱落をより確実に防止することができる。
冠型保持器50の樹脂としては、例えば、ナイロン46やナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリ4弗化エチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。また、これに限定されず、冠型保持器50に必要な強度、耐熱性などの特性を有する材料であればよく、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルニトリル(PEN)等であってもよい。
また、冠型保持器50の剛性、寸法精度、及び耐摩耗性の向上のために、必要に応じて、樹脂に、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維などの強化材を添加してもよい。
さらに、軸受に入力される荷重の方向によっては玉40の進み遅れが発生し、保持器50の円周方向の剛性を下げたい場合もある。そのような場合には、上述した剛性の高い樹脂材料だけでなく、エラストマーや、エラストマーと樹脂材料との混合材料、及び柔軟性のある樹脂を保持器50に使用してもよい。
また、図3に示すように、内輪20において、内輪軌道溝21と両肩部22,23との接続部25,26は、曲面で接続される。外輪30においても、外輪軌道溝31と両肩部32,33との接続部35,36は、曲面で接続されている(図1参照)。これにより、多点接触玉軸受10にアキシアル荷重が負荷されたとき、玉40が肩部22,23,32,33に乗り上げた場合に発生するエッジ面圧を抑制することが可能となり、玉40に生じるキズや圧痕を緩和することができる。
以上説明したように、負荷側の接触角θ1が反負荷側の接触角θ2よりも大きい、本実施形態の多点接触玉軸受10によれば、内輪20は、負荷側の肩部22の外径D1が、反負荷側の肩部23の外径D2より大きく、外輪30は、反負荷側の肩部32の内径D3が、負荷側の肩部33の内径D4より大きいので、組立性を悪化させずに、アキシアル荷重負荷側の許容負荷容量を大きくすることができる。また、冠型保持器50の内周面に径方向に突出する抜け止め部56が内輪20の外周面に形成された凹溝24に係合しているので、冠型保持器50が玉40のPCD位置から半径方向に外れた位置に配置されても、保持器50の玉軸受10からの脱落を防止することができる。
なお、図5及び図6に示す本実施形態の変形例のように、冠型保持器50Aは、リム部51の内周面に形成された複数の抜け止め部56に加えて、リム部51の外周面にも径方向外側に突出する複数の抜け止め部57を形成してもよい。また、外輪30は、負荷側の肩部33に、抜け止め部57と係合することで冠型保持器50Aが軸受外へ抜け出ることを防止する凹溝34を有する。
この場合、抜け止め部57も、外輪30の負荷側の肩部33を乗り越えて凹溝34に係合するため、挿入性の観点から、爪部側の軸方向側面34aは、傾斜面で構成されている。また、凹溝34も、抜け止め部57の形状に対応して、断面略台形形状に形成される。
これにより、より確実に、保持器50の玉軸受10からの脱落を防止できる。
特に、抜け止め部56、57は、軸方向における互いの位置を異ならせてもよく、これにより、回転中の抜け止め機能をより向上することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の冠型保持器について、図7及び図8を参照して説明する。本実施形態の冠型保持器50Bでは、抜け止め部56と凹溝24による前述した保持器の脱落を防止する構成に加えて、以下に説明する、玉40の進み遅れを吸収する構成を備える。
第1実施形態で説明したように、アキシアル荷重負荷側の接触角θ1と、反負荷側の接触角θ2とが異なる多点接触玉軸受10では、ラジアル荷重が負荷されると、接触角の違いに起因してすべりが発生し、玉40に進み遅れが生じる可能性がある。例えば、図7(a)に示すように、第1実施形態の冠型保持器50では、玉40とポケット53のポケット隙間Cは、全方向で略一定隙間となっている。このため、玉40の進み遅れが発生した場合、ポケット隙間Cの大きさによっては、玉40の動きが冠型保持器50のポケット53によって規制されて滑らかな動きが制限される場合がある。
これに対して、本実施形態の冠型保持器50Bでは、図7及び図8(b)に示すように、ポケット53と玉40の円周方向のポケット隙間C1は、軸方向のポケット隙間C2より大きくなっている。これにより、接触角の違いに起因する玉40に進み遅れをポケット53と玉40との円周方向のポケット隙間C1で吸収することができ、玉40が安定して回転可能となる。ただし、第1実施形態と同様に、一対の爪部54の各先端間に形成される開口部55の幅Wは、玉40の直径Dよりも小さい。
なお、本実施形態では、軸方向のポケット隙間C2は、径方向のポケット隙間(図示せず)より大きくなっていることが好ましい。
その他の構成及び作用については、第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の冠型保持器について、図9を参照して説明する。本実施形態の冠型保持器50Cは、図9(b)に示すように、冠型保持器50Cを軸方向から見たときのポケット53の両側面53a,53bの形状が、底部53cまで互いの曲率中心O1,O2が玉40の中心Oに対して円周方向にずれた略円筒面状にそれぞれ形成されている。また、ポケット53の向かい合う両側面53a,53bの曲率半径rは、玉40の半径より大きい。なお、この場合も、一対の爪部54の各先端間に形成される開口部55の幅は、玉40の直径Dよりも小さい。
これにより、柱部52の剛性が弱められ、柱部52が弾性変形して(特に、円周方向に変形)、接触角の違いに起因する玉40に進み遅れを吸収可能にしている。
図10は、第3実施形態の変形例に係る冠型保持器の斜視図である。図10に示すように、本実施形態の冠型保持器50Dは、ポケット53の向かい合う両側面53a,53bのリム部51側の部分、及びリム部51の底部53cが平面に形成され、両側面53a,53bの開口部55側の部分が球状に形成されている。また、リム部51は薄く形成されている。この場合も、ポケット53の開口部55の幅Wは、玉40の直径Dよりも小さい。
これにより、柱部52の剛性が弱められ、柱部52が弾性変形して(特に、円周方向に変形)、接触角の違いに起因する玉40に進み遅れを吸収可能にしている。
その他の構成及び作用については、第1実施形態と同様である。
尚、本発明は、前述した各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施形態では、冠型保持器50のリム部51は、内輪20の反負荷側の肩部23と、外輪30の負荷側の肩部33との間に配置されているが、内輪20の負荷側の肩部22と、外輪30の反負荷側の肩部32との間に配置されてもよい。この場合、冠型保持器50は、玉40のPCD位置よりも外径側にオフセットされ、また、冠型保持器50の抜け止め部の位置に対応して、内輪20の負荷側の肩部22の外周面と、外輪30の反負荷側の肩部32の内周面の少なくとも一方に凹溝24が形成される。
10 多点接触玉軸受
20 内輪
21 内輪軌道溝
22 内輪の負荷側の肩部
23 内輪の反負荷側の肩部
24 凹溝
25,26,35,36 接続部
30 外輪
31 外輪軌道溝
32 外輪の反負荷側の肩部
33 外輪の負荷側の肩部
40 玉
50,50A,50B,50C,50D 冠型保持器
52 柱部
53 ポケット
56,57 抜け止め部
C1 円周方向のポケット隙間
C2 軸方向のポケット隙間
D 玉径
D1 内輪の負荷側の肩部の外径
D2 内輪の反負荷側の肩部の外径
D3 外輪の反負荷側の肩部の内径
D4 外輪の負荷側の肩部の内径
θ1 負荷側の接触角
θ2 反負荷側の接触角

Claims (7)

  1. 外周面に内輪軌道溝を有する内輪と、
    内周面に外輪軌道溝を有する外輪と、
    前記内輪軌道溝及び前記外輪軌道溝間に転動自在に配置された複数の玉と、
    前記玉を回転自在に保持する複数のポケットを有する樹脂製の冠型保持器と、
    を備え、一方の接触角が他方の接触角よりも大きい状態で、前記玉が前記内輪及び前記外輪と3点又は4点で接触する多点接触玉軸受であって、
    前記内輪は、前記一方の接触角をなす接触点に近い側である負荷側の肩部の外径が、前記他方の接触角をなす接触点に近い側である反負荷側の肩部の外径より大きく、
    前記外輪は、前記反負荷側の肩部の内径が、前記負荷側の肩部の内径より大きく、
    前記複数の玉及び前記冠型保持器が組み付けられていない状態で、前記内輪を前記外輪に対して径方向に相対移動させ、前記内輪の外周面と前記外輪の内周面とを当接させた際に形成される径方向最大隙間は、玉径よりも大きく、
    前記冠型保持器は、その内周面と外周面の少なくとも一方に径方向に突出する抜け止め部を備え、
    前記内輪の外周面と前記外輪の内周面の少なくとも一方は、前記抜け止め部と係合することで前記冠型保持器が軸受外へ抜け出ることを防止する凹溝を備える、多点接触玉軸受。
  2. 前記冠型保持器のポケットは、前記ポケットと前記玉の円周方向のポケット隙間が、軸方向のポケット隙間より大きい、請求項1に記載の多点接触玉軸受。
  3. 前記冠型保持器の隣り合う柱部によって形成される前記ポケットの両側面は、前記冠型保持器の軸方向から見たとき、互いの曲率中心が円周方向にずれており、且つ、互いの曲率半径が前記玉の半径よりも長い略円筒面状にそれぞれ形成されている、請求項1に記載の多点接触玉軸受。
  4. 前記冠型保持器の隣り合う柱部によって形成される前記ポケットの両側面は、平面である、請求項1に記載の多点接触玉軸受。
  5. 前記内輪軌道溝と前記内輪の両肩部の接続部、及び前記外輪軌道溝と前記外輪の両肩部の接続部は、曲面で接続される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多点接触玉軸受。
  6. 前記各負荷側の肩部は、前記玉径の20〜45%の溝底からの高さを有し、
    前記各反負荷側の肩部は、前記玉径の5〜20%の溝底からの高さを有し、
    前記内輪及び前記外輪は、それぞれ前記負荷側の肩部及び前記反負荷側の肩部の高さの合計が、前記玉径の50%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多点接触玉軸受。
  7. 前記玉の中心が、径方向において、前記玉のピッチ円上に位置し、且つ、軸方向において、前記内輪及び外輪の軌道溝中心に位置すると共に、該玉の中心と前記冠型保持器のポケットの中心が一致した状態である、前記玉及び前記冠型保持器が中立位置にある状態において、前記玉の軸方向中心から前記冠型保持器の爪部の先端までの軸方向距離は、前記抜け止め部の反爪部側側面と前記凹溝の側面との軸方向距離よりも大きい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多点接触玉軸受。
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