JP2020121957A - 変形性関節症の予防又は治療剤、及び医薬組成物 - Google Patents

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康晴 中島
幸穂 赤崎
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幸穂 赤崎
卓也 居石
Takuya Sueishi
卓也 居石
徳雄 後藤
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徳雄 後藤
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Ichiro Kurakazu
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政和 遠矢
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【課題】変形性関節症の進行を抑制できる新規の変形性関節症の予防又は治療剤及び前記変形性関節症の予防又は治療剤を含む医薬組成物を提供する。【解決手段】変形性関節症の予防又は治療剤は、Gタンパク質共役型受容体キナーゼ5阻害剤を有効成分として含有する。変形性関節症の予防又は治療用医薬組成物は、前記変形性関節症の予防又は治療剤、及び薬学的に許容可能な担体を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、変形性関節症の予防又は治療剤、及び医薬組成物に関する。
変形性関節症(Osteoarthritis;OA)は、軟骨が変性及び摩耗する病気であり、中でも、変形性膝関節症(以下、「膝OA」と略記する場合がある)は、高齢者の生活の質(QOL)を低下させ、健康寿命を脅かす代表的な疾患である。2010年時点で、日本国内における膝OAの有症状患者数は800万人と推定されている(ROAD(Research on Osteoarthritis Against Disability)プロジェクト調べ)。
現在のOAに対する薬物療法は、疼痛を和らげる対症療法が主体であり、ヒアルロン酸注射やステロイド注射が臨床で一般的に行われている(例えば、非特許文献1参照)。
川口 浩著、「変形性関節症治療の国内外のガイドライン」、日本関節病学会誌、35巻、1号、第1〜9頁、2016年。
ヒアルロン酸注射は、抗炎症効果があるとの報告もされているが、根本的な治療法ではない。ステロイド注射は、炎症抑制効果に非常に優れるが、副作用の観点から使用可能な患者が限られ、頻回使用することができない。
近年、OAに対する薬物療法として、基質分解酵素の阻害薬が新規治療薬の候補として検証されているが、OAの病態形成の制御に単独では十分な効果を得ることができていない。
これらのことから、OAの進行を抑制できる根本的な治療薬の開発は喫緊の課題である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、OAの進行を抑制できる新規のOAの予防又は治療剤及び前記変形性関節症の予防又は治療剤を含む医薬組成物を提供する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、変形性膝関節症患者由来の軟骨細胞においてGタンパク質共役型受容体キナーゼ5(GRK5)が高発現していることを明らかにし、GRK5の働きを阻害することで、変形性関節症の進行を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係る変形性関節症の予防又は治療剤は、GRK5阻害剤を有効成分として含有する。
GRK5阻害剤が下記一般式(I)で示される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物であってもよい。
(一般式(I)中、環Aは置換されていてもよい。R11は、水素原子、アルキル基、フェニル基、アミノ基、カルボキシ基又は水酸基である。)
GRK5阻害剤が下記一般式(I−1)で示される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物であってもよい。
(一般式(I−1)中、R111は、水素原子、アルキル基、フェニル基、アミノ基、カルボキシ基又は水酸基である。R112は、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基又は水酸基である。)
GRK5阻害剤がアンレキサノクスであってもよい。
変形性関節症が変形性膝関節症であってもよい。
本発明の第2態様に係る変形性関節症の予防又は治療用医薬組成物は、上記第1態様に係る変形性関節症の予防又は治療剤、及び薬学的に許容可能な担体を含む。
上記態様のOAの予防又は治療剤によれば、OAの進行を抑制できることができる。上記態様のOAの予防又は治療用医薬組成物は、前記OAの予防又は治療剤を含み、OAの進行を抑制できることができる。
実施例1におけるヒト正常軟骨細胞及びヒトOA軟骨細胞のGRK5に対する免疫染色像である。スケールバーは100μmを示す。上の染色像の倍率は40倍であり、下の染色像の倍率は100倍である。下の染色像は、上の染色像において四角で囲まれた部分の拡大像である。 実施例1におけるヒト正常軟骨細胞及びヒトOA軟骨細胞中のGRK5陽性細胞の割合を示すグラフである。 実施例2におけるトランスフェクションを行ったヒトOA軟骨細胞でのOAの病態形成に関わる各遺伝子の相対発現量を示すグラフである。 実施例2におけるトランスフェクションを行ったヒトOA軟骨細胞でのNF−κBの転写活性を示すグラフである。 実施例3における野生型マウス及びGRK5ノックアウト(KO)マウスから採取された軟骨細胞でのOAの病態形成に関わる各遺伝子の相対発現量を示すグラフである。 実施例3における野生型マウス及びGRK5KOマウスから採取された軟骨細胞での抗IκBα抗体、抗リン酸化IκBα抗体及び抗GAPDH抗体を用いたウエスタンブロッティングの結果を示す図である。 実施例3におけるIκBαに対するリン酸化IκBαの割合の経時変化を示すグラフである。 実施例3における野生型マウス及びGRK5KOマウスから採取された軟骨細胞での抗p65抗体、抗GAPDH抗体及び抗Lamin B1抗体を用いたウエスタンブロッティングの結果を示す図である。 実施例3におけるLamin B1の発現量に対する核内移行したp65の割合の経時変化を示すグラフである。 実施例4における野生型マウス及びGRK5KOマウスの偽手術群及びDMM群の膝関節組織切片のサフラニンO−ファストグリーン染色像である。スケールバーは100μmを示す。 実施例4における野生型マウス及びGRK5KOマウスの偽手術群及びDMM群のOAの重症度を定量化したグラフである。 実施例5におけるアンレキサノクスを投与したヒトOA軟骨細胞でのOAの病態形成に関わる各遺伝子の相対発現量を示すグラフである。 実施例5におけるアンレキサノクスを投与したヒトOA軟骨細胞でのNF−κBの転写活性を示すグラフである。 実施例6におけるアンレキサノクス又は生理食塩水を投与した野生型マウスのDMM群の膝関節組織切片のサフラニンO−ファストグリーン染色像である。スケールバーは100μmを示す。 実施例6におけるアンレキサノクス又は生理食塩水を投与した野生型マウスのDMM群のOAの重症度を定量化したグラフである。 実施例6におけるアンレキサノクス又は生理食塩水を投与した野生型マウスのDMM群の膝関節組織切片の抗IL−6抗体を用いた蛍光免疫染色像である。右側の蛍光免疫染色像は、左の蛍光免疫染色像において四角で囲まれた部分の拡大像である。スケールバーは20μmを示す。 実施例6におけるアンレキサノクス又は生理食塩水を投与した野生型マウスのDMM群の膝関節組織切片のIL−6陽性細胞の割合を示すグラフである。 実施例6におけるアンレキサノクス又は生理食塩水を投与した野生型マウスのDMM群の膝関節組織切片の抗MMP13抗体を用いた蛍光免疫染色像である。右側の蛍光免疫染色像は、左の蛍光免疫染色像において四角で囲まれた部分の拡大像である。スケールバーは20μmを示す。 実施例6におけるアンレキサノクス又は生理食塩水を投与した野生型マウスのDMM群の膝関節組織切片のMMP13陽性細胞の割合を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」という)に係るOAの予防又は治療剤及び医薬組成物について、詳細を説明する。
≪OAの予防又は治療剤≫
本実施形態のOAの予防又は治療剤は、GRK5阻害剤を有効成分として含有する。
なお、本明細書において、「有効成分として含有する」とは、治療的に有効量のGRK5阻害剤を含有することを意味する。
本発明者らは、RNAシークエンス法を用いて、OAの病態形成に関わる因子をリストアップし、その中からGRK5に着目した。着目した理由としては、GRK5は、マクロファージを用いた研究において、転写因子NF−κB(nuclear factor−κB)シグナルを亢進していることが報告されている(参考文献1:「Patial S et al., “G-PROTEIN COUPLED RECEPTOR KINASES MEDIATE TNFα-INDUCED NFκB SIGNALING VIA DIRECT INTERACTION WITH AND PHOSPHORYLATION OF IκBα.”, Biochem J., Vol. 425, No.1, p169-178, 2010.」、参照)。具体的には、GRK5はNF−κBシグナルの抑制タンパク質であるIκBα(inhibitor of NF−κB)をリン酸化してIκBαの分解を促進することで、転写因子NF−κBシグナルを亢進している。また、これまでNF−κBは、OAの増悪因子であることが報告されている。本発明者らは、上記事実に基づき、後述する実施例に示すように、GRK5の機能阻害をインビトロ及びインビボにて検証した結果、OAの進行を抑制できることを明らかにし、GRK5をOAの病態形成に深く関わる因子として特定した。
ここで、OA(Osteoarthritis;変形性関節症)は、全身のあらゆる関節に起こり得る。特にOAの発症によりQOLの低下に繋がり、健康寿命を脅かす可能性が高い部位は、体を支える役割を担い、体重の負荷が大きい関節であり、具体的には、膝関節、股関節、脊椎等が挙げられ、それぞれ、変形性膝関節症(膝OA)、変形性股関節症、変形性脊椎症と呼ばれる。中でも、本実施形態のOAの予防又は治療剤は、変形性膝関節症に対して特に好適に用いられる。
また、OAは、その原因によって、一次性関節症と二次性関節症とに分けられる。一次性関節症は、原因は特定されていないが、肥満や加齢等の要因により発病したOAであると考えられている。変形性膝関節症の多くは、一次性関節症である。一方、二次性関節症は、病気やケガ等が原因で発症するOAである。発症原因として具体的には、例えば、関節リウマチ、痛風、骨折、靭帯や半月板の損傷、先天性の関節構造の異常等が挙げられる。変形性股関節症の多くは、二次性関節症である。中でも、本実施形態のOAの予防又は治療剤は、一次性関節症に対して特に好適に用いられる。
<GRK5阻害剤>
GRK5阻害剤としては、GRK5によるIκBαのリン酸化を阻害するものが挙げられる。GRK5阻害剤として具体的には、例えば、低分子化合物、GRK5発現阻害剤、GRK5特異的結合物質等が挙げられる。
[低分子化合物]
GRK5阻害剤である低分子化合物としては、例えば、下記一般式(I)で示される化合物(以下、「化合物(I)」と称する場合がある)等が挙げられる。化合物(I)は、GRK5阻害剤の一例であり、GRK5阻害剤はこれに限定されない。
(一般式(I)中、環Aは置換されていてもよい。R11は、水素原子、アルキル基、フェニル基、アミノ基、カルボキシ基又は水酸基である。)
(化合物(I))
化合物(I)は、1−アザキサントン−3−カルボン酸誘導体である。化合物(I)について、以下に詳細を説明する。
・環A
環Aで示されるベンゼン環は置換されていてもよい。環Aの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基等が挙げられる。また、置換基としては、環Aにおける6、7、8又は9位に存在する置換基のうち、隣接する2つの、炭素原子からなる置換基同士がベンゼン環を形成するブタジエニレン基(−CH=CH−CH=CH−)であってもよい。
前記アルキル基としては、鎖状であってもよく、環状であってもよい。鎖状アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。鎖状アルキル基は、炭素数1以上6以下のものが好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチルペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。中でも、実用上から、炭素数1以上3以下の低級アルキル基が好ましい。環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。
モノ又はジアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等の炭素数1以上3以下程度の低級アルキル基に置換されたアミノ基が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルキル基の部分が炭素数1以上4以下のアルキル基であるアルコキシ基が挙げられる。
環Aは、これらの置換基を1つ又は2つ以上有していてもよいが、中でも、1つ有することが好ましい。2つ以上の置換基を有する場合、置換基は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、これらの置換基は環Aの任意の位置に置換していてよいが、中でも、環Aの7位に置換していることが好ましい。
・R11
11は、水素原子、アルキル基、フェニル基、アミノ基、カルボキシ基又は水酸基である。前記アルキル基としては、炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
中でも、R11としては、アミノ基が好ましい。
好ましい化合物(I)として具体的には、例えば、下記一般式(I−1)で示される化合物(以下、「化合物(I−1)」と略記する場合がある)等が挙げられる。なお、化合物(I−1)は、好ましい化合物(I)の一例であり、好ましい化合物(I)はこれに限定されない。
(一般式(I−1)中、R111は、上記R11と同じである。R112は、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基又は水酸基である。)
・R111
111は、上記R11と同じである。中でも、R111としては、アミノ基が好ましい。
・R112
112は、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基又は水酸基である。ハロゲン原子、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アルキル基及びアルコキシ基としては、上記環Aの置換基として例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、R112としては、アルキル基が好ましく、炭素数1以上3以下の鎖状アルキル基がより好ましく、イソプロピル基がさらに好ましい。
好ましい化合物(I−1)としては、例えば、R111がアミノ基であり、R112がアルキル基であるもの等が挙げられる。
より好ましい化合物(I−1)としては、例えば、R111がアミノ基であり、R112が炭素数1以上3以下の鎖状アルキル基であるもの等が挙げられる。
好ましい化合物(I−1)として具体的には、例えば、下記式(I−1−1)で示される化合物(以下、「化合物(I−1−1)」と称する場合がある)等が挙げられる。なお、化合物(I−1−1)は、好ましい化合物(I−1)の一例であり、好ましい化合物(I−1)はこれに限定されない。
化合物(I−1−1)は、2−アミノ−7−イソプロピル−5−オキソ−5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−b]−ピリジン−3−カルボン酸であり、一般名アンレキサノクス(Amlexanox)と称される。アンレキサノクス(Amlexanox)は、IgE関与の肥満細胞からのヒスタミン遊離反応に対し強い抑制作用を示し、マクロファージからのロイコトリエン合成に対する抑制作用(SRS−A生成抑制作用)及びロイコトリエンに対する拮抗作用(SRS−A拮抗作用)を有することにより、強力な抗アレルギー作用、抗炎症作用を有することが知られている(参考文献2:「特開昭53−111096号公報」参照)。また、アンレキサノクスは、抗アレルギー剤として商品名「ソルファ(登録商標)」又は商品名「エリックス(登録商標)」にて、点鼻薬、点眼薬や錠剤の形態で、臨床上で使用されている。近年、アンレキサノクスがGRK5を選択的に阻害することが報告されている(参考文献3:「Homan KT et al., “Identification and Characterization of Amlexanox as a GProtein-Coupled Receptor Kinase 5 Inhibitor.”, Molecules, Vol. 19, p16937-16949, 2014.」参照)。アンレキサノクスは、これまで臨床上で使用されていることから、安全性が高いものと考えられ、本実施形態のOAの予防又は治療剤において、GRK5阻害剤として好適に用いられる。
また、化合物(I)の塩としては、無機酸の塩、有機酸の塩であって、化合物(I)の分離又は結晶化に適切な塩が挙げられる。化合物(I)の塩として具体的には、例えば、有機アミン塩、アルカリ金属塩、アンモニウム塩;薬学的に許容しうる塩等が挙げられる。
化合物(I)の薬学的に許容しうる塩としては、例えば、塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸二水素塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、イセチオン酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩等が挙げられる。
(化合物(I)の製造方法)
化合物(I)は、例えば、以下に示す方法を用いて製造することができる。
すなわち、下記一般式(Ia)に示される化合物(以下、「化合物(Ia)」と称する場合がある)に、活性メチレン化合物を反応させ、加水分解することにより化合物(I)を得ることができる(上記参考文献2、参照)。
(一般式(Ia)中、環Aは置換されていてもよい。)
反応に用いられる活性メチレン化合物としては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シアン酸メチル、シアン酸メチル、シアノアセトアミド、マロンニトリル、オキサロ酢酸エチルエステル、マロン酸ジエチルエステル、マロン酸ジメチルエステル、ベンゾイル酢酸エチル、メチル−3−オキソ−n−カプロエート等が挙げられる。これらの活性メチレン化合物の使用量は、通常化合物(Ia)1モルに対して、1モル以上10モル以下程度である。
上記反応は、一般に塩基の存在下で行われることが望ましく、用いられる塩基としては、有機アミン類が挙げられる。有機アミン類として具体的には、例えば、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、複素環塩基等が挙げられる。第一級アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン等が挙げられる。第二級アミンとしては、例えば、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン等が挙げられる。第三級アミンとしては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、トリエチルアミン等が挙げられる。複素環塩基としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。塩基の使用量は、通常化合物(Ia)1モルに対して、触媒量以上5モル以下である。
上記反応は、一般に有機溶媒中で行われることが好ましく、用いられる溶媒としては、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
反応温度、反応時間等、その他反応条件に特に制限はないが、室温以上用いた溶媒の沸点付近の温度以下で、約1時間以上24時間以下程度反応させるのが一般的である。
以上のようにして得られる化合物を加水分解することにより、化合物(I)が得られる。加水分解の条件としては、通常の酸性加水分解法が用いられる。例えば、硫酸、塩酸、リン酸等を過剰に用い、その酸のみで、或いは、有機溶媒と共に、通常、50℃以上150℃以下の温度で加熱することにより行われる。加水分解に用いられる有機溶媒としては、例えば、有機酸類、アルコール類等が挙げられる。有機酸類としては、例えば、ギ酸、酢酸等が挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。反応時間は、目的とする化合物(I)の種類により異なるが、通常1時間以上数日間以下程度である。
また、化合物(I)は、例えば、以下に示す方法を用いても製造することができる。
すなわち、化合物(Ia)に、アセチレンカルボン酸類を反応させて、加水分解することにより化合物(I)を得ることができる。
反応に用いられるアセチレンカルボン酸類としては、例えば、アセチレンジカルボン酸ジメチルエステル、アセチレンジカルボン酸ジエチルエステル、プロピオール酸エチル等が挙げられる。プロピオール酸エチルを用いる場合には、中間に生じるアミノアクリレート誘導体を単離することもできるが、単離せずにそのまま閉環反応を行うことができる。これらのアセチレンカルボン酸類の使用量は、通常化合物(Ia)1モルに対して、1モル以上10モル以下程度である。
上記反応は、一般に塩基の存在下で行われることが望ましい。用いられる塩基としては、有機アミン類が挙げられる。有機アミン類としては、例えば、第二級アミン、第三級アミン、複素環塩基等が挙げられる。第二級アミンとしては、例えば、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。第三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。複素環塩基としては、例えば、ピリジン、キノリン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。これら塩基の使用量は、通常化合物(Ia)1モルに対して、触媒量以上10モル以下程度である。
上記反応は、一般に有機溶媒中で行われることが好ましく、用いられる溶媒としては、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
反応温度、反応時間等、その他反応条件に特に制限はないが、室温以上用いた溶媒の沸点付近の温度以下で、約1時間以上24時間以下程度反応させるのが一般的である。
以上のようにして得られる化合物を加水分解することにより、化合物(I)が得られる。加水分解の条件としては、上記に記載の条件を用いることができる。
また、R11がカルボキシ基である化合物(I)を、脱炭酸反応を起こす温度よりもやや高めの温度で、無溶媒のまま加熱することにより、R11が水素原子である化合物(I)が得られる。
また、化合物(I)と、有機アミン類、アルカリ金属の水酸化物又はアンモニア等とを適宜溶媒中で混合及び加熱する等の公知の方法で反応させることで、化合物(I)の有機アミン塩、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩を得ることができる。
[GRK5発現阻害剤]
GRK5発現阻害剤としては、例えば、siRNA、shRNA、miRNA、リボザイム、アンチセンス核酸、低分子化合物等が挙げられる。これらのGRK5発現阻害剤を投与することにより、GRK5の発現量を低下させて、NF−κBシグナルを抑制することができる。その結果、炎症系サイトカインや基質酵素の発現が抑制され、OAの進行を抑制することができる。すなわち、これらのGRK5発現阻害剤の投与により、OAを予防又は治療することができる。
siRNA(small interfering RNA)は、RNA干渉による遺伝子サイレンシングのために用いられる21塩基対以上23塩基対以下の低分子2本鎖RNAである。細胞内に導入されたsiRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と結合する。この複合体はsiRNAと相補的な配列を持つmRNAに結合し切断する。これにより、配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。
siRNAは、センス鎖及びアンチセンス鎖オリゴヌクレオチドをDNA/RNA自動合成機でそれぞれ合成し、例えば、適当なアニーリング緩衝液中、90℃以上95℃以下程度で約1分程度変性させた後、30℃以上70℃以下程度で約1時間以上8時間以下アニーリングさせることにより調製することができる。
siRNA、shRNA、miRNA、リボザイム及びアンチセンス核酸は、安定性や活性を向上させるために、種々の化学修飾を含んでいてもよい。例えば、ヌクレアーゼ等の加水分解酵素による分解を防ぐために、リン酸残基を、例えば、ホスホロチオエート(PS)、メチルホスホネート、ホスホロジチオネート等の化学修飾リン酸残基に置換してもよい。また、少なくとも一部をペプチド核酸(PNA)等の核酸類似体により構成してもよい。
[GRK5特異的結合物質]
GRK5特異的結合物質としては、GRK5に特異的に結合してGRK5の機能を阻害するものが挙げられ、例えば、抗体、抗体断片、アプタマー等が挙げられる。抗体は、例えば、マウス等の動物に、GRK5タンパク質又はその断片を抗原として免疫することによって作製することができる。或いは、例えば、ファージライブラリーのスクリーニングにより作製することができる。抗体断片としては、Fv、Fab、scFv等が挙げられる。上記の抗体は、モノクローナル抗体であることが好ましい。また、市販の抗体であってもよい。
アプタマーとは、標的物質に対する特異的結合能を有する物質である。アプタマーとしては、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー等が挙げられる。標的ペプチドに特異的結合能を有する核酸アプタマーは、例えば、systematic evolution of ligand by exponential enrichment(SELEX)法等により選別することができる。また、標的ペプチドに特異的結合能を有するペプチドアプタマーは、例えば酵母を用いたTwo−hybrid法等により選別することができる。
≪OAの予防又は治療用医薬組成物≫
本実施形態のOAの予防又は治療用医薬組成物は、上記OAの予防又は治療剤、及び薬学的に許容可能な担体を含む。本実施形態の医薬組成物を投与することにより、OAを予防又は治療することができる。
本実施形態の医薬組成物は、経口的に使用される剤型であってもよく、非経口的に使用される剤型であってもよいが、非経口的に使用される剤型が好ましい。経口的に使用される剤型としては、例えば錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤等が挙げられる。非経口的に使用される剤型としては例えば注射剤、軟膏剤、貼付剤等が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、通常医薬組成物の製剤に用いられるものを特に制限なく用いることができる。より具体的には、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤;デンプン、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の膨化剤;水、エタノール、グリセリン等の注射剤用溶剤;ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤等が挙げられる。
医薬組成物は添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖、サッカリン、マルチトール等の甘味剤;ペパーミント、アカモノ油等の香味剤;ベンジルアルコール、フェノール等の安定剤;リン酸塩、酢酸ナトリウム等の緩衝剤;安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の溶解補助剤;酸化防止剤;防腐剤等が挙げられる。
医薬組成物は、上記OAの予防又は治療剤と、上記薬学的に許容される担体及び添加剤を適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。
医薬組成物は、上記OAの予防又は治療剤以外の抗炎症作用を有する治療薬及び他の疾患の治療薬からなる群より選択される少なくとも1つと組合せて、使用してもよい。上記OAの予防又は治療剤と他の薬剤とは、同一の製剤にしてもよいし、別々の製剤にしてもよい。また、各製剤は、同一の投与経路で投与してもよいし、別々の投与経路で投与してもよい。更に、各製剤は、同時に投与してもよいし、逐次的に投与してもよいし、一定の時間乃至期間を空けて別々に投与してもよい。一実施態様において、上記OAの予防又は治療剤と他の薬剤とは、これらを包含するキットとしてもよい。
<投与方法>
投与する対象としては、限定されるものではないが、例えば、ヒト、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、及びそれらの細胞等が挙げられる。中でも、哺乳動物又は哺乳動物細胞が好ましく、ヒト又はヒト細胞が特に好ましい。
投与経路は、皮下投与、経皮投与、筋肉内投与、関節内投与等の非経口投与経路が好ましく、関節内投与が特に好ましい。
OAの予防又は治療剤の投与量は、GRK5阻害剤の種類、投与対象の症状、投与部位、投与方法等により変動する。当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能であるが、例えば、局所投与を行う場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり、通常約0.001mg以上10mg以下程度であり、約0.01mg以上5mg以下程度が好ましく、約0.02mg以上2mg以下程度がより好ましい。OAの予防又は治療剤の投与は、単回投与でもよく、複数回投与であってもよい。複数回投与である場合は、例えば、2時間以上12時間以下の期間毎、毎日、又は2日、1週間、数週間、1か月若しくは数か月に1回等の頻度で投与することができる。
≪その他の実施形態≫
一実施形態において、本発明は、GRK5阻害剤の有効量を、治療を必要とする患者又は患畜に投与することを含む、OAの予防又は治療方法を提供する。ここで、GRK5阻害剤としては、上述したものと同様のものが挙げられる。また、OAとしては、上述したものと同様のものが挙げられる。
一実施形態において、本発明は、OAの予防又は治療のための、GRK5阻害剤を提供する。ここで、GRK5阻害剤としては、上述したものと同様のものが挙げられる。また、OAとしては、上述したものと同様のものが挙げられる。
一実施形態において、本発明は、OAの予防又は治療剤を製造するためのGRK5阻害剤の使用を提供する。ここで、GRK5阻害剤としては、上述したものと同様のものが挙げられる。また、OAとしては、上述したものと同様のものが挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[材料及び方法]
1.ヒト軟骨細胞の採取
5人のドナー(17〜43歳、mean±SD=29.8±10.0、OAグレードI)から承諾を得て、ヒト正常膝関節の大腿骨内顆を採取した。また、OA関節は、5人のドナー(49〜98歳、mean±SD=68.6±18.5、OAグレードIII〜IV)から承諾を得て採取した。軟骨細胞は、OA関節から単離した。
2.免疫染色
免疫染色は、1:1000に希釈したヒトGRK5に対する一次抗体(17032−1−AP、Proteintech、Rosemont、USA)を用いて行った。
3.マウス
チャールズリバージャパンからC57BL/6Jマウス(以下、「野生型マウス」と称する場合がある)を購入した。GRK5ノックアウト(KO)マウス(GRK5 −/−)は、黒瀬博士(九州大学)から入手した。野生型マウス及びGRK5KOマウスにおいて、成長板及び関節表面の軟骨の厚さ、体重、見た目等について大きな差は見られず、発達に差はなかった。未成熟軟骨細胞は、5日齢のマウスから採取した。
4.siRNAのトランスフェクション
ヒトOA軟骨細胞にLipofectamine 3000(Life Technologies)を使用して、コントロールsiRNA(以下、「siCtrl」と略記する場合がある)(Santa Cruz社製、商品名「Control siRNA-A: sc-37007)又はGRK5に対するsiRNA(以下、「siGRK5」と略記する場合がある)(Santa Cruz社製、商品名「GRK5 siRNA(h): sc-39042)をトランスフェクションした。
5.定量的リアルタイムPCR
siCtrl又siGRK5をトランスフェクションしたヒトOA軟骨細胞をリポポリサッカライド(Lipopolysaccharide;LPS)(培地中の終濃度:10μg/mL)で刺激した。細胞を6時間インキュベートし、mRNAを回収した。逆転写後、LightCycler 2.0システム(Roche)を用いて、定量的リアルタイムPCRを行った。GAPDHを内部標準に使用した。使用したプライマーの配列を以下の表1に示す。
また、野生型マウス及びGRK5KOマウス由来の軟骨細胞を、IL−1β(培地中の終濃度:1ng/mL)で刺激した。細胞を6時間インキュベートとし、mRNAを回収した。逆転写後、LightCycler 2.0システム(Roche)を用いて、定量的リアルタイムPCRを行った。18S rRNAを内部標準に使用した。使用したプライマーの配列を以下の表2に示す。
6.ルシフェラーゼアッセイ
上記「4.siRNAのトランスフェクション」に記載のとおり、ヒトOA軟骨細胞にsiCtrl又はsiGRK5をトランスフェクションした。このとき、pNL3.2 [NlucP/NF−κB−RE/Hygro]ベクター(Promega)及びpGL−CMV[luc2/CMV/Neo]ベクター(Promega)も同時にトランスフェクションした。トランスフェクションから36時間後、細胞を0%FBSで12時間血清飢餓状態にし、次いでLPS(培地中の終濃度:10μg/mL)で刺激し、6時間インキュベートした。溶解物を調製し、Dual−Luciferase Reporter Assay System(Promega)を用いてNanoluc(登録商標)及びホタルルシフェラーゼ活性について分析した。
7.ウエスタンブロッティング
野生型マウス及びGRK5KOマウスから採取された軟骨細胞をIL−1β(培地中の終濃度:10ng/mL)で0、10、20又は30分間刺激した。その後、各細胞について、マウスのリン酸化IκBα、IκBα、p65、Lamin B1及びGAPDHに対する一次抗体、WESキャピラリーウエスタンシステム(12〜230kDマスターキットα−Rabbit−HRP、PS−MK01、プロテインシンプル)を用いてウエスタンブロッティングを行った。
8.マウスOAモデル
OAは、12週齢の雄マウス(野生型マウス及びGRK5KOマウス)の内側半月板を脛骨に繋ぎ止めている靭帯を切離して膝関節に不安定性を与えること(DMMモデル)によって誘発させた(以下、「DMM群」と称する場合がある)。また、対照として、靭帯切離せずに同様の方法を用いて偽手術を行ったマウスも準備した(以下、「偽手術群」と称する場合がある)。手術から8週間後、各群のマウスから膝関節組織を採取し、膝関節組織の切片をサフラニンO−ファストグリーンで染色した。また、マウスの処置群の割り当てを知らない2人の独立した観察者によって盲検様式で、OARSI(Osteoarthritis Research Society International)によって推奨されている病理組織学的等級付けに基づいて、染色切片を評価することで、OAの重症度を定量化した。
9.ヒトOA軟骨細胞へのアンレキサノクス添加
ヒトOA軟骨細胞にアンレキサノクス(培地中の終濃度:25μM又は100μM)を添加し、48時間インキュベートした。対照として、何も投与せず48時間インキュベートとしたものと、アンレキサノクスの代わりにDMSOを投与して、48時間インキュベートとしたものも準備した。
10.アンレキサノクスを添加したヒトOA軟骨細胞を用いた定量的リアルタイムPCR
上記「9.ヒトOA軟骨細胞へのアンレキサノクス添加」に記載のアンレキサノクス添加ヒトOA軟骨細胞をリポポリサッカライド(Lipopolysaccharide;LPS)(培地中の終濃度:10μg/mL)で刺激し、6時間インキュベートした。その後、上記細胞よりmRNAを回収し、上記「5.定量的リアルタイムPCR」に記載の方法と同様の方法を用いて、OAの病態形成に関わる各遺伝子の定量的リアルタイムPCRを行った。
11.アンレキサノクスを添加したヒトOA軟骨細胞でのルシフェラーゼ活性
ヒトOA軟骨細胞に、pNL3.2 [NlucP/NF−κB−RE/Hygro]ベクター(Promega)及びpGL−CMV[luc2/CMV/Neo]ベクター(Promega)をトランスフェクションした。次いで、上記「9.ヒトOA軟骨細胞へのアンレキサノクス添加」に記載の方法と同様の方法を用いて、アンレキサノクスを添加した。アンレキサノクスの添加から48時間後、上記「6.ルシフェラーゼアッセイ」に記載の方法と同様の方法を用いて、Nanoluc(登録商標)及びホタルルシフェラーゼ活性について分析した。
12.マウスOAモデルへのアンレキサノクス投与
上記「8.マウスOAモデル」に記載の方法と同様の方法を用いて、12週齢の雄マウス(野生型、N=7)によるDMM群を準備した。次いで、アンレキサノクス(100μM):10μLを5日おきに8週間、関節注射により投与した(以下、「アンレキサノクス投与群」と称する場合がある)。対照として、同じ投与スケジュールにて生理食塩水10μLを投与したDMM群も準備した(以下、「生理食塩水投与群」と称する場合がある)。
13.サフラニンO−ファストグリーン染色
上記「12.マウスOAモデルへのアンレキサノクス投与」に記載の各群のマウスから膝関節組織を採取し、膝関節組織の切片をサフラニンO−ファストグリーンで染色した。また、マウスの処置群の割り当てを知らない2人の独立した観察者によって盲検様式で、OARSIによって推奨されている病理組織学的等級付けに基づいて、染色切片を評価することで、OAの重症度を定量化した。
14.蛍光免疫染色
上記「12.マウスOAモデルへのアンレキサノクス投与」に記載の各群のマウスから膝関節組織を採取し、膝関節組織の切片をPE−Cy5標識抗マウスIL−6抗体(Cell Signaling Technology社、製品番号#12912)又はFITC標識抗マウスMMP13抗体(abcam社、製品番号ab39012)を用いて免疫染色した。また各切片について、DAPIを用いて核染色も行った。
[実施例1]
(ヒトOA軟骨細胞におけるGRK5発現の確認)
本発明者らは、OAの病態形成に関わる因子を特定するために、RNAシークエンス法を用いてOA軟骨に特異的な発現因子を解析した結果、複数ある発現因子の中から、GRK5という細胞内タンパク質に着目した。
まず、ヒト正常軟骨細胞及びヒトOA軟骨細胞でのGRK5の発現を免疫染色により確認した。結果を図1Aに示す。また、GRK5陽性細胞の比率を定量した。結果を図1Bに示す。図1A及び図1Bにおいて、「Nomal」はヒト正常軟骨細胞、「OA」はヒトOA軟骨細胞を示す。図1Aにおいて、下の染色像は、上の染色像において四角で囲まれた部分の拡大像である。
図1A及び図1Bから、ヒトOA軟骨細胞では、ヒト正常軟骨細胞と比較して、GRK5の発現が亢進していた。
[実施例2]
(ヒトOA軟骨細胞におけるGRK5の発現低下による影響)
次いで、ヒトOA軟骨細胞におけるGRK5の発現を低下させるために、ヒトOA軟骨細胞にsiGRK5をトランスフェクションし、OAの病態形成に関わる遺伝子である、炎症系サイトカイン(IL−6)、基質分解酵素(MMP13、ADAMTS4及びADAMTS5)、並びに誘導NO合成酵素(iNOS)の発現を確認した。結果を図2Aに示す。また、siGRK5をトランスフェクションしたヒトOA軟骨細胞におけるNF−κBの転写活性についても確認した。結果を図2Bに示す。図2Aにおいて、縦軸はsiCtrlをトランスフェクションし、LPS刺激を行っていない細胞での各遺伝子の発現量を1としたときの各遺伝子の発現量を相対値で表している。図2Bにおいて、縦軸はsiCtrlをトランスフェクションし、LPS刺激を行っていない細胞におけるNF−κBの転写活性(ルシファーラーゼ活性)の測定値を1としたときの各条件の細胞におけるNF−κBの転写活性(ルシファーラーゼ活性)を相対値で表している。
図2Aから、ヒトOA軟骨細胞において、GRK5の発現を抑制したところ、IL−6、MMP13及びADAMTS4の発現が有意に低下しており、ADAMTS5及びiNOSの発現についても低下する傾向が見られた。また、図2Bから、GRK5の発現を抑制したヒトOA軟骨細胞では、NF−κBの転写活性が有意に低下していた。
[実施例3]
(マウス軟骨細胞におけるGRK5欠損による影響)
次いで、GRK5KOマウスの軟骨細胞におけるOAの病態形成に関わる各遺伝子の発現を確認した。結果を図3Aに示す。図3Aにおいて、縦軸は、IL−1β刺激を行っていない野生型マウスにおける各遺伝子の発現量を1としたときのIL−1β刺激を行った各マウスにおける各遺伝子の発現量を相対値で表している。また、「WT」は野生型マウスであり、「GRK5KO」はGRK5KOマウスである(以降、同様)。
図3Aから、GRK5KOマウスから採取された軟骨細胞においても、上記ヒトOA軟骨細胞と同様に、野生型マウスから採取された軟骨細胞と比較して、炎症系サイトカイン(IL−6)や基質分解酵素(MMP13、ADAMTS4及びADAMTS5)の発現が有意に低下しており、iNOSの発現についても低下する傾向が見られた。
GRK5はNF−κBシグナルの抑制タンパク質であるIκBαをリン酸化してIκBαの分解を促進することで、転写因子NF−κBシグナルを亢進していることが知られている(上記、参考文献1参照)。そのため、GRK5欠損によるIκBαのリン酸化への影響について、ウエスタンブロッティングによって確認した。結果を図3Bに示す。また、ウエスタンブロッティングの結果から算出された、IκBαに対するリン酸化IκBαの割合(以下、「リン酸化IκBαの割合」又は「p−IκBα/IκBα」と略記する場合がある)の経時変化を図3Cに示す。図3Cにおいて、IL−1β刺激0分(刺激なし)で処理した軟骨細胞におけるリン酸化IκBαの割合を1としたときの各時間刺激を行った軟骨細胞におけるリン酸化IκBαの割合を相対値で表している。
図3B及び図3Cから、GRK5KOマウスから採取された軟骨細胞においてリン酸化IκBαの割合が有意に低下していた。
さらに、GRK5欠損によるNF−κBの主要なアイソフォームであるp65の核内移行への影響について、ウエスタンブロッティングによって確認した。結果を図3Dに示す。また、ウエスタンブロッティングの結果から算出された、Lamin B1の発現量に対する核内移行されたp65の発現量の割合(以下、単に「p65の発現量」と略記する場合がある)の経時変化を図3Eに示す。図3Eにおいて、IL−1β刺激0分(刺激なし)で処理した軟骨細胞におけるp65の発現量を1としたときの各時間刺激を行った軟骨細胞におけるp65の発現量を相対値で表している。
図3D及び図3Eから、GRK5KOマウスから採取された軟骨細胞においてp65の核内移行が有意に抑制されていた。これは、既報(参考文献1)と矛盾しない結果であり、GRK5がノックアウトされることでIκBαがリン酸化されず分解されないため、NF−κBが核内へ移行できないものと推察された。
[実施例4]
(GRK5欠損のマウスOAモデルへの影響)
次いで、GRK5がOAの進行に根本的に影響を及ぼしているのかを検証するために、野生型マウスとGRK5KOマウスを用いて、マウスOAモデルを作製し、比較検証した。具体的には、マウスOAモデルの膝関節組織の切片をサフラニンO−ファストグリーンで染色した。なお、サフラニンOによる染色は軟骨形成の指標であり、赤く染色される。結果を図4Aに示す。また、OARSIによって推奨されている病理組織学的等級付けに基づいて、染色切片を評価することで、OAの重症度を定量化した。結果を図4Bに示す。図4A及び図4Bにおいて、「sham」は偽手術群である。
図4A及び図4Bから、GRK5KOマウスでは、野生型マウスと比較して、軟骨組織の損傷は進行しておらず、OAの進行が有意に抑制されていた。
以上の結果から、軟骨においてGRK5の発現を抑制することで、IκBαのリン酸化の割合が低下しNF−κBシグナルが抑制されるため、炎症や基質分解反応が抑えられ、OAの進行が阻害されることが示唆された。
[実施例5]
(ヒトOA軟骨細胞へのアンレキサノクスの添加)
上記結果を踏まえて、臨床応用を目的として、GRK5阻害剤として報告されている、アンレキサノクスに着目し(上記参考文献3、参照)、投与試験を行った。なお、アンレキサノクスは、抗アレルギー剤として点鼻薬、錠剤の形態で欧米や日本において、広く臨床使用されている化合物である。
まず、アンレキサノクスを添加して培養したヒトOA軟骨細胞におけるOAの病態形成に関わる各遺伝子の発現を確認した。結果を図5Aに示す。また、アンレキサノクスを添加したヒトOA軟骨細胞におけるNF−κBの転写活性についても確認した。結果を図5Bに示す。図5Aにおいて、縦軸は何も投与せず48時間インキュベートとし、LPS刺激を行っていない細胞での各遺伝子の発現量を1としたときの各遺伝子の発現量を相対値で表している。図5Bにおいて、縦軸は何も投与せず48時間インキュベートとし、LPS刺激を行った細胞におけるNF−κBの転写活性(ルシファーラーゼ活性)の測定値を1としたときの各条件の細胞におけるNF−κBの転写活性(ルシファーラーゼ活性)を相対値で表している。
図5Aから、アンレキサノクスを添加したヒトOA軟骨細胞では、GRK5の発現を抑制した試験(実施例2)と同様の傾向が見られ、炎症系サイトカイン(IL−6)や基質分解酵素(MMP13、ADAMTS4及びADAMTS5)の発現が有意に低下しており、100μMのアンレキサノクスを投与したヒトOA軟骨細胞では、発現の低下が顕著であった。また、誘導NO合成酵素(iNOS)の発現についても、アンレキサノクスを添加したヒトOA軟骨細胞では、低下する傾向が見られ、100μMのアンレキサノクスを投与したヒトOA軟骨細胞では、有意に低下していた。
また、図5Bから、アンレキサノクスを添加したヒトOA軟骨細胞では、NF−κBの転写活性が低下する傾向が見られ、100μMのアンレキサノクスを投与したヒトOA軟骨細胞では、NF−κBの転写活性が有意に低下していた。
[実施例6]
(マウスOAモデルへのアンレキサノクスの投与)
次に、インビボの検証としてマウスOAモデルを用いてアンレキサノクスの関節内投与試験を行った。アンレキサノクス投与試験後の各群の膝関節組織の切片をサフラニンO−ファストグリーンで染色した。結果を図6Aに示す。また、OARSIによって推奨されている病理組織学的等級付けに基づいて、染色切片を評価することで、OAの重症度を定量化した。結果を図6Bに示す。図6A及び図6Bにおいて、「Saline」は生理食塩水投与群であり、「Amlexanox」はアンレキサノクス投与群である。
図6A及び図6Bから、アンレキサノクス投与群では、生理食塩水投与群と比較して、OAの進行が有意に抑制された。
また、アンレキサノクス投与試験後の各群の膝関節組織の切片を、抗IL−6抗体又は抗MMP13抗体を用いて蛍光免疫染色した。結果をそれぞれ図6C(抗IL−6抗体)及び図6E(抗MMP13抗体)に示す。図6C及び図6Eにおいて、右側の蛍光免疫染色像は、左の蛍光免疫染色像において四角で囲まれた部分の拡大像である。また、蛍光免疫染色像から、全生細胞数に対するIL−6陽性細胞数の比(以下、「IL−6陽性細胞の割合」と称する場合がある)と、全生細胞数に対するMMP13陽性細胞数の比(以下、「MMP13陽性細胞の割合」と称する場合がある)とを算出した。結果をそれぞれ図6D(IL−6陽性細胞の割合)及び図6F(MMP13陽性細胞の割合)に示す。
図6C〜図6Fから、アンレキサノクス投与群では、生理食塩水投与群と比較して、IL−6陽性細胞の割合及びMMP13陽性細胞の割合が有意に減少しており、炎症反応が抑制されていることが示唆された。
以上の結果から、アンレキサノクスはOAの進行を抑制することができ、OAの根本的な治療薬となる可能性が示唆された。
本実施形態のOAの予防又は治療剤によれば、OAの進行を抑制することができ、OAの根本的な治療薬となり得る。

Claims (6)

  1. Gタンパク質共役型受容体キナーゼ5阻害剤を有効成分として含有する、変形性関節症の予防又は治療剤。
  2. Gタンパク質共役型受容体キナーゼ5阻害剤が下記一般式(I)で示される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の変形性関節症の予防又は治療剤。
    (一般式(I)中、環Aは置換されていてもよい。R11は、水素原子、アルキル基、フェニル基、アミノ基、カルボキシ基又は水酸基である。)
  3. Gタンパク質共役型受容体キナーゼ5阻害剤が下記一般式(I−1)で示される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1又は2に記載の変形性関節症の予防又は治療剤。
    (一般式(I−1)中、R111は、水素原子、アルキル基、フェニル基、アミノ基、カルボキシ基又は水酸基である。R112は、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基又は水酸基である。)
  4. Gタンパク質共役型受容体キナーゼ5阻害剤がアンレキサノクスである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変形性関節症の予防又は治療剤。
  5. 変形性関節症が変形性膝関節症である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の変形性関節症の予防又は治療剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の変形性関節症の予防又は治療剤、及び薬学的に許容可能な担体を含む、変形性関節症の予防又は治療用医薬組成物。
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