JP2010184879A - 抗筋萎縮剤 - Google Patents

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崇之 秋本
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多加志 牛田
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Abstract

【課題】筋萎縮の予防又は治療に有用な抗筋萎縮剤の提供。また、抗筋萎縮剤のスクリーニング方法の提供。また、筋萎縮の予防および治療方法の提供。
【解決手段】MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はMuRF1遺伝子の発現に対する阻害剤を含む抗筋萎縮剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮に対する阻害剤およびそれを含む抗筋萎縮剤に関する。
成人の骨格筋は、少なくとも部分的には、タンパク質合成と分解との動的平衡による驚異的な柔軟性を有する。タンパク質合成の増加は、筋肥大をもたらし、一方、タンパク質分解の増加は、筋萎縮をもたらす。身体活動、特に筋力トレーニングの増加は、現存する筋線維の成長を特徴とする筋肥大を誘導し、多くの場合健康上の利益をもたらす。一方、種々の慢性疾患は、疾患状態を悪化させ生活の質を損なう、骨格筋萎縮をもたらす。このように、骨格筋萎縮の予防や減弱は、重要な臨床問題の一つである。
筋萎縮は、絶食、慢性疾患(たとえば、癌、糖尿病、AIDS、敗血症及び筋肉減少症)及び不活動(廃用性萎縮)に応答して生じる。これらの多様な条件下で、萎縮性の筋肉は、ユビキチン−プロテアソーム経路の活性化によって最初にタンパク質分解の促進を受け(非特許文献1)、そして一緒に「萎縮プログラム」を構成する共通する一連の転写適応が生じる(非特許文献2)。複数の骨格筋萎縮のモデルにおいて、筋特異的F−boxタンパク質であるMAFbx/atrogin−1は、上方制御されており、筋タンパク質欠損の促進に不可欠と思われる(非特許文献3)。骨格筋管におけるMAFbx/atrogin−1の過剰発現は、萎縮をもたらし、そして、MAFbx/atrogin−1欠損マウスは、種々のモデルの骨格筋萎縮に耐性である(非特許文献4,5)。
Sandri et al.は、クラスOのフォークヘッドボックストランスクリプションファクター(FoxO)のメンバーがMAFbx/atrogin−1の翻訳を制御することを報告している(非特許文献6)。萎縮ファクターは、FoxO発現を誘導し、そしてその核輸送を開始し、筋萎縮をもたらすMAFbx/atrogin−1発現を高める。一方、筋肥大の主要な経路であるPI3K/Aktシグナル経路は、FoxOをリン酸化し、その核輸送を阻害することによって筋萎縮を予防することができる(非特許文献7)。
Trim63/MuRF1はリングフィンガー型のユビキチンリガーゼとして委縮筋から発見された。Trim63/MuRF1は筋萎縮時に発現量が亢進する一方、この遺伝子を欠損したマウスでは筋萎縮に耐性を示すことが報告されており、Trim63/MuRF1は筋タンパク質分解系において主要な役割を担っていると考えられている(非特許文献5)。
最近の研究では、マイクロRNA(miRNA)として知られる小さな非コードRNAが、骨格筋の分化及び形態形成を含む、多様な生物学的及び病理学的プロセスにおいて基本的な役割を奏するという、筋遺伝子制御の新たな面を明らかにした(非特許文献8)。miRNAは、長さが約22個のヌクレオチドであり、標的の3’非翻訳領域(3’UTR)と相互作用することによって特定のmRNA標的の翻訳を阻害する(非特許文献9)。miRNAは、最初に、特徴的なヘアピン二次構造を有する数百から数千の長さにわたる、プライマリ−miRNA(pri−miRNA)として転写され、そしてRNaseIII酵素であるDroshaによってmiRNA前駆体(pre−miRNA)として切断される。次いで、pre−miRNAは、Exportin−5によって核から搬出され、RNaseIII酵素であるDicerによって〜22ヌクレオチドの2本鎖の成熟miRNAにプロセスされる。最後に、1本鎖の成熟miRNAが、標的mRNAの3’UTRを結合するRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)内に組み込まれる。よって、特に記載がない場合は、miRNAは標的mRNAの3’UTRを結合する1本鎖の成熟miRNAを意味する。
いくつかのmiRNAは、組織特異的な様式で発現されることが報告されており、発生の間の組織の特異化におけるmiRNAの役割が示唆される。骨格筋において、いくつかの筋特異的miRNAが、筋肉の成長及び分化の調節において複数の役割を奏することが報告されている。Chen et al.は、筋特異的miRNAであるmiR−1及びmiR−133が、それぞれ、血清応答因子(SRF)及びヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)を下方制御し、筋分化を調節することを示した(非特許文献10)。筋原性制御因子であるMyoDが、miR−206を誘導し、筋形成を促進することも示されてきている(非特許文献11、12)。これらの過去の研究は、骨格筋の発生における筋特異的miRNAの重要性を明らかにする。しかし、成体における骨格筋の柔軟性に関与するmiRNAについては、全く報告されていない。
本発明者らは、成体骨格筋柔軟性、特に筋萎縮におけるmiRNAの関与を調べるために、MAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1と相互作用するmiRNAを探索し、miR−23a(配列番号1:5'-AUC ACA UUG CCA GGG AUU UCC -3'、ヒトにおける配列)がMAFbx/atrogin−1およびTrim63/MuRF1と相互作用することを見出した。miR−23aは、活性化カルシニュリンAをトランスジェニックに発現するマウスの肥大化心臓において上方制御されているmiRNAとして既に報告されている(非特許文献13)が、MAFbx/atrogin−1およびTrim63/MuRF1と相互作用すること、および筋萎縮に関与することはこれまで知られていない。
Jagoe R.T. and Goldberg A.L. What do we really know about the ubiquitln-proteasome pathway in muscle atrophy? Curr. Opin. Clin. Nutr. Metab. Care. 4, 183-190 (2001) Lecker S.H. et al. Multiple types of skeletal muscle atrophy involve a common program of changes in gene expression. FASEB J. 18, 39-51 (2004) Sacheck J.M. et al. Rapid disuse and denervation atrophy involve transcriptional changes similar to those of muscle wasting during systemic diseases. FASEB J. 21, 140-155 (2007) Gomes M.D, et al. Atrogin-1, a muscle-specific F-box protein highly expressed during muscle atrophy. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98, 14440-14445 (2001) Bodine S.C. et al. Identification of ubiquitin ligases required for skeletal muscle atrophy Science. 294, 1704-1708 (2001) Sandri M. et al. Foxo transcription factors induce the atrophy-related ubiquitin ligase atrogin-1 and cause skeletal muscle atrophy. Cell. 117, 399-412 (2004) Stitt T.N. et al. The IGF-1/PI3K/Akt pathway prevents expression of muscle atrophy-induced ubiquitin ligases by inhibiting FOXO transcription factors. Mol. Cell. 14, 395-403 (2004) Van Rooij E. and Olson E.N. MicroRNAs: powerful new regulators of heart disease and provocative therapeutic targets. J. Clin. Invest. 117, 2369-2376 (2007) Chen K. and Rajewsky N. The evolution of gene regulation by transcription factors and microRNAs. Nature Rev. Genet. 8, 93-103 (2007) Chen J.F. et al. The role of microRNA-1 and microRNA-133 in skeletal muscle proliferation and differentiation. Nature Genet. 38, 228-233 (2006) Rosenberg M.I. et al. MyoD inhibits Fstl1 and Utrn expression by inducing transcription of miR-206. J. Cell Biol. 175, 77-85 (2006) Kim H.K. et al. Muscle-specific microRNA miR-206 promotes muscle differentiation. J. Cell Biol. 174, 677-87 (2006) Schakman O. et al. Mechanisms of glucocorticoid-induced myopathy. J. Endocrinol. 197, 1-10 (2008)
本発明は、新たな抗筋萎縮剤を提供する。また、本発明は、新たな抗筋萎縮剤のスクリーニング方法を提供する。また、本発明は、新たな筋萎縮の予防および治療方法を提供する。
本発明者らは、miRNAによるMAFbx/atrogin−1遺伝子の制御をここで初めて報告し、筋可塑性におけるmiRNAの関与を明らかにする。本発明者らは、miR−23aがMAFbx/atrogin−1及びTrim63/MuRF1の3’UTRに結合し、その翻訳を阻害することをここで示す。さらに、筋管及び筋線維におけるmiR−23aの強制発現が、筋萎縮に対する耐性をもたらすことをここで示す。
本発明は、本発明者らによる上記知見に基づくものであり、上記課題を解決するための手段は、下記のとおりである:
(1)MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現に対する阻害剤を含む抗筋萎縮剤;
(2)阻害剤が、RNA又はその類似体である上記(1)記載の抗筋萎縮剤;
(3)RNAが、miRNAまたはsiRNAである上記(2)の抗筋萎縮剤;
(4)RNA又はその類似体の配列が、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列である上記(2)または(3)記載の抗筋萎縮剤;
(5)MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮に対する阻害剤をスクリーニング方法であって、
− 動物細胞を提供すること、
− 前記細胞に候補物質を接触させること、
− 前記細胞における、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列からなるmiRNAの発現量を測定すること、
− 候補物質と接触させなかった細胞における、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列からなるmiRNAの発現量と比較して、増加した前記miRNAの発現量を有する細胞を選択すること、および
− 選択された細胞に使用された候補物質を、前記筋萎縮に対する阻害剤として決定すること、
を含む方法;
(6)MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮に対する阻害剤をスクリーニング方法であって、
− 動物細胞を提供すること、
− 前記細胞に筋萎縮誘導物質を生体外で接触させること、
− 筋萎縮誘導物質と接触させた前記細胞に候補物質を生体外で接触させること、
− 前記細胞における、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現量を測定すること、
− 候補物質と接触させなかった細胞における、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現量と比較して、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の減少した発現量を有する細胞を選択すること、および
− 選択された細胞に使用された候補物質を、前記筋萎縮に対する阻害剤として決定すること、
を含む方法;
(7)MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮に対する阻害剤をスクリーニング方法であって、
− レポーター遺伝子とMAFbx/atrogin−1の3’UTRの遺伝子又はTrim63/MuRF1の3’UTRの遺伝子を有する発現ベクターを構築すること、あるいは3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1遺伝子又は3’UTRを有するTrim63/MuRF1遺伝子を有する発現ベクターを構築すること、
− 前記発現ベクターを動物細胞に生体外で導入すること、
− 前記細胞に候補物質を生体外で接触させること、
− 前記細胞における、レポーターたんぱく質の量、あるいはMAFbx/atrogin−1たんぱく質又はTrim63/MuRF1たんぱく質の量を測定すること、
− 候補物質と接触させなかった細胞における、レポーターたんぱく質の量、あるいはMAFbx/atrogin−1たんぱく質の量又はTrim63/MuRF1たんぱく質の量と比較して、減少したレポーターたんぱく質の量、あるいは減少したMAFbx/atrogin−1たんぱく質の量又は減少したTrim63/MuRF1たんぱく質の量を有する細胞を選択すること、および
− 選択された細胞に使用された候補物質を、前記筋萎縮に対する阻害剤として決定すること、
を含む方法;
(8)MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮を有する患者を38〜110℃で処置することを含む、前記筋萎縮に対する予防及び/又は治療方法。
本発明によれば、筋萎縮を予防又は治療するための医薬品を提供することができる。また、本発明によれば、筋萎縮を予防又は治療するための抗筋萎縮剤をスクリーニングするための方法を提供することができる。また、本発明によれば、筋萎縮を予防又は治療するための方法を提供することができる。
MAFbx/atrogin−1の3’UTR又はMuRF1のmRNAの3’UTRをにおけるmiR−23aの推定結合部位の配列アライメントは、miR−23aの配列と相補性が高く、Human、Monkey、Mouse、Ratにおいて配列が高度に保存されていることを示す。Human、Monkey、Mouse、Ratは、それぞれのMAFbx/atrogin−1の3’UTR又はMuRF1の3’UTRの配列を表す。 レポーターベクター:pLuc2EXN−atrogin−1 3’UTR又はpLuc2EXN−MuRF1 3’UTRの構造を示す。miR−23aの機能を分析するために、miR−23aの推定結合部位を含むMAFbx/atrogin−1の3’UTR(約300bp)又はMuRF1の3’UTR(約300bp)がルシフェラーゼ遺伝子の下流にクローニングされた。 HeLa細胞を、pLuc2EXN−antrogin−1 3’UTR(WT)、pLuc2EXN−antrogin−1 3’UTRΔ(ミュータント)、pLuc2EXN−MuRF1 3’UTR、pLuc2EXN−MuRF1 3’UTRΔ(ミュータント)又はpLuc2EXN(コントロール)のいずれかと、pCXbG−pri-miR−23a又はpCXbG(モックベクター)のいずれかとを一緒に、コトランスフェクションした。ルシフェラーゼ活性を測定した(n=6)。値(相対変化)は、モックベクターをコトランスフェクションした場合のルシフェラーゼ活性に対する相対値で示される。**は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。「miR−23a」は、pCXbG−pri−miR−23aでトランスフェクションしたことを示す。「モック」は、pCXbG(モック)によるコトランスフェクションを示す。「MAFbx/atrogin−1」における「WT」は、pLuc2EXN−antrogin−1 3’UTRによるコトランスフェクションを示す。「ミュータント」は、pLuc2EXN−antrogin−1 3’UTRΔによるコトランスフェクションを示す。「MuRF1」における「WT」は、pLuc2EXN−MuRF1 3’UTRによるコトランスフェクションを示す。「ミュータント」は、pLuc2EXN−MuRF1−1 3’UTRΔによるコトランスフェクションを示す。「コントロール」は、pLuc2EXNによるコトランスフェクションを示す。 FLAGタグを付加した3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1またはMuRF1発現ベクターの構築。atrogin−1のORFとatrogin−1の3’UTRをFLAGの下流にサブクローニングした。同様に、MuRF1のORFとMuRF1の3’UTRをFLAGの下流にサブクローニングした。 HeLa細胞を、pcDNA3.1−FLAG−Atrogin−1、pcDNA3.1−FLAG−MuRF1、又はpcDNA3.1−FLAG−p38βのいずれかと、pCXbG−pri-miR−23a又はpCXbGのいずれかとを一緒に、コトランスフェクションした。HeLa細胞は回収後、SDS−PAGEサンプルバッファーに溶解し、還元条件下のSDS−PAGEに供した。泳動終了後、たんぱく質をニトロセルロース膜に移し抗FLAG抗体を用いてウエスタンブロットを行った。1次抗体には、抗FLAG抗体(F7425, SIGMA)または抗γーチューブリン抗体(AK-15, SIGMA)を用い、2次抗体にはHRP標識抗ウサギIgG抗体(Amasham)を用い、検出にはECL発光試薬(Amasham)を用いた。ウエスタンブロットを用いて、FLAGタグを付加した3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1またはMuRF1発現を抗FLAG抗体によって測定した結果、miR−23aの発現によってこれらのタンパク発現が阻害された。「atrogin−1」は、pcDNA3.1−FLAG−Atrogin−1でコトランスフェクションしたことを示す。「MuRF1」は、pcDNA3.1−FLAG−MuRF1でコトランスフェクションしたことを示す。「atrogin−1」は、pcDNA3.1−FLAG−Atrogin−1でコトランスフェクションしたことを示す。「p38β」は、pcDNA3.1−FLAG−p38βでコトランスフェクションしたことを示す。「miR−23a」は、pCXbG−pri−miR−23aでトランスフェクションしたことを示す。「モック」は、pCXbG(モック)によるコトランスフェクションを示す。「α−FLAG」は、抗FLAG抗体と反応させたことを示す。「α−γーチューブリン」は、抗γーチューブリン抗体と反応させたことを示す。 pCXbG−pri−miR−23aまたはpCXbGをC2C12細胞内にトランスフェクションし、筋管形成を誘導した。10μMのデキサメタゾン処理有りまたは無しにおける、筋管直径を測定した(n>50)。「コントロール」は、デキサメタゾン(Dex)処理がないことを示す。「Dex」は、デキサメタゾン(Dex)処理があることを示す。「モック」は、pCXbGでトランスフェクションしたことを示す。「miR−23a」は、pCXbG−pri−miR−23aでトランスフェクションしたことを示す。値(相対変化)は、pCXbGをトランスフェクションし、デキサメタゾン処理しなかった場合の筋管直径を1.0としたときの相対値で表わされる。**は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。 pCXbG−pri−miR−23aまたはpCXbGをC2C12細胞内にトランスフェクションし、筋管形成を誘導した。10μMのデキサメタゾン処理(Dex)有りまたは無しにおける、MAFbx/atrogin−1またはMuRF1のmRNA発現を、RT−PCRを用いることによって定量した(n=6)。「−」は、デキサメタゾン処理がないことを示す。「+」は、デキサメタゾン処理があることを示す。「モック」は、pCXbGでトランスフェクションしたことを示す。「miR−23a」は、pCXbG−pri−miR−23aでトランスフェクションしたことを示す。値(相対変化)は、pCXbGをトランスフェクションし、デキサメタゾン処理しなかった場合のPCR産物のバンドの強度を1.0としたときの相対値で表わされる。*は、P<0.05であり、**は、P<0.01である。エラーバーは、±SEMを意味する。 miR−23a発現ベクターの有無による速筋線維(MHC2b)の断面積を測定した。pCXbG−pri−miR−23a又はpCXbGを電気パルス介在遺伝子導入によってTA筋内にトランスフェクションした。「CSA」は、マウス抗ジストロフィン抗体およびMHC2bモノクローナル抗体で染色された面積(μm)を表す。「−」は、デキサメタゾン処理がないことを示す。「+」は、デキサメタゾン処理があることを示す。「モック」は、pCXbGでトランスフェクションしたことを示す。「miR−23a」は、pCXbG−pri−miR−23aでトランスフェクションしたことを示す。*は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。 C2C12における、熱ストレス誘導性MAFbx/atrogin−1のmRNAの発現量を、デキサメタゾン処理有りまたは無しにおいてRTーPCRよって定量した(n=6)。「−」は、熱ストレス処理がないことを示す。「+」は、熱ストレス処理があることを示す。「コントロール」は、デキサメタゾン処理がないことを示す。「Dex」は、デキサメタゾン処理があることを示す。値(相対変化)は、熱ストレス処理がなく、デキサメタゾン処理がなかった場合の蛍光値を1.0としたときの相対値で表わされる。**は、P<0.001である。*は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。AFbx/atrogin−1のmRNAの発現量は、熱ストレスの有無によって大きく変化しないことが認められる。 miR−23aに対するアンチセンス(配列番号16)LNAをC2C12にトランスフェクション後、筋管形成を誘導した。筋管を30分間水浴(42℃)に置くことで熱ストレスに曝した。熱ストレス処理後インビトロで筋萎縮を誘導するために培地を10μMのDexを含むDMに交換し12時間培養した。筋管の核をヘキスト33342及び細胞質をtracker green fluorescentで染色し、筋管の直径(μm)を測定した。「熱ストレス(−)」は、熱ストレス処理がないことを示す。「熱ストレス(+)」は、熱ストレス処理があることを示す。「Anti−miR−23a」は、miR−23aのアンチセンスLNAのトランスフェクションがあることを示す。「モック」は、アンチセンスLNAの代わりにpCXbGをトランスフェクションしたことを示す。「コントロール」は、デキサメタゾン処理がないことを示す。「Dex」は、デキサメタゾン処理があることを示す。**は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。熱ストレス処理による萎縮に対する耐性(デキサメタゾン処理有り、熱ストレス処理有りおよびAnti−miR−23a無し)が、miR−23aに対するアンチセンスLNAの存在により弱められていることがわかる(デキサメタゾン処理有り、熱ストレス処理有りおよびAnti−miR−23a有り)。 熱ストレス処理の有無におけるC2C12のmiR−23aの発現を、リアルタイムPCRを用いることによって定量した(n=6)。「−」は、熱ストレス処理がないことを示す。「+」は、熱ストレス処理があることを示す。値(相対変化)は、熱ストレス処理しなかった場合の蛍光値を1.0としたときの相対値で表わされる。**は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。熱ストレスによるC2C12におけるmiR−23aの増加が認められる。 熱ストレスに曝した24時間後マウスに7日間デキサメタゾンを投与した。そして、解剖し足底筋肉重量を測定した。「BW(g)」は、マウスの体重を表す。「MW(mg)」は、足底筋重量を表す。「コントロール」は、熱ストレス処理とデキサメタゾン処理の両方がないことを示す。「Dex」は、デキサメタゾン処理があることを示す。「H/Dex」は、熱ストレス処理とデキサメタゾン処理があることを示す。*は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。 熱ストレスに曝した24時間後マウスに7日間デキサメタゾンを投与した。そして、解剖後足底筋のOCT包埋切片を作製し、速筋線維(MHC2b)の断面積を測定した。「CSA」は、マウス抗ジストロフィン抗体およびMHC2bモノクローナル抗体で染色された面積(μm)を表す。「コントロール」は、熱ストレス処理とデキサメタゾン処理の両方がないことを示す。「Dex」は、デキサメタゾン処理があることを示す。「H/Dex」は、熱ストレス処理とデキサメタゾン処理があることを示す。**は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。 熱ストレスに曝した24時間後マウスに7日間デキサメタゾンを投与した。そして、解剖後足底筋におけるmiR−23aの発現をリアルタイムPCRによって定量した(n=6)。値(相対変化)は、熱ストレス処理をせず、デキサメタゾン処理もしなかった場合の蛍光値を1.0としたときの相対値で表わされる。「コントロール」は、熱ストレス処理とデキサメタゾン処理の両方がないことを示す。「Dex」は、デキサメタゾン処理があることを示す。「H/Dex」は、熱ストレス処理とデキサメタゾン処理があることを示す。**は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。 pCXbG−pri−miR−23aとmiR−23aに対するアンチセンスLNAをC2C12にコトランスフェクションし、miR−23aの発現を、リアルタイムPCRを用いることによって定量した(n=6)。「miR−23aベクター」の「−」は、pCXbG−pri−miR−23aのトランスフェクションがないことを示す。「+」は、pCXbG−pri−miR−23aのトランスフェクションがあることを示す。「Anti−miR−23a」の「−」は、miR−23aに対するアンチセンスLNAのトランスフェクションがないことを示す。「+」は、miR−23aのアンチセンスLNAのトランスフェクションがあることを示す。値(相対変化)は、pCXbG−pri−miR−23aのトランスフェクションがなく、miR−23aに対するアンチセンスLNAのトランスフェクションがなかった場合の蛍光値を1.0としたときの相対値で表わされる。**は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。アンチセンスLNAによるmiR−23aの産生の阻害が認められる。 熱ストレスに曝した24時間後マウスに7日間デキサメタゾンを投与した。そして、解剖後足底筋におけるMAFbx/atrogin−1 mRNAの発現をリアルタイムPCRによって定量した(n=6)。「Dex」の「−」は、デキサメタゾン処理がないことを示す。「+」は、デキサメタゾン処理があることを示す。は、デキサメタゾン処理があることを示す。「熱ストレス」の「−」は、熱ストレス処理がないことを示す。「+」は、熱ストレス処理があることを示す。値(相対変化)は、熱ストレス処理がなく、デキサメタゾン処理がなかった場合の蛍光値を1.0としたときの相対値で表わされる。**は、P<0.001である。エラーバーは、±SEMを意味する。MAFbx/atrogin−1のmRNAの発現量は、熱ストレスによって減少しないことが認められる。
本発明における「MAFbx/atrogin−1遺伝子」とは、F−boxたんぱく質ファミリーのメンバーであるFBXO32たんぱく質をコードする遺伝子を意味し、そのゲノム遺伝子、mRNAの塩基配列およびたんぱく質のアミノ酸配列は、例えば、マウスについてはgenbankのNM_026346に開示されており、ヒトについてはgenbankのNM_058229に開示されている。しかし、生物種は、これらに限定されず、マウスおよびヒトのMAFbx/atrogin−1遺伝子に相当する他の生物のMAFbx/atrogin−1遺伝子も含まれる。また、マウスまたはヒトのMAFbx/atrogin−1遺伝子の塩基配列またはMAFbx/atrogin−1たんぱく質のアミノ酸配列に1個または数個の塩基またはアミノ酸の欠失、挿入、置換を有する変異体も含まれる。また、マウスまたはヒトのMAFbx/atrogin−1遺伝子またはMAFbx/atrogin−1たんぱく質に相当する他の生物のMAFbx/atrogin−1遺伝子またはMAFbx/atrogin−1たんぱく質に1個または数個の塩基またはアミノ酸の欠失、挿入および/または置換を有する変異体も含まれる。
本発明における「Trim63/MuRF1遺伝子」とは、RINGジンガーフィンガーたんぱく質ファミリーのメンバーであるTrim63/MuRF1たんぱく質をコードする遺伝子を意味し、そのゲノム遺伝子、mRNAの塩基配列およびたんぱく質のアミノ酸配列は、例えば、マウスについてはgenbankにNM_001039048に開示されており、ヒトについてはgenbankのNM_032588に開示されている。しかし、生物種は、これらに限定されず、マウスおよびヒトのTrim63/MuRF1遺伝子に相当する他の生物のTrim63/MuRF1遺伝子も含まれる。また、マウスまたはヒトのTrim63/MuRF1遺伝子の塩基配列またはTrim63/MuRF1たんぱく質のアミノ酸配列に1個または数個の塩基またはアミノ酸の欠失、挿入および/または置換を有する変異体も含まれる。また、マウスまたはヒトのTrim63/MuRF1遺伝子またはTrim63/MuRF1たんぱく質に相当する他の生物のTrim63/MuRF1遺伝子またはTrim63/MuRF1たんぱく質に1個または数個の塩基またはアミノ酸の欠失、挿入および/または置換を有する変異体も含まれる。
本発明における「発現」とは、ゲノム遺伝子からmRNA(messenger RNA)への転写および/またはmRNAからたんぱく質への翻訳を意味する。そして、発現の阻害若しくは抑制とは、転写物(mRNA)および/または翻訳物(たんぱく質)の量が減少することを意味する。
本発明における「発現に対する阻害剤」は、 MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現を阻害若しくは抑制する物質であれば限定されないが、例えば、低分子化合物、核酸、たんぱく質などが挙げられる。好ましくは、RNA又はその類似体である。類似体とは、天然のRNAが有する機能を保持しながら人工的に修飾されたRNAを意味し、例えば、ロックされた核酸(LNA, locked nucleic acid)などが挙げられる。ここで、LNAとは、糖の2'位と4'位を-O-CH2- で架橋しコンフォメーションを N型に固定した人工核酸を意味する。
RNAは、miRNAまたはsiRNAが好ましい。miRNAとは、細胞内に存在する長さ20から25塩基ほどの1本鎖RNAを意味し、前述のように他の遺伝子の発現の調節に関与している。また、siRNA(small interfering RNA)とは、21−23塩基対から成る二本鎖RNAを意味し、配列特異的にmRNAを破壊することによって遺伝子の発現を抑制するRNA干渉(RNAi)に関与している。
本発明における「配列番号1で示される塩基配列」とは、ヒトのmiR−23aの塩基配列を意味する。「その類似配列」とは、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1のmRNAの3’UTRに結合して翻訳を阻害する機能を有する、配列番号1の配列に1個または数個の塩基の欠失、挿入および/または置換を有する配列を意味する。さらに、ヒトのmiR−23aに相当する他の生物のmiR−23aの塩基配列およびその配列に1個または数個の塩基の欠失、挿入および/または置換を有する配列も意味する。
MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現に対する阻害剤は、配列番号1で示される塩基配列若しくはその類似配列からなるmiRNA、配列番号1で示される塩基配列若しくはその類似配列を含むpri−miRNA、配列番号1で示される塩基配列若しくはその類似配列を含むpre−miRNA、又は該miRNA若しくはその類似配列、該pri−miRNA若しくはその類似配列又は該pre−miRNA若しくはその類似配列を含む発現ベクターであることが更に好ましい。なお、該miRNA、該pri−miRNA、又は該pre−miRNAは、標的mRNAの3’UTRに結合する際には一本鎖であるが、それ以前は一本鎖であってもよいし、二本鎖であってもよい。
該miRNA、該pri−miRNA又は該pre−miRNAは、従来公知の手法を用いて、天然物から単離するか、化学的に合成するか、又は組換え的に産生させることにより得ることができる。
配列番号1で示される塩基配列を含むpre−miRNA(ヒトのpre−miR−23a)としては、たとえば、5'-GGCCGGCUGGGGUUCCUGGGGAUGGGAUUUGCUUCCUGUCACAAAUCACAUUGCCAGGGAUUUCCAACCGACC-3'(配列番号2:ヒトmiR−23aステムループ)を挙げることができる。その類似配列には、MAFbx/atrogin−1及び/又はTrim63/MuRF1のmRNAの3’UTRに結合して翻訳を阻害する機能を有する、配列番号2の配列に1個または数個の塩基の欠失、挿入および/または置換を有する配列が含まれる。さらに、ヒトのpre−miR−23aに相当する他の生物のpre−miR−23aの塩基配列およびその配列に1個または数個の塩基の欠失、挿入および/または置換を有する配列も含まれる。
配列番号1で示される塩基配列を含むpri−miRNA(ヒトのpri−miR−23a)としては、たとえば、5'-CUUUCUCCCCUCCAGGUGCCAGCCUCUGGCCCCGCCCGGUGCCCCCCUCACCCCUGUGCCACGGCCGGCUGGGGUUCCUGGGGAUGGGAUUUGCUUCCUGUCACAAAUCACAUUGCCAGGGAUUUCCAACCGACCCUGAGCUCUGCCACCGAGGAUGCUGCCCGGGGACGGGGUGGCAGAGAGGCCCCGAAGCCUGU-3'
(配列番号3)を挙げることができる。その類似配列には、MAFbx/atrogin−1及び/又はTrim63/MuRF1のmRNAの3’UTRに結合して翻訳を阻害する機能を有する、配列番号3の配列に1個または数個の塩基の欠失、挿入および/または置換を有する配列が含まれる。さらに、ヒトのpri−miR−23aに相当する他の生物のpri−miR−23aの塩基配列およびその配列に1個または数個の塩基の欠失、挿入および/または置換を有する配列も含まれる。
本発明における「動物細胞」は、動物由来であれば限定されないが、好ましくは、哺乳動物由来であり、より好ましくは、動物由来の筋細胞または筋芽細胞、特に好ましくは、哺乳動物由来の筋細胞または筋芽細胞である。
本発明における「筋萎縮誘導剤」は、筋萎縮を誘導する物質であれば限定されないが、例えば、低分子化合物(例えば、グルココルチコイド、デキサメタゾン)、たんぱく質(例えば、MAFbx/atrogin−1たんぱく質及び/又はTrim63/MuRF1たんぱく質)、核酸(例えば、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子)などが挙げられる。
本発明における「細胞に筋萎縮誘導物質を生体外で接触させる」は、生体外で細胞と筋萎縮誘導物質を一緒に存在させて接触させることと供に、筋萎縮誘導物質が、遺伝子の場合、目的遺伝子を発現ベクターに組み込み、細胞に導入し、発現させて、遺伝子産物を産生させて接触させることも含まれる。
本発明における「候補物質」には、限定されないが、天然物からの抽出物、低分子化合物、たんぱく質、核酸、糖質などが挙げられる。
本発明における「細胞に候補物質を生体外で接触させる」には、生体外で細胞と候補物質を一緒に存在させて接触させることと供に、候補物質が、遺伝子の場合、目的遺伝子を発現ベクターに組み込み、細胞に導入し、発現させて、遺伝子産物を産生させて接触させることも含まれる。
本発明における「MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現量を測定すること」には、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の転写物(たとえば、メッセンジャーRNA)及び/又は翻訳物(例えば、たんぱく質)を測定すること意味する。測定方法は、ノーザンブロット、RT−PCR、リアルタイムRT−PCR、マイクロアレイ、ウェスタンブロット、ELISA、RIAなどの当業者に周知な方法を用いて測定することができる。
本発明における「MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の減少した発現量」とは、候補物質と接触させたときの細胞におけるMAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現量(転写物の量及び/又は翻訳物の量)が、候補物質と接触させなかったときの細胞におけるそれと比較して減少していることを意味する。減少量は、限定されないが、好ましくは0.9倍以下、より好ましく0.5倍以下、さらに好ましくは0.1倍以下である。
本発明における「レポーター遺伝子とMAFbx/atrogin−1の3’UTRの遺伝子又はTrim63/MuRF1の3’UTRの遺伝子を有する発現ベクターを構築すること」とは、導入された細胞においてレポーター遺伝子を発現するために、発現ベクター中のプローモーターの制御下に、レポーター遺伝子とMAFbx/atrogin−1の3’UTRの遺伝子又はTrim63/MuRF1の3’UTRの遺伝子を、レポーター遺伝子の3’末端側と3’UTR遺伝子の5’末端側が繋がるように発現ベクターに組み込むこと、すなわち、5’「プローモーター」3’−5’「 レポーター遺伝子」3’−5’「MAFbx/atrogin−1の3’UTRの遺伝子又はTrim63/MuRF1の3’UTRの遺伝子」3’の構成を有する組み換え遺伝子を有するベクターを構築することを意味する。
「3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1遺伝子又は3’UTRを有するTrim63/MuRF1遺伝子を有する発現ベクターを構築すること」とは、導入された細胞においてMAFbx/atrogin−1遺伝子又はTrim63/MuRF1遺伝子を発現するために、発現ベクター中のプローモーターの制御下に、3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1遺伝子又は3’UTRを有するTrim63/MuRF1遺伝子を組み込むこと、すなわち、5’「プローモーター」3’−5’「MAFbx/atrogin−1遺伝子又はTrim63/MuRF1遺伝子」3’−5’「MAFbx/atrogin−1の3’UTRの遺伝子又はTrim63/MuRF1の3’UTRの遺伝子」3’の構成を有する組み換え遺伝子を有するベクターを構築することを意味する。場合により、3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1遺伝子又は3’UTRを有するTrim63/MuRF1遺伝子は、そのMAFbx/atrogin−1たんぱく質又はTrim63/MuRF1たんぱく質の検出を容易にするために、タグたんぱく質をコードする核酸配列と連結されていても良い。例えば、5’「プローモーター」3’−5’「タグたんぱく質をコードする核酸配列」3’−5’「MAFbx/atrogin−1遺伝子又はTrim63/MuRF1遺伝子」3’−5’「MAFbx/atrogin−1の3’UTRの遺伝子又はTrim63/MuRF1の3’UTRの遺伝子」3’の構成を有する組み換え遺伝子を有するベクターを構築してもよい。
「3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1遺伝子又は3’UTRを有するTrim63/MuRF1遺伝子」は、天然に見出されるMAFbx/atrogin−1遺伝子のORF(オープンリーディングフレーム)とその3’UTR(非翻訳領域)を有する遺伝子、あるいはTrim63/MuRF1遺伝子のORF(オープンリーディングフレーム)とその3’UTR(非翻訳領域)を有する遺伝子、たとえば、MAFbx/atrogin−1のcDNAまたはTrim63/MuRF1のcDNAであってもよいし、MAFbx/atrogin−1またはTrim63/MuRF1のORFとその3’UTRを人工的に遺伝子組み換え技術を用いて連結した遺伝子であっても良い。。
MAFbx/atrogin−1の3’UTR(非翻訳領域)の遺伝子の配列は、例えば、マウスについてはgenbankのNM_026346に開示されており、ヒトについてはgenbankのNM_058229に開示されている。また、他の生物のMAFbx/atrogin−1の3’UTRであってもよい。マウスの場合、MAFbx/atrogin−1の3’UTRは、配列番号27:5'ggaaa tttacaaatg tgaa3' を含む配列、好ましくは、配列番号28:5'ccgatggaaa tttacaaatg tgaattccac3' を含む配列、より好ましくは、配列番号29:5'aat cccagcacac gacaacactt cagaaggctt ctaattggat ggctgggagt cgggacactt catttgtaaa tagtgtacat tttaagcatt ggcttgaaac tgcgggggat acgtcattga ggagacgttg gcggggaaga gatgcagttg ccgatggaaa tttacaaatg tgaattccac atgagaactg gtacagaaaa gcagaaatac tgtaaataga ctttttattt tccctaacga tttgcaagca agactataaa ggcaagaact ctatgtcagc catggaaacg gagtcctc3'を含む配列を用いることができる。
Trim63/MuRF1の3’UTR(非翻訳領域)の遺伝子の配列は、例えば、マウスについてはgenbankにNM_001039048に開示されており、ヒトについてはgenbankのNM_032588に開示されている。また、他の生物のTrim63/MuRF1の3’UTRであってもよい。マウスの場合、Trim63/MuRF1の3’UTRは、配列番号30:5'gtat gtttttaaaa tgtgat3' を含む配列、好ましくは、配列番号31:5'attttgtat gtttttaaaa tgtgattttt gt3' を含む配列、より好ましくは、配列番号32:5'ggaagtgtg tcttctctct gctcagagag cagggactag catagggctc cccaccactg tgtccagcag ctgctgaaac acaattggaa atgtatccaa aacgtcacag gacacttttc tacgttggtg cgaaatgaaa tattttgtat gtttttaaaa tgtgattttt gtatatactt gtatatgtat gccaatttgg tgctttttgt acgagaactt ttgtatgatc acgcctggtc attgtgtgac tggcgattgt cacaaagtgg gaaggaagcc aagacaatag agatgcctac ttcctttcct tg3'を含む配列を用いることができる。
タグたんぱく質には、例えば、当業者に周知のFLAGなどが挙げられる。
発現ベクターとは、目的遺伝子を発現させるために使用するベクターで、宿主細胞で機能するプロモーター、ターミネーターなどを含むベクターを意味し、市場より入手できる。例えば、pGL3コントロール(Promega)、pCX-EGFP(Clontech)、pcDNA3.1(Invitrogen)などが挙げられる。プロモーターには、CMVプロモーター、SV40プロモーター、βアクチンプロモーターなどが挙げられ、ターミネーターには、SV40 lateのβポリAシグナル、アクチンのポリAシグナル、βグロビンのポリAシグナルなどが挙げられる。レポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ遺伝子、緑色蛍光たんぱく質(GFP)遺伝子、EGFP遺伝子などが挙げられる。
「発現ベクターを動物細胞に生体外で導入すること」は、当業者に周知であるプラスミドベクターやウイルスベクターを動物細胞にトランスフェクションする方法を用いて実施することができる。
本発明における「レポーターたんぱく質の量を測定すること」は、レポーターたんぱく質を、マイクロアレイ、ウェスタンブロット、ELISA、RIAなどで測定してもよいし、レポーターたんぱく質の活性を測定しても良い。例えば、レポーターたんぱく質が、ルシフェラーゼである場合、ルシフェラーゼと基質(ルシフェリン)との反応で生じる蛍光を、市販の蛍光測定装置を用いて測定してもよい。レポーターたんぱく質が、緑色蛍光たんぱく質(GFP、EGFP)である場合、GFP、EGFPの蛍光を、市販の蛍光測定装置を用いて測定してもよい。
本発明における「MAFbx/atrogin−1たんぱく質及び/又はTrim63/MuRF1たんぱく質の量を測定すること」は、MAFbx/atrogin−1たんぱく質及び/又はTrim63/MuRF1たんぱく質を、マイクロアレイ、ウェスタンブロット、ELISA、RIAなどで測定してもよいし、タグたんぱく質とMAFbx/atrogin−1たんぱく質及び/又はTrim63/MuRF1たんぱく質が融合されている場合は、MAFbx/atrogin−1たんぱく質及び/又はTrim63/MuRF1たんぱく質の代わりに、タグたんぱく質をマイクロアレイ、ウェスタンブロット、ELISA、RIAなどで測定してもよい。
本発明における「減少したレポーターたんぱく質の量」とは、候補物質と接触させたときの細胞におけるレポーターたんぱく質の量が、候補物質と接触させなかったときの細胞におけるそれと比較して減少していることを意味する。減少量は、限定されないが、好ましくは0.9倍以下、より好ましく0.5倍以下、さらに好ましくは0.1倍以下である。
「減少したMAFbx/atrogin−1たんぱく質の量又は減少したTrim63/MuRF1たんぱく質の量」とは、候補物質と接触させたときの細胞におけるMAFbx/atrogin−1たんぱく質の量又はTrim63/MuRF1たんぱく質の量が、候補物質と接触させなかったときの細胞におけるそれと比較して減少していることを意味する。減少量は、限定されないが、好ましくは0.9倍以下、より好ましく0.5倍以下、さらに好ましくは0.1倍以下である。
本発明における「配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列からなるmiRNAの発現量を測定すること」には、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列からなるmiRNAを測定するだけでなく、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列を含むpre−miRNAまたはpri−miRNAを測定してもよい。測定は、ノーザンブロット、RT−PCR、リアルタイムRT−PCR、マイクロアレイなどの当業者に周知な方法を用いて測定することができる。
本発明における「増加した前記miRNAの発現量」とは、候補物質と接触させたときの細胞における配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列からなるmiRNA、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列を含むpre−miRNAまたはpri−miRNAの量が、候補物質と接触させなかったときの細胞におけるそれと比較して増加していることを意味する。増加量は、限定されないが、好ましくは1.1倍以上、より好ましく2.0倍以上、さらに好ましくは5.0倍以上である。
本発明における「筋萎縮に対するに対する阻害剤として決定すること」とは、(i)MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の減少した発現量を示した細胞に使用された候補物質を筋萎縮に対する阻害剤として選択すること、(ii)減少したレポーターたんぱく質の量、あるいは減少したMAFbx/atrogin−1たんぱく質の量又は減少したTrim63/MuRF1たんぱく質の量を示した細胞に使用された候補物質を筋萎縮に対する阻害剤として選択すること、あるいは(iii)配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列からなるmiRNA、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列を含むpre−miRNAまたはpri−miRNAの量の増加を示した細胞に使用された候補物質を、筋萎縮に対する阻害剤として選択することを意味する。
本発明における「抗筋萎縮剤」とは、筋萎縮、好ましくはMAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子若しくはたんぱく質が関与する筋萎縮を予防又は治療する薬剤を意味する。
本発明の抗筋萎縮剤は、さらに、必要に応じ、その他の成分を含有することができる。
該その他の成分としては、特に制限されることなく、目的に応じて適宜選択することができる。たとえば、医薬的に許容され得る担体を挙げることができる。
本発明の抗筋萎縮剤の剤型としては、特に制限はなく、たとえば、固形、液状の経口剤、注射剤などを挙げることができる。
本発明の抗筋萎縮剤は、MAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1が関与する筋萎縮の予防又は治療に好適である。また、本発明の抗筋萎縮剤は、糖尿病、ガン、心筋梗塞、敗血症、不活動、筋萎縮性側索硬化症、脊髄性進行性筋萎縮症に伴う骨格筋の筋萎縮からなる群より選択される筋萎縮の予防又は治療に好適である。
本発明の抗筋萎縮剤の投与量、投与回数及び投与時期は、特に制限されることなく、適用例に対応し、適宜選択することができる。
また、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮を有する患者を38〜110℃、好ましくは39〜90℃、より好ましくは40〜45℃で処置して、前記筋萎縮に対する予防及び/又は治療を行うことも可能である。処置は、サウナや温浴のような全身処理であっても、局所処理であってもよく。処理時間は、火傷にならない時間であれば限定さない。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
1.筋萎縮のインビトロモデル
C2C12(ATCC)マウス骨格筋芽細胞を、20%FBS(Fetal bovine serum、GIBCO)を含むDMEM中でサブコンフルエントな密度に維持した。80〜100%のコンフルエント密度で、培地を、2%ウマ血清(HS、GIBCO)を含むDMEM(以後、2%HSを含むDMEMをDMと呼ぶ)に交換し、筋形成を誘導するために4日間DMでインキュベーションした。80%を越える細胞が、多核性の筋管を形成した。インビトロで筋萎縮を誘導するために、細胞を、10μMデキサメタゾン(Dex)を含むDM中で12時間又は24時間インキュベーションした。この処理の後、細胞をPBS(−)を用いて回収するか又は形態分析に用いた。
2.筋管形態学的分析
Dex処理の後、筋管の核をヘキスト33342(Invitorogen Co., Carlsbad, CA)で、及び細胞質をtracker green fluorescent(Lonza Group Ltd., Basel, Switzerland)で染色した。培養プレート中の筋管を、EM−CCDデジタルカメラ(Hamamatsu Photonics K.K., Shizuoka, Japan)付きのIX71蛍光顕微鏡(Olympus, Tokyo, Japan)を用いて直接撮影した。50を超える筋管の最も太い箇所の直径をAquaCosmosソフトウェアー(Hamamatsu Photonics K.K.)を用いて測定した。
pCXbG−priーmiR−23aまたはpCXbGをトランスフェクションした細胞の場合、トランスジーンマーカーとしてのEGFPの蛍光によって、培養プレート中の筋管を直接撮影し、筋管の直径をAquaCosmosソフトウェアー(Hamamatsu Photonics K.K.)を用いて測定した。
3.ベクターの構築
3−1.プライマリーmiR−23a発現用ベクター(pCXbG−pri-miR−23a)の構築
プライマリーmiR−23a領域のプライマー:
5'-AAA GTC GAC CTT TCT CCC CTC CAG GTG C-3'(配列番号4、下線はSalI部位を示す)及び
5'-AAG ATA TCT CGA GAC AGG CTT CGG GGC CTC TC-3'(配列番号5、下線はEcoRV部位を示す)
を用いてヒトゲノムDNAを用いるPCRによって、配列番号3に示すプライマリーmiR−23a(priーmiR−23a)を増幅した。得られたPCR産物をSalI及びEcoRVで消化し、XhoI及びEcoRV部位でプラスミドpCXbG内に導入した。このpCXbGは、加藤義雄(独立行政法人 産業技術総合研究所 ジーンファンクション研究センター 機能性RNA研究チーム)によりプラスミドpCX−EGFP(Okabe M. et al. 'Green mice' as a source of ubiquitous green cells. FEBS Lett. 407, 313-319 (1997))から作製され供与された。
3−2.レポーターベクター:pLuc2EXN−atrogin−1 3’UTR、pLuc2EXN−atroghl−1 3’UTR△、pLuc2EXN−MuRF1 3’UTRおよびpLuc2EXN−MuRF1 3’UTR△の構築
推定のmiR−23a結合部位を含む、MAFbx/atrogin−1 3’UTRまたはTrim63/MuRF1 3’UTRの約300bpのヌクレオチドフラグメントを、Ex Taq HS(TaKaRa, Osaka, Japan)を用いるPCRによってマウスのcDNA(骨格筋由来)から増幅した。プライマー配列は、下記のとおりである。
MAFbx/atrogin−1 3’UTRのためには、
forward primer 5'-TCT CTA GAA TCC CAG CAC ACG ACA ACA CTT C-3'(配列番号6、下線はXbaI部位を示す)および
reverse primer 5'-CTC TCG AGG ACT CCG TTT CCA TGG CTG AC-3'(配列番号7、下線はXhoI部位を示す)、または
Trim63/MuRF1 3’UTRのためには、
forward primer 5'-AAG AAT TCG GAA GTG TGT CTT CTC TCT GCT C-3'(配列番号8、下線はEcoRI部位を示す)および
reverse primer 5'-AAG AAT TCA AGG AAA GGA AGT AGG CAT CTC-3'(配列番号9、下線はEcoRI部位を示す)
増幅したフラグメントをpLuc2EXNプラスミドのXbaI及びXhoI部位内、またはEcoRI部位内にクローニングした。このpLuc2EXNは、加藤義雄(独立行政法人 産業技術総合研究所 ジーンファンクション研究センター 機能性RNA研究チーム)によりプラスミドpGL3−コントロール(Promega Co., Madison, WI)から作製され供与された。pLuc2EXN−atroghl−1 3’UTR△またはpLuc2EXN−MuRF1 3’UTR△を、Akimoto T. et al. (Akimoto T. et al. Real-time imaging of peroxisome proliferator-activated receptor-gamma coactivator-1 alpha promoter activity in skeletal muscles of living mice. Am. J. Physiol. Cell Physiol. 287, C790-796 (2004))に記載したとおり、pLuc2EXN−atrogin−1 3’UTRまたはpLuc2EXN−MuRF1 3’UTRから部位特異的突然変異誘発によって作成した。
概略すると、PCRベース部位特異的突然変異誘発のために、
pLuc2EXN−atroghl−1 3’UTR△のためには
forward primer:5'- GCC GAT GGA AAT TTA CAC ACT ATA ATT CCA CAT G-3'(配列番号10、突然変異したヌクレオチドに下線を付した)及び
reverse primer:5'- CAT GTG GAA TTA TAG TGT GTA AAT TTC CAT CGG C-3(配列番号11、突然変異したヌクレオチドに下線を付した)を用いて、pLuc2EXN−atroghl−1 3’UTRをテンプレートに増幅をおこなった。また、
pLuc2EXN−MuRF1 3’UTR△のためには
forward primer:5'-GTA TGT TTT TAA AAT ACC CGT TTT GTA TAT ACT TGT ATA TG-3'(配列番号12、突然変異したヌクレオチドに下線を付した)及び
reverse primer:5'-CAT ATA CAA GTA TAT ACA AAA CGG GTA TTT TAA AAA CAT AC-3'(配列番号13、突然変異したヌクレオチドに下線を付した)を用いて、pLuc2EXN−MuRF1 3’UTRをテンプレートに1回目の増幅を行った後、さらに、
forward primer: 5'-GTA TGC TTT TAA CCC ACC CGT TTT GTA TAT ACT TG-3'(配列番号14 、突然変異したヌクレオチドに下線を付した) 及び
reverse primer:5'-CAA GTA TAT ACA AAA CGG TTG GGT TAA AAG CAT AC-3'(配列番号15、突然変異したヌクレオチドに下線を付した)
を用いて、1回目のテンプレートを鋳型に2回目の増幅を行った。
これらの増幅産物から、QuickExchange lightning site-directed mutagenesis kit(Stratagene)を用いて部位特異的突然変異を有するプラスミドを得た。簡単には、テンプレートのpLuc2EXN−atrogin−1 3’UTRを含む増幅産物またはpLuc2EXN−MuRF1 3’UTRにおける2回目の増幅産物をDpn Iで消化後DH−5αにトランスフォーメーションし、アンピシリン含有培地において増殖してきたDH−5αから、プラスミドMidi kit(Qiagen)を用いてpLuc2EXN−atroghl−1 3’UTR△またはpLuc2EXN−MuRF1 3’UTR△を得た。
3−3.FLAGタグを付加した3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1またはTrim63/MuRF1発現ベクターの構築
MAFbx/atrogin−1およびTrim63/MuRF1の翻訳のmiR−23aによる阻害を確認するために、FLAGタグ化した3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1およびTrim63/MuRF1発現ベクターを構築した。3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1およびTrim63/MuRF1のORFをマウス骨格筋由来のcDNAからExTaq HS polymerase (TaKaRa)を用いて増幅し、TA vectors (Invitrogen)にクローニングした。クローニングのための特異的プライマーは、Atrogin−1 ORF+3’ UTRについては、
Forward: 5'-AGG ATC CAT GCC GTT CCT TGG GCA GGA C-3'(配列番号16、下線はBamHI部位を示す) および
Reverse: 5'-ACT CGA GGC TTG TTT GCC AAG AGC ATG CAT AG-3'(配列番号17、下線はXhoI部位を示す)、
MuRF1 ORF+3’UTRについては、
forward: 5'-AAG GAT CCA TGG ATT ATA AAT CTA GCC TGA TTC CTG-3'(配列番号18、下線はBamHI部位を示す) および
reverse: 5'-AAG AAT TCT TTA TTT TTG AGG CAG AGT CTC TCT ATG-3'(配列番号19、下線はEcoRI部位を示す)である。
Atrogin−1 ORF+3’UTRのPCR断片は、BamHI−XhoI部位で、そしてMuRF1 ORF+3’UTRのPCR断片は、BamHI−EcoRI部位で、pcDNA3.1(Invitrogen)にサブクローニングした。サブクローニング後、f:PGC−1(Mechanisms controlling mitochondrial biogenesis and respiration through the thermogenic coactivator PGC-1. Wu Z, Puigserver P, Andersson U, Zhang C, Adelmant G, Mootha V, Troy A, Cinti S, Lowell B, Scarpulla RC, Spiegelman BM. Cell. 1999 Jul 9;98(1):115-24. Harvard Medical School, USAのBruce Spiegelmanから贈与された)からBamHI部位で切り出したFLAG−tagを含むDNA断片を、Atrogin−1 ORF+3’UTRのPCR断片またはMuRF1 ORF+3’UTRのPCR断片の上流にBamHI部位で挿入した。
4.トランスフェクション
C2C12をトランスフェクションの24時間前に6ウェルプレートに播種した。細胞を、1μgの各ベクター(pCXbG−pri−miR−23aまたはpCXbG)および/又は50ngのmiR−23aのアンチセンスであるロックされた核酸(locked nucleic acid, LNA):5'-GGA AAU CCC UGG CAA UGU GAU-3'(配列番号26、下線はロックされた位置を示す)と、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を含む無血清Opti−MEM(Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。6時間インキュベーション後に、培地をFBSを含む培地と交換した。
5.レポーターアッセイ
HeLa細胞(ATCC)をトランスフェクションの24時間前に6ウェルプレートに播種した。細胞を0.1μgのベクター(pLuc2EXN−atrogin−1 3’UTR、pLuc2EXN−atrogin−1 3’UTRΔ、pLuc2EXN−MuRF1 3’UTR、pLuc2EXN−MuRF1 3’UTRΔ、pcDNA3.1−FLAG−Atrogin−1、pcDNA3.1−FLAG−MuRF1またはpcDNA3.1−FLAG−p38β)、及び、1.8μgのpCXbG−miR−23aもしくはpCXbG、およびリポフェクタミン2000を用いてトランスフェクションした。細胞をトランスフェクションの24時間後に溶解し、ルシフェラーゼ活性をルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega Co.)を用いて測定した。
6.MAFbx/atrogin−1およびTrim63/MuRF1 mRNA分析
製造者のプロトコールにしたがって、全RNAを、ISOGEN(WAKO, Osaka, Japan)を用いることによってC2C12細胞または筋肉組織から抽出し、10μgのRNAを、SuperScriptIII(Invitrogen)逆転写(RT)に付した。オリゴdTプライマー(Invitrogen)をcDNAを作成するために用いた。反応液を16℃で30分間、42℃で30分間そして85℃で5分間インキュベーションした。アリコートのRT反応産物をEx Taq HS(TaKaRa, Osaka, Japan)及びMAFbx/atrogin−1またはTrim63/MuRF1遺伝子特異的プライマー(fasmacで合成)を用いてPCR(ABI, 9600)に直接用いた。PCR反応(10μl)を行った。各10μl反応混合液は、2μlの希釈したRT産物を含んだ。反応液を95℃で10分間インキュベーションし、次いで、95℃で30秒及び60℃で30秒、72℃で60秒を25サイクルさせた。MAFbx/atrogin−1またはTrim63/MuRF1遺伝子特異的プライマー配列は、下記のとおりである。増幅産物は、0.5 μg/mlのエチジウムブロミドを含む2%アガロースゲルを用いた電気泳動により分離し、DNAバンドの蛍光強度をルミノイメージアナライザー(LAS-3000,FUJI Film)を用いて測定した。
MAFbx/atrogin−1:
5'-GGG AGG CAA TGT CTG TGT TT-3'(配列番号20)及び
5'-TTG TGA AAA AGT CCC GGT TC-3'(配列番号21)
Trim63/MuRF1:
5'-ACC GAG TGC AGA CGA TCA TCT C-3'(配列番号22)及び
5'-AAA GTC AAT GGC CCT CAA GGC-3'(配列番号23)
GAPDH:
5'-GTG GCA AAG TGG AGA TTG TTG CC-3'(配列番号24)及び
5'-GAT GAT GAC CCG TTT GGC TCC-3'(配列番号25)
GAPDHを内部標準として用いた。
7.マイクロRNA(miR−23a)分析
TaqMan MicroRNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems, Foster City, CA)及びTaqMan MicroRNA assays has-miR-23a(#4373074,Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて、製造者のプロトコールにしたがい、成熟miRNA(miR−23a)の発現を定量した。miRNA定量において、各逆転写(RT)反応液は、10ngの精製全RNAを含んだ。このRT反応液を16℃で30分間、42℃で30分間そして85℃で5分間インキュベーションした。各miRNA(10μl)のリアルタイムPCR反応液をトリプリケートで行った。各10μl反応混合液は、2μlの希釈したRT産物を含んだ。反応液を96ウェルプレート中でApplied Biosystems 7500 Fast Real-Time PCR systemで、95℃で10分間インキュベーションし、次いで、95℃で15秒及び60℃で1分を40サイクルさせた。内部標準は同様にキットに付属のβアクチンを使用した。
8.動物実験
成体(8週齢)C57BL/6マウス(Clea Japan , Inc., Tokyo, Japan)を温度制御施設(21℃)で12時間明期/12時間暗期サイクルで飼育し、水と餌は、自由に摂取させた。骨格筋萎縮を誘導するために、1mgDex/kg体重を7日間腹腔内投与した。Dex処理の後、動物を屠殺し、筋肉を適当なバッファー(例えば、PBS(−))に回収するか又はOCT化合物に包埋した。この動物プロトコールは、東京大学及び早稲田大学の動物実験委員会によって承認されている。
9.マウス骨格筋の免疫組織化学
抗ミオシン重鎖(MHC)2b(BF−F3)モノクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc., West Grove, PA)をマウス骨格筋からのOCT包埋切片(10μメートル)の断面の免疫染色の一次抗体として用いた(Schiaffino S. et al., Three myosin heavy chain isoforms in type 2 skeletal muscle fibres. J. Muscle Res. Cell Motil. 10, 197-205 (1989))。筋線維の形状は、マウス抗ジストロフィン抗体(D8043, Sigma. St. Louis. MO)とFITC結合二次抗体を用いて確認した。切片の断面を4%パラホルムアルデヒドを含むPBS(−)で固定し、0.3%Triton X−100を含むPBS(−)で透過処理し、そして一次抗体(マウス抗ジストロフィン抗体およびMHC2b(BF−F3)モノクローナル抗体)と一緒に一晩インキュベーション(4℃)した。二次抗体は、MHC2bについてはR−PE結合抗マウスIgMであった。最後に、カバースリップをVACTA SHIELD(Vector Laboratories, Ltd., Burlingame, CA)で封入した。マウス抗ジストロフィン抗体およびMHC2bモノクローナル抗体で染色された面積をAquaCosmosソフトウェアーで測定した(Hamamatsu Photonics K.K.)。
10.電気パルスによる遺伝子導入
電気パルスによる遺伝子導入を、Akimono T. et al(Akimono T. et al (2004))に記載されたとおりに行った。簡略には、両前脛骨(TA)筋に麻酔下(50mg/kg、i.p.、ペントバルビタールナトリウム)で20μgのプラスミドDNAをインジェクションした。インジェクションの後1分以内に、モデル532 2ニードルアレイ(BTX Instrument Divisoin Harvard Apparatus, Inc., Holliston, MA)によりSEN−3401電気刺激器(Nihon Kohden, Tokyo, Japan)を用いてインジェクションされたTA筋に電場を与えた。持続期間100ms、周波数1Hz、振幅100V(200V/cm)で、TA筋の内側側面及び外側側面にニードルアレイを設置することによって、8回のパルスを筋肉に適用し、電場を筋線維の長軸に対して垂直にした。このマウスをデキサメタゾン注射前に4日間回復させた。
11.熱ストレス処理
インビトロ研究については、C2C12筋管を30分間水浴(42℃)に置くことで熱ストレスを与えた。熱ストレス後インビトロで筋萎縮を誘導するために培地を10μMDexを含むDMに交換し12時間培養した。インビボ研究については、マウスを1時間42℃に置くことで熱ストレスに曝した。熱ストレス処理の24時間後に1mgDex/kg体重を腹腔内に投与し骨格筋萎縮を誘導した。Dexは1日1回で7日間投与した。
12.統計解析
データを平均±平均の標準誤差で表した。統計的有意(p<0.05)をスチューデントのt検定又はANOVA、さらに、それぞれ、二群又は多群間比較ダンネット検定によって決定した。
結果
miR−23aは、MAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1のmRNAの3’UTRと相互作用した。
バイオインフォマティックス分析(Human miRNA targets(http://cbio.mskcc.org/mirnaviewer/)及びMIRBASE Targets(http://microrna.sanger.ac.uk/targets/))では、MAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1の3’UTRにおける推定のmiR−23a結合部位がヒト及びマウスを含む哺乳動物において高く保存されていることが明らかとなった(図1a)。
miR−23a及びMAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1の機能的相互作用を調べるために、MAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1のmRNAの3’UTRをルシフェラーゼレポーターベクターの下流にサブクローニングした(図1b)。miR−23a過剰発現ベクター(pCXbG−pri−miR−23a)及びレポーターベクター(pLuc2EXN−antrogin−1 3’UTRまたはpLuc2EXN−MuRF1 3’UTR)をHeLa細胞にコトランスフェクションし、ルシフェラーゼ活性をトランスフェクションの24時間後に測定した。また、MAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1のmRNAの3’UTRのmiR−23aの想定結合部位に突然変異を有するレポーターベクター(pLuc2EXN−atrogin−1 3’UTRΔまたはpLuc2EXN−MuRF1 3’UTR△)を構築し、pLuc2EXN−atrogin−1 3’UTRまたはpLuc2EXN−MuRF1 3’UTRと同様にコトランスフェクションした。
予測されたとおり、pLuc2EXN−atrogin−1 3’UTR(図1cにおけるWT)からのルシフェラーゼ活性は、pri−miR−23a発現ベクターと一緒にコトランスフェクションしたときに明らかに減少した(図1cのMAFbx/atrogin−1のWTにおけるmiR−23a)が、突然変異ベクターからのルシフェラーゼ活性は、減少しなかった(図1cのMAFbx/atrogin−1のミュータントにおけるmiR−23a)。同様に、pLuc2EXN−MuRF1 3’UTR(図1cにおけるWT)からのルシフェラーゼ活性は、pri−miR−23a発現ベクターと一緒にコトランスフェクションしたときに明らかに減少した(図1cのMuRF1のWTにおけるmiR−23a)が、突然変異ベクターからのルシフェラーゼ活性は、減少しなかった(図1cのMuRF1のミュータントにおけるmiR−23a)。これは、miR−23aがMAFbx/atrogin−1又はMuRF1の mRNAの3’UTRと相互作用し、その発現を下方制御したことを示す。また、miR−23aは、MAFbx/atrogin−1よりMuRF1の方をより強く発現抑制することがわかった。以上のことから、miR−23aがMAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1のmRNAの3’UTRと相互作用し、その発現を下方制御したことがわかった。
MAFbx/atrogin−1およびMuRF1の発現の下方制御がmiR−23aによる翻訳の阻害であることを確認するために、3’UTRを含むMAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1のORFをFLAGの下流にサブクローニングした(図1d)。
FLAGタグを付加した3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1またはTrim63/MuRF1発現ベクターとmiR−23a発現ベクターを細胞にコトランスフェクションし、MAFbx/atrogin−1またはTrim63/MuRF1たんぱく質の発現を、抗FLAG抗体を用いるウェスタンブロット法によって検出した。これらのタンパク発現が、miR−23aの発現によって阻害されたこと(図1e)から、miR−23aによるMAFbx/atrogin−1またはTrim63/MuRF1の発現阻害が翻訳段階での阻害であることが示された。
miR−23aは、インビトロ及びインビボでのデキサメタゾン誘導筋萎縮に対する耐性をもたらす。
miR−23aを強制的に発現させたインビトロ筋萎縮モデルを用いることによってmiR−23a機能を調べた。miR−23a発現ベクターであるpCXbG−miR−23aをマウスの筋芽細胞系(C2C12)にトランスフェクションし、筋形成を誘導した。筋管を10μMのデキサメタゾン(Dex)で24時間処理し、その直径をトランスジーンマーカーとしてのEGFPの可視化によって測定した。モック(pCXbG)のトランスフェクションをされた細胞において、筋管の直径は、デキサメタゾン処理に応じて明らかに減少した(図2aのモックにおけるコントロールとDexの比較)。一方、miR−23aを強制発現させている筋管の直径は、デキサメタゾン処理に応じて減少することはなかった(図2aのmiR−23aにおけるコントロールとDexの比較)。転写レベルでのMAFbx/atrogin−1又はTrim63/MuRF1のデキサメタゾン誘導上方制御は、miR−23a発現によって影響されることはないことから(図2bのモックにおけるDex +とmiR−23aにおけるDex +の比較)、miR−23aが転写以外のほかのメカニズムによってその機能を媒介していることがわかる。
さらに、電気パルス介在遺伝子導入を用い、pCXbG−pri−miR−23aをマウスの成体の両前脛骨(TA)筋内にトランスフェクションし、7日間デキサメタゾン処理(i.p.注射で毎日)に応じたモックトランスフェクション筋との筋横断面積を比較した。グルココルチコイドは速筋線維に選択的に筋萎縮を誘導することが知られている(van Rooij E. et al. A signature pattern of stress-responsive microRNAs that can evoke cardiac hypertrophy and heart failure. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 103 l 8255-18260 (2006))。モックトランスフェクション筋において、線維の横断面積はデキサメタゾン処理によって明らかに減少したが、miR−23a陽性線維は、減少が見られず明らかに筋萎縮に耐性であった(図3)。これらの結果は、miR−23a発現が、インビトロ及びインビボでの骨格筋萎縮を弱めるのに十分であることを示す。
miR−23aは、心筋におけるストレス応答性miRNAの1つとして報告されている(Schakman O., Gilson H. & Thissen JP. Mechanisms of glucocorticoid-induced myopathy. J. Endocrinol. 197, 1-10 (2008)。よって、miR−23aは、骨格筋においてもストレスにより誘導される可能性がある。miR−23aを誘導する物理的ストレスをインビトロでスクリーニングしたところ、熱ストレスが筋芽細胞(C2C12)においてmiR−23aをもっとも強く誘導することを見出した(図4c)。そして、熱ストレスが、MAFbx/atrogin−1 mRNAの発現に影響を与えることなく(図4a)、デキサメタゾン誘導性萎縮への耐性を筋管に与えることを見出した(図4b)。
熱ストレス誘導性miR−23aをノックダウンするために、miR−23aに対するアンチセンスLNAをC2C12にトランスフェクションした。アンチセンスLNAは、選択的に相補的なmiRNAと結合し強固な2本鎖を形成してその機能を下方制御することが報告されている(Elm J. et al. Antagonism of microRNA-122 in mice by systemically administered LNA-antimiR leads to up-regulation of a large set of predicted target mRNAs in the liver. Nucleic Acids Res. 36, 1153-1162 (2008))。アンチセンスLNAはmiR−23a発現を下方制御した(図5)。そして、熱ストレス誘導性萎縮の耐性を弱めた(図4b)。これらの結果は、miR−23aが熱ストレスにより誘導された筋萎縮に対する耐性と関係があることを示している。
インビトロにおける筋萎縮への熱ストレス誘導耐性の役割を確かめるために、マウスを熱ストレスに曝した後7日間デキサメタゾン処理を行った。足底筋において、筋重量の減少は熱ストレスに曝していない群と比較して熱ストレスに曝した群において顕著に少なかった(図4d)。足底筋における速筋線維の断面積の測定は、繊維サイズの減少が熱ストレスに曝していない群と比較して熱ストレスに曝した群において顕著に少ないことを示していた(図4e)。デキサメタゾン誘導性MAFbx/atrogin−1 mRNAの発現は、熱ストレスによって影響されなかった(図4a)。培養における筋管での発見と一致して、骨格筋におけるmiR−23aの発現は熱ストレスに曝されたマウスにおいて顕著に上方制御されていた(図4f)。これらの結果は、熱ストレス誘導性miR−23aが、MAFbx/atrogin−1の発現をMAFbx/atrogin−1遺伝子の転写後において抑制し筋萎縮を弱めていることを示唆している。
本発明は、筋萎縮の予防又は治療のために有用である。
SEQUENCE LISTING

<110> The University of Tokyo

<120> Agent against muscle atrophy

<130> KP-12701

<160> 32

<170> PatentIn version 3.3

<210> 1
<211> 21
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 1
aucacauugc cagggauuuc c 21


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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 2
ggccggcugg gguuccuggg gaugggauuu gcuuccuguc acaaaucaca uugccaggga 60

uuuccaaccg acc 73


<210> 3
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<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 3
cuuucucccc uccaggugcc agccucuggc cccgcccggu gccccccuca ccccugugcc 60

acggccggcu gggguuccug gggaugggau uugcuuccug ucacaaauca cauugccagg 120

gauuuccaac cgacccugag cucugccacc gaggaugcug cccggggacg ggguggcaga 180

gaggccccga agccugu 197


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aaagtcgacc tttctcccct ccaggtgc 28


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aagatatctc gagacaggct tcggggcctc tc 32


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tctctagaat cccagcacac gacaacactt c 31


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ctctcgagga ctccgtttcc atggctgac 29


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aagaattcgg aagtgtgtct tctctctgct c 31


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ttgtgaaaaa gtcccggttc 20


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gtggcaaagt ggagattgtt gcc 23


<210> 25
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<212> DNA
<213> Artificial

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<223> designed primer

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gatgatgacc cgtttggctc c 21


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<212> RNA
<213> Homo sapiens

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aatcccagca cacgacaaca cttcagaagg cttctaattg gatggctggg agtcgggaca 60

cttcatttgt aaatagtgta cattttaagc attggcttga aactgcgggg gatacgtcat 120

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cacatgagaa ctggtacaga aaagcagaaa tactgtaaat agacttttta ttttccctaa 240

cgatttgcaa gcaagactat aaaggcaaga actctatgtc agccatggaa acggagtcct 300

c 301


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gtccagcagc tgctgaaaca caattggaaa tgtatccaaa acgtcacagg acacttttct 120

acgttggtgc gaaatgaaat attttgtatg tttttaaaat gtgatttttg tatatacttg 180

tatatgtatg ccaatttggt gctttttgta cgagaacttt tgtatgatca cgcctggtca 240

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Claims (8)

  1. MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現に対する阻害剤を含む抗筋萎縮剤。
  2. 阻害剤が、RNA又はその類似体である請求項1記載の抗筋萎縮剤。
  3. RNAが、miRNAまたはsiRNAである請求項2記載の抗筋萎縮剤。
  4. RNA又はその類似体の配列が、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列である請求項2まはた3記載の抗筋萎縮剤。
  5. MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮に対する阻害剤をスクリーニング方法であって、
    − 動物細胞を提供すること、
    − 前記細胞に候補物質を生体外で接触させること、
    − 前記細胞における、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列からなるmiRNAの量を測定すること、
    − 候補物質と接触させなかった細胞における、配列番号1で示される塩基配列もしくはその類似配列からなるmiRNAの量と比較して、増加した前記miRNAの量を有する細胞を選択すること、および
    − 選択された細胞に使用された候補物質を、前記筋萎縮に対する阻害剤として決定すること、
    を含む方法。
  6. MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮に対する阻害剤をスクリーニング方法であって、
    − 動物細胞を提供すること、
    − 前記細胞に筋萎縮誘導物質を生体外で接触させること、
    − 筋萎縮誘導物質と接触させた前記細胞に候補物質を生体外で接触させること、
    − 前記細胞における、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現量を測定すること、
    − 候補物質と接触させなかった細胞における、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の発現量と比較して、MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子の減少した発現量を有する細胞を選択すること、および
    − 選択された細胞に使用された候補物質を、前記筋萎縮に対する阻害剤として決定すること、
    を含む方法。
  7. MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮に対する阻害剤をスクリーニング方法であって、
    − レポーター遺伝子とMAFbx/atrogin−1の3’UTRの遺伝子又はTrim63/MuRF1の3’UTRの遺伝子を有する発現ベクターを構築すること、あるいは3’UTRを有するMAFbx/atrogin−1遺伝子又は3’UTRを有するTrim63/MuRF1遺伝子を有する発現ベクターを構築すること、
    − 前記発現ベクターを動物細胞に生体外で導入すること、
    − 前記細胞に候補物質を生体外で接触させること、
    − 前記細胞における、レポーターたんぱく質の量、あるいはMAFbx/atrogin−1たんぱく質又はTrim63/MuRF1たんぱく質の量を測定すること、
    − 候補物質と接触させなかった細胞における、レポーターたんぱく質の量、あるいはMAFbx/atrogin−1たんぱく質の量又はTrim63/MuRF1たんぱく質の量と比較して、減少したレポーターたんぱく質の量、あるいは減少したMAFbx/atrogin−1たんぱく質の量又は減少したTrim63/MuRF1たんぱく質の量を有する細胞を選択すること、および
    − 選択された細胞に使用された候補物質を、前記筋萎縮に対する阻害剤として決定すること、
    を含む方法。
  8. MAFbx/atrogin−1遺伝子及び/又はTrim63/MuRF1遺伝子が関与する筋萎縮を有する患者を38〜110℃で処置することを含む、前記筋萎縮に対する予防及び/又は治療方法。
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