JP2020121903A - 構造体の製造方法及び構造体 - Google Patents

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【課題】従来の研ぎ出し仕上げ工法に比べて、より簡便な作業、かつ、少ない工程で研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体が得られる製造方法、及び新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体を提供する。【解決手段】樹脂結合剤と複数の美麗骨材を混練し、それらの混練物を調製する混合工程と、前記混練物を基体に塗り付けて、塗工物を形成する塗り付け工程と、前記塗工物中の前記樹脂結合剤を硬化させ、硬化した前記樹脂結合剤と、前記複数の美麗骨材間に空隙を有する状態で前記樹脂結合剤により接着された前記複数の美麗骨材とを含む美麗骨材層を形成する硬化工程と、前記美麗骨材層の表面を研磨し、表面側に視認可能に露出する前記複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有する化粧骨材層を形成する研磨工程と、を含む化粧構造体の製造方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧構造体の製造方法及び化粧構造体に関する。
大理石のような美しい模様の化粧構造体に仕上げられる人造石仕上げ工法として、人造石研ぎ出し仕上げや現場テラゾー仕上げと称される工法が知られている。これらの工法は、セメントペーストと、大理石の砕石等の種石とを混ぜ合わせた混合物を基体に塗り付け、セメントペーストの硬化の程度を見計らって、砥石や研磨機、グラインダー等で研磨し、上記種石を研ぎ出して平坦な化粧面を得る工法である。こうした工法による化粧構造体は、建造物の屋内外で使用されており、例えば、床、壁、腰壁、巾木、流し、カウンター天板、及びテーブル天板等に使用されている。
人造石研ぎ出し仕上げと現場テラゾー仕上げの違いは、主に使用する種石の大きさである。人造石研ぎ出し仕上げは比較的小さめの種石が使用される場合の工法として称され、現場テラゾー仕上げは比較的大きめの種石が使用される場合の工法として称されることが多い。本明細書においては、それらを特に区別することなく、研ぎ出し仕上げ工法と記載することがある。
研ぎ出し仕上げ工法に関する先行技術文献としては、例えば特許文献1がある。特許文献1には、接着剤で互いに接着された骨材を含む骨材集積体を準備する工程と、骨材集積体をセメントペーストに埋め込む工程と、セメントペーストを硬化させる工程と、硬化したセメントペーストの表面を研磨して、骨材集積体を研ぎ出す工程と、を含むテラゾーの製造方法に関する発明が開示されている。
特開2012−001403号公報
従来の一般的な研ぎ出し仕上げ工法では、セメントペーストと種石とを混練した混合物を基体に塗り付け、混合物中のセメントペーストがある程度硬化した後の硬化物の表面を削り、研磨して種石を研ぎ出し、仕上げにワックスを塗布し、平坦で艶のある化粧面に仕上げる方法が採られている。
上述の従来の一般的な研ぎ出し仕上げ工法(以下、「従来工法」と記載することがある。)では、セメントペーストと種石の混合物を塗り付けた段階では、種石がセメントペーストに埋没している。そのため、種石の詰まり具合は、塗り付けられた混合物におけるセメントペーストが硬化した後の硬化物の表面を削った後でなければわからない。それゆえ、仮に種石の詰まり具合に不具合があった場合、研削や研磨の作業を行った後にやり直す必要が生じてしまうことから、そのような事態を可能な限り避けるべく、混合物を塗り付ける作業は熟練した技術を要する。
また、上述の従来工法では、混合物を塗り付けた後、研削や研磨を行うまでの養生期間は、通常3〜5日間程度であるが、研削や研磨を行う際に、養生期間が長すぎたことでセメントペーストの硬化が進みすぎていると、研削や研磨を行い難くなる。一方、養生期間が短すぎたことでセメントペーストの硬化が不十分な状態で研削や研磨を行うと、種石が飛び跳ねるようにセメントペーストから抜け出てしまう。そのため、上述の従来工法では、セメントペーストの硬化の程度を見計らって、研磨の作業を行う必要がある。
さらに、上述の従来工法では、塗り付けられた混合物の表面を研削し、研磨する工程において、多くの作業を必要とする。この研削及び研磨の作業においては、通常、まず粗削りを行った後、中削り、仕上げ削り等の作業を行う。また、セメントペーストと種石とを混練したときには混合物に空気を巻き込んでおり、塗り付けられた混合物が硬化した硬化物の表面を削った段階で、上記混練の際に巻き込んだ空気が空気穴(ピンホール)として外観上視認される。そのため、研磨工程の段階でピンホールを埋める作業も必要となる。
以上の通り、上述の従来工法は、熟練した施工技術が必要であり、また、施工手間と施工期間がかかる工法である。
そこで、本発明は、従来の研ぎ出し仕上げ工法に比べて、より簡便な作業、かつ、少ない工程で研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体を得ることが可能な方法、及び新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体を提供しようとするものである。
本発明によれば、樹脂結合剤と複数の美麗骨材を混練し、それらの混練物を調製する混合工程と、前記混練物を基体に塗り付けて、塗工物を形成する塗り付け工程と、前記塗工物中の前記樹脂結合剤を硬化させ、硬化した前記樹脂結合剤と、前記複数の美麗骨材間に空隙を有する状態で前記樹脂結合剤により接着された前記複数の美麗骨材とを含む美麗骨材層を形成する硬化工程と、前記美麗骨材層の表面を研磨し、表面側に視認可能に露出する前記複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有する化粧骨材層を形成する研磨工程と、を含む化粧構造体の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、樹脂結合剤と、前記樹脂結合剤で接着されているとともに表面側に視認可能に露出した複数の美麗骨材とを含む化粧骨材層を備え、前記化粧骨材層は、前記表面側において、前記露出した複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有するとともに、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材を凸部とし、かつ、その周囲部分である前記複数の美麗骨材間を凹部とした凹凸構造を有する化粧構造体が提供される。
さらに、本発明によれば、樹脂結合剤と、前記樹脂結合剤で接着されているとともに表面側に視認可能に露出した複数の美麗骨材と、その周囲部分である前記複数の美麗骨材間を埋める目詰め材と、を含む化粧骨材層を備え、前記化粧骨材層は、前記表面側において、前記露出した複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有するとともに、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材と、前記周囲部分である前記複数の美麗骨材間に設けられた前記目詰め材とが面一に形成されている化粧構造体が提供される。
本発明によれば、従来の研ぎ出し仕上げ工法に比べて、より簡便な作業、かつ、少ない工程で研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体を得ることが可能な方法、及び新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体を提供することができる。
本発明の第1実施形態の化粧構造体の製造方法の一例を表すフローチャートである。 本発明の第1実施形態の化粧構造体の製造方法における硬化工程後に得られた美麗骨材層の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態の化粧構造体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第2実施形態の化粧構造体の製造方法の一例を表すフローチャートである。 本発明の第2実施形態の化粧構造体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の第3実施形態の化粧構造体の製造方法の一例を表すフローチャートである。 本発明の第3実施形態の化粧構造体の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明することがあるが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、各図における共通の構成には、同一の符号を付して、その説明を省略することがある。
前述の通り、従来の一般的な研ぎ出し仕上げ工法(従来工法)は、熟練した施工技術が必要であり、また、施工手間と施工期間がかかる工法である。そこで、本発明者らは、従来の研ぎ出し仕上げ工法に比べて、熟練した技術によらずともより簡便な作業で、かつ、少ない工程数で、従来の研ぎ出し仕上げ工法で得られるようなデザインの化粧面を有する化粧構造体を得るための工法を鋭意検討した。
上記検討においてはまず、本発明者らは、種石としての美麗骨材に対する結合剤として、セメントペースト(セメント結合剤)に比べて、養生期間が短く、研削や研磨も行い易い樹脂結合剤を用いることとした。そして、樹脂結合剤と複数の美麗骨材との混練物を塗り付けて樹脂結合剤を硬化させ、硬化した樹脂結合剤と、空隙を有する状態で樹脂結合剤により接着された美麗骨材とを含む美麗骨材層(美麗骨材の集積体)とした後、その美麗骨材層の表面を研磨することとした。するとその段階において、複数の美麗骨材が結合したおこし状の化粧骨材層に、表面側に視認可能に露出する複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有することで、研磨された複数の美麗骨材がその周囲部分の空隙との関係で立体的に見える新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体(後述する第1実施形態参照)が得られることがわかった。
また、上記の美麗骨材層の表面を研磨した後、上記空隙に目詰め材を設けることで、平面視では前述の従来工法で得られる化粧面のようでありながら、研磨された複数の美麗骨材がその周囲部分の目詰め材との関係で立体的に見え、コントラストがよりはっきりした新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体(後述する第2実施形態参照)が得られることがわかった。
さらに、上記空隙に設ける目詰め材を、研磨された複数の美麗骨材と面一に形成することで、前述の従来工法で得られるような平坦な化粧面のように見えつつ、その化粧面に比べてピンホールの発生が抑制された新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体(後述する第3実施形態参照)が得られることがわかった。
上述の通り、本発明の一実施形態の化粧構造体の製造方法は、樹脂結合剤と、空隙を有する状態で樹脂結合剤により接着された複数の美麗骨材とを含む美麗骨材層の表面を研磨し、複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有する化粧骨材層を形成する工程を含む工法に基づく。また、本発明の一実施形態の化粧構造体は、そのような工法に基づいて本発明者らの検討の結果見出された新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体である。
本明細書において、「化粧構造体」とは、屋内や屋外において人の目に触れる美麗骨材を用いた構造体をいう。「美麗骨材層」とは、樹脂結合剤と、空隙を有する状態で樹脂結合剤により接着された、研磨前の複数の美麗骨材とを含む層をいい、「化粧骨材層」とは、美麗骨材層の表面が研磨された後のものをいう。また、「化粧面」とは、化粧構造体における外観上視認される表面側の面をいう。さらに、「研ぎ出し調のデザインの化粧面」とは、上記化粧骨材層における化粧面をいう。したがって、研ぎ出し調のデザインの化粧面は、上記美麗骨材層の表面が研磨されたことで、結合剤よりも美麗骨材の方が積極的に研磨された化粧面といえる。この点で、研ぎ出し調のデザインの化粧面は、前述の従来工法で得られる化粧面(すなわち、種石が埋設されたセメント硬化物を研磨することによって、セメント硬化物とともに研磨された種石を露出させた化粧面)とは異なる。
(第1実施形態の製造方法)
図1に本発明の第1実施形態の化粧構造体の製造方法(単に「第1実施形態の製造方法」と記載することがある。)の一例を表すフローチャートを示す。第1実施形態の製造方法は、樹脂結合剤と複数の美麗骨材を混練し、それらの混練物を調製する混合工程S1と、混練物を基体に塗り付けて、塗工物を形成する塗り付け工程S2とを含む。また、この製造方法は、塗工物中の樹脂結合剤を硬化させ、硬化した樹脂結合剤と、複数の美麗骨材間に空隙を有する状態で樹脂結合剤により接着された複数の美麗骨材とを含む美麗骨材層を形成する硬化工程S3を含む。さらに、この製造方法は、美麗骨材層の表面を研磨し、表面側に視認可能に露出する複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有する化粧骨材層を形成する研磨工程S4を含む。
混合工程S1では、樹脂結合剤と複数の美麗骨材を混練し、それらの混練物を調製する。混合工程S1では、硬化前の樹脂が好適に用いられ、常温(5〜35℃)において、液状から固体状に硬化する硬化性樹脂がより好適に用いられる。
樹脂結合剤に含まれる樹脂(有効成分)としては、従来の化粧構造体における樹脂結合剤として用いられている樹脂をいずれも用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、及び不飽和ポリエステル系樹脂等を挙げることができ、それらの1種又は2種以上を用いることができる。
美麗骨材としては、前述の従来工法で用いられている種石をいずれも用いることができる。美麗骨材の材質としては、例えば、天然石、人工石、人造石、及び大理石等を挙げることができ、形状としては、玉石、及び砕石等を挙げることができる。美麗骨材のサイズとしては、特に制限されず、例えば、粒径が3〜24mmの美麗骨材を好適に用いることができる。美麗骨材の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂結合剤と複数の美麗骨材との混合比率は、特に限定されないが、その後の硬化工程S3において複数の美麗骨材間に空隙を有する状態の美麗骨材層が形成されるように、樹脂結合剤中に美麗骨材が完全に埋没しないような混合比率とすることが好ましい。そのような観点と接着性の観点から、複数の美麗骨材100質量部に対して、樹脂結合剤の使用量は、その樹脂の固形分として、1〜40質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましく、3〜10質量部がさらに好ましい。なお、混合工程S1では、複数の美麗骨材に樹脂結合剤が均一に混ざるまで鍬等でそれらをよく混練することが好ましい。
塗り付け工程S2では、混合工程S1で調製された混練物を基体に塗り付け、樹脂結合剤と複数の美麗骨材とを含む塗工物を基体に形成する。混練物を塗り付ける対象の基体としては、特に限定されず、例えば、モルタル、コンクリート、アスファルト、スレート、及び木質板等を挙げることができる。混練物を基体に塗り付ける前には、基体と美麗骨材との接着強度を高めるためのプライマーを基体に塗布してもよい。
基体への混練物の塗り付けは、金鏝等を用いて平滑に塗り付けることが好ましく、表面側において、美麗骨材が緻密になるように塗り付けることが好ましい。また、この際、後の硬化工程S3において複数の美麗骨材間に空隙を有する状態の美麗骨材層が形成されるように、樹脂結合剤中に美麗骨材が完全に埋没しないように混練物を基体に塗り付けることが好ましい。このようにするか、又はこのようにすることに加えて、美麗骨材を視認可能な程度に透明性を有する樹脂結合剤を用いることで、後の研磨工程S4に先立って、美麗骨材の詰まり具合や並び具合を確認しておくことができ、この点でも前述の従来工法に比べて利点がある。
すなわち、前述の従来工法では、セメントペーストと種石の混合物を塗り付けた段階では、種石がセメントペースト中に埋没しているため、種石の詰まり具合は、塗り付けられた混合物の硬化後にその硬化物の表面を削った後でなければわからない。それゆえ、仮に種石の詰まり具合に不具合があった場合、研削や研磨の作業を行った後にやり直す必要が生じてしまう。これに対して、本発明の一実施形態の製造方法では、結合剤として樹脂結合剤を用いることから、上述の通り、塗り付け工程S2の段階で美麗骨材の詰まり具合等を確認しやすいため、研磨工程S4後に再度塗り付けをやり直すことも回避しやすく、結果、熟練者による作業も要しないという利点がある。
硬化工程S3では、塗り付け工程S2で基体に形成された塗工物中の樹脂結合剤を硬化させる。これにより、図2に示すように、硬化した樹脂結合剤(図示せず)と、複数の美麗骨材12間に空隙14を有する状態で樹脂結合剤により接着された複数の美麗骨材12とを含む美麗骨材層11を基体1に形成する。美麗骨材層11における樹脂結合剤は、各美麗骨材12の表面に被覆されている状態で存在し、複数の美麗骨材12を互いに接着するとともに、複数の美麗骨材12と基体1とを接着する。美麗骨材層11における「複数の美麗骨材間に空隙を有する状態」とは、美麗骨材層11における樹脂結合剤中に美麗骨材12が完全には埋没していない状態を意味する。それにより、美麗骨材層11は、複数の美麗骨材12間に空隙14を有して複数の美麗骨材12が接着した、おこし状の外観となる。換言すれば、硬化工程S3までの段階では、美麗骨材12を凸の部分とし、空隙14を凹の部分とした凹凸の構造を有する美麗骨材層11が形成される。
硬化工程S3における樹脂結合剤の硬化時間(養生期間)は、結合剤として樹脂結合剤を用いていることから、セメントペーストを用いる前述の従来工法の場合の硬化時間(養生期間)に比べて、格段に短縮できる。具体的には、20℃程度の条件下において、実際の施工現場での施工を想定すると、前述の従来工法の場合には一般に5日程度養生させるのに対し、本発明の一実施形態の製造方法では1日程度の養生で十分である。
研磨工程S4では、硬化工程S3により得られた美麗骨材層(11;図2参照)の表面を研磨する。これにより、図3に示すように、表面側に視認可能に露出する複数の美麗骨材12の表面が平らに削られた研磨面12aを有する化粧骨材層16を形成する。したがって、この研磨工程S4の段階での化粧骨材層16も、美麗骨材層11と同様、複数の美麗骨材12間に空隙14を有する。研磨工程S4によって、化粧骨材層16は、研磨面12aを有するとともに、研磨面12aが設けられた複数の美麗骨材12を凸部13とし、かつ、その周囲部分である複数の美麗骨材12間(すなわち、上記空隙14)を凹部15とした凹凸構造を有する。また、化粧骨材層16は、美麗骨材層11の表面を研磨することによって得られることから、化粧骨材層16における少なくとも研磨面12aには樹脂結合剤が設けられていない(除去された)構成とすることができる。その構成と上記凹凸構造によって、雨等で濡れた際にも滑り難い化粧面10aとなりやすい。なお、研磨工程S4の際は、化粧骨材層16の表面側において、視認可能に露出した複数の美麗骨材12の全部又は一部に研磨面12aが設けられればよい。
研磨工程S4では、砥石や各種の研削機及び研磨機等を用いることができ、好適にはディスクグラインダーを用いることができる。研磨工程S4は、粗削り工程と、粗削り工程後の仕上げ削り工程とを含むことが好ましい。粗削り工程では、仕上げ削り工程で用いる研磨材よりも粒度の粗い研磨材(より好適には金属製パッドの研磨材)を用いて、美麗骨材の表面を平らに削る工程を行うことが好ましい。また、仕上げ削り工程では、粗削り工程で用いる研磨材よりも粒度の細かい研磨材(より好適には樹脂製パッドの研磨材)を用いて、粗削り工程で平らに削られた美麗骨材の表面を磨く工程を行うことが好ましい。
本発明の一実施形態の製造方法では、研磨対象の美麗骨材層における結合剤が樹脂製であるため、前述の従来工法における種石がセメントペーストの硬化物に埋没したものに比べて、研磨工程における削る労力及び削り量を低減することができる。すなわち、前述の従来工法では、種石とともに種石を埋没させている硬いセメント硬化物も研磨する必要があることから、粗削りの段階だけでも、研磨に用いるパッドを非常に粗い粒度から比較的細かい粒度のものに変えながら研磨を行うといった複数の工数を要する。これに対して、本発明の一実施形態の製造方法における研磨工程S4では、樹脂結合剤で接着された美麗骨材を研磨するため、美麗骨材の表面を平らに削る粗削りの工程を比較的細かい粒度のパッドを用いた1回の工程で行うこともできる。そのため、研磨工程における削る労力(使用道具含む)及び削り量(ゴミの量)を低減することができる。
また、前述の従来工法では、種石とセメントペーストを含む混合物を塗り付けて硬化させた後に、その硬化物の表面を削る工程で、セメントペーストと種石とを混練したときに巻き込んだ空気がピンホールとして外観上視認されることから、ピンホールを埋める作業も必要となる。これに対し、本発明の一実施形態の製造方法では、複数の美麗骨材間に空隙を有する状態の美麗骨材層を研磨対象とし、これは外観として視認される大部分が美麗骨材であるため、ピンホールが外観として視認され難いことから、ピンホールを埋める作業を省略することができる。さらに、後述するが、上記空隙に目詰め材を設ける目詰め工程を行うことでも、ピンホールを埋める作業を省略することができる(後述する第2実施形態及び第3実施形態参照)。
本発明の一実施形態の化粧構造体の製造方法は、上述の研磨工程S4後、化粧骨材層における複数の美麗骨材間の空隙に、目詰め材を設ける目詰め工程を行ってもよいが、その目詰め工程を行わない態様としてもよい。その態様を、本明細書においては、第1実施形態の製造方法と称し、その第1実施形態の製造方法で得られるような化粧構造体の一例を、第1実施形態の化粧構造体と称する。
(第1実施形態の化粧構造体)
図3に第1実施形態の化粧構造体の一例を表す模式的断面図を示す。第1実施形態の化粧構造体10は、樹脂結合剤(図示せず)と、樹脂結合剤で接着されているとともに表面側に視認可能に露出した複数の美麗骨材12とを含む化粧骨材層16を備える。化粧骨材層16における樹脂結合剤は、研磨面12aを除く美麗骨材12の表面に被覆されている状態で存在し、複数の美麗骨材12を互いに接着しており、複数の美麗骨材12と基体1とを接着している。化粧骨材層16は、表面側において、露出した複数の美麗骨材12の表面が平らに削られた研磨面12aを有するとともに、研磨面12aが設けられた複数の美麗骨材12を凸部13とし、かつ、その周囲部分である複数の美麗骨材12間を凹部15とした凹凸構造を有する。そして、この化粧骨材層16は、上記周囲部分である複数の美麗骨材12間に、凹凸構造の凹部15を形成している空隙14を有するものである。
第1実施形態の化粧構造体10は、樹脂結合剤と、複数の美麗骨材12間に空隙14を有する状態で樹脂結合剤により接着された複数の美麗骨材12とを含むおこし状の化粧骨材層16において、表面側に視認可能に露出する複数の美麗骨材12の表面が平らに削られた研磨面12aを有する。このような構成から、研磨された複数の美麗骨材12が凹凸構造の凸部13として視認され、その周囲部分の空隙14が凹凸構造の凹部15として視認されることで、立体的に見える新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面10aを有する化粧構造体10となる。
第1実施形態の化粧構造体10における化粧骨材層16は、研磨面12aが設けられた複数の美麗骨材12を凸部13とし、かつ、その周囲部分である複数の美麗骨材12間の空隙14を凹部15とした凹凸構造を有するため、前述の従来工法で得られる平坦で艶のある化粧面に比べて滑り難い。前述の従来工法で得られる化粧面を持つ化粧構造体は、その化粧面が平坦で艶や鏡面を有することから降雨等で滑りやすくなるために、屋外用床材としての使用は敬遠される傾向にある。これに対して、第1実施形態の化粧構造体10は、上記凹凸構造等の構成によって滑り難いことから、屋外用床材としても好適に使用されうる。
滑り難い化粧骨材層16としては、その表面側において、振り子式スキッド・レジスタンス・テスターによる滑り抵抗値が湿潤状態で、40BPN以上であることが好ましく、45BPN以上であることがより好ましく、50BPN以上であることがさらに好ましい。上記滑り抵抗値の測定上限は150BPN程度であり、第1実施形態の化粧構造体10における化粧骨材層16は、上記滑り抵抗値が湿潤状態で80BPN以下であることがより好ましい。
(第2実施形態の製造方法)
図4に本発明の第2実施形態の化粧構造体の製造方法(単に「第2実施形態の製造方法」と記載することがある。)の一例を表すフローチャートを示す。第2実施形態の製造方法は、前述の第1実施形態の製造方法と比べて、前述の研磨工程S4の後に、さらに目詰め工程S5を含む点で、第1実施形態の製造方法と異なる。
すなわち、第2の実施形態の製造方法は、前述した、混合工程S1、塗り付け工程S2、硬化工程S3、及び研磨工程S4を含むとともに、前述の研磨工程S4後、化粧骨材層(16)における複数の美麗骨材(12)間の空隙(14;図3参照)に目詰め材を設ける目詰め工程S5をさらに含む。
具体的には、本実施形態における目詰め工程S5は、研磨面が設けられた複数の美麗骨材を凸部とし、かつ、その周囲部分である複数の美麗骨材間を凹部とした凹凸構造を形成するように、複数の美麗骨材間の空隙に目詰め材を設ける工程S51を含む。この工程S51によって、図5に示すように、複数の美麗骨材12の表面が平らに削られた研磨面12aを有するとともに、研磨面12aが設けられた複数の美麗骨材12を凸部13とし、かつ、その周囲部分である複数の美麗骨材12間に設けられた目詰め材28を凹部29とした凹凸構造を有する化粧骨材層26が形成される。
本実施形態における目詰め工程S51は、より具体的には、目詰め材を上記空隙にすり込んだ又は流し込んだ後、研磨面が周囲部分の目詰め材の表面よりも表面側に高く出るように、周囲部分の目詰め材を掻き出す工程を含むことが好ましい。また、この目詰め工程S51は、美麗骨材の研磨面を含む表面に付着した目詰め材を拭き取る工程を含むことが好ましい。これら工程を行った後、目詰め材を硬化させることによって、上記凹凸構造を有する化粧骨材層を得ることができる。目詰め工程S51における空隙への目詰め材のすり込み又は流し込みは、化粧骨材層全体における空隙内に基体まで達するように目詰め材を入り込ませればよい。使用する目詰め材の粘度に応じて、空隙に目詰め材をすり込んでもよく、流し込んでもよく、すり込みながら流し込んでもよい。上記空隙への目詰め材のすり込み又は流し込み量、及び上記周囲部分における目詰め材の掻き出し量を調整することにより、複数の美麗骨材間の部分(目地部分)が深い構成(深目地タイプ)や浅い構成(浅目地タイプ)の化粧骨材層を形成することができる。
上記空隙に目詰め材を設ける際には、硬化前の硬化性の目詰め材が好適に用いられ、常温(5〜35℃)において、液状から固体状に硬化する硬化性の目詰め材がより好適に用いられる。そのような目詰め材としては、前述の樹脂結合剤やその説明で挙げた樹脂材料等の有機材料を用いることもできるし、セメント結合剤を用いることもできる。セメント結合剤としては、例えば、セメントペースト、モルタル、及び生コンクリート等を用いることができる。
上述の目詰め工程S51において、上記空隙への目詰め材のすり込み又は流し込み、及び上記周囲部分における目詰め材の掻き出しの作業では、ゴム鏝を用いることが好ましい。また、上述の目詰め工程S51において、美麗骨材の研磨面を含む表面に付着した目詰め材の拭き取り作業は、目詰め材のすり込み又は流し込み後、目詰め材がある程度硬化した後、ウエス等を用いて行うことが好ましい。例えば、硬化前の目詰め材としてセメントペーストを用いた場合、セメントペーストのすり込み又は流し込み後、好ましくは15〜90分後、より好ましくは30〜60分後、さらに好ましくは45〜60分後に拭き取り作業を行うのが良い。
第2実施形態の製造方法も、前述の混合工程S1、塗り付け工程S2、硬化工程S3、及び研磨工程S4を含むことから、前述の第1実施形態の製造方法で述べた効果と同様の効果を奏しうる。この第2実施形態の製造方法で得られる化粧構造体の一例を、第2実施形態の化粧構造体として以下に説明する。
(第2実施形態の化粧構造体)
図5に第2実施形態の化粧構造体の一例を表す模式的断面図を示す。第2実施形態の化粧構造体20は、樹脂結合剤と、樹脂結合剤で接着されているとともに表面側に視認可能に露出した複数の美麗骨材12とを含む化粧骨材層26を備える。この化粧骨材層26は、表面側において、露出した複数の美麗骨材12の表面が平らに削られた研磨面12aを有するとともに、研磨面12aが設けられた複数の美麗骨材12を凸部13とし、かつ、その周囲部分である複数の美麗骨材12間を凹部29とした凹凸構造を有する。そして、この化粧骨材層26は、上記周囲部分である複数の美麗骨材12間に、凹凸構造の凹部29を形成している目詰め材28をさらに含むものである。このように、第2実施形態の化粧構造体20は、前述の第1実施形態の化粧構造体10と比べて、凹凸構造における凹部15、29を形成している部分が、第1実施形態では空隙14であるのに対し、第2実施形態では目詰め材(硬化した目詰め材)28である点で、構成上相違する。
第2実施形態の製造方法で述べたように、複数の美麗骨材12間(目地部分)に比較的少なめに目詰め材28を設けることで、目地部分(凹部29)が深い構成(深目地構成)としたり、複数の美麗骨材12間(目地部分)に比較的多めに目詰め材28を設けることで、目地部分(凹部29)が浅い構成(浅目地構成)とした化粧骨材層26を形成することができる。上記深目地構成については、研磨面12aからの目地部分(凹部29)の深さを例えば0.6〜2mm程度とすることができる。また、上記浅目地構成については、研磨面12aからの目地部分(凹部29)の深さを例えば0.1〜0.5mm程度とすることができる。
第2実施形態の化粧構造体20は、複数の美麗骨材12間に設けられた目詰め材28を備えることによって、その化粧面20aは、平面視では、前述の従来工法で得られる化粧面のように見える。ところが、第2実施形態の化粧構造体20は、研磨面12aが凸部13とされ、複数の美麗骨材12間に設けられた目詰め材28が凹部29とされていることで、研磨面12aが目詰め材28との関係で立体的に見え、コントラストがよりはっきりした新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面20aを有する。
第2実施形態の化粧構造体20における化粧骨材層26は、複数の美麗骨材12間に凹部29を形成している目詰め材28を含むものの、凹凸構造を有するため、前述の従来工法で得られる平坦で艶のある化粧面に比べて滑り難い。そのため、この化粧構造体20も、屋外用床材として好適に使用されうる。この化粧構造体20における化粧骨材層26は、上記の湿潤状態での滑り抵抗値が30BPN以上であることが好ましく、40BPN以上であることがより好ましく、45BPN以上であることがさらに好ましい。
(第3実施形態の製造方法)
図6に本発明の第3実施形態の化粧構造体の製造方法(単に「第3実施形態の製造方法」と記載することがある。)の一例を表すフローチャートを示す。第3実施形態の製造方法は、前述の第1実施形態の製造方法と比べて、前述の研磨工程S4の後に、さらに目詰め工程S5を含む点で、第1実施形態の製造方法と異なる。また、第3実施形態の製造方法は、前述の第2実施形態の製造方法と比べて、前述の目詰め工程S5における目詰め材の設け方の点で、第2実施形態の製造方法と異なる。
すなわち、第3の実施形態の製造方法は、前述した、混合工程S1、塗り付け工程S2、硬化工程S3、及び研磨工程S4を含むとともに、前述の研磨工程S4後、化粧骨材層(16)における複数の美麗骨材12間の空隙(14;図3参照)に目詰め材を設ける目詰め工程S5をさらに含む。
具体的には、本実施形態における目詰め工程S5は、研磨面が設けられた複数の美麗骨材と複数の美麗骨材間とが面一に形成されるように、複数の美麗骨材間の空隙に目詰め材を設ける工程S52を含む。この工程S52によって、図7に示すように、複数の美麗骨材12の表面が平らに削られた研磨面12aを有するとともに、研磨面12aが設けられた複数の美麗骨材12と、その周囲部分である複数の美麗骨材12間に設けられた目詰め材38とが面一に形成された化粧骨材層36を得ることができる。
本実施形態における目詰め工程S52は、より具体的には、目詰め材を上記空隙にすり込み又は流し込みながら、複数の美麗骨材の研磨面を含む表面にも目詰め材を被せた後、目詰め材を硬化させる工程を含むことが好ましい。また、その工程後、美麗骨材を被覆している硬化した目詰め材を研磨する工程を含むことが好ましい。これらの工程によって、美麗骨材を被覆している硬化した目詰め材が研磨により除去され、前述の研磨工程で研磨面が設けられた複数の美麗骨材と、目詰め工程で設けられた硬化した目詰め材とが面一に形成された化粧骨材層が得られやすい。目詰め工程S52における空隙への目詰め材のすり込み又は流し込みは、化粧骨材層全体における空隙内に、基体まで達するように、かつ、空隙内を満たすように、目詰め材を入り込ませればよい。
美麗骨材を被覆している硬化した目詰め材を研磨する工程では、砥石や、各種の研削機及び研磨機等を用いることができ、好適にはディスクグラインダーを用いることができる。この工程では、セメント結合剤を用いうる目詰め材を研磨するが、研磨工程で美麗骨材をすでに研磨しており、美麗骨材を被覆している目詰め材の厚さも薄くできるため、前述の従来工法と比較して、研磨を行うまでの養生期間は短期間ですみ、研磨にかかる労力(使用道具含む)や削り量も低減することができる。また、目詰め材には、通常、美麗骨材を配合しないことから、空気を巻き込み難いため、従来工法で見られるようなピンホールも生じ難い化粧骨材層を得ることができる。したがって、第3実施形態の製造方法でも、ピンホールを埋める作業を不要とすることができる。
(第3実施形態の化粧構造体)
上述の第3実施形態の製造方法で得られる化粧構造体の一例を、第3実施形態の化粧構造体として図7を参照しながら説明する。図7は、第3実施形態の化粧構造体の一例を表す模式的断面図である。第3実施形態の化粧構造体30は、樹脂結合剤と、樹脂結合剤で接着されているとともに表面側に視認可能に露出した複数の美麗骨材12と、その周囲部分である複数の美麗骨材12間を埋める目詰め材38と、を含む化粧骨材層36を備える。そして、この化粧骨材層36は、表面側において、露出した複数の美麗骨材12の表面が平らに削られた研磨面12aを有するとともに、研磨面12aが設けられた複数の美麗骨材12と、周囲部分である複数の美麗骨材12間に設けられた目詰め材38とが面一に形成されているものである。
第3実施形態の化粧構造体30は、上記構成を有するため、前述の従来工法で得られるような平坦な化粧面のように見えつつ、その化粧面に比べてピンホールの発生が抑制された新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面30aを有する。また、第3実施形態の化粧構造体30は、上述の第3実施形態の製造方法によって得られることから、従来工法に比べて、熟練した技術の必要性を低減でき、施工の手間と時間がかからず、低コストの平坦な研ぎ出し調のデザインの化粧面30aを有することができる。
以上詳述した第1〜第3実施形態の製造方法の通り、本発明の一実施形態の化粧構造体の製造方法によれば、前述の従来工法に比べて、より簡便な作業、かつ、少ない工程にて、第1〜第3実施形態の化粧構造体のように、新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有する化粧構造体を得ることが可能である。本発明の一実施形態の化粧構造体は、建造物の屋内外において、例えば、床、壁、腰壁、巾木、流し、カウンター天板、及びテーブル天板等に広く利用することができる。
なお、前述の通り、本発明の一実施形態の製造方法における塗り付け工程では、基体に対して美麗骨材が緻密になるように塗り付けることが好ましく、化粧構造体における化粧骨材層では、化粧面に対する美麗骨材が占める割合は、40〜90%であることが好ましく、50〜80%であることがより好ましく、55〜70%であることがさらに好ましい。
また、本発明の一実施形態の化粧構造体における化粧面には、必要に応じて艶をもたせることができる。その場合には、本発明の一実施形態の化粧構造体の製造方法において、得られた化粧骨材層の表面に、ワックスを設けることができる。化粧骨材層の表面にワックスを設けない場合には、落ち着いた仕上りの滑り難い化粧面を得ることができる。
以上の通り、本発明の一実施形態の化粧構造体の製造方法は、以下の[1]〜[6]の構成を採ることが可能である。
[1]樹脂結合剤と複数の美麗骨材を混練し、それらの混練物を調製する混合工程と、前記混練物を基体に塗り付けて、塗工物を形成する塗り付け工程と、前記塗工物中の前記樹脂結合剤を硬化させ、硬化した前記樹脂結合剤と、前記複数の美麗骨材間に空隙を有する状態で前記樹脂結合剤により接着された前記複数の美麗骨材とを含む美麗骨材層を形成する硬化工程と、前記美麗骨材層の表面を研磨し、表面側に視認可能に露出する前記複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有する化粧骨材層を形成する研磨工程と、を含む化粧構造体の製造方法。
[2]前記研磨工程後、前記化粧骨材層における前記複数の美麗骨材間の前記空隙に、目詰め材を設ける目詰め工程をさらに含む上記[1]に記載の化粧構造体の製造方法。
[3]前記目詰め工程は、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材を凸部とし、かつ、その周囲部分である前記複数の美麗骨材間を凹部とした凹凸構造を形成するように、前記複数の美麗骨材間の前記空隙に前記目詰め材を設ける工程を含む、上記[2]に記載の化粧構造体の製造方法。
[4]前記目詰め工程は、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材と前記複数の美麗骨材間とが面一に形成されるように、前記複数の美麗骨材間の前記空隙に前記目詰め材を設ける工程を含む上記[2]に記載の化粧構造体の製造方法。
[5]前記目詰め工程は、前記目詰め材を前記空隙にすり込んだ又は流し込んだ後、前記研磨面が前記周囲部分の前記目詰め材の表面よりも前記表面側に高く出るように、前記周囲部分の前記目詰め材を掻き出す工程と、前記美麗骨材の前記研磨面を含む表面に付着した前記目詰め材を拭き取る工程と、を含む上記[3]に記載の化粧構造体の製造方法。
[6]前記目詰め工程は、前記目詰め材を前記空隙にすり込み又は流し込みながら、前記複数の美麗骨材の前記研磨面を含む表面にも前記目詰め材を被せた後、前記目詰め材を硬化させる工程と、その工程後、前記美麗骨材を被覆している硬化した前記目詰め材を研磨する工程と、を含む上記[4]に記載の化粧構造体の製造方法。
また、本発明の一実施形態の化粧構造体は、以下の[7]〜[11]の構成を採ることが可能である。
[7]樹脂結合剤と、前記樹脂結合剤で接着されているとともに表面側に視認可能に露出した複数の美麗骨材とを含む化粧骨材層を備え、前記化粧骨材層は、前記表面側において、前記露出した複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有するとともに、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材を凸部とし、かつ、その周囲部分である前記複数の美麗骨材間を凹部とした凹凸構造を有する化粧構造体。
[8]前記化粧骨材層は、前記周囲部分である前記複数の美麗骨材間に、前記凹凸構造の前記凹部を形成している空隙を有する上記[7]に記載の化粧構造体。
[9]前記化粧骨材層は、前記周囲部分である前記複数の美麗骨材間に、前記凹凸構造の前記凹部を形成している目詰め材をさらに含む上記[7]に記載の化粧構造体。
[10]前記化粧骨材層は、前記表面側において、振り子式スキッド・レジスタンス・テスターによる滑り抵抗値が湿潤状態で40BPN以上である上記[7]〜[9]のいずれかに記載の化粧構造体。
[11]樹脂結合剤と、前記樹脂結合剤で接着されているとともに表面側に視認可能に露出した複数の美麗骨材と、その周囲部分である前記複数の美麗骨材間を埋める目詰め材と、を含む化粧骨材層を備え、前記化粧骨材層は、前記表面側において、前記露出した複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有するとともに、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材と、前記周囲部分である前記複数の美麗骨材間に設けられた前記目詰め材とが面一に形成されている化粧構造体。
以下、試験例を挙げて、本発明の一実施形態の化粧構造体の製造方法及びそれにより得られる化粧構造体について、さらに具体的に説明するが、本発明は以下の試験例によって限定されるものではない。なお、以下の文中の「%」及び「部」は、特に断りのない限り質量基準(それぞれ「質量%」及び「質量部」)である。
(試験例A1)
基体として、準両面シナベニヤ合板(290mm×220mm×厚さ5.5mm)を用いた。この基体に、幅10mm及び高さ10mmのバックアップ材により枠(27cm×20cm=540cm)を作製した。一方、美麗骨材として天然石(グラベル名「オレンジソルト」で3分石(粒径約7〜9mm)を40%及び1分石(粒径約3〜5mm)を60%混合したもの)100部と、樹脂結合剤(ウレタン系樹脂;ヤブ原産業社製、商品名「彩洗い出しバインダー」)4.5部(固形分換算)とを混練し、混練物を調製した。作製した基体の枠内に、調製した混練物を金鏝で平滑に塗り付け、塗工物を形成した。この塗工物の塗り付け完了後、20℃で3日間養生し、樹脂結合剤を硬化させた。これにより、硬化した樹脂結合剤と、天然石間に空隙を有する状態で樹脂結合剤により接着された複数の上記天然石とを含む美麗骨材層を形成した。
得られた美麗骨材層の表面を、電子ディスクグラインダー(日立工機社製、商品名「G10VH」)に研磨材としてアートカップ(メタルカップ)#60/80(CRTワールド社販売)を取り付けたもので研磨し、美麗骨材層の表面を1mm程度削り、天然石の平坦さを調整した。その後、研磨材の粒度を少し細かいアートカップ(メタルカップ)#120/140に付け替えて、天然石の表面の平坦さを微調整した。以下、上記メタルカップ#60/80及び#120/140を用いて上記の通り研磨した作業を「研磨作業1」という。なお、使用した美麗骨材の硬さによっては、メタルカップ#60/80を用いた研磨を省略し、メタルカップ#120/140を用いた研磨から始めてもよい。天然石の平坦さが決まったところで、アートカップ(メタルカップ)をレジンパット#100(CRTワールド社販売)に付け替えて研磨し、さらに、研磨材の粒度がより細かいレジンパッド#200、#400、#800と順に付け替えながら研磨して仕上げた。以下、上述の「研磨作業1」に次いで、レジンパッド#100、#200、#400、#800を用いて上記の通り研磨した作業を「研磨作業2」という。上述のようにして、表面側に視認可能に露出する複数の上記天然石の表面が平らに削られた研磨面を有するとともに、その研磨面が設けられた天然石を凸部とし、かつ、その周囲部分の空隙を凹部とした凹凸構造を有する化粧骨材層を備える試験例A1の化粧構造体を得た。
(試験例A2〜A8)
試験例A1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を変更したこと以外は、試験例A1と同様の作業にて、試験例A2〜A8の化粧構造体を得た。試験例A2では、天然石として、グラベル名「伏見」の3分石(粒径約7〜9mm)を40%及び1分石(粒径約3〜5mm)を60%混合したものを用いた。また、天然石として、試験例A3では「オレンジソルト」の3分石(粒径約7〜9mm)、試験例A4では「オレンジソルト」の2分石(粒径約5〜7mm)、試験例A5では「オレンジソルト」の1分石(粒径約3〜5mm)を用いた。さらに、天然石として、試験例A6では「伏見」の3分石(粒径約7〜9mm)、試験例A7では「伏見」の2分石(粒径約5〜7mm)、試験例A8では「伏見」の1分石(粒径約3〜5mm)を用いた。
(試験例A9〜A14)
試験例A1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を後記表1に示すものに変更したこと、及び美麗骨材層の表面に対する研磨を「研磨作業1」で終了したこと以外は、試験例A1と同様の作業にて、試験例A9〜A14の化粧構造体を得た。
(試験例A15〜A20)
試験例A1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を後記表1に示すものに変更したこと、及び美麗骨材層の表面に対する研磨作業を変更したこと以外は、試験例A1と同様の作業にて、試験例A15〜A20の化粧構造体を得た。研磨作業としては、試験例A15及びA18では、美麗骨材層の表面に対して上述の「研磨作業1」を行った後、「研磨作業2」を行わずに、ワックスを塗布し、バフで研磨して、化粧骨材層を仕上げた。以下、この研磨作業(「研磨作業1」+ワックス+バフがけ)を「研磨作業3」という。また、試験例A16、A17、A19、及びA20では、美麗骨材層の表面に対して上述の「研磨作業2」(「研磨作業1」を含む)を行った後、研磨材の粒度がさらに細かいレジンパッド#1500及び#3000の順で研磨して、化粧骨材層を仕上げた。以下、この研磨作業を「研磨作業4」という。
(試験例B1)
基体として、準両面シナベニヤ合板(290mm×220mm×厚さ5.5mm)を用いた。この基体に、幅10mm及び高さ10mmのバックアップ材により枠(27cm×20cm=540cm)を作製した。一方、美麗骨材として天然石(グラベル名「オレンジソルト」で3分石(粒径約7〜9mm)を40%及び1分石(粒径約3〜5mm)を60%混合したもの)100部と、樹脂結合剤(ウレタン系樹脂;ヤブ原産業社製、商品名「彩洗い出しバインダー」)4.5部(固形分換算)とを混練し、混練物を調製した。作製した基体の枠内に、調製した混練物を金鏝で平滑に塗り付け、塗工物を形成した。この塗工物の塗り付け完了後、20℃で3日間養生し、樹脂結合剤を硬化させた。これにより、硬化した樹脂結合剤と、天然石間に空隙を有する状態で樹脂結合剤により接着された複数の上記天然石とを含む美麗骨材層を形成した。
得られた美麗骨材層の表面に対して、上記「研磨作業2」にて研磨して、化粧骨材層を得た。次に、化粧骨材層における天然石間の空隙に、常温硬化性の目詰め材として、セメント結合剤(ヤブ原産業社製、「彩洗い出し」における「目詰材」(粉体製品)100部と水26〜28部とを混合したセメントペースト)をゴム鏝ですり込みながら流し込んだ。その後、研磨面が設けられた天然石を凸部とし、かつ、その周囲部分である天然石間を凹部とした凹凸構造が形成されるように、研磨面がその周囲部分の目詰め材の表面よりも表面側に高く出る程度に周囲部分のセメント結合剤をゴム鏝で掻き出した。また、セメント結合剤のすり込み(流し込み)後の45〜60分後、セメント結合剤が少し硬化したのを確認し、ウエスを用いて研磨面を含む天然石の表面に付着したセメント結合剤を拭き取った。その後、20℃で3日間養生した。このようにして、表面側に視認可能に露出する複数の上記天然石の表面が平らに削られた研磨面を有するとともに、その研磨面が設けられた天然石を凸部とし、かつ、その周囲部分に設けられた目詰め材を凹部とした深目地構成の凹凸構造を有する化粧骨材層を備える試験例B1の化粧構造体を得た。研磨面からの凹部の深さは、約1mmであった。
(試験例B2)
試験例B1と比較して、研磨面が設けられた天然石の周囲部分のセメント結合剤を掻き出す作業を、試験例B1よりも少ないかき出し量にて行ったこと以外は、試験例B1と同様にして、化粧骨材層を仕上げた。このようにして、研磨面を有するとともに、その研磨面が設けられた天然石を凸部とし、かつ、その周囲部分に設けられた目詰め材を凹部とした浅目地構成の凹凸構造を有する化粧骨材層を備える試験例B2の化粧構造体を得た。研磨面からの凹部の深さは、約0.5mmであった。
(試験例B3)
試験例B1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を、グラベル名「伏見」で3分石(粒径約7〜9mm)を40%及び1分石(粒径約3〜5mm)を60%混合したものに変更したこと以外は、試験例B1と同様の作業にて、試験例B3の化粧構造体を得た。
(試験例B4)
試験例B1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を、試験例B3で用いたものと同じものに変更したこと、及び研磨面が設けられた天然石の周囲部分のセメント結合剤を掻き出す作業を、試験例B2で行った条件と同じとしたこと以外は、試験例B1と同様の作業にて、試験例B4の化粧構造体を得た。
(試験例B5)
試験例B1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を、グラベル名「桂林」で3分石(粒径約7〜9mm)を50%及び1分石(粒径約3〜5mm)を50%混合したものに変更したこと、常温硬化性の目詰め結合材として、白色ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)100部と水30〜32部とを混合したセメントペーストを用いたこと、及びこの目詰め結合材の養生期間を5日間としたこと以外は、試験例B1と同様の作業にて、試験例B5の化粧構造体を得た。
(試験例B6)
試験例B1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を、グラベル名「木目石」で2分石(粒径約5〜7mm)を40%及び1分石(粒径約3〜5mm)を60%混合したものに変更したこと以外は、試験例B1と同様の作業にて、試験例B6の化粧構造体を得た。
(試験例B7〜B12)
試験例B1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を変更したこと以外は、試験例B1と同様の作業にて、試験例B7〜B12の化粧構造体を得た。天然石としては、試験例B7では「オレンジソルト」の3分石(粒径約7〜9mm)、試験例B8では「オレンジソルト」の2分石(粒径約5〜7mm)、試験例B9では「オレンジソルト」の1分石(粒径約3〜5mm)を用いた。また、試験例B10では「伏見」の3分石(粒径約7〜9mm)、試験例B11では「伏見」の2分石(粒径約5〜7mm)、試験例B12では「伏見」の1分石(粒径約3〜5mm)を用いた。
(試験例B13〜B18)
試験例B1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を後記表2に示すものに変更したこと、及び美麗骨材層の表面に対する研磨を「研磨作業1」で終了したこと以外は、試験例B1と同様の作業にて、試験例B13〜B18の化粧構造体を得た。
(試験例B19〜B24)
試験例B1と比較して、美麗骨材として用いた天然石を後記表2に示すものに変更したこと、及び美麗骨材層の表面に対する研磨を「研磨作業4」にて行ったこと以外は、試験例B1と同様の作業にて、試験例B19〜B24の化粧構造体を得た。
(試験例C1)
基体として、準両面シナベニヤ合板(290mm×220mm×厚さ5.5mm)を用いた。この基体に、幅10mm及び高さ10mmのバックアップ材により枠(27cm×20cm=540cm)を作製した。一方、美麗骨材として天然石(グラベル名「桂林」で3分石(粒径約7〜9mm)を50%及び1分石(粒径約3〜5mm)を50%混合したもの)100部と、樹脂結合剤(ウレタン系樹脂;ヤブ原産業社製、商品名「彩洗い出しバインダー」)4.5部(固形分換算)とを混練し、混練物を調製した。作製した基体の枠内に、調製した混練物を金鏝で平滑に塗り付け、塗工物を形成した。この塗工物の塗り付け完了後、20℃で3日間養生し、樹脂結合剤を硬化させた。これにより、硬化した樹脂結合剤と、天然石間に空隙を有する状態で樹脂結合剤により接着された複数の上記天然石とを含む美麗骨材層を形成した。
得られた美麗骨材層の表面に対して、上記「研磨作業1」にて研磨して、化粧骨材層を得た。次に、常温硬化性の目詰め材として、セメント結合剤(ヤブ原産業社製、「彩洗い出し」における「目詰材」(粉体製品)100部と水26〜28部とを混合したセメントペースト)を、化粧骨材層における天然石間の空隙にゴム鏝ですり込みながら流し込み、天然石の研磨面を含む表面にも被せた後、20℃で3日間養生して硬化させた。その後、天然石を被覆している(化粧骨材層の表面全体に設けられた)硬化した目詰め材(セメント結合剤の硬化物)の表面全体を、アートカップ(メタルカップ)#120/140(CRTワールド社販売)を取り付けた電子ディスクグラインダー(日立工機社製、商品名「G10VH」)で研磨し、天然石の研磨面と、天然石間の目詰め材とが面一になるように削りだした。次いで、電子ディスクグラインダーに取り付けた研磨材をレジンパッド#100(CRTワールド社販売)に付け替えて研磨し、さらに、研磨材の粒度がより細かいレジンパッド#200、#400、#800と順に付け替えながら研磨して仕上げた。以下、試験例C1で行った全体の研磨作業を「研磨作業5」という。このようにして、表面側に視認可能に露出する複数の上記天然石の表面が平らに削られた研磨面を有するとともに、その研磨面が設けられた天然石と、その周囲部分に設けられた目詰め材とが面一に形成された化粧骨材層を備える試験例C1の化粧構造体を得た。
(参考例1)
基体として、準両面シナベニヤ合板(290mm×220mm×厚さ5.5mm)を用いた。この基体に、幅10mm及び高さ10mmのバックアップ材により枠(27cm×20cm=540cm)を作製した。一方、美麗骨材として天然石(グラベル名「桂林」で3分石(粒径約7〜9mm)を50%及び1分石(粒径約3〜5mm)を50%混合したもの)200部と、セメントペースト(ヤブ原産業社製のテラゾーパウダー100部と水32〜35部との混練物)とを混合し、混練物を調製した。作製した基体の枠内に、調製した混練物を金鏝で平滑に塗り付け、セメントペースト中に天然石が埋没した塗工物を形成した。この塗工物の塗り付け完了後、20℃で5日間養生し、セメントペーストを硬化させた。これにより、天然石が埋没したセメント硬化物を得た。
天然石が埋没したセメント硬化物の表面を、電子ディスクグラインダー(日立工機社製、商品名「G10VH」)に研磨材としてアートカップ(メタルカップ)#30/40(CRTワールド社販売)を取り付けたもので研磨し、天然石を研ぎ出した。次いで、研磨材の粒度を少し細かいアートカップ(メタルカップ)#60/80に付け替えて研磨し、その後、粒度のより細かいアートカップ(メタルカップ)#120/140に付け替えて研磨した。平坦さが決まったところで、アートカップ(メタルカップ)をレジンパット#100(CRTワールド社販売)に付け替えて研磨し、さらに、研磨材の粒度がさらに細かいレジンパッド#200、#400、#800と順に付け替えながら研磨し、さらにワックスを塗布し、バフで研磨して、仕上げた。以下、参考例1で行った全体の研磨作業を「研磨作業6」という。上述のように研ぎ出し仕上げ工法によって、天然石が研ぎ出された平坦な化粧面の骨材層を有する化粧構造体を得た。
(参考例2)
参考例1と比較して、使用した天然石を、グラベル名「御影石(72)」の1分石(粒径約3〜5mm)に変更したこと以外は、参考例1と同様の作業にて、参考例2の化粧構造体を得た。
(滑り抵抗値の測定)
各試験例及び参考例で得られた各化粧構造体における表面側を測定対象(試験体)として、振り子式スキッド・レジスタンス・テスターを使用して、乾燥状態及び湿潤状態の滑り抵抗値(BPN)を測定した。滑り抵抗値が高い程滑り難いことを表し、滑り抵抗値が低い程滑りやすいことを表す。上記「湿潤状態」としては、霧吹きスプレーを用いて、試験体に水を噴霧して、試験体の全体が水で十分に濡れ、水が溜まるまで噴霧した状態とした。滑り抵抗値の測定方法としては、滑り片の接触距離が125±1.6mmとなるように振り子を上下に微調整し、試験体に振り子を振り降ろし、振り子が試験体を通過して振り上がった位置の数値(BPN)を読み取った。連続した5回の測定値のばらつきが3BPN未満になるまで測定を行い、この5回の中央値をその試験体の滑り抵抗値とした。
以上の各試験例及び参考例における滑り抵抗値(BPN)の結果を、使用した美麗骨材、前述の研磨作業の番号、及び目詰め状態とともに表1〜3に示す。
Figure 2020121903
Figure 2020121903
Figure 2020121903
試験例A1〜A20では、空隙を有する状態で樹脂結合剤により接着された複数の美麗骨材を含むおこし状の化粧骨材層において、表面側に視認可能に露出する複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有する化粧構造体が得られた。このような構成から、試験例A1〜A20で得られた化粧構造体は、研磨された複数の美麗骨材が凹凸構造の凸部として視認され、その周囲部分の空隙が凹凸構造の凹部として視認されることで、立体的に見える新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有することが確認された。また、そのような凹凸構造を有する化粧骨材層は、参考例1及び2の研ぎ出し仕上げ工法で得られた化粧構造体における骨材層に比べて、その表面側において、滑り難いことが確認された。
試験例B1〜B24では、研磨面が設けられた美麗骨材を凸部とし、美麗骨材間に設けられた目詰め材を凹部とした凹凸構造を有する化粧骨材層を備える化粧構造体が得られた。このような構成から、試験例B1〜B24で得られた化粧構造体は、凸部を構成する研磨面が、凹部を構成する目詰め材との関係で立体的に見え、コントラストがよりはっきりした新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有することが確認された。また、そのような凹凸構造を有する化粧骨材層は、参考例1及び2の研ぎ出し仕上げ工法で得られた化粧構造体における骨材層に比べて、その表面側において、滑り難いことが確認された。なお、試験例B1〜B4、B6、及びB19〜B24については、化粧骨材層の化粧面に対する天然石が占める割合を求めた。その結果、試験例B1では61.7%、試験例B2では62.4%、試験例B3では57.9%、試験例B4では60.5%、試験例B6では58.6%、試験例B19では63.1%、試験例B20では62.6%、試験例B21では66.5%、試験例B22では61.9%、試験例B23では61.3%、試験例B24では65.5%であった。化粧面に対する天然石が占める割合は、簡易的に次のように測定した。まず、化粧面の平面視の画像を撮影した。次いで、その画像における任意箇所に、化粧面の幅(化粧面の幅20cm分)にわたって、化粧面の幅方向に平行な直線を設け、その直線における天然石の重なり部分の長さを全て測定し、それらの合計(天然石部分の長さの合計値)を求めた。求めた天然石部分の長さの合計値を化粧面の幅に設けた上記直線の長さで除して(割って)100倍し、得られた数値を化粧面に対する天然石が占める割合(%)とした。上記直線を任意に3本引き、3つの測定値の平均値をとった。
試験例C1では、研磨面が設けられた美麗骨材と、美麗骨材間に設けられた目詰め材とが面一に形成された化粧骨材層を備える化粧構造体が得られた。このような構成から、試験例C1で得られた化粧構造体は、参考例1及び2の研ぎ出し仕上げ工法で得られた化粧構造体における化粧面のように、平坦に見えるものの、ピンホールの発生が抑制された新規な研ぎ出し調のデザインの化粧面を有することが確認された。
10:化粧構造体
10a:化粧面
1:基体
11:美麗骨材層
12:美麗骨材
12a:研磨面
13:凸部
14:空隙
15:凹部
16:化粧骨材層
20:化粧構造体
20a:化粧面
26:化粧骨材層
28:目詰め材
29:凹部
30:化粧構造体
30a:化粧面
36:化粧骨材層
38:目詰め材

Claims (11)

  1. 樹脂結合剤と複数の美麗骨材を混練し、それらの混練物を調製する混合工程と、
    前記混練物を基体に塗り付けて、塗工物を形成する塗り付け工程と、
    前記塗工物中の前記樹脂結合剤を硬化させ、硬化した前記樹脂結合剤と、前記複数の美麗骨材間に空隙を有する状態で前記樹脂結合剤により接着された前記複数の美麗骨材とを含む美麗骨材層を形成する硬化工程と、
    前記美麗骨材層の表面を研磨し、表面側に視認可能に露出する前記複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有する化粧骨材層を形成する研磨工程と、
    を含む化粧構造体の製造方法。
  2. 前記研磨工程後、前記化粧骨材層における前記複数の美麗骨材間の前記空隙に、目詰め材を設ける目詰め工程をさらに含む請求項1に記載の化粧構造体の製造方法。
  3. 前記目詰め工程は、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材を凸部とし、かつ、その周囲部分である前記複数の美麗骨材間を凹部とした凹凸構造を形成するように、前記複数の美麗骨材間の前記空隙に前記目詰め材を設ける工程を含む、請求項2に記載の化粧構造体の製造方法。
  4. 前記目詰め工程は、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材と前記複数の美麗骨材間とが面一に形成されるように、前記複数の美麗骨材間の前記空隙に前記目詰め材を設ける工程を含む請求項2に記載の化粧構造体の製造方法。
  5. 前記目詰め工程は、前記目詰め材を前記空隙にすり込んだ又は流し込んだ後、前記研磨面が前記周囲部分の前記目詰め材の表面よりも前記表面側に高く出るように、前記周囲部分の前記目詰め材を掻き出す工程と、
    前記美麗骨材の前記研磨面を含む表面に付着した前記目詰め材を拭き取る工程と、を含む請求項3に記載の化粧構造体の製造方法。
  6. 前記目詰め工程は、前記目詰め材を前記空隙にすり込み又は流し込みながら、前記複数の美麗骨材の前記研磨面を含む表面にも前記目詰め材を被せた後、前記目詰め材を硬化させる工程と、
    その工程後、前記美麗骨材を被覆している硬化した前記目詰め材を研磨する工程と、を含む請求項4に記載の化粧構造体の製造方法。
  7. 樹脂結合剤と、前記樹脂結合剤で接着されているとともに表面側に視認可能に露出した複数の美麗骨材とを含む化粧骨材層を備え、
    前記化粧骨材層は、前記表面側において、前記露出した複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有するとともに、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材を凸部とし、かつ、その周囲部分である前記複数の美麗骨材間を凹部とした凹凸構造を有する化粧構造体。
  8. 前記化粧骨材層は、前記周囲部分である前記複数の美麗骨材間に、前記凹凸構造の前記凹部を形成している空隙を有する請求項7に記載の化粧構造体。
  9. 前記化粧骨材層は、前記周囲部分である前記複数の美麗骨材間に、前記凹凸構造の前記凹部を形成している目詰め材をさらに含む請求項7に記載の化粧構造体。
  10. 前記化粧骨材層は、前記表面側において、振り子式スキッド・レジスタンス・テスターによる滑り抵抗値が湿潤状態で40BPN以上である請求項7〜9のいずれか1項に記載の化粧構造体。
  11. 樹脂結合剤と、前記樹脂結合剤で接着されているとともに表面側に視認可能に露出した複数の美麗骨材と、その周囲部分である前記複数の美麗骨材間を埋める目詰め材と、を含む化粧骨材層を備え、
    前記化粧骨材層は、前記表面側において、前記露出した複数の美麗骨材の表面が平らに削られた研磨面を有するとともに、前記研磨面が設けられた前記複数の美麗骨材と、前記周囲部分である前記複数の美麗骨材間に設けられた前記目詰め材とが面一に形成されている化粧構造体。

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