JP2020121875A - クレーン - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に吊具の振れを制振することができるクレーンを提供する。【解決手段】巻駆動部29は、吊部材30の巻加速度の調整によって、振れ検出部53で検出された吊具22の振れを制振する。巻駆動部29が、吊部材30を所定の巻加速度で巻上げ又は巻下げを行うと、吊具22に対して巻方向に沿った力を作用させることができる。当該力は、水平方向の分力を有するため(図6参照)、当該水平方向の分力の向きを吊具22の振れを抑制するように調整することで、振れを制振することができる。このように、巻駆動部29が吊部材30の巻加速度を調整するという一軸のシンプルな動作にて、振れの制振が可能となる。【選択図】図6
Description
本発明は、クレーンに関する。
従来のクレーンとして、特許文献1に記載されたものが知られている。クレーンは、吊具を水平方向に移動させながら、対象物を吊具で吊り上げている。このクレーンは、吊具の水平方向への移動に伴って振れが発生した場合、吊具を吊り下げているトロリーを移動させることで、振れを制振している。
しかしながら、上述のクレーンのように、トロリーを移動させて吊具の制振を行う場合、制御のための演算が複雑化するという問題があった。吊具は、クレーンの動作態様によって様々なモードでの振れを発生するが、これらの振れのモードに対応する場合は、更に演算が複雑化する。
本発明は、容易に吊具の振れを制振することができるクレーンを提供することを目的とする。
本発明の一形態に係るクレーンは、吊具及び吊具を吊り下げる吊部材を有するクレーンであって、吊部材の巻上げ及び巻下げを行う巻駆動部と、吊具の振れを検出する振れ検出部と、を備え、巻駆動部は、吊部材の巻加速度の調整によって、振れ検出部によって検出された吊具の振れを制振する。
クレーンにおいて、巻駆動部は、吊部材の巻加速度の調整によって、振れ検出部で検出された吊具の振れを制振する。巻駆動部が、吊部材を所定の巻加速度で巻上げ又は巻下げを行うと、吊具に対して巻方向に沿った力を作用させることができる。当該力は、水平方向の分力を有するため、当該水平方向の分力の向きを吊具の振れを抑制するように調整することで、振れを制振することができる。このように、巻駆動部が吊部材の巻加速度を調整するという一軸のシンプルな動作にて、振れの制振が可能となる。
クレーンにおいて、振れ検出部は、吊具の振れの位相の変化を取得し、巻駆動部は、巻上方向に対する加速を行ってよい。巻上方向に対する加速を行った場合、振れの求心方向の力を強めることができる。従って、巻駆動部は、振れの位相の変化に基づいて、振れ速度が減少するタイミングで振れの求心方向の力を強めることで、振れを減衰させることができる。
クレーンにおいて、振れ検出部は、吊具の振れの位相の変化を取得し、巻駆動部は、巻下方向に対する加速を行ってよい。巻下方向に対する加速を行った場合、振れの求心方向の力を弱めることができる。従って、巻駆動部は、振れの位相の変化に基づいて、振れ速度が増加するタイミングで振れの求心方向の力を弱めることで、振れを減衰させることができる。
クレーンにおいて、振れ検出部が、所定の基準軸まわりに吊具が旋回する振れを検出した場合、巻駆動部は、巻上方向に加速を行ってよい。この場合、巻上方向に対する加速を行うことで、基準軸へ向かうような力を作用させることができる。吊具が基準軸まわりに旋回しているときは、吊具に基準軸と反対側へ向かう遠心力が作用しているため、当該遠心力を巻上方向に対する加速による力で減衰させることができる。
クレーンにおいて、振れ検出部は、第1の方向における吊具の振れ、及び第1の方向と交差する第2の方向における吊具の振れを検出し、巻駆動部は、第1の方向における振れを制振するための第1の巻加速度と、第2の方向における振れを制振するための第2の巻加速度と、を合成した巻加速度に調整してよい。この場合、複数の方向への振れが発生しているときに、各方向への巻加速度の成分を考慮して、振れの制振を行うことができる。
本発明によれば、容易に吊具の振れを制振することができるクレーンを提供することができる。
以下、図面を参照して、例示的な実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係るクレーン100について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るクレーン100のブロック図である。図2は、クレーン装置20を示す斜視図である。図1に示すように、クレーン100は、クレーン装置20と、制御装置50と、を備える。
図2に示すように、クレーン装置20は、門型のクレーン装置である。クレーン装置20は、例えば、接岸したコンテナ船に対してコンテナCの移載等が行われるコンテナターミナルのコンテナヤードにおいて、コンテナCの荷役を行うクレーン装置である。コンテナヤードCYには、コンテナCが移載されるトレーラ10等の走行路である荷役レーンが敷設されている。クレーン装置20は、例えば荷役レーン上に停止したトレーラ10に対して、コンテナCを自動で移載する。クレーン装置20は、トレーラ10によって搬入されるコンテナCをトレーラ10から取得して、当該コンテナCをコンテナヤードCYの所定位置に載置する。また、クレーン装置20は、コンテナヤードCYに載置されているコンテナCを取得して、当該コンテナCをトレーラ10に載置し、当該トレーラ10によりコンテナCを外部に搬出させる。
クレーン装置20は、クレーン本体部21と、吊具22と、を有している。クレーン本体部21は、タイヤ付車輪を有する走行部25により走行可能とされている。走行部25は、走行モータの駆動によって走行する。また、クレーン本体部21は、走行部25に立設された一対の脚部26,26を二組備え、これら脚部26,26の上端部同士を繋ぐクレーンガーダ27,27を備える略門形に形成されている。更に、クレーン本体部21は、走行方向に直交する方向にクレーンガーダ27上を横行可能なトロリー28を備えている。トロリー28は、横行モータの駆動によって横行する。トロリー28は、ドラム駆動モータ及び当該ドラム駆動モータにより正逆回転するドラムによって構成される巻駆動部29を備え、ワイヤによって構成される吊部材30を介して吊具22を吊り下げている。吊具22は、走行方向へ延びる形状を有している。トロリー28からは、走行方向において二箇所から吊部材30が延びており、吊具22は走行方向における二箇所で吊部材30に吊られている。
なお、走行部25及びトロリー28のように、吊具22を水平方向に移動させる機構を移動駆動部35と称する場合がある。移動駆動部35は上記の走行モータ及び横行モータを含んでいる。図1に示すように、移動駆動部35の走行モータ及び横行モータは、制御装置50によって制御される。また、巻駆動部29のドラム駆動モータは、制御装置50によって制御される。
吊具22は、コンテナCを保持して吊り上げるための装置である。吊具22は、コンテナCを上面側から係止可能であり、コンテナCを係止して吊り上げることによりコンテナCの荷役を行う。吊具22は、巻駆動部29からの吊部材30が掛け回されたシーブ33を介して吊り下げられ、巻駆動部29の正逆回転により昇降可能である。吊具22は、制御部23によって制御される。
吊具22は、平面視においてコンテナCの上面の形状と略同一の形状を呈している。クレーン本体部21は、長手方向における中央部の上側に、吊部材30が掛け回されるシーブ33を有している。吊具22は、コンテナCを吊具22が係止する際に当該コンテナC上に位置する。吊具22は、ガイド32及びロックピン(不図示)を含んでいる。 ガイド32は、吊具22により取得されるべき目標のコンテナCを吊具22が取得する場合において、吊具22が下降する際に、吊具22を目標のコンテナC上に案内する。ガイド32は、水平方向における吊具22の短手方向の一端部及び他端部のそれぞれにおいて、長手方向の両端付近のそれぞれに設けられている。
図3に示すように、クレーン装置20は、カメラ40及び光源41を有している。カメラ40は、光源41の位置を捉えることで吊具22の振れを検出するための画像を取得する機器である。本実施形態では、カメラ40はトロリー28に設けられ、光源41は吊具22に設けられる。トロリー28には、走行方向に互いに離間するように二台のカメラ40が設けられる。吊具22には、走行方向に互いに離間するように二台の光源41が設けられる。吊具22に振れが生じていない状態では、各光源41は鉛直方向の上側に光軸LAが延びるように光を照射する。また、各カメラ40は、各光源41の光軸LAに近接した位置に配置される。これにより、吊具22に振れが生じると、各カメラ40は、各光源41の光が移動している様子を示す画像を取得することができる。カメラ40は、取得した画像を制御装置50へ送信する(図1参照)。なお、カメラ40及び光源41の位置関係は、カメラ40が光源41の光を撮影することが可能である限り、特に限定されるものではない。また、カメラ40が吊具22に設けられ、光源41がトロリー28に設けられてもよい。
図1に示すように、 制御装置50は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを備え、一般的なコンピュータとして構成されている。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)などの演算器である。メモリは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。通信インターフェースは、データ通信を実現する通信機器である。ユーザインターフェースは、液晶やスピーカなどの出力器、及び、操縦レバー、ボタン、キーボードやタッチパネルやマイクなどの入力器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを統括し、後述する機能を実現する。制御装置50では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。制御装置50は、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
制御装置50は、クレーン100全体を総合的に制御する装置である。制御装置50は、演算部51と、クレーン制御部52と、振れ検出部53と、記憶部54と、を備える。
演算部51は、クレーン100の制御に必要な各種演算を行う。演算部51は、吊具22でコンテナCを掴む際の動作やコンテナCの搬送位置などを演算する。クレーン制御部52は、クレーン100の動作を制御する。クレーン制御部52は、移動駆動部35の走行モータ及び横行モータへ制御信号を送信することで、吊具22の水平方向への移動を制御する。また、クレーン制御部52は、巻駆動部29のドラム駆動モータへ制御信号を送信することで、吊部材30を介して吊具22の巻上げ及び巻下げの動作を制御する。本実施形態では、クレーン制御部52は、吊具22の振れを制振するように、巻駆動部29を制御する。当該制御内容の詳細については後述する。
振れ検出部53は、吊具22の振れを検出する。振れ検出部53は、カメラ40で取得された画像に基づいて、吊具22の振れを検出する。また、振れ検出部53は、振れ位相の変化を取得する。また、振れ検出部53は、振れ速度を取得する。振れ検出部53による振れの検出の詳細については後述する。記憶部54は、各種情報を記憶する。
記憶部54は、例えば、吊具22の振れを制振するための各種パラメータを記憶していてよい。すなわち、記憶部54は、吊具22の振れの大きさに応じて、巻駆動部29の巻上げ及び巻下げの加速度の大きさをどの程度にするか等の情報を記憶してよい。ただし、これらのパラメータは、クレーン制御部52が振れの大きさに応じて都度、演算を行って求めてもよい。
次に、図4〜図6を参照して、吊具22の振れを制振するための制御内容について説明する。図4は、吊具22に生じる振れの種類を示す図である。図5は、吊具22の振れの位相、振れ速度、及び巻加速度の関係を時系列で示すグラフである。図6は、吊具22の振れの制振の様子を示す概念図である。
移動駆動部35の動作、すなわち走行部25の走行、及びトロリー28の横行の影響によって、吊具22には振れが発生する。例えば、トロリー28が横行して停止又は減速すると、図4(a)に示すように吊具22に横行方向への一軸の振れが発生する。また、トロリー28が横行し、且つ走行部25が走行して停止又は減速すると、図4(b)に示すように吊具22に、横行方向及び走行方向に振動成分を有する二軸の振れが発生する。また、横行と走行の複合的な影響により、図4(c)に示すように吊具22に捻れるような振れ(スキュー振れ)が発生する。
振れ検出部53は、上述の様な吊具22の振れを検出する。また、巻駆動部29は、吊部材30の巻加速度の調整によって、振れ検出部53によって検出された吊具22の振れを制振する。なお、以下の説明では、図4(a)に示すような、吊具22の横行方向への一軸の振れを制振する場合について説明する。
まず、振れ検出部53は、カメラ40が取得した画像中において、一対の光源41の光がどのように動いているかを解析する。振れ検出部53は、一対の光源41が同じタイミングで横行方向に一定周期で往復移動を繰り返していることを把握した場合、吊具22に横行方向への一軸の振れが発生していることを検出する。
また、振れ検出部53は、図5(a)に示すように、吊具22の振れの位相を取得する。図5(a)の横軸は時間を示し、縦軸は振れの大きさ、すなわち振幅を示している。縦軸の原点は、吊具22の基準軸である。基準軸は、振れが生じていないときの吊具22の横行方向における位置である(図6においてSLで示される)。座標の正側は基準軸よりも横行方向における一方側を示し、座標の負側は基準軸よりも横行方向における他方側を示す。なお、当該座標系は、トロリー28を基準とした相対座標系である。
また、振れ検出部53は、図5(b)に示すように、吊具22の振れ速度の変化も取得する。図5(b)の横軸は時間を示し、縦軸はトロリー28に対する相対的な振れ速度を示している。この座標では、横行方向における一方側へ向かう振れ速度を正とし、反対側へ向かう振れ速度を負としている。
振れ検出部53が、吊具22の振れの周期及び振動の向きを把握したら、クレーン制御部52は、吊具22の振れを制振するように、巻駆動部29の制御を行う。具体的には、クレーン制御部52は、図5(c)に示すような巻加速度で吊部材30の巻上げ及び巻下げを行うように、巻駆動部29を制御する。図5(c)の横軸は時間を示し、縦軸はトロリー28に対する吊具22の相対的な巻上方向への巻加速度の大きさを示している。この座標では、吊具22に対する巻上方向へ加速度が発生している状態が、巻加速度が正の状態である。また、吊具22に対する巻下方向へ加速度が発生している状態が、巻加速度が負の状態である。なお、図5(a)(b)(c)の横軸は、巻駆動部29による制振制御が開始された時点を原点としている。
図5に示すように、吊具22の振れの大きさが増加するタイミング、すなわち、振幅の絶対値が増加するタイミングでは、振れ速度は減少する。従って、巻駆動部29は、振れ速度が減少するタイミングでは、巻上方向へ加速するように、吊部材30を巻上げる。当該タイミングでは、巻上方向の加速度が一定に保たれる。加速度の大きさは、振れの大きさなどによって適宜設定されてよい。
吊具22には、吊部材30による引張力の水平方向の分力として、求心方向の力FSが作用する。振れ速度が減少するタイミングでは、図6(a)に示すように、吊具22は、基準軸SLから遠ざかる方向D1へ向かって移動する。このように、当該タイミングでは、吊具22は、求心方向の力FSとは反対向きへ向かって、減速しながら移動している。これに対し、吊具22には、巻上方向へ加速することによる力F1が作用する。当該力F1の水平方向への分力F1aは、求心方向の力FSを強めるように作用する。従って、方向D1へ移動する吊具22は、分力F1aが作用する分だけ減速される。これにより、吊具22の振れ速度の絶対値が減少し、振れが制振される。
図5に示すように、吊具22の振れの大きさが減少するタイミング、すなわち、振幅の絶対値が減少するタイミングでは、振れ速度は増加する。巻駆動部29は、振れ速度が増加するタイミングでは、巻下方向へ加速するように、吊部材30を巻下げる。当該タイミングでは、巻下方向の加速度が一定に保たれる。加速度の大きさは、振れの大きさなどによって適宜設定されてよい。
振れ速度が増加するタイミングでは、図6(b)に示すように、吊具22は、基準軸SLへ近付く方向D2へ向かって移動する。このように、当該タイミングでは、吊具22は、求心方向の力FSと同じ向きへ、加速しながら移動している。これに対し、吊具22には、巻下方向へ加速することによる力F2が作用する。当該力F2の水平方向への分力F2aは、求心方向の力FSを弱めるように作用する。従って、方向D2へ移動する吊具22は、分力F2aが作用する分だけ加速が抑制される。これにより、吊具22の振れ速度の絶対値が減少し、振れが制振される。
なお、振れ角度が小さい時は、水平方向への分力F1a,F2aが小さいため、振れの抑制効果が小さい。すなわち、巻加速度を制御することによって得られる効果が小さくなる。従って、振れ角度が小さい時、すなわち図5(a)に示す振れが小さい時、及び図5(b)に示す振れ速度が大きい時は、図5(c)に示すように巻加減速を行わないように制御してよい。この場合、巻速度を一定(停止させることも含む)とする。
以上のように、巻駆動部29が巻上げ方向に対する加速と、巻下げ方向に対する加速と、を繰り返し行うことによって、吊具22の振れを制振することができる。ただし、巻駆動部29は、巻上方向へ加速するように吊部材30を巻上げることに代えて、巻下方向へ減速するように吊部材30を巻下げてもよい。また、巻駆動部29は、巻下方向へ加速するように吊部材30を巻下げることに代えて、巻上方向へ減速するように吊部材30を巻上げてもよい。加速度の変化によって作用する力の方向を考慮すると、これらの制御によっても、図6と同様なモデルが成り立つ。すなわち、請求項における「巻上方向に対する加速を行う」ことには、巻上方向へ加速するように巻上げを行うことと、巻下方向へ減速するように巻下げを行うことが含まれる。また、請求項における「巻下方向に対する加速を行う」ことには、巻下方向へ加速するように巻下げを行うことと、巻上方向へ減速するように巻上げを行うことが含まれる。
また、図5に示す例では、巻駆動部29は、巻上方向への加速と、巻下方向への加速を両方行っていたが、何れか一方のみを行ってもよい。また、巻駆動部29は、吊具22の振れの全てのタイミングに対して、所定の巻加速度での巻動作を行っていたが、何れかのタイミングでは、巻動作を停止するか、加速度を0とした巻動作を行ってもよい。
なお、図4(b)のように吊具22が二軸以上に振れる場合、巻駆動部29は、それぞれの軸方向への振れを同時に制振できる。例えば、図4(b)のような振れが発生した場合、吊具22は楕円軌道を描いて振れる。このとき、クレーン制御部52は、振れ量(図5(a)のグラフに相当)を中心位置からの吊具22の距離として評価し、当該値の微分値を振れ速度(図5(b)のグラフに相当)として評価する。これにより、巻駆動部29は、図5(c)で説明した制御処理と同様な処理によって、振れを制振することができる。また、図8を参照して後述するように、吊具22の振れを横行方向(第1の方向)の成分と走行方向(第2の方向)の成分とに分け、各成分の振れを抑制できるような巻加速度の指令を演算し、各成分の巻加速度を合成したものを、実際の巻加速度の制御における制御出力としてもよい。
また、図4(c)のような回転方向への振れの場合、振れ速度を振れ角速度に置き換える事で図5(b)に相当するグラフを取得できる。従って、巻駆動部29は、図5(c)で説明した制御処理と同様な処理によって、振れを制振することができる。また、図4(b)の二軸以上の平行振れと図4(c)の回転方向への振れが同時に発生する場合、平行振れの速度と回転方向の振れの速度とで重み付けを行ったうえで合成した振れ速度を算出する。これによって、図5(b)に相当するグラフを取得できるため、巻駆動部29は、図5(c)で説明した制御処理と同様な処理によって、振れを制振することができる。また、図8を参照して後述するように、吊具22の振れを横行方向(第1の方向)の成分と走行方向(第2の方向)の成分とに分け、各成分の振れを抑制できるような巻加速度の指令を演算し、各成分の巻加速度を合成したものを、実際の巻加速度の制御における制御出力としてもよい。このとき、図4(c)に示すような回転方向の振れが生じた場合、走行方向に並ぶ各吊部材30での振れの挙動が異なる。従って、各吊部材30に対して個別に、図8のような演算を行ってよい。
次に、本実施形態に係るクレーン100の作用・効果について説明する。
クレーン100において、巻駆動部29は、吊部材30の巻加速度の調整によって、振れ検出部53で検出された吊具22の振れを制振する。巻駆動部29が、吊部材30を所定の巻加速度で巻上げ又は巻下げを行うと、吊具22に対して巻方向に沿った力を作用させることができる。当該力は、水平方向の分力を有するため(図6参照)、当該水平方向の分力の向きを吊具22の振れを抑制するように調整することで、振れを制振することができる。このように、巻駆動部29が吊部材30の巻加速度を調整するという一軸のシンプルな動作にて、振れの制振が可能となる。
例えば、比較例として、トロリー28などを移動させて、吊具22の吊点を水平方向に加減速させることで、振れを制振するような制振方法を挙げる。このような制振方法は、制振のための動作の演算が複雑になるという問題がある。特に、図4(b)に示すような二軸以上の振れや、図4(c)に示すような回転方向への振れを制振する場合、多軸の振れ止めのために更に複雑な演算を行う必要がある。これに対し、本実施形態に係るクレーン100では、巻駆動部29の一軸の動作のみによって制振が可能である。また、振れ速度の増減に応じて巻加速度の調整を行うだけのシンプルな制御にて、様々な振れのモードに対応することができる。また、比較例に係る制振方法では、吊具と壁などの周囲障害物との距離が狭い場合、吊点の水平移動が難しい場合がある。これに対し、本実施形態に係るクレーン100は、水平移動のための駆動装置よりも容量が大きい巻駆動部29を用いるため、より広範囲に張力コントロールが行えるため、速やかに振れを止めることができる。また、吊点を平行移動させる場合に比して、周辺設備と吊具22との接触の可能性を低減できる。また、クレーンの既設設備である巻駆動部29の制御だけで制振を行えるため、クレーンに対して複雑な機構を追加する必要がなくなる。
クレーン100において、振れ検出部53は、吊具22の振れの位相の変化を取得し、巻駆動部29は、巻上方向に対する加速を行う。巻上方向に対する加速を行った場合、振れの求心方向の力を強めることができる(図6(a)参照)。従って、巻駆動部29は、振れの位相の変化に基づいて、振れ速度が減少するタイミングで振れの求心方向の力を強めることで、振れを減衰させることができる。
クレーン100において、振れ検出部53は、吊具22の振れの位相の変化を取得し、巻駆動部29は、巻下方向に対する加速を行う。巻下方向に対する加速を行った場合、振れの求心方向の力を弱めることができる(図6(b)参照)。従って、巻駆動部29は、振れの位相の変化に基づいて、振れ速度が増加するタイミングで振れの求心方向の力を弱めることで、振れを減衰させることができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、クレーンの種類は特に限定されるものではない。例えば、ジブクレーンなどのように、吊具を旋回及び径方向へ移動させるようなクレーンが採用されてもよい。例えば、図7に示すクレーン200は、吊具202と、ジブ201と、吊部材203と、を備える。
このようなクレーン200では、図7(a)に示すように、吊具202が、所定の基準軸SLまわりに円を描くように旋回する場合がある。このような振れは、例えば、第1の方向(旋回円の接線方向である旋回方向)の振れの位相と第2の方向(旋回円の法線方向である引き込み方向)の振れの位相が90°ずれたような振れである。この場合、図8に示すように、吊具22の振れを第1の方向の成分と第2の方向の成分とに分け、各成分の振れを抑制できるような巻加速度の指令を演算し、各成分の巻加速度を合成したものを、実際の巻加速度の制御における制御出力としてもよい。例えば、図8(a)に示すような第1の方向の振れの成分を制振するために、図8(b)に示すような巻加速度のパターンを設定する。また、図8(c)に示すような第2の方向の振れの成分を制振するために、図8(d)に示すような巻加速度のパターンを設定する。そして、図8(e)に示すように、図8(b)の巻加速度のパターンと図8(d)の巻加速度のパターンとを合成(足し合わせ)した巻加速度のパターンを算出する。巻駆動部29は、図8(e)の巻加速度のパターンを実際の制御出力として採用し、当該パターンに従って巻加速度を調整する。
振れ検出部53が、所定の基準軸SLまわりに吊具202が旋回する振れを検出した場合、巻駆動部29は、巻上方向に加速を行ってよい。この場合、巻上方向に対する加速を行うことで、基準軸SLへ向かうような力F3を作用させることができる。吊具202が基準軸SLまわりに旋回しているときは、吊具202に基準軸SLと反対側へ向かう遠心力F4が作用しているため、当該遠心力F4を巻上方向に対する加速による力F3で減衰させることができる。
また、クレーン200では、図7(b)に示すように、吊具202が八の字を描くように振れる場合がある。このとき、クレーン制御部52は、振れ量(図5(a)のグラフに相当)を基準軸SLの吊具22のからの距離として評価し、当該値の微分値を振れ速度(図5(b)のグラフに相当)として評価する。これにより、巻駆動部29は、図5(c)で説明した制御処理と同様な処理によって、振れを制振することができる。また、図8を参照して前述したように、吊具22の振れを第1の方向の成分と第2の方向の成分とに分け、各成分の振れを抑制できるような巻加速度の指令を演算し、各成分の巻加速度を合成したものを、実際の巻加速度の制御における制御出力としてもよい。
上述の実施形態では、図5(c)に示すように、巻加速度が各タイミングで一定に保たれていた。これに代えて、巻加速度が正弦波を描くように、連続的に変化してもよい。
また、振れ検出部53の検出方法は特に限定されず、あらゆる方法で振れを検出してよい。例えば、横行モータのトルクから振れを検出してもよい。
22,202…吊具、30,203…吊部材、29…巻駆動部、53…振れ検出部、40…カメラ(振れ検出部)、100,200…クレーン。
Claims (5)
- 吊具及び前記吊具を吊り下げる吊部材を有するクレーンであって、
前記吊部材の巻上げ及び巻下げを行う巻駆動部と、
前記吊具の振れを検出する振れ検出部と、を備え、
前記巻駆動部は、前記吊部材の巻加速度の調整によって、前記振れ検出部で検出された前記吊具の振れを制振する、クレーン。 - 前記振れ検出部は、前記吊具の振れの位相の変化を取得し、
前記巻駆動部は、巻上方向に対する加速を行う、請求項1に記載のクレーン。 - 前記振れ検出部は、前記吊具の振れの位相の変化を取得し、
前記巻駆動部は、巻下方向に対する加速を行う、請求項1又は2に記載のクレーン。 - 前記振れ検出部が、所定の基準軸まわりに前記吊具が旋回する振れを検出した場合、前記巻駆動部は、巻上方向に対する加速を行う、請求項1に記載のクレーン。
- 前記振れ検出部は、第1の方向における前記吊具の振れ、及び前記第1の方向と交差する第2の方向における前記吊具の振れを検出し、
前記巻駆動部は、前記第1の方向における振れを制振するための第1の巻加速度と、前記第2の方向における振れを制振するための第2の巻加速度と、を合成した巻加速度に調整する、請求項1〜3の何れか一項に記載のクレーン。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023058581A1 (ja) * | 2021-10-07 | 2023-04-13 | 住友重機械搬送システム株式会社 | クレーン振れ止め制御システム |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS60236991A (ja) * | 1984-05-08 | 1985-11-25 | 株式会社日立製作所 | クレ−ンにおけるロ−プ長自動制御方法 |
EP2700604A1 (en) * | 2012-08-20 | 2014-02-26 | ABB Oy | Anti-sway control method and arrangement |
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2019
- 2019-01-31 JP JP2019015964A patent/JP2020121875A/ja active Pending
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