以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。本実施形態では、本開示の車両用空調装置20を図1に示す車両1に適用した例について説明する。この車両1は、バス等のように車室内10の容積が比較的大きくなっている。
図示しないが、車両1には、自動運転装置等が搭載されている。自動運転装置は、車両1の加減速操作、制動操作、操舵操作といった全ての運転操作を運転手の代わりに自動で実行する装置である。
図2および図3に示すように、車両1の車室内10には、乗員が着座するための複数の座席が設置されている。具体的には、車室内10には、車両1の幅方向DRwの右側に前後方向DRfrに並ぶ複数の右側席SR1〜SR4が配置され、車両1の幅方向DRwの左側に前後方向DRfrに並ぶ複数の左側席SL1〜SL4が配置されている。
車室内10は、車両1の上面部11、下面部12、前面部13、後面部14、右側面部15、および左側面部16によって車室外に対して隔てられている。図1に示すように、左側面部16には、乗員が乗降するための乗降口であるドア開口部17が形成されている。ドア開口部17は、車室外と車室内10とを連通させる開口部である。
また、左側面部16には、ドア開口部17を開閉する乗降ドア18が設けられている。ドア開口部17は、左側面部16における前後方向DRfrの略中央部分に形成されている。ドア開口部17は、上面部11付近から下面部12付近まで延びる縦長の開口部となっている。ドア開口部17は、その開口面が左側面部16に沿って、上下方向DRudおよび前後方向DRfrに拡がっている。ドア開口部17の開口面は、ドア開口部17の縁部によって囲まれる面であって、車室外と車室内10との境界となる面である。
車室内10には、車両用空調装置20を構成する第1空調機器30および第2空調機器40が配置されている。第1空調機器30および第2空調機器40は、車室内10において互いに向き合うように配置されている。
本実施形態では、第1空調機器30および第2空調機器40が、互いに向き合う方向(すなわち、対向方向)が車両1の前後方向DRfrとなるように、第1空調機器30が第2空調機器40よりも車室内10の前方に配置されている。なお、各空調機器30、40が互いに向かっている状態は、各空調機器30、40における空気の吹出部が互いに向き合っている状態ではなく、各空調機器30、40が所定の方向に並んで配置されている状態を意味している。
具体的には、第1空調機器30は、車室内10において前面部13と最前列の座席である右側席SR1および左側席SL1との間に配置されている。また、第2空調機器40は、車室内10において後面部14と最後列の座席である右側席SR4および左側席SL4との間に配置されている。
図4および図5に示すように、第1空調機器30は、第1空調ケース31、第1空調ケース31の内側に収容されて車室内10に向けて空気を送風する第1送風機32を含んで構成されている。
第1空調ケース31には、最前列の座席である右側席SR1および左側席SL1と対向する壁面に空気を吸い込むための吸込口311が形成されている。また、第1空調ケース31には、上面部11に対向する壁面に第1送風機32から送風される空気を吹き出す第1吹出部312が形成されている。
第1吹出部312は、第1空調機器30および第2空調機器40が向かい合う対向方向に直交する方向(すなわち、幅方向DRw)に並ぶ複数の吹出口を有している。具体的には、第1吹出部312は、幅方向DRwの右側に位置する第1右側吹出口312aおよび幅方向DRwの左側に位置する第1左側吹出口312bを有している。なお、本実施形態では、車両1の幅方向DRwが、水平に延びる方向であって、第1空調機器30および第2空調機器40が向かい合う対向方向に直交する方向(すなわち、並行方向)となる。
第1空調機器30には、車室内10のうち幅方向DRwの右側から送風する送風空気と車室内10のうち幅方向DRwの左側から送風する送風空気との風量配分を調整する第1風量調整部33が設けられている。
第1風量調整部33は、第1右側吹出口312aおよび第1左側吹出口312bの開口面積を変更することで幅方向DRwの風量配分を調整可能になっている。具体的には、第1風量調整部33は、第1右側吹出口312aおよび第1左側吹出口312bの開口面積を変更する調整板331、調整板331を駆動する駆動部332を含んで構成されている。駆動部332は、後述する空調制御装置100の制御信号に応じて制御される。
このように構成される第1空調機器30は、第1送風機32から送風される送風空気が前面部13に沿って上方に吹き出される。この送風空気は、上面部11に到達すると、気流の運動方向が前面部13および上面部11によって遮られているので、気流の向きが車両1の後方側に転向される。すなわち、第1空調機器30からの送風空気は、前面部13に沿って吹き出され後、上面部11に到達すると車両1の後方側に向かって流れる。
図6および図7に示すように、第2空調機器40は、第2空調ケース41、第2空調ケース41の内側に収容されて車室内10に向けて空気を送風する第2送風機42を含んで構成されている。
第2空調ケース41には、最後列の座席である右側席SR4および左側席SL4と対向する壁面に空気を吸い込むための吸込口411が形成されている。また、第2空調ケース41には、上面部11に対向する壁面に第2送風機42から送風される空気を吹き出す第2吹出部412が形成されている。
第2吹出部412は、幅方向DRwに並ぶ複数の吹出口を有している。具体的には、第2吹出部412は、幅方向DRwの右側に位置する第2右側吹出口412aおよび幅方向DRwの左側に位置する第2左側吹出口412bを有している。
本実施形態の第2空調機器40は、車室内10における配置箇所および空気の吸込口411の向きが第1空調機器30とは異なるものの、その他の基本構成等が第1空調機器30と同様に構成されている。
具体的には、第2空調機器40には、車室内10のうち幅方向DRwの右側から送風する送風空気と車室内10のうち幅方向DRwの左側から送風する送風空気との風量配分を調整する第2風量調整部43が設けられている。第2風量調整部43は、第2右側吹出口412aおよび第2左側吹出口412bの開口面積を変更することで幅方向DRwの風量配分を調整可能になっている。第2風量調整部43は、第2右側吹出口412aおよび第2左側吹出口412bの開口面積を変更する調整板431、調整板431を駆動する駆動部432を含んで構成されている。駆動部432は、後述する空調制御装置100の制御信号に応じて制御される。
このように構成される第2空調機器40は、第2送風機42から送風される送風空気が後面部14に沿って上方に吹き出される。この送風空気は、上面部11に到達すると、気流の運動方向が後面部14および上面部11によって遮られているので、気流の向きが車両1の前方側に転向される。すなわち、第2空調機器40からの送風空気は、後面部14に沿って吹き出され後、上面部11に到達すると車両1の前方側に向かって流れる。
前述したように、第1空調機器30からの送風空気は、前面部13に沿って吹き出され後、上面部11に到達すると車両1の後方側に向かって流れる。このため、第1空調機器30からの送風空気および第2空調機器40からの送風空気は、車室内10の上方空間で衝突する。このときの衝突位置は、第1空調機器30からの送風空気と第2空調機器40からの送風空気の風量の割合に応じて変化する。
図3に示すように、第1空調機器30からの送風空気および第2空調機器40からの送風空気は、車室内10の上方空間で衝突した後、気流の運動方向が上面部11によって遮られているので、気流の向きが下方側に転向される。これにより、衝突後の送風空気が衝突位置の下方にいる乗員へ向けて流れることで、乗員に対して心地よい空調感が提供される。
次に、車両用空調装置20の電子制御部である空調制御装置100について図8を参照して説明する。空調制御装置100は、制御処理、演算処理等を実行するプロセッサ、プログラム、データ等を保存するメモリを含むコンピュータ、並びに、コンピュータの周辺回路で構成されている。なお、空調制御装置100のメモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成されている。
図8に示すように、空調制御装置100の入力側には、第1空調機器30および第2空調機器40をオンオフするための運転スイッチ110a等が設けられた操作部110が接続されている。図示しないが、空調制御装置100の入力側には、ドア開口部17に設けられた開閉検出部等の各種センサが接続されている。これにより、空調制御装置100には、各種センサにおける検出情報が入力される。
空調制御装置100の出力側には、第1送風機32、第1風量調整部33、第2送風機42、第2風量調整部43等が接続されている。空調制御装置100は、メモリに記憶されたプログラムに基づいて各種制御処理および演算処理を行うことで、出力側に接続された機器を制御する。
次に、車両用空調装置20の作動について説明する。車両用空調装置20は、操作部110の運転スイッチ110aがオンされると、車室内10の空調を開始する。具体的には、空調制御装置100がメモリに記憶されたプログラムを実行することで、第1送風機32、第1風量調整部33、第2送風機42、第2風量調整部43を制御する。
空調制御装置100は、第1送風機32および第2送風機42について、互いの送風能力が同等となるように制御する。具体的には、空調制御装置100は、第1送風機32および第2送風機42について、それぞれの回転数が同等となるように制御する。
また、空調制御装置100は、第1風量調整部33および第2風量調整部43について、幅方向DRwの右側に吹き出される送風空気の風量と幅方向DRwの左側に吹き出される送風空気の風量との風量配分が周期的に変化するように制御する。換言すれば、第1風量調整部33および第2風量調整部43は、幅方向DRwの一方側へ送風する送風空気と幅方向DRwの他方側へ送風する送風空気との風量配分が時間経過に応じて変化するように構成されている。
ここで、図9は、各空調機器30、40の各吹出部312、412から送風する送風空気の風量調整を説明するための説明図である。図9の上方側に示すグラフは、第1吹出部312から送風する送風空気の風量調整を説明するための説明図である。図9の上方側に示すグラフでは、第1右側吹出口312aの開口面積の時間変化を実線で示し、第1左側吹出口312bの開口面積の時間変化を破線で示している。また、図9の下方側に示すグラフは、第2吹出部412から送風する送風空気の風量調整を説明するための説明図である。図9の下方側に示すグラフでは、第2右側吹出口412aの開口面積の時間変化を実線で示し、第2左側吹出口412bの開口面積の時間変化を破線で示している。
図9に示すように、第1風量調整部33は、第1右側吹出口312aの開口面積が第1左側吹出口312bの開口面積よりも大きくなる状態と、第1左側吹出口312bの開口面積が第1右側吹出口312aの開口面積よりも大きくなる状態とを交互に切り替える。これにより、第1空調機器30は、幅方向DRwの右側に吹き出される送風空気の風量と幅方向DRwの左側に吹き出される送風空気の風量との風量配分が周期的に変化する。
また、第2風量調整部43は、第2右側吹出口412aの開口面積が第2左側吹出口412bの開口面積よりも大きくなる状態と、第2左側吹出口412bの開口面積が第2右側吹出口412aの開口面積よりも大きくなる状態とを交互に切り替える。これにより、第2空調機器40は、幅方向DRwの右側に吹き出される送風空気の風量と幅方向DRwの左側に吹き出される送風空気の風量との風量配分が周期的に変化する。
加えて、各風量調整部33、43は、各調整板331、431が互いに逆方向に変位するように構成されている。具体的には、各風量調整部33、43は、第1右側吹出口312aの開口面積が第1左側吹出口312bの開口面積よりも大きくなる際に、第2左側吹出口412bの開口面積が第2右側吹出口412aの開口面積よりも大きくなるように構成されている。また、各風量調整部33、43は、第1左側吹出口312bの開口面積が第1右側吹出口312aの開口面積よりも大きくなる際に、第2右側吹出口412aの開口面積が第2左側吹出口412bの開口面積よりも大きくなるように構成されている。
これにより、各空調機器30、40は、一方の風量調整部によって送風空気の風量が幅方向DRwの一方側に偏って増加する風量配分に調整されると、他方の風量調整部によって送風空気の風量が幅方向DRwの他方側に偏って増加する風量配分に調整される。
車両用空調装置20は、例えば、図10の左上に示すように、第1空調機器30からの送風空気の風量が幅方向DRwの右側に偏る風量配分に調整されると、第2空調機器40からの送風空気の風量が幅方向DRwの左側に偏る風量配分に調整される。
この際、車室内10では、図11の左上に示すように、第1右側吹出口312aから吹き出された送風空気と第2右側吹出口412aから吹き出された送風空気とが最後列の右側席SR4の上方空間で衝突する。そして、第1右側吹出口312aからの送風空気と第2右側吹出口412aからの送風空気は、最後列の右側席SR4の上方空間で衝突した後、気流の向きが下方側に転向される。これにより、図12の左上に示すように、衝突後の送風空気が衝突位置の下方にある最後列の右側席SR4へ向けて流れることで、当該右側席SR4に着座する乗員に対して心地よい空調感が提供される。
これと同時に、車室内10では、第1左側吹出口312bから吹き出された送風空気と第2左側吹出口412bから吹き出された送風空気とが最前列の左側席SL1の上方空間で衝突する。そして、第1左側吹出口312bからの送風空気と第2左側吹出口412bからの送風空気は、最前列の左側席SL1の上方空間で衝突した後、気流の向きが下方側に転向される。これにより、衝突後の送風空気が衝突位置の下方にある最前列の左側席SL1へ向けて流れることで、当該左側席SL1に着座する乗員に対して心地よい空調感が提供される。
続いて、各空調機器30、40は、図10の左上に示す送風状態から図10の右上に示す送風状態に移行する。すなわち、車両用空調装置20は、幅方向DRwの右側における第1空調機器30からの送風空気の風量が増加するとともに、幅方向DRwの左側における第2空調機器40からの送風空気の風量が増加する。
この際、車室内10では、図11の右上に示すように、第1右側吹出口312aから吹き出された送風空気と第2右側吹出口412aから吹き出された送風空気とが3列目の右側席SR3の上方空間で衝突する。これにより、図12の右上に示すように、衝突後の送風空気が衝突位置の下方にある3列目の右側席SR3へ向けて流れることで、当該右側席SR3に着座する乗員に対して心地よい空調感が提供される。
これと同時に、車室内10では、第1左側吹出口312bから吹き出された送風空気と第2左側吹出口412bから吹き出された送風空気とが2列目の左側席SL2の上方空間で衝突する。これにより、衝突後の送風空気が衝突位置の下方にある2列目の左側席SL2へ向けて流れることで、当該左側席SL2に着座する乗員に対して心地よい空調感が提供される。
続いて、各空調機器30、40は、図10の右上に示す送風状態から図10の右下に示す送風状態に移行する。すなわち、車両用空調装置20は、第1空調機器30からの送風空気の風量が幅方向DRwの右側に偏る風量配分に調整されると、第2空調機器40からの送風空気の風量が幅方向DRwの左側に偏る風量配分に調整される。
この際、車室内10では、図11の右下に示すように、第1右側吹出口312aから吹き出された送風空気と第2右側吹出口412aから吹き出された送風空気とが2列目の右側席SR2の上方空間で衝突する。これにより、図12の右下に示すように、衝突後の送風空気が衝突位置の下方にある2列目の右側席SR2へ向けて流れることで、当該右側席SR2に着座する乗員に対して心地よい空調感が提供される。
これと同時に、車室内10では、第1左側吹出口312bから吹き出された送風空気と第2左側吹出口412bから吹き出された送風空気とが3列目の左側席SL3の上方空間で衝突する。これにより、衝突後の送風空気が衝突位置の下方にある3列目の左側席SL3へ向けて流れることで、当該左側席SL3に着座する乗員に対して心地よい空調感が提供される。
続いて、各空調機器30、40は、図10の右下に示す送風状態から図10の左下に示す送風状態に移行する。すなわち、車両用空調装置20は、幅方向DRwの右側における第1空調機器30からの送風空気の風量が増加するとともに、幅方向DRwの左側における第2空調機器40からの送風空気の風量が増加する。
この際、車室内10では、図11の左下に示すように、第1右側吹出口312aから吹き出された送風空気と第2右側吹出口412aから吹き出された送風空気とが最前列の右側席SR1の上方空間で衝突する。これにより、図12の左下に示すように、衝突後の送風空気が衝突位置の下方にある最前列の右側席SR1へ向けて流れることで、当該右側席SR1に着座する乗員に対して心地よい空調感が提供される。
これと同時に、車室内10では、第1左側吹出口312bから吹き出された送風空気と第2左側吹出口412bから吹き出された送風空気とが最後列の左側席SL4の上方空間で衝突する。これにより、衝突後の送風空気が衝突位置の下方にある最後列の左側席SL4へ向けて流れることで、当該左側席SL4に着座する乗員に対して心地よい空調感が提供される。
以上説明した車両用空調装置20は、各空調機器30、40は、各空調機器30、40からの送風空気の風量を幅方向DRwの一方側または他方側に偏って増加させることが可能になっている。さらに、各空調機器30、40は、一方の空調機器からの送風空気の風量を並行方向の一方側に偏って増加する際に、他方の空調機器からの送風空気の風量を並行方向の他方側に偏って増加する構成になっている。これによると、各空調機器30、40に対して送風能力の高い送風機を用いることなく、一方の空調機器からの送風空気の他方の空調機器付近まで到達させたり、他方の空調機器からの送風空気の一方の空調機器付近まで到達させたりすることが可能になる。
この結果、各空調機器30、40に対して送風能力の高い送風機を用いることなく、各空調機器30、40からの送風空気を各空調機器30、40の対向方向における任意の位置で衝突させて車室内10の広範囲を空調することができる。
具体的には、第1空調機器30および第2空調機器40は、それぞれが向き合う対向方向が車両1の前後方向DRfrとなり、対向方向と直交する並行方向が車両1の幅方向DRwとなるように車室内10に配置されている。具体的には、第1空調機器30は、第2空調機器40よりも車室内10の前方に配置されている。これによれば、前後方向DRfrにおける体格が大きい車両1であっても、送風能力の高い大型の送風機を用いることなく、各空調機器30、40からの送風空気を車室内10における任意の位置で衝突させて車室内10の広範囲を空調することができる。
特に、第1風量調整部33および第2風量調整部43は、それぞれ車室内10のうち幅方向DRwの一方側へ送風する送風空気と幅方向DRwの他方側へ送風する送風空気との風量配分が時間経過に応じて変化するように構成されている。これによると、各空調機器30、40からの送風空気を各空調機器30、40の対向方向における様々な位置で衝突させることができるので、車室内10の広範囲を空調することができる。
具体的には、第1空調ケース31には、第1送風機32からの送風空気を吹き出す第1右側吹出口312aおよび第1左側吹出口312bが車両1の幅方向DRwに沿って並んで形成されている。そして、第1風量調整部33は、第1右側吹出口312aおよび第1左側吹出口312bの開口面積を変更することで幅方向DRwの風量配分を調整可能になっている。これによれば、簡素な構成で第1空調機器30から送風する送風空気の幅方向DRwにおける風量配分を調整することができる。なお、本実施形態では、第1右側吹出口312aおよび第1左側吹出口312bが、第1送風機32からの送風空気を吹き出す複数の第1吹出口を構成している。
また、第2空調ケース41には、第2送風機42からの送風空気を吹き出す第2右側吹出口412aおよび第2左側吹出口412bが車両1の幅方向DRwに沿って並んで形成されている。そして、第2風量調整部43は、第2右側吹出口412aおよび第2左側吹出口412bの開口面積を変更することで幅方向DRwの風量配分を調整可能になっている。これによれば、簡素な構成で第1空調機器30から送風する送風空気の幅方向DRwにおける風量配分を調整することができる。なお、本実施形態では、第2右側吹出口412aおよび第2左側吹出口412bが、第2送風機42からの送風空気を吹き出す複数の第2吹出口を構成している。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図13〜図16を参照して説明する。本実施形態では、各空調機器30、40に対して送風空気の温度を調整するための温度調整機能が付加されている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図13および図14に示すように、第1空調ケース31には、第1送風機32からの送風空気を冷却する第1冷却用熱交換器34が収容されている。第1冷却用熱交換器34としては、例えば、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの蒸発器を採用することができる。
また、第1空調ケース31には、第1冷却用熱交換器34を通過した空気を加熱する第1加熱用熱交換器35が収容されている。第1加熱用熱交換器35としては、例えば、車両1の駆動時に生ずる熱を放熱させる放熱器を採用することができる。
第1空調ケース31には、第1加熱用熱交換器35を迂回して流す第1バイパス通路36が形成されるとともに、第1加熱用熱交換器35の空気流れ上流側に第1エアミックスドア37が配置されている。第1エアミックスドア37は、第1加熱用熱交換器35を通過する空気と第1バイパス通路36を通過する空気の風量割合を調整して、第1空調機器30から車室内10へ吹き出す空気の温度を調整する温調部材である。
本実施形態では、第1冷却用熱交換器34、第1加熱用熱交換器35、第1バイパス通路36、および第1エアミックスドア37が、第1送風機32からの送風空気の温度を調整する第1温度調整部を構成する。
また、図15および図16に示すように、第2空調ケース41には、第2送風機42からの送風空気を冷却する第2冷却用熱交換器44が収容されている。第2冷却用熱交換器44としては、例えば、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの蒸発器を採用することができる。
また、第2空調ケース41には、第2冷却用熱交換器44を通過した空気を加熱する第2加熱用熱交換器45が収容されている。第2加熱用熱交換器45としては、例えば、車両1の駆動時に生ずる熱を放熱させる放熱器を採用することができる。
第2空調ケース41には、第2加熱用熱交換器45を迂回して流す第2バイパス通路46が形成されるとともに、第2加熱用熱交換器45の空気流れ上流側に第2エアミックスドア47が配置されている。第2エアミックスドア47は、第2加熱用熱交換器45を通過する空気と第2バイパス通路46を通過する空気の風量割合を調整して、第2空調機器40から車室内10へ吹き出す空気の温度を調整する温調部材である。
本実施形態では、第2冷却用熱交換器44、第2加熱用熱交換器45、第2バイパス通路46、および第2エアミックスドア47が、第2送風機42からの送風空気の温度を調整する第2温度調整部を構成する。
その他の構成は第1実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調装置20は、第1実施形態と共通の構成を備えており、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態の車両用空調装置20は、第1空調機器30に第1送風機32からの送風空気の温度を調整する第1温度調整部が設けられるとともに、第2空調機器40に第2送風機42からの送風空気の温度を調整する第2温度調整部が設けられている。このように、各空調機器30、40で送風空気の温度を調整可能になっていれば、乗員に対して適温に調整された送風空気を提供することができる。加えて、各空調機器30、40から車室内10へ送風する送風空気が車室内10の空気と異なる密度となるので、車室内10に拡散し易くなる。このことは、車室内10の快適性の向上に大きく寄与する。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図17を参照して説明する。本実施形態では、各空調機器30、40に対して3つ以上の吹出口が設けられている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図17に示すように、第1空調ケース31の第1吹出部312は、幅方向DRwの右側に位置する第1右外吹出口312cおよび第1右内吹出口312dと、幅方向DRwの左側に位置する第1左外吹出口312eおよび第1左内吹出口312fとを有している。
第1風量調整部33は、第1右外吹出口312cおよび第1右内吹出口312dの開口面積を変更するとともに、第1左外吹出口312eおよび第1左内吹出口312fの開口面積を変更することで幅方向DRwの風量配分を調整可能になっている。具体的には、第1風量調整部33は、第1右外吹出口312cおよび第1右内吹出口312dの開口面積を変更する第1調整板331a、第1左外吹出口312eおよび第1左内吹出口312fの開口面積を変更する第2調整板331b、駆動部332を有している。
このように構成される第1空調機器30は、車室内10に吹き出す送風空気の幅方向DRwへの風量配分をより細かく調整することができる。具体的には、第1空調機器30は、第1右外吹出口312cおよび第1右内吹出口312dから吹き出す送風空気の風量を幅方向DRwの右側または左側に偏って増加する風量配分に調整することができる。また、第1空調機器30は、第1左外吹出口312eおよび第1左内吹出口312fから吹き出す送風空気の風量を幅方向DRwの右側または左側に偏って増加する風量配分に調整することができる。
図示しないが、第2空調ケース41の第2吹出部412は、第1吹出部312と同様に構成されている。すなわち、第2吹出部412は、幅方向DRwの右側に位置する第2右外吹出口および第2右内吹出口と、幅方向DRwの左側に位置する第2左外吹出口および第2左内吹出口とを有している。そして、第2風量調整部43は、第2右外吹出口および第2右内吹出口の開口面積を変更するとともに、第2左外吹出口および第2左内吹出口の開口面積を変更することで幅方向DRwの風量配分を調整可能になっている。
このように構成される第2空調機器40は、車室内10に吹き出す送風空気の幅方向DRwへの風量配分をより細かく調整することができる。具体的には、第2空調機器40は、第2右外吹出口および第2右内吹出口から吹き出す送風空気の風量を幅方向DRwの右側または左側に偏って増加する風量配分に調整することができる。また、第2空調機器40は、第2左外吹出口および第2左内吹出口から吹き出す送風空気の風量を幅方向DRwの右側または左側に偏って増加する風量配分に調整することができる。
その他の構成は第1実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調装置20は、第1実施形態と共通の構成を備えており、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の車両用空調装置20は、各空調機器30、40が車室内10に吹き出す送風空気の幅方向DRwへの風量配分をより細かく調整可能になっている。これによれば、各空調機器30、40からの送風空気の衝突位置を適切に変化させ易くなるといった利点がある。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図18を参照して説明する。本実施形態では、各空調機器30、40に対して送風空気の温度を調整するための温度調整機能が付加されている点が第3実施形態と相違している。本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について主に説明し、第3実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
図18に示すように、第1空調ケース31には、第1送風機32からの送風空気を冷却する第1冷却用熱交換器34および第1冷却用熱交換器34を通過した空気を加熱する第1加熱用熱交換器35が収容されている。また、第1空調ケース31には、第1加熱用熱交換器35を迂回して流す第1バイパス通路36が形成されるとともに、第1加熱用熱交換器35の空気流れ上流側に第1エアミックスドア37が配置されている。
図示しないが、第2空調ケース41には、第2送風機42からの送風空気を冷却する第2冷却用熱交換器44、および第2冷却用熱交換器44を通過した空気を加熱する第2加熱用熱交換器45が収容されている。また、第2空調ケース41には、第2加熱用熱交換器45を迂回して流す第2バイパス通路46が形成されるとともに、第2加熱用熱交換器45の空気流れ上流側に第2エアミックスドア47が配置されている。
その他の構成は第3実施形態と同様である。本実施形態の車両用空調装置20は、第3実施形態と共通の構成を備えており、第3実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
特に、本実施形態の車両用空調装置20は、各空調機器30、40で温度調整された送風空気の幅方向DRwへの風量配分をより細かく調整可能になっている。これによれば、乗員に対して適温に調整された送風空気を提供し易くなるといった利点がある。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態では、第1空調機器30および第2空調機器40が車両1の前後方向DRfrに向き合うように、第1空調機器30が第2空調機器40よりも車室内10の前方に配置されているものを例示したが、これに限定されない。第1空調機器30および第2空調機器40は、例えば、車両1の幅方向DRwに向き合うように配置されていてもよい。
上述の実施形態では、第1空調ケース31および第2空調ケース41の上面に対して第1吹出部312および第2吹出部412が形成されたものを例示したが、これに限定されない。第1吹出部312および第2吹出部412は、例えば、前後方向DRfrに向かい合うように、第1吹出部312が第1空調ケース31の後面に形成され、第2吹出部412が第2空調ケース41の前面に形成されていてもよい。
上述の実施形態では、各風量調整部33、43が車室内10のうち幅方向DRwの一方側へ送風する送風空気と幅方向DRwの他方側へ送風する送風空気との風量配分が時間経過に応じて変化するように構成されているものを例示したが、これに限定されない。各風量調整部33、43は、例えば、車室内10のうち幅方向DRwの一方側へ送風する送風空気と幅方向DRwの他方側へ送風する送風空気との風量配分が時間経過に応じて変化しないように構成されていてもよい。
上述の実施形態では、第1風量調整部33および第2風量調整部43が、幅方向DRwの一方側への送風空気の風量と幅方向DRwの他方側への送風空気の風量との風量配分が周期的に変化するように構成されているものを例示したが、これに限定されない。第1風量調整部33および第2風量調整部43は、幅方向DRwの一方側への送風空気の風量と幅方向DRwの他方側への送風空気の風量との風量配分が周期性なく変化するように構成されていてもよい。
上述の実施形態では、第1吹出部312および第2吹出部412が複数の吹出口で構成されるものを例示したが、これに限定されない。第1吹出部312および第2吹出部412は、例えば、幅方向DRwにおける風量配分を調整可能であれば、単一の吹出口で構成されていてもよい。
上述の実施形態では、第1空調機器30および第2空調機器40を備える車両用空調装置20を例示したが、これに限定されない。車両用空調装置20は、3つ以上の空調装置を備える構成になっていてもよい。
上述の実施形態では、本開示の車両用空調装置20を自動運転するための図示しない自動運転装置が搭載された車両1に適用したものを例示したが、これに限定されない。車両用空調装置20は、例えば、加減速操作、制動操作、操舵操作といった全ての運転操作を運転手が行う車両1にも適用可能である。また、車両用空調装置20は、例えば、乗員が着座する座席が設けられていない車両1にも適用可能である。
上述の実施形態では、左側面部16に乗降ドア18が設けられた車両1に、車両用空調装置20を適用したものを例示したが、これに限らず、上述の実施形態で示したものとは異なる様々な車両1に適用可能である。また、車両用空調装置20は、乗員が搭乗する車両1に限らず、例えば、荷物、青果を運ぶ運搬用車両の如く車室内10を空調する必要がある車両に対して広く適用可能である。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
上述の実施形態において、センサから車両1の外部環境情報を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両1の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両1の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータによって実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、1つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータによって実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、1つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと1つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、車両用空調装置は、第1送風機および第1風量調整部を含む第1空調機器と、第2送風機および第2風量調整部を含み、車室内にて第1空調機器と向き合って配置される第2空調機器と、を備える。第1空調機器および第2空調機器は、一方の風量調整部によって送風空気の風量が並行方向の一方側に偏って増加する風量配分に調整されると、他方の風量調整部によって送風空気の風量が並行方向の他方側に偏って増加する風量配分に調整される。
第2の観点によれば、車両用空調装置の第1空調機器および第2空調機器は、対向方向が車両の前後方向となり、並行方向が車両の幅方向となるように第1空調機器が第2空調機器よりも車室内の前方に配置されている。
これによれば、前後方向における体格が大きい車両であっても、各空調機器に対して送風能力の高い大型の送風機を用いることなく、各空調機器からの送風空気を各空調機器の対向方向における任意の位置で衝突させて車室内の広範囲を空調することができる。
第3の観点によれば、車両用空調装置の第1風量調整部および第2風量調整部は、それぞれ車室内のうち並行方向の一方側へ送風する送風空気と車室内のうち並行方向の他方側へ送風する送風空気との風量配分が時間経過に応じて変化するように構成されている。これによると、各空調機器からの送風空気を各空調機器の対向方向における様々な位置で衝突させることができるので、車室内の広範囲を空調することができる。
第4の観点によれば、車両用空調装置の第1空調機器は、第1送風機からの送風空気を吹き出す複数の第1吹出口が並行方向に沿って並んで形成されている。第1風量調整部は、複数の第1吹出口のうち並行方向の一方側に位置する第1吹出口および並行方向の他方側に位置する第1吹出口の開口面積を変更することで並行方向の風量配分を調整可能になっている。第2空調機器は、第2送風機からの送風空気を吹き出す複数の第2吹出口が並行方向に沿って並んで形成されている。第2風量調整部は、複数の第2吹出口のうち並行方向の一方側に位置する第2吹出口および並行方向の他方側に位置する第2吹出口の開口面積を変更することで並行方向の風量配分を調整可能になっている。このように、各風量調整部を吹出口の開口面積を変化させることで並行方向の風量配分を調整可能な構成とすれば、簡素な構成で並行方向の風量配分を調整することができる。
第5の観点によれば、車両用空調装置の第1空調機器には、第1送風機からの送風空気の温度を調整する第1温度調整部が設けられている。また、第2空調機器には、第2送風機からの送風空気の温度を調整する第2温度調整部が設けられている。
このように、各空調機器で送風空気の温度を調整可能になっていれば、各空調機器から車室内へ送風する送風空気が車室内の空気と異なる密度となり、車室内に拡散し易くなる。このことは、車室内の快適性の向上に大きく寄与する。