以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態に係るプリンタについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の斜視図である。以下の説明では、前、後、左、右、上、下とは、プリンタ100を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味する。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ100の設置態様を何ら限定するものではない。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは、前後方向であり、主走査方向Yと平面視において直交している。なお、本実施形態において、副走査方向Xのうち後方(一方)から前方(他方)に向かう方向を行き方向X1と称する。副走査方向Xのうち前方から後方に向かう方向を帰り方向X2と称する。ただし、主走査方向Yおよび副走査方向Xは、特に限定されず、プリンタ100の形態に応じて適宜に設定可能である。なお、本実施形態では、主走査方向Yが本発明の第1方向の一例であり、副走査方向Xが本発明の第2方向の一例である。
図1に示すように、プリンタ100は、インクジェット式のプリンタである。ただし、プリンタ100の種類は特に限定されない。例えばプリンタ100は、いわゆるインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタであってもよいし、熱転写方式のプリンタであってもよい。
プリンタ100は、媒体5に印刷を行う。ここでは、媒体5はロール状の記録紙である。しかしながら、媒体5の種類は特に限定されない。媒体5は、シート状の記録紙であってもよいし、樹脂製の媒体や、ガラス基板などの材質が硬い媒体であってもよい。また、媒体5は、厚みが比較的に厚いものであってもよいし、薄いものであってもよい。
本実施形態では、プリンタ100は、ケーシングを有する本体10と、本体10の下部に設けられ、本体10を支持する脚11と、利用者が印刷に関する操作を行う操作パネル12と、本体10の上部に設けられたカバー15を備えている。カバー15の下方であって、本体10の前側には、媒体5を排出するための排出口13が形成されている。排出口13の前方かつ下方の位置には、排出口13から排出された媒体5を案内するガイド14が設けられている。
図2は、プリンタ100の内部構成を示す平面図である。図3は、インクヘッド40および紫外線照射装置50の底面図である。
図2に示すように、プリンタ100は、ガイドレール20と、プラテン25と、を備えている。ガイドレール20は、カバー15(図1参照)の下方に配置されている。ガイドレール20は主走査方向Yに延びている。プラテン25は、媒体5への印刷を行う際、媒体5を支持する。ここでは、プラテン25は、ガイド14(図1参照)と連なっている。プラテン25は、本発明の支持台の一例である。本実施形態では、プラテン25は、媒体5を支持する支持面26を有している。この支持面26は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びており、ガイドレール20の中央部分の下方に配置されている。支持面26は、プラテン25の上面を形成しており、ガイドレール20と対向している。
図3に示すように、プリンタ100は、キャリッジ30と、インクヘッド40と、紫外線照射装置50とを備えている。図2に示すように、キャリッジ30は、ガイドレール20に摺動可能に係合している。キャリッジ30は、ガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクヘッド40は、プラテン25の支持面26に向かってインクを吐出する。言い換えると、インクヘッド40は、支持面26に支持された媒体5に向かってインクを吐出する。
図3に示すように、インクヘッド40は、キャリッジ30に設けられている。側面視において、インクヘッド40は、プラテン25の支持面26と対向するように配置されている。ここで、側面視とは、本発明の「第1方向から見たとき」の一例である。インクヘッド40は、支持面26と対向するようにプラテン25の上方に配置され、キャリッジ30を介してガイドレール20に摺動自在に係合している。インクヘッド40は、ガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動可能である。
インクヘッド40は、インクを吐出する複数のノズル46が形成されたノズル面47を有している。複数のノズル46は、副走査方向Xに並んで配置されている。ここでは、副走査方向Xに並んだ複数のノズル46の列のことをノズル列46aという。ノズル面47は、プラテン25の支持面26(図2参照)と対向している。なお、インクヘッド40の数は特に限定されない。本実施形態では、インクヘッド40の数は4つである。4つのインクヘッド40は、主走査方向Yに並んで配置されている。
インクヘッド40から吐出されるインクは、紫外線によって硬化が促進されるインクであり、いわゆる紫外線硬化インクである。この紫外線硬化インクは、例えば重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクであってもよいし、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクであってもよい。本明細書において、特段の記載がされていない限り、インクとは紫外線硬化インクのことをいう。本実施形態では、4つのインクヘッド40からそれぞれ異なる色のインクが吐出される。例えば4つのインクヘッド40のそれぞれから、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどのプロセスカラーインク、および、クリア、ホワイトなどの特色インクのうちの何れかのインクが吐出される。
本実施形態では、インクヘッド40には、インクカートリッジ48(図2参照)が接続されている。ここでは、インクヘッド40とインクカートリッジ48とは、チューブ49(図2参照)を介して互いに接続されている。インクカートリッジ48には、インクヘッド40に供給するインク、すなわち、印刷の際に使用される紫外線硬化インクが収容されている。なお、インクカートリッジ48の設置位置は特に限定されない。例えば、図示は省略するが、インクカートリッジ48は、本体10の上面に取り外し可能に設けられている。なお、図示は省略するが、インクカートリッジ48とインクヘッド40の間には、圧力を制御するためのポンプ、および、ダンパーなどが設けられていてもよい。
紫外線照射装置50は、プラテン25の支持面26に向かって紫外線を照射する。言い換えると、紫外線照射装置50は、支持面26に支持された媒体5に吐出されたインクに紫外線を照射する。媒体5に吐出されたインクは、紫外線照射装置50から発せられた紫外線が照射されることで硬化し易い。紫外線照射装置50は、側面視においてプラテン25の支持面26に対向している。本実施形態では、図3に示すように、紫外線照射装置50の数は2つであるが、紫外線照射装置50の数は特に限定されない。ここでは、2つの紫外線照射装置50は、キャリッジ30に設けられている。2つの紫外線照射装置50のうち一方の紫外線照射装置50は、キャリッジ30の左部に設けられ、インクヘッド40よりも左方に配置されている。他方の紫外線照射装置50は、キャリッジ30の右部に設けられ、インクヘッド40よりも右方に配置されている。本実施形態では、紫外線照射装置50は、キャリッジ30およびインクヘッド40と共にガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動可能である。
紫外線照射装置50の構成は特に限定されない。例えば紫外線照射装置50は、光源(図示せず)と、光源から発せられた紫外線が通過する通過口51とを備えている。通過口51は、紫外線照射装置50の底面に形成されており、プラテン25の支持面26と対向している。
図2に示すように、プリンタ100は、移動機構60を備えている。移動機構60は、インクヘッド40を、プラテン25に対して主走査方向Yおよび副走査方向Xに相対的に移動させると共に、紫外線照射装置50を、プラテン25に対して主走査方向Yおよび副走査方向Xに相対的に移動させる機構である。本実施形態では、移動機構60が本発明の第1移動機構の一例であると共に、第2移動機構の一例である。ここでは、移動機構60は、インクヘッド40および紫外線照射装置50を一体的に、プラテン25に対して相対的に移動させる。本実施形態では、移動機構60は、キャリッジ移動機構61と、媒体移動機構62とを備えている。
キャリッジ移動機構61は、キャリッジ30をガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動させる機構である。なお、キャリッジ移動機構61の構成は特に限定されない。キャリッジ移動機構61は、プーリ71と、プーリ72と、ベルト73と、モータ74と有している。プーリ71は、ガイドレール20の右端部分に設けられ、プーリ72は、ガイドレール20の左端部分に設けられている。ベルト73は、無端状であり、プーリ71とプーリ72とに巻き掛けられている。なお、ベルト73は無端状ではなく、両端部がプーリ71、72に固定される構成であってもよい。ベルト73には、キャリッジ30が取り付けられている。モータ74は例えばプーリ71に接続されている。モータ74の駆動に伴いプーリ71が駆動することで、プーリ71とプーリ72との間においてベルト73が走行する。ベルト73の走行によって、キャリッジ30が主走査方向Yに移動し、キャリッジ30の移動と共に、インクヘッド40および紫外線照射装置50が主走査方向Yに移動する。
媒体移動機構62は、プラテン25の支持面26に支持された媒体5をキャリッジ30に対して相対的に副走査方向Xに移動させる機構である。本実施形態では、媒体移動機構62は、支持面26に支持された媒体5を副走査方向Xに移動させる。なお、媒体移動機構62の構成は特に限定されない。媒体移動機構62は、上下一対のローラ76(以下、一対のローラ76という。)と、モータ77とを有している。なお、一対のローラ76において、図2では上側のローラ76が図示されており、下側のローラ76は省略されている。一対のローラ76の数および設置位置は特に限定されない。ここでは、一対のローラ76のうち、一方のローラ76はグリットローラである。グリットローラ76には、モータ77が接続されている。モータ77が駆動することで、グリットローラ76は回転する。一対のローラ76のうち、他方のローラ76は、上記グリットローラと共に媒体5を挟み込むためのピンチローラである。一対のローラ76で媒体5を挟みこんだ状態でモータ77が駆動することで、媒体5は副走査方向Xに搬送される。
本実施形態では、媒体5への印刷が行われていないときには、ガイドレール20の右端部分のホームポジションHPにキャリッジ30(言い換えると、インクヘッド40および紫外線照射装置50)が待機するように構成されている。ホームポジションHPは、印刷中、インクヘッド40が主走査方向Yに往復移動をした後に戻る位置である。なお、ホームポジションHPの位置は特に限定されず、ガイドレール20の左端部分に設定されていてもよい。ホームポジションHPは、本発明の基準位置の一例である。
本実施形態では、プリンタ100は、フラッシング機構80を備えている。フラッシング機構80は、インクヘッド40のノズル46(図3参照)におけるインクの詰まりを抑制するための機構であり、ホームポジションHPにおいて、所定量のインクをインクヘッド40から吐出させる。フラッシング機構80は、ホームポジションHPの周囲に配置されている。図4は、フラッシング機構80を示す模式図である。図4に示すように、フラッシング機構80は、キャップ81と、吸引ポンプ82と、キャッピング機構83とを備えている。
キャップ81は、インクヘッド40のノズル面47に装着可能に構成されている。キャップ81がノズル面47に装着されているとき、ノズル面47に形成されたノズル46(図3参照)は、底面視においてキャップ81に囲まれた状態である。1つのキャップ81は、1つのインクヘッド40に装着可能である。本実施形態では、インクヘッド40の数は4つであるため、キャップ81の数も4つである。なお、図4では、1つのインクヘッド40および1つのキャップ81が図示されており、他のインクヘッド40および他のキャップ81の図示は省略されている。キャップ81は、インクヘッド40のノズル46から吐出されたインクを受けるものである。キャップ81は、インクヘッド40がホームポジションHPに位置しているとき、インクヘッド40の下方に位置する。本実施形態では、インクヘッド40にキャップ81が装着された状態で、ノズル46から所定量のインクをキャップ81内に吐出させることを「フラッシング動作」という。
吸引ポンプ82は、インクヘッド40のノズル面47にキャップ81が装着されている状態において、インクヘッド40内のインクやキャップ81内のインクを吸引するものである。例えば吸引ポンプ82は、チューブ状の第1インク排出経路85を介してキャップ81に接続されている。また、吸引ポンプ82は、第2インク排出経路86を介して廃液容器87に接続されている。キャップ81に吐出されたインクは、第1インク排出経路85および第2インク排出経路86を通じて廃液容器87に排出される。
キャッピング機構83は、キャップ81を昇降させる機構である。キャッピング機構83は、インクヘッド40のノズル面47に対してキャップ81を装着させたり、離間させたりするように構成されている。なお、キャッピング機構83の構成は特に限定されない。ここでは、キャッピング機構83は、キャップ81に接続されたモータ83aなどによって構成されている。モータ83aが駆動して、キャップ81が上方に移動することで、インクヘッド40にキャップ81が装着される。
図5は、プリンタ100のブロック図である。プリンタ100は、制御装置90を備えている。制御装置90は、印刷の制御などを行う装置である。制御装置90の構成は特に限定されない。制御装置90は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。なお、制御装置90は必ずしもプリンタ100の内部に設けられている必要はない。制御装置90は、例えばプリンタ100の外部に設置され、有線または無線を介してプリンタ100と通信可能に接続されたコンピュータなどであってもよい。
本実施形態では、制御装置90は、操作パネル12と、インクヘッド40と、紫外線照射装置50と、キャリッジ移動機構61のモータ74と、媒体移動機構62のモータ77と、吸引ポンプ82と、キャッピング機構83のモータ83aと電気的に、かつ、通信可能に接続している。制御装置90は、操作パネル12、インクヘッド40、紫外線照射装置50、モータ74、モータ77、吸引ポンプ82およびモータ83aのそれぞれを制御する。
ところで、所定の印刷画像を媒体5に印刷するとき、印刷中において、インクが吐出された媒体5の領域に対して、紫外線照射装置50から発せられた紫外線が照射される。このことで、媒体5に吐出されたインクが乾き易くなる。しかしながら、このように印刷中のみに、媒体5に吐出されたインクに紫外線を照射させる場合、印刷終了後、媒体5に吐出されたインクが完全に乾燥していないことが起こり得る。
そこで、本実施形態に係るプリンタ100は、所定の印刷画像に基づいて印刷が行われた後、アフタースキャン処理(以下、単にアフタースキャンともいう。)を実行することが可能に構成されている。このアフタースキャンとは、印刷後、インクが吐出された媒体5の領域に対して紫外線の照射を再度行う処理のことである。アフタースキャンのときには、インクヘッド40からのインクの吐出は行われない。アフタースキャンは、印刷後に、媒体5に吐出されたインクの乾燥をさらに促進させたいときに行われる処理である。
本実施形態に係るプリンタ100は、複数のコマンドを実行することで、各種設定、媒体5に対する印刷、媒体5に対する紫外線の照射が行われる。図6は、印刷用のジョブデータJD1の一例を示す図である。図7は、アフタースキャン用のジョブデータJD2の一例を示す図である。ここでは、コマンドは、図6に示すように、ジョブコマンドCM1と、制御コマンドCM2と、実行コマンドCM3とを有する。
以下の説明において、プリンタ100の1つの動作のことを「ジョブ」という。例えばジョブには、印刷処理(以下、単に印刷ともいう。)、および、アフタースキャンが含まれる。
ジョブコマンドCM1は、印刷前またはアフタースキャン前において、基本設定情報などを設定するためのコマンドである。ジョブコマンドCM1は、いわゆるPJL(Printer Job Language)コマンドである。基本設定情報とは、プリンタ100に設定される情報であり、印刷や紫外線の照射に関する基本的な情報のことである。基本設定情報には、例えば媒体5の種類、解像度、キャリッジ30の移動速度(言い換えると、インクヘッド40および紫外線照射装置50の移動速度)、媒体5の移動速度などが含まれる。
本実施形態では、アフタースキャン処理を実現するために、ジョブコマンドCM1は、アフタースキャン設定コマンドCM11を有している。アフタースキャン設定コマンドCM11は、このジョブデータJD1、JD2がアフタースキャン用のジョブデータであるか、印刷用のジョブデータであるかを設定するためのコマンドである。なお、ジョブデータJD1、JD2については後述する。アフタースキャン設定コマンドCM11では、ONまたはOFFが指定される。図7に示すように、例えばアフタースキャン設定コマンドCM11の指定がONの場合、アフタースキャンを実行する。この場合、紫外線照射装置50から紫外線は発せられるが、インクヘッド40からインクは吐出されない。一方、図6に示すように、アフタースキャン設定コマンドCM11の指定がOFFの場合、アフタースキャンは実行されずに、例えば印刷に関する処理が実行される。この場合、例えばインクヘッド40からインクが吐出され、かつ、紫外線照射装置50から紫外線が発せられる。
制御コマンドCM2は、例えば印刷時やアフタースキャン時において印刷データPD1を指定するコマンドである。ここで、印刷データPD1とは、印刷時や紫外線照射時に指定されるものであり、印刷対象となる画像に基づいて座標などの値で指定されたパスのことである。言い換えると、制御コマンドCM2とは、キャリッジ30の移動を規定したものであり、キャリッジ30は制御コマンドCM2に沿って移動する。プリンタ100は、制御コマンドCM2を順に実行することで、媒体5に対して印刷やアフタースキャンを行うことができる。
実行コマンドCM3とは、ジョブの開始およびジョブの終了を指定するコマンドである。プリンタ100は、実行コマンドCM3を実行することで、ジョブの開始やジョブの終了を認識することができる。なお、実行コマンドCM3の種類は特に限定されない。本実施形態では、実行コマンドCM3として、1つのジョブの開始に関するコマンドであるジョブ開始コマンドCM31、および、1つのジョブの終了に関するコマンドであるジョブ終了コマンドCM32が存在する。ここで、ジョブ開始コマンドCM31とは、印刷またはアフタースキャンを開始することを知らせるコマンドである。ジョブ終了コマンドCM32とは、印刷またはアフタースキャンが終了したことを知らせるコマンドである。例えば、ジョブ開始コマンドCM31は、印刷データPD1に関する制御コマンドCM2の前であって、ジョブコマンドCM1の後に指定されるコマンドである。ジョブ終了コマンドCM32は、印刷データPD1に関する制御コマンドCM2の後に指定されるコマンドである。
本実施形態では、図6および図7に示すように、ジョブコマンドCM1、制御コマンドCM2および実行コマンドCM3が適宜設定された一連のコマンド群のことをジョブデータJD1、JD2と称する。ジョブデータJD1、JD2では、最初に複数のジョブコマンドCM1が設定され、その後、制御コマンドCM2および実行コマンドCM3が適宜設定される。ここでは、ジョブデータJD1、JD2が保存されたファイルのことをジョブファイルFL1、FL2と称することとする。本実施形態では、例えば1つのジョブファイルFL1には、1つのジョブデータJD1が保存されている。
本実施形態では、1つの印刷画像P1(図8参照)に対して、図6に示すような印刷用のジョブデータJD1が保存された印刷ジョブファイルFL1と、図7に示すようなアフタースキャン用のジョブデータJD2が保存されたアフタースキャンジョブファイルFL2とが作成される。印刷用のジョブデータJD1およびアフタースキャン用のジョブデータJD2のそれぞれのジョブコマンドCM1の種類は、同じであり、少なくともアフタースキャン設定コマンドCM11が含まれている。図6に示すように、印刷用のジョブデータJD1では、アフタースキャン設定コマンドCM11にOFFが指定されている。図7に示すように、アフタースキャン用のジョブデータJD2では、アフタースキャン設定コマンドCM11にONが指定されている。
本実施形態では、印刷用のジョブデータJD1の制御コマンドCM2、および、アフタースキャン用のジョブデータJD2の制御コマンドCM2は、それぞれ印刷画像P1(図8参照)に基づいて作成される。ここでは、図8に示すように、印刷画像P1には、印刷領域AR1が設定されている。印刷領域AR1は、インクが吐出される吐出領域AR11と、インクが吐出されない非吐出領域AR12とを有する。印刷用のジョブデータJD1では、印刷画像P1に基づいて、印刷領域AR1に対応した媒体5の領域(以下、印刷対応領域ともいう。)上をインクヘッド40が少なくとも通過するように、制御コマンドCM2が作成されている。本実施形態では、1スキャンごとに、インクヘッド40はホームポジションHPへ移動し、ホームポジションHPにおいてフラッシング動作が行われる。そのため、印刷画像P1の印刷時、キャリッジ30は図11の矢印A11〜A15のような範囲で移動する。
アフタースキャン用のジョブデータJD2では、印刷画像P1に基づいて、吐出領域AR11に対応した媒体5の領域(以下、吐出対応領域ともいう。)上、すなわち、媒体5のインクが吐出された領域上を紫外線照射装置50が少なくとも通過するように、制御コマンドCM2が作成される。本実施形態では、アフタースキャンであっても、印刷時と同様に、キャリッジ30が主走査方向Yに移動するときに、紫外線照射装置50と共にインクヘッド40が主走査方向Yに移動する。そのため、アフタースキャンのとき、インクヘッド40にはキャップ81が装着されていない。そのため、アフタースキャンのときであっても、主走査方向Yへの所定のスキャン回数(例えば、1スキャン)の後、キャリッジ30がホームポジションHPに移動してフラッシング動作が行われる。よって、印刷後のアフタースキャンでは、キャリッジ30は図12の矢印A21〜A25に示すような範囲で移動する。
なお、図6に示す印刷用のジョブデータJD1、および、図7に示すアフタースキャン用のジョブデータJD2を作成する手順は特に限定されない。印刷用のジョブデータJD1およびアフタースキャン用のジョブデータJD2は、従来のジョブデータを作成する手順と同様に作成される。例えば、専用のソフトウェアを使用して、アフタースキャン設定コマンドCM11を指定し、印刷用のジョブデータJD1およびアフタースキャン用のジョブデータJD2を、それぞれ印刷画像P1に基づいて別々に作成してもよい。この場合、アフタースキャン用のジョブデータJD2を作成するとき、キャリッジ30の移動速度や、紫外線照射装置50が発する紫外線の照度強度を設定することが可能である。例えばアフタースキャンにおけるキャリッジ30の移動速度は、印刷におけるキャリッジ30の移動速度よりも速い。
印刷用のジョブデータJD1およびアフタースキャン用のジョブデータJD2を作成する手順の他の例では、まず印刷用のジョブデータJD1を作成し、作成した印刷用のジョブデータJD1が保存された印刷ジョブファイルFL1のコピーを作成する。そして、コピーした印刷ジョブファイルFL1のジョブデータJD1のアフタースキャン設定コマンドCM11をOFFからONに変更し、かつ、制御コマンドCM2を適宜変更したジョブデータJD1をアフタースキャン用のジョブデータJD2として、アフタースキャンジョブファイルFL2を作成してもよい。
以上のように、アフタースキャン処理を実行可能なプリンタ100において、制御装置90は、図5に示すように、記憶部91と、印刷制御部92と、アフタースキャン制御部93と、キャップ制御部94と、フラッシング制御部95と、コマンド実行部96とを備えている。印刷制御部92は、第1印刷移動制御部92aと、吐出制御部92bと、第2印刷移動制御部92cと、印刷照射制御部92dとを備えている。アフタースキャン制御部93は、第1移動制御部93aと、照射制御部93bと、第2移動制御部93cとを備えている。制御装置90の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば制御装置90の各部は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。なお、制御装置90の各部の詳細については後述する。
次に、印刷およびアフタースキャンの手順について説明する。ここでは、図8に示すような印刷画像P1を媒体5に印刷し、印刷された媒体5に対してアフタースキャンが行われる手順について図9および図10のフローチャートに沿って説明する。
図11は、媒体5に印刷画像P1を印刷する際のキャリッジ30の移動範囲を示す図である。図12は、アフタースキャンの際のキャリッジ30の移動範囲を示す図である。図11および図12において、矢印はキャリッジ30の移動を示している。また、図11および図12では、媒体5に印刷画像P1が印刷された状態が示されている。
以下の説明において、プラテン25に支持された媒体5がキャリッジ30に対して副走査方向Xに移動せずに、キャリッジ30が主走査方向Yに往復移動することを「1スキャン」という。なお、1スキャンにおけるキャリッジ30の主走査方向Yへの往復回数は特に限定されず、1回であってもよいし、複数回であってもよい。図11の一例では、5スキャンすることで印刷画像P1を媒体5に印刷することができる。
また、本実施形態では、媒体5の領域のうち、図8に示す印刷画像P1の印刷領域AR1、吐出領域AR11、非吐出領域AR12のそれぞれに対応した領域を、図11に示すように、印刷対応領域AR2、吐出対応領域AR21、非吐出対応領域AR22という。吐出対応領域AR21のうち、キャリッジ30が1スキャン時に主走査方向Yに移動している間に、紫外線照射装置50の何れかの下に位置する領域のことを吐出対応部分領域AR31という。図12の例では、吐出対応領域AR21は、5つの吐出対応部分領域AR31によって構成されている。また、媒体5には、印刷を開始する印刷開始位置P10が予め設定されている。
また、以下の説明において、記憶部91には、印刷画像P1(図8参照)、印刷用のジョブデータJD1が記憶された印刷ジョブファイルFL1(図6参照)、および、アフタースキャン用のジョブデータJD2が記憶されたアフタースキャンジョブファイルFL2(図7参照)が記憶されている。このジョブデータJD1、JD2は、共に印刷画像P1に基づいて作成されたものである。
本実施形態では、図9に示すように、まずステップS101において、媒体5に対して印刷画像P1の印刷が行われる。そして、ステップS101の後、ステップS102において、媒体5に対してアフタースキャンが行われる。ここでは、印刷用のジョブデータJD1が実行され、その後、アフタースキャン用のジョブデータJD2が実行される。
ステップS101では、コマンド実行部96は、記憶部91に記憶された印刷用のジョブデータJD1内のコマンドを順に実行することで、印刷画像P1の印刷を行う。本実施形態では、図10のフローチャートに沿って印刷が行われる。まず図10のステップS201では、コマンド実行部96は、印刷用のジョブデータJD1のジョブコマンドCM1を順に実行する。図6に示すように、印刷用のジョブデータJD1のジョブコマンドCM1には、アフタースキャン設定コマンドCM11が含まれるため、コマンド実行部96は、アフタースキャン設定コマンドCM11を実行する。このステップS201においてジョブコマンドCM1が実行されることで、記憶部91には、ジョブコマンドCM1に基づいた基本設定情報が記憶される。
次に、ステップS202では、制御装置90が、ジョブデータJD1が印刷用かアフタースキャン用かを認識するために、アフタースキャン設定コマンドCM11の指定がONか否かを判定する。図6に示すように、印刷用のジョブデータJD1において、アフタースキャン設定コマンドCM11には、OFFが指定されている。この場合、図10のステップS202においてNOと判定され、次にステップS204が行われる。
ステップS204では、印刷制御部92は、プラテン25に支持された媒体5に印刷画像P1を印刷する。本実施形態では、印刷制御部92は、図6に示す印刷用のジョブデータJD1のジョブ開始コマンドCM31を実行する。このことで、制御装置90は、媒体5に対して印刷が開始されることを認識し、印刷に関する処理が行われる。
その後、印刷制御部92は、制御コマンドCM2を順に実行することで媒体5に対する印刷を行う。印刷制御部92は、記憶部91に記憶された印刷画像P1(ここでは、印刷画像P1に基づいて作成された印刷用のジョブデータJD1)に基づいて、プラテン25に支持された媒体5の吐出対応領域AR21(図11参照)にインクを吐出するように、キャリッジ移動機構61およびインクヘッド40を制御する。
本実施形態では、印刷開始位置P10から印刷が開始されるように媒体5が配置されている状態において、第1印刷移動制御部92aは、キャリッジ30を主走査方向Yに往復移動させる。詳しくは、第1印刷移動制御部92aは、媒体5の印刷対応領域AR2上をインクヘッド40が通過するように、ホームポジションHPを基準にしてキャリッジ30を主走査方向Yに往復移動させる。本実施形態では、印刷時、キャリッジ30は、図11の矢印A11〜A15の範囲を往復するように移動する。
第1印刷移動制御部92aによってキャリッジ30が主走査方向Yに移動している間において、吐出制御部92bは、インクヘッド40が媒体5の吐出対応領域AR21の上を通過したときに、インクヘッド40から吐出対応領域AR21に向かってインクを吐出させる。このようにして、キャリッジ30による1スキャンにおける印刷が行われる。なお、印刷照射制御部92dは、キャリッジ30が主走査方向Yに移動している間、紫外線照射装置50から紫外線を媒体5に向かって照射させている。紫外線照射装置50から発せられた紫外線は、インクが吐出された媒体5の吐出対応領域AR21に向かって照射される。
なお、本実施形態では、キャリッジ30が主走査方向Yに往復移動した後、ホームポジションHPに位置する。そして、ホームポジションHPにおいて、キャップ制御部94は、インクヘッド40にキャップ81を装着させるようにキャッピング機構83を制御する。その後、フラッシング制御部95は、キャップ制御部94によってインクヘッド40にキャップ81が装着されたときに、ノズル46からキャップ81内に向かってインクを吐出させることで、フラッシング動作を行う。
本実施形態では、キャリッジ30がホームポジションHPに待機している間、第2印刷移動制御部92cは、プラテン25の支持面26に支持された媒体5を副走査方向Xの行き方向X1へ所定の距離移動させるように、媒体移動機構62を制御する。ここで、所定の距離とは、例えばインクヘッド40の複数のノズル46のノズル列46a(図3参照)の長さである。
以上のように、第2印刷移動制御部92cによって媒体5が行き方向X1に移動した後、第1印刷移動制御部92aによって、キャリッジ30を主走査方向Yに往復移動させることで、次のスキャンにおける印刷が行われる。本実施形態では、キャリッジ30の主走査方向Yへの往復移動、および、プラテン25に支持された媒体5の行き方向X1への移動を交互に行いながら、媒体5への印刷画像P1の印刷が行われる。図11において、矢印A11、A12、A13、A14、A15の順でキャリッジ30は移動して、印刷が行われる。本実施形態では、印刷中の各スキャンにおいて、キャリッジ30が主走査方向Yに移動する距離は同じである。すなわち、図11における矢印A11〜A15の長さは同じである。
印刷後、図9のステップS102では、アフタースキャン制御部93は、印刷画像P1が印刷された媒体5に対して、アフタースキャンを行う。ここでは、図10のフローチャートに沿ってアフタースキャンが行われる。ステップS201において、コマンド実行部96は、アフタースキャン用のジョブデータJD2(図7参照)のジョブコマンドCM1を順に実行する。アフタースキャン用のジョブデータJD2のジョブコマンドCM1には、アフタースキャン設定コマンドCM11が含まれており、コマンド実行部96は、アフタースキャン設定コマンドCM11を実行する。
次に、ステップS202では、制御装置90は、アフタースキャン設定コマンドCM11の指定がONか否かを判定する。図7に示すように、アフタースキャン用のジョブデータJD2において、アフタースキャン設定コマンドCM11には、ONが指定されている。この場合、ステップS202においてYESと判定され、次にステップS203が行われる。
ステップS203では、アフタースキャン制御部93は、印刷が行われた媒体5にアフタースキャンを実行する。本実施形態では、まず第2移動制御部93cは、プラテン25に支持された媒体5において、印刷開始位置P10からアフタースキャンが開始されるように、当該媒体5を帰り方向X2に移動させるように媒体移動機構62を制御する。このように、印刷終了後に、媒体5の印刷開始位置P10からアフタースキャン処理が開始されるように媒体5を帰り方向X2へ移動させる処理のことを、引き戻し処理という。
その後、第1移動制御部93aは、プラテン25の支持面26に支持された媒体5の吐出対応領域AR21の上方を紫外線照射装置50が通過するように、キャリッジ30を主走査方向Yに移動させる。詳しくは、第1移動制御部93aは、インクヘッド40がホームポジションHPに位置するときのキャリッジ30の位置を基準にして、キャリッジ30を主走査方向Yに往復移動させる。このとき、吐出対応部分領域AR31のうち、ホームポジションHPから最も離れた領域(図12では、吐出対応部分領域AR31の左端の領域)を紫外線照射装置50の何れか一方または両方が通過したときに折り返す。すなわち、アフタースキャンでは、キャリッジ30は、吐出対応領域AR21よりも左側の領域上には移動しないように構成されている。本実施形態では、アフタースキャンのとき、キャリッジ30は、図12の矢印A21〜A25の範囲を往復するように移動する。
照射制御部93bは、キャリッジ30が主走査方向Yに移動している間において、紫外線照射装置50が媒体5の吐出対応部分領域AR31の上を少なくとも通過したときに、紫外線照射装置50から媒体5に向かって紫外線を照射させる。このようにして、1スキャンにおけるアフタースキャンが行われる。
1スキャンのアフタースキャンが行われた後、キャリッジ30は、ホームポジションHPに位置する。ホームポジションHPにおいて、キャップ制御部94は、インクヘッド40にキャップ81を装着させるようにキャッピング機構83を制御する。その後、フラッシング制御部95は、キャップ制御部94によってインクヘッド40にキャップ81が装着されたときに、ノズル46からキャップ81内に向かってインクを吐出させることで、フラッシング動作を行う。本実施形態では、キャリッジ30が主走査方向Yに移動している間、インクヘッド40のノズル46は空気に晒された状態となるため、ノズル詰まりが発生することがあり得る。そのため、アフタースキャンのときであっても、フラッシング動作が行われる。
本実施形態では、キャリッジ30がホームポジションHPに待機している間、第2移動制御部93cは、プラテン25の支持面26に支持された媒体5を副走査方向Xの行き方向X1へ所定の距離移動させるように、媒体移動機構62を制御する。以上のように、第2移動制御部93cによって媒体5が行き方向X1に移動した後、第1移動制御部93aによって、キャリッジ30を主走査方向Yに往復移動させることで、次のスキャンにおけるアフタースキャンが行われる。本実施形態では、キャリッジ30の主走査方向Yへの往復移動、および、プラテン25に支持された媒体5の行き方向X1への移動を交互に行いながら、媒体5へのアフタースキャンが行われる。
図12において、矢印A21、A22、A23、A24、A25の順でキャリッジ30は移動して、アフタースキャンが行われる。なお、本実施形態では、アフタースキャンの各スキャンにおいて、キャリッジ30が主走査方向Yに移動する距離は、矢印A21〜A25に示すように、異なることがあり得る。アフタースキャンの各スキャンにおけるキャリッジ30が主走査方向Yに移動する距離は、吐出対応部分領域AR31の位置に応じて決定される。
以上のように、本実施形態では、図2に示すように、プラテン25は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延び、かつ、媒体5が支持される支持面26を有している。インクヘッド40は、側面視において支持面26と対向し、支持面26に向かってインクを吐出する。紫外線照射装置50は、側面視において支持面26と対向し、支持面26に向かって紫外線を照射する。図5に示すように、制御装置90は、印刷制御部92と、アフタースキャン制御部93とを備えている。印刷制御部92は、記憶部91に記憶された印刷画像P1に基づいて、支持面26に支持された媒体5の領域のうち吐出対応領域AR21(図11参照)にインクを吐出するように、移動機構60およびインクヘッド40を制御するという印刷処理を実行する。アフタースキャン制御部93は、印刷制御部92による印刷画像P1の印刷の後、支持面26に支持された媒体5の吐出対応領域AR21に紫外線を照射するように、移動機構60および紫外線照射装置50を制御するというアフタースキャン処理を実行する。
本実施形態では、媒体5に対して印刷画像P1を印刷するためにインクを吐出した後、インクが吐出された媒体5の吐出対応領域AR21に向かって紫外線が照射されるアフタースキャンが実行されている。そのため、アフタースキャンによって、媒体5に吐出されたインクを効率的に硬化させることができる。また、本実施形態では、媒体5の領域のうちインクが吐出されていない領域には、紫外線を照射しなくてもよいため、例えば図12では、吐出対応領域AR21の左側の非吐出対応領域AR22上をキャリッジ30は移動しなくてもよい。そのため、アフタースキャンにおけるキャリッジ30の移動距離を短くすることができる。
本実施形態では、図2に示すように、移動機構60は、キャリッジ移動機構61と、媒体移動機構62とを備えている。キャリッジ移動機構61は、キャリッジ30をガイドレール20に沿って主走査方向Yに移動させる。媒体移動機構62は、支持面26に支持された媒体5をキャリッジ30に対して相対的に副走査方向Xに移動させる。このことによって、キャリッジ30を主走査方向Yに移動させることで、インクヘッド40および紫外線照射装置50を一体的に主走査方向Yに移動させることができる。よって、印刷のときであっても、アフタースキャンのときであっても、キャリッジ30の移動を同じように制御すればよいため、印刷およびアフタースキャンの制御が容易となる。
本実施形態では、アフタースキャン制御部93は、第1移動制御部93aと、照射制御部93bと、第2移動制御部93c(図5参照)とを備えている。第1移動制御部93aは、支持面26に支持された媒体5の吐出対応領域AR21の上方を紫外線照射装置50が通過するように、キャリッジ30を主走査方向Yに移動させる。照射制御部93bは、第1移動制御部93aによってキャリッジ30が主走査方向Yに移動している間において、紫外線照射装置50が吐出対応領域AR21の上を少なくとも通過したときに、紫外線照射装置50から紫外線を照射させる。第2移動制御部93cは、第1移動制御部によってキャリッジ30が主走査方向Yに移動して、1スキャンの移動が終了した後、支持面26に支持された媒体5を副走査方向Xへ、所定の距離、移動させる。このように、キャリッジ30と共に紫外線照射装置50が主走査方向Yに移動する際に、紫外線照射装置50からの紫外線を媒体5に向かって照射させており、媒体5が副走査方向Xに移動しているときには、紫外線照射装置50から紫外線は発していない。よって、キャリッジ30が主走査方向Yに移動しているときのみに紫外線照射装置50を制御すればよいため、アフタースキャンの制御が容易である。
本実施形態では、アフタースキャンのとき、第1移動制御部93aは、インクヘッド40がホームポジションHPに位置するときのキャリッジ30の位置と、図12に示す吐出対応部分領域AR31のうち、ホームポジションHPから最も離れた領域の上に紫外線照射装置50の何れかが位置するときのキャリッジ30の位置との間を、ホームポジションHPを基準にキャリッジ30が往復移動するようにキャリッジ移動機構61を制御する。このことによって、図12の一例では、吐出対応領域AR21の左側の非吐出対応領域AR22にはキャリッジ30は移動しない。よって、アフタースキャンのときのキャリッジ30の移動距離を短くすることができる。したがって、アフタースキャンの処理時間を短くすることができる。
本実施形態では、キャップ制御部94は、第1移動制御部93aによって、キャリッジ30が主走査方向Yを往復移動した後、ホームポジションHPにおいて、図4に示すように、インクヘッド40のノズル面47にキャップ81を装着させる。フラッシング制御部95は、ノズル面47にキャップ81が装着されたときに、ノズル46からキャップ81に向かってインクを吐出させる。本実施形態では、アフタースキャンにおいて、紫外線照射装置50と共にインクヘッド40が主走査方向Yに移動する。そのため、アフタースキャンのとき、インクヘッド40にはキャップ81が装着されていない。そのため、アフタースキャンのときであっても、フラッシング動作を行うことで、ノズル46が吐出不良になることを抑制することができる。
本実施形態では、図5に示すように、印刷制御部92は、第1印刷移動制御部92aと、吐出制御部92bと、第2印刷移動制御部92cとを備えている。第1印刷移動制御部92aは、キャリッジ30を主走査方向Yに移動させる。吐出制御部92bは、第1印刷移動制御部92aによってキャリッジ30が主走査方向Yに移動している間において、インクヘッド40が吐出対応領域AR21の上を通過したときに、インクヘッド40からインクを吐出させる。第2印刷移動制御部92cは、第1印刷移動制御部92aによってキャリッジ30が主走査方向Yに移動して、1スキャンの移動が終了した後、支持面26に支持された媒体5を副走査方向Xへ、所定の距離、移動させる。このように、キャリッジ30と共にインクヘッド40が主走査方向Yに移動する際に、インクヘッド40からインクが吐出されており、媒体5が副走査方向Xに移動しているときには、インクヘッド40からインクが吐出されていない。よって、キャリッジ30が主走査方向Yに移動しているときのみにインクヘッド40によるインクの吐出の制御をすればよいため、印刷の制御が容易である。
本実施形態では、印刷制御部92は、第1印刷移動制御部92aによってキャリッジ30が主走査方向Yに移動している間において、紫外線照射装置50から紫外線を照射させる印刷照射制御部92dを備えている。このことによって、アフタースキャンのときと、印刷のときの両方において、媒体5に吐出されたインクに対して紫外線が照射される。よって、媒体5に吐出されたインクの乾燥をより促進させることができる。
本実施形態では、記憶部91には、ジョブデータJD1、JD2(図6および図7参照)が記憶されている。ジョブデータJD1、JD2は、印刷前またはアフタースキャン前において、印刷に関する基本設定情報を設定するコマンドであるジョブコマンドCM1を備えている。図6に示すように、ジョブコマンドCM1は、アフタースキャン処理を行うか否かを指定するアフタースキャン設定コマンドCM11を有している。制御装置90のコマンド実行部96は、ジョブコマンドCM1を順に実行する。印刷制御部92は、コマンド実行部96によってアフタースキャン設定コマンドCM11が実行されたときのアフタースキャン設定コマンドCM11が、アフタースキャン処理を行わないこと(すなわち、OFF)を指定しているときに、印刷処理を実行する。アフタースキャン制御部93は、コマンド実行部96によってアフタースキャン設定コマンドCM11が実行されたときのアフタースキャン設定コマンドCM11が、アフタースキャン処理を行うこと(すなわち、ON)を指定しているときに、アフタースキャン処理を実行する。このことによって、アフタースキャン設定コマンドCM11を実行することで、制御装置90は、このジョブがアフタースキャンを行うジョブであるか、印刷を行うジョブであるかを認識することができる。
以上、本実施形態に係るプリンタ100について説明した。上記実施形態では、キャリッジ30にインクヘッド40および紫外線照射装置50が設けられており、インクヘッド40および紫外線照射装置50は、一体的に主走査方向Yに移動可能に構成されていた。しかしながら、インクヘッド40と紫外線照射装置50とは、それぞれが独立して主走査方向Yに移動可能に構成されていてもよい。この場合、アフタースキャン処理のときに、インクヘッド40は所定の位置(例えばホームポジションHP)で待機し、紫外線照射装置50が主走査方向Yに移動するように構成されていてもよい。この場合、1スキャン終了毎に、紫外線照射装置50がホームポジションHPに戻るように構成されていなくてもよい。
上記実施形態では、媒体5に対する印刷が終了した後、プラテン25に支持された媒体5を印刷開始位置まで引き戻した後に、媒体5を行き方向X1に移動させている間に、アフタースキャン処理が行われていた。しかしながら、媒体5に対する印刷が終了した後、上記のような引き戻し処理を行わずに、媒体5を帰り方向X2に移動させている間に、キャリッジ30を主走査方向Yに移動させながら、アフタースキャン処理を行うように構成されていてもよい。この場合、図11の例では、矢印A11、A12、A13、A14、A15の順でキャリッジ30は移動して、印刷が行われる。この場合、図12の例では、矢印A25、A24、A23、A22、A21の順でキャリッジ30は移動して、アフタースキャンが行われる。
上記実施形態では、プリンタ100は、いわゆるロールtoロール型のプリンタであった。そのため、上記実施形態では、プラテン25上の媒体5がプラテン25に対して副走査方向Xに移動するように構成されていた。しかしながら、本発明は、いわゆるフラットベッド型のプリンタに適用することが可能である。この場合、媒体はフラットベッド(言い換えると、テーブル)に支持される。この場合、上記フラットベッドが副走査方向Xに移動することに伴い、上記フラットベッドに支持された媒体5は副走査方向Xに移動する。