以下、本発明に係る誘導加熱調理器を、家庭用IH(Induction Heating)式誘導加熱調理器に適用した場合の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1を含め、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、以下の説明において、図中におけるX方向を幅方向、Y方向を垂直方向、およびZ方向を奥行方向と称し、X−Z平面を水平と称するが、これらは説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。
実施の形態1.
(誘導加熱調理器の構成)
図1は、実施の形態1における誘導加熱調理器100の概略斜視図である。図1に示すように、誘導加熱調理器100は、本体1と、本体1の上面に配置されたトッププレート2とを備えている。本体1の前面には、前面操作部3が設けられている。前面操作部3は、誘導加熱調理器100の電源をON/OFFするための電源スイッチ、および火力を調節するための複数の操作ダイヤルなどを含む。
トッププレート2は、例えば、耐熱性のガラス板と、ガラス板の周囲に取り付けられた金属の枠体とにより構成される。トッププレート2の上面には、加熱領域である加熱口4が印刷等により設けられている。図1に示すように、本実施の形態では3つの加熱口4が設けられている。加熱口4は、鍋またはフライパンなどの調理容器が載置される領域を示すものである。加熱口4の下方の本体1の内部には、加熱源である加熱コイル5が設けられている。加熱口4は、加熱源である加熱コイル5の外形と同じ形状か、または、加熱コイル5の外形よりも若干大きい形状に形成される。本実施の形態では、加熱口4は上面視で円形状に形成されている。また、トッププレート2の加熱口4内には、透過窓40が設けられている。透過窓40は、非接触式温度センサ20(図2)によって、トッププレート2を透過する調理容器300(図2)の赤外線を検出するために設けられたものである。なお、加熱口4および加熱コイル5の数および形状は、図1に示す例に限定されるものではない。
トッププレート2の手前側には、操作表示部6が設けられている。本実施の形態の操作表示部6は、例えば複数の発光ダイオード(LED)を有する表示画面と、静電容量式のタッチセンサとを備える。タッチセンサは、各加熱口4に対応した加熱コイル5の火力、温度、および調理モードなどの使用者の操作入力を、トッププレート2を介して受け付ける。表示画面は、前面操作部3またはタッチセンサにより設定された火力の大きさを表す火力表示、または誘導加熱調理器100の設定状態および動作状態に関する情報などを表示する。ここで、誘導加熱調理器100の動作状態に関する情報とは、選択された調理モード、自動調理の進行状況、加熱口4に載置された調理容器の温度および警告情報の表示等が含まれる。
図2は、実施の形態1における誘導加熱調理器100の主要部の概略構成図である。図2は、トッププレート2に載置された調理容器300とともに誘導加熱調理器100の端面模式図と機能構成とを併せて示している。図2では、一つの加熱コイル5についてのみ図示しているが、他の加熱コイル5に関連する構造も図2と同様である。図2に示すように、誘導加熱調理器100の本体1の内部であって、トッププレート2の下方には加熱コイル5と、非接触式温度センサ20と、接触式温度センサ30と、温度検出部11と、制御部12と、インバータ13とが設けられている。
加熱コイル5は、コイルベース51に保持され、トッププレート2に設けられた加熱口4の下方に配置される。加熱コイル5は、例えば銅線またはアルミ線などの導線が巻回してなる円形のコイルであり、高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生する。本実施の形態では、加熱コイル5は、第1コイル5aと第2コイル5bとに分割された、二重環状のコイルである。また、第1コイル5aおよび第2コイル5bは、電気的に接続され、同一のインバータ13によって駆動される。なお、加熱コイル5の形状および駆動回路の構成は、これに限定されるものではない。例えば、加熱コイル5の形状は楕円でもよい。また、コイルの構成は、三重環状以上の環状であってもよく、または、複数のコイルが組み合わされて構成されてもよい。また、分割されるコイルは、電気的に接続されていなくてもよく、複数のインバータ13によってそれぞれ独立して駆動されてもよい。
非接触式温度センサ20は、加熱コイル5上に載置された調理容器300の底部から放射される赤外線エネルギーを検出するフォトダイオードまたはサーモパイルなどによって構成される赤外線温度センサである。非接触式温度センサ20は、トッププレート2の透過窓40の下方であって、第1コイル5aと第2コイル5bの間に配置される。非接触式温度センサ20は、センサ基板21上に実装され、センサケース22に収容される。非接触式温度センサ20の保持機構200については、後ほど詳述する。
接触式温度センサ30は、例えば熱電対またはサーミスタである。接触式温度センサ30は、トッププレート2の裏面、すなわち加熱コイル5と対向する面と接触して配置される。接触式温度センサ30は、トッププレート2の上に載置される調理容器300の温度を、トッププレート2を介して検出する。接触式温度センサ30は、第1コイル5aと第2コイル5bの間に配置される。なお、接触式温度センサ30の数および配置は限定されるものではない。例えば、接触式温度センサ30を、非接触式温度センサ20が配置される同一の開口部領域に配置し、非接触式温度センサ20が検知しているトッププレート2の温度と同一周辺環境下で検知することで、非加熱物の温度検知精度を向上させることができる。また、別の接触式温度センサ30を、加熱コイル5が最も高温になる箇所の近傍に配置することで、より精度よく過昇防止制御が可能になる。また、加熱コイル5の外周に配置することで、より精度よく鍋ずれの検知が可能になる。
温度検出部11は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、またはマイコン等の演算装置とその上で実行されるソフトウェアとで構成される。温度検出部11は、非接触式温度センサ20および接触式温度センサ30の出力値を受信し、受信した出力値に基づいて調理容器300の温度を求める。温度検出部11で求めた温度は、制御部12へ送信される。
制御部12は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、またはマイコン等の演算装置とその上で実行されるソフトウェアとで構成される。制御部12は、前面操作部3または操作表示部6に入力された設定内容に基づいて、誘導加熱調理器100の動作を制御する。また、制御部12は、使用者によって設定された調理温度と、温度検出部11によって算出された調理容器300の温度とに基づいてインバータ13を制御し、加熱制御を行う。
インバータ13は、商用電源400の交流電源を高周波電流に変換して、加熱コイル5へ供給する駆動回路である。なお、誘導加熱調理器100は、図2に示す以外の構成を含んでもよく、例えば、外部機器との通信を行う通信部などを備えてもよい。また、制御部12が温度検出部11の機能を備え、温度検出部11を省略する構成としてもよい。
(誘導加熱調理器の動作)
次に、本実施の形態の誘導加熱調理器100の動作について説明する。まず、使用者が前面操作部3の電源スイッチを投入すると、制御部12が起動される。そして、使用者によって、操作表示部6などを用いて調理温度が設定され、加熱開始が指示されると、制御部12によって、加熱コイル5が駆動される。詳しくは、使用者によって設定された温度に基づいて加熱コイル5を駆動するように、制御部12によってインバータ13が制御され、インバータ13から加熱コイル5に所定の周波数の電力が供給される。
これにより、加熱コイル5から磁束が発生し、この磁束によって調理容器300に渦電流が発生して調理容器300が加熱される。そして、調理容器300から放射される赤外線が非接触式温度センサ20によって受光され、受光量に応じた出力値が温度検出部11に出力される。また、調理容器300が加熱されることによって発生した熱量が、トッププレート2に熱伝導することで、トッププレート2が加熱される。そして、トッププレート2の下方に配置された接触式温度センサ30によって、トッププレート温度が検出され、対応する出力値が温度検出部11に出力される。
温度検出部11は、非接触式温度センサ20の出力値と接触式温度センサ30の出力値とに基づいて、調理容器300の温度を求め、制御部12に送信する。例えば、非接触式温度センサ20がサーモパイルで構成される場合、温度検出部11は、非接触式温度センサ20の出力値に対応する温度と接触式温度センサ30の出力値に対応する温度との差分を調理容器300の温度として求める。
そして、制御部12によって、温度検出部11から送信された調理容器300の温度が設定温度になるようにフィードバック制御が行われる。詳しくは、調理容器300の温度が設定温度より低い場合、加熱コイル5へ電力が供給される。そして、調理容器300の温度が設定温度に近づいた場合には、供給電力の周波数を上げて加熱コイル5への供給電力を低減する。また、調理容器300の温度が設定温度を超えた場合、制御部12によって、インバータ13が停止され、加熱コイル5への電力供給が停止される。以上の動作を加熱調理終了まで繰り返すことで、調理容器300の温度を設定温度に維持する。また、制御部12は、温度検出部11が求めた調理容器300の温度が予め設定される上限値以上の場合には、調理容器300の温度が高くなりすぎたと判断し、加熱コイル5の駆動を停止してもよい。
そして、加熱調理が終了した場合、制御部12によってインバータ13が停止され、加熱コイル5への電力供給が遮断される。このような制御により、誘導加熱調理器100において、設定温度に応じた自動加熱調理が行われる。
(非接触式温度センサの保持機構)
次に、非接触式温度センサ20の保持機構200について説明する。本実施の形態における非接触式温度センサ20の保持機構200は、コイルベース51と、センサケース22とからなる。図3は、実施の形態1における誘導加熱調理器100の加熱コイル5とコイルベース51の上面図である。コイルベース51は、例えば耐熱性能の高いポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、またはポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の合成樹脂、もしくは金属などで構成される。図3に示すように、コイルベース51は、概ね円形で第1コイル5aの巻き線の中央に嵌合する中央部51aと、中央部51aと同心上に設けられ第2コイル5bの外周を囲む外周部51bとを有する。また、コイルベース51は、中央部51aと外周部51bとを径方向に繋ぐ複数の梁部51cとを有する。本実施の形態では、8本の梁部51cが放射状に設けられている。
梁部51cの下方には、フェライトコア7が配置される。すなわち、梁部51cはフェライト保持部としても機能する。フェライトコア7は、非導電性で高透磁率を有する強磁性材料からなる部材である。フェライトコア7を設けることで、加熱コイル5の下方向への漏れ磁束が抑制され、加熱効率の向上および調理容器300の均熱化を図ることができる。フェライトコア7の形状および構成は本発明を限定しない。
また、コイルベース51は、2つの梁部51cの間にセンサ配置部51dを有する。センサ配置部51dは、複数の梁部51cのうち、隣り合う2つの梁部51cを接続するよう水平に延びる平面である。梁部51cとセンサ配置部51dは、コイルベース51に一体に形成される。なお、本明細書において「一体に形成される」とは、同一材料で射出成形等により一体成形されること、もしくは同一材料で接着または機械的接合を用いずにプレス加工等により成形されることをいう。センサ配置部51dの下方には、非接触式温度センサ20が配置される。センサ配置部51dは、非接触式温度センサ20に不要な光が入ることを防ぐ遮光部として機能する。また、センサ配置部51dは、非接触式温度センサ20の視野よりも大きい開口55を有する。開口55は、トッププレート2に形成される透過窓40の下に位置するよう形成される。
図4は、実施の形態1における非接触式温度センサ20の保持機構200を図3のA−A線で切断した断面模式図であり、図5は、実施の形態1における非接触式温度センサ20の保持機構200を図4のB−B線で切断した断面模式図である。図6は実施の形態1におけるセンサ配置部51dの裏面図であり、図7は、実施の形態1におけるセンサ配置部51dを裏面側から見た斜視図である。なお、図6では、センサ配置部51dの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21、センサケース22およびコネクタ23を破線にて示している。また、図6および図7では、センサ配置部51dの一部を矩形に切り取って拡大して示している。
図4に示すように、非接触式温度センサ20は、センサ基板21上に実装され、センサケース22に収容される。非接触式温度センサ20は、センサ配置部51dの開口55の下に配置される。センサケース22は、耐熱性能の高いポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、またはポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の樹脂もしくは金属で構成される。センサケース22は、平面視が長方形の箱形状を有しており、加熱コイル5の近傍を流れる冷却風が非接触式温度センサ20に直接当たらないように、非接触式温度センサ20の周囲を覆っている。センサケース22の内側側面と底面との角部には、突起部22aがそれぞれ形成され、センサ基板21は、突起部22aに配置される。非接触式温度センサ20は、周囲の雰囲気温度が一様となるように、センサケース22に空間距離を保ちながら保持される。突起部22aの幅は、センサ基板21の下面に構成されている回路パターンに接触しない幅であればよい。センサケース22は、コイルベース51のセンサ配置部51dにタッピングネジなどの固定手段60で固定される。
図4〜図7に示すように、センサ配置部51dの裏面には、2つのセンサ固定部521および522が一体に形成される。センサ固定部521および522は、センサ配置部51dの開口55近傍の裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びている。図4に示すように、垂直方向において、センサ基板21は、センサ固定部521および522と、センサケース22の突起部22aとによって挟み込まれて保持される。これにより、非接触式温度センサ20の垂直方向の位置が固定される。なお、センサ固定部521および522は、センサ配置部51dの裏面から垂直に延びるとしたが、厳密に垂直である必要はなく、センサ基板21の垂直方向の位置を固定できる範囲であれば、斜めに延びるものであってもよい。
センサ固定部521および522は、平板形状を有し、垂直方向の長さは、センサ配置部51dの裏面からセンサ基板21の上面までの距離と略同じとされる。これにより、センサ固定部521および522の先端の少なくとも一部は、センサ基板21の上面に接触する。一例として、センサ固定部521および522の垂直方向の長さは10mm〜20mmである。また、センサ固定部521および522の幅は、0.5mm〜2mmである。なお、センサ固定部521および522の幅は、センサ基板21の上面に構成されている回路パターンに接触しない幅であればよい。
センサ固定部521および522は、非接触式温度センサ20を挟んで、対向して配置される。また、センサ固定部521および522は、センサ基板21の対向する二辺に沿って奥行方向に延びて配置される。図4〜図7では、センサ基板21の長辺に沿ってセンサ固定部521および522が配置されているが、これに限定されるものではなく、センサ基板21の短辺に沿って配置されてもよい。
また、図5に示すように、センサ基板21には、非接触式温度センサ20と温度検出部11とを接続する配線のコネクタ23が固定される。そして、センサ配置部51dの裏面には、さらにコネクタ固定部53が形成される。コネクタ固定部53は、センサ配置部51dに一体に形成され、センサ配置部51dの裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びている。コネクタ固定部53の垂直方向の長さは、センサ配置部51dの裏面からコネクタ23の上面までの距離よりもわずかに長く、コネクタ固定部53の先端がコネクタ23に接する。すなわち、水平方向(特に奥行方向)において、センサ基板21は、コネクタ固定部53と、センサケース22の側壁とによって保持される。これにより、非接触式温度センサ20の水平方向の位置が固定される。
図5に示すように、コネクタ固定部53の先端は、コネクタ23に近い側のセンサ配置部51dからの距離が、コネクタ23から遠い側のセンサ配置部51dからの距離よりも長くなるよう傾斜している。これにより、センサ基板21をセンサケース22に挿入する際に、センサ基板21を挿入しやすくするとともに、センサ基板21がセンサケース22から離脱しにくい構成とすることができる。
以上のように、本実施の形態では、コイルベース51に一体に形成されたセンサ固定部521および522と、センサケース22とによって、センサ基板21を挟み込む構成とすることで、非接触式温度センサ20を保持している。これにより、非接触式温度センサ20の保持機構200を簡素な構成とすることができ、部品点数の削減、ならびに保持機構200の小型化および薄型化を実現することができる。また、コイルベース51のセンサ配置部51dにより、非接触式温度センサ20への上部からの冷却風の流入、トッププレート2または加熱コイル5からの輻射熱を低減することができる。また、センサ配置部51dの両側に設けられたフェライトコア7により、非接触式温度センサ20への漏れ磁束による電磁ノイズの影響を低減できる。さらに、センサ配置部51dを金属で構成した場合は、上部からの非接触式温度センサ20への漏れ磁束による電磁ノイズの影響も低減できる。すなわち、本実施の形態では、電磁ノイズの影響を抑制しつつ、保持機構200の小型化を実現できる。また、非接触式温度センサ20をトッププレート2により近づけることが可能になり、トッププレート2の下面から非接触式温度センサ20までの距離を短縮でき、誘導加熱調理器100の薄型化を実現できる。
さらに、保持機構200を簡素な構成とし、部品数が削減されることで、組立公差および取り付け公差を低減することができ、非接触式温度センサ20の検知精度の低下を抑制することができる。また、センサ固定部521および522により、コイルベース51に対する非接触式温度センサ20の位置決めを行うことができ、位置ずれにより非接触式温度センサ20の視野に部材が被ってしまう、といった不具合を抑制できる。その結果、非接触式温度センサ20の検知精度が向上する。さらに、保持機構200の簡素化により、保持機構200の組み立て時の負荷を低減でき、コスト削減および製造負荷の低減による生産性の向上も実現できる。
なお、実施の形態1における非接触式温度センサ20の保持機構は、上記構成に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、センサ固定部の数および形状は、上記に限定されるものではなく、任意に変更できる。本実施の形態における保持機構の変形例について以下に説明する。
(変形例1−1)
実施の形態1の変形例1−1における非接触式温度センサ20の保持機構200Aについて説明する。図8は、変形例1−1における非接触式温度センサ20の保持機構200Aを図4のB−B線で切断した断面模式図である。図9は、変形例1−1におけるセンサ配置部51dAの裏面図であり、図10は、変形例1−1におけるセンサ配置部51dAを裏面側から見た斜視図である。なお、図9では、センサ配置部51dAの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21、センサケース22およびコネクタ23を破線にて示している。また、図9および図10では、センサ配置部51dAの一部を矩形に切り取って拡大して示している。
図8〜図10に示すように、センサ配置部51dAの裏面に、3つのセンサ固定部52a1、52a2および52a3を備える構成としてもよい。図9に示すように、センサ固定部52a1および52a2は、実施の形態1のセンサ固定部521および522に相当し、センサ基板21の対向する二辺に沿って奥行方向に延びて配置される。
また、センサ固定部52a3は、センサ基板21のセンサ固定部52a1および52a2が配置される辺に対し垂直な辺に沿って幅に延びて配置される。すなわち、センサ固定部52a3は、コネクタ固定部53と対向して配置される。センサ固定部52a3は、センサ固定部52a1および52a2と同様に、センサ配置部51dAに一体に形成され、センサ配置部51d裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びる。また、センサ固定部52a3は、平板形状を有し、垂直方向の長さは、センサ固定部52a1および52a2と略同じである。本変形例では、垂直方向において、センサ基板21は、センサ固定部52a1、52a2および52a3と、センサケース22の突起部22aとによって挟み込まれて保持される。これにより、非接触式温度センサ20の垂直方向の位置が固定される。
本変形例のような構成とすることで、センサ基板21を3つのセンサ固定部52a1、52a2および52a3により3箇所で保持することができ、2箇所で保持する場合に比べ、非接触式温度センサ20をコイルベース51に取付ける際の安定性が向上する。これにより、組み立て時の負荷をさらに低減できる。
(変形例1−2)
実施の形態1の変形例1−2における非接触式温度センサ20の保持機構200Bについて説明する。図11は変形例1−2におけるセンサ配置部51dBの裏面図であり、図12は、変形例1−2におけるセンサ配置部51dBを裏面側から見た斜視図である。なお、図11では、センサ配置部51dBの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21、センサケース22およびコネクタ23を破線にて示している。また、図11および図12では、センサ配置部51dBの一部を矩形に切り取って拡大して示している。
図11および図12に示すように、センサ配置部51dBの裏面に、4つのセンサ固定部52b1、52b2、52b3および52b4を備える構成としてもよい。センサ固定部52b1、52b2、52b3および52b4は、センサ配置部51dBに一体に形成され、センサ配置部51dBの開口55近傍の裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びる。
センサ固定部52b1、52b2、52b3および52b4は、直方体形状を有し、垂直方向の長さは、センサ配置部51dBの裏面からセンサ基板21の上面までの距離と略同じとされる。4つのセンサ固定部52b1、52b2、52b3および52b4は、センサ基板21の4つの角部にそれぞれ対応する位置に配置される。本変形例では、垂直方向において、センサ基板21は、センサ固定部52b1、52b2、52b3および52b4と、センサケース22の突起部22aとによって挟み込まれて保持される。これにより、非接触式温度センサ20の垂直方向の位置が固定される。
本変形例のような構成とすることで、センサ基板21を4つのセンサ固定部52b1、52b2、52b3および52b4で保持することができ、非接触式温度センサ20をコイルベース51に取付ける際の安定性が向上する。これにより、組み立て時の負荷をさらに低減できる。また各センサ固定部52b1、52b2、52b3および52b4を小型化することができるため、コイルベース51の材料を削減できる。
(変形例1−3)
実施の形態1の変形例1−3における非接触式温度センサ20の保持機構200Cについて説明する。図13は変形例1−3におけるセンサ配置部51dCの裏面図であり、図14は、変形例1−3におけるセンサ配置部51dCを上面側から見た斜視図である。なお、図13では、センサ配置部51dCの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21、センサケース22およびコネクタ23を破線にて示している。また、図13および図14では、センサ配置部51dCの一部を矩形に切り取って拡大して示している。
図13および図14に示すように、センサ配置部51dの裏面に、4つのセンサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4を備える構成としてもよい。センサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4は、センサ配置部51dCに一体に形成され、センサ配置部51dCの開口55近傍の裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びる。
センサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4は、水平方向の断面がL字型である点で、変形例1−2におけるセンサ固定部52b1、52b2、52b3および52b4と相違する。センサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4の垂直方向の長さは、センサ配置部51dCの裏面からセンサ基板21の上面までの距離と略同じとされる。4つのセンサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4は、センサ基板21の4つの角部と、L字型断面の角部とが一致するようにそれぞれ位置に配置される。本変形例では、垂直方向において、センサ基板21は、センサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4と、センサケース22の突起部22aとによって挟み込まれて保持される。これにより、非接触式温度センサ20の垂直方向の位置が固定される。
本変形例のような構成とすることで、センサ基板21を4つのセンサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4で保持することができ、非接触式温度センサ20をコイルベース51に取付ける際の安定性が向上する。これにより、組み立て時の負荷をさらに低減できる。また、センサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4のセンサ基板21と接触する面の端面形状をセンサ基板21の角部に沿った形状とすることで、センサ基板21上の回路パターン面積を増やすことができる。また、非接触式温度センサ20と、センサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4との距離が離れることで、センサ固定部52c1、52c2、52c3および52c4が加熱された場合の輻射熱の影響を抑制することができる。
(変形例1−4)
実施の形態1の変形例1−4における非接触式温度センサ20の保持機構200Dについて説明する。図15は変形例1−4におけるセンサ配置部51dDの裏面図であり、図16は、変形例1−4におけるセンサ配置部51dDを上面側から見た斜視図である。なお、図15では、センサ配置部51dDの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21、センサケース22およびコネクタ23を破線にて示している。また、図15および図16では、センサ配置部51dDの一部を矩形に切り取って拡大して示している。
図15および図16に示すように、センサ配置部51dDの裏面に、1つのセンサ固定部52dを備える構成としてもよい。センサ固定部52dは、センサ配置部51dDに一体に形成され、センサ配置部51dDの開口55近傍の裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びる。
センサ固定部52dの垂直方向の長さは、センサ配置部51dDの裏面からセンサ基板21の上面までの距離と略同じとされる。図15に示すように、センサ固定部52dは、水平方向の断面形状がU字型であり、センサ基板21の三辺に連続して沿うように配置される。すなわち、センサ固定部52dは、非接触式温度センサ20の三方を囲むよう配置される。本変形例では、垂直方向において、センサ基板21は、センサ固定部52dと、センサケース22の突起部22aとによって挟み込まれて保持される。これにより、非接触式温度センサ20の垂直方向の位置が固定される。
本変形例のような構成とすることで、非接触式温度センサ20をコイルベース51に取付ける際の安定性が向上し、組み立て時の負荷をさらに低減できる。また、センサ固定部52dにより、非接触式温度センサ20の三方を囲むことで、断熱効果が向上する。なお、別の変形例として、1つのセンサ固定部52dを矩形の枠状とし、非接触式温度センサ20の四方を囲むよう配置してもよい。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、センサ固定部に切欠きを設ける点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図17は、実施の形態2における非接触式温度センサ20の保持機構200Eを図3のA−A線に相当する位置で切断した断面模式図である。図18は、実施の形態2における非接触式温度センサ20の保持機構200Eを図17のB−B線で切断した断面模式図である。図19は実施の形態2におけるセンサ配置部51dEの裏面図であり、図20は、実施の形態2におけるセンサ配置部51dEを上面側から見た斜視図である。なお、図19では、センサ配置部51dEの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21、センサケース22およびコネクタ23を破線にて示している。また、図19および図20では、センサ配置部51dEの一部を矩形に切り取って拡大して示している。
図17に示すように、本実施の形態の非接触式温度センサ20は、実施の形態1と同様に、センサ基板21上に配置され、センサケース22に収容される。センサ基板21は、センサケース22に形成された突起部22aに配置され、センサケース22は、コイルベース51のセンサ配置部51dにタッピングネジなどの固定手段60で固定される。
図17〜図20に示すように、センサ配置部51dEの裏面には、2つのセンサ固定部52e1および52e2が形成される。センサ固定部52e1および52e2は、センサ配置部51dEに一体に形成され、センサ配置部51dEの開口55近傍の裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びている。センサ固定部52e1および52e2は、平板形状を有し、垂直方向の長さは、センサ配置部51dEの裏面からセンサ基板21の上面までの距離と略同じとされる。センサ固定部52e1および52e2は、非接触式温度センサ20を挟んで、対向して配置される。
また、図17、図19および図20に示すように、センサ固定部52e1および52e2の先端には、切欠き56が形成される。切欠き56は、センサ固定部52e1および52e2の奥行方向に延びて形成される。切欠き56の垂直方向の高さは、センサ基板21の厚みと略同じである。本実施の形態のセンサ基板21は、センサ固定部52e1および52e2の切欠き56に嵌め込まれた状態で、センサ固定部52e1および52e2とセンサケース22の突起部22aとによって挟み込まれて保持される。これにより、非接触式温度センサ20の垂直方向の位置が固定される。
以上のように、本実施の形態のような構成とすることで、センサ基板21を安定してコイルベース51に固定できる。また、センサ基板21をコイルベース51に取り付ける際、コイルベース51を反転させて、センサ基板21を切欠き56に嵌め込んだ後に、センサケース22を上方から配置できる。そして、コイルベース51に取り付けたセンサケース22を上方から固定手段60で固定できる。これにより、取付け時の作業負荷をさらに低減することができ、製造性をより向上させることができる。
なお、実施の形態2における非接触式温度センサ20の保持機構は、上記構成に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、センサ固定部の数および形状は、上記に限定されるものではなく、任意に変更できる。本実施の形態における保持機構の変形例について以下に説明する。
(変形例2−1)
実施の形態2の変形例2−1における非接触式温度センサ20の保持機構200Fについて説明する。図21は変形例2−1におけるセンサ配置部51dFの裏面図であり、図22は、変形例2−1におけるセンサ配置部51dFを上面側から見た斜視図である。なお、図21では、センサ配置部51dFの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21、センサケース22およびコネクタ23を破線にて示している。また、図21および図22では、センサ配置部51dFの一部を矩形に切り取って拡大して示している。
図21および図22に示すように、センサ配置部51dFの裏面に、4つのセンサ固定部52f1、52f2、52f3および52f4を備える構成としてもよい。センサ固定部52f1、52f2、52f3および52f4は、センサ配置部51dFに一体に形成され、センサ配置部51dFの開口55近傍の裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びている。センサ固定部521および522は、直方体形状を有し、垂直方向の長さは、センサ配置部51dFの裏面からセンサ基板21の上面までの距離と略同じとされる。
また、センサ固定部52f1、52f2、52f3および52f4の先端には、直方体形状の切欠き57が形成される。センサ固定部52f1、52f2、52f3および52f4は、センサ基板21の角部にそれぞれ対応する位置に配置される。このとき、4つの切欠き57は、互いに対向するように配置される。切欠き57の垂直方向の高さは、センサ基板21の厚みと略同じである。センサ基板21は、角部がセンサ固定部52f1、52f2、52f3および52f4の切欠き57に嵌め込まれた状態で、センサ固定部52f1、52f2、52f3および52f4とセンサケース22の突起部22aとによって挟み込まれて保持される。これにより、非接触式温度センサ20の垂直方向の位置が固定される。
本変形例のような構成とすることで、非接触式温度センサ20の水平方向(奥行方向と幅方向)の位置を固定できる。これにより、非接触式温度センサ20の位置ずれを低減でき、検知精度が向上する。また、本変形例の場合は、水平方向において、センサ基板21は、センサ固定部52f3および52f4と、センサケース22の側壁とで挟まれた状態で保持され、水平方向の位置が固定される。そのため、本変形例においては、コネクタ固定部53を省略することができる。
また、センサ固定部52f1、52f2、52f3および52f4の形状および数は、任意に選択できる。例えば、センサ固定部52f1、52f2、52f3および52f4のうちの少なくとも2つを備え、センサ基板21の少なくとも対角に配置されればよい。具体的には、対角に配置される2つのセンサ固定部52f1および52f4、またはセンサ固定部52f2および52f3の何れかのみを備える構成としてもよい。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、センサ固定部にてセンサ基板21を保持する点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図23は、実施の形態3における非接触式温度センサ20の保持機構200Gを図3のA−A線に相当する位置で切断した断面模式図である。図24は、実施の形態3における非接触式温度センサ20の保持機構200Gを図23のB−B線で切断した断面模式図である。図25は実施の形態3におけるセンサ配置部51dGの裏面図であり、図26は、実施の形態3におけるセンサ配置部51dGを上面側から見た斜視図である。なお、図25では、センサ配置部51dGの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21およびコネクタ23を破線にて示している。また、図23および図24では、センサ配置部51dGの一部を矩形に切り取って拡大して示している。
図23に示すように、本実施の形態の非接触式温度センサ20は、センサ基板21上に配置され、センサ基板21は、センサ固定部52g1、52g2および52g3に取り付けられる。すなわち、本実施の形態の保持機構200Gは、コイルベース51に取り付けられる点において、実施の形態1と相違する。
図23〜図26に示すように、センサ配置部51dGの裏面には、3つのセンサ固定部52g1、52g2および52g3が形成される。センサ固定部52g1、52g2および52g3は、センサ配置部51dGに一体に形成され、センサ配置部51dGの開口55近傍の裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びている。センサ固定部52g1、52g2および52g3は、平板形状を有し、垂直方向の長さは、センサ配置部51dEの裏面からセンサ基板21の上面までの距離よりも長くなっている。
センサ固定部52g1および52g2は、非接触式温度センサ20を挟んで、対向して配置される。また、センサ固定部52g1および52g2は、センサ基板21の対向する二辺に沿って奥行方向に延びて配置される。センサ固定部52g3は、センサ基板21のセンサ固定部52g1および52g2が配置される辺に対し垂直な辺に沿って幅方向に延びて配置される。すなわち、センサ固定部52g3は、コネクタ固定部53と対向して配置される。
また、センサ固定部52g1、52g2および52g3の先端よりも上方には、溝58がそれぞれ形成される。センサ配置部51dGの裏面から溝58までの距離は、センサ配置部51dGの裏面からセンサ基板21の上面までの距離と略同じである。溝58は、センサ固定部52g1、52g2および52g3の奥行方向に延びて形成される。溝58の垂直方向の高さは、センサ基板21の厚みと略同じである。本実施の形態のセンサ基板21は、センサ固定部52g1、52g2および52g3の溝58に嵌め込まれた状態で保持される。これにより、非接触式温度センサ20の垂直方向の位置が固定される。また、水平方向(特に奥行方向)において、センサ基板21は、センサ固定部52g3と、コネクタ固定部53とで挟まれた状態で保持される。これにより、非接触式温度センサ20の水平方向の位置が固定される。また、センサ固定部52g1、52g2および52g3により非接触式温度センサ20の周囲を覆うことで、防風機能を持たせることができる。
以上のように、本実施の形態のような構成とすることで、センサ固定部52g1、52g2および52g3のみで、センサ基板21を保持することができ、センサケース22が不要となる。これにより、保持機構200Gを一層簡素な構成とすることができ、部品点数の削減および保持機構200Gの小型化および薄型化を実現することができる。さらに、保持機構200Gの組み立て時の負荷をより低減することができる。
(変形例3−1)
実施の形態3における非接触式温度センサ20の保持機構は、上記構成に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。実施の形態3の変形例3−1における非接触式温度センサ20の保持機構200Hについて説明する。図27は、変形例3−1における非接触式温度センサ20の保持機構200Hを図3のA−A線で切断した断面模式図である。
図27に示すように、センサ固定部52g1、52g2および52g3の外側に、アルミ等の金属で構成されるセンサケース22Aを備えてもよい。本変形例では、センサ基板21の上面と下面が、センサ固定部52g1、52g2および52g3で保持されているため、センサ基板21と金属製のセンサケース22Aとが接触することがなく、絶縁性を保つことができる。そのため、絶縁部材が不要となり、簡素な構造で防磁を実現することができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4では、防磁手段70を備える点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図28は、実施の形態4における非接触式温度センサ20の保持機構200Jを図3のA−A線で切断した断面模式図であり、図29は実施の形態4におけるセンサ配置部51dJの裏面図である。なお、図29では、センサ配置部51dJの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21、センサケース22Bおよびコネクタ23を破線にて示している。また、図29では、センサ配置部51dJの一部を矩形に切り取って拡大して示している。
図28に示すように、本実施の形態の非接触式温度センサ20は、実施の形態3と同様に、センサ基板21上に配置され、センサ基板21は、センサ固定部52j1および52j2に取り付けられる。図28および図29に示すように、センサ固定部52j1および52j2は、センサ配置部51dJの裏面に一体に形成されるものである。センサ固定部52j1および52j2は、実施の形態3のセンサ固定部52g1および52g2と同じ構成を有する。
また、センサ固定部52j1および52j2の外側には、アルミ等の金属で構成されるセンサケース22Bが取り付けられる。そして、センサケース22Bの上部には、防磁手段70が配置される。防磁手段70は、前記加熱コイル5からの電磁ノイズの影響を低減するものであり、例えばアルミの平板である。図29に示すように、防磁手段70は、センサ固定部52j1および52j2の間に配置され、センサケース22Bとともに、コイルベース51にタッピングネジなどの固定手段71で固定される。また、防磁手段70は開口75を有し、センサ配置部51dJの開口55と、開口75とが一致するように配置される。また、防磁手段70の位置決めを行うために、センサ配置部51dGの裏面に突起などを設けてもよい。
以上のように、本実施の形態のような構成とすることで、簡素な構造で、最も影響が大きい非接触式温度センサ20の上方からの漏れ磁束による電磁ノイズの影響をさらに抑制することができる。なお、実施の形態4における防磁手段の構成は、上記構成に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。本実施の形態における変形例について以下に説明する。
(変形例4−1)
実施の形態4の変形例4−1における非接触式温度センサ20の保持機構200Kについて説明する。図30は、変形例4−1における非接触式温度センサ20の保持機構200Kを図3のA−A線に相当する位置で切断した断面模式図であり、図31は変形例4−1におけるセンサ配置部51dKの裏面図である。なお、図31では、センサ配置部51dKの下方に配置される非接触式温度センサ20、センサ基板21、センサケース22Bおよびコネクタ23を破線にて示している。また、図31では、センサ配置部51dJの一部を矩形に切り取って拡大して示している。図32は、変形例4−1における防磁手段70Aの取り付け方法を説明する図である。
図30〜図32に示すように、防磁手段70Aをセンサ固定部52k1および52k2の上に配置してもよい。詳しくは、本実施の形態の非接触式温度センサ20は、実施の形態4と同様に、センサ基板21上に配置され、コイルベース51に取り付けられる。また、センサ配置部51dKの裏面には、2つのセンサ固定部52k1および52k2が形成される。センサ固定部52k1および52k2は、センサ配置部51dKに一体に形成され、センサ配置部51dKの開口55近傍の裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21に向かって垂直に延びている。センサ固定部52k1および52k2は、平板形状を有し、垂直方向の長さは、センサ配置部51dKの裏面からセンサ基板21の上面までの距離よりも長くなっている。センサ固定部52k1および52k2は、非接触式温度センサ20を挟んで、センサ基板21の対向する二辺に沿って配置される。
また、センサ固定部52k1および52k2の先端よりも上方には、溝58が形成される。溝58の大きさおよび位置は、実施の形態3と同じである。本実施の形態のセンサ基板21は、センサ固定部52k1および52k2の溝58に嵌め込まれた状態で保持される。また、図32に示すように、センサ固定部52k1および52k2のセンサ配置部51dKとの接続部には、開口59が形成される。開口59の奥行方向の幅は、防磁手段70Aの奥行方向の幅と略同じとされる。
図30および図31に示すように、センサ固定部52k1および52k2の外側には、アルミ等の金属で構成されるセンサケース22Cが取り付けられる。センサケース22Cの上部には、防磁手段70Aが配置される。図32に示すように、本変形例の防磁手段70Aは、センサ固定部52k1および52k2に形成される開口59に挿入され、センサケース22Cとともに、コイルベース51にタッピングネジなどの固定手段60で固定される。また、防磁手段70Aは開口75を有し、センサ配置部51dKの開口55と、開口75とが一致するように配置される。
本変形例のような構成とすることで、簡素な構造で、非接触式温度センサ20の上面をより広く防磁することができる。
(変形例4−2)
実施の形態4の変形例4−2における非接触式温度センサ20の保持機構200Mについて説明する。図33は、変形例4−2における非接触式温度センサ20の保持機構200Mを図3のA−A線に相当する位置で切断した断面模式図である。また、図34は変形例4−2におけるセンサ配置部51dMの上面図であり、図35は、変形例4−2における防磁手段70Bの取り付け方法を説明する図である。
図33〜図35に示すように、防磁手段70Bをセンサ配置部51dMの上方に配置してもよい。詳しくは、本実施の形態の非接触式温度センサ20は、実施の形態4と同様に、センサ基板21上に配置され、コイルベース51に取り付けられる。また、センサ配置部51dMの裏面には、2つのセンサ固定部52m1および52m2が形成される。センサ固定部52m1および52m2は、実施の形態4のセンサ固定部52j1および52j2と同じ構成を有する。センサ基板21は、センサ固定部52m1および52m2の溝58に嵌め込まれた状態で保持される。また、センサ固定部52m1および52m2の外側には、変形例4−1と同じアルミ等の金属で構成されるセンサケース22Cが取り付けられる。
また、図34および図35に示すように、センサ配置部51dMと梁部51cとを接続する側壁510には、開口511が形成される。そして、防磁手段70Bは、側壁510の開口511に挿入され、センサケース22Cを固定する固定手段60によって、センサ配置部51dMに固定される。また、防磁手段70Bは開口75を有し、センサ配置部51dKの開口55と、開口75とが一致するように配置される。
本変形例のような構成とすることで、変形例4−1に比べ、センサ固定部52m1および52m2の大型化を招くことなく、簡素な構造で、非接触式温度センサ20上面をより広く防磁できる。また、センサ固定部52m1および52m2とセンサ配置部51dMとの接続部に開口59を設ける必要がないことから、コイルベース51の信頼性が向上する。
以上が本発明の実施の形態の説明であるが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、上記の実施の形態および変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。例えば、非接触式温度センサ20、センサ基板21およびセンサケース22が、センサ配置部51dの上方に配置されるものとし、センサ固定部521および522を、センサ配置部51dの上面から上方に垂直に延びるよう形成してもよい。
また、本発明の保持機構は、非接触式温度センサ20以外のセンサにおいても適用可能である。例えば、開口55の上方に配置される接触式温度センサ30、または開口55の下方に配置される放射率測定装置(受光素子、発光素子、受発光素子、等)に本発明の保持機構を適用してもよい。
さらに、センサケース22の形状は、上記実施の形態および変形例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。図36は、変形例5における非接触式温度センサ20の保持機構200Nを図3のA−A線に相当する位置で切断した断面模式図である。図36に示すように、センサケース22の突起部22a上部の側壁をセンサ基板21の外側に拡大することで、センサ固定部521および521とセンサケース22との間に隙間を形成することができる。これにより、非接触式温度センサ20において、急激な温度変動への耐性を得ることができる。
さらに、図37は、変形例6における非接触式温度センサ20の保持機構200Pをセンサ配置部51dPの裏面側から見た斜視図である。図37に示すように、センサ基板21Aには、2つの矩形の開口210が設けられる。また、センサ配置部51dPの裏面には、2つのセンサ固定部52p1および52p2が形成される。センサ固定部52p1および52p2は、センサ配置部51dPに一体に形成され、センサ配置部51dPの開口55近傍の裏面から非接触式温度センサ20のセンサ基板21Aに向かって垂直に延びている。そして、センサ固定部52p1および52p2の先端には、センサ基板21A側に突出する直方体形状の突起部520Aが形成される。
本変形例では、センサ基板21Aの開口210に、センサ固定部52p1および52p2の突起部520Aが挿入されることで、センサ基板21Aが保持される。これにより、センサ基板21Aの水平方向および垂直方向の位置を固定することができる。
また、上記実施の形態では、コイルベース51の梁部51cにフェライトコア7を配置する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、梁部51cに加え、コイルベース51の外周部51bにもフェライトコア7を配置し、非接触式温度センサ20の周囲をフェライトコア7で囲む構成としてもよい。この場合は、外周部51bもフェライト保持部となり、センサ配置部51dは、略三角形に配置された3つのフェライト保持部の間に設けられる。