JP2020119630A - 電極触媒層、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池 - Google Patents

電極触媒層、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】稼働効率を高めることを可能とした電極触媒層、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池を提供する。【解決手段】電極触媒層12は固体高分子形燃料電池において固体高分子電解質膜に接合する電極触媒層12であって、触媒物質と、触媒物質を担持する導電性担体と、高分子電解質と、繊維状物質と、を含む。電極触媒層12は、電極触媒層の厚さ方向において互いに対向する第1面S1および第2面S2と、第1面S1から第2面S2まで延びる複数の流路と、を含む。各流路の長さLを電極触媒層12の厚さLsによって除算した値が曲路率であり、階級の幅を0.1に設定した曲路率のヒストグラムにおいて、最頻値が1.8以上2.8以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、電極触媒層、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池に関する。
燃料電池は、水素と酸素との化学反応から電流を生成する。燃料電池は、従来の発電方式と比べて高効率、低環境負荷、かつ、低騒音であって、クリーンなエネルギー源として注目されている。特に、室温付近での使用が可能な固体高分子形燃料電池は、車載用電源や家庭用定置電源などへの適用が有望視されている。
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、燃料極(アノード)と空気極(カソード)とによって高分子電解質膜を挟んだ構造を有する。アノードおよびカソードの各々は、電極触媒層とガス拡散層とが積層された構造を有する。固体高分子形燃料電池は、燃料極に水素を含む燃料ガスが供給され、かつ、空気極に酸素を含む酸化剤ガスが供給されることによって、以下に記載する電気化学反応により発電する。なお、以下に記載する反応式のうち、式(1)が燃料極での反応を示す式であり、式(2)が空気極での反応を示す式である。
→ 2H + 2e … 式(1)
1/2O + 2H + 2e → HO … 式(2)
アノード側電極触媒層は、アノード側電極触媒層に供給された燃料ガスからプロトンと電子とを生成する反応を促す(式(1))。プロトンは、アノード側電極触媒層内の高分子電解質、および、高分子電解質膜を通ってカソードに移動する。電子は、外部回路を通ってカソードに移動する。カソード側電極触媒層において、プロトン、電子、および、酸化剤ガスが反応して水を生成する(式(2))。
固体高分子形燃料電池の発電性能を高める上で、燃料ガスおよび酸化剤ガスなどのガスの拡散性を高めることが重要である。ガス拡散性を高める技術として、平均粒径が互いに異なる2種のカーボン粒子を用いて電極触媒層を形成すること(例えば、特許文献1を参照)や、触媒を担持する担体として繊維状カーボンを用いることが提案されている(例えば、特許文献2)。
特許第3617237号公報 特許第4037814号公報
ところで、固体高分子形燃料電池では、稼働効率を高める上で、固体高分子形燃料電池の出力が、所定の出力に達するまでに必要な時間を短くすることが望まれている。
本発明は、稼働効率を高めることを可能とした電極触媒層、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための電極触媒層は、固体高分子形燃料電池において固体高分子電解質膜に接合する電極触媒層であって、触媒物質と、前記触媒物質を担持する導電性担体と、高分子電解質と、繊維状物質と、を含む。前記電極触媒層は、前記電極触媒層の厚さ方向において互いに対向する第1面および第2面と、前記第1面から前記第2面まで延びる複数の流路と、を含み、各流路は、前記第1面に一方の開口を有し、かつ、前記第2面に他方の開口を有し、各流路の長さを前記電極触媒層の厚さによって除算した値が曲路率であり、階級の幅を0.1に設定した前記曲路率のヒストグラムにおいて、最頻値が1.8以上2.8以下である。
上記課題を解決するための膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、上記電極触媒層と、を備え、前記電極触媒層は、前記固体高分子電解質膜において対向する2つの面の少なくとも一方に接合されている。
上記課題を解決するための固体高分子形燃料電池は、上記膜電極接合体を備える。
上記各構成によれば、曲路率のヒストグラムにおける最頻値が1.8以上であるため、電極触媒層内に含まれる反応点の数が少ないために、固体高分子形燃料電池を稼働した初期において、固体高分子形燃料電池の出力が上がりにくいことが抑えられる。また、曲路率のヒストグラムにおける最頻値が2.8以下であることによって、電極触媒層が含む流路の長さが長すぎることによって、固体高分子形燃料電池を稼働した初期において、電極触媒層におけるガスの拡散と排水とが生じにくくなることが抑えられる。結果として、電極触媒層を備える固体高分子形燃料電池において稼働効率を高めることができる。
上記電極触媒層において、前記最頻値における頻度が30%以上であってもよい。上記構成によれば、最頻値における頻度が30%よりも小さい場合に比べて、最頻値に近い値の曲路率を有した流路の割合が多くなる。そのため、最頻値に対して極端に低い曲路率の流路、および、最頻値に対して極端に高い曲路率の流路の割合が小さくなる。言い換えれば、ガス拡散性や排水性が高い一方で、反応点の数が少なすぎる流路や、反応点の数が多い一方で、ガス拡散製や排水性が低すぎる流路を電極触媒層が含みにくい。結果として、電極触媒層を備える固体高分子形燃料電池の発電性能を高めることが可能である。
上記電極触媒層において、前記最頻値における頻度が60%以下であってもよい。上記構成によれば、最頻値における頻度が60%よりも大きい場合に比べて、複数の流路において、曲路率の値が最頻値に偏ることが抑えられる。これにより、電極触媒層が、相対的に短く、かつ、排水性およびガス拡散性の高い流路と、相対的に長く、かつ、反応点が多い流路との両方を含むことができる。結果として、電極触媒層を備える固体高分子形燃料電池の発電性能を高めることが可能である。
上記電極触媒層において、前記最頻値が、中央値よりも大きくてもよい。上記構成によれば、全流路において、最頻値よりも低い曲路率を有した流路の割合が、最頻値以上の曲路率を有した流路の割合よりも大きい。これにより、電極触媒層は、相対的に短い流路を多く含むため、結果として、電極触媒層におけるガス拡散性および排水性が高まる。
本発明によれば、稼働効率を高めることができる。
一実施形態における膜電極接合体の構造を示す断面図。 図1に示す膜電極接合体が備える電極触媒層の構造を模式的に示す模式図。 図2が示す電極触媒層が含む流路を模式的に示す模式図。 曲路率のヒストグラムにおける一例を示す図。 図1が示す膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池の構造を示す分解斜視図。
図1から図5を参照して、電極触媒層、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池の一実施形態を説明する。以下では、膜電極接合体の構造、電極触媒層の構造、流路の曲路率、固体高分子形燃料電池を形成する単セルの構造、電極触媒層の形成材料、膜電極接合体の製造方法、および、実施例を順に説明する。
[膜電極接合体の構造]
図1を参照して、膜電極接合体の構造を説明する。図1は、膜電極接合体の厚さ方向に沿う断面構造を示している。
図1が示すように、膜電極接合体10は、高分子電解質膜11と、カソード側電極触媒層12Cと、アノード側電極触媒層12Aとを備えている。高分子電解質膜11は、固体状の高分子電解質膜である。高分子電解質膜11において対向する一対の面において、一方の面にカソード側電極触媒層12Cが接合し、他方の面にアノード側電極触媒層12Aが接合している。カソード側電極触媒層12Cは空気極(カソード)を構成する電極触媒層であり、アノード側電極触媒層12Aは燃料極(アノード)を構成する電極触媒層である。カソード側電極触媒層12Cの外周部およびアノード側電極触媒層12Aの外周部は、ガスケットなどによって封止されてもよい。
[電極触媒層の構造]
図2を参照して、電極触媒層の構成をより詳しく説明する。なお、以下に説明する電極触媒層は、カソード側電極触媒層12Cおよびアノード側電極触媒層12Aの両方に適用される。しかしながら、以下に説明する電極触媒層は、カソード側電極触媒層12Cおよびアノード側電極触媒層12Aのいずれか一方のみに適用されてもよい。
図2が示すように、電極触媒層12は、触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、および、繊維状物質24を含んでいる。触媒物質21は、導電性担体22に担持されている。触媒担体は、導電性担体22と、導電性担体に担持された触媒物質21とから形成される。電極触媒層12のなかで、触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、および、繊維状物質24が存在しない部分が空孔25である。上述した電極触媒層12が含む各物質の種類や混合比、および、調液方法や塗工方法などによって、電極触媒層12が有する空孔25の数、分布、および、大きさなどが変わる。電極触媒層12が有する空孔25は、電極触媒層12に供給されるガスの流路、および、電極触媒層12において生成される水の流路として機能する。
図3は、電極触媒層12が含む複数の流路を模式的に示している。
図3が示すように、電極触媒層12は、電極触媒層12の厚さ方向において互いに対向する一対の面を含む。電極触媒層12において、高分子電解質膜11に接する面が第1面S1であり、第1面S1とは反対側の面が第2面S2である。上述したように、電極触媒層12は、触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、および、繊維状物質24が存在しない部分である空孔25を複数有する。電極触媒層12内において、互いに隣り合う複数の空孔25が連続することによって流路12Fが形成される。
電極触媒層12は、第2面S2から第1面S1まで延びる複数の流路12Fを含む。各流路12Fは、第1面S1に一方の開口を有し、かつ、第2面S2に他方の開口を有する。第2面S2に位置する開口が流路12Fの始点Sであり、第1面S1に位置する開口が流路12Fの終点Gである。なお、第1面S1に一方の開口を有した複数の流路12Fには、第2面S2に到るまでに複数本に分岐した流路12Fが含まれる。こうした流路12Fは、3つ以上の開口を有する。また、複数の流路12Fには、第1面S1に1つの開口を有し、かつ、第2面S2に1つの開口を有した流路12Fも含まれる。そのため、各流路12Fにおける開口数は、2以上である。なお、第1面S1から第2面S2まで延びる途中で分岐した流路12Fは、分岐数に応じた複数の流路12Fとして取り扱われる。図3では、電極触媒層12内が含む流路12Fの一例を矢印で示している。1つの流路12Fにおいて、一方の開口から他方の開口までに沿う道のりが流路12Fの全長Lである。
電極触媒層12は単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。電極触媒層12が多層構造を有する場合には、電極触媒層12同士の界面抵抗による発電性能の低下を抑えるため、電極触媒層12が四層以下の層数を有することが好ましい。また、各層の厚みは全て同じであってもよいし、各層の厚みが互いに異なっていてもよい。電極触媒層12が多層構造を有する場合には、各層における触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、および、繊維状物質24は、それぞれ互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。電極触媒層12が多層構造を有する場合には、層間の界面は平坦であってもよいし、曲面を含んでいてもよい。
1つの電極触媒層12における厚さの平均値は、0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、0.5μm以上50μm以下であることがより好ましく、1μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。
[流路の曲路率]
3次元計測走査型電子顕微鏡(3D‐SEM)を用いることにより、電極触媒層12が有する三次元構造を分析することが可能である。三次元構造から空孔25を抽出することによって、電極触媒層12内における流路12Fの全長Lを算出することが可能である。
曲路率を算出する際には、まず、3D‐SEMを用いて電極触媒層12をスキャンし、これによって、電極触媒層12の3次元画像である電極触媒層12のボクセル(voxel)データを得る。電極触媒層12のボクセルデータは、電極触媒層12が含む空孔25のボクセルデータを含む。次いで、空孔25のボクセルデータにおいて、ボクセルデータにおける外表面に対応するデータから順に1ボクセルずつ閉環状に削ることを、1次元骨格が得られるまで繰り返す。これによって、電極触媒層12内において空孔25の繋がりによって形成された流路12Fの全長Lを算出することができる。
固体高分子形燃料電池におけるガス拡散層と高分子電解質膜11との間の距離、すなわち、電極触媒層12の厚さをLsとするときに、流路12Fの全長Lを電極触媒層12の厚さLsによって除算した値が、曲路率(L/Ls)である。なお、曲路率の算出において、第1面S1と第2面S2とを繋いでいない流路12Fは除外される。
曲路率は、各流路12Fの全長Lを高分子電解質膜11の厚さLsによって規格化した値である。そのため、各流路12Fの全長Lが高分子電解質膜11の厚さLsよりも大きくなるほど、曲路率の値と1との差は大きくなる。一方で、流路12Fの全長Lと高分子電解質膜11の厚さLsとの差が小さいほど、曲路率は1に近づく。
すなわち、曲路率が1に近づくほど、流路12Fは略直線状を有する一方で、曲路率が1から離れるほど、流路12Fは複雑に屈曲した形状を有する。それゆえに、曲路率が1に近いほど、曲路率がより大きい場合に比べて、当該曲路率を有した流路12Fにおけるガス拡散性および排水性が高い。これに対して、曲路率が1から離れるほど、曲路率がより小さい場合に比べて、当該曲路率を有した流路12Fにおけるガス拡散性および排水性が低い。このように、曲路率は、各流路12Fにおけるガス拡散性および排水性の指標である。
また、曲路率は、各流路12Fにおける反応点の数を示す指標でもある。上述したように、曲路率が1から離れるほど、流路12Fは複雑に屈曲した形状を有することから、電気化学反応が生じる反応点の数が多くなる傾向を有する。これに対して、曲路率が1に近づくほど、流路12Fは略直線状を有することから、反応点の数が少なくなる傾向を有する。このように、電極触媒層12において、曲路率が1以上である場合には、ガス拡散性および排水性と反応点とは、トレードオフの関係を有する。
図4は、曲路率のヒストグラムにおける一例を示している。
図4が示すように、ヒストグラム41は、最頻値42、および、中央値43を有する。最頻値は、曲路率のなかで最も頻度が高い値である。中央値43は、曲路率を小さい順に並べた場合に、中央に位置する値である。
なお、本実施形態では、曲路率の最大値から最小値を減算した幅に対して、ヒストグラム41に設定された階級の幅が大幅に小さいため、各階級における頻度を示す複数の点を結んだ近似曲線をヒストグラムとして示している。ヒストグラム41は、単峰性であってもよいし、多峰性であってもよい。単峰性とは、ヒストグラムが極大値を1つのみ有することを示す。多峰性とは、ヒストグラム41が複数の極大値を持つことを示す。曲路率のヒストグラム41は正規分布曲線であってもよいし、非正規分布曲線であってもよい。また、ヒストグラム41は、図4が示すような曲線に限らず、散布図および柱状図であってもよい。
電極触媒層12における曲路率は、以下の条件1を満たす。
(条件1)階級の幅を0.1に設定した曲路率のヒストグラム41において、最頻値42が1.8以上2.8以下である。
条件1を満たす電極触媒層12によれば、最頻値42が1.8以上であるため、電極触媒層12内に含まれる反応点の数が少ないために、固体高分子形燃料電池30を稼働した初期において、固体高分子形燃料電池30の出力が上がりにくいことが抑えられる。また、最頻値42が2.8以下であるため、電極触媒層12が含む流路の長さが長すぎることによって、固体高分子形燃料電池30を稼働した初期において、電極触媒層12におけるガスの拡散と排水とが生じにくくなることが抑えられる。なお、曲路率が2.8を超える電極触媒層12を製造することは困難である。
電極触媒層12における曲路率は、上述した条件1とともに、以下の条件2から条件4の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
(条件2)最頻値42における頻度が30%以上である。
(条件3)最頻値42における頻度が60%以下である。
(条件4)最頻値42が中央値43よりも大きい。
条件2を満たす電極触媒層12によれば、最頻値42が30%よりも小さい場合に比べて、最頻値42に近い値の曲路率を有した流路12Fの割合が多くなる。そのため、最頻値42に対して極端に低い曲路率を有する流路12F、および、最頻値42に対して極端に高い曲路率を有する流路12Fの割合が小さくなる。言い換えれば、ガス拡散性や排水性が高い一方で、反応点の数が少なすぎる流路や、反応点の数が多い一方で、ガス拡散製や排水性が低すぎる流路を電極触媒層12が含みにくい。それゆえに、電極触媒層12を備える固体高分子形燃料電池30の発電性能を高めることが可能となる。
条件3を満たす電極触媒層12によれば、最頻値42が60%よりも大きい場合に比べて、複数の流路12Fにおいて、曲路率の値が最頻値42に偏ることが抑えられる。これにより、電極触媒層12が、相対的に短く、かつ、排水性およびガス拡散性の高い流路12Fと、相対的に長く、かつ、反応点が多い流路12Fとの両方を含むことができる。結果として、電極触媒層12を備える固体高分子形燃料電池30の発電性能を高めることが可能となる。
条件4を満たす電極触媒層12によれば、全流路12Fにおいて、最頻値42よりも低い曲路率を有した流路12Fの割合が、最頻値42以上の曲路率を有した流路12Fの割合よりも大きくなる。これによって、電極触媒層12は、相対的に短い流路12Fを多く含むため、電極触媒層12におけるガス拡散性および排水性が高まる。
[固体高分子形燃料電池の構造]
図5を参照して、膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池の構造を説明する。以下に説明する構造は、固体高分子形燃料電池の一例における構造である。また、図5は、固体高分子形燃料電池が備える単セルの構造を示している。固体高分子形燃料電池は、複数の単セルを備え、かつ、複数の単セルが互いに積層された構造でもよい。
図5が示すように、固体高分子形燃料電池30は、膜電極接合体10、一対のガス拡散層、および、一対のセパレーターを備えている。一対のガス拡散層は、カソード側ガス拡散層31Cおよびアノード側ガス拡散層31Aである。一対のセパレーターは、カソード側セパレーター32Cおよびアノード側セパレーター32Aである。
カソード側ガス拡散層31Cは、カソード側電極触媒層12Cに接している。カソード側電極触媒層12Cとカソード側ガス拡散層31Cとが、空気極(カソード)30Cを形成している。アノード側ガス拡散層31Aは、アノード側電極触媒層12Aに接している。アノード側電極触媒層12Aとアノード側ガス拡散層31Aとが、燃料極(アノード)30Aを形成している。
高分子電解質膜11において、カソード側電極触媒層12Cが接合された面がカソード面であり、アノード側電極触媒層12Aが接合された面がアノード面である。カソード面のなかで、カソード側電極触媒層12Cによって覆われていない部分が外周部である。外周部には、カソード側ガスケット13Cが位置している。アノード面のなかで、アノード側電極触媒層12Aによって覆われていない部分が外周部である。外周部には、アノード側ガスケット13Aが位置している。カソード側ガスケット13Cおよびアノード側ガスケット13Aによって、各面の外周部からガスが漏れることが抑えられる。
カソード側セパレーター32Cとアノード側セパレーター32Aとは、固体高分子形燃料電池30の厚さ方向において、膜電極接合体10、および、2つのガス拡散層31C,31Aから構成される多層体を挟んでいる。カソード側セパレーター32Cは、カソード側ガス拡散層31Cに対向している。アノード側セパレーター32Aは、アノード側ガス拡散層31Aに対向している。
カソード側セパレーター32Cにおいて対向する一対の面は、それぞれ複数の溝を有している。一対の面のなかで、カソード側ガス拡散層31Cと対向する対向面が有する溝は、ガス流路32Cgである。一対の面のなかで、対向面とは反対側の面が有する溝は、冷却水流路32Cwである。アノード側セパレーター32Aにおいて対向する一対の面は、それぞれ複数の溝を有している。一対の面のなかで、アノード側ガス拡散層31Aと対向する対向面が有する溝は、ガス流路32Agである。一対の面のなかで、対向面とは反対側の面が有する溝は、冷却水流路32Awである。各セパレーター32C,32Aは、導電性を有し、かつ、ガスに対する透過性が低い材料によって形成されている。
固体高分子形燃料電池30では、カソード側セパレーター32Cのガス流路32Cgを通じて空気極30Cに酸化剤ガスが供給される。アノード側セパレーター32Aのガス流路32Agを通じて燃料極30Aに燃料ガスが供給される。これにより、固体高分子形燃料電池30が発電する。なお、酸化剤ガスには、例えば空気および酸素ガスなどを用いることができる。燃料ガスには、例えば水素ガスを用いることができる。
[電極触媒層の形成材料]
以下、電極触媒層12の形成材料をより詳しく説明する。
触媒物質21には、白金族の金属、および、白金族以外の金属を用いることができる。白金族の金属には、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、および、オスミウムを用いることができる。白金族以外の金属には、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、および、アルミニウムなどを用いることができる。触媒物質21には、これらの金属の合金、酸化物、および、複酸化物などを用いることもできる。触媒物質21には、白金または白金合金を用いることが好ましい。
触媒物質21は、粒子状である。触媒物質21の粒径は、0.5nm以上20nm以下であることが好ましく、1nm以上5nm以下であることがより好ましい。触媒物質21の粒径が0.5nm以上であることによって、触媒物質21の安定性が向上する。触媒物質21の粒径が20nm以下であることによって、触媒物質21の活性が低下することが抑えられる。
導電性担体22には、例えば炭素粒子を用いることができる。炭素粒子は、微粒子状であり、かつ、導電性を有し、かつ、触媒物質21に侵食されない粒子であればよい。炭素粒子には、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、および、フラーレンを用いることができる。カーボンブラックには、アセチレンブラック、ファーネスブラック、および、ケッチェンブラックなどを挙げることができる。
炭素粒子の粒径は、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、10nm以上100nm以下であることがより好ましい。炭素粒子の粒径が10nm以上であることによって、電子の伝導パスが形成されやすくなる。炭素粒子の粒径が1000nm以下であることによって、電極触媒層12が厚くなることに起因して電極触媒層12の抵抗が増加すること、ひいては、発電性能が低下することが抑えられる。表面積が大きい炭素粒子を導電性担体22として用いることによって、導電性担体22が触媒物質21を高い密度で担持でき、これによって、触媒担体における触媒活性を向上させることができる。なお、導電性担体22は、炭素粒子以外の担体であってもよい。
高分子電解質23には、プロトン伝導性を有する高分子の電解質を用いることができる。電極触媒層12と高分子電解質膜11との密着性を高める上では、高分子電解質23は、高分子電解質膜11と同じ電解質、あるいは、類似の電解質であることが好ましい。高分子電解質23には、例えば、フッ素系樹脂および炭化水素系樹脂を用いることができる。フッ素樹脂には、例えば、Nafion(登録商標)(デュポン社製)などを用いることができる。炭化水素系樹脂には、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、および、スルホン化ポリフェニレンなどを用いることができる。
1つの高分子電解質膜11における厚さの平均値は、1μm以上500μm以下であることが好ましく、3μm以上200μm以下であることがより好ましく、5μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
繊維状物質24には、電子伝導性繊維およびプロトン伝導性繊維を用いることができる。電子伝導性繊維には、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、および、導電性高分子ナノファイバーなどを用いることができる。導電性や分散性の観点から、カーボンナノファイバー、または、カーボンナノチューブを繊維状物質24として用いることが好ましい。
プロトン伝導性繊維は、プロトン伝導性を有する高分子電解質を繊維状に加工した繊維であればよい。プロトン伝導性繊維を形成するための材料には、フッ素系高分子電解質、および、炭化水素系高分子電解質などを用いることができる。フッ素系高分子電解質には、例えば、デュポン社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、および、ゴア社製のGore−Select(登録商標)などを用いることができる。炭化水素系高分子電解質には、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、および、スルホン化ポリフェニレンなどの電解質を用いることができる。
繊維状物質24には、上述した繊維のうちの一種のみが用いられてもよいし、二種以上が用いられてもよい。繊維状物質24として、電子伝導性繊維とプロトン伝導性繊維との両方が用いられてもよい。
繊維状物質24の太さは、0.5nm以上500nm以下であることが好ましく、5nm以上400nm以下であることがより好ましく、10nm以上300nm以下であることがさらに好ましい。繊維状物質24の太さが0.5nm以上500nm以下であることによって、電極触媒層12内の空孔25の数を増加させることができ、固体高分子形燃料電池30の出力を高めることが可能である。
繊維状物質24の長さは、0.1μm以上200μm以下であることが好ましく、0.5μm以上100μm以下であることがより好ましく、1μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。繊維状物質24の長さが0.1μm以上200μm以下であることによって、電極触媒層12の強度を高めることができ、これによって、電極触媒層12の形成時においてクラックが生じることが抑制される。
電極触媒層12が繊維状物質24を含むことによって、電極触媒層12が繊維状物質24を含まない場合に比べて、電極触媒層12内に空孔25が生じやすくなり、かつ、電極触媒層12内に形成される流路12Fの長さが長くなる。詳細には、流路12Fの曲路率が1以上になりやすくなる。これにより、流路12Fの曲路率が1よりも小さい場合に比べて、電極触媒層12における排水性およびガス拡散性を高め、かつ、反応点の数を増やすことができる。
低湿度下において固体高分子形燃料電池30を運転させた場合には、アノード側電極触媒層12Aの乾燥であるドライアウトによって、固体高分子形燃料電池30の発電性能が低下しやすい。そのため、カソード側電極触媒層12Cに供給するガス中の水分を増やすことで、高湿度下において固体高分子形燃料電池30を運転させることによって、固体高分子形燃料電池30の発電性能を向上させることはできる。しかしながら、高湿度下において固体高分子形燃料電池30を運転させた場合には、電極触媒層12におけるフラッディングが誘発されるため、電極触媒層12の排水性を向上させることが必要である。この点、電極触媒層12が繊維状物質24を含むことによって、上述したように、電極触媒層12が多数の空孔25を有し、かつ、電極触媒層12内を貫通する、すなわち曲路率が1以上である長い流路12Fを有することが可能である。それゆえに、電極触媒層12の排水性が高まり、結果として、フラッディングに起因して固体高分子形燃料電池30の発電性能が低下することが抑えられる。
なお、繊維状物質24を含まない電極触媒層12であっても、例えば電極触媒層12における高分子電解質23の比率を小さくするなどの方法によって、電極触媒層12が含む空孔25を増やすことが可能ではある。ただし、こうした方法によれば、電極触媒層12にクラックが生じやすくなるため、電極触媒層12の形成が難しくなる。
[膜電極接合体の製造方法]
膜電極接合体10を製造する際には、転写用基材に電極触媒層12を形成し、熱圧着によって高分子電解質膜11に電極触媒層12を接合する、あるいは、ガス拡散層31A,31Cに電極触媒層12を形成し、その後、熱圧着によって高分子電解質膜11に電極触媒層12を接合する。またあるいは、高分子電解質膜11に対して直に電極触媒層12を形成する。
電極触媒層12を形成する際には、まず、電極触媒層12を形成するための触媒層用スラリーを準備する。次いで、触媒層用スラリーを基材などに塗工し、その後、触媒層用スラリーを乾燥することによって、電極触媒層12を形成することができる。触媒層用スラリーは、触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、繊維状物質24、および、溶媒を含む。
溶媒には、例えば、高分子電解質23を分散することが可能な液体、または、高分子電解質23を溶解することが可能な液体を用いることが好ましい。溶媒は、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、スルホキシド類、および、アミド類などを用いることができる。アルコール類は、メタノール、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、3‐ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどであってよい。ケトン類は、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、および、ジイソブチルケトンなどであってよい。エーテル類は、ジオキサン、および、テトラヒドロフランなどであってよい。スルホキシド類は、ジメチルスルホキシドなどであってよい。アミド類は、ジメチルホルムアミド、および、ジメチルアセトアミドなどであってよい。触媒層スラリーの溶媒には、上述した溶媒を単独で用いてもよいし、複数の溶媒を組み合わせて用いてもよい。
触媒用スラリーの溶媒は、加熱によって除去しやすい溶媒が好ましい。そのため、溶媒の沸点は、150℃以下であることが好ましい。触媒層用スラリーにおける溶質の濃度は、例えば、1重量%以上80重量%以下であることが好ましく、5重量%以上60重量%以下がより好ましく、10重量%以上40重量%以下がさらに好ましい。なお、触媒層用スラリーの溶質は、触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、および、繊維状物質24である。
触媒層用スラリーを作成する際には、触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、および、繊維状物質24を溶媒に混合し、その後、混合物に分散処理を施す。分散処理には、例えば、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、剪断ミル、湿式ミル、超音波分散機、および、ホモジナイザーなどを用いることができる。
触媒層用スラリーの塗工には、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スプレー、および、スピナーなどを用いることができる。
触媒層用スラリーを乾燥する方法は、温風乾燥、および、IR乾燥などであってよい。乾燥温度は、40℃以上200℃以下であることが好ましく、40℃以上120℃以下であることがより好ましい。乾燥時間は、0.5分以上1時間以下であることが好ましく、1分以上30分以下であることがより好ましい。触媒層用スラリーを乾燥する方法には、1つの方法のみを用いてもよいし、複数の方法を用いてもよい。すなわち、触媒層用スラリーを乾燥する際には、温風乾燥およびIR乾燥のいずれか一方のみを用いてもよいし、両方を用いてもよい。
転写用基材を用いる場合には、転写用基材の上に触媒層用スラリーを塗布した後に乾燥することによって、電極触媒層付き基材を作成する。その後、例えば、電極触媒層付き基材における電極触媒層12の表面と、高分子電解質膜11とを接触させた状態で、加熱および加圧を行うことによって、電極触媒層12と高分子電解質膜11とを接合させる。高分子電解質膜11の両面に電極触媒層12を接合することによって、膜電極接合体10を製造することができる。
転写用基材は、少なくとも片面に触媒層用スラリーを塗布すること、加熱によって触媒層用スラリーを乾燥させることが可能であること、および、電極触媒層12を高分子電解質膜11に転写することが可能であることを満たす基材であればよい。転写用基材は、例えば、高分子フィルム、および、耐熱性を有したフッ素樹脂フィルムを含んでよい。高分子フィルムを形成する高分子は、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート、および、ポリパルバン酸アラミドなどであってよい。フッ素樹脂フィルムを形成する樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体、および、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などであってよい。
転写用基材は、上述した高分子フィルムまたはフッ素樹脂フィルムの表面に離型処理を施した基材、あるいは、上述したフィルムと離型層とが、共押出などによって一体に成形された基材であってよい。
転写用基材は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。転写用基材が多層構造を有する場合には、最表面に位置する層が開口部を有していてもよい。開口部は、断裁や打ち抜きなどによって層の一部を取り除いた箇所である。また、触媒層用スラリーが乾燥した電極触媒層12が、開口部に応じた形状を有してもよい。
高分子電解質膜11に対して直に電極触媒層12を形成する場合には、例えば、高分子電解質膜11の表面に触媒用スラリーを塗布した後、触媒用スラリーから溶媒を除去することによって電極触媒層12を形成する。高分子電解質膜11に対して直に電極触媒層12を形成する方法は、高分子電解質膜11と電極触媒層12との密着性が高く、かつ、電極触媒層12が熱圧着に起因して潰れるおそれがない点で好ましい。
固体高分子形燃料電池30がガスケット13A,13Cを備える場合には、高分子電解質膜11のなかで、電極触媒層12によって覆われていない部分にガスケット13A,13Cを配置する。ガスケット13A,13Cは、少なくとも片面に粘着材を塗布することもしくは貼り合わせること、および、高分子電解質膜11に貼り合わせができることを満たせばよい。ガスケット13A,13Cの形成材料には、上述した転写用基材の形成材料を用いることが可能である。1つのガスケット13A,13Cにおける厚さの平均値は、1μm以上500μm以下であることが好ましく、3μm以上200μm以下であることがより好ましく、5μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
[実施例]
表1、および、表2を参照して、膜電極接合体の実施例および比較例を説明する。
[実施例1]
白金担持カーボン触媒(TEC10E50E、田中貴金属工業(株)製)、水、1‐プロパノール、高分子電解質(ナフィオン(登録商標)分散液、和光純薬工業(株)製)、および、気相成長繊維状物質(VGCF(登録商標)、昭和電工(株)製)を混合した。混合物に対して3mmのボール径を有した遊星型ボールミルを用いて30分間にわたって分散処理を行った。これにより、触媒層用スラリーを調製した。この際に、触媒層用スラリーにおける固形分比率を10質量%に設定した。また、水とプロパノールとの質量比を1:1に設定した。また、遊星型ボールミルの回転速度を600/rpmに設定した。
触媒用スラリーを高分子電解質膜(ナフィオン(登録商標)211、Dupont社製)の両面にスリットダイコーターを用いて塗布した。次いで、触媒層用スラリーを80℃の温風オーブンに配置し、触媒層用スラリーがタックを有しなくなるまで触媒層用スラリーを乾燥させた。これにより、実施例1の膜電極接合体を得た。
[実施例2]
実施例1において、遊星型ボールミルの回転速度を高くした以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例2の膜電極接合体を得た。
[実施例3]
実施例2において、分散処理を行う時間を長くした以外は、実施例2と同様の方法によって、実施例3の膜電極接合体を得た。
[実施例4]
実施例1において、遊星型ボールミルの回転速度を低くした以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例4の膜電極接合体を得た。
[比較例1]
実施例1において、気相成長繊維状物質を加えない以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例1の膜電極接合体を得た。
[評価方法]
[曲路率の算出]
実施例1から4、および、比較例1の膜電極接合体が備えるカソード側電極触媒層の構造を3D‐SEMを用いて解析した。各カソード側電極触媒層において、3.9μm×3.9μm×4.4μmの体積を有した算出領域を設定し、算出領域における曲路率を算出した。曲路率を算出する際には、50000本の流路の長さを測定した。そして、階級の幅を0.1に設定して、各カソード側電極触媒層について曲路率のヒストグラムを作成した。
[コンディショニングに要する時間の測定]
各膜電極接合体の両面にガス拡散層としてカーボンクロスを配置し、これらを一対のセパレーターで挟持することによって、評価用の固体高分子形燃料電池を得た。そして、燃料電池測定装置(APMT−02、(株)東陽テクニカ製)を用いて固体高分子形燃料電池のコンディショニングを行うことによって、電流密度が1000mA/cmであり、かつ、電圧変化率ΔVが2mV/h以上(ΔV≦2mV/h)に到達するまでの時間を測定した。この際、燃料ガスとして純水素ガスを用い、酸化剤ガスとして空気を用いた。また、固体高分子形燃料電池内の温度を80℃に設定し、アノードの相対湿度(RH)を88%に設定し、カソードの相対湿度を42%に設定した。
[発電性能の測定]
各膜電極接合体の両面にガス拡散層としてカーボンクロスを配置し、これらを一対のセパレーターで挟持することによって、評価用の固体高分子形燃料電池を得た。そして、燃料電池測定装置(APMT−02、(株)東陽テクニカ製)を用いて、各固体高分子形燃料電池のI‐V特性を測定した。この際に、燃料ガスとして純水素ガスを用い、酸化剤ガスとして空気を用い、かつ、参照電極に可逆水素電極(RHE)を用いた。そして、電流密度が0.8A/cmであるときの出力電圧を測定した。また、固体高分子型燃料電池内の温度を80℃に設定し、相対湿度を30%に設定した。
[評価結果]
各カソード側電極触媒層の曲路率についてヒストグラムを作成したところ、各カソード側電極触媒層の曲路率における最頻値、最頻値における頻度、および、中央値は、以下の表1に示す通りであった。
表1が示すように、実施例1の最頻値は2.2であり、実施例2の最頻値は2.7であり、実施例3の最頻値は1.9であり、実施例4の最頻値は2.7であることが認められた。また、比較例1の最頻値は1.6であることが認められた。実施例1の最頻値における頻度は41%であり、実施例2の最頻値における頻度は32%であり、実施例3の最頻値における頻度は55%であり、実施例4の最頻値における頻度は26%であることが認められた。また、比較例1の最頻値における頻度は63%であることが認められた。実施例1の中央値は1.9であり、実施例2の中央値は2.1であり、実施例3の中央値は1.8であり、実施例4の中央値は2.9であることが認められた。比較例1の中央値は1.5であることが認められた。
実施例1から4、および、比較例1の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池にいて、コンディショニングに要する時間、すなわち、電流密度が1000mA/cmであり、かつ、電圧変化率ΔVが2mV/h以上に到達する時間は、以下の表2に示す通りであった。また、各カソード側電極触媒層の発電性能を、比較例1の膜電極接合体における発電性能によって規格化した規格値を算出した。発電性能の規格値は、以下の表2に示す通りであった。
表2が示すように、実施例1の到達時間は5時間であり、実施例2の到達時間は6時間であり、実施例3の到達時間は3.5時間であり、実施例4の到達時間は5時間であることが認められた。また、比較例1の到達時間は12時間であることが認められた。実施例1の発電性能は1.05であり、実施例2の発電性能は1.08であり、実施例3の発電性能は1.01であり、実施例4の発電性能は0.95であることが認められた。比較例1における発電性能は1.00であることが認められた。
このように、実施例1から4、および、比較例1によれば、最頻値が1.6よりも大きく、また、少なくとも1.9以上である場合には、コンディショニングに要する時間を短くすることが可能であることが認められた。そして、最頻値の頻度が26%よりも大きく、また、少なくとも32%以上である場合には、発電性能が高められることが認められた。さらには、最頻値の頻度が63%よりも小さく、また、少なくとも55%以下である場合にも、発電性能が高められることが認められた。加えて、中央値が最頻値よりも小さく、また、最頻値と中央値との差が大きいほど、発電性能が高められることが認められた。
以上説明したように、電極触媒層、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)曲路率のヒストグラムにおける最頻値が1.8以上であるため、電極触媒層内に含まれる反応点の数が少ないために、固体高分子形燃料電池を稼働した初期において、固体高分子形燃料電池の出力が上がりにくいことが抑えられる。曲路率のヒストグラムにおける最頻値が2.8以下であるため、電極触媒層が含む流路12Fの長さが長すぎることによって、固体高分子形燃料電池を稼働した初期において、電極触媒層におけるガスの拡散と排水とが生じにくくなることが抑えられる。これにより、電極触媒層を備える固体高分子形燃料電池の稼働効率を高めることができる。
(2)最頻値における頻度が30%以上であれば、30%よりも小さい場合に比べて、最頻値42に近い値の曲路率を有した流路12Fの割合が多くなる。そのため、最頻値42に対して極端に低い曲路率を有した流路12F、および、最頻値42に対して極端に高い曲路率を有した流路12Fの割合が小さくなる。言い換えれば、ガス拡散性や排水性が高い一方で、反応点の数が少なすぎる流路12Fや、反応点の数が多い一方で、ガス拡散製や排水性が低すぎる流路12Fを電極触媒層12が含みにくい。結果として、電極触媒層を備える固体高分子形燃料電池の発電性能を高めることができる。
(3)最頻値における頻度が60%以下であれば、最頻値42における頻度が60%よりも大きい場合に比べて、複数の流路12Fにおいて、曲路率の値が最頻値42に偏ることが抑えられる。これにより、電極触媒層12が、相対的に短く、かつ、排水性およびガス拡散性の高い流路12Fと、相対的に長く、かつ、反応点が多い流路12Fとの両方を含むことができる。
(4)全流路12Fにおいて、最頻値42よりも低い曲路率を有した流路12Fの割合が、最頻値42以上の曲路率を有した流路12Fの割合よりも大きいことにより、電極触媒層12は、相対的に短い流路12Fを多く含む。そのため、結果として、電極触媒層12におけるガス拡散性および排水性が高まる。
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[曲路率]
・電極触媒層12の曲路率は、条件2から条件4の少なくとも1つを満たさなくてもよい。この場合であっても、電極触媒層12の曲路率が条件1を満たす以上は、上述した(1)に準じた効果を得ることができる。
10…膜電極接合体、11…高分子電解質膜、12…電極触媒層、12A…アノード側電極触媒層、12C…カソード側電極触媒層、12F…流路、13A…アノード側ガスケット、13C…カソード側ガスケット、21…触媒物質、22…導電性担体、23…高分子電解質、24…繊維状物質、25…空孔、30…固体高分子形燃料電池、30A…燃料極、30C…酸素極、31A…アノード側ガス拡散層、31C…カソード側ガス拡散層、32A…アノード側セパレーター、32Ag,32Cg…ガス流路、32Aw,32Cw…冷却水流路、32C…カソード側セパレーター、41…ヒストグラム、42…最頻値、43…中央値、S1…第1面、S2…第2面。

Claims (6)

  1. 固体高分子形燃料電池において固体高分子電解質膜に接合する電極触媒層であって、
    触媒物質と、
    前記触媒物質を担持する導電性担体と、
    高分子電解質と、
    繊維状物質と、を含み、
    前記電極触媒層は、前記電極触媒層の厚さ方向において互いに対向する第1面および第2面と、前記第1面から前記第2面まで延びる複数の流路と、を含み、
    各流路の長さを前記電極触媒層の厚さによって除算した値が曲路率であり、
    階級の幅を0.1に設定した前記曲路率のヒストグラムにおいて、最頻値が1.8以上2.8以下である
    電極触媒層。
  2. 前記最頻値における頻度が30%以上である
    請求項1に記載の電極触媒層。
  3. 前記最頻値における頻度が60%以下である
    請求項1または2に記載の電極触媒層。
  4. 前記最頻値が、中央値よりも大きい
    請求項1から3のいずれか一項に記載の電極触媒層。
  5. 固体高分子電解質膜と、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の電極触媒層と、を備え、
    前記電極触媒層は、前記固体高分子電解質膜において対向する2つの面の少なくとも一方に接合されている
    膜電極接合体。
  6. 請求項5に記載の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池。
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