〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法について図1から図6を用いて説明する。まず、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システムの概略構成について図1から図5を用いて説明する。
図1は、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム(以下、可撓性基板の伸縮制御システムを「伸縮制御システム」と略記する場合がある)100を模式的に示す図である。可撓性基板の伸縮制御システム100は、可撓性基板に電子デバイスを製造する電子デバイス製造装置2と、電子デバイス製造装置2に搬送される可撓性基板の伸縮を制御する基板伸縮制御装置1とを有している。なお、本実施形態における電子デバイス製造装置2は、ロールツーロール方式を採用した製造装置である。また、本実施形態における電子デバイスは、所定パターンの電極層、所定パターンの絶縁層、所定パターンの半導体層などを複数積層して形成される電子デバイスである。このような電子デバイスとして、例えばロジック回路の半導体装置、センサ回路の半導体装置、記憶装置あるいは表示装置などが挙げられる。
図1に示すように、本実施形態における電子デバイス製造装置2は、長尺形状及び可撓性を備える可撓性基板(以下、可撓性基板を「フィルム基板」と称する)8を繰り出す繰出ロール20と、搬送されるフィルム基板8を巻き取る巻取ロール21とを有している。電子デバイス製造装置2は、ロールツーロール方式でフィルム基板8を繰出ロール20から巻取ロール21に向かって搬送する。繰出ロール20と巻取ロール21との間の基板搬送経路には、フィルム基板8上に第1層目の第1パターンを形成する第1パターン形成部22と、第1パターンが形成されたフィルム基板8上に第2層目の第2パターンを形成する第2パターン形成部23と、第1及び第2パターンが形成されたフィルム基板8上に第3層目の第3パターンを形成する第3パターン形成部24とが設けられている。第1パターン形成部22、第2パターン形成部23及び第3パターン形成部24は、この順に繰出ロール20側から配置されている。本実施形態における電子デバイス製造装置2は、第1から第3パターン形成部22,23,24の3つのパターン形成部を有しているが、パターン形成部の配置数はこれに限られない。電子デバイス製造装置2は、フィルム基板8上に形成する積層数分だけパターン形成部を有することができる。
第1パターン形成部22は、例えばインプリント法やダイレクトグラビア法によりフィルム基板8上に所定パターンを形成するようになっている。第1パターン形成部22は、互いに対向配置された一対の駆動ロール22a及び駆動ロール22bを有している。駆動ロール22a及び駆動ロール22bはそれぞれ、円筒形状を有している。駆動ロール22a及び駆動ロール22bはそれぞれ、円筒の中心軸を回転軸として所定箇所で回転するようになっている。駆動ロール22aと駆動ロール22bとは、反対方向に回転している。駆動ロール22a及び駆動ロール22bは、繰出ロール20側から第2パターン形成部23側に向かってフィルム基板8を搬送する方向に回転している。駆動ロール22aと駆動ロール22bとの間に挟まれたフィルム基板8は、繰出ロール20側から巻取ロール21側に向かって連続的に搬送される。フィルム基板8が駆動ロール22aに接触しながら駆動ロール22aと駆動ロール22bとの間を通過することにより、駆動ロール22a上に形成されたパターンを反転させたパターンが第1パターンとしてフィルム基板8上に形成される。詳細は後述するが、フィルム基板8上に第1パターンを形成する際に、フィルム基板8の伸縮制御に用いるモアレマークやバーニヤパターンもフィルム基板8上に形成される。
第2パターン形成部23は、例えばインプリント法やダイレクトグラビア法によりフィルム基板8上に所定パターンを形成するようになっている。第2パターン形成部23は、互いに対向配置された一対の駆動ロール23a及び駆動ロール23bを有している。駆動ロール23a及び駆動ロール23bはそれぞれ、円筒形状を有している。駆動ロール23a及び駆動ロール23bはそれぞれ、円筒の中心軸を回転軸として所定箇所で回転するようになっている。駆動ロール23aと駆動ロール23bとは、反対方向に回転している。駆動ロール23a及び駆動ロール23bは、第1パターン形成部22側から第3パターン形成部24側に向かってフィルム基板8を搬送する方向に回転している。駆動ロール23aと駆動ロール23bとの間に挟まれたフィルム基板8は、繰出ロール20側から巻取ロール21側に向かって連続的に搬送される。フィルム基板8が駆動ロール23aに接触しながら駆動ロール23aと駆動ロール23bとの間を通過することにより、駆動ロール23a上に形成されたパターンを反転させたパターンが第2パターンとしてフィルム基板8上に形成される。詳細は後述するが、フィルム基板8上に第2パターンを形成する際に、フィルム基板8の伸縮制御に用いるモアレマークやバーニヤパターンもフィルム基板8上に形成される。
第3パターン形成部24は、例えばインプリント法やダイレクトグラビア法によりフィルム基板8上に所定パターンを形成するようになっている。第3パターン形成部24は、互いに対向配置された一対の駆動ロール24a駆動ロール24bを有している。駆動ロール24a及び駆動ロール24bはそれぞれ、円筒形状を有している。駆動ロール24a及び駆動ロール24bはそれぞれ、円筒の中心軸を回転軸として所定箇所で回転するようになっている。駆動ロール24aと駆動ロール24bとは、反対方向に回転している。駆動ロール24a及び駆動ロール24bは、第2パターン形成部23側から巻取ロール21側に向かってフィルム基板8を搬送する方向に回転している。駆動ロール24aと駆動ロール24bとの間に挟まれたフィルム基板8は、繰出ロール20側から巻取ロール21側に向かって連続的に搬送される。フィルム基板8が駆動ロール24aに接触しながら駆動ロール24aと駆動ロール24bとの間を通過することにより、駆動ロール24a上に形成されたパターンを反転させたパターンが第3パターンとしてフィルム基板8上に形成される。詳細は後述するが、フィルム基板8上に第3パターンを形成する際に、フィルム基板8の伸縮制御に用いるモアレマークやバーニヤパターンもフィルム基板8上に形成される。
繰出ロール20と第1パターン形成部22との間の基板搬送経路には、第1パターン形成部22に搬送されるフィルム基板8の伸縮を調整する第1の基板伸縮調整部25が配置されている。第1パターン形成部22と第2パターン形成部23との間の基板搬送経路には、第2パターン形成部23に搬送されるフィルム基板8の伸縮を調整する第2の基板伸縮調整部26が配置されている。第2パターン形成部23と第3パターン形成部24との間の基板搬送経路には、第3パターン形成部24に搬送されるフィルム基板8の伸縮を調整する第3の基板伸縮調整部27が配置されている。電子デバイス製造装置2は、基板伸縮調整部を例えばパターン形成部と同じ数だけ有する。
第1の基板伸縮調整部25は、フィルム基板8の伸縮を調整する伸縮調整ロール25aと、繰出ロール20側から連続的に送出されるフィルム基板8を伸縮調整ロール25aに案内する搬入側案内ロール25bと、伸縮調整ロール25aから連続的に送出されるフィルム基板8を第1パターン形成部22に案内する搬出側案内ロール25cとを有している。伸縮調整ロール25a、搬入側案内ロール25b及び搬出側案内ロール25cはそれぞれ、円筒形状を有している。伸縮調整ロール25a、搬入側案内ロール25b及び搬出側案内ロール25cはそれぞれ、円筒の中心軸を回転軸として所定箇所で回転するようになっている。伸縮調整ロール25aと、搬入側案内ロール25b及び搬出側案内ロール25cとは反対方向に回転している。搬入側案内ロール25bと搬出側案内ロール25cとは同一方向に回転している。伸縮調整ロール25a、搬入側案内ロール25b及び搬出側案内ロール25cはそれぞれ、繰出ロール20側から第1パターン形成部22側に向かってフィルム基板8を搬送する方向に回転している。フィルム基板8は、搬入側案内ロール25b、伸縮調整ロール25a及び搬出側案内ロール25cの各表面の一部に密着しながら第1パターン形成部22に向かって連続的に搬送される。
伸縮調整ロール25aは、フィルム基板8が張るように搬入側案内ロール25b及び搬出側案内ロール25cから遠ざかる方向へ水平荷重をかけるように構成されている。伸縮調整ロール25aは、その水平荷重を大きくすることによってフィルム基板8の張力をその水平荷重増加分の半分だけ大きくしたり、水平荷重を小さくすることによってフィルム基板8の張力をその水平荷重減少分の半分だけ小さくしたりすることができるロールである。これにより、第1の基板伸縮調整部25は、相対的に水平荷重を小さくするとフィルム基板8を相対的に縮めた状態で第1パターン形成部22に搬出する。一方、伸縮調整ロール25aが相対的に水平荷重を大きくすると、フィルム基板8に加わる張力が大きくなる。これにより、第1の基板伸縮調整部25は、フィルム基板8を相対的に伸ばした状態で第1パターン形成部22に搬出する。このような伸縮調整ロールとしては、例えば、エアシリンダー式ダンサロールを使用することができる。このように、第1の基板伸縮調整部25は、搬入側案内ロール25b及び搬出側案内ロール25cに対する伸縮調整ロール25aの位置を変更してフィルム基板8の伸縮を調整するように構成されている。第1の基板伸縮調整部25は、後述する制御部10からの制御信号に基づいて、伸縮調整ロール25aの位置を変更するように構成されている。
第2の基板伸縮調整部26は、フィルム基板8の伸縮を調整する伸縮調整ロール26aと、第1パターン形成部22側から連続的に送出されるフィルム基板8を伸縮調整ロール26aに案内する搬入側案内ロール26bと、伸縮調整ロール25aから連続的に送出されるフィルム基板8を第2パターン形成部23に案内する搬出側案内ロール26cとを有している。伸縮調整ロール26a、搬入側案内ロール26b及び搬出側案内ロール26cはそれぞれ、円筒形状を有している。伸縮調整ロール26a、搬入側案内ロール26b及び搬出側案内ロール26cはそれぞれ、円筒の中心軸を回転軸として所定箇所で回転するようになっている。伸縮調整ロール26aと、搬入側案内ロール26b及び搬出側案内ロール26cとは反対方向に回転している。搬入側案内ロール26bと搬出側案内ロール26cとは同一方向に回転している。伸縮調整ロール26a、搬入側案内ロール26b及び搬出側案内ロール26cはそれぞれ、第1パターン形成部22側から第2パターン形成部23側に向かってフィルム基板8を搬送する方向に回転している。フィルム基板8は、搬入側案内ロール26b、伸縮調整ロール26a及び搬出側案内ロール26cの各表面の一部に密着しながら第2パターン形成部23に向かって連続的に搬送される。
伸縮調整ロール26aは、フィルム基板8が張るように搬入側案内ロール26b及び搬出側案内ロール26cから遠ざかる方向へ水平荷重をかけるように構成されている。伸縮調整ロール26aは、その水平荷重を大きくすることによってフィルム基板8の張力をその水平荷重増加分の半分だけ大きくしたり、水平荷重を小さくすることによってフィルム基板8の張力をその水平荷重減少分の半分だけ小さくしたりすることができるロールである。これにより、第2の基板伸縮調整部26は、相対的に水平荷重を小さくするとフィルム基板8を相対的に縮めた状態で第2パターン形成部23に搬出する。一方、伸縮調整ロール26aが相対的に水平荷重を大きくすると、フィルム基板8に加わる張力が大きくなる。これにより、第2の基板伸縮調整部26は、フィルム基板8を相対的に伸ばした状態で第2パターン形成部23に搬出する。このような伸縮調整ロールとしては、例えば、エアシリンダー式ダンサロールを使用することができる。このように、第2の基板伸縮調整部26は、搬入側案内ロール26b及び搬出側案内ロール26cに対する伸縮調整ロール26aの位置を変更してフィルム基板8の伸縮を調整するように構成されている。第2の基板伸縮調整部26は、後述する制御部10からの制御信号に基づいて、伸縮調整ロール26aの位置を変更するように構成されている。
第3の基板伸縮調整部27は、フィルム基板8の伸縮を調整する伸縮調整ロール27aと、第2パターン形成部23側から連続的に送出されるフィルム基板8を伸縮調整ロール27aに案内する搬入側案内ロール27bと、伸縮調整ロール27aから連続的に送出されるフィルム基板8を第3パターン形成部24に案内する搬出側案内ロール27cとを有している。伸縮調整ロール27a、搬入側案内ロール27b及び搬出側案内ロール27cはそれぞれ、円筒形状を有している。伸縮調整ロール27a、搬入側案内ロール27b及び搬出側案内ロール27cはそれぞれ、円筒の中心軸を回転軸として所定箇所で回転するようになっている。伸縮調整ロール27aと、搬入側案内ロール27b及び搬出側案内ロール27cとは反対方向に回転している。搬入側案内ロール27bと搬出側案内ロール27cとは同一方向に回転している。伸縮調整ロール27a、搬入側案内ロール27b及び搬出側案内ロール27cはそれぞれ、第2パターン形成部23側から第3パターン形成部24側に向かってフィルム基板8を搬送する方向に回転している。フィルム基板8は、搬入側案内ロール27b、伸縮調整ロール27a及び搬出側案内ロール27cの各表面の一部に密着しながら第3パターン形成部24に向かって連続的に搬送される。
伸縮調整ロール27aは、フィルム基板8が張るように搬入側案内ロール27b及び搬出側案内ロール27cから遠ざかる方向へ水平荷重をかけるように構成されている。伸縮調整ロール27aは、その水平荷重を大きくすることによってフィルム基板8の張力をその水平荷重増加分の半分だけ大きくしたり、水平荷重を小さくすることによってフィルム基板8の張力をその水平荷重減少分の半分だけ小さくしたりすることができるロールである。これにより、第3の基板伸縮調整部27は、相対的に水平荷重を小さくするとフィルム基板8を相対的に縮めた状態で第3パターン形成部24に搬出する。一方、伸縮調整ロール27aが相対的に水平荷重を大きくすると、フィルム基板8に加わる張力が大きくなる。これにより、第3の基板伸縮調整部27は、フィルム基板8を相対的に伸ばした状態で第3パターン形成部24に搬出する。このような伸縮調整ロールとしては、例えば、エアシリンダー式ダンサロールを使用することができる。このように、伸縮調整部27は、搬入側案内ロール27b及び搬出側案内ロール27cに対する伸縮調整ロール27aの位置を変更してフィルム基板8の伸縮を調整するように構成されている。伸縮調整部27は、後述する制御部10からの制御信号に基づいて、伸縮調整ロール27aの位置を変更するように構成されている。
繰出ロール20と第1の基板伸縮調整部25との間の基板搬送経路には、繰出ロール20から巻き出されたフィルム基板8を第1の基板伸縮調整部25に案内する第1案内ロール28aが配置されている。第1パターン形成部22と第2の基板伸縮調整部26との間の基板搬送経路には、第1パターン形成部22から搬出されたフィルム基板8を第2の基板伸縮調整部26に駆動する駆動ロール28bと、駆動ロール28bによって駆動されたフィルム基板8を第2の基板伸縮調整部26に案内する第2案内ロール28cがこの順に配置されている。第2パターン形成部23と第3の基板伸縮調整部27との間の基板搬送経路には、第2パターン形成部23から搬出されたフィルム基板8を第3の基板伸縮調整部27に駆動する駆動ロール28dと、駆動ロール28dによって駆動されたフィルム基板8を第3の基板伸縮調整部27に案内する第3案内ロール28eがこの順に配置されている。案内ロールは、繰出ロール20から巻取ロール21までの間でフィルム基板8をどのような経路で搬送するのかに応じて基板搬送経路内に適宜配置される。
フィルム基板8が搬送される搬送経路は、第1駆動ロール22a,22b、第2駆動ロール23a,23b及び第3駆動ロール24a,24bによってフィルム基板8をグリップすることによって6つの区間に区分けされている。電子デバイス製造装置2は、この区間ごとにフィルム基板8の伸びを独立して制御できるようになっている。繰出ロール20から第1駆動ロール22a,22bまでの区間では、第1の基板伸縮調整部25の推力によってフィルム基板8の伸びが制御される。第1駆動ロール22a,22bから駆動ロール28bまでの区間では、第1駆動ロール22a,22bに対する駆動ロール28bの回転速度によってフィルム基板8の伸びが制御される。駆動ロール28bから第2駆動ロール23a,23bまでの区間では、第2の基板伸縮調整部26の推力によってフィルム基板8の伸びが制御される。第2駆動ロール23a,23bから駆動ロール28dまでの区間では、第2駆動ロール23a,23bに対する駆動ロール28dの回転速度によってフィルム基板8の伸びが制御される。駆動ロール28dから第3駆動ロール24a,24bまでの区間では、第3の基板伸縮調整部27の推力によってフィルム基板8の伸びが制御される。第3駆動ロール24a,24bから巻取ロール21までの区間では、第3駆動ロール24a,24bに対する巻取ロール21の回転速度によってフィルム基板8の伸びが制御される。
電子デバイス製造装置2では、フィルム基板8の伸びを上述の各区間で個別に制御するようになっている。フィルム基板8は次の区間に伸びが異なる状態で流入すると、次の区間の伸びは平均化され徐々に変わってしまい、伸縮を調整する場合の外乱になってしまう。しかしながら、電子デバイス製造装置2では、第1から第3の基板伸縮調整部25,26,27は、フィルム基板8の伸びが変化した分だけ伸縮調整ロール25a,26a,27aが逐次成行きで追従する。このため、電子デバイス製造装置2は、各区間でフィルム基板8の伸びが異なる場合でも、前区間の影響を抑制し且つフィルム基板8の伸縮を所定量に調整することが可能となっている。
図示は省略するが、電子デバイス製造装置2は、フィルム基板8を洗浄する洗浄装置、及び、洗浄後や第1から第3パターン形成後にフィルム基板8上に形成されたパターンを構成する材料を乾燥及び/又は固化する乾燥装置など、必要に応じて種々の装置を有していてもよい。
図1に示すように、基板伸縮制御装置1は、第1から第3の基板伸縮調整部25,26,27を制御する制御部10と、フィルム基板8に形成されたモアレマークに基づいて発生したモアレ縞(第一の干渉縞の一例)を撮像する第1光学系撮像装置11、第2光学系撮像装置12及び第3光学系撮像装置13とを有している。可撓性基板の伸縮制御システム100は、フィルム基板8に形成されたモアレマーク(フィルム基板8の送出と同期して連続的に送出される第1マークの一例)に3つの第1基準板7a,7b,7cに形成された基準モアレマーク(フィルム基板8の送出による寸法変化がない第2マークの一例)をそれぞれ重ね合わせてモアレ縞を発生させる。
第1光学系撮像装置11及び第1基準板7aは、第1パターン形成部22の送出側に配置されている。詳細は後述するが、第1光学系撮像装置11は、第1パターン形成部22が第1パターンとともにフィルム基板8上に形成したモアレマーク(第1マークの一例)と、第1基準板7a上に形成されている基準モアレマーク(第2マークの一例)との干渉に基づくモアレ縞を撮像し、モアレ縞を撮像した撮像データを制御部10に出力するようになっている。第1光学系撮像装置11は、フィルム基板8及び第1基準板7aに光を照射する光源11bと、フィルム基板8及び第1基準板7aを重ね合わせることによって生じたモアレ縞を撮像する撮像部11aとを有している。
第2光学系撮像装置12及び第1基準板7bは、第2パターン形成部23の送出側に配置されている。詳細は後述するが、第2光学系撮像装置12は、第2パターン形成部23が第2パターンとともにフィルム基板8上に形成したモアレマーク(第1マークの一例)と第1基準板7b上に形成されている基準モアレマーク(第2マークの一例)との干渉に基づくモアレ縞を撮像し、モアレ縞を撮像した撮像データを制御部10に出力するようになっている。第2光学系撮像装置12は、フィルム基板8及び第1基準板7bに光を照射する光源12bと、フィルム基板8及び第1基準板7bを重ね合わせることによって生じたモアレ縞等を撮像する撮像部12aとを有している。
第3光学系撮像装置13及び第1基準板7cは、第3パターン形成部24の送出側に配置されている。詳細は後述するが、第3光学系撮像装置13は、第3パターン形成部24が第3パターンとともにフィルム基板8上に形成したモアレマーク(第1マークの一例)と第1基準板7c上に形成されている基準モアレマーク(第2マークの一例)との干渉に基づくモアレ縞を撮像し、モアレ縞を撮像した撮像データを制御部10に出力するようになっている。第3光学系撮像装置13は、フィルム基板8及び第1基準板7cに光を照射する光源13bと、フィルム基板8及び第1基準板7cを重ね合わせることによって生じたモアレ縞等を撮像する撮像部13aとを有している。
第1光学系撮像装置11、第2光学系撮像装置12及び第3光学系撮像装置13は、同一の構成を有し、同一の機能を発揮するようになっている。また、第1基準板7a、第1基準板7b及び第1基準板7cは、同一の構成を有し、同一の機能を発揮するようになっている。このため、以下、本実施形態における光学系撮像装置及び第1基準板について、第1光学系撮像装置11及び第1基準板7aを例にとって、図2から図5を用いて説明する。
図2は、第1パターン形成部22及び第1光学系撮像装置11の近傍を拡大して示す模式図である。図3は、光学系撮像装置11の概略構成を示す図である。なお、図3には理解を容易にするため、フィルム基板8及び第1基準板7aが併せて図示されている。図4は、第1基準板7aの概略構成などを示す図である。図4(a)は、第1基準板7aを基準モアレマークMMRの形成面側から見た状態を示している。図4(b)は、第1基準板7aをフィルム基板8に重ね合わせた状態を示す模式図である。
図2に示すように、第1パターン形成部22を通過したフィルム基板8には、第1モアレマーク(第1マークの一例)MM1が形成される。第1モアレマークMM1は、駆動ロール22aに接触するフィルム基板8の素子形成面に形成される。図示は省略するが、第1モアレマークMM1が形成されるフィルム基板8の素子形成面上には、第1バーニヤパターンV1(図4(b)参照)及び第1パターン(不図示)も形成される。第1パターン、第1バーニヤパターン及び第1モアレマークMM1は、第1パターン形成部22による第1層形成工程においてフィルム基板8の同一面上に形成される。
第1光学系撮像装置11に備えられた光源11bは発光部113を有している。発光部113は、第1パターン形成部22から送出されたフィルム基板8に対向して配置されている。光源11bは、フィルム基板8の素子形成面の裏面に対向配置されている。したがって、光源11bは、第1モアレマークMM1が形成されてないフィルム基板8の裏面側から光を照射することになる。
光源11bとフィルム基板8との間には、第1基準板7aが配置されている。第1基準板7aは、第1基準モアレマーク(第2マークの一例)MMR(詳細は後述)が形成されたマーク形成面をフィルム基板8の素子形成面の裏面に対面させて配置されている。第1光学系撮像装置11に備えられた撮像部11aは、第1基準板7a及びフィルム基板8を挟んで光源11bと対向配置されている。
図3に示すように、撮像部11aは、光源11bが照射した像を映すミラー112と、ミラー112に映された像を撮像するカメラ110と、ミラー112に映された像をカメラ110の撮像素子(不図示)に結像するテレセントリックレンズ111とを有している。テレセントリックレンズ111は、光軸方向の距離の変化に関係なく像の大きさを保ったまま撮像素子に結像できる。このため、第1光学系撮像装置11は、走行するフィルム基板8に形成された第1モアレマークMM1と、第1基準板7aに形成された基準モアレマークMMRとが離れていても、正確な寸法でモアレ縞を撮像できる。
フィルム基板8は、透明な樹脂(例えば、PET、PENに代表されるポリエステル樹脂、PC樹脂、PI樹脂、PEEK樹脂)で形成されている。フィルム基板8の厚みは、ロールへの巻き取りが可能であれば限定されないが、例えば1〜500μmが好ましい。また、第1基準板7aは、例えばガラスで形成されている。
一方、フィルム基板8に形成された第1モアレマークMM1は、光を透過及び反射し難いインク材料(例えば、金属インク、顔料インク、塗料インク、印刷インク)で形成されている。また、第1基準板7aに形成された基準モアレマークMMRは、光を透過及び反射し難い金属材料(例えば、Cr、Ni、Al、Au、Ag、Cu)で形成されている。このように、フィルム基板8には光を透過し難いインク材料と透過しやすい空白部とからなる第1モアレマークMM1が形成され、第1基準板7aには光を透過し難い金属材料と透過しやすい空白部とからなる基準モアレマークMMRが形成されている。このため、光源11bからの光の一部は第1モアレマークMM1及び基準モアレマークMMRに遮られるものの、光源11bは、ミラー112を鏡として機能させるには十分な光量でミラー112を照らすことができる。これにより、光源11b側に向けられたミラー112の表面には、第1モアレマークMM1及び基準モアレマークMMR並びに後述するモアレ縞などが映し出される。ミラー112は、平板形状を有しているため、第1モアレマークMM1及び基準モアレマークMMRなどを実際と同じ大きさに映し出す。
第1光学系撮像装置11は、光源11bとミラー112との間に配置された基準板調整ステージ115を有している。第1基準板7aは、基準板調整ステージ115上に固定して配置される。基準板調整ステージ115は、フィルム基板8に形成された第1モアレマークMM1と第1基準板7aに形成された基準モアレマークMMRとの相対位置を調整できるようになっている。基準板調整ステージ115は、フィルム基板8の搬送方向(図3中に示す太矢印が指す方向)及びその逆方法、フィルム基板8の素子形成面の面内においてフィルム基板8の搬送方向に直交する方向、並びに光源11bの光軸を回転軸とする回転方向に第1基準板7aをフィルム基板8に対して相対的に移動できるようになっている。基準板調整ステージ115は、制御部10(図1参照)によって制御される。
図3及び図4(a)中の右側に示すように、第1基準板7aは薄板長方形状を有している。第1基準板7a上には、基準モアレマークMMRが形成されている。基準モアレマークMMRは、第1基準板7aの長手方向にほぼ平行に並んで形成された複数の線状パターンを有している。複数の線状パターンは、第1基準板7aの両端辺の中点を結ぶ領域から一方の長辺側に向かって伸びる細長い長方形状を有している。図4(a)中の左側に示すように、基準モアレマークMMRは、複数の線状パターンのピッチの値が「P1」となるように形成されている。以下、「P1」は、基準モアレマークMMRの複数の線状パターンのピッチを示す参照符号としても用いる場合がある。
図4(b)中の右側に示すように、第1パターン形成部22において、フィルム基板8上には、第1モアレマークMM1が形成される。第1モアレマークMM1は、フィルム基板8の長手方向にほぼ平行に並んで形成された複数の線状パターンを有している。第1モアレマークMM1は、フィルム基板8の一方の長辺と、製造対象の電子デバイスが形成されるデバイス形成領域DAとの間に形成される。第1モアレマークMM1を構成する複数の線状パターンは、フィルム基板8の一方の長辺に直交する方向に伸びる細長い長方形状を有している。図4(b)中の左側に示すように、第1モアレマークMM1は、複数の線状パターンのピッチの値が「P1d+ΔP1d」で設計されているが、走行するフィルム基板8上に形成されたパターンを撮像した画像は、基板の伸縮によるピッチ誤差を含むため「P1+ΔP1」で形成される。以下、「P1+ΔP1」は、第1モアレマークMM1の複数の線状パターンのピッチを示す参照符号としても用いる場合がある。
図4(b)中の右側に示すように、フィルム基板8には、第1モアレマークMM1の形成と同時に第1バーニヤパターンV1が形成される。第1バーニヤパターンV1は、長方形状パターンを複数有している。長方形状パターンは、フィルム基板8の長辺に沿う長辺を有している。第1バーニヤパターンV1を構成する長方形状パターンは、次層を位置あわせするときのモアレと同じピッチで設計されている。第1バーニヤパターンV1は、第1モアレマークMM1と同じ材料で形成されている。このため、第1バーニヤパターンV1は、光を透過及び反射し難くなっている。
第1モアレマークMM1のピッチP1+ΔP1と、基準モアレマークMMRのピッチP1との差は「ΔP1」であり、「P1」と比較すると微小な値である。第1モアレマークMM1を構成する一の線状パターンと、基準モアレマークMMRの一の線状パターンとが重なり合う重なり位置から、フィルム基板8の進行方向を右又は左に行くほど、第1モアレマークMM1の線状パターンと基準モアレマークMMRの線状パターンとのずれは増加する。重なり位置から所定距離だけ右又は左に離れた位置では、例えば基準モアレマークMMRの他の一の線状パターンは、第1モアレマークMM1の隣り合う線状パターンの間の中間位置に配置される。この中間位置からさらに右又は左に行くに従って、第1モアレマークMM1の線状パターンと基準モアレマークMMRの線状パターンとのずれは減少し、第1モアレマークMM1のさらに他の一の線状パターンと基準モアレマークMMRの他の一の線状パターンとが重なり合う。第1モアレマークMM1の線状パターンと基準モアレマークMMRの線状パターンとが重なり合う重なり位置の近傍では、線状パターンの密度が疎となる。一方、基準モアレマークMMR(又は第1モアレマークMM1)の線状パターンが第1モアレマークMM1(又は基準モアレマークMMR)の線状パターンの間に配置される位置の近傍では、線状パターンの密度が密となる。このため、図4(b)中の右側に示すように、第1モアレマークMM1を構成する線状パターンと、基準モアレマークMMRの線状パターンとをほぼ平行に重ね合わせると、所定周期で濃淡が繰り返されるモアレ縞MFが発生する(図5(a)参照)。第1基準板7aは基準板調整ステージ115に固定されているため、例えば図4(b)中の右側に示す太矢印の方向にフィルム基板8が連続的に搬送されていると、モアレ縞MFも太矢印の方向に移動しているように見える。
詳細は後述するが、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム100は、図4(b)に示すように、第1光学系撮像装置11によってモアレ縞MFが撮像領域α内に密な部分が2つ以上入る視野で撮像する。伸縮制御システム100は、撮像したモアレ縞MFに基づいてモアレ縞MFの輝度分布を算出し、モアレ縞MFの輝度分布からモアレ縞ピッチPmを算出する。伸縮制御システム100は、算出したモアレ縞ピッチPmとモアレ縞設計ピッチPmdから第1基準板7aに対する相対的な第1パターンひずみεを求めるようになっている。このため、モアレ縞MFの密な部分が2つ以上入る視野で撮像するようになっている。
図3に戻って、テレセントリックレンズ111は、ミラー112に映し出された第1モアレマークMM1及び基準モアレマークMMRをそれらの大きさを変えずにカメラ110の撮像素子に結像できる。このため、カメラ110は、図4(b)に示す撮像領域α内に収まっている第1モアレマークMM1及び基準モアレマークMMR並びにモアレ縞MFなどをその大きさのまま撮像することができる。カメラ110は、撮像した撮像データを制御部10に出力するようになっている。
図1に戻って、制御部10は、例えばパーソナルコンピュータなどに設けられている。制御部10は、第1から第3光学系撮像装置11,12,13から送信された撮像データをそれぞれ画像処理する画像処理部10aを有している。また、制御部10は、画像処理部10aが画像処理して生成したそれぞれのモアレ縞の画像に基づいてフィルム基板8に印加する張力を補正する補正量をそれぞれ算出する補正量算出部10bを有している。
図5は、制御部10における画像処理及び補正量の算出を説明する図である。図5(a)は、画像処理部10aが第1光学系撮像装置11から受信した撮像データに基づいて生成した画像の一例を示している。図5(b)は、図5(a)に示す画像に基づくモアレ縞輝度分布を示している。
図5(b)において、縦軸はモアレ縞の輝度の高低を示し、横軸は図5(b)に示す直線L2上の位置を示している。
画像処理部10aは、第1光学系撮像装置11のカメラ110(図3参照)から送信された撮像データを画像処理する。図5(a)に示すように、画像処理部10aは、画像処理した結果、互いに重ね合わされた基準モアレマークMMR及び第1モアレマークMM1と、両マークMMR,MM1とが重ね合わされることにより発生するモアレ縞MFが表示された画像を生成する。基準モアレマークMMR、第1モアレマークMM1の線状パターンは、光源11b(図2参照)が照射する光をほとんど透過しないので、画像処理部10aが生成した画像において相対的に暗い色(例えば黒色)で表される。また、第1モアレマークMM1の線状パターンと基準モアレマークMMRの線状パターンとが重なり合う重なり位置の近傍は、線状パターンの密度が疎となるため、画像処理部10aが生成した画像において相対的に明るい色で表される。一方、基準モアレマークMMR及び第1モアレマークMM1の一方の線状パターンが他方の線状パターンの間に配置される位置の近傍は、線状パターンの密度が密となるため画像処理部10aが生成した画像において相対的に暗い色で表される。
図5(a)に示す画像を画像処理部10aから受信した補正量算出部10bは、第1モアレマークMM1のパターンひずみεを算出する。補正量算出部10bは、パターンひずみεを算出するためにまず、図5(b)に示すモアレ縞輝度分布を生成する。補正量算出部10bは、直線L1にほぼ平行であってモアレ縞MFの画像の中央を横断する直線L2上の明暗に基づいて、モアレ縞輝度分布を生成する。第1モアレマークMM1の線状パターンと基準モアレマークMMRの線状パターンとで形成される線状パターンの密度は、疎の状態から密の状態へかつ密の状態からその状態へ徐々に変化する。このため、モアレ輝度分布は、図5(b)の下段に示すように正弦波のような波型形状となる。
図5(b)に示すように、補正量算出部10bは、モアレ縞ピッチPmを算出する。補正量算出部10bは、基準モアレマークMMRのピッチP1、モアレ縞設計ピッチPmd及びモアレ縞ピッチPmから以下の式(1)を用いてパターンひずみεを算出する。
ε=(P1/Pmd)×(Pmd−Pm)/(Pmd−P1) ・・・(1)
補正量算出部10bは、算出したパターンひずみεがゼロになるように、フィルム基板8に印加する張力を制御するための補正量を算出する。補正量は、例えば伸縮調整ロール25aの配置位置の移動量である。制御部10は、補正量算出部10bが算出した補正量に基づく制御信号を伸縮調整ロール25a,26a,27aに送信し、連続的に送出されるフィルム基板8の伸縮を制御する。
このように、補正量算出部10bは、可撓性基板の送出と同期して連続的に送出される第1マーク(例えば第1モアレマークMM1)に該可撓性基板の送出による寸法変化がない第2マーク(例えば基準モアレマークMMR)を重ね合わせて発生する干渉縞(例えばモアレ縞MF)に基づいて第1マークのひずみ(例えばパターンひずみε)を取得するひずみ取得部に相当する。また、制御部10は、取得したひずみに基づいて、連続的に送出されて長尺形状及び可撓性を備える可撓性基板(例えばフィルム基板8)の伸縮を制御する基板伸縮制御部に相当する。
例えば、パターンひずみεが最小値(ゼロ)になると、走行中に撮像されたモアレ縞ピッチPmとモアレ縞設計ピッチPmdとの差が最小(ゼロ)になる。この場合、実際に形成された第1モアレマークMM1に基づくモアレ縞MFが理想的なモアレ縞となっていることを意味する。基準モアレマークMMRのピッチP1は設計値どおりに形成されているので、パターンひずみεが最小値(ゼロ)となると、第1モアレマークMM1も設計値どおりに形成されていることになる。したがって、パターンひずみεが最小値(ゼロ)となるようにフィルム基板8に印加する張力を制御し、フィルム基板8を所定状態に伸縮した上でフィルム基板8上に第1パターンを形成すると、形成された第1パターンは設計値どおりのパターンとなる。
第1から第3光学系撮像装置11,12,13は、基準板調整ステージを有している。このため、第1から第3パターン形成部22,23,24のそれぞれがフィルム基板8上に形成するモアレマークの形成場所を異ならせても、基板伸縮制御装置1は、第1基準板7a,7b,7cを第1から第3パターン形成部22,23,24のそれぞれが形成したモアレマークに基準モアレマークを重ね合わせることができる。このため、基板伸縮制御装置1は、第1から第3パターン形成部22,23,24が形成したモアレマークごとにパターンひずみを算出できる。したがって、基板伸縮制御装置1は、第1から第3の基板伸縮調整部25,26,27を個別に制御できる。
本実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法について、図1から図5を参照しつつ図6を用いて説明する。図6は、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法における伸縮制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートに含まれる各処理は、制御部10において実行される。なお、以下、第1光学系撮像装置11が取得した撮像データに基づく伸縮制御処理を例にとって説明する。
図6に示すように、伸縮制御処理では、まずステップS1において、モアレ画像を取得し、ステップS3に移行する。ステップS1において、制御部10の指令に基づいて、第1光学系撮像装置11は、フィルム基板8に形成された第1モアレマークMM1と第1基準板7aに形成された基準モアレマークMMRとを重ね合わせることにより発現するモアレ縞及びその周辺を撮像する。第1光学系撮像装置11は撮像したモアレ縞及びその周辺の撮像データを制御部10の画像処理部10aに送信する。これにより、制御部10は、モアレ縞を撮像データとして取得する。
ステップS3では、取得したモアレ縞を画像処理し、ステップS5に移行する。ステップS3において、画像処理部10aは、取得した撮像データを画像処理し、少なくともモアレ縞MFが表示された画像(図5(a)参照)を生成する。画像処理部10aは、生成した画像を補正量算出部10bに送信する。
ステップS5では、モアレ縞輝度分布を生成し、ステップS7に移行する。ステップS5において、補正量算出部10bは、受信した画像に基づいて、モアレ縞輝度分布(図5(b)中の下段参照)を生成する。
ステップS7では、モアレ縞ピッチPmを算出し、ステップS9に移行する。ステップS7において、補正量算出部10bは、生成したモアレ縞輝度分布に基づいてモアレ縞ピッチPmを算出する。
ステップS9では、パターンひずみを取得し、ステップS11に移行する。ステップS9において、補正量算出部10bは、算出したモアレピッチPm、設計モアレピッチPmd及び基準モアレマークMMRのピッチP1と式(1)とを用いてパターンひずみεを算出する。
ステップS11では、可撓性基板に印加する張力の補正値を算出し、可撓性基板の伸縮制御処理を終了する。ステップS11において、補正量算出部10bは、算出した第1パターンひずみεをゼロにするように、フィルム基板8に印加する張力を制御するための補正量を算出する。張力の補正値ΔTは、以下の式(2)で表すことができる。
ΔT=ε×E×A ・・・(2)
ここで、「ε」は、式(1)を用いて算出したパターンひずみを表し、「E」は、可撓性基板(本例ではフィルム基板8)のヤング率を表し、「A」は、可撓性基板の断面積を表している。
補正量算出部10bは、補正量として例えば伸縮調整ロール25aの配置位置の移動量を算出する。パターンひずみεの値が正の場合、モアレピッチPmの値が設計モアレピッチPmdの値よりも大きくなっている。この場合、第1モアレマークMM1のピッチP1+ΔP1の値が設計値よりも基準モアレマークMMRのピッチP1の値に近くなっている。本実施形態では、駆動ロール22aなどの各ロールの回転速度は変更されないため、第1モアレマークMM1のピッチP1+ΔP1を大きくするためには、フィルム基板8を伸ばす必要がある。そこで、制御部10は、フィルム基板8に印加する張力を大きくするために、補正量算出部10bが算出した移動量だけ伸縮調整ロール25aが案内ロール25b,25cに近付くように基板伸縮調整部25を制御する。
一方、パターンひずみεの値が負の場合、モアレピッチPmの値が設計モアレピッチPmdの値よりも小さくなっている。この場合、第1モアレマークMM1のピッチP1+ΔP1の値が設計値よりも基準モアレマークMMRのピッチP1の値から離れている。本実施形態では、駆動ロール22aなどの各ロールの回転速度は変更されないため、第1モアレマークMM1のピッチP1+ΔP1を小さくするためには、フィルム基板8を縮める必要がある。そこで、制御部10は、フィルム基板8に印加する張力を小さくするために、補正量算出部10bが算出した移動量だけ伸縮調整ロール25aが案内ロール25b,25cから遠ざかるように基板伸縮調整部25を制御する。
本実施形態では、フィルム基板8は、0.1mから10m/分の速度で搬送されるのが好ましい。これに対し、モアレ縞は、例えば100ms毎に撮像されてパターンひずみが算出されるようになっている。このため、本実施形態では、フィルム基板8がおよそ0.2mmから20mm搬送される毎にフィルム基板8の伸縮が制御される。
本実施形態における電子デバイス製造装置2は、1層目の第1パターンの形成時に第1モアレマークMM1をフィルム基板8上に形成し、2層目の第2パターンの形成時に第2モアレマークをフィルム基板8上に形成し、3層目の第3パターンの形成時に第3モアレマークを形成するようになっている。このため、上述の伸縮制御方法により可撓性基板上に第1モアレマークMM1の線状パターンのピッチを設計値どおりに形成することにより、第1パターンにおける配線ピッチや配線幅なども設計値どおりに形成される。同様に、第2モアレマークの線状パターンのピッチを設計値どおりに形成することにより、第2パターンにおける配線ピッチや配線幅なども設計値どおりに形成される。同様に、第3モアレマークの線状パターンのピッチを設計値どおりに形成することにより、第3パターンにおける配線ピッチや配線幅なども設計値どおりに形成される。したがって、第1から第3モアレマークに基づいてフィルム基板8の伸縮を制御することにより、第1から第3パターンが設計値どおりに形成される。
可塑性基板の伸縮制御を用いて第1から第3パターンが設計通りに形成された後、各パターンのアライメント誤差があった場合に、第1から第3パターンの位相を制御して位置合わせが行われる。位相制御は、公知のコンペン方式、コンペンレス方式を用いることができる。
コンペン方式とは、伸縮調整ロール25aを水平に移動させて、可塑性基板のパス長を変化させて位相を制御する方式をいう。例えば、第1のマークに対する第2のマークのアライメント誤差が基板が流れる方向に+10μmであった場合は、パス長が10μm短くなるように伸縮調整ロール25aを5μm変化させる。 コンペンレス方式(版胴位相補正方式)とは、版胴の回転速度を瞬間的に変化させて位相を制御する方式をいう。例えば、第1のマークに対する第2のマークのアライメント誤差が基板が流れる方向に+10μmであった場合は、第2パターンの版の周長で−10μmに相当する分だけ回転速度を瞬間的に遅くして位相を合わせる。
このように、本実施形態によれば、可塑性基板の伸縮制御で第1から第3パターンが設計通りに形成されることで、第1から第3までのパターンの誤差が小さくなるので、公知の位相制御を用いても位置合わせの精度が向上し、所望の積層パターンを形成できる。
このように、本実施形態による位置合わせ方法は、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法を用いてフィルム基板8上に積層する積層パターンを位置合わせするようになっている。また、本実施形態による位置合わせ方法は、第1から第3モアレマーク及び基準モアレマークを位置合わせマークとして用いるようになっている。
また、本実施形態による位置合わせ方法を用いることにより、所望の積層パターンを形成することができる。このため、本実施形態による電子デバイスの製造方法は、本実施形態による位置合わせ方法を用いて所望の積層パターンを形成し、この積層パターンによって構成される電子デバイスを製造することができる。
以上説明したように、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法によれば、モアレ縞を利用して画素オーダー以下の微小なアライメント誤差を拡大して測定することができる。このため、ロールツーロール方式の装置を使用した連続プロセスにおいて、可撓性基板上に形成するパターンの微小な相対ひずみをモアレ縞を利用して測定するとともに、相対ひずみが既知であることで撮像装置の画素サイズ以下の微小なアライメント誤差をパターンの変化に影響されずに測定することが可能となる。このため、本実施形態によれば、可撓性を有し送出される可撓性基板に微細なパターンの高精度な重ね合わせを実現することができる。これにより、複雑な回路素子を可撓性基板上に形成できるので、ロジック回路の半導体装置、センサ回路の半導体装置、記憶装置及び表示装置などの電子デバイスを可撓性基板上に形成できる。
また、本実施形態によれば、単層パターニングであっても、基準となるモアレマークを有する基準板を用いることで、単層パターンの基準板に対する相対ひずみを測定でき、これにより単層パターニングの精度向上も可能となり、重ね合わせ精度の向上にも寄与する。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法について図7及び図8を用いて説明する。本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法は、オフセット印刷法や反転印刷法などにおいて、可撓性基板上に形成するパターンを一旦ブランケット上に転写する際にモアレマークも転写し、ブランケット上に転写されたモアレマークに基づいてモアレ縞を発現させる点に特徴を有している。本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法において、上記第1の実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法と同一の機能・作用を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
図7は、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム300を模式的に示す図である。可撓性基板の伸縮制御システム300は、可撓性基板に電子デバイスを製造する電子デバイス製造装置4と、可撓性基板の伸縮を制御する基板伸縮制御装置3とを有している。なお、本実施形態における電子デバイス製造装置4は、ロールツーロール方式を採用した製造装置である。また、本実施形態において対象となる電子デバイスは、上記第1の実施形態において対象となる電子デバイスと同様である。
図7に示すように、電子デバイス製造装置4は、ロールツーロール方式でフィルム基板8を繰出ロール20から巻取ロール21に向かって搬送する。繰出ロール20と巻取ロール21との間の基板搬送経路には、フィルム基板8上に第1層目の第1パターンを形成する第1パターン形成部42と、第1パターンが形成されたフィルム基板8上に第2層目の第2パターンを形成する第2パターン形成部43と、第1及び第2パターンが形成されたフィルム基板8上に第3層目の第3パターンを形成する第3パターン形成部44とが設けられている。第1パターン形成部42、第2パターン形成部43及び第3パターン形成部44は、この順に繰出ロール20側から配置されている。本実施形態における電子デバイス製造装置4は、第1から第3パターン形成部42,43,44の3つのパターン形成部を有しているが、パターン形成部の配置数はこれに限られない。電子デバイス製造装置4は、フィルム基板8上に形成する積層数分だけパターン形成部を有することができる。また、電子デバイス製造装置4は、フィルム基板8を洗浄する洗浄装置、及び、洗浄後や第1から第3パターン形成後にフィルム基板8上に形成されたパターンを構成する材料を乾燥及び/又は固化する乾燥装置など、必要に応じて種々の装置を有していてもよい。
第1パターン形成部42は、例えばオフセット印刷法や反転印刷法などによりフィルム基板8上に所定パターンを形成するようになっている。第1パターン形成部42は、駆動ロール42aと、駆動ロール42aに接触して配置されたブランケットロール42cと、ブランケットロール42cに対向配置された駆動ロール42bとを有している。駆動ロール42a、駆動ロール42b及びブランケットロール42cはそれぞれ、円筒形状を有している。駆動ロール42a、駆動ロール42b及びブランケットロール42cはそれぞれ、円筒の中心軸を回転軸として所定箇所で回転するようになっている。駆動ロール42a及び駆動ロール42bとブランケットロール42cとは、反対方向に回転している。ブランケットロール42c及び駆動ロール42bは、繰出ロール20側から第2パターン形成部43側に向かって回転している。ブランケットロール42cと駆動ロール42bとの間に挟まれたフィルム基板8は、繰出ロール20側から巻取ロール21側に向かって連続的に搬送される。
ブランケットロール42cが駆動ロール42aと接触しながら回転することにより、駆動ロール42a上に形成されたパターンを反転させたパターンがブランケットロール42c上に転写される。フィルム基板8がブランケットロール42cに接触しながらブランケットロール42cと駆動ロール42bとの間を通過することにより、ブランケットロール42c上に転写されたパターンを反転させたパターンが第1パターンとしてフィルム基板8上に再転写されて形成される。したがって、駆動ロール42a上に形成されたパターンと同じパターンが第1パターンとしてフィルム基板8上に形成される。詳細は後述するが、ブランケットロール42c上に駆動ロール42aのパターンが転写される際に、フィルム基板8の伸縮制御に用いるモアレマークやバーニヤパターンを反転したマークやパターンもブランケットロール42cに転写される。また、フィルム基板8上に第1パターンを再転写する際に、フィルム基板8の伸縮制御に用いるモアレマークやバーニヤパターンもフィルム基板8上に再転写される。
第2パターン形成部43は、例えばオフセット印刷法や反転印刷法などによりフィルム基板8上に所定パターンを形成するようになっている。第2パターン形成部43は、駆動ロール43aと、駆動ロール43aに接触して配置されたブランケットロール43cと、ブランケットロール43cに対向配置された駆動ロール43bとを有している。駆動ロール43a、駆動ロール43b及びブランケットロール43cはそれぞれ、円筒形状を有している。駆動ロール43a、駆動ロール43b及びブランケットロール43cはそれぞれ、円筒の中心軸を回転軸として所定箇所で回転するようになっている。駆動ロール43a及び駆動ロール43bとブランケットロール43cとは、反対方向に回転している。ブランケットロール43c及び駆動ロール43bは、第1パターン形成部42側から第3パターン形成部44側に向かって回転している。ブランケットロール43cと駆動ロール43bとの間に挟まれたフィルム基板8は、繰出ロール20側から巻取ロール21側に向かって連続的に搬送される。
ブランケットロール43cが駆動ロール43aと接触しながら回転することにより、駆動ロール43a上に形成されたパターンを反転させたパターンがブランケットロール43c上に転写される。フィルム基板8がブランケットロール43cに接触しながらブランケットロール43cと駆動ロール43bとの間を通過することにより、ブランケットロール43c上に転写されたパターンを反転させたパターンが第2パターンとしてフィルム基板8上に再転写されて形成される。したがって、駆動ロール43a上に形成されたパターンと同じパターンが第2パターンとしてフィルム基板8上に形成される。詳細は後述するが、ブランケットロール43c上に駆動ロール43aのパターンが転写される際に、フィルム基板8の伸縮制御に用いるモアレマークやバーニヤパターンを反転したマークやパターンもブランケットロール43cに転写される。また、フィルム基板8上に第2パターンを再転写する際に、フィルム基板8の伸縮制御に用いるモアレマークやバーニヤパターンもフィルム基板8上に再転写される。
第3パターン形成部44は、例えばオフセット印刷法や反転印刷法などによりフィルム基板8上に所定パターンを形成するようになっている。第3パターン形成部44は、駆動ロール44aと、駆動ロール44aに接触して配置されたブランケットロール44cと、ブランケットロール44cに対向配置された駆動ロール44bとを有している。駆動ロール44a、駆動ロール44b及びブランケットロール44cはそれぞれ、円筒形状を有している。駆動ロール44a、駆動ロール44b及びブランケットロール44cはそれぞれ、円筒の中心軸を回転軸として所定箇所で回転するようになっている。駆動ロール44a及び駆動ロール44bとブランケットロール44cとは、反対方向に回転している。ブランケットロール44c及び駆動ロール44bは、第2パターン形成部43側から巻取ロール21側に向かって回転している。ブランケットロール44cと駆動ロール44bとの間に挟まれたフィルム基板8は、繰出ロール20側から巻取ロール21側に向かって連続的に搬送される。
ブランケットロール44cが駆動ロール44aと接触しながら回転することにより、駆動ロール44a上に形成されたパターンを反転させたパターンがブランケットロール44c上に転写される。フィルム基板8がブランケットロール44cに接触しながらブランケットロール44cと駆動ロール44bとの間を通過することにより、ブランケットロール44c上に転写されたパターンを反転させたパターンが第3パターンとしてフィルム基板8上に再転写されて形成される。したがって、駆動ロール44a上に形成されたパターンと同じパターンが第3パターンとしてフィルム基板8上に形成される。詳細は後述するが、ブランケットロール44c上に駆動ロール44aのパターンが転写される際に、フィルム基板8の伸縮制御に用いるモアレマークやバーニヤパターンを反転したマークやパターンもブランケットロール44cに転写される。また、フィルム基板8上に第3パターンを再転写する際に、フィルム基板8の伸縮制御に用いるモアレマークやバーニヤパターンもフィルム基板8上に再転写される。
図7に示すように、基板伸縮制御装置3は、第1から第3の基板伸縮調整部25,26,27を制御する制御部30と、フィルム基板8に形成されたモアレマークに基づいて発生したモアレ縞(第一の干渉縞の一例)を撮像する第1光学系撮像装置11、第2光学系撮像装置12、第3光学系撮像装置13、第4光学系撮像装置31、第5光学系撮像装置32及び第6光学系撮像装置33とを有している。可撓性基板の伸縮制御システム300は、フィルム基板8に形成されたモアレマークに3つの第1基準板7a,7b,7cを個別に重ね合わせてモアレ縞を発生させる。さらに、可撓性基板の伸縮制御システム300は、ブランケットロール42cに形成されたモアレマークに第2基準板9aを重ね合わせてモアレ縞を発生させ、ブランケットロール43cに形成されたモアレマークに第2基準板9bを重ね合わせてモアレ縞を発生させ、ブランケットロール44cに形成されたモアレマークに第2基準板9cを重ね合わせてモアレ縞を発生させる。
第4光学系撮像装置31、第5光学系撮像装置32及び第6光学系撮像装置33は、同一の構成を有し、同一の機能を発揮するようになっている。また、第2基準板9a、第2基準板9b及び第2基準板9cは、同一の構成を有し、同一の機能を発揮するようになっている。このため、以下、本実施形態における光学系撮像装置及び第2基準板について、第4光学系撮像装置31及び第2基準板9aを例にとって図7を参照しつつ図8を用いて説明する。図8は、第1パターン形成部42、第1光学系撮像装置11及び第4光学系撮像装置31の近傍を拡大して示す模式図である。
図8に示すように、第1パターン形成部42を通過したフィルム基板8には、第1モアレマーク(第1マークの一例)MM1が形成される。第1モアレマークMM1は、ブランケットロール42cに接触するフィルム基板8の面上である素子形成面に形成される。図示は省略するが、第1モアレマークMM1が形成されるフィルム基板8の素子形成面上には、第1バーニヤパターンや第1パターンも形成される。第1パターン、第1バーニヤパターン及び第1モアレマークMM1は、第1パターン形成部22による第1層形成工程においてフィルム基板8の同一面上に形成される。本実施形態におけるバーニヤパターンは、上記第1の実施形態におけるバーニヤパターンV1と同一の形状を有している。
第4光学系撮像装置31は、ブランケットロール42cに光を照射する第1光源31b及び第2光源31cと、ブランケットロール42c及び第2基準板9aを重ね合わせることによって生じたモアレ縞を撮像する撮像部31aとを有している。撮像部31aは、上記第1実施形態における第1光学系撮像装置11に備えられた撮像部11aと同一の構成を有し、同一の機能を発揮するので、詳細な説明は省略する。
第1光源31b及び第2光源31cは、撮像部31aの幅とほぼ同じ間隔を設けて配置されている。第1光源31bは第1発光部315bを有している。第2光源31cは第2発光部315cを有している。第1光源31b及び第2光源31cは、撮像部31aの光軸が交差するブランケットロール42cの表面に第1発光部315b及び第2発光部315cの光軸が向くように配置されている。第1光源31b及び第2光源31cは、ブランケットロール43cの表面に斜め方向から光を照射する。
撮像部31aは、光軸がブランケットロール42cの中心軸と直交するように配置されている。撮像部31aは、第1及び第2光源31b,31cよりもブランケットロール42cから離して配置されている。撮像部31aとブランケットロール42cとの間には、第2基準板9aが配置されている。第2基準板9aは、第1光源31bと第2光源31cとの間に配置されている。第2基準板9aは、基準モアレマークMMR(詳細は後述)が形成されたマーク形成面をブランケットロール42cのパターン転写面に対向させて配置されている。ブランケットロール42cのパターン転写面には、駆動ロール42aから第1パターン、モアレマーク及びバーニヤパターン等が転写される。
第4光学系撮像装置31及び第2基準板9aは、駆動ロール42a及びブランケットロール42cの接触部と、ブランケットロール42c及びフィルム基板8の接触部との間に配置されている。このため、ブランケットロール42cのパターン転写面に転写された転写モアレマークMT1がフィルム基板8上に再転写される前に、第2基準板9a上に形成された基準モアレマークMMRと転写モアレマークMT1とは重ね合わされる。転写モアレマークMT1は、可撓性基板(例えばフィルム基板8)に所定パターンを形成するロール(例えばブランケットロール42c)に第1マーク(例えば第1モアレマークMM1)を形成するための型となる部分に相当する。転写モアレマークMT1は、上記第1の実施形態における第1モアレマークMM1と同様の構成を有している。すなわち、転写モアレマークMT1は、基準モアレマークMMRを構成する複数の線状パターンのピッチに対して微小なピッチ差(例えばΔP1d)を有する複数の線状パターンで構成されている。このため、基準モアレマークMMRと転写モアレマークMT1とを重ね合わせると、モアレ縞が発現する。したがって、第4光学系撮像装置31は、基準モアレマークMMRと転写モアレマークMT1とを重ね合わせて発現するモアレ縞を撮像できる。
制御部30に備えられた画像処理部30aは、第4光学系撮像装置31から送信された撮像データを画像処理する。画像処理部30aは、画像処理した結果、互いに重ね合わされた基準モアレマークMMR及び転写モアレマークMT1と、両マークMMR,MT1とが重ね合わされることにより発生するモアレ縞と、バーニヤパターンとが表示された画像を生成する。
補正量算出部30bは、上記第1の実施形態による補正量算出部10bと同様の手法により、画像処理部30aから送信された画像に表示されたバーニヤパターン及びモアレ縞に基づくモアレ縞ピッチを算出し、上述の式(1)を用いてパターンひずみを算出する。補正量算出部30bが算出するパターンひずみは、ブランケットロール43c上に転写された転写モアレマークMT1のひずみである。
補正量算出部30bは、算出したパターンひずみが最小化するように、フィルム基板8に印加する張力を制御するための補正量を算出する。補正量は、例えば伸縮調整ロール25aの推力である。制御部30は、補正量算出部30bが算出した補正量に基づく制御信号を伸縮調整ロール25aに送信し、連続的に送出されるフィルム基板8の伸縮を制御する。
このように、本実施形態による伸縮制御システム300は、フィルム基板8にモアレマークMMRを形成する前段階のブランケットロール42c,43c,44cに転写された転写モアレマークMT1を利用してフィルム基板8の伸縮を制御できる。ブランケットロール42c,43c,44cは、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)の軟らかい樹脂層の表面を有しているので変形し易い。本実施形態による伸縮制御システム300は、パターンロールが製作上で保有するひずみ、すなわち駆動ロール42a,43a,44aからブランケットロール42c,43c,44cへインクが乗り移るときに発生するひずみを、フィルム基板8にパターンが形成される前に知ることができる。これにより、伸縮制御システム300は、フィルム基板8へのパターン形成の位置合わせ精度の制御性がさらに向上する。フィルム基板8上へのパターン形成の事前にパターンロールが製作上で保有する「ひずみ」を知ることにより、伸縮制御精度が向上する。フィルム基板8上のひずみがゼロになるように伸縮制御システム300は動作するが、フィルム基板8の伸縮の操作量はブランケットロール42c,43c,44cのひずみに基づいて補正される。
このように、伸縮制御システム300は、フィルム基板8に形成される第1モアレマークMM1のひずみを予測して制御するフィードフォワード制御が可能になっている。また、制御部30は、第1光学系撮像装置11から送信された撮像データに基づいて、フィルム基板8に印加する張力を制御するための補正量を算出できる。第1光学系撮像装置11が送信する撮像データは、フィルム基板8上に形成された第1モアレマークMM1に基づいて発現するモアレ縞MFを含んでいる。このため、伸縮制御システム300は、フィルム基板8に実際に形成された第1モアレマークMM1のひずみに基づいて制御するフィードバック制御が可能になっている。
同様に、第5光学系撮像装置32は、ブランケットロール43cに形成された転写モアレマークと第2基準板9bの基準モアレマークとが重ね合わさって発現したモアレ縞を撮像し、撮像データを制御部30に送信できるようになっている。また、第2光学系撮像装置12は、フィルム基板8上に形成された第2モアレマークと第1基準板7bの基準モアレマークとが重ね合わさって発現したモアレ縞を撮像し、撮像データを制御部30に送信できるようになっている。制御部30は、第5光学系撮像装置32から受信した撮像データに基づいてフィルム基板8に印加する張力を制御するための補正量を算出し、第2光学系撮像装置12から受信した撮像データに基づいてフィルム基板8に印加する張力を制御するための補正量を算出できる。
同様に、第6光学系撮像装置33は、ブランケットロール44cに形成された転写モアレマークと第2基準板9cの基準モアレマークとが重ね合わさって発現したモアレ縞を撮像し、撮像データを制御部30に送信できるようになっている。また、第3光学系撮像装置13は、フィルム基板8上に形成された第3モアレマークと第1基準板7cの基準モアレマークとが重ね合わさって発現したモアレ縞を撮像し、撮像データを制御部30に送信できるようになっている。制御部30は、第6光学系撮像装置33から受信した撮像データに基づいてフィルム基板8に印加する張力を制御するための補正量を算出し、第3光学系撮像装置13から受信した撮像データに基づいてフィルム基板8に印加する張力を制御するための補正量を算出できる。
次に、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法について簡述する。本実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法の基本的な処理の流れは、上記第1の実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法と同様である。本実施形態では、図6に示すステップS1からステップS11の処理において、第1から第3光学系撮像装置11,12,13の他に、第4から第6光学系撮像装置31,32,33から送信された撮像データに基づいてパターンひずみや補正量を算出するようになっている。
本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、フィルム基板8は、1mから2m/分の速度で搬送されるのに対し、モアレ縞は、300ms毎に撮像されてパターンひずみが算出されるようになっている。このため、本実施形態では、フィルム基板8がおよそ0.5cmから1cm搬送される毎にフィルム基板8の伸縮が制御される。
本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム及び伸縮制御方法によれば、モアレ縞を利用して画素オーダー以下の微小なアライメント誤差を拡大して測定することができる。また、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム及び伸縮制御方法によれば、各層のモアレマークを可撓性基板に形成する前に可撓性基板の伸縮をフィードフォワード制御ができる。さらに、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム及び伸縮制御方法によれば、可撓性基板上への各層のモアレマークの形成結果に基づいて可撓性基板の伸縮をフィードバック制御ができる。したがって、本実施形態による伸縮制御システム300は、第1から第3パターンの形成前後で可撓性基板の伸縮を制御でき、より高精度に各層のパターンの位置合わせができる。
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法について図9から図14を用いて説明する。本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法は、第N層目に形成されたモアレマークと第N+1層目に形成されたモアレマークとを重ね合わせて発現するモアレ縞を用いて可撓性基板の伸縮を制御する点に特徴を有している。本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法において、上記第1及び第2の実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム、伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法と同一の機能・作用を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
図9は、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム500を模式的に示す図である。可撓性基板の伸縮制御システム500は、可撓性基板に電子デバイスを製造する電子デバイス製造装置4と、電子デバイス製造装置4に搬送される可撓性基板の伸縮を制御する基板伸縮制御装置5とを有している。図9に示すように、本実施形態における電子デバイス製造装置4は、上記第2の実施形態における電子デバイス製造装置4と同様の構成を有している。
図9に示すように、本実施形態における基板伸縮制御装置5は、第1から第3の基板伸縮調整部25,26,27を制御する制御部50と、フィルム基板8に形成されたモアレマークに基づいて発生したモアレ縞(第1,第2及び/又は第3の干渉縞の一例)を撮像する第1光学系撮像装置11、第2光学系撮像装置12及び第3光学系撮像装置13と、第4光学系撮像装置31、第5光学系撮像装置32及び第6光学系撮像装置33と、第7光学系撮像装置52及び第8光学系撮像装置53とを有している。基板伸縮制御装置5は、フィルム基板8に形成されたモアレマークに第1基準板7a,17b,17c及び第3基準板6b,6cを個別に重ね合わせてモアレ縞を発生させる。また、伸縮制御システム500は、ブランケットロール42cに形成されたモアレマークに第2基準板9aを重ね合わせてモアレ縞を発生させ、ブランケットロール43cに形成された転写モアレマークに第2基準板9bを重ね合わせてモアレ縞を発生させ、ブランケットロール44cに形成された転写モアレマークに第2基準板9cを重ね合わせてモアレ縞を発生させる。さらに、基板伸縮制御装置5は、第N層のモアレマーク及び第N+1層のモアレマークを重ね合わせてモアレ縞を発生させる。
基板伸縮制御装置5に備えられた第1光学系撮像装置11、第2光学系撮像装置12及び第3光学系撮像装置13は、上記第1実施形態における第1光学系撮像装置11、第2光学系撮像装置12及び第3光学系撮像装置13とそれぞれ同一の構成を有している。しかしながら、本実施形態における第2光学系撮像装置12は、フィルム基板8上に形成された第2モアレマーク(第3マークの一例)と第1基準板17bに形成された基準モアレマーク(第4マークの一例)とで発現するモアレ縞(第二の干渉縞の一例)に加えて、フィルム基板8上に形成された第1モアレマーク(第1マークの一例)及び第2モアレマークで発現するモアレ縞(第三の干渉縞の一例)も撮像するようになっている。さらに、第2光学系撮像装置12は、第1パターン形成部42がフィルム基板8上に形成したモアレマーク(第1マークの一例)と、第1基準板17b上に形成されている基準モアレマーク(第2マークの一例)との干渉に基づくモアレ縞(第一の干渉縞の一例)を撮像するようになっている。また、本実施形態における第3光学系撮像装置13は、フィルム基板8上に形成された第3モアレマーク(第3マークの一例)と第1基準板17cに形成された基準モアレマーク(第4マークの一例)とで発現するモアレ縞(第二の干渉縞の一例)に加えて、フィルム基板8上に形成された第2モアレマーク(第1マークの一例)及び第3モアレマークで発現するモアレ縞(第三の干渉縞の一例)も撮像するようになっている。さらに、第3光学系撮像装置13は、第2パターン形成部43がフィルム基板8上に形成したモアレマーク(第1マークの一例)と、第1基準板17c上に形成されている基準モアレマーク(第2マークの一例)との干渉に基づくモアレ縞(第一の干渉縞の一例)を撮像するようになっている。
本実施形態による伸縮制御システム500では、フィルム基板8上に形成される第一の層のモアレマークと、この第一の層の直上に形成される第二の層のモアレマークとの干渉に基づくモアレ縞をフィルム基板8の伸縮制御に用いるようになっている。このため、第2パターン形成部43によって形成されるモアレマークは、第1パターン形成部42によって形成されるモアレマークに対しては第3マークに相当し、第3パターン形成部44によって形成されるモアレマークに対しては第1マークに相当する。第3パターン形成部44によって形成されるモアレマークは、第2パターン形成部43によって形成されるモアレマークに対しては第3マークに相当する。電子デバイス製造装置4にさらに第4パターン形成部が備えられている場合には、第3パターン形成部44によって形成されるモアレマークは、この第4パターン形成部によって形成されるモアレマークに対しては第1マークに相当する。
基板伸縮制御装置5に備えられた第7光学系撮像装置52は、フィルム基板8に形成された第1モアレマークと第3基準板6bに形成された基準モアレマークとで発現するモアレ縞を撮像し、撮像したモアレ縞を含む撮像データを制御部50に送信するようになっている。また、基板伸縮制御装置5に備えられた第8光学系撮像装置53は、フィルム基板8に形成された第2モアレマークと第3基準板6cに形成された基準モアレマークとで発現するモアレ縞を撮像し、撮像したモアレ縞を含む撮像データを制御部50に送信するようになっている。
第7光学系撮像装置52及び第8光学系撮像装置53は、同一の構成を有し、同一の機能を発揮するようになっている。また、第3基準板6b及び第3基準板6cは、同一の構成を有し、同一の機能を発揮するようになっている。このため、以下、本実施形態における光学系撮像装置及び第3基準板について、第7光学系撮像装置52及び第3基準板6bを例にとって図9を参照しつつ図10から図14を用いて説明する。図10は、第2パターン形成部43、第2光学系撮像装置12、第5光学系撮像装置32及び第7光学系撮像装置52の近傍を拡大して示す模式図である。図11は、第1基準板17bを基準モアレマークMMR1,MMR2の形成面側から見た状態を示している。図12は、フィルム基板8上に重ね合わせて形成された第1モアレマークMM1及び第2モアレマークMM2をモアレマークの形成面側から見た状態を示す模式図である。図13は、フィルム基板8上に形成された第1モアレマークMM1及び第2モアレマークMM2に第1基準板17bを重ね合わせた状態をモアレマークの形成面側から見た状態を示す模式図である。
図10に示すように、第2パターン形成部43を通過したフィルム基板8には、第2モアレマーク(第3マークの一例)MM2が形成される。第2モアレマークMM2は、ブランケットロール43cに接触するフィルム基板8の面上である素子形成面に形成される。図示は省略するが、第2モアレマークMM2が形成されるフィルム基板8の素子形成面上には、第2バーニヤパターンや第2パターンも形成される。第2パターン、第2バーニヤパターン及び第2モアレマークMM2は、第2パターン形成部43による第2層形成工程においてフィルム基板8の同一面上に形成される。本実施形態におけるバーニヤパターンは、上記第1の実施形態におけるバーニヤパターンV1と同一の形状を有している。
第5光学系撮像装置32は、ブランケットロール43cに光を照射する第1光源32b及び第2光源32cと、ブランケットロール43c及び第2基準板9bを重ね合わせることによって生じたモアレ縞を撮像する撮像部32aとを有している。撮像部32aは、上記第1実施形態における第1光学系撮像装置11に備えられた撮像部11aと同一の構成を有し、同一の機能を発揮するので、詳細な説明は省略する。
第1光源32b及び第2光源32cは、撮像部32aの幅とほぼ同じ間隔を設けて配置されている。第1光源32bは第1発光部325bを有している。第2光源32cは第2発光部325cを有している。第1光源32b及び第2光源32cは、撮像部32aの光軸が交差するブランケットロール43cの表面に第1発光部325b及び第2発光部325cの光軸が向くように配置されている。第1光源32b及び第2光源32cは、ブランケットロール43cの表面に斜め方向から光を照射する。
撮像部32aは、光軸がブランケットロール43cの中心軸と直交するように配置されている。撮像部32aは、第1及び第2光源32b,32cよりもブランケットロール43cから離して配置されている。撮像部32aとブランケットロール43cとの間には、第2基準板9bが配置されている。第2基準板9bは、第1光源32bと第2光源32cとの間に配置されている。第2基準板9bは、基準モアレマークMMRが形成されたマーク形成面をブランケットロール43cのパターン転写面に対向させて配置されている。ブランケットロール43cのパターン転写面には、駆動ロール43aから第2パターン、モアレマーク及びバーニヤパターン等が転写される。
第5光学系撮像装置32及び第2基準板9bは、駆動ロール43a及びブランケットロール43cの接触部と、ブランケットロール43c及びフィルム基板8の接触部との間に配置されている。このため、ブランケットロール43cのパターン転写面に転写された転写モアレマークMT2がフィルム基板8上に再転写される前に、第2基準板9b上に形成された基準モアレマークMMRと転写モアレマークMT2とは重ね合わされる。転写モアレマークMT2は、基準モアレマークMMRを構成する複数の線状パターンのピッチに対して微小なピッチ差(例えばΔPN)を有する複数の線状パターンで構成されている。このため、基準モアレマークMMRと転写モアレマークMT2とを重ね合わせると、モアレ縞が発現する。したがって、第5光学系撮像装置32は、基準モアレマークMMRと転写モアレマークMT2とを重ね合わせて発現するモアレ縞を撮像できる。また、転写モアレマークMT2を構成する複数の線状パターンは、第1モアレマークMM1を構成する複数の線状パターンのピッチに対して微小なピッチ差(例えばΔP2d)を有している。
第7光学系撮像装置52に備えられた光源52bは発光部521を有している。発光部521は、第1パターン形成部22(図9参照)から送出されたフィルム基板8に対向して配置されている。光源52bは、フィルム基板8の素子形成面に対向配置されている。したがって、光源52bは、第1モアレマークMM1が形成されたフィルム基板8の素子形成面側から光を照射することになる。
第7光学系撮像装置52に備えられた撮像部52aは、フィルム基板8を挟んで光源52bと対向配置されている。撮像部52aとフィルム基板8との間には、第3基準板6bが配置されている。第3基準板6bは、基準モアレマーク(第2マークの一例)MMRが形成されたマーク形成面をフィルム基板8の素子形成面の裏面に対向させて配置されている。撮像部52aの構成は、上記第1実施形態における撮像部11aと同一の構成を有し、同一の機能を発揮するようになっている。撮像部52aは、テレセントリックレンズを有している。このため、上記第1の実施形態と異なり第3基準板6bの基準モアレマークMMRと第1モアレマークMM1とが対面していなくても、第7光学系撮像装置52は、動作するフィルム基板8に形成された第1モアレマークMM1と、第3基準板9bに形成された基準モアレマークMMRと、両モアレマークMM1,MMRによって発現するモアレ縞とを正確な寸法で撮像できる。第3基準板6bの基準モアレマークMMRを構成する複数の線状パターンは、転写モアレマークMT2を構成する複数の線状パターンと同じ構成を有している。
第1基準板17bは、基準モアレマーク(第2マークの一例)MMR1及び基準モアレマーク(第4マークの一例)MMR2を有している。第1基準板17bは、基準モアレマークMMR1,MMR2が形成されたマーク形成面を、第2パターン形成部43から送出されたフィルム基板8に対向させて配置されている。このマーク形成面は、第1及び第2モアレマークMM1,MM2などが形成されるフィルム基板8の素子形成面の裏面に対向配置されている。
本実施形態における第2光学系撮像装置12は、上記第1及び第2の実施形態と異なり、第1パターン形成部42で形成された第1モアレマーク(第1マークの一例)MM1と第2パターン形成部43で形成された第2モアレマーク(第3マークの一例)MM2とで発現するモアレ縞(第三の干渉縞の一例)を撮像するようになっている。さらに、第2光学系撮像装置12は、第1基準板17bの基準モアレマークMMR1と第1モアレマークMM1とで発現するモアレ縞(第一の干渉縞の一例)と、第1基準板17bの基準モアレマークMMR2と第2モアレマークMM2とで発現するモアレ縞(第二の干渉縞の一例)とを撮像するようになっている。第2光学系撮像装置12は、これらのモアレ縞を同時に撮像する。
図11に示すように、第1基準板17aは薄板長方形状を有している。第1基準板17a上のほぼ中央には、基準モアレマークMMR1が形成されている。基準モアレマークMMR1は、第1基準板17aの長手方向にほぼ平行に並んで形成された複数の線状パターンを有している。複数の線状パターンは、第1基準板17aの両端辺の中点を結ぶ領域近傍から一方の長辺側に向かって伸びる細長い長方形状を有している。また、第1基準板17a上であって基準モアレマークMMR1と第1基準板17aの他方の長辺側との間には、基準モアレマークMMR2が形成されている。基準モアレマークMMR2は、第1基準板17aの長手方向にほぼ平行に並んで形成された複数の線状パターンを有している。複数の線状パターンは、基準モアレマークMMR1とは所定の間隙を設け、基準モアレマークMMR1から他方の長辺側に向かって伸びる細長い長方形状を有している。
図11中の左下側に示すように、基準モアレマークMMR1は、複数の線状パターンのピッチの値が「P1」となるように形成されている。以下、「P1」は、基準モアレマークMMR1の複数の線状パターンのピッチを示す参照符号としても用いる場合がある。また、図11中の左上側に示すように、基準モアレマークMMR2は、複数の線状パターンのピッチの値が「P2」となるように形成されている。以下、「P2」は、基準モアレマークMMR2の複数の線状パターンのピッチを示す参照符号としても用いる場合がある。
図12中の右側に示すように、第1パターン形成部42において、フィルム基板8上には、第1モアレマークMM1が形成される。第1モアレマークMM1は、フィルム基板8の長手方向にほぼ平行に並んで形成された複数の線状パターンを有している。第1モアレマークMM1は、フィルム基板8の一方の長辺と、製造対象の電子デバイスが形成されるデバイス形成領域DAとの間に形成される。第1モアレマークMM1を構成する複数の線状パターンは、フィルム基板8の一方の長辺に直交する方向に伸びる細長い長方形状を有している。第1モアレマークMM1は、複数の線状パターンのピッチの値が「P1d+ΔP1d」で設計されているが、フィルム基板8の伸縮によるピッチ誤差を含むため、図12中の左下側に示すように、ピッチ「P1+ΔP1」で形成される。
図12中の右側に示すように、第2パターン形成部43において、フィルム基板8上には、第2モアレマークMM2及び第2バーニヤパターンV2が形成される。第2モアレマークMM2は、第2バーニヤパターンV2を挟んで2ヶ所に形成される。可撓性基板上にn層を積層する場合、1層目とn層目のモアレマークは1ヶ所でよいが、2層目からn−1層目までは隣接する両側の層との間でモアレパターンを形成するために、2ヶ所のモアレマークを配することが好ましいからである。
第1モアレマークMM1を含む第一の層の直上に、第1モアレマークMM1が形成された領域の一部に重ね合わされる第2モアレマークMM2を含む第二の層が形成される。つまり、一方の第2モアレマークMM2の一部は、第1モアレマークMM1が形成された領域に重なって形成される。すなわち、第2モアレマークMM2のみが存在する第1部分と、第1モアレマークMM1と第2モアレマークMM2が存在することでモアレ縞MF12が発生する第2部分と、第1部分とは異なる部分であって第1モアレマークMM1のみが存在する第3部分の3つを有するように構成する。第1部分は、第1マーク(例えば第1モアレマークMM1)が形成され、かつ第3マーク(例えば第2モアレマークMM2)が形成されていない領域に相当する。第2部分は、第1マーク(例えば第1モアレマークMM1)と第3マーク(例えば第2モアレマークMM2)とが重ね合わされた領域に相当する。第3部分は、第3マーク(例えば第2モアレマークMM2)が形成され、かつ第1マーク(例えば第1モアレマークMM1)が形成されていない領域に相当する。図11の基準板17bの基準モアレマークMMR2と第1部分、基準板17bの空白部と第2部分、基準板17bの基準モアレマークMMR1と第3部分をそれぞれ重ね合せる構成とすることで、第2モアレマークMM2と基準モアレマークMMR2によるモアレ縞MF2、第2モアレマークMM1と第1モアレマークMM2によるモアレ縞MF12、及び第1モアレマークMM1と基準モアレマークMMR1によるモアレ縞MF1の3つを同時に観察することができる。
他方の第2モアレマークMM2は、第2バーニヤパターンV2を対称軸に一方の第2モアレマークMM2とほぼ線対称に形成されている。2つの第2モアレマークMM2は、フィルム基板8の長手方向にほぼ平行に並んで形成された複数の線状パターンをそれぞれ有している。2つの第2モアレマークMM2をそれぞれ構成する複数の線状パターンは、フィルム基板8の一方の長辺に直交する方向に伸びる細長い長方形状を有している。2つの第2モアレマークMM2は、複数の線状パターンのピッチの値が「P2d+ΔP2d」で設計されているが、フィルム基板8の伸縮によるピッチ誤差を含むため、図12中の左下側に示すように、ピッチ「P2+ΔP2」で形成される。
図12中の中央に示すように、フィルム基板8には、第1モアレマークMM1の形成と同時に第1バーニヤパターンV1が形成される。第1バーニヤパターンV1は、長方形状パターンを複数有している。長方形状パターンは、フィルム基板8の長辺に沿う長辺を有している。第1バーニヤパターンV1を構成する長方形状パターンは、第2層を位置合わせするときのモアレと同じピッチで設計されている。
第2バーニヤパターンV2は、第1バーニヤパターンV1と同様に、長方形状パターンを複数有している。長方形状パターンは、フィルム基板8の長辺に沿う長辺を有している。第2バーニヤパターンV2を構成する長方形状パターンは、次層である第3層を位置合わせするときのモアレと同じピッチで設計されている。
第1及び第2バーニヤパターンV1,V2は、第1及び第2モアレマークMM1,MM2と同じ材料で形成されている。第1及び第2モアレマークMM1,MM2並びに第1及び第2バーニヤパターンV1,V2は、光を透過及び反射し難くなっている。
第1モアレマークMM1のピッチP1+ΔP1と、第2モアレマークMM2のピッチP2+ΔP2との差は「ΔP1−ΔP2」であり、「P1」及び「P2」と比較すると微小な値である。このため、上記第1の実施形態において「P1」及び「P1+ΔP1」を用いて説明したのと同様に、第1モアレマークMM1と第2モアレマークMM2とが重なり合って形成されることにより、図12中の中央に示すように、第1及び第2モアレマークMM1,MM2が重なり合う領域には、モアレ縞MF12が発現する。
図13に示すように、第1基準板17bを第1モアレマークMM1,MM2の形成領域に重ねると、第1基準板17b上に形成された基準モアレマークMMR1の一部は、第1モアレマークMM1の形成領域の一部と重なり合い、第1基準板17b上に形成された基準モアレマークMMR2の一部は、第2モアレマークMM2の形成領域の一部と重なり合う。第1モアレマークMM1のピッチP1+ΔP1と、基準モアレマークMMR1のピッチP1との差は「ΔP1」であり、「P1」と比較すると微小な値である。また、第2モアレマークMM2のピッチP2+ΔP2と、基準モアレマークMMR2のピッチP2との差は「ΔP2」であり、「P2」と比較すると微小な値である。このため、上記第1の実施形態において「P1」及び「P1+ΔP1」を用いて説明したのと同様に、第1モアレマークMM1と基準モアレマークMMR1とが重なり合うことにより、図13に示すように、両マークMM1,MMR1が重なり合う領域には、モアレ縞MF1が発現する。同様に、第2モアレマークMM2と基準モアレマークMMR2とが重なり合うことにより、図13に示すように、両マークMM2,MMR2が重なり合う領域には、モアレ縞MF2が発現する。第2光学系撮像装置12は、モアレ縞MF1,MF2,MF12及び第1バーニヤパターンV1がそれぞれ撮像領域α内に2つ以上入る視野でモアレ縞MF1,MF2,MF12及び第1バーニヤパターンV1を撮像する。
図14は、制御部50における画像処理及び補正量の算出を説明する図である。図14(a)は、画像処理部50aが第2光学系撮像装置12から受信した撮像データに基づいて生成した撮像領域αの画像の一例を示している。図14(b)は、図14(a)に示す画像に基づくバーニヤ輝度分布及びモアレ縞輝度分布を示している。図14(b)中の第1段目にバーニヤ輝度分布を示し、第2段目にモアレ縞MF12輝度分布を示し、第3段目にモアレ縞MF2輝度分布を示し、第4段目にモアレ縞MF1輝度分布を示している。図14(b)中の「バーニヤ輝度分布」は、図14(a)に示す第1バーニヤパターンV1の画像に基づく輝度分布を表し、「モアレ縞MF12輝度分布」は、図14(a)に示すモアレ縞MF12の画像に基づく輝度分布を表し、「モアレ縞MF2輝度分布」は、図14(a)に示すモアレ縞MF2の画像に基づく輝度分布を表し、「モアレ縞MF1輝度分布」は、図14(a)に示すモアレ縞MF1の画像に基づく輝度分布を表している。図14(b)において、第1段目の縦軸は第1バーニヤパターンV1の輝度の高低を示し、第1段目の横軸は図14(a)に示す直線L1上の位置を示している。また、図14(b)において、第2段目から第4段目の縦軸は各モアレ縞の輝度の高低を示し、第2段目から第4段目の横軸は、図14(b)に示す直線L1に平行であって各モアレ縞の中心の位置を示している。
画像処理部50aは、第2光学系撮像装置12から送信された撮像データを画像処理する。図14(a)に示すように、画像処理部50aは、画像処理した結果、第1モアレマークMM1及び第2モアレマークMM2が重なり合うことにより発生するモアレ縞MF12と、第1モアレマークMM1及び基準モアレマークMMR1が重なり合うことにより発生するモアレ縞MF1と、第2モアレマークMM2及び基準モアレマークMMR2が重なり合うことにより発生するモアレ縞MF2と、第1バーニヤパターンV1とが表示された画像を生成する。基準モアレマークMMR1,MMR2、第1及び第2モアレマークMM1,MM2及び第1バーニヤパターンV1は、光源12b(図10参照)が照射する光をほとんど透過しないので、画像処理部50aが生成した画像において相対的に暗い色(例えば黒色)で表される。また、第1モアレマークMM1の線状パターンと第2モアレマークMM2の線状パターンとが重なり合う重なり位置の近傍は、線状パターンの密度が疎となるため、画像処理部50aが生成した画像において相対的に明るい色で表される。一方、第1モアレマークMM1及び第2モアレマークMM2の一方の線状パターンが他方の線状パターンの間に配置される位置の近傍は、線状パターンの密度が密となるため画像処理部50aが生成した画像において相対的に暗い色で表される。また、第1モアレマークMM1の線状パターンと基準モアレマークMMR1の線状パターンとが重なり合う重なり位置の近傍は、線状パターンの密度が疎となるため、画像処理部50aが生成した画像において相対的に明るい色で表される。一方、第1モアレマークMM1及び基準モアレマークMMR1の一方の線状パターンが他方の線状パターンの間に配置される位置の近傍は、線状パターンの密度が密となるため画像処理部50aが生成した画像において相対的に暗い色で表される。さらに、第2モアレマークMM2の線状パターンと基準モアレマークMMR2の線状パターンとが重なり合う重なり位置の近傍は、線状パターンの密度が疎となるため、画像処理部50aが生成した画像において相対的に明るい色で表される。一方、第2モアレマークMM2及び基準モアレマークMMR2の一方の線状パターンが他方の線状パターンの間に配置される位置の近傍は、線状パターンの密度が密となるため画像処理部50aが生成した画像において相対的に暗い色で表される。
図14(a)に示す画像を画像処理部50aから受信した補正量算出部50bは、第2モアレマークMM2のパターンひずみεを算出する。補正量算出部50bは、パターンひずみεを算出するためにまず、図14(b)に示すバーニヤ輝度分布及びモアレ縞輝度分布のグラフを生成する。補正量算出部50bは、第1バーニヤパターンV1の画像の短辺中央を結ぶ直線L1上の明暗に基づいて、バーニヤ輝度分布のグラフを生成する。第1バーニヤパターンV1は、複数の長方形状パターンで構成されている。このため、バーニヤ輝度分布は、図14(b)中の第1段目に示すように矩形状となる。また、補正量算出部50bは、直線L1にほぼ平行であってモアレ縞MFの画像の中央を横断する直線上の明暗に基づいて、モアレ縞MF12輝度分布のグラフを生成する。第1モアレマークMM1の線状パターンと第2モアレマークMM2の線状パターンとで形成される線状パターンの密度は、疎の状態から密の状態へかつ密の状態からその状態へ徐々に変化する。このため、モアレ輝度分布は、図14(b)中の第2段目に示すように正弦波のような波型形状となる。また、補正量算出部50bは、直線L1にほぼ平行であってモアレ縞MF2の画像の中央を横断する直線上の明暗に基づいて、モアレ縞MF2輝度分布のグラフを生成する。第2モアレマークMM2の線状パターンと基準モアレマークMMR2の線状パターンとで形成される線状パターンの密度は、疎の状態から密の状態へかつ密の状態からその状態へ徐々に変化する。このため、モアレ縞MF2輝度分布は、図14(b)中の第3段目に示すように正弦波のような波型形状となる。さらに、補正量算出部50bは、直線L1にほぼ平行であってモアレ縞MF1の画像の中央を横断する直線上の明暗に基づいて、モアレ縞MF1輝度分布のグラフを生成する。第1モアレマークMM1の線状パターンと基準モアレマークMMR1の線状パターンとで形成される線状パターンの密度は、疎の状態から密の状態へかつ密の状態からその状態へ徐々に変化する。このため、モアレ縞MF1輝度分布は、図14(b)中の第4段目に示すように正弦波のような波型形状となる。
制御部50は、第7光学系撮像装置52及び第5光学系撮像装置32から送信される画像データについて、上記第1の実施形態における図15(a)に示す画像処理を実行し、図5(b)に示すモアレ縞輝度分布を生成する。詳細は後述するが、基板伸縮制御装置5は、フィルム基板8の伸縮を補正する補正量を算出するために、第5光学系撮像装置32から送信される撮像データに基づくパターンひずみε1と、第7光学系撮像装置52から送信される撮像データに基づくパターンひずみε2と、第2光学系撮像装置12から送信される撮像データに基づくアライメント誤差とを算出するようになっている。
図9に示すように、本実施形態では、1層目を形成する前段階では、フィルム基板8上にモアレマークやバーニヤパターンが形成されていない。このため、伸縮制御システム500は、第1パターン形成部42と第1の基板伸縮調整部25との間に光学系撮像装置を有していない。また、第1パターン形成部42と第2パターン形成部43との間の基板搬送路を送出されているフィルム基板8上には、モアレマークとして第1モアレマークしか形成されていない。このため、伸縮制御システム500は、第1パターン形成部42と第2の基板伸縮調整部26との間に配置された第1光学系撮像装置11は、第1基準板7aと第1モアレマークとを重ね合わせることによって発現するモアレ縞を撮像するようになっている。
次に、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法、位置合わせ方法及び電子デバイスの製造方法について図9から図14を再び用いて説明する。本実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法な処理は、上記第1の実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法の処理に加えてバーニヤ輝度分布の作成及びバーニヤピッチPvの算出ステップが含まれる。本実施形態では、図6に示すステップS1からステップS7の処理において、第2光学系撮像装置12の他に、第5光学系撮像装置32及び第7光学系撮像装置52から送信された撮像データに基づいてパターンひずみも算出するようになっている。また、図6に示すステップS7とステップS11との間に、バーニヤパターンに基づくバーニヤ輝度分布を作成するステップと、作成したバーニヤ輝度分布に基づいてバーニヤピッチを算出する算出ステップが実行される。また、本実施形態では、図6に示すステップS15において第2光学系撮像装置12から送信された撮像データに基づいてアライメント誤差を求めるようになっている。以下、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法について、図10に示す第2パターン形成部43が形成する第2パターンを例にとって説明する。
1層目(N層目に対応)では、ピッチP1の周期性をもつ1層目の第1モアレマークMM1と、ひずみがゼロの理想的なパターニングができたときに発現するモアレ縞のピッチと同じピッチのバーニヤパターンV1をフィルム基板8上にパターニングする。
2層目(N+1層目に対応)の第2パターンを形成する第2パターン形成部43の前の空走部(例えば第2の基板伸縮調整部26と第2パターン形成部43との間)において、2層目の第2モアレマークMM2と同じピッチのモアレマークがパターニングされた第3基準板6bと、フィルム基板8上にすでにパターニングされている1層目のモアレマークMM1とを重ね合わせて、モアレ縞MF1及びバーニヤパターンV1が2つ以上入る視野で、モアレ縞MF1及びバーニヤパターンV1を第7光学系撮像装置52で撮像する。
第2層目の第2パターン形成部43のブランケットロール43c上に、1層目のモアレマークのピッチと微小なピッチ差ΔP1をもつピッチP1+ΔP1の周期性をもつ2層目の転写モアレマークMT2をパターニングする。
1層目のモアレマークMM1と同じピッチの基準モアレマークMMRがパターニングされた第2基準板9bと、ブランケットロール43c上に形成されている2層目の転写モアレマークMT2とを重ね合わせて、モアレ縞MF2及びバーニヤパターンV1が2つ以上入る視野で、モアレ縞MF2及びバーニヤパターンV1を第5光学系撮像装置32で撮像する。
ブランケットロール43c上に形成された2層目のパターンを、フィルム基板8上に再転写し、2層目の第2モアレマークMM2を、1層目の第1モアレマークMM1に重ねる。
フィルム基板8上で重ね合わされた1層目の第1モアレマークMM1と2層目の第2モアレマークMM2により発現したモアレ縞MF12と、第1基準板17bの基準モアレマークMMR1,MMR2と第1及び第2モアレマークMM1,MM2とにより発現したモアレ縞MF1,MF2と、バーニヤパターンV1とが2つ以上入る視野で、モアレ縞MF12,MF1,MF2及びバーニヤパターンV1を第2光学系撮像装置12で撮像する。
撮像されたモアレ縞MF1,MF2,MF12及びバーニヤパターンV1の撮像データは、制御部50に送信される。これらの撮像データを受信した画像処理部50aは、画像処理して3つの画像A1,A2,A3を生成する。画像処理部50aは、モアレ縞MF1及びバーニヤパターンV1に基づいて画像A1を生成し、モアレ縞MF2及びバーニヤパターンV1に基づいて画像A2を生成し、モアレ縞MF1,2,12及びバーニヤパターンV1に基づいて画像A3(図14(a)参照)を生成する。補正量算出部50bは、画像処理部50aが生成した3つの画像A1,A2,A3を用いて、モアレ縞MF1,MF2,MF12のそれぞれのモアレ縞輝度分布とバーニヤパターンV1のバーニヤ輝度分布とを得る。
補正量算出部50bは、バーニヤ輝度分布からバーニヤピッチPvを算出し、モアレ縞輝度分布からモアレ縞MF1,MF2,MF12のそれぞれのモアレ縞ピッチPm1,Pm2,Pm12を算出する。バーニヤピッチPv及びモアレ縞ピッチPm1と式(1)とを用いて、設計上の1層目に対する2層目の相対的なパターンひずみε1を求める。
バーニヤピッチPv及びモアレ縞ピッチPm2と式(1)とを用いて、設計上の2層目に対する1層目の相対的なパターンひずみε2を求める。
バーニヤピッチPv及びモアレ縞ピッチPm12と式(1)とを用いて、2層目に対する1層目の相対的なパターンひずみε3を求める。
画像A3に基づくバーニヤ輝度分布とモアレ縞輝度分布との位相差Em(図14(b)参照)と、以下の式(3)とを用いて1層目に対する2層目のアライメント誤差eを求める。
e=((P2+ΔP2)×(1+ε1)−(P1+ΔP1)×(1+ε2))/((P2+ΔP2)×(1+ε1))×Em ・・・(3)
1層目に対する2層目の相対的なパターンひずみε3が最小化するように、フィルム基板8に印加する張力を変えて1層目のパターンひずみε1を2層目のパターンひずみε2に追従するように補正する。1層目に対する2層目のアライメント誤差e(位相差Em)が最小化するように、2層目の位置合わせを行う。
本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、フィルム基板8は、0.1mから10m/分の速度で搬送されるのに対し、モアレ縞は、100ms毎に撮像されてパターンひずみが算出されるようになっている。このため、本実施形態では、フィルム基板8がおよそ0.2mmから2mm搬送される毎にフィルム基板8の伸縮が制御される。
本実施形態における電子デバイス製造装置4は、1層目の第1パターンの形成時に第1モアレマークMM1をフィルム基板8上に形成し、2層目の第2パターンの形成時に第2モアレマークMM2の少なくとも一部を第1モアレマークMM1に重ねてフィルム基板8上に形成し、3層目の第3パターンの形成時に第3モアレマークの少なくとも一部を第2モアレマークMM2に重ねて形成するようになっている。本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム及び伸縮制御方法によれば、可撓性基板上に積層されるモアレマークのアライメント誤差が最小となるように、可撓性基板に印加する張力を制御するようになっている。これにより、第1から第3モアレマークの相対的な位置合わせができるので、第1から第3パターンが位置合わせされ、所望の積層パターンを形成できる。
このように、本実施形態による位置合わせ方法は、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御方法を用いてフィルム基板8上に積層する積層パターンを位置合わせするようになっている。また、本実施形態による位置合わせ方法は、第1から第3モアレマーク及び基準モアレマークを位置合わせマークとして用いるようになっている。
また、本実施形態による位置合わせ方法を用いることにより、所望の積層パターンを形成することができる。このため、本実施形態による電子デバイスの製造方法は、本実施形態による位置合わせ方法を用いて所望の積層パターンを形成し、この積層パターンによって構成される電子デバイスを製造することができる。
以上説明したように、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム及び伸縮制御方法によれば、モアレ縞を利用して画素オーダー以下の微小なアライメント誤差を拡大して測定することができる。また、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システム及び伸縮制御方法によれば、モアレ縞を利用して各層のパターンの微小な相対ひずみを拡大して測定することができる。N層目とN+1層目を重ね合わせる場合、基準となるのはN層目のパターンである。パターン形成部間を流れているフィルム基板上でN層目のパターンが変化するとモアレ縞の拡大率が変化してしまう。しかしながら、本実施形態による可撓性基板の伸縮制御システムは、N層目のパターンに対するN+1層目のパターンの相対ひずみを同時に測定することにより、パターンひずみ分を補正した正確なアライメント誤差eを求めることが可能となる。
また、本実施形態による伸縮制御システム500は、N+1層目のパターンを形成する前段階でN層目のモアレマークを利用してフィルム基板8の伸縮を制御できる。このため、伸縮制御システム500は、フィルム基板8に形成される第N+1層目のモアレマークのひずみを予測して制御するフィードフォワード制御が可能になっている。N層目のモアレマークを利用することにより、フィルム基板8に生じている局所的な張力変動、すなわち非周期的な張力変動を第N+1層目のパターンを形成する前に検出することができる。また、制御部50は、第N層目のモアレマークと第N+1層目のモアレマークとで発現されるモアレ縞に基づいて、フィルム基板8に印加する張力を制御するための補正量を算出できる。このため、伸縮制御システム500は、フィルム基板8に実際に形成されたモアレマークのひずみに基づいて制御するフィードバック制御が可能になっている。N層目及びN+1層目のモアレマークを利用することにより、周期的な張力変動を検出できる。
したがって、本実施形態による伸縮制御システム500は、非周期的及び周期的な張力変動を検知して第1から第3パターンの形成前後でフィルム基板8の伸縮を制御でき、より高精度に各層のパターンの位置合わせができる。