JP2020114745A - パッケージ - Google Patents

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Kengo Okamura
賢吾 岡村
美季 福上
Yoshisue Fukugami
美季 福上
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Abstract

【課題】レトルト臭の抑制と、酸素バリア性との両立可能なパッケージを提供する。【解決手段】パッケージは、ガスバリア積層体及びシーラントを含むシートから構成される包装体と、包装体に収容されており、含硫アミノ酸を含む内容物と、を備える。ガスバリア積層体は、樹脂基材と、無機酸化物を含む第1層と、カルボン酸系ポリマーを含有する第2層と、多価金属化合物及び樹脂を含有する第3層とを有する。樹脂基材と、第1層と、第2層と、第3層とは、この順序で包装体の外側から内側に向かって積層されている。第3層の厚さは、0.1μm以上であり、第2層における硫黄の含有率が1.0atm%以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、パッケージに関し、特に含硫アミノ酸を含む内容物が収容されるパッケージに関する。
食品、飲料、医薬品、および化学品等の多くの分野では、それぞれの内容物に応じた包装体が開発されている。このような包装体には、内容物の変質防止機能が求められる。包装体が内容物の変質防止機能を奏するため、例えば酸素及び水蒸気等の透過防止性(ガスバリア性)が包装体に付与される。例えば下記特許文献1には、カルボン酸系ポリマーに含まれる−COO−基の少なくとも一部が、2価以上の金属イオン(多価金属イオン)によって中和されている層を備えるガスバリア積層体が開示されている。このようなガスバリア積層体は、例えば加圧加熱殺菌処理(レトルト処理)用の包装体に用いられる。これにより、包装体に対してレトルト処理が実施された後でも、当該包装体の酸素バリア性の確保を図っている。なお、酸素バリア性は、酸素透過を防止する性能を意味する。
特許第4365826号公報
ところで、レトルト処理後の製品の内容物が硫黄を含有する場合、当該硫黄に起因した不快な臭い(レトルト臭)が包装体内に発生することがある。そこで、レトルト臭の原因である硫黄を、上記ガスバリア積層体にて吸収することが考えられる。しかしながら、当該物質を上記ガスバリア積層体にて吸収すると、酸素バリア性が劣化する傾向にある。
本発明の一側面の目的は、レトルト臭の抑制と、酸素バリア性との両立可能なパッケージを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、レトルト処理時に内容物から発生する硫黄が、カルボン酸系ポリマーに結合されている多価金属化合物の多価金属イオンに結合することを見出した。これにより、従来のガスバリア積層体によってレトルト臭を抑制できたとしても、ガスバリア積層体の酸素バリア性が劣化することが見出された。本発明者らは、上記知見に基づいたさらなる検討の末、以下に示す本発明の一側面を完成させた。
本発明の一側面に係るパッケージは、ガスバリア積層体及びシーラントを含むシートから構成される包装体と、包装体に収容されており、含硫アミノ酸を含む内容物と、を備えるパッケージである。ガスバリア積層体は、樹脂基材と、無機酸化物を含む第1層と、カルボン酸系ポリマーを含有する第2層と、多価金属化合物及び樹脂を含有する第3層とを有し、樹脂基材と、第1層と、第2層と、第3層とは、この順序で包装体の外側から内側に向かって積層されており、第3層の厚さは、0.1μm以上であり、第2層における硫黄の含有率が1.0atm%以下である。
このパッケージの包装体を構成するガスバリア積層体は、多価金属化合物及び樹脂を含有する第3層を備える。これにより、例えばレトルト処理等の際に内容物から発生した硫黄は、第3層の多価金属化合物と化学反応する。これにより、硫黄がガスバリア積層体に留められるので、レトルト臭を抑制できる。ここで、第3層の厚さは0.1μm以上であるので、第3層には十分量の多価金属化合物が含有し得る。加えて、第2層における硫黄の含有率は、1.0atm%以下である。この場合、硫黄は第3層にて良好に留められるので、硫黄が第2層まで到達することが抑制されている。このため、硫黄による第2層への悪影響を抑制できるので、第2層にて発揮される酸素バリア性を維持できる。したがって、上記パッケージを用いることによって、含硫アミノ酸を含む内容物が収容されている場合であっても、レトルト臭の抑制と、酸素バリア性とが両立可能である。
第3層の厚さは、0.5μm以下でもよい。この場合、第3層の可撓性低下を良好に抑制できる。
上記加熱処理の実施後、第3層における硫黄の含有率が1.0atm%以上15atm%以下であってもよい。この場合、内容物から発生した硫黄が良好に第3層内に留められるので、レトルト臭が良好に抑制される。
多価金属化合物は、酸化亜鉛であってもよい。
第2層は、金属イオンを介してカルボン酸系ポリマー同士が架橋した架橋構造を有してもよい。この場合、第2層による酸素バリア性が良好に発揮される。
ガスバリア積層体は、樹脂基材と第1層との間に位置し、有機化合物を含む下地層を有してもよい。この場合、樹脂基材と第1層との剥離を抑制できる。
本発明の一側面によれば、レトルト臭の抑制と、酸素バリア性との両立可能なパッケージを提供できる。
図1は、パッケージの概略平面図である。 図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。 図3は、ガスバリア積層体の概略断面図である。 図4(a)〜(d)は、レトルト処理の実施時におけるガスバリア積層体の変化を説明するための模式図である。 図5(a),(b)は、レトルト処理の実施時におけるパッケージの変化を説明するための模式図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
<パッケージの概要>
図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係るパッケージについて説明する。図1は、パッケージの概略平面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
図1及び図2に示されるパッケージ1は、液体及び固体等を収容する密封容器である。パッケージ1には、加圧加熱殺菌処理(レトルト処理)又はボイル処理が実施可能である。レトルト処理は、例えば食品衛生法で定められた湿熱殺菌処理である。また、ボイル処理は、対象物を湯煎する殺菌処理である。レトルト処理は、100℃以上にて実施される殺菌処理である。一方、ボイル処理は、100℃未満にて実施される殺菌処理である。本実施形態では、パッケージ1にレトルト処理が実施されている。具体例としては、125℃の水蒸気がパッケージ1に対して30分間照射される。
パッケージ1は、シート3から構成される包装体2と、包装体2に収容される内容物4とを備える。包装体2は、例えば二つ折りにしたシート3の端部をヒートシールすることによって袋形状に形成される。包装体2の形状と、シート3の構成との詳細は後述する。内容物4は、例えば液体L及び固体Sを含む。液体Lは、例えば水、油、清涼飲料水、アルコール飲料、有機溶媒等である。固体Sは、含硫アミノ酸を含む肉類、豆類等である。含硫アミノ酸は、例えばメチオニン、システインである。システインは、例えばL−システイン(2−アミノ−3−スルファニルプロピオン酸:HSCHCH(NH)COOH)であり、以下の化学式(1)にて示される。内容物4は、包装体2によって真空包装されてもよい。もしくは、内容物4と気体とが包装体2に収容されてもよい。気体は、空気でもよいし、不活性ガスでもよい。内容物4の劣化を抑制する観点から、気体は不活性ガスでもよい。
Figure 2020114745
<シート>
ここで、図2及び図3を参照しながら、包装体2を構成するシート3について詳細に説明する。図3は、シートに含まれるガスバリア積層体の概略断面図である。シート3は、ガスバリア積層体10と、ガスバリア積層体10上に位置する接着層21と、接着層21上に位置するカバー層22とを備える。
<ガスバリア積層体>
図2及び図3に示されるガスバリア積層体10は、少なくとも酸素及び水蒸気等のガスバリア性を示すフィルムである。また、ガスバリア積層体10は、例えば可撓性及び光透過性等の少なくとも何れかを示す。上述したように、パッケージ1にはレトルト処理又はボイル処理が実施可能であるので、ガスバリア積層体10は、耐熱性も示す。ガスバリア積層体10は、ガスバリア性及び耐熱性の他に要求される性能(例えば、遮光性、耐水性、耐温湿性、機械的強度、印刷容易性、装飾容易性等)を備え得る。なお、ガスバリア性は、酸素及び水蒸気等のガス透過を防止する性能を意味する。
ガスバリア積層体10は、樹脂基材11、下地層12、第1層13、第2層14、第3層15を備える。樹脂基材11、下地層12、第1層13、第2層14、第3層15は、順に積層されている。
樹脂基材11は、支持体となる樹脂フィルム(プラスチックフィルム)である。樹脂基材11は、例えば、ポリオレフィン系重合体、及びその酸変性物;ポリエステル系重合体;ポリアミド系重合体;ポリエーテル系重合体;ハロゲン系重合体;アクリル系重合体;ポイイミド系重合体;エポキシ系重合体の少なくとも一種を含むフィルムである。このため、樹脂基材11は、上記重合体を構成するモノマーの共重合体でもよい。また、樹脂基材11は、例えば、セルロースアセテート等の天然高分子化合物を含有してもよい。樹脂基材11は、延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよい。樹脂基材11の厚さは、例えば5μm以上10mm以下でもよく、5μm以上800μm以下でもよく、5μm以上500μm以下でもよい。
樹脂基材11は、下地層12に接する第1表面11aと、樹脂基材11の厚さ方向において第1表面11aの反対側に位置する第2表面11bとを有する。下地層12との密着性の観点から、第1表面11aには表面処理が施されてもよい。表面処理は、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理等である。第2表面11b上には、例えば、バリア性フィルム、無機蒸着フィルム、又は金属箔等のバリア膜が設けられてもよい。このバリア膜は、例えば、液体及び空気が樹脂基材11を通過することを阻害する機能、及び光が樹脂基材11を透過することを抑制する機能等を示す。バリア性フィルムとしては、例えばポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、又はポリビニルアルコール(PVA)等から構成されるフィルムが挙げられる。また、無機蒸着フィルムは、樹脂フィルムに対して、アルミニウム、アルミナ、又はシリカ等が蒸着されたフィルムである。
下地層12は、樹脂基材11と第1層13との密着性向上に寄与する層であり、ウレタン化合物を含む。下地層12の厚さは、例えば0.01μm以上2μm以下である。下地層12の厚さは、0.05μm以上1μm以下であってもよい。下地層12の厚さが0.01μm以上である場合、下地層12の特性が良好に発揮される。下地層12の厚さが2μm以下である場合、ガスバリア積層体10の可撓性低下を良好に抑制できる。これにより、ガスバリア積層体10を曲げたとき、下地層12にクラックが発生することを防止できる。下地層12は、例えばウレタン化合物を含む液(アンカーコート液)を樹脂基材11の第1表面11aに塗布することによって形成される。アンカーコート液の溶媒は、例えば極性溶媒である。アンカーコート液は、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、ロールコート法、ドクターブレード法等の周知の方法によって第1表面11aに塗布される。
下地層12に含まれるウレタン化合物は、例えば、オルガノシランもしくは有機金属化合物と、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物との反応物である。オルガノシランは、例えば3官能オルガノシラン、もしくは3官能オルガノシランの加水分解物である。有機金属化合物に含まれる金属元素は、例えばAl、Ti、Zr等である。有機金属化合物は、例えば金属アルコキシドもしくは金属アルコキシドの加水分解物である。3官能オルガノシランの加水分解物及び金属アルコキシドの加水分解物のそれぞれは、少なくとも一つの水酸基を有していればよい。ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応性の観点から、ポリオール化合物は、ポリマーでもよい。この場合、透明性の観点から、ポリオール化合物は、アクリルポリオールでもよい。イソシアネート化合物は、主に架橋剤もしくは硬化剤として機能する。イソシアネート化合物は、モノマーでもよいしポリマーでもよい。
第1層13は、水蒸気に対するガスバリア性(水バリア性)を示す層であり、下地層12上に位置すると共に無機酸化物を含有する。無機酸化物は、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化錫等である。第1層13の透明性及び水バリア性の観点から、無機酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれてもよい。第1層13の厚さは、例えば5nm以上100nm以下である。第1層13の厚さは、10nm以上50nm以下であってもよい。第1層13の厚さが5nm以上である場合、水蒸気に対する水バリア性が良好に発揮される。第1層13の厚さが100nm以下である場合、ガスバリア積層体10の可撓性低下を良好に抑制できる。これにより、ガスバリア積層体10を曲げたとき、第1層13にクラックが発生することを防止できる。なお、第1層13は、複数種類の無機酸化物を含んでもよい。
第1層13は、例えば物理気相成長法もしくは化学気相成長法などによって形成される蒸着層である。物理気相成長法は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等である。第1層13の下地層12への密着性と、第1層13の緻密性とを向上する観点から、プラズマアシスト法、イオンビームアシスト法等が実施されてもよい。第1層13の透明性を向上する観点から、第1層13の形成時、酸素ガス等が製造チャンバ内に供給されてもよい。
第2層14は、酸素に対するガスバリア性(酸素バリア性)を示す層であり、第1層13上に位置すると共にカルボン酸系ポリマーを含有する。第2層14の厚さは、例えば0.01μm以上5μm以下である。第2層14の厚さは、0.02μm以上3μm以下でもよく、0.04μm以上1.2μm以下でもよい。第2層14の厚さが0.01μm以上である場合、酸素バリア性が良好に発揮される。第2層14の厚さが5μm以下である場合、ガスバリア積層体10の可撓性低下を良好に抑制できる。第2層14は、例えば、少なくともカルボン酸系ポリマーを含有するコーティング液を第1層13上に塗布することによって形成される。コーティング液は、上記アンカーコート層と同様の手法にて第1層13上に塗布される。コーティング液の溶媒は、水及び有機溶媒の少なくともいずれかを含めばよい。
第2層14に含まれるカルボン酸系ポリマーは、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸重合体;エチレン性不飽和カルボン酸モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類等である。エチレン性不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸である。エチレン性不飽和モノマーは、例えば、飽和カルボン酸ビニルエステル系モノマー(エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等)、アルキルアクリレート系モノマー、アルキルメタクリレート系モノマー、アルキルイタコネート系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等である。第2層14は、複数種類のカルボン酸系ポリマーを含んでもよい。なお、カルボン酸系ポリマーは、2個以上のカルボキシ基を有するモノマーの重合体でもよい。
第2層14の酸素バリア性の観点から、カルボン酸系ポリマーは、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸及びクロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位を含む重合体でもよい。この場合、重合体における上記構成単位の割合は、80mol%以上でもよく、90mol%以上でもよい。
カルボン酸系ポリマーの数平均分子量は、例えば2,000以上10,000,000以下である。カルボン酸系ポリマーの数平均分子量は、5,000以上1,000,000以下でもよい。カルボン酸系ポリマーの数平均分子量が2,000以上である場合、第2層14は、良好な耐水性を示す。これにより、水分に起因した第2層14の酸素バリア性の劣化、及び、第2層14が白化することを良好に抑制できる。カルボン酸系ポリマーの数平均分子量が10,000,000以下である場合、第2層14を容易に形成できる。なお、カルボン酸系ポリマーの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた、ポリスチレン換算の数平均分子量である。
第1層13と第2層14との密着性向上の観点から、第2層14は、シランカップリング剤、その加水分解物及びそれらの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素含有化合物を含んでもよい。この場合、第2層14の耐熱性、耐水性等も向上可能である。シランカップリング剤は、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等である。シランカップリング剤の加水分解物は、上記カップリング剤の酸素に結合されるアルキル基の少なくとも一つが水酸基に置換されたものである。シランカップリング剤の縮合物は、例えば、2分子の加水分解物のSi−OH同士が縮合してなるSi−O−Si結合(シロキサン結合)を有する。第2層14がケイ素含有化合物を含有する場合、カルボン酸系ポリマーとケイ素含有化合物との質量比は、例えば、99.5:0.5〜80:20である。この場合、優れた耐虐待性を示すガスバリア積層体10が得られる。また、第1層13と第2層14との剥離が生じにくくなる。加えて、第2層14の厚さが均一になりやすくなると共に、第2層14が良好な耐酸性を示し得る。
カルボン酸系ポリマーに含まれるカルボキシ基の一部は、予め塩基性化合物にて中和されてもよい。この場合、第2層14の酸素バリア性をさらに向上できる。加えて、第2層14の耐熱性も向上できる。塩基性化合物は、例えば、多価金属化合物、一価金属化合物、アンモニア等が挙げられる。多価金属化合物は、例えば、第3層15に含まれる多価金属化合物(詳細は後述)と同様のものである。多価金属化合物である塩基性化合物は、例えば酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等である。一価金属化合物である塩基性化合物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等である。
本実施形態では、第2層14は、少なくとも塩基性化合物を構成する陽イオンを含有する。当該陽イオンは、第3層15から第2層14へ拡散された多価金属イオンである。このため本実施形態では、多価金属イオンとカルボキシ基とによるイオン架橋が形成される。換言すると、第2層14は、多価金属イオンを介してカルボン酸系ポリマー同士が架橋した架橋構造を有する。これにより、第2層14は、優れた酸素バリア性を発揮できる。例えば、ガスバリア積層体10の酸素透過度は、0.1cc/m・day・atm以下を示す。
本実施形態では、第2層14における硫黄の含有率は、1.0atm以下である。このため、上述したようにパッケージ1にレトルト処理が実施された後であっても、第2層14には上記架橋構造が十分に残存し得る。したがって、ガスバリア積層体10による酸素バリア性が良好に発揮される。
第2層14は、各種添加物を含んでもよい。添加物は、例えば、可塑剤、樹脂、分散剤、界面活性剤、柔軟剤、安定剤、アンチブロッキング剤、膜形成剤、粘着剤、酸素吸収剤等である。
第3層15は、レトルト臭の原因となる硫黄を吸収するための層であり、第2層14上に位置すると共に多価金属化合物及び樹脂を含有する。本実施形態では、第3層15は、第2層14へ拡散する多価金属イオンの供給源でもある。第3層15の厚さは、例えば0.1μm以上0.5μm以下である。第3層15の厚さが0.1μm以上である場合、第3層15に十分量の多価金属化合物を含有させることができる。第3層15の厚さが0.5μm以下である場合、第3層15の可撓性低下を良好に抑制できる。第3層15は、例えば多価金属化合物及び樹脂を含有するコーティング液を第2層14上に塗布することによって形成される。コーティング液は、上記アンカーコート層と同様の手法にて第2層14上に塗布される。
第3層15に含まれる多価金属化合物は、例えば多価金属の単体、酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩(例えば、酢酸塩)、無機酸塩等である。多価金属化合物は、多価金属酸化物のアンモニウム錯体もしくは2〜4級アミン錯体、またはそれらの炭酸塩もしくは有機酸塩でもよい。第3層15に含まれる多価金属化合物の多価金属は、例えば、アルカリ土類金属、遷移金属、アルミニウム等が挙げられる。アルカリ土類金属は、例えばベリリウム、マグネシウム、カルシウムである。遷移金属は、例えばチタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等である。耐熱性及び製造性等の観点から、多価金属化合物は、アルカリ土類金属、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、もしくはアルミニウムの酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩または酢酸塩でもよい。あるいは、上記観点から、多価金属化合物は、銅もしくは亜鉛のアンモニウム錯体でもよい。工業的生産性の観点から、多価金属化合物は、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸カルシウムでもよい。さらに耐熱性、耐水性、透明性の観点も踏まえると、多価金属化合物は、酸化亜鉛もしくは炭酸カルシウムでもよい。本実施形態では、多価金属化合物は、酸化亜鉛である。
第3層15に含まれる樹脂は、例えばアルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等である。また、多価金属化合物の分散性の観点から、第3層15を形成するためのコーティング液は、分散剤(例えばアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)等を含んでもよい。コーティング液は、他に柔軟剤、安定剤、膜形成剤、増粘剤等を含んでもよい。
第3層15における硫黄の含有率は、例えば1.0atm%以上15atm%以下である。このため、レトルト処理にて内容物4から発生した硫黄が良好に第3層15内に留められ得る。
<接着層及びカバー層>
接着層21は、ガスバリア積層体10とカバー層22とを接着するための層である。本実施形態では、接着層21に含まれる樹脂は、例えば熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリウレタン、ポリプロピレン、エチレン−不飽和エステル共重合樹脂、又はポリエステル系共重合樹脂等である。カバー層22は、包装体2の内面となる樹脂層であり、カバー層22同士が対向するように重ねられたシート3の一部を融着するためのシーラントである。カバー層22は、例えば未延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)である。接着層21の厚さは、例えば1μm以上5μm以下であり、カバー層22の厚さは、例えば10μm以上100μm以下である。接着層21は、例えば、ガスバリア積層体10の第3層15上に塗布されることによって形成される。カバー層22は、例えば、接着層21上に塗布されることによって形成される。
<包装体の形状>
次に、図1及び図2に戻って包装体2の形状について説明する。包装体2は、内容物4が収容される本体部5と、本体部5の縁に位置する溶着部6と、シート3が折り曲げられた折曲部7とを有する。また、包装体2の外面2aは樹脂基材11によって構成されており、包装体2の内面2bはカバー層22によって構成されている。このため、樹脂基材11と、下地層12と、第1層13と、第2層14と、第3層15と、接着層21と、カバー層22とは、この順序で包装体2の外側から内側に向かって積層されている。また、包装体2では、シート3の一部と他部とは、互いに向かい合っている。包装体2の内面積は特に限定されない。
溶着部6は、シート3の一部と他部とが加熱及び圧縮された部分である。これにより、溶着部6では、対向するカバー層22の樹脂同士が溶融して混ざり合うことによって熱融着する。
次に、本実施形態に係るパッケージ1によって奏される作用効果について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4(a)〜(d)は、レトルト処理の実施時におけるガスバリア積層体の変化を説明するための模式図である。図5(a),(b)は、レトルト処理の実施時におけるパッケージの変化を説明するための模式図である。このレトルト処理では、パッケージ1及びガスバリア積層体10のそれぞれは、125℃の水蒸気によって30分間加熱実施された。水蒸気は、樹脂基材11側からガスバリア積層体10へ照射された。また、図4(a)〜(d)及び図5(a),(b)において、「R−COOH」はカルボン酸系ポリマーを示し、「R−COO」はカルボキシル基から水素イオンが遊離したカルボン酸系ポリマーを示し、「MOx」は多価金属化合物を示し、「My+」は多価金属イオンを示し、「R−COO−M−OOC−R」は多価金属イオンを介したカルボン酸系ポリマーの架橋構造を示す。また、図5(a),(b)において、MSzは多価金属の硫化物を示す。
まず、図4(a)〜(d)を参照しながら、レトルト処理の実施時におけるガスバリア積層体10の変化を説明する。図4(a)に示されるように、レトルト処理中、樹脂基材11側から加熱された水蒸気がガスバリア積層体10へ照射される。これにより図4(b)に示されるように、カルボン酸系ポリマーのカルボキシル基の水素イオン(H)が遊離する。遊離した水素イオンの少なくとも一部は、第3層15側へ移動する。続いて図4(c)に示されるように、第3層15へ移動した水素イオンが多価金属化合物を還元する。これにより、多価金属化合物の多価金属イオンが第3層15から拡散する。この多価金属イオンの一部は、第2層14へ移動する。そして図4(d)に示されるように、第2層14へ移動した多価金属イオンを介して、カルボン酸系ポリマーが架橋構造を形成する。このように、レトルト処理中にカルボン酸系ポリマーと多価金属化合物とが化学反応することによって、第2層14における酸素バリア性が向上する。加えて、第3層15に残存する多価金属化合物がレトルト臭の吸収作用を示す。したがって、ガスバリア積層体10に対して例えばレトルト処理を実施することによって、ガスバリア積層体10は、レトルト臭の抑制作用及び良好な酸素バリア性を示す。
続いて、図5(a),(b)を参照しながら、レトルト処理の実施時におけるパッケージ1の変化を説明する。図5(a)に示されるように、レトルト処理中、パッケージ1の包装体2を構成するガスバリア積層体10には、上述した変化が発生する。また、内容物4の固体Sに含まれる含硫アミノ酸が加熱されて水と反応することによって、レトルト臭の原因となる硫化水素(HS)が発生する。例えば、含硫アミノ酸がシステインである場合、以下の化学反応式に示されるように硫化水素が発生する。
HSCHCH(NH)COOH+HO→HS+CHCHO+NH+CO
硫化水素は、カバー層22及び接着層21を介して、第3層15側からガスバリア積層体10へ侵入する。第3層15へ侵入した硫化水素は、第3層15に含まれる多価金属化合物と化学反応する。これにより、第3層15には多価金属硫化物が生成するので、硫黄は第3層15に留められる。したがって、本実施形態に係るガスバリア積層体10を用いたパッケージ1によれば、レトルト臭を抑制できる。なお、第3層15の厚さは0.1μm以上であるので、第3層15には十分量の多価金属化合物が含有し得る。
加えて本実施形態では、第2層14における硫黄の含有率は、1.0atm%以下である。この場合、上述したように硫黄は第3層15にて良好に留められるので、硫黄が第2層14まで到達することが抑制されている。このため、硫黄による第2層14への悪影響を抑制できるので、第2層14にて発揮される酸素バリア性を維持できる。したがって、上記パッケージ1を用いることによって、含硫アミノ酸を含む内容物4が収容されている場合であっても、レトルト臭の抑制と、酸素バリア性とが両立可能である。
本実施形態では、第3層15の厚さは、0.5μm以下である。このため、第3層15の可撓性低下を良好に抑制できる。
本実施形態では、上記レトルト処理の実施後、第3層15における硫黄の含有率が1.0atm%以上15atm%以下であってもよい。この場合、内容物4から発生した硫黄が第3層15内に良好に留められるので、レトルト臭が良好に抑制される。
本実施形態では、多価金属化合物は、酸化亜鉛である。
本実施形態では、上記レトルト処理の実施後、第2層14は、多価金属イオンを介してカルボン酸系ポリマー同士が架橋した架橋構造を有する。このため、第2層14による酸素バリア性が良好に発揮される。
本実施形態では、ガスバリア積層体10は、樹脂基材11と第1層13との間に位置し、ウレタン化合物を含む下地層12を備える。このため、樹脂基材11と第1層13との剥離が抑制される。
本発明の一側面に係るパッケージは、上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、内容物に液体及び固体の両方が含まれているが、これに限られない。内容物は、液体及び固体のいずれかのみを含んでもよい。内容物が液体のみを含む場合、当該液体は含硫アミノ酸を含む。また、包装体には、液体状、半固体状、又はゲル状の内容物が収容されてもよい。すなわち、包装体には、液体のように表面張力が働き得る物質が収容されてもよい。内容物の具体例としては、水、油、ドリンク、ヨーグルト、ゼリー、カレー、プリン、シロップ、ジャム、ムース、お粥、もしくはスープ等の食品、医薬品、化粧品、又は化学品等が挙げられる。もしくは、包装体には、例えば滅菌済みの衛生用品、医療品、固体の食料品などが収容されてもよい。
上記実施形態では、ガスバリア積層体は、下地層を備えるが、これに限られない。すなわち、ガスバリア積層体は、下地層を備えなくてもよい。また、ガスバリア積層体は、下地層に代えて、樹脂基材11の第1表面11aがリアクティブイオンエッチング(以下「RIE」ともいう。)処理されることにより形成された改質処理層が備えていてもよい。改質処理層とは、樹脂基材11の表面近傍が、RIE処理により層状に改質された態様となっている部位を指すものである。
RIE処理にはプラズマが利用される。プラズマ中に発生したラジカルやイオンにより、樹脂基材11表面に官能基を付与する化学効果が得られる。また、イオンエッチングによって表面不純物を除去すると共に、表面粗さを大きくする物理的効果も得られる。そのため、RIE処理により上記化学効果および上記物理的効果が発現している改質処理層により、樹脂基材11と第1層13との間の密着性が向上し、高温高湿環境下においても樹脂基材11と第1層13との間の剥離が生じにくくなる。そのため、ガスバリア積層体10全体の耐熱性が向上し、ボイル処理、レトルト処理、加熱調理等の加熱処理を行ったときの、樹脂基材11と第1層13との間のデラミネーションの発生やガスバリア性の劣化等が抑制される。
樹脂基材11へのRIE処理は、RIE方式のプラズマ処理装置として、公知のものを用いて実施できる。該プラズマ処理装置としては、巻取り式のインラインプラズマ処理装置が好ましい。巻取り式のインラインプラズマ処理装置としては、プレーナ型プラズマ処理装置、ホローアノード型プラズマ処理装置等を用いることができる。
以下、プレーナ型プラズマ処理装置により、樹脂基材11表面をRIE処理する方法の一例を説明する。本例で用いるプレーナ型プラズマ処理装置は、真空室内に、電極(カソード)と、樹脂基材11を保持する円筒型の処理ロールとを備え、処理ロールの内側に電極が配置されている。このようなプレーナ型プラズマ処理装置の処理ロールの外側に、RIE処理する方法のガスを導入し、樹脂基材11を処理ロールに沿って搬送しながら電極に電圧を印加すると、処理ロールの外側でプラズマが発生し、プラズマ中のラジカルが、対極である処理ロール側に引き寄せられ、樹脂基材11の表面に作用する。また、カソードである電極側に樹脂基材11が設置されているため、樹脂基材11上に高い自己バイアスが得られ、この高い自己バイアスにより、プラズマ中のイオンが樹脂基材11側に引き寄せられ、樹脂基材11の表面にスパッタ作用(物理的作用)が働き、RIE処理が行われる。電圧を印加する電極が処理ロールの外側に配置されている装置でプラズマ処理する場合、樹脂基材11はアノード側に配置されることになる。この場合、高い自己バイアスは得られず、樹脂基材11にはラジカルのみが作用する。ラジカルの作用は化学反応だけであり、化学反応だけでは樹脂基材11と第1層13との密着性を充分に向上させることができない。
次に、ホローアノード型プラズマ処理装置により、樹脂基材11表面をRIE処理する方法の一例を説明する。本例で用いるホローアノード型プラズマ処理装置は、真空室内に電極(アノード)と、樹脂基材11を保持し、電極の対極(カソード)として機能する処理ロールと、インピーダンスを整合させるためのマッチングボックスと、ガス導入ノズルと、電極の両端に配置された遮蔽板とを備える。電極は、処理ロール側が開口した箱型である。ガス導入ノズルが、電極の上方に配置され、電極および遮蔽板と、処理ロールとの間の空隙に、RIE処理を行うためのガスを導入できるようになっている。マッチングボックスは、電極の背面に配置され、電極に接続されている。遮蔽板は、処理ロールの外周に沿った局面形状を有しており、処理ロールの外側に、処理ロールと対向するように配置されている。電極の面積(Sa)は、処理ロール側に開口した箱型であることにより、対極となる樹脂基材11の処理面の面積(Sc)、つまり、電極の開口の大きさよりも大きく(Sa>Sc)なっている。
このようなホローアノード型プラズマ処理装置の電極および遮蔽板と、処理ロールとの間の空隙にガスを導入し、樹脂基材11を処理ロールに沿って搬送しながら、マッチングボックスから電極に電圧を印加すると、箱型の電極の内側でプラズマが発生し、プラズマ中のラジカルが、対極である処理ロール側に引き寄せられ、樹脂基材11の表面に作用する。また、Sa>Scであることにより、樹脂基材11上に高い自己バイアスが発生し、この高い自己バイアスにより、プラズマ中のイオンが樹脂基材11側に引き寄せられ、樹脂基材11の表面にスパッタ作用(物理的作用)が働き、RIE処理が行われる。Sa>Scではない装置で、プラズマ処理すると、高い自己バイアスは得られず、樹脂基材11にはラジカルのみが作用する。ラジカルの作用は化学反応だけであり、化学反応だけでは樹脂基材11と第1層13との密着性を充分に向上させることができない。
ホローアノード型プラズマ処理装置は、さらに、箱型の電極中に磁石を組み込んで自記電極とした磁気アシスト・ホロアノード型プラズマ処理装置であってもよい。磁気電極から発生される磁界により、プラズマ閉じ込め効果をさらに高め、大きな自己バイアスで高いイオン電流密度を得ることができる。これによって、より強力で安定したRIE処理を高速で行うことが可能となる。
RIE処理を行うためのガス種としては、例えば、アルゴン、酸素、窒素、水素を使用することができる。これらのガスは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。RIE処理は、2基以上のプラズマ処理装置は同じものを使用する必要はない。例えば、プレーナ型プラズマ処理装置で樹脂基材11を処理し、その後連続してホローアノード型プラズマ処理装置を用いて処理を行うこともできる。
上記実施形態では、パッケージにおいて接着層は第3層に接触しているが、これに限られない。例えば、接着層と第3層との間に中間層が設けられてもよい。また、第3層上には印刷層が設けられてもよい。印刷層は、例えば文字、図形等を示すための塗料と、透明樹脂とを含む。
上記実施形態では、パッケージに上記レトルト処理が実施された後、第2層は、多価金属イオンを介したカルボン酸系ポリマーの架橋構造を有しているが、これに限られない。第2層は、上記レトルト処理がパッケージに実施される前から、第2層は上記架橋構造を有してもよい。この場合、上記レトルト処理が実施されなくても、パッケージの包装体は、優れた酸素バリア性を示す。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
<ガスバリア積層体>
まず、樹脂基材として2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製「ルミラー(登録商標)P60」、厚さ12μm、内側にコロナ処理を実施)を準備した。続いて、ウレタン化合物を含む下地層を樹脂基材上に形成した。下地層は、バーコーターを用いてアンカーコート液を樹脂基材上に塗布した後、当該アンカーコート液を150℃で1分間乾燥することによって形成した。下地層の乾燥後の厚さは0.2μmであった。続いて、下地層上に、酸化アルミニウムを含む第1層を形成した。第1層は、酸化アルミニウムを下地層上に真空蒸着することによって形成した。具体的には、電子線加熱方式による真空蒸着装置を用い、当該装置に酸素ガスを導入しつつ金属アルミニウムを蒸発させた。これにより、厚さ20nmの第1層を形成した。
続いて、カルボン酸系ポリマーを含む第2層を第1層上に形成した。第2層は、バーコーターを用いてコーティング液αを第1層上に塗布した後、当該コーティング液αを乾燥することによって形成した。具体的には、第1層上に塗布されたコーティング液αを、80℃で5分間乾燥し、その後50℃で3日間熟成処理し、さらに200℃で5分間熱処理を施すことによって、第2層を形成した。第2層の乾燥後の厚さは0.15μmであった。そして、多価金属化合物である酸化亜鉛及び樹脂を含む第3層を第2層上に形成した。第3層は、セラミックローラを用いたグラビア印刷法にてコーティング液βを第2層上に塗布した後、当該コーティング液βを乾燥することによって形成した。第3層の乾燥後の厚さは0.25μmであった。これにより、樹脂基材と、下地層と、第1層と、第2層と、第3層とが順に積層されたガスバリア積層体を形成した。
下地層を形成する際に用いたアンカーコート液と、第2層を形成する際に用いたコーティング液αと、第3層を形成する際に用いたコーティング液βとのそれぞれは、以下の通りである。
アンカーコート液:まず、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン1質量部と、アクリルポリオール5質量部と、酢酸エチルとを混合撹拌した溶液を得た。その後、トリレンジイソシアネート(TDI)を、アクリルポリオールの水酸基に対しイソシアネート基が等量となるように上記溶液に加えた。そして、当該溶液を2質量%の濃度に希釈したものをアンカーコート液とした。
コーティング液α:数平均分子量200,000のポリアクリル酸水溶液(東亞合成株式会社製「アロンA−10H」、固形分濃度25質量%)20gを蒸留水58.9gに溶解した。その後、アミノプロピルトリメトキシシラン(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社)0.44gを添加及び攪拌を実施した溶液をコーティング液αとした。
コーティング液β:酸化亜鉛微粒子水分散液(住友大阪セメント株式会社製「ZE143」)100gと硬化剤(Henkel社製「Liofol HAERTER UR 5889−21」)1gとの混合物を、コーティング液βとした。
<パッケージ>
上記ガスバリア積層体の第3層上に、厚さ3μmのポリエステルポリウレタン樹脂を含む接着層と、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム、東レフィルム加工株式会社製「トレファンNO ZK93KM」、厚さ60μm)から構成されるカバー層とを形成した。これにより、ガスバリア積層体と、印刷層と、接着層と、カバー層とを有するシートを形成した。
続いて、上記シートを二つ折りにした後、当該シートの端部を熱溶着した。熱溶着は、卓上・脱気シーラーV−301(富士インパルス社製)を用いて、190℃、0.3MPa、2secの条件で行った。このとき、端部の少なくとも一部を未溶着とした。これにより、開口を有する袋を形成した。続いて、当該袋に0.3質量%のシステイン水溶液150mLを収容した。その後、上記端部における未溶着部分を溶着した。これにより、システイン水溶液が収容された包装体を備えるパッケージを形成した。なお、包装体の内面積が400cmになるように、上記シートは二つ折りされた。
(比較例1)
比較例1の第3層の厚さを0.08μmに設定したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係るガスバリア積層体及びパッケージを形成した。
(比較例2)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET:東レ株式会社製「ルミラーP60」、厚さ12μm)にアルミ箔9μmを、ドライラミネート法によってラミネートし、ガスバリア積層体(Al箔積層体)を得た。また、当該ガスバリア積層体を用いたこと以外は実施例1と同様にして、PET(12μm)/アルミ箔(9μm)/接着層(3μm)/カバー層(60μm)の積層構造を有する包装フィルムを作製した。
<評価方法>
実施例1及び比較例1のパッケージを下記の方法で試験し、評価した。
<硫黄量測定試験>
実施例1及び比較例1のパッケージに対して、レトルト処理(具体的には、125℃の水蒸気による30分にわたった加熱処理)を実施した。実施後、パッケージを構成する包装体の一部を測定用サンプルとした。包装体の一部は、内容物に接触し得る領域とした。この測定用サンプルに対して、エネルギー分散型X線分析(EDX、堀場製作所株式会社製、「EMAX Evolution」)を実施することによって、第2層における硫黄の含有率を測定した。
実施例1の第2層における硫黄の含有率は、0.6atm%であり、実施例1の第3層における硫黄の含有率は、11atm%であった。一方、比較例1の第2層における硫黄の含有率は、2.0atm%であり、比較例1の第3層における硫黄の含有率は、9.0atm%であった。これらの結果からも、比較例1の第2層における硫黄の含有率は、実施例1の含有率よりも高かったことがわかる。
<酸素透過度測定試験>
硫黄量測定試験と同様にして、包装体の一部から測定用サンプルを形成した。この測定用サンプルに対して、酸素透過度測定装置(Modern Control社製 OXTRAN2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の測定条件により、酸素透過度を測定した。
実施例1の測定用サンプルにおける酸素透過度は、0.1cc/m・day・atmであった。一方、比較例1の測定用サンプルにおける酸素透過度は、45cc/m・day・atmであった。これらの結果より、比較例1の酸素透過度は、実施例1の酸素透過度よりも悪化していることがわかる。これは、比較例1の第2層では、硫黄による架橋構造の破壊が進行していたためと推察できる。
<レトルト臭測定試験>
レトルト処理後の実施例1、比較例1及び比較例2のパッケージ内部における硫化水素の量を北川式ガス検知器(公明理化学工業株式会社製 ガス採取器AP−20及び、硫化水素検知管)にて測定した。実施例1における硫化水素の測定結果は45ppmであり、比較例1における硫化水素の測定結果は40ppmであった。なお、比較例2の硫化水素の測定結果は90ppmであった。これらの結果より、実施例1及び比較例1のいずれも、比較例2よりも硫化水素を吸収していることがわかる。
1…パッケージ、2…包装体、2a…外面、2b…内面、3…シート、4…内容物、5…本体部、6…溶着部、10…ガスバリア積層体、11…樹脂基材、12…下地層、13…第1層、14…第2層、15…第3層、21…接着層、22…カバー層。

Claims (6)

  1. ガスバリア積層体及びシーラントを含むシートから構成される包装体と、
    前記包装体に収容されており、含硫アミノ酸を含む内容物と、
    を備えるパッケージであって、
    前記ガスバリア積層体は、樹脂基材と、無機酸化物を含む第1層と、カルボン酸系ポリマーを含有する第2層と、多価金属化合物及び樹脂を含有する第3層とを有し、
    前記樹脂基材と、前記第1層と、前記第2層と、前記第3層とは、この順序で前記包装体の外側から内側に向かって積層されており、
    前記第3層の厚さは、0.1μm以上であり、
    前記第2層における硫黄の含有率が1.0atm%以下である、
    パッケージ。
  2. 前記第3層の厚さは、0.5μm以下である、請求項1に記載のパッケージ。
  3. 前記第3層における硫黄の含有率が1.0atm%以上15atm%以下である、請求項1または2に記載のパッケージ。
  4. 前記多価金属化合物は、酸化亜鉛である、請求項1または2に記載のパッケージ。
  5. 前記第2層は、金属イオンを介して前記カルボン酸系ポリマー同士が架橋した架橋構造を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパッケージ。
  6. 前記ガスバリア積層体は、前記樹脂基材と前記第1層との間に位置し、有機化合物を含む下地層を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパッケージ。
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