JP2020112614A - 射出瞳拡張素子、導波部材 - Google Patents
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Abstract
Description
この場合、上記第2拡張部の回折格子では、伝播光は一次回折反射光とゼロ次回折反射伝播光に別れ、一次回折反射光は出射部の回折格子へ向かい、ゼロ次回折反射伝播光は、裏面で全反射して、再び第2拡張部の回折格子にて一次回折反射光とゼロ次回折反射伝播光に別れることを第2拡張部の回折格子で繰り返す(例えば、特許文献1参照)。
また、射出瞳拡張素子に限らず、導波部を備えて光を導波する導波部材において、端部に到達する不要な迷光を低減したい場合があった。
図1は、本発明による射出瞳拡張素子1の第1実施形態を示す図である。
図2は、射出瞳拡張素子1を図1中の矢印A−Aの位置で切断した断面図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
本明細書中において、シート面とは、各シートにおいて、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において規定する具体的な数値には、一般的な誤差範囲は含むものとして扱うべきものである。すなわち、±10%程度の差異は、実質的には違いがないものであって、本件の数値範囲をわずかに超えた範囲に数値が設定されているものは、実質的には、本件発明の範囲内のものと解釈すべきである。
基材層10は、射出瞳拡張素子1を製造するときにベースとして用いられ、また、光が導波する導波部の主要な部分を構成する層である。
賦型層20は、基材層10の表面側に積層されている。賦型層20は、その表面に入射部21及び出射部22を備えている。
基材層10を構成する材料としては、例えば、光学ガラス、PET、ポリカーボネート、アクリル系樹脂等が挙げられる。また、賦型層20を構成する材料としては、例えば、アクリル系紫外線硬化樹脂等の紫外線硬化性樹脂材料等が挙げられる。基材層10を構成する材料及び賦型層20を構成する材料は、いずれも、導波する光に対して透明である。
また、入射部21の回折格子は、高屈折率部211の間に形成され、高屈折率部211よりも屈折率が低い低屈折率部212を有する。本実施形態では、上述したように、低屈折率部212は、空気により構成されているが、屈折率が高屈折率部211よりも十分に低い材料でこの領域を埋める構成としてもよい。
θ>asin(n2/n1)
sin(θ)>n2/n1・・・式(1)
一方、入射部21に入射した光の回折角をθとすると、回折格子の公式から、波長λとピッチPと回折角θとの関係を以下の式により表すことができる。
n1×sin(θ)=λ/P
sin(θ)=λ/(P×n1)・・・式(2)
この式(2)を上記式(1)の全反射条件に代入すると、以下の関係式が得られる。
λ/(P×n1)>n2/n1
λ>P×n2
ここで、n2=1(空気の屈折率)であるので、P<λとなり、入射部21の回折格子のピッチPを、導波する光の波長λよりも短くすることにより、入射部21に垂直に入射する光は、導波部10a内を全反射しながら導波することが可能となる。
出射部22の回折格子は、入射部21の回折格子と同様な3レベルの回折格子により構成されている。また、出射部22の回折格子は、一定のピッチPで繰り返し配列され、かつ、その配列の方向と直交する一方向(入射部21の回折格子が延在する方向と同一方向)に延在する高屈折率部221を有している。さらに、出射部22の回折格子は、導波部10a内を導波してきた光を出射させるために、多段階の凹凸形状の向きが、入射部21の回折格子とは反対向きに配置されている。
図3は、迷光低減部25の部分を拡大した断面図である。
本実施形態の迷光低減部25は、導波部10aの端部の全てに設けられている。迷光低減部25は、導波部10aの第1平面10b及び第2平面10cに対して傾斜した第1斜面部25aと第2斜面部25bとの2つの斜面部を有した断面形状が楔形状に構成されている。迷光低減部25では、迷光を図25に示すように、一回斜面部で全反射させたのち、対向する斜面部から外部へ迷光を出射することにより、迷光が出射部22へ戻ることを防止することにより、出射部22から出射する迷光を低減する。この効果を有効に発揮するためには、迷光低減部25は、以下の条件を満たすことが望ましい。
ここで、0°≦δ1<90°であり、0°≦δ2<90°であるものとすると、δ1=0°の場合には、第1斜面部25aは、第1平面10bと同一平面であり、δ2=0°の場合には、第2斜面部25bは、第2平面10cと同一平面である。迷光低減部25は、第1斜面部25aと第2斜面部25bとの少なくとも一方を備えているものとする。この条件において、迷光低減部25は、
δ1<θ−asin(1/n1)・・・式(3)
及び
δ2<θ−asin(1/n1)・・・式(4)
の双方を満たせば、図3に例示するように迷光を適切に外部へ出射させることができる。
θ−δ1>asin(1/n1)
及び
θ−δ2>asin(1/n1)
から導かれるものである。
そこで、第1斜面部25a及び第2斜面部25bの表面に光吸収層を設けてもよい。この光吸収層を設けることにより、第1斜面部25a及び第2斜面部25bから出射する光を吸収でき、外部から観察したときに端部が光って見えることを抑えることが可能である。
図4は、シミュレーションを行った比較例と実施例との形状を示す図である。
図5は、シミュレーションを行った条件と結果を示す図である。
図5において、戻り率(%)は、導波部10aの端部へ向けて進んだ光が逆方向へ戻る割合を示している。
比較例1では、迷光低減部25を構成していないことから、戻り率は、3.79%と高い値を示していた。
比較例2では、迷光低減部25の形状を備えているが、迷光低減部25の寸法が、式(3)及び式(4)を満たしていないことから、戻り率は、1.32%であった。この結果は、比較例よりは良好な結果を示しているものの、映像光の劣化を防ぐためには、戻り率1.0%未満とすることが望ましい。
実施例1及び実施例2では、式(3)及び式(4)を満たしており、戻り率は、それぞれ、0.46%及び0.47%という、非常に良好な結果を得られている。また、実施例1及び実施例2の結果に実質的に差がないことからも、式(3)及び式(4)を満たしていれば、迷光が効果的に外部に出射されることが確認できる。よって、迷光低減部25の形状を必要以上に長くする必要がない。
図6は、本発明による射出瞳拡張素子1Bの第2実施形態を示す図である。
図7は、射出瞳拡張素子1Bを図16中の矢印B−Bの位置で切断した断面図である。
図8は、射出瞳拡張素子1Bを図16中の矢印C−Cの位置で切断した断面図である。
なお、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
また、図6から図8中には、方向が明確になるように、X,Y,Zの直交座標軸を示した。
第2実施形態の射出瞳拡張素子1Bは、基本的な構成が同様な3枚の射出瞳拡張素子1B−1、射出瞳拡張素子1B−2、射出瞳拡張素子1B−3を間に空気層を挟んで組み合わせた構成となっている。3枚の射出瞳拡張素子1B−1、射出瞳拡張素子1B−2、射出瞳拡張素子1B−3を保持する構成は、フレームで支えてもよいし、部分的に接着してもよいし、これらの他にさらに保護板等を積層してもよい。
なお、ピッチ以外の点については、射出瞳拡張素子1B−1、射出瞳拡張素子1B−2、射出瞳拡張素子1B−3は、いずれも同様な構成となっているので、以下の説明では、特にこれら3枚を区別することなく、射出瞳拡張素子1Bとして説明する。
第2実施形態の賦型層20は、その表面に入射部21と、第2拡張部23と、出射部22Bを備えている。
第2拡張部23は、2レベルの回折格子により構成されており、入射部21から導波された光が進む向きに対して、45°傾いた向きに高屈折率部231が延在して配置されている。第2拡張部23は、入射部21から入射した光が進む向きを90°偏向させて出射部22Bへ進め、出射部22(第1拡張部)が光を拡張する向きと90°交差する向き、すなわち図中のX軸方向に射出瞳を拡張する(図6参照)。なお、図6では、射出瞳が3本に拡張されるように描いているが、実際は、第2拡張部23において反射を繰り返す数に応じた本数に射出瞳が分割されて拡張される。また、図6では、入射部21から入射した光が、45傾いた第2拡張部23により90°偏向させて出射部22Bに光が進むとしているが、角度や配置は、これに限ったものではない。
図9は、シミュレーション条件を説明する図である。
シミュレーションは、射出瞳拡張素子1Bの他、光源LSと、パターンPTと、レンズL1と、レンズL2と、スクリーンSとを配置する構成について行った。
射出瞳拡張素子1Bは、入射部21が0.5mm×0.5mm、第2拡張部23が1mm×2mm、出射部22Bが2mm×2mmの大きさであり、入射部21と第2拡張部23との中心間距離が5mm、第2拡張部23と出射部22Bとの中心間距離が4mmである。また、射出瞳拡張素子1Bは、基材層10が厚さ0.3mmで、10mm×10mmの大きさとした。
射出瞳拡張素子1Bは、迷光低減部225を備える本実施形態と、迷光低減部225を備えず平坦な端面とした比較例とを用意した。迷光低減部225を備える形態では、その形状は、第1実施形態の図4(c)と同様な形状とした。
出射光学系として、レンズL2は、焦点距離が8mmであり、出射部22BとレンズL2との距離は、2mmである。レンズL2を透過した光は、スクリーンSに投影される。スクリーンSは、レンズL2から8mmの位置に配置した。
迷光低減部225を備えた結果の図10(b)の画像の方が、迷光低減部225を備えない結果の図10(a)の画像よりも明らかにコントラストが向上して観察された。ただし、図10の印刷画像では、その違いがわかりにくいので、図10中に矢印で示した位置のデータを抽出して、より詳細に数値化して説明する。
図12は、輝度を数値化して示す図である。
図11中において矢印で示した範囲aの輝度の積算値をAとし、範囲bの輝度の積算値をBとし、範囲cの輝度の積算値をCとして図12に示した。また、図12には、((A+C)/2)/Bを演算した結果についても示した。
図10において白色の領域と黒色の領域との輝度差が大きい程、コントラストの高い画像であるといえる。((A+C)/2)/Bの演算値は、黒色範囲を基準とした場合の白色範囲の大きさを表すものであり、この値が大きい程、コントラストが高いと判断できる。図12の結果を見ると、迷光低減部を設けた方が迷光低減部を設けていないものと比べて、コントラストが高いことが明らかであり、迷光の低減効果を確認できた。
また、第2実施形態の射出瞳拡張素子1Bは、出射部(第1拡張部)22と、第2拡張部23とを備えているので、直交する2方向に射出瞳を拡張することができ、映像等をより観やすい環境を提供可能である。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
10 基材層
10a 導波部
10b 第1平面
10c 第2平面
20 賦型層
21 入射部
22,22B 出射部
23 第2拡張部
25 迷光低減部
25a 第1斜面部
25b 第2者面部
211,221,221B,231 高屈折率部
212,222,222B,232 低屈折率部
225 迷光低減部
Claims (6)
- 互いに平行な第1平面及び第2平面を有する平板状に構成され光を導波する導波部と、
前記導波部上に配置、又は、前記導波部と一体に構成され、射出瞳を複数に分けて拡張して出射する拡張部と、
を備え、
前記導波部の端部の少なくとも一部に設けられ、前記端部に到達する光を、前記導波部の外へ出射させる、又は、吸収させる、の少なくとも一方の機能を有する迷光低減部と、
を備える射出瞳拡張素子。 - 請求項1に記載の射出瞳拡張素子において、
前記迷光低減部は、前記導波部の前記第1平面及び前記第2平面の少なくとも一方に対して傾斜した斜面部を有すること、
を特徴とする射出瞳拡張素子。 - 請求項2に記載の射出瞳拡張素子において、
前記第1平面と同じ側に設けられた前記斜面部を第1斜面部とし、
前記第2平面と同じ側に設けられ、前記第1斜面部と対向して設けられた前記斜面部を第2斜面部とし、
前記第1平面と前記第1斜面部とがなす角をδ1とし、
前記第2平面と前記第2斜面部とがなす角をδ2とし、
前記導波部を導波する光が前記第1平面の法線となす角をθとし、
前記導波部の屈折率をn1としたときに、
0°≦δ1<90°であり、0°≦δ2<90°であるものとし、
δ1=0°の場合には、前記第1斜面部は、前記第1平面と同一平面であり、
δ2=0°の場合には、前記第2斜面部は、前記第2平面と同一平面であり、
前記第1斜面部と前記第2斜面部との少なくとも一方を備えており、
δ1<θ−asin(1/n1)
及び
δ2<θ−asin(1/n1)
の双方を満たすこと、
を特徴とする射出瞳拡張素子。 - 請求項2から請求項3までのいずれかに記載の射出瞳拡張素子において、
前記斜面部には、光吸収作用を有する光吸収層が設けられていること、
を特徴とする射出瞳拡張素子。 - 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の射出瞳拡張素子において、
入射した光が進む向きを偏向させて前記拡張部へ進め、前記拡張部が光を拡張する向きと交差する向きに射出瞳を拡張する第2拡張部をさらに備えること、
を特徴とする射出瞳拡張素子。 - 互いに平行な第1平面及び第2平面を有する平板状に構成され光を導波する導波部と、
前記導波部の端部の少なくとも一部に設けられ、前記端部に到達する光を、前記導波部の外へ出射させる、又は、吸収させる、の少なくとも一方の機能を有する迷光低減部と、
を備える導波部材。
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