JP2020111231A - 鋼板部材重ね合わせ構造、車体構造 - Google Patents

鋼板部材重ね合わせ構造、車体構造 Download PDF

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Abstract

【課題】曲げ剛性とねじり剛性をともに向上することが可能な鋼板部材重ね合わせ構造、車体構造を提供すること。【解決手段】鋼板部材重ね合わせ構造であって、鋼板の面内における圧延方向のヤング率及び圧延直交方向のヤング率が、前記面内において前記圧延方向と交差角度45°で交差する圧延45°交差方向のヤング率に比べて高くかつヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされる第1の鋼板11と、鋼板の面内において圧延方向と交差角度45°で交差する圧延45°交差方向におけるヤング率が、前記圧延方向のヤング率及び圧延直交方向のヤング率に比べて高くかつヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされたヤング率の面内異方性を示す第2の鋼板12とを備え、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板が対向するように組合せられていることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、曲げ剛性とねじり剛性に優れた鋼板部材重ね合わせ構造、車体構造に関する。
周知のように、長尺に形成された複数の鋼板部材を重ね合わせ部で接合して内方に中空部が形成された閉断面を有する鋼板部材重ね合わせ構造が広く用いられている。このような鋼板部材重ね合わせ構造は、構造物の強度と剛性を確保したうえで軽量化するうえで重要な技術である。
近年、例えば、衝突安全性と車体軽量化を同時に満足するために、自動車車体を構成する鋼板部材重ね合わせ構造への高強度鋼板の適用が進展している。
自動車車体の軽量化に高強度鋼板を適用するのは、高強度鋼板の強度に応じて鋼板板厚が薄肉化できるからであるが、薄肉化にともない自動車車体の剛性の低下を招くことになる。
特に、自動車車体におけるサイドメンバー、サイドシル、センターピラーといった車体骨格を構成する部材については、剛性の低下がネックとなり、さらなる軽量化が困難になりつつある。
そこで、構造部材を構成する鋼板部材と鋼板部材の間や、構造部材の間に樹脂を充填することにより、構造部材の剛性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されるような樹脂を充填して剛性を向上させる技術は、新たな設備の導入が必要となることから生産技術や製造コスト面での課題が多く、適用対象の範囲は限定的である。
一方、構造部材の剛性は鋼板部材の板厚とヤング率に依存することから、剛性を維持したまま鋼板部材の板厚を薄肉化するために、ヤング率が高い鋼板を用いる方法がある。
そこで、自動車車体の軽量化を実現するために、車体骨格を構成する部材の板厚を薄肉化するのに応じて、ヤング率が高い鋼板を適用することにより剛性を維持することが検討されている。
鋼のヤング率は、205GPa程度で板面内等方性を有するものとして取り扱われている。しかしながら、鉄の単結晶は立方晶系の直交異方性を有しており、<111>方向に最大のヤング率284GPaを示し、<100>方向に最小のヤング率132GPaを示す。
そこで、例えば、板面内の特定方向のヤング率を高めて、鋼板の圧延方向と垂直な方向に230GPa以上の高いヤング率を有する鋼板を製造するために、鋼板を製造する際に結晶方位を制御する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、ヤング率が圧延方向に対して交差角度45°〜70°の範囲で230GPa以上とする技術が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
特開昭58−177745号公報 特開平2−182448号公報 特開平6−171001号公報 特開昭59−083721号公報 特開昭58−009932号公報
以下、図15A、図15B、図16A、図16Bを参照して、ヤング率の面内異方性が高い鋼板を適用した構造部材の曲げ剛性及びねじり剛性について説明する。
図15A、図15Bは、曲げ剛性及びねじり剛性の評価に用いた供試体の概略構成を示す図であり、図15Aは供試体の斜視図を、図15Bは図15Aにおける矢視XVB‐XVB示した断面図である。
また、図16Aは、曲げ剛性の評価結果を示す図であり、図16Bは、ねじり剛性の評価結果を示す図である。
供試体は、図15A、図15Bに示すように、ハット状の鋼板部材と平板状の背板を、ハット状の両側部に形成されたフランジ部(重ね合わせ部)でスポット溶接により接合することにより、長さ450mmとされ、約60mm×60mmの矩形閉断面を有する構成とされている。
また、供試品は、以下に示す鋼板(A、B)を圧延直交方向に切り出してブランクを形成し、そのブランクを曲げ加工により成形し、フランジ部にスポット溶接をして45mm間隔の溶接部を形成して接合した。
鋼板A(板厚1.2mm:冷間圧延−連続焼鈍により製造され、圧延方向に対する交差角度90°の圧延直交方向にヤング率の最大値を示しそのヤング率は230GPaとされ、圧延方向に対する交差角度45°の圧延45°交差方向のヤング率が195GPaとされており、V字形の面内異方性を示す。)
鋼板B(板厚1.2mm:板面内全ての方向のヤング率が205GPaで一定とされている。)
曲げ剛性は、図15Aに示すように、供試体の一端を固定して、他端に荷重5kNを負荷したときの変形量を計測して評価した。
ねじり剛性は、図15Aに示すように、供試体の一端を固定して、他端に0.5kNmのトルクを負荷したときのねじり角を計測して評価した。
供試体の曲げ剛性及びねじり剛性の評価結果は、図16A、図16Bに示すとおりである。
曲げ剛性については、図16Aに示すように、圧延直交方向にヤング率の最高値(230GPa)を示し、圧延45°交差方向のヤング率が195GPaとされた著しく強いV字形の面内異方性を示す鋼板Aを、ヤング率が最も高い圧延直交方向に板取りして形成したブランクを成形して形成した供試体が、面内全ての方向のヤング率が205GPaで一定とされる鋼板Bから形成した供試体より大きい値を示すことがわかる。
一方、ねじり剛性については、図16Bに示すように、鋼板Bから形成した供試体が鋼板Aから形成した供試体がよりも大きい値を示すことがわかる。
以上のように、曲げ剛性は、ヤング率の面内異方性が強い鋼板Aがヤング率一定の鋼板Bよりも有利であり、曲げ剛性は、鋼板Bが鋼板Aよりも有利であるといえる。
すなわち、ヤング率の面内異方性が強い鋼板は、曲げ剛性とねじり剛性を同時に高めることが困難であり、曲げ力とねじりモーメントが同時に作用する構造部材には適していないといえ、一方向の応力が作用するような構造部材への適用に限定される。
このように、特許文件4、5に記載されるような板面内において特定方向のヤング率を著しく高めた弾性異方性を示す鋼板は、曲げとねじりが同時に作用する場合には期待した剛性向上効果を得ることができず、その結果、特定方向のヤング率が高い鋼板は実用化に至っていない。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、曲げ剛性とねじり剛性をともに向上することが可能な鋼板部材重ね合わせ構造及び車体構造を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、複数の鋼板部材が重ね合わせられて閉断面をなす中空部を隔てて形成された重ね合わせ部が溶接部によって接合された鋼板部材重ね合わせ構造であって、鋼板の面内における圧延方向のヤング率及び前記圧延方向と交差角度90°で交差する圧延直交方向のヤング率が、前記面内において前記圧延方向と交差角度45°で交差する圧延45°交差方向のヤング率に比べて高くかつ前記面内におけるヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされるヤング率の面内異方性を示す第1の鋼板と、鋼板の面内において圧延方向と交差角度45°で交差する圧延45°交差方向におけるヤング率が、前記圧延方向のヤング率及び前記圧延方向と交差角度90°で交差する圧延直交方向のヤング率に比べて高くかつ前記面内におけるヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされたヤング率の面内異方性を示す第2の鋼板と、を備え、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板が対向するように組合せられていることを特徴とする。
この発明に係る鋼板部材重ね合わせ構造によれば、鋼板の面内における圧延方向のヤング率及び圧延方向が交差角度90°で交差する圧延直交方向のヤング率が圧延方向及び圧延直交方向のそれぞれと交差角度45°で交差する圧延45°交差方向のヤング率に比べて高くかつ面内におけるヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされるヤング率の面内異方性を示す第1の鋼板と、圧延方向及び圧延方向と交差角度90°で交差する圧延直交方向のそれぞれと交差角度45°で交差する圧延45°交差方向におけるヤング率が圧延方向のヤング率及び圧延直交方向のヤング率に比べて高くかつ面内におけるヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされたヤング率の面内異方性を示す第1の鋼板と、を備え、第1の鋼板と第2の鋼板が対向するように組合せられている。
このとき、第1の鋼板は、圧延45°交差方向におけるヤング率が圧延方向のヤング率及び圧延直交方向のヤング率に比べて高くかつ面内におけるヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされるので、ヤング率は、圧延45°交差方向又はその近傍で最大値を示す。
また、第2の鋼板は、圧延方向のヤング率及び圧延直交方向のヤング率が、圧延45°交差方向のヤング率に比べて高くかつ面内におけるヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされるので、ヤング率は、圧延方向又はその近傍、及び圧延直交方向又はその近傍で最大値を示す。
したがって、閉断面において対向する二つの壁部は、一方が圧延方向及び圧延直交方向のひずみ(変形)が発生しにくく、他方が圧延45°交差方向のひずみ(変形)が発生しにくい。
その結果、種々の方向から作用する外力に対して、鋼板部材重ね合わせ構造の曲げ剛性とねじり剛性の双方を向上することができる。
この明細書において、第1の鋼板と第2の鋼板が対向するように組合せられているとは、第1の鋼板からなる鋼板部材の壁部と第2の鋼板からなる鋼板部材の壁部が接触して対向する場合、閉断面が構成する中空部を挟んで間隔をあけて対向する場合、第1の鋼板からなる鋼板部材の壁部と第2の鋼板からなる鋼板部材の壁部の間に別の鋼板部材の壁部が配置されて対向する場合のいずれも含むものとする。
この明細書において、第1の鋼板に係るヤング率の面内異方性をV字形の面内異方性と記載する場合があり、第2の鋼板に係るヤング率の面内異方性を逆V字形の面内異方性と記載する場合がある。
また、第1の鋼板に係るV字形の面内異方性は、面内において圧延方向及び圧延直交方向のヤング率が圧延45°交差方向に比べて高く形成されていれてばよく、圧延45°交差方向においてヤング率が最低値を示す必要はない。
また、第2の鋼板に係る逆V字形の面内異方性は、面内において圧延45°交差方向のヤング率が圧延方向及び圧延直交方向に比べて高く形成されていれてばよく、圧延45°交差方向においてヤング率が最高値を示す必要はない。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鋼板部材重ね合わせ構造であって、ハット形断面が長尺に形成された第1の鋼板部材と、前記ハット形断面のフランジ部で接続される第2の鋼板部材と、を備え、前記第1の鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、前記第2の鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする。
この発明に係る鋼板部材重ね合わせ構造によれば、ハット形断面が長尺に形成された第1の鋼板部材と、ハット形断面のフランジ部で接続される第2の鋼板部材と、を備え、第1の鋼板部材は、第1の鋼板と第2の鋼板のいずれか一方により形成され、第2の鋼板部材は、第1の鋼板と第2の鋼板の他方により形成されているので、ハット形の閉断面を挟んで対向配置される第1の鋼板部材と第2の鋼板部材とが対向する閉断面の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の鋼板部材重ね合わせ構造であって、ハット形断面が長尺に形成された第1の鋼板部材と、前記ハット形断面のフランジ部で接続される第2の鋼板部材と、チャネル形断面が長尺に形成され前記第1の鋼板部材と重ね合わせて接合される第3の鋼板部材と、を備え、前記第1の鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、前記第3の鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする。
この発明に係る鋼板部材重ね合わせ構造によれば、ハット形断面が長尺に形成された第1の鋼板部材と、前記ハット形断面のフランジ部で接続される第2の鋼板部材と、チャネル形断面が長尺に形成され第1の鋼板部材と重ね合わせて接合される第3の鋼板部材と、を備え、第1の鋼板部材は、第1の鋼板と第2の鋼板のいずれか一方により形成され、第3の鋼板部材は、第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されているので、第1の鋼板部材と第3の鋼板部材が対向する閉断面の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
なお、第1の鋼板部材と第3の鋼板部材を重ね合わせて接合するとは、第3の鋼板部材が第1の鋼板部材の内方に接合する場合と、第1の鋼板部材の外方に接合する場合のいずれも含むものとする。
また、第3の鋼板部材を、第1の鋼板部材の内方及び外方に接合する場合も含むものとする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、車体フロアの幅方向両側部において車体前後方向に延在され外側鋼板部材と前記外側鋼板部材の内方に配置される内側鋼板部材とを有するサイドシルを備え、前記外側鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、前記内側鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする。
この発明に係る車体構造によれば、外側鋼板部材が第1の鋼板と第2の鋼板のいずれか一方により形成され、内側鋼板部材が第1の鋼板と第2の鋼板の他方により形成されているので、サイドシルを備えた車体構造の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、車体の前後方向に延在して形成された内側鋼板部材と、前記内側鋼板部材の外方側に配置された外側鋼板部材と、を有するフロントサイドメンバーを備え、前記内側鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、前記外側鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする。
この発明に係る車体構造によれば、内側鋼板部材が第1の鋼板と第2の鋼板のいずれか一方により形成され、外側鋼板部材が第1の鋼板と第2の鋼板の他方により形成されているので、フロントサイドメンバーを備えた車体構造の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、車体の前後方向に延在して形成された内側鋼板部材と、前記内側鋼板部材の外方側に配置された外側鋼板部材と、を有するリアサイドメンバーを備え、前記内側鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、前記外側鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする。
この発明に係る車体構造によれば、内側鋼板部材が第1の鋼板と第2の鋼板のいずれか一方により形成され、外側鋼板部材が第1の鋼板と第2の鋼板の他方により形成されているので、リアサイドメンバーを備えた車体構造の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、車体フロアと、前記車体フロアに接続され車体幅方向両側部に延在するクロスメンバーと、を備え、前記車体フロアは、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、前記クロスメンバーは、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする。
この発明に係る車体構造によれば、車体フロアが第1の鋼板と第2の鋼板のいずれか一方により形成され、クロスメンバーが第1の鋼板と第2の鋼板の他方により形成されているので、車体フロアとクロスメンバーとを備えた車体構造の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、車体フロアの車幅方向量端部に配置され車体高さ方向に延在されたアウターパネルと、インナーパネルと、前記アウターパネルと前記インナーパネルが接続されて形成された閉断面の中空部において前記アウターパネルの内方に接合される補強部材と、を有するセンターピラーを備え、前記アウターパネルは、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、前記補強部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする。
この発明に係る車体構造によれば、アウターパネルと、インナーパネルと、アウターパネルとインナーパネルが接続されて形成された閉断面の中空部に、アウターパネルの内方補強部材が接合されたセンターピラーにおいて、アウターパネルが第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、補強部材が第1の鋼板と第2の鋼板の他方により形成されているので、センターピラーを備えた車体構造の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、アウターパネルと、インナーパネルと、前記アウターパネルと前記インナーパネルを接続して形成された閉断面の中空部において前記アウターパネルの内方に接合される補強部材と、を備え、前記アウターパネルは、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、前記補強部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする。
この発明に係る車体構造によれば、第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成されたアウターパネルにインナーパネルを接続して形成された閉断面の中空部の内方に、第1の鋼板と第2の鋼板の他方により形成された補強部材が接合されているので、アウターパネル及びインナーパネルからなる車体構造の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
本発明によれば、鋼板部材重ね合わせ構造及び車体構造の曲げ剛性とねじり剛性をともに向上することができる。
その結果、鋼板部材重ね合わせ構造及び車体構造の曲げ剛性とねじり剛性を確保しつつ鋼板板厚を薄肉化することが可能となり、鋼板部材重ね合わせ構造及び車体構造を効率的に軽量化することができる。
本発明の第1実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する図であり、図1において矢視II-IIで示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る第1の鋼板の概略構成を説明する図であり、第1の鋼板における圧延方向に対する交差角度とヤング率との関係を示す図ある。 本発明の第1実施形態に係る第2の鋼板の概略構成を説明する図であり、第2の鋼板における圧延方向に対する交差角度とヤング率との関係を示す図ある。 本発明の第2実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する図であり、図4において矢視V-Vで示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する断面図である。 本発明の第4実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する断面図である。 本発明の第5実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する断面図である。 本発明の第6実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する断面図である。 本発明の鋼板部材重ね合わせ構造を自動車車体構造に適用した適用例の概略を説明する斜視図である。 本発明に係る実施例1に係る供試体の概略構成を説明する斜視図である。 本発明に係る実施例1に係る供試体の概略構成を説明する図であり、図11Aにおいて矢視XIB‐XIBで示す断面図である。 本発明に係る実施例1に係る第1の鋼板を説明する図であり、第1の鋼板における圧延方向に対する交差角度とヤング率との関係を示す図ある。 本発明の実施例2に係る第2の鋼板を説明する図であり、第2の鋼板における圧延方向に対する交差角度とヤング率との関係を示す図ある。 本発明に係る実施例1の効果を説明する概念図である。 本発明に係る実施例2に係る供試体の概略構成を説明する斜視図である。 本発明に係る実施例2に係る供試体の概略構成を説明する図であり、図13Aにおいて矢視XIIIB‐XIIIBで示す断面図である。 本発明に係る実施例2の効果を説明する概念図である。 従来技術を説明する図であり、剛性の評価に用いた供試体の斜視図である。 従来技術を説明する図であり、図15Aにおいて矢視XVB‐XVBで示す供試体の断面図である。 従来技術を説明する図であり、構造部材の曲げ剛性の評価結果を示す図である。 従来技術を説明する図であり、構造部材のねじり剛性の評価結果を示す図である。
<第1実施形態>
以下、図1、図2、図3A,3Bを参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1、図2は、本発明の第1実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する図であり、図1は斜視図を示しており、図2は、図1において矢視II−IIで示す断面図である。また、図3A、図3Bは、第1実施形態に係る第1の鋼板、第2の鋼板の概略構成を説明する図であり、それぞれ圧延方向に対する交差角度とヤング率との関係を示す図ある。図1、図2において、符号10は、鋼板部材重ね合わせ構造を示している。
鋼板部材重ね合わせ構造10は、図1、図2に示すように、第1の鋼板部材11と、第2の鋼板部材12と、スポット溶接部(溶接部)15とを備え、第1の鋼板部材11と第2の鋼板部材12とは、長手方向に形成された複数のスポット溶接部によって接合されている。
そして、鋼板部材重ね合わせ構造10は、第1の鋼板部材11と第2の鋼板部材12とが対向する閉断面10Sを構成している。
また、例えば、第1の鋼板部材11は第1の鋼板により形成され、第2の鋼板部材12は第2の鋼板により形成されている。
第1の鋼板部材11は、例えば、主壁部110と、主壁部110の両側部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部111、112と、立上壁部111、112の側端部から外方に延在し長手方向に沿って形成されたフランジ壁部(フランジ部、重ね合わせ部)113、114とを備えている。
主壁部110と立上壁部111、立上壁部111とフランジ壁部113、主壁部110と立上壁部112、立上壁部112とフランジ壁部114は、それぞれR形状を介して接続されている。
また、第1の鋼板部材11は、図3Aに示すような第1の鋼板の圧延方向を、第1の鋼板部材11の長手方向と対応させてブランクを形成し、このブランクをプレス成形することにより形成されている。
第2の鋼板部材12は、例えば、平板状に形成されていて、主壁部120と、主壁部120の両側部に形成され長手方向に伸びる重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)121、122とを備えている。
また、第2の鋼板部材12の長手方向は、図3Bに示すような第2の鋼板の圧延方向と対応させて形成されている。
そして、第1の鋼板部材11と第2の鋼板部材12とは、フランジ壁部113と重ね合わせ壁部121、フランジ壁部114と重ね合わせ壁部122を重ね合わせて、スポット溶接部15により接合されている。
スポット溶接部15は、例えば、フランジ壁部(重ね合わせ部)113、114と、重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)121、122とを重ね合わせて、フランジ壁部113、114の幅方向中央部近傍に、長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
第1の鋼板は、この実施形態において、例えば、板厚0.8mm〜2.3mm(例えば、1.2mm)、引張強さ440MPa〜1180MPa級の高強度鋼板とされている。
また、第1の鋼板は、図3Aに示すように、例えば、鋼板の面内における圧延方向及び圧延直交方向のヤング率が、圧延45°交差方向におけるヤング率に比べて高く構成されたV字形の面内異方性を有している。ここで、V字形とは、ヤング率を、圧延方向(交差角度θ=0°を原点)と対応させて、圧延方向(圧延方向に対する交差角度θ=0°)と圧延直交方向(圧延方向に対する交差角度=90°)の範囲で表したときにV字形になることをいう。
また、第1の鋼板は、面内におけるヤング率の最大値E11(例えば、圧延方向又は圧延直交方向で230GPa)と最小値E12(例えば、圧延45°交差方向で205GPa)の比(E11/E12)が、1.12(1.1以上)とされたヤング率の面内異方性を示す構成とされている。
なお、圧延45°交差方向とは、例えば、圧延方向(交差角度0°)と交差角度45°で交差する方向を意味する。また、圧延45°交差方向は、圧延直交方向(圧延方向と交差角度90°で交差する方向)とも交差角度45°で交差する方向である。
第2の鋼板は、この実施形態において、例えば、板厚0.8mm〜2.3mm(例えば、1.2mm)、引張強さ440MPa〜1180MPa級の高強度鋼板とされている。
また、第2の鋼板は、図3Bに示すように、例えば、鋼板の面内における圧延45°交差方向におけるヤング率が、圧延方向及び圧延直交方向のヤング率に比べて高く構成された逆V字形の面内異方性を有している。ここで、逆V字形とは、ヤング率を、圧延方向(交差角度θ=0°を原点)と対応させて、圧延方向(圧延方向に対する交差角度θ=0°)と圧延直交方向(圧延方向に対する交差角度=90°)の範囲で表したときに逆V字形となることをいう。
また、第2の鋼板は、面内におけるヤング率の最大値E21(例えば、圧延45°交差方向で230GPa)と最小値E22(例えば、圧延方向及び圧延直交方向で205GPa)の比(E21/E22)が、1.12(1.1以上)とされたヤング率の面内異方性を示す構成とされている。
第1の鋼板及び第2の鋼板は、鋼板の製造過程で、鋼板の面内における集合組織の集積方向を制御することで鋼板板面内の特定方向のヤング率を制御して、強い弾性異方性を示すものである。
鋼板のヤング率は、一般的に約205GPaであり、ヤング率は板面内において等方性であるものとして取り扱われている。このヤング率は、結晶粒の方位が板面内で偏っていない状態で得られるものであり、実用鋼材のヤング率は約195GPa〜215GPaの範囲であると考えられており±5%程度の偏りが存在する。
ヤング率は、結晶方位と強い相関を有しており、例えば、結晶方位<111>方向に集合組織を発達させるとヤング率は280GPaを超える程度まで高くなり、結晶方位<100>方向に集合組織を発達させるとヤング率は約130GPa程度まで低下する。
また、結晶方位<110>方向に集合組織を発達させるとヤング率は約220GPaとなり、結晶方位<113>に集合組織を発達させるとヤング率は約205GPaとなる。
また、特定の結晶方位に配向を有さない場合には、鋼板のあらゆる方向でヤング率は平均値が約205GPaとなる。
このような特定の結晶方位に沿った集合組織を鋼板の特定の方向に発達させることにより、鋼板の圧延方向に対するヤング率を制御することができる。
<第1の鋼板>
以下、第1の鋼板の具体的構成及び製造方法の一例について説明する。
第1の鋼板は、圧延45°交差方向のヤング率を圧延方向及び圧延直交方向より高くすることによりV字形の面内異方性を備えている。
第1の鋼板は、圧延45°交差方向のヤング率を高くするために、板面方位が{211}、圧延方向が<110>方位の集合組織を発達させてRD//<110>方位群であるα-fiberの集積度を高くした鋼板である。なお、圧延直交方向(幅方向)は<111>である。
また、第1の鋼板がV字形の面内異方性を有するかどうかは{211}<110>方位のX線ランダム強度比によって確認することが可能であり、例えば、{211}<110>方位のX線ランダム強度比が5以上である場合にヤング率の最大値E11と最小値E12の比(E11/E12)は1.1以上である。
ここで、{211}<110>方位のX線ランダム強度比とは、X線回折によって測定される{110}、{100}、{211}、{310}極点図のうち複数の極点図を級数展開法で計算した結晶方位分布関数(ODF:Orientation Distribution Function)により得られる。
なお、X線ランダム強度比とは、特定の方向への集積を持たない標準試料と供試材のX線強度を同条件でX線回折により測定し、得られた供試材のX線強度を標準試料のX線強度で除した値である。
<第1の鋼板の製造方法>
次に、引張強さ440MPa級〜1180MPa級でかつ{211}<110>方位のX線ランダム強度比5以上の面内異方性を有する第1の鋼板の製造方法の一例について説明する。
(1)鋼板組成
第1の鋼板は、結晶方位{211}<110>の集合組織を発達させるために、例えば、Ti、Nbの少なくともいずれかを添加した材料を用いる。
Ti、Nbは、集合組織の再結晶を抑制する元素であり、Ti、Nbを添加することによって、熱間圧延または冷間圧延中に形成された集合組織が再結晶によって破壊されるのを抑制することができる。なお、Ti、Nbの添加量は、Tiについては0.005%以上、Nbについては0.001%以上が好適である。
(2)熱間圧延
仕上げ温度をAr変態点以上950℃以下で熱間圧延する。
仕上げ温度をAr変態点以上することで、好ましくない集合組織の発達が抑制される。また、仕上げ温度をAr変態点以上とするためには、スラブの加熱温度を1100℃以上とすることが好適である。
また、仕上げ温度を950℃以下とすることは、熱間圧延中の再結晶の進行を抑制して{211}<110>方位のX線ランダム強度比が5以上の面内異方性を得るうえで有効である。
(3)冷間圧延
冷間圧延は、圧下率40%以上で行うことが好適である。
冷間圧延における圧下率を40%以上とすることは、集合組織を充分に発達させて{211}<110>方位のX線ランダム強度比が5以上の面内異方性を得るうえで有効である。
(4)焼鈍
焼鈍は、焼鈍温度700℃以上900℃以下で行うことが好適である。
焼鈍温度を700℃以上とすることは、焼鈍後に未再結晶粒が残存するのを抑制して加工性が劣化しないようにするために有効であり、焼鈍温度を900℃以下とすることは、オーステナイト化により集合組織が劣化するのを抑制するうえで好適である。
なお、生産性の観点から連続焼鈍することが好適である。
<第2の鋼板>
以下、第2の鋼板の具体的構成及び製造方法の一例について説明する。
第2の鋼板は、例えば、圧延方向に対して交差角度55°方向のヤング率を高くすることにより逆V字形の面内異方性を備えている。
第2の鋼板は、圧延方向に対して交差角度55°方向のヤング率を高くするために{110}<001>方位の集合組織を発達させた鋼板である。
また、第2の鋼板が逆V字形の面内異方性を有するかどうかは{110}<001>方位のX線ランダム強度比によって確認することが可能であり、例えば、{110}<001>方位のX線ランダム強度比が5以上である場合にヤング率の最大値E21と最小値E22の比(E21/E22)は1.1以上である。
<第2の鋼板の製造方法>
次に、{110}<001>方位のX線ランダム強度比が5以上とされた引張強さ440MPa級〜1180MPa級の第2の鋼板の製造方法の一例について説明する。
(1)鋼板組成
第2の鋼板は、結晶方位{110}<001>の集合組織を発達させる際には、例えば、C及びMnを添加した材料を用いる。
Cは強度を高める元素であり0.005%以上の添加が好適である。また、Mnは固溶強化元素として有効であり、強度レベルに応じた量を添加する。
なお、Mnについては、強度が高くなりすぎて延性が低下すること、及びめっきの密着性が低下するのを抑制するため2.5%以下とすることが好適である。
(2)熱間圧延
仕上げ温度850℃以上で熱間圧延する。
熱間圧延は、仕上げ温度を800℃以上とすることは、ひずみが過剰に導入されるのを抑制するうえで好適である。また、900℃以下での総圧下量を50%未満とすることがさらに好適である。
また、スラブの加熱温度を1000℃以上とすることが、圧延荷重が過大になるのを抑制して生産性を向上する点で好適である。
(3)冷間圧延
冷間圧延は、圧下率20%以上80%以下で行うことが好適である。
圧下率を20%以上とすることでひずみを充分に導入させることが可能となり、圧下率を80%以下とすることでひずみの導入が過剰となるのを抑制することが可能となり、{110}<001>方位のX線ランダム強度比を5以上とすることができる。
第1実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造10によれば、ハット形断面が長尺に形成された第1の鋼板部材11と第2の鋼板部材12が、ハット形断面のフランジ部(重ね合わせ部)で接続され、第1の鋼板部材11が第1の鋼板により形成され、第2の鋼板部材が第2の鋼板により形成されているので、曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
なお、第1実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造10において、第1の鋼板部材11を第2の鋼板により形成し、第2の鋼板部材12を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。
また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。
<第2実施形態>
次に、図4、図5を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図4、図5は、本発明の第2実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する図であり、図4は斜視図を示しており、図5は、図4において矢視V‐Vで示す断面図である。図4、図5において、符号20は、鋼板部材重ね合わせ構造を示している。
鋼板部材重ね合わせ構造20は、図4、図5に示すように、第1の鋼板部材21と、第2の鋼板部材22と、第3の鋼板部材23と、スポット溶接部(溶接部)25と、スポット溶接部(溶接部)26を備え、第1の鋼板部材21と第2の鋼板部材22とは、長手方向に形成された複数のスポット溶接部25によって接合されている。
また、第3の鋼板部材23は、第1の鋼板部材21の内方に重ね合わせられ、複数のスポット溶接部25によって第1の鋼板部材21と接合されている。
そして、鋼板部材重ね合わせ構造20は、第1の鋼板部材21と第2の鋼板部材22とが対向する閉断面20Sを構成している。
また、例えば、第1の鋼板部材21は第1の鋼板により形成され、第3の鋼板部材23は第2の鋼板により形成されている。なお、第1の鋼板及び第2の鋼板は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
第1の鋼板部材21は、例えば、主壁部210と、主壁部210の両側部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部211、212と、立上壁部211、212の側端部から外方に延在し長手方向に沿って形成されたフランジ壁部(フランジ部、重ね合わせ部)213、214とを備えている。
主壁部210と立上壁部211、立上壁部211とフランジ壁部213、主壁部210と立上壁部212、立上壁部212とフランジ壁部214は、それぞれR形状を介して接続されている。
また、第1の鋼板部材21は、第1の鋼板の圧延方向を第1の鋼板部材21の長手方向と対応させてブランクを形成し、このブランクをプレス成形することにより形成されている。
第2の鋼板部材22は、例えば、平板状に形成されていて、主壁部220と、主壁部220の両側部に形成され長手方向に伸びる重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)221、222とを備えている。
また、第2の鋼板部材22の長手方向は、例えば、第2の鋼板の圧延方向と対応させて形成されている。
第3の鋼板部材23は、例えば、主壁部230と、主壁部230の両側部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部231、232とを備えている。
主壁部230と立上壁部231、主壁部230と立上壁部232は、それぞれR形状を介して接続されている。
また、第3の鋼板部材23は、第2の鋼板の圧延方向を第3の鋼板部材23の長手方向と対応させてブランクを形成し、このブランクをプレス成形することにより形成されている。
そして、第1の鋼板部材21と第2の鋼板部材22とは、フランジ壁部213と重ね合わせ壁部221、フランジ壁部214と重ね合わせ壁部222を重ね合わせて、スポット溶接部25により接合されている。
スポット溶接部25は、例えば、フランジ壁部(重ね合わせ部)213、214と、重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)221、222とを重ね合わせて、フランジ壁部213、214の幅方向中央部近傍に、長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
また、第1の鋼板部材21と第3の鋼板部材23とは、第1の鋼板部材21の内方に第3の鋼板部材23を重ね合わせて配置し、スポット溶接部26により接合されている。
スポット溶接部26は、例えば、第1の鋼板部材21の主壁部210については、主壁部210の幅方向(長手方向と直交する方向)の中央部に、立上壁部211、212については、幅方向における立上壁部231、232の開口側端部近傍に、それぞれ長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
第2実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造20によれば、ハット形断面が長尺に形成された第1の鋼板部材21とチャネル形断面が長尺に形成され第3の鋼板部材23が重ね合わせて接合され、第1の鋼板部材が第1の鋼板により形成され、第3の鋼板部材が第2の鋼板により形成されているので、曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
なお、第2実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造20において、第1の鋼板部材21を第2の鋼板により形成し、第3の鋼板部材23を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。また、第2の鋼板部材22を、第1の鋼板、第2の鋼板、ヤング率が板面内で一定とされた等方向性鋼板のいずれにより形成するかは、任意に設定することができる。
また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。
<第3実施形態>
次に、図6を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する断面図である。図6において、符号30は、鋼板部材重ね合わせ構造を示している。
鋼板部材重ね合わせ構造30は、図6に示すように、第1の鋼板部材31と、第2の鋼板部材32と、スポット溶接部(溶接部)35とを備え、第1の鋼板部材21と第2の鋼板部材22とは、長手方向に間隔をあけて形成された複数のスポット溶接部35によって接合されている。
そして、鋼板部材重ね合わせ構造30は、第1の鋼板部材31と第2の鋼板部材32とが対向する閉断面30Sを構成している。
また、例えば、第1の鋼板部材31は第1の鋼板により形成され、第2の鋼板部材32は第2の鋼板により形成されている。なお、第1の鋼板及び第2の鋼板は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
第1の鋼板部材31は、例えば、主壁部310と、主壁部310の一側端部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部311と、立上壁部311の側端部から外方に延在し長手方向に沿って形成されたフランジ壁部(フランジ部、重ね合わせ部)313と、主壁部310の他側端部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部312と、立上壁部312に接続して形成された重ね合わせ壁部314とを備えている。
主壁部310と立上壁部311、立上壁部311とフランジ壁部313、主壁部310と立上壁部312は、それぞれR形状を介して接続されている。
また、第1の鋼板部材31は、第1の鋼板の圧延方向を第1の鋼板部材31の長手方向と対応させてブランクを形成し、このブランクをプレス成形することにより形成されている。
第2の鋼板部材32は、例えば、平板状に形成されていて、主壁部320と、主壁部320の一端側に接続して形成された重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)321と、主壁部320の他端側から立ち上り長手方向に沿って形成されたフランジ壁部(フランジ部、重ね合わせ部)322とを備えた、断面略L字形に形成されている。
また、第2の鋼板部材32の長手方向は、例えば、第2の鋼板の圧延方向と対応させて形成されている。
そして、第1の鋼板部材31と第2の鋼板部材32とは、フランジ壁部313と重ね合わせ壁部321、重ね合わせ壁部314とフランジ壁部322を重ね合わせて、スポット溶接部35により接合されている。
スポット溶接部35は、例えば、フランジ壁部(重ね合わせ部)313と重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)321、重ね合わせ壁部314とフランジ壁部(重ね合わせ部)322とを重ね合わせて、フランジ壁部213、フランジ壁部322の幅方向中央部近傍に、長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
第3実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造30によれば、曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
なお、第3実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造30において、第1の鋼板部材31を第2の鋼板により形成し、第2の鋼板部材32を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。
また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。
次に、第3実施形態の変形例について説明する。
第3実施形態の変形例は、鋼板部材重ね合わせ構造30が、図6に二点鎖線で示すような第1の鋼板部材31と内方又は外方で重ね合わせられる第3の構造部材33(内方)、34(外方)の少なくともいずれか一方と、長手方向に沿って複数形成され第1の鋼板部材31と第3の構造部材33、34とを接続する複数のスポット溶接部(溶接部)36を備えることにより構成されている。また、第3の構造部材33、34は、第2の鋼板により形成されている。
スポット溶接部36は、例えば、第3の構造部材33、34の第1の鋼板部材31の主壁部310における幅方向(長手方向と直交する方向)中央部及び立上壁部311、313の幅方向における第3の構造部材33、34の立上壁部の開口側端部近傍に、それぞれ長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
なお、第3実施形態の変形例において、第1の鋼板部材31を第2の鋼板により形成し、第3の鋼板部材33、34を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。このことは、第2の鋼板部材32についても同様である。
また、第3の鋼板部材33、34の双方を備える場合に、第3の鋼板部材33、34の間で第1の鋼板と第2の鋼板を異ならせてもよい。
また、第1の鋼板部材31、第2の鋼板部材32、第3の鋼板部材33、34のうち、予め選択したいずれかの対向する壁部に関して、第1の鋼板と第2の鋼板を異なる組み合わせとして、その他の鋼板部材を、第1の鋼板、第2の鋼板、ヤング率が板面内で一定とされた等方向性鋼板のいずれかから任意に選択して組み合わせる構成としてもよい。
<第4実施形態>
次に、図7を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図7は、本発明の第4実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する断面図である。図7において、符号40は、鋼板部材重ね合わせ構造を示している。
鋼板部材重ね合わせ構造40は、図7に示すように、第1の鋼板部材41と、第2の鋼板部材42と、スポット溶接部(溶接部)45とを備え、第1の鋼板部材41と第2の鋼板部材42とは、長手方向に間隔をあけて形成された複数のスポット溶接部45によって接合されている。
そして、鋼板部材重ね合わせ構造40は、第1の鋼板部材41と第2の鋼板部材42とが対向する閉断面40Sを構成している。
また、例えば、第1の鋼板部材41は第1の鋼板により形成され、第2の鋼板部材42は第2の鋼板により形成されている。なお、第1の鋼板及び第2の鋼板は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
第1の鋼板部材41は、例えば、主壁部410と、主壁部410の両側端部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部411、412と、立上壁部411、412の側端部から外方に延在し長手方向に沿って形成されたフランジ壁部(フランジ部、重ね合わせ部)413、414とを備えている。
主壁部410と立上壁部411、413、立上壁部411とフランジ壁部413、立上壁部412とフランジ壁部414は、それぞれR形状を介して接続されている。
第2の鋼板部材42は、例えば、主壁部420と、主壁部420の両側端部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部421、422と、立上壁部421、422の側端部から外方に延在し長手方向に沿って形成されたフランジ壁部(フランジ部、重ね合わせ部)423、424とを備えている。
主壁部420と立上壁部421、423、立上壁部421とフランジ壁部423、立上壁部422とフランジ壁部424は、それぞれR形状を介して接続されている。
そして、第1の鋼板部材41と第2の鋼板部材42とは、フランジ壁部413とフランジ壁部423、フランジ壁部414とフランジ壁部424を重ね合わせて、スポット溶接部45により接合されている。
スポット溶接部45は、例えば、フランジ壁部413とフランジ壁部423、フランジ壁部414とフランジ壁部424とを重ね合わせて、フランジ壁部413、フランジ壁部414の幅方向中央部近傍に、長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
第4実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造40によれば、曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
なお、第4実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造40において、第1の鋼板部材41を第2の鋼板により形成し、第2の鋼板部材42を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。
また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。
次に、第4実施形態の変形例について説明する。
第4実施形態の変形例は、鋼板部材重ね合わせ構造40が、図7に二点鎖線で示すような第1の鋼板部材41と内方又は外方で重ね合わせられる第3の構造部材431(内方)、432(外方)、第2の鋼板部材42と内方又は外方で重ね合わせられる第3の構造部材441(内方)、442(外方)のうち、少なくともいずれか一つと、長手方向に沿って間隔をあけて複数形成され第1の鋼板部材41と第3の構造部材431、432、第2の鋼板部材42と第3の構造部材441、442のいずれかを接続する複数のスポット溶接部(溶接部)46を備えることにより構成されている。
この場合、第3の構造部材431、432は第2の鋼板により形成され、第3の構造部材441、442は第1の鋼板により形成されている。
スポット溶接部46は、例えば、第3の鋼板部材431、432については、第1の鋼板部材41の主壁部410の幅方向(長手方向と直交する方向)中央部及び立上壁部411、413の幅方向における第3の構造部材431、432の立上壁部の開口側端部近傍に、第3の鋼板部材441、442については、第2の鋼板部材42の主壁部420の幅方向中央部及び立上壁部421、423の幅方向における第3の構造部材441、442の立上壁部の開口側端部近傍に、それぞれ長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
スポット溶接部46は、例えば、第1の鋼板部材41の主壁部410、立上壁部411、413の幅方向(長手方向と直交する方向)中央部、第2の鋼板部材42の主壁部420、立上壁部421、423の幅方向中央部のなかから必要に応じて長手方向に間隔をあけて複数形成されている。
なお、第4実施形態の変形例において、第1の鋼板部材41を第2の鋼板により形成し、第3の鋼板部材431、432を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。このことは、第2の鋼板部材42についても同様である。
また、第1の鋼板部材41、第2の鋼板部材42、第3の鋼板部材431、432、441、442のうち、予め選択したいずれかの対向する壁部に関して、第1の鋼板と第2の鋼板を異なる組み合わせとして、その他の鋼板部材を、第1の鋼板、第2の鋼板、ヤング率が板面内で一定とされた等方向性鋼板のいずれかから任意に選択して組み合わせる構成としてもよい。
<第5実施形態>
次に、図8を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
図8は、本発明の第5実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する断面図である。図8において、符号50は、鋼板部材重ね合わせ構造を示している。
鋼板部材重ね合わせ構造50は、図8に示すように、第1の鋼板部材51と、第2の鋼板部材52と、スポット溶接部(溶接部)55とを備え、第1の鋼板部材51と第2の鋼板部材52とは、長手方向に間隔をあけて形成された複数のスポット溶接部55によって接合されている。
そして、鋼板部材重ね合わせ構造50は、第1の鋼板部材51と第2の鋼板部材52とが対向する閉断面50Sを構成している。
また、例えば、第1の鋼板部材51は第1の鋼板により形成され、第2の鋼板部材52は第2の鋼板により形成されている。なお、第1の鋼板及び第2の鋼板は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
第1の鋼板部材51は、例えば、主壁部510と、主壁部510の両側端部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部511、512と、立上壁部511、512の端部に接続され長手方向に沿って形成された重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)513、514とを備えている。
主壁部510と立上壁部511、513は、それぞれR形状を介して接続されている。
第2の鋼板部材52は、例えば、主壁部520と、主壁部520の両側端部から立ち上り長手方向に沿って形成された重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)521、522とを備えている。
主壁部520と重ね合わせ壁部521、523は、それぞれR形状を介して接続されている。
また、第2の鋼板部材52は、主壁部520が第1の鋼板部材51の主壁部510と間隔をあけて対向するとともに、重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)521、522が第1の鋼板部材51の重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)513、514と略密着して対向するように、第1の鋼板部材51に挿入されている。
そして、第1の鋼板部材51と第2の鋼板部材52とは、重ね合わせ壁部513と重ね合わせ壁部521、重ね合わせ壁部514と重ね合わせ壁部522を重ね合わせて、スポット溶接部55により接合されている。
スポット溶接部55は、例えば、重ね合わせ壁部513と重ね合わせ壁部521、重ね合わせ壁部514と重ね合わせ壁部522とを重ね合わせて、重ね合わせ壁部521、522の幅方向中央部近傍に、長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
第5実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造50によれば、曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
なお、第5実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造50において、第1の鋼板部材51を第2の鋼板により形成し、第2の鋼板部材52を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。
また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。
次に、第5実施形態の変形例について説明する。
第5実施形態の変形例は、鋼板部材重ね合わせ構造50が、図8に二点鎖線で示すような第1の鋼板部材51と内方又は外方で重ね合わせられる第3の構造部材531(内方)、532(外方)の少なくともいずれか一方と、長手方向に沿って間隔をあけて複数形成され第1の鋼板部材51と第3の構造部材531、532を接続する複数のスポット溶接部(溶接部)56を備えることにより構成されている。
この場合、第3の構造部材531、532は第2の鋼板により形成されている。
スポット溶接部56は、例えば、第1の鋼板部材51の主壁部510の幅方向(長手方向と直交する方向)中央部及び立上壁部511、513の幅方向における第3の構造部材531、532の立上壁部の開口側端部近傍に、それぞれ長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
なお、第5実施形態の変形例において、第1の鋼板部材51を第2の鋼板により形成し、第3の鋼板部材531、532を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。このことは、第2の鋼板部材521についても同様である。
また、第1の鋼板部材51、第2の鋼板部材52、第3の鋼板部材531、532のうち、予め選択したいずれかの対向する壁部に関して、第1の鋼板と第2の鋼板を異なる組み合わせとして、その他の鋼板部材を、第1の鋼板、第2の鋼板、ヤング率が板面内で一定とされた等方向性鋼板のいずれかから任意に選択して組み合わせる構成としてもよい。
<第6実施形態>
次に、図9を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。
図9は、本発明の第6実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造の概略構成を説明する断面図である。図9において、符号60は、鋼板部材重ね合わせ構造を示している。
鋼板部材重ね合わせ構造60は、図9に示すように、第1の鋼板部材61と、第2の鋼板部材62と、スポット溶接部(溶接部)65とを備え、第1の鋼板部材61と第2の鋼板部材62とは、長手方向に間隔をあけて形成された複数のスポット溶接部65によって接合されている。
そして、鋼板部材重ね合わせ構造60は、第1の鋼板部材61と第2の鋼板部材62とが対向する閉断面60Sを構成している。
また、例えば、第1の鋼板部材61は第1の鋼板により形成され、第2の鋼板部材62は第2の鋼板により形成されている。なお、第1の鋼板及び第2の鋼板は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
第1の鋼板部材61は、例えば、主壁部610と、主壁部610の一端部から立ち上り長手方向に沿って形成されたフランジ壁部(フランジ部、重ね合わせ部)611と、主壁部610の他端部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部612と、立上壁部612の側端部に接続され長手方向に沿って形成された重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)614とを備えている。
主壁部610とフランジ壁部611、主壁部610と立上壁部612は、それぞれR形状を介して接続されている。
第2の鋼板部材62は、例えば、主壁部620と、主壁部620の一側端部から立ち上り長手方向に沿って形成された立上壁部621と、主壁部610の他端部から立ち上り長手方向に沿って形成されたフランジ壁部(フランジ部、重ね合わせ部)622と、立上壁部621の側端部に接続され長手方向に沿って形成された重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)623とを備えている。
主壁部620と立上壁部621、主壁部620とフランジ壁部622は、それぞれR形状を介して接続されている。
そして、第1の鋼板部材61と第2の鋼板部材62とは、フランジ壁部611と重ね合わせ壁部623、重ね合わせ壁部614とフランジ壁部622を重ね合わせて、スポット溶接部65により接合されている。
スポット溶接部65は、例えば、フランジ壁部611と重ね合わせ壁部623、重ね合わせ壁部614とフランジ壁部622とを重ね合わせて、フランジ壁部611、622の幅方向中央部近傍に、長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
第6実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造60によれば、曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
なお、第6実施形態に係る鋼板部材重ね合わせ構造60において、第1の鋼板部材61を第2の鋼板により形成し、第2の鋼板部材62を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。
また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。
次に、第6実施形態の変形例について説明する。
第6実施形態の変形例は、鋼板部材重ね合わせ構造60が、図9に二点鎖線で示すような第1の鋼板部材61と内方又は外方で重ね合わせられる第3の構造部材631(内方)、632(外方)、第2の鋼板部材62と内方又は外方で重ね合わせられる第3の構造部材641(内方)、642(外方)のうち、少なくともいずれか一つと、長手方向に沿って間隔をあけて複数形成され第1の鋼板部材61と第3の構造部材631、632、第2の鋼板部材62と第3の構造部材641、642のいずれかを接続する複数のスポット溶接部(溶接部)66を備えることにより構成されている。
この場合、第3の構造部材631、632は第2の鋼板により形成され、第3の構造部材641、642は第1の鋼板により形成されている。
スポット溶接部66は、例えば、第3の鋼板部材631、632については、第1の鋼板部材61の主壁部610の幅方向(長手方向と直交する方向)中央を挟んで主壁部610の中央より外方寄りの二ケ所及び重ね合わせ壁部612の幅方向における第3の鋼板部材631、632の端部近傍に、第3の鋼板部材641、642については、第2の鋼板部材62の主壁部620の幅方向(長手方向と直交する方向)中央を挟んで主壁部620の中央より外方寄りの二ケ所及び重ね合わせ壁部621の幅方向における第3の鋼板部材641、642の端部近傍に、それぞれ長手方向に間隔をあけて複数形成されている。
なお、第6実施形態の変形例において、第1の鋼板部材61を第2の鋼板により形成し、第3の鋼板部材631、632を第1の鋼板により形成してもよいことはいうまでもない。また、第1の鋼板からブランクを形成する場合に、圧延方向に代えて、圧延直交方向を鋼板部材の長手方向に対応させてもよい。このことは、第2の鋼板部材62についても同様である。
また、第1の鋼板部材61、第2の鋼板部材62、第3の鋼板部材631、632、641、642のうち、予め選択したいずれかの対向する壁部に関して、第1の鋼板と第2の鋼板を異なる組み合わせとして、その他の鋼板部材を、第1の鋼板、第2の鋼板、ヤング率が板面内で一定とされた等方向性鋼板のいずれかから任意に選択して組み合わせる構成としてもよい。
次に、図10を参照して、本発明の鋼板部材重ね合わせ構造の自動車車体構造への適用例について説明する。図10は、本発明の鋼板部材重ね合わせ構造を自動車車体構造に適用した適用例の概略を説明する斜視図である。図10において、符号90は、自動車車体構造(車体構造)を示している。
<第1の適用例>
第1の適用例は、自動車車体構造90のサイドシル91に対する適用例である。
サイドシル91は、図10に示すように、例えば、車体フロア90Fの幅方向両側部において車体前後方向に延在され車体外方に位置されるサイドシルアウター(外側鋼板部材)91Aと、サイドシルアウター91Aの内方に配置されるサイドシルインナー(内側鋼板部材)(不図示)とを備え、サイドシルアウター91Aとサイドシルインナーとはスポット溶接の溶接部(不図示)によって接合されている。
この場合、例えば、サイドシルアウター91Aを第1の鋼板により形成し、内側鋼板部材を第2の鋼板により形成することが好適である。また、サイドシルアウター91Aに補強部材を設ける場合には、補強部材を第2の鋼板とし、内側鋼板部材に補強部材(不図示)を設ける場合には、補強部材を第1の鋼板とするとより好適である。
また、サイドシルアウター91Aを第2の鋼板により形成し、内側鋼板部材を第1の鋼板により形成してもよい。この場合、サイドシルアウター91Aに補強部材(不図示)を設ける場合には、補強部材を第1の鋼板とし、内側鋼板部材91Aに補強部材を設ける場合には、補強部材を第2の鋼板とするとより好適である。
<第2の適用例>
第2の適用例は、自動車車体構造90のフロントサイドメンバー92に対する適用例である。
フロントサイドメンバー92は、図10に示すように、例えば、車体の前後方向に延在して形成された内側鋼板部材(不図示)と、内側鋼板部材の外方側に配置された外側鋼板部材92Aとを備え、外側鋼板部材92Aと内側鋼板部材とはスポット溶接の溶接部(不図示)によって接合されている。
この場合、例えば、内側鋼板部材を第1の鋼板により形成し、外側鋼板部材92Aを第2の鋼板により形成することが好適である。また、内側鋼板部材に補強部材(不図示)を設ける場合には、補強部材を第2の鋼板とし、外側鋼板部材に補強部材を設ける場合には、補強部材を第1の鋼板とするとより好適である。
また、内側鋼板部材を第2の鋼板により形成し、外側鋼板部材92Aを第1の鋼板により形成してもよい。この場合、内側鋼板部材に補強部材(不図示)を設ける場合には、補強部材を第1の鋼板とし、外側鋼板部材92Aに補強部材を設ける場合には、補強部材を第1の鋼板とするとより好適である。
<第3の適用例>
第3の適用例は、自動車車体構造90のリアサイドメンバー93に対する適用例である。
リアサイドメンバー93は、図10に示すように、例えば、車体の前後方向に延在して形成された内側鋼板部材(不図示)と、内側鋼板部材の外方側に配置された外側鋼板部材93Aとを備え、外側鋼板部材93Aと内側鋼板部材とはスポット溶接の溶接部(不図示)によって接合されている。
この場合、例えば、内側鋼板部材を第1の鋼板により形成し、外側鋼板部材93Aを第2の鋼板により形成することが好適である。また、内側鋼板部材に補強部材(不図示)を設ける場合には、補強部材を第2の鋼板とし、外側鋼板部材に補強部材を設ける場合には、補強部材を第1の鋼板とするとより好適である。
また、内側鋼板部材を第2の鋼板により形成し、外側鋼板部材93Aを第1の鋼板により形成してもよい。この場合、内側鋼板部材に補強部材(不図示)を設ける場合には、補強部材を第1の鋼板とし、外側鋼板部材93Aに補強部材を設ける場合には、補強部材を第1の鋼板とするとより好適である。
<第4の適用例>
第4の適用例は、自動車車体構造90のクロスメンバー94に対する適用例である。
クロスメンバー94は、図10に示すように、例えば、車体幅方向両側部にわたって形成されており、車体フロア90Fにスポット溶接の溶接部(不図示)によって接合され、いる。
この場合、例えば、フロア90Fを第1の鋼板により形成し、クロスメンバー94を第2の鋼板により形成することが好適である。なお、クロスメンバー94に補強部材(不図示)を設ける場合には、補強部材を第1の鋼板とすることがより好適である。
また、フロア90Fを第2の鋼板により形成し、クロスメンバー94を第1の鋼板により形成してもよい。この場合、クロスメンバー94に補強部材(不図示)を設ける場合には、補強部材を第2の鋼板とするとより好適である。
<第5の適用例>
第5の適用例は、自動車車体構造90のセンターピラー95に対する適用例である。
センターピラー95は、図10に示すように、例えば、車体フロアの車幅方向量端部に配置され車体高さ方向に延在されたアウターパネル95Aと、インナーパネル(不図示)と、アウターパネル95Aとインナーパネルが接続されて形成された閉断面の中空部においてアウターパネル95Aの内方又は外方に接合される補強部材(不図示)とを備えている。
また、アウターパネル95Aとインナーパネル、及びアウターパネル95Aと補強部材は、それぞれスポット溶接の溶接部(不図示)によって接合されている。
この場合、例えば、アウターパネル95Aを第1の鋼板により形成し、補強部材を第2の鋼板により形成することが好適である。
なお、アウターパネル95Aを第2の鋼板により形成し、補強部材を第1の鋼板により形成してもよい。
<第6の適用例>
第6の適用例は、自動車車体構造90のアウターパネルとインナーパネルにより構成される中空部に対する適用例である。
図10に示すように、例えば、アウターパネル96Aと、インナーパネル(不図示)と、アウターパネル96Aとインナーパネルを接続して形成された閉断面の中空部(不図示)においてアウターパネル96Aの内方に接合される補強部材(不図示)とを備えて構成された部位について、アウターパネル96Aを第1の鋼板により形成し、補強部材(不図示)を第2の鋼板により形成すると好適である。
また、アウターパネル96Aとインナーパネル、及びアウターパネル96Aと補強部材は、それぞれスポット溶接による溶接部により接続されている。
なお、アウターパネル96Aを第2の鋼板により形成し、補強部材を第1の鋼板により形成してもよい。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、第1の鋼板におけるヤング率が、圧延方向及び圧延直交方向において最大値を示し、圧延45°交差方向において最小値を示す場合について説明したが、ヤング率の最大値が圧延方向、圧延直交方向以外の圧延交差方向で示され、また、ヤング率の最小値が圧延45°交差方向以外の圧延交差方向で示されてもよいことはいうまでもない。
なお、第2の鋼板におけるヤング率の最大値及び最小値と圧延交差方向との関わりについても同様である。
また、第1鋼板、第2鋼板の板厚、引張強さ等については、任意に設定することができる。
また、本発明を上記実施の形態において示した閉断面以外の閉断面を有する鋼板部材重ね合わせ構造に適用してもよいことはいうまでもない。また、幅方向の形状が長手方向に応じて変化する鋼板部材重ね合わせ構造等についても適用することができる。
また、上記実施の形態においては、鋼板部材重ね合わせ構造を自動車の車体構造に適用する場合について説明したが、鉄道車両等の自動車以外の車体構造や車体構造以外の用途に適用してもよい。
また、上記実施の形態においては、第1の鋼板(第2の鋼板)の圧延直交方向を、第1の鋼板部材又は第2の鋼板部材の長手方向と対応させる場合について説明したが、第1の鋼板(第2の鋼板)の圧延直交方向に代えて、第1の鋼板(第2の鋼板)の圧延方向を、第1の鋼板部材又は第2の鋼板部材の長手方向と対応させる構成としてもよい。
また、第1の鋼板、第2の鋼板からブランクを形成して組み合わせる場合に、第1の鋼板、第2の鋼板のいずれか一方を圧延方向、圧延直交方向以外の方向に切り出して、他方をそれに対応する方向に切り出してもよい。
また、上記実施の形態においては、溶接部がスポット溶接により形成されている場合について説明したが、スポット溶接に代えて、レーザー溶接等、他の溶接手段を用いてもよい。また、溶接部を形成する位置、ピッチ等は、任意に設定することができる。
次に、図11A〜図11D、図12、表1を参照して、本発明の実施例1について説明する。
実施例1は、図11A、図11Bに示す供試体の曲げ剛性及びねじり剛性を測定して評価した。
図11A〜図11Dは、本発明の実施例1に係る供試体(重ね合わせ構造部材)を説明する図であり、図11Aは供試体の斜視図を、図11Bは供試体の図11Aにおいて矢視XIB‐XIBで示す断面図である。図11A、図11Bにおいて、符号T10は実施例1で用いた供試体を、符号T11は第1の鋼板部材を、符号T12は第2の鋼板部材を示している。
供試体T10は、図11A、図11Bに示すように、断面ハット形の第1の鋼板部材T11と、平板状に形成された第2の鋼板部材T12とを備えている。
第1の構成部材T11は、60mm×60mmの凹部断面を有する長さ450mmのハット状とされ、鋼板を切り出したブランクを成形して形成した。
第2の鋼板部材T12は、鋼板を切出して平板状に形成されている。
第1の鋼板部材T11、第2の鋼板部材T12の形成に用いた鋼板は、それぞれ圧延直交方向を第1の鋼板部材T11、第2の鋼板部材T12の長手方向と対応させて切り出した。そして、第1の鋼板部材T11のフランジ部と第2の鋼板部材T12とを重ね合わせて接合し、供試体T10を作成した。なお、第1の鋼板部材T11と第2の鋼板部材T12の接合は、45mm間隔でスポット溶接を行って接合した。
第1の鋼板部材T11、第2の鋼板部材T12は、3種類の鋼板(鋼板A、鋼板B、鋼板C)のいずれかにより形成し、これらを表1に示すように組み合わせて、本発明例1、2、比較例1〜3を作成した。
鋼板A、鋼板Bのヤング率の面内異方性は、図11C、図11Dに示すとおりであり、鋼板Cは等方向性の鋼板である。実施例において、鋼板A、鋼板B、鋼板Cのヤング率の面内異方性を示す際に、圧延方向に対する交差角度θ:0(deg)、45(deg)、90(deg)におけるヤング率(E1−E2−E3)[GPa]で示す場合があるものとする。
鋼板A(第1の鋼板)は、図11Cに示すように、圧延方向に対して交差角度θ:0(deg)、45(deg)、90(deg)におけるヤング率が(230-205-230)[GPa]とされたV字形のヤング率の面内異方性を示す板厚1.2(mm)の鋼板である。
鋼板B(第2の鋼板)は、図11Dに示すように、圧延方向に対して交差角度θ:0(deg)、45(deg)、90(deg)におけるヤング率が(205−230−205)[GPa]とされた逆V字形のヤング率の面内異方性を示す板厚1.2(mm)の鋼板である。
鋼板Cは、圧延方向に対して交差角度θ:0(deg)、45(deg)、90(deg)のヤング率が(205−205−205)[GPa]とされた等方向性の板厚1.2(mm)の鋼板である。
なお、鋼板A、鋼板B、鋼板Cのヤング率は、圧延方向に対して交差角度θ=0(deg)〜90(deg)の範囲で、15(deg)おきに、長さ60mm、幅10mmの試験片を採取して、これら試験片を自由共振式弾性率測定装置(JISZ2280に準拠)を用いて測定した。
Figure 2020111231
供試体T10の曲げ剛性は、図11Aに示すように、供試体T10の一端部Pを固定したうえで、他端に5(kN)の荷重を負荷したときの変形量を測定して評価した。
また、供試体T10のねじり剛性は、図11Aに示すように、供試体T10の一端部Pを固定したうえで、他端に0.5(kNm)のトルクを負荷したときのねじり角を測定して評価した。
実施例1における本発明例1、2及び比較例1〜3の評価結果は、表1に示すとおりである。
<本発明例1>
第1の鋼板部材T11を鋼板Bで形成し、第2の鋼板部材T12を鋼板Aで形成した本発明例1は、曲げ剛性1.56(kN/mm)、ねじり剛性0.82(kN/deg)である。本発明例1は、図12に示すように、下記比較例1〜3と比べて、曲げ剛性とねじり剛性の双方を備えていることが確認できた。
<本発明例2>
第1の鋼板部材T11を鋼板Aで形成し、第2の鋼板部材T12を鋼板Bで形成した本発明例2は、曲げ剛性1.61(kN/mm)、ねじり剛性0.77(kN/deg)である。本発明例2は、図12に示すように、下記比較例1〜3と比べて、曲げ剛性とねじり剛性の双方を備えていることが確認できた。
<比較例1>
第1の鋼板部材T11、第2の鋼板部材T12を、ともに鋼板Bで形成した比較例1は、曲げ剛性1.48(kN/mm)、ねじり剛性0.84(kN/deg)である。
<比較例2>
第1の鋼板部材T11、第2の鋼板部材T12を、ともに鋼板Aで形成した比較例2は、曲げ剛性1.62(kN/mm)、ねじり剛性0.69(kN/deg)である。
<比較例3>
第1の鋼板部材T11、第2の鋼板部材T12を、ともに鋼板Cで形成した比較例3は、曲げ剛性1.48(kN/mm)、ねじり剛性0.69(kN/deg)である。
次に、図13A、図13B、図14、表2を参照して、本発明の実施例2について説明する。
実施例2は、図13A、図13Bに示す供試体の曲げ剛性及びねじり剛性を測定して評価した。
図13A、図13Bは、本発明の実施例2に係る供試体(重ね合わせ構造部材)を説明する図であり、図13Aは供試体の斜視図を、図13Bは供試体の図13Aにおいて矢視XIIIB‐XIIIBで示す断面図である。図13A、図13Bにおいて、符号T20は実施例2で用いた供試体を、符号T21は第1の鋼板部材を、符号T22は第2の鋼板部材を、符号T23は第3の鋼板部材を示している。
供試体T20は、図13A、図13Bに示すように、断面ハット形の第1の鋼板部材T21と、平板状に形成された第2の鋼板部材T22と、チャネル状に形成された第3の鋼板部材T23とを備えている。
第1の鋼板部材T21、第2の鋼板部材T22の形状、寸法については、実施例1に係る第1の鋼板部材T11と、第2の鋼板部材T12と同様である。
第3の構成部材T23は、60mm×60mmの凹部断面を有する長さ450mmのチャネル状とされている。また、第3の鋼板部材T23の形成に用いた鋼板は、圧延直交方向を第3の鋼板部材T23の長手方向と対応させて切り出した。
実施例2では、第1の鋼板部材T21、第3の鋼板部材T23を、3種類の鋼板(鋼板A、鋼板B、鋼板C)のいずれかにより形成し、第2の鋼板部材T22を、鋼板Cを用いて形成した。
また、実施例2では、これらを表2に示すように組み合わせて、本発明例3、4、比較例4〜6を作成した。
そして、第1の鋼板部材T21の内方に第3の鋼板部材T23を重ね合わせて、第1の板部材T21と第3の鋼板部材T23とを接合した。
その後、第1の板部材T21のフランジ部を第2の鋼板部材T22と重ね合わせて接合して供試体T20を作成した。
また、第1の板部材T21と第3の鋼板部材T23、第1の板部材T21と第2の鋼板部材T22の接合は、45mm間隔でスポット溶接により接合した。
なお、供試体T20に用いた鋼板A、鋼板B、鋼板Cは、実施例1と同様であるので説明を省略する。
Figure 2020111231
供試体T20の曲げ剛性は、図13Aに示すように、供試体T20の一端部Pを固定したうえで、他端に5(kN)の荷重を負荷したときの変形量を測定して評価した。
また、供試体T20のねじり剛性は、図13Aに示すように、供試体T20の一端部Pを固定したうえで、他端に0.5(kNm)のトルクを負荷したときのねじり角を測定して評価した。
実施例2における本発明例3、4及び比較例4〜6の評価結果は、表2に示すとおりである。
<本発明例3>
第1の鋼板部材T21を鋼板Bで形成し、第3の鋼板部材T23を鋼板Aで形成した本発明例3は、曲げ剛性2.24(kN/mm)、ねじり剛性1.01(kN/deg)である。本発明例3は、図14に示すように、下記比較例4〜6と比べて、曲げ剛性とねじり剛性の双方を備えていることが確認できた。
<本発明例4>
第1の鋼板部材T21を鋼板Aで形成し、第3の鋼板部材T23を鋼板Bで形成した本発明例4は、曲げ剛性2.30(kN/mm)、ねじり剛性0.96(kN/deg)である。本発明例4は、図12に示すように、下記比較例4〜6と比べて、曲げ剛性とねじり剛性の双方を備えていることが確認できた。
<比較例4>
第1の鋼板部材T21、第3の鋼板部材T23を、ともに鋼板Bで形成した比較例4は、曲げ剛性2.17(kN/mm)、ねじり剛性1.03(kN/deg)である。
<比較例5>
第1の鋼板部材T21、第3の鋼板部材T23を、ともに鋼板Aで形成した比較例5は、曲げ剛性2.31(kN/mm)、ねじり剛性0.91(kN/deg)である。
<比較例6>
第1の鋼板部材T21、第3の鋼板部材T23を、ともに鋼板Cで形成した比較例6は、曲げ剛性2.17(kN/mm)、ねじり剛性0.91(kN/deg)である。
本発明によれば、複数の鋼板部材を重ね合わせて構成された鋼板部材重ね合わせ構造、車体構造の曲げ剛性及びねじり剛性をともに向上することができるので、産業上利用可能である。
10、20、30、40、50、60 鋼板部材重ね合わせ構造
10S、20S、30S、40S、50S、60S 閉断面
11、21、31、41、51、61 第1の鋼板部材
12、22、32、42、52、62 第2の鋼板部材
23、33、34、431、432、441、442、531、532、631、632、641、642 第3の鋼板部材
113、114、213、214、313、322、413、414、423、424、611、622 フランジ壁部(フランジ部、重ね合わせ部)
121、123、221、223、314、321、513、514、614、623 重ね合わせ壁部(重ね合わせ部)
35、35、36、45、46、55、56、65、66 スポット溶接部(溶接部)
90 自動車車体構造(車体構造)
90F フロア
91 サイドシル
91A サイドシルアウター(外側鋼板部材)
92 フロントサイドメンバー
92A 外側鋼板部材
93 リアサイドメンバー
93A 外側鋼板部材
94 クロスメンバー
95 センターピラー
95A アウターパネル
96A アウターパネル

Claims (9)

  1. 複数の鋼板部材が重ね合わせられて閉断面をなす中空部を隔てて形成された重ね合わせ部が溶接部によって接合された鋼板部材重ね合わせ構造であって、
    鋼板の面内における圧延方向のヤング率及び前記圧延方向と交差角度90°で交差する圧延直交方向のヤング率が、前記面内において前記圧延方向と交差角度45°で交差する圧延45°交差方向のヤング率に比べて高くかつ前記面内におけるヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされるヤング率の面内異方性を示す第1の鋼板と、
    鋼板の面内において圧延方向と交差角度45°で交差する圧延45°交差方向におけるヤング率が、前記圧延方向のヤング率及び前記圧延方向と交差角度90°で交差する圧延直交方向のヤング率に比べて高くかつ前記面内におけるヤング率の最大値と最小値の比が1.1以上とされたヤング率の面内異方性を示す第2の鋼板と、
    を備え、
    前記第1の鋼板と前記第2の鋼板が対向するように組合せられていることを特徴とする鋼板部材重ね合わせ構造。
  2. 請求項1に記載の鋼板部材重ね合わせ構造であって、
    ハット形断面が長尺に形成された第1の鋼板部材と、
    前記ハット形断面のフランジ部で接続される第2の鋼板部材と、
    を備え、
    前記第1の鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、
    前記第2の鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする鋼板部材重ね合わせ構造。
  3. 請求項1に記載の鋼板部材重ね合わせ構造であって、
    ハット形断面が長尺に形成された第1の鋼板部材と、
    前記ハット形断面のフランジ部で接続される第2の鋼板部材と、
    チャネル形断面が長尺に形成され前記第1の鋼板部材と重ね合わせて接合される第3の鋼板部材と、
    を備え、
    前記第1の鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、
    前記第3の鋼板部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする鋼板部材重ね合わせ構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、
    車体フロアの幅方向両側部において車体前後方向に延在され外側鋼板部材と前記外側鋼板部材の内方に配置される内側鋼板部材とを有するサイドシルを備え、
    前記外側鋼板部材は、
    前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、
    前記内側鋼板部材は、
    前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする車体構造。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、
    車体の前後方向に延在して形成された内側鋼板部材と、前記内側鋼板部材の外方側に配置された外側鋼板部材と、
    を有するフロントサイドメンバーを備え、
    前記内側鋼板部材は、
    前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、
    前記外側鋼板部材は、
    前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする車体構造。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、
    車体の前後方向に延在して形成された内側鋼板部材と、前記内側鋼板部材の外方側に配置された外側鋼板部材と、
    を有するリアサイドメンバーを備え、
    前記内側鋼板部材は、
    前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、
    前記外側鋼板部材は、
    前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする車体構造。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、
    車体フロアと、
    前記車体フロアに接続され車体幅方向両側部に延在するクロスメンバーと、
    を備え、
    前記車体フロアは、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、
    前記クロスメンバーは、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする車体構造。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、
    車体フロアの車幅方向量端部に配置され車体高さ方向に延在されたアウターパネルと、インナーパネルと、前記アウターパネルと前記インナーパネルが接続されて形成された閉断面の中空部において前記アウターパネルの内方に接合される補強部材と、
    を有するセンターピラーを備え、
    前記アウターパネルは、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、
    前記補強部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする車体構造。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板部材重ね合わせ構造を用いた車体構造であって、
    アウターパネルと、
    インナーパネルと、
    前記アウターパネルと前記インナーパネルを接続して形成された閉断面の中空部において前記アウターパネルの内方に接合される補強部材と、
    を備え、
    前記アウターパネルは、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板のいずれか一方により形成され、
    前記補強部材は、前記第1の鋼板と前記第2の鋼板の他方により形成されていることを特徴とする車体構造。
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JP2011089167A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Nippon Steel Corp 張り剛性に優れた複合パネル

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