JP2020110759A - スパイラル型分離エレメント用の透過液流路材 - Google Patents

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孝一 猿渡
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Hisao Terasaki
久雄 寺崎
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Abstract

【課題】耐圧性、長期間の耐久性に優れ、さらに、生産性が高く、低コストの透過液流路材の提供。【解決手段】一端で開口する封筒状分離膜、供給液流路材、及び該封筒状分離膜により挟まれた透過液流路材が、有孔の中空状中心管の周りに巻きつけられているスパイラル型分離エレメント用の透過液流路材であって、該透過液流路材は、経糸が挿入された鎖編み経編地であり、かつ、該鎖編み経糸と該挿入経糸とが熱融着されており、該経編地の厚みが300μm以下であり、該有孔の中空状中心管に向かって流れる透過液の流路に略平行に隣接する該経編地の経糸間の溝幅が320〜400μmであり、該厚みから該挿入経糸の直径を減じた差分に相当する該挿入経糸の上側及び下側の溝深さの合計が100〜200μmであり、開口率(%)が30%以上であり、かつ、剛軟度が150mm以上であることを特徴とする前記透過液流路材。【選択図】図6

Description

本発明は、逆浸透や限外濾過等に用いられるスパイラル型分離膜エレメント用の透過液流路材に関する。
従来、逆浸透や限外濾過等に用いられるスパイラル型分離膜エレメントとして、例えば、図1に示すような構造を有するものが知られている。スパイラル型液体分離膜エレメント1では、透過液流路材2を挟むように分離膜3が配置されている封筒状の分離膜4が形成され、かかる封筒状の分離膜4の開口部側が、有孔の中空状中心管5の周りに、供給液流路材6と共に、巻きつけられている。スパイラル型分離膜エレメント1の一端に、供給液7が供給され、供給液流路材6に沿って流れ、他端から濃縮液8として排出される。供給液7が供給液流路材6に沿って流れる途中で分離膜4を通過した透過液9は、透過液流路材2に沿って有孔の中空状中心管5の集水孔10を通過し、有孔の中空状中心管5の他端で排出される。
分離膜4として逆浸透膜を用いたスパイラル型液体分離膜エレメント1においては、通常、液体の分離や濃縮を効率よく行うために、供給液側と透過液側に0.5〜7MPa程度の差圧を発生させており、通常、透過液流路材2として、流路形成のために凸凹断面を有するものが用いられている。かかる凹凸は、上記差圧によっても保持され、透過液流路を確保するものである必要がある。すなわち、逆浸透膜を用いたスパイラル型液体分離膜エレメントにおいては、透過液の流量、阻止率、排除率、又は濃縮率といった性能を高めるために、圧力による逆浸透膜の変形を防止し、かつ、透過液流路材による透過液の流動抵抗をできるだけ小さくすることが望まれている。
他方、透過液流路材が厚くなり過ぎると、これを挟む封筒状の分離膜も厚くなってしまうため、スパイラル状に巻くことが困難になるという問題がある。
例えば、以下の特許文献1には、分離膜基材が、織編物である透過液流路材の溝へ落ち込むことによる透過液流路の閉塞を防止するために、耐圧性の透水性布帛を用いることが開示されており、従来、このような耐圧性の多孔性シートや耐圧性の透水性布帛が、織編物である透過液流路材に、糊材付きプラスチックテープなどによって取り付けられてきた。
しかしながら、かかる耐圧性の透水性布帛自体の存在が、透過液流路断面積の低下を招き、また、圧損を生じさせるだけでなく、耐圧性の透水性布帛などを、糊材付きプラスチックテープなどを用いて織編物である透過液流路材に固定する場合、巻囲時に取付け位置がずれたりしないように注意を払う必要があったりテープ交換など作業が煩雑となり、また、用いるテープによっては使用中(例えば、運転開始、停止の切換時)に耐圧シートが固定位置からずれたりして、固定という役割を十分に果たせなくなってしまうことがある。また、糊材である粘着物質が溶出する可能性があることから食品濃縮用途には使用できない場合もあり、用いるテープ等の選択に十分に注意を払わなければならないとう問題がある。
以下の特許文献2には、供給側圧力が低い場合や透過液流量が大きい場合であても、有効流路断面積を十分に確保し、透過液流路の圧損が大きくなることを防止するために、透過液に流れ方向に略平行な経糸と、かかる経糸に融着や接着などにより固着させた緯糸とを有し、(経糸幅と経糸内側間隔の合計)÷経糸間隔の比と、経糸高さ÷透過液流路材の厚みの比を、それぞれ、特定の値としたものが記載されている。
しかしながら、経糸と緯糸を井桁状に固着したものを製造するためには、固着に先立って、経糸と緯糸をそれぞれ、一定間隔で平行に並べて配置する必要があり、幅広の透過液流路材の製造は困難であるか、極めて生産性が低いものとなる。
以下の特許文献3には、透過液流路材として、経糸と緯糸の両者に剛性な樹脂製モノフィラメントを用いた井桁状の織物の該経糸と該緯糸の交絡点を、極力繊度の細い伸縮性を有する繊維の収縮力を利用して該繊維の鎖編により固定し、熱融着や樹脂加工を省略したのが開示されている。特許文献2には、かかる透過液流路材は、透過液流路材内部で全方位に通水でき、通水路の抵抗を極力抑える構造体であり、TOC成分の溶出や微粒子の脱落もなく、超純水システムにおける比抵抗の立ち上がり特性で優れた性能を発揮するとともに、耐アルカリ性に優れた素材を使用すれば定期洗浄時に洗浄剤の濃度を上げて短時間で完了することが可能となり、逆浸透膜を損傷することなく、長期にわたって優れた性能を発揮し、かつ、維持することのできるスパイラル型分離膜エレメントが提供されうると記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載された透過液流路材は井桁状であり、全方位に通水できるものとされ、また、緯糸に比較的繊度の大きな剛性のモノフィラメントが用いられているにも拘らず、鎖編の緯糸は繊度の小さいものであるため、透過液流路の圧損が大きいものである。
他方、以下の特許文献4には、伸縮性のある緯糸が挿入された経編地において湯通しされることにより収縮が生じて、しぼ立ちが表れるという現象が回避され、また、編物と織物の機能を併せ持つ、衣服として用いることができる伸縮性緯糸挿入経編地の製造方法が開示されている。特許文献4に記載された伸縮性緯糸挿入経編地の製造方法は、第一の筬により経糸の太さが15〜200デニールの第一編み組織を形成し、第二の筬により経糸の太さが15〜200デニールの第二編み組織を形成するとともに、同時に前記第一第二編み組織の編成に関わりなく前記第一第二編み組織のコース方向に太さが15〜500デニールの緯糸を挿入して生地を形成し、前記緯糸は弾性糸を有して伸縮性があり、編成される前記生地表面では、コース方向に挿入された前記緯糸を編み組織の各編み目において、前記緯糸をシンカーループ面側から、前記第一編み組織の経糸と前記第二編み組織の経糸により各々保持しながら編成し、前記編成後に編み機から外して張力を除いて、伸縮自在の編み組織を形成するものである。特許文献4の図3に示される第二組織14は、経糸12により第二の筬L2の糸位置番号(10/01)を繰り返す鎖編みにより編成されたものであり、第二組織14の経糸のシンカーループにより形成される保持部12aが、シンカーループ面側から緯糸15の表面を保持する構造になっている。また、第二組織14は、閉じ目、開き目のいずれでもよいと記載されている。
特許文献4の図3に記載された編組織は、緯糸挿入鎖編み経編地であり、緯糸は弾性糸である衣服用の編地であり、また、透過液流路材として、適した形状やサイズを有するものではない。
そして、以下の特許文献5には、特許文献1〜4に記載された発明の問題点を解消すべく、すなわち、低圧から高圧までの広い圧力範囲において透過液流量、阻止率、排除率、又は濃縮率といった性能の低下をきたすことなく、耐圧性、長期間の耐久性に優れ、さらに、生産性が高く、低コストの透過液流路材を提供すべく、透過液流路材を、緯糸又は経糸挿入鎖編み経編地とし、透過液の流路に略平行に隣接する該鎖編み経糸の間隔(w)を100〜700μmとし、経糸の繊度で規定される透過液流路材の厚み(t)を所定値とすることで、分離膜の供給側の圧力が高くなっても変形しにくい構造とし、透過液流路の圧損の低減と有効流路断面積の確保を両立することが提案されている。
特開平09−141067号公報 特開2004−283701号公報 特開2010−94659号公報 特開2015−168902号公報 特開2018−094549号公報
前記したように、特許文献5には、従来技術の問題点を解消するための技術が提案されているが、経糸の間隔(w、本願発明のおける溝幅に相当する)の範囲が広く、溝幅(w)と、溝深さと溝幅(w)とで規定される有効流路断面積の割合(本願発明における開口率に相当する)との関係や、溝幅(w)と、加圧下での分離膜の撓みに因る開口率の減少との関係については検討されていない。
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、特許文献5に記載された技術をさらに改良し、低圧から高圧までの広い圧力範囲において透過液流量、阻止率、排除率、又は濃縮率といった性能の低下をきたすことなく、耐圧性、長期間の耐久性に優れ、さらに、生産性が高く、低コストの透過液流路材を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討し実験を重ねた結果、透過液流路材として、経糸挿入経編地に限定し、該透過液流路材の溝幅、開口率、剛軟度、厚み等を特定することにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]一端で開口する封筒状分離膜、供給液流路材、及び該封筒状分離膜により挟まれた透過液流路材が、有孔の中空状中心管の周りに巻きつけられているスパイラル型分離エレメント用の透過液流路材であって、該透過液流路材は、経糸が挿入された鎖編み経編地であり、かつ、該鎖編み経糸と該挿入経糸とが熱融着されており、該経糸が挿入された鎖編み経編地の厚み(t)が、300μm以下であり、該有孔の中空状中心管に向かって流れる透過液の流路に略平行に隣接する該鎖編み経糸間の溝幅(w)が、320〜400μmであり、該厚み(t)から該挿入経糸の直径を減じた差分に相当する該挿入経糸の上側及び下側の溝深さの合計(d+d)である溝深さが、100〜200μmであり、以下の式:
開口率(%)={(d+d)×w}÷{(w+z)×t}×100
{式中、d、d、w、tは、先に定義したものであり、そしてzは、前記鎖編み経糸の幅(畝幅)である。}で表される開口率(%)が30%以上であり、かつ、該透過液流路材のJIS L 1096 8.21 45°カチレバー法に準拠する剛軟度が、150mm以上であることを特徴とする、前記透過液流路材。
本発明に係る透過液流路材は、透過液流路の有効流路断面積を確保しながら、幅広の経編地を編成することができるため、生産性が高く、コスト低減が図れ、スパイラル型分離膜エレメントの透過液流路材として好適である。
従来の代表的なスパイラル型分離膜エレメントの一部切り欠き斜視図の一例である。 従来の代表的なスパイラル型分離膜エレメントの断面図である。 本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地一例の編み組織図である。 本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地の断面図における、開口率を説明するための図面である。 本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地の一例の平面の100倍拡大写真である。 本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地の一例の断面の拡大写真である。 比較例2のショートクインズ経編地の一例の平面の100倍拡大写真である。 比較例2のショートクインズ経編地の一例の断面の拡大写真である。 透過液流路材を分離膜で挟んで圧縮圧力を加えた場合に、供給液流量と圧力損失を測定する実験装置の模式図である。 本願実施例の経編地と、比較例の編地とを透過液流路材として用い、流動抵抗測定(平板セル)した場合の、圧力損失(圧損)と通水量(流量)との関係を示すグラフである。
本実施形態の透過液流路材は、一端で開口する封筒状分離膜、供給液流路材、及び該封筒状分離膜により挟まれた透過液流路材が、有孔の中空状中心管の周りに巻きつけられているスパイラル型分離エレメント用の透過液流路材であって、該透過液流路材は、経糸が挿入された鎖編み経編地であり、かつ、該鎖編み経糸と該挿入経糸とが熱融着されており、該経糸が挿入された鎖編み経編地の厚み(t)が、300μm以下であり、該有孔の中空状中心管に向かって流れる透過液の流路に略平行に隣接する該鎖編み経糸間の溝幅(w)が、320〜400μmであり、該厚み(t)から該挿入経糸の直径を減じた差分に相当する該挿入経糸の上側及び下側の溝深さの合計(d+d)が、100〜200μmであり、以下の式:
開口率(%)={(d+d)×w}÷{(w+z)×t}×100
{式中、d、d、w、tは、先に定義したものであり、そしてzは、前記鎖編み経糸の幅である。}で表される開口率(%)が30%以上であり、かつ、該透過液流路材のJIS L 1096 8.21 45°カチレバー法に準拠する剛軟度が、150mm以上であることを特徴とする。
本実施形態のスパイラル型分離膜エレメントは、単数又は複数の、分離膜、供給液流路材、及び透過液流路材が、有孔(集水孔)の中空状中心管の周りに巻きつけられている構造を有する。但し、本実施形態においては、図1に11で示す耐圧性の透過性布帛は不要である。図2に分離膜エレメントの断面図を示す。
本実施形態のスパイラル型分離膜エレメントにおいては、透過液流路材以外の部材に関しては、従来公知の分離膜、供給液流路材、中空状中心管など何れも採用できる。例えば、供給液流路材と透過液流路材が複数用いられる場合には、複数の膜リーフ(封筒状の分離膜)が中空状中心管の周りに巻きつけられた構造となる。
本実施形態の透過液流路材は、例えば、図3に示す組織で編成された経糸が挿入された鎖編み経編地である。但し、経糸の挿入は、図3に示すように、3針とびでトリコット挿入されたものには限定されず、2〜6針飛びでトリコット挿入されたものでもよい。
これらの経編地の鎖編み組織を構成する経糸の直径は、好ましくは50〜150μmであり、挿入組織を構成する経糸の直径も、好ましくは50〜150μmである。鎖編み組織を構成する経糸の直径が50μm以上あれば、鎖編部により確定される編地の厚み(t)として300μm以下を確保することができ、複数の膜リーフ(封筒状の分離膜)の厚みが過度にならず、中空状中心管の周りへの巻きつけに支障をきたさない。また、挿入組織を構成する経糸の直径が50μm以上でれば、編地の剛性を確保することができ、生産性が高いものとなり、他方、150μm以下でれば、以下に説明する透過液流路断面における溝深さを確保することができる。また、本実施形態の経編地を構成する糸はいずれも、編地の剛性を確保する観点から、非弾性繊維であることが好ましい。
本実施形態の経編地を構成する糸の材質としては、透過液流路材としての形状を保持し、かつ、透過液中への成分の溶出が少ないものならばどのようなものでもよく、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアミド等の樹脂の他、天然高分子、ゴムなどが挙げられるが、ナイロン(NYLON)、ポリエステルなどの樹脂を使用することができるが、編物加工のしやすさ等の観点から、ポリエステルが好ましい。
本編地を構成する糸は、マルチフィラメントでもモノフィラメントでも構わないが、2種の編組織による相互糸の拘束性の観点から、マルチフィラメントであることが好ましい。また、鎖編み組織を構成する経糸としてマルチフィラメントを使用する場合、撚りや融着等によって、編地の厚みが供給液側の圧力で変形しにくいものとすることが好ましい。尚、前記した両糸の繊度は、マルチフィラメントの場合、単糸繊度ではなく、総繊度を意味する。直径は、マルチフィラメントの断面が丸である場合の換算直径である。
本実施形態の経編地における鎖編みを編成する糸と、経糸挿入糸は熱融着され、得られた編地のJIS L 1096 8.21 45°カチレバー法に準拠する剛軟度が150mm以上であることが必要である。例えば、融着糸として、鎖編みを編成する糸としてKBセーレン社製の84T/24fLHDベルカップル(登録商標)を、また、経糸挿入糸として84T/24fLHDベルカップル(登録商標)を用いることができる。これらの糸は、芯がレギュラーPET、鞘が共重合PET(低融点のco−PET)であり、鞘成分の融点は190℃であるため、例えば、180℃で30〜120秒間の加熱により熱融着させることができる。経糸挿入糸と鎖編みを編成する糸が互いに熱融着すれば、接合部が硬くなり、その結果、編地の剛性が高くなり、剛軟度を150mm以上とすることができる。編地の剛軟度がこの範囲内であれば、透過液流路材として分離膜に挟まれて使用されるとき、分離膜による挟まれる圧縮圧力に抗して、以下に説明するように、溝幅(w)と溝深さにより規定される透過液流路断面積の割合(開口率)を確保することができる。
本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地では、有孔の中空状中心管に向かって流れる透過液の流路に略平行に隣接する該鎖編み経糸間の溝幅(w)が、320〜400μmであり、該厚み(t)から該挿入経糸の直径を減じた差分に相当する該挿入経糸の上側及び下側の溝深さの合計(d+d)が、100〜200μmであり、以下の式:
開口率(%)={(d+d)×w}÷{(w+z)×t}×100
{式中、d、d、w、tは、先に定義したものであり、そしてzは、前記鎖編み経糸の幅である。}で表される開口率(%)が30%以上であることが必要である。
図4に示すように、編地の単位断面(厚み(t)×(溝幅(w)+畝幅(z))に対する透過液の流路となる開口面積(溝幅(w)×溝深さ)の割合であり、通水量(流量)を確保する観点から、より高いことが好ましい。
また、本実施形態の経編地では、溝幅(w)は、320〜400μmであることが必要である。溝幅(w)が320μm未満では、十分な開口率が確保できず、他方、400μmを超えると、畝(鎖編み経糸組織)を跨る分離膜が圧縮圧力に負けて撓み、流路が潰れ、供給液の圧力損失が大きくなる。
図5に本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地の平面の拡大写真を、そして図6に断面の拡大写真を示す。図6に示すように、溝幅(w)の溝が、挿入経糸の上下に溝深さdとdをもって形成されていることが分かる。
図7には、ショートクインズ経編地の平面の拡大写真を、そして図8に断面の拡大写真を示す。
本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地は、高圧下で透過液流路材自体が変形するのを抑制するために、剛性を高める硬化処理を行ってもよい。硬化処理の方法としては、前記したように、編物を加熱して繊維を相互に融着固化させる熱融着加工を施すことに加え、例えば、編物にメラミンやエポキシなどの樹脂を含浸したりすることができる。
また、本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地は、特殊な編み機で製造する必要がある緯糸挿入鎖編み経編地とは異なり、一般的な経編機、例えば、ハイゲージ(40GG)編機を用いて320〜400μmという狭い鎖編み間隔(溝幅(w))で幅広な編地として、製造することができるため、特許文献2に記載された従来技術におけるように経糸と緯糸を並べて熱融着するといった工程を必要としない。また、経糸挿入であれば、鎖編み経糸間隔が狭い領域で好適に製造でき、また、鎖編み経糸間隔を狭め、膜落ち込みを抑制する観点から有利である。このように、本本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地の生産性は、従来技術の透過液流路材と比較して極めて高い。
本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地は、高圧下において逆浸透膜に局部的、あるいは不均一な変形が起こらないようにするため、カレンダー加工を施したものであってもよい。カレンダー加工により編地は、繊維の形状に起因する微細な起伏がつぶされて非常に平滑かつ平坦になるため、高圧下で逆浸透膜が不均一な変形を起こさなくなり性能や耐久性をさらに向上させることが可能となる場合がある。
本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地は、経緯両方向の伸びが抑制されていることが好ましい。編地を流路材に適用した時に、高圧で流体を通過させるため、編地がよれたり変形して流路がふさがれたり、流量が低下してしまうことを抑制できる。経方向荷重100N/100mm時の伸びが3%以下であることが好ましく、2.5%以下であることがより好ましい。一方、伸びが小さすぎるとスパイラル型分離エレメントの成型性が悪化するため、1.0%以上が好ましく、2.0%以上がより好ましい。同様に緯方向に荷重100N/100mm時の伸びが20%以下であることが好ましく、12%以下であることがより好ましい。下限は5%以上であることが好ましい。ここで、荷重100N/100mm時の伸びとは、後述する引張強さ測定において、試料幅100mmとしたときの荷重100Nにおける伸度を示す。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1:経糸挿入鎖編み経編地の製造]
濾過液流路材として、PET系芯鞘構造の84T/24f(総繊度/フィラメント数)融着糸(KBセーレン社製の84T/24fLHDベルカップル(登録商標))と、他方、56T/24fからなる融着糸(KBセーレン社製の56T/24fLHDベルカップル(登録商標))を用いて、40GGカールマイヤー製トリコット編機にて機上コース/機上ウェール=40コース/インチ、40ウェール/インチからなり、図3に示す挿入組織と鎖編みの組み合わせからなる経編地を作製した。
この生機を精練セットし、両面に熱融着加工(温度180℃、処理時間1分)を施し、巻き取った。
[比較例1:経糸挿入鎖編み経編地の製造]
濾過液流路材として、ポリエチレンテレフタレートからなる110T/24fレギュラーPET糸(総繊度/フィラメント数)(東レ社製)と、他方、33T/12fからなるレギュラーPET糸(東レ社製)を用いて、40GGカールマイヤー製トリコット編機にて、図3に示す挿入組織と鎖編みの組み合わせからなる経編地の生機を作製した。
この生機を精練セットし、熱融着加工を施さずに、巻き取り、45コース/インチ、45ウェール/インチの経編地を得た。
[比較例2:ショートクインズ経編地の製造]
ポリエチレンテレフタレートからなる44T/18f(総繊度/フィラメント数)融着糸(KBセーレン社製)と、他方、PET系芯鞘構造の56T/24f融着糸(KBセーレン社製の56T/24fLHDベルカップル(登録商標))を用いて、40GGカールマイヤー製トリコット編機にてのショートクインズ組織の経編地の生機を作製した。
この生機を精練セットし、バック筬側のみに熱融着加工(温度190℃、処理時間1分)を施し、巻き取り、42コース/インチ、42ウェール/インチの経編地を得た。
実施例1、比較例1、2で得られた編地の物性等を以下の表1に示す。
[実施例2:スパイラル型分離膜エレメントの性能評価]
実施例1、比較例1、2で得られた編地を透過液流路材として使用して、図9に示す装置による流動抵抗測定(平板セル)を実施した。
図10は、供給液圧力損失(MPa)と通水量(流量)(L/min)との関係を示すグラフである。図10から、本実施形態の透過液流路材は、比較例1、2の透過液流路材に比較して、透過液流路の有効流路断面積を確保し、圧力損失が少ないため、スパイラル型分離膜エレメントの透過液流路材として好適なものであることが分かる。
実施例1の経糸挿入鎖編経編地では、剛軟度の高い編地の溝幅(w)を所定範囲内(320〜400μm)として、高圧下での撓み、潰れを回避しつつ、開口率を高めて(30%以上)、通水量を確保することができた。
他方、比較例1の経糸挿入鎖編経編地では、溝幅が小さく、開口率も低く、熱融着がないため剛軟度も上がらなかった。
[実施例3:支持体自体の強伸度測定]
実施例1、比較例1、2で得られた編地について、JIS L1096 B法(グラブ法)記載の方法で破断強伸度測定を行った。編地幅は100mm、編地長は150mmとし、300mm/secの速度で引張試験を行った。荷重100N/100mm時の伸び量を、表1に示す。本実施形態の透過液流路材は、比較例1、2の透過液流路材に比較して、荷重100N/100mm時の伸びが小さく、流体圧による変形が抑制され、流路を確保することができるものであった。
本発明に係る透過液流路材は、透過液流路の有効流路断面積を確保しながら、幅広の経編地を編成することができるため、生産性が高く、コスト低減が図れ、スパイラル型分離膜エレメントの透過液流路材として好適に利用可能である。
1 スパイラル型分離膜エレメント
2 透過液流路材
3 分離膜(逆浸透膜)
4 封筒状の分離膜
5 有孔の中空状中心管(集水管)
6 供給液流路材
7 供給液
8 濃縮液
9 透過液
10 集水孔
11 耐圧性の透水性布帛(本実施形態では任意)
13 本実施形態の経糸が挿入された鎖編み経編地
12 鎖編み経糸
14 鎖編み経糸
15 経糸挿入組織によりウェールを跨って配された挿入経糸
t 経糸が挿入された鎖編み経編地の厚み
w 鎖編み経糸間の溝幅
+d 厚み(t)から挿入経糸(15)の直径を減じた差分に相当する挿入経糸の上側及び下側の溝深さの合計(溝深さ)
z 鎖編み経糸の幅(畝幅)

Claims (1)

  1. 一端で開口する封筒状分離膜、供給液流路材、及び該封筒状分離膜により挟まれた透過液流路材が、有孔の中空状中心管の周りに巻きつけられているスパイラル型分離エレメント用の透過液流路材であって、該透過液流路材は、経糸が挿入された鎖編み経編地であり、かつ、該鎖編み経糸と該挿入経糸とが熱融着されており、該経糸が挿入された鎖編み経編地の厚み(t)が、300μm以下であり、該有孔の中空状中心管に向かって流れる透過液の流路に略平行に隣接する該鎖編み経糸間の溝幅(w)が、320〜400μmであり、該厚み(t)から該挿入経糸の直径を減じた差分に相当する該挿入経糸の上側及び下側の溝深さの合計(d+d)である溝深さが、100〜200μmであり、以下の式:
    開口率(%)={(d+d)×w}÷{(w+z)×t}×100
    {式中、d、d、w、tは、先に定義したものであり、そしてzは、前記鎖編み経糸の幅(畝幅)である。}で表される開口率(%)が30%以上であり、かつ、該透過液流路材のJIS L 1096 8.21 45°カチレバー法に準拠する剛軟度が、150mm以上であることを特徴とする、前記透過液流路材。
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