JP2020108944A - 複合部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】紫外線が照射されたときに撥液性を異ならせる複数種の樹脂表面を備える複合部材を提供する。【解決手段】本発明の1つの複合部材100は、基材10上又は基材10の上方に、第1樹脂を含有する第1樹脂含有層22と、該第1樹脂と異なる第2樹脂を含有する第2樹脂含有層32と、を備える複合部材である。加えて、複合部材100は、第1樹脂含有層22の少なくとも第1表面及び第2樹脂含有層32の少なくとも第2表面に紫外線を照射したときの、該紫外線を照射した後の該第1表面の第1接触角が、該紫外線を照射した後の該第2表面の第2接触角よりも10°以上高い。【選択図】図2
Description
本発明は、複合部材及びその製造方法に関する。
様々な形態の情報端末や情報家電が産業界及び消費者に求められる中、微細化された電子デバイスに代表される、種々の分野の各種デバイスのための配線等の形成方法は、日進月歩で進化を続けている。
各種の電子デバイスのための配線等の形成方法として、長年に亘り、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセス等、比較的長時間、及び/又は高価な設備を要する製造方法が採用されてきた。
これまでに、本願出願人は、酸化されたときに酸化物半導体となる金属の化合物を脂肪族ポリカーボネートからなるバインダーを含む溶液中に分散させた酸化物半導体の前駆体を利用して、クラックの生成が低減され、電気的特性及び安定性に優れる酸化物半導体層、及びその酸化物半導体層を備えた半導体素子並びに電子デバイスを提供する技術を開示している(特許文献1)。
また、本願出願人は、基材上に配置された、複数の島状の脂肪族ポリカーボネート含有層の少なくとも表面が、180nm以上370nm以下の波長を含む紫外光に15分間曝露されたときに、純水とその表面との接触角が50°以上であり、各々の該前駆体層に挟まれた領域の少なくとも一部に、前述の基材上の金属インクを備える複合部材を開示している(特許文献2)。
上述のとおり、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセスに代表される製造方法は、各種のデバイスを製造するために多くの処理と長時間を要するため、原材料や製造エネルギーの使用効率の低下又は悪化につながる。従って、そのような製造方法を採用することは、工業性又は量産性の観点から好ましくないだけでなく、大面積化を比較的困難にすることになる。
一方、印刷法に代表される低エネルギー製造プロセスは、電子デバイスのフレキシブル化、及び上述の工業性又は量産性の観点から、産業界において特に注目を集めている。塗布法を用いれば、直接、基板上に所望の層をパターニングすることができるため、パターニングのための真空プロセスを省くことができるという利点が得られる。そのため、脂肪族ポリカーボネートを含有する層(特に、ポリプロピレンカーボネートを含有する層(以下、「ポリプロピレンカーボネート含有層」ともいう))を含む各種の樹脂含有層を用いて微細なパターニングを実現することは、特許文献1に開示されている該層の稀有な特徴を利用することにより、各種デバイスにとって大変魅力的な技術の提供につながる可能性がある。
しかしながら、脂肪族ポリカーボネートを含有する層(以下、「脂肪族ポリカーボネート含有層」ともいう)は、その安定的に発揮される高い撥液性がいわば障害となり得ることを本発明者は知得した。具体的には、例えば金属インクを出発材として形成される金属配線パターンを形成する場合、選択的に該金属インクを配置するために、該脂肪族ポリカーボネート含有層の高い撥液性(代表的な指標として、該層の表面における純水の接触角)とは別に、比較的低い撥液性の領域を形成するという、高度な工夫が求められ得る。そのため、種々のデバイスに該脂肪族ポリカーボネート含有層を適用させるためには、その高い撥液性と相反する、比較的低い撥液性(換言すれば、液体とのより高い親和性)を有する領域の形成を如何に実現するか、という技術問題を解決しなければならない。
本発明は、樹脂含有層におけるある選択された領域の撥液性を、その領域以外の領域の撥液性と確度高く異ならせることに大きく貢献し得る。
本発明者は、例えば、微細化された電子デバイスに代表される様々な分野の各種デバイスの配線等の位置の制御性を高めるために、樹脂の種類によって撥液性が異なることを積極的に活用することを見出し、鋭意研究と分析を重ねた。その結果、本発明者は、単に撥液性の異なる樹脂材料を基材上又は該基材の上方に配置するのではなく、それらの異なる樹脂材料の少なくとも表面に対して紫外線を照射することが、各樹脂材料の該表面状態の変化を積極的に、また確度高く促すことを知得した。加えて、複数の種類の樹脂に対して、好適には一時に紫外線照射を行うことによって樹脂ごとの表面状態の変化の違いを一時に生じさせ得るため、例えば、他の領域と比較して低い撥液性を有する特定の領域を容易に実現し得ることを見出した。本発明は上述の着眼点と工夫によって創出された。
本発明の1つの複合部材は、基材上又は該基材の上方に、第1樹脂を含有する第1樹脂含有層と、該第1樹脂と異なる第2樹脂を含有する第2樹脂含有層と、を備える複合部材である。加えて、この複合部材は、前述の第1樹脂含有層の少なくとも第1表面及び前述の第2樹脂含有層の少なくとも第2表面に紫外線を照射したときの、該紫外線を照射した後の該第1表面の第1接触角が、該紫外線を照射した後の該第2表面の第2接触角よりも10°以上高い。
この複合部材によれば、第1樹脂含有層の少なくとも第1表面及び第2樹脂含有層の少なくとも第2表面に対して紫外線を照射することにより、第1表面と第2表面のぞれぞれの持つ特性の違い、及び該紫外線から受ける影響度の違いを利用した、撥液性が異なる複数の領域を基材上又は該基材の上方に備える複合部材を提供することができる。
また、本発明の1つの複合部材の製造方法は、樹脂含有層形成工程と、紫外線照射工程とを含む。具体的には、この複合部材の製造方法における樹脂含有層形成工程は、基材上又は該基材の上方に、第1樹脂を含有する第1樹脂含有層と、該第1樹脂と異なる第2樹脂を含有する第2樹脂含有層とを形成する工程である。また、この複合部材の製造方法における紫外線照射工程は、前述の第1樹脂含有層の少なくとも第1表面及び前述の第2樹脂含有層の少なくとも第2表面に紫外線を照射することにより、該紫外線を照射した後の該第2表面の第2接触角よりも10°以上高い、該紫外線を照射した後の該第1表面の第1接触角を形成する工程である。
この複合部材の製造方法によれば、第1樹脂含有層の少なくとも第1表面及び第2樹脂含有層の少なくとも第2表面に対して紫外線を照射する紫外線照射工程により、第1表面と第2表面のぞれぞれの持つ特性の違い、及び該紫外線から受ける影響度の違いを利用した、撥液性が異なる複数の領域を基材上又は該基材の上方に備える複合部材を製造することができる。
ところで、本願においては、「ゲル状態」とは、代表的な例で言えば、液体の状態から熱処理によって溶媒がある程度(代表的には、溶媒全体に対する質量比において80%以上であるがこの数値に限定されない。)除去された状態ではあるが、ポリプロピレンカーボネートは実質的に分解又は除去されていない状況をいう。
また、本願における「層」は、層のみならず膜をも含む概念である。逆に、本願における「膜」は、膜のみならず層をも含む概念である。なお、本願における「接触角」は、ポリプロピレンカーボネート含有層の表面における純水の接触角を意味する。
また、本出願における「基材」とは、板状体の基礎に限らず、その他の形態(例えば、曲面状)の基礎ないし母材を含む。加えて、本願の後述する各実施形態においては、「塗布」とは、低エネルギー製造プロセス、代表的には印刷法、スピンコート法、バーコート法、スリットコート法、又はナノ・インプリント法によってある基材上又は該基材の上方
に層を形成することをいう。
に層を形成することをいう。
加えて、本出願における「分子量が10000未満(つまり、1×104未満)のポリプロピレンカーボネートを実質的に含まない」とは、本願出願時における市販の分析装置(東ソー株式会社製、機種:HLC−8020)において検出限界値以下である、という意味である。
本発明の1つの複合部材によれば、第1表面と第2表面のぞれぞれの持つ特性の違い、及び該紫外線から受ける影響度の違いを利用した、撥液性が異なる複数の領域を基材上又は該基材の上方に備える複合部材を提供することができる。
また、本発明の1つの複合部材の製造方法によれば、第1表面と第2表面のぞれぞれの持つ特性の違い、及び該紫外線から受ける影響度の違いを利用した、撥液性が異なる複数の領域を基材上又は該基材の上方に備える複合部材を製造することができる。
本発明の実施形態である基材、第1樹脂を含有する第1樹脂含有層、及び前記第1樹脂と異なる第2樹脂を含有する第2樹脂含有層を備える複合部材、及びその複合部材の製造方法を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素は必ずしも互いの縮尺を保って記載されるものではない。さらに、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
(脂肪族ポリカーボネート含有溶液及び脂肪族ポリカーボネート含有層、並びにそれらの製造方法)
本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有溶液(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)は、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)を製造するための原料である。また、凹凸が形成された該脂肪族ポリカーボネート含有層を製造する場合は、その後の簡便な工程によって脂肪族ポリカーボネート含有層のパターンを実現し得る。以下に、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有溶液及び本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有層について説明する。
(脂肪族ポリカーボネート含有溶液及び脂肪族ポリカーボネート含有層、並びにそれらの製造方法)
本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有溶液(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)は、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)を製造するための原料である。また、凹凸が形成された該脂肪族ポリカーボネート含有層を製造する場合は、その後の簡便な工程によって脂肪族ポリカーボネート含有層のパターンを実現し得る。以下に、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有溶液及び本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有層について説明する。
(脂肪族ポリカーボネート含有溶液及び脂肪族ポリカーボネート含有層について)
本実施形態においては、第1樹脂の一例としての役割を果たし得る脂肪族ポリカーボネートをある溶媒(代表的には、有機溶媒)中に溶解させた状態が、「脂肪族ポリカーボネート含有溶液」を意味する。別の表現を採用すれば、第1樹脂の一例としての役割を果たし得る脂肪族ポリカーボネートを含有する溶液が、本実施形態の「脂肪族ポリカーボネート含有溶液」である。なお、脂肪族ポリカーボネートのうちポリプロピレンカーボネートに着目すれば、代表的な本実施形態のポリプロピレンカーボネートは、数平均分子量が1×103以上2×106以下のポリプロピレンカーボネートである。
本実施形態においては、第1樹脂の一例としての役割を果たし得る脂肪族ポリカーボネートをある溶媒(代表的には、有機溶媒)中に溶解させた状態が、「脂肪族ポリカーボネート含有溶液」を意味する。別の表現を採用すれば、第1樹脂の一例としての役割を果たし得る脂肪族ポリカーボネートを含有する溶液が、本実施形態の「脂肪族ポリカーボネート含有溶液」である。なお、脂肪族ポリカーボネートのうちポリプロピレンカーボネートに着目すれば、代表的な本実施形態のポリプロピレンカーボネートは、数平均分子量が1×103以上2×106以下のポリプロピレンカーボネートである。
また、その脂肪族ポリカーボネート含有溶液を加熱することによって、ナノ・インプリント法又は各種の印刷法(例えば、スクリーン印刷法)に用いることができる程度に溶媒が除去された状態(代表的には、「ゲル状態」)の層は、本実施形態の「脂肪族ポリカーボネート含有層」である。本実施形態においては、この「脂肪族ポリカーボネート含有層」が、第1樹脂含有層の一例としての役割を果たし得る。
本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有溶液は、主として脂肪族ポリカーボネートを含むが、脂肪族ポリカーボネート以外の化合物、組成物、又は材料を含み得る。なお、該脂肪族ポリカーボネート含有溶液中の脂肪族ポリカーボネート含有量の下限値は特に限定されないが、代表的には、該脂肪族ポリカーボネートの、溶質の総量に対する質量比が80%以上である。また、該脂肪族ポリカーボネート含有溶液中の脂肪族ポリカーボネート含有量の上限値は特に限定されないが、代表的には、該脂肪族ポリカーボネートの、溶質の総量に対する質量比が100%以下である。
なお、該脂肪族ポリカーボネート含有層は、例えば、後述する型押し工程によって、凹凸が形成された該脂肪族ポリカーボネート含有層になる。
(脂肪族ポリカーボネート含有溶液及び脂肪族ポリカーボネート含有層の例)
本実施形態においては、熱分解性の良い脂肪族ポリカーボネートが用いられる。このような脂肪族ポリカーボネートは、酸素含有量が高く、比較的低温で低分子化合物に分解することが可能である。
本実施形態においては、熱分解性の良い脂肪族ポリカーボネートが用いられる。このような脂肪族ポリカーボネートは、酸素含有量が高く、比較的低温で低分子化合物に分解することが可能である。
また、本実施形態において、脂肪族ポリカーボネートを含む溶液である「脂肪族ポリカーボネート含有溶液」に採用され得る有機溶媒は、脂肪族ポリカーボネートを溶解可能な有機溶媒であれば特に限定されない。有機溶媒の具体例は、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている、有機溶媒が好適に用いられる。
また、脂肪族ポリカーボネートを含む溶液である脂肪族ポリカーボネート含有溶液には、所望により、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている、分散剤及び/又は可塑剤等をさらに添加することができる。
また、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有層を形成する方法は、特に限定されない。塗布による該層の形成を採用することが可能である。代表的には低エネルギー製造プロセスによる層の形成は、好適な一態様である。基材上に凹凸が形成された脂肪族ポリカーボネート含有層を形成する場合には、例えば、簡便な方法であるナノ・インプリント法等が採用され得る。
<TG−DTA(熱重量測定及び示差熱)特性>
ここで、比較的低温で低分子化合物に分解することが可能となる脂肪族ポリカーボネートについて、本発明者は、より具体的にその分解及び消失の過程を調査した。
ここで、比較的低温で低分子化合物に分解することが可能となる脂肪族ポリカーボネートについて、本発明者は、より具体的にその分解及び消失の過程を調査した。
図1は、脂肪族ポリカーボネートの代表例であるポリプロピレンカーボネートを溶質とする溶液(すなわち、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有溶液)のTG−DTA特性の一例を示すグラフである。なお、このグラフは、ポリプロピレンカーボネートを6.25質量%含むDEGMEA溶液の常圧下における結果が示されている。また、図1に示すように、図中の実線は、熱重量(TG)測定結果であり、図中の点線は示差熱(DTA)測定結果である。
図1に示す熱重量測定の結果から、140℃付近から190℃付近にかけて、脂肪族ポリカーボネート含有溶液の溶媒の消失とともに、ポリプロピレンカーボネート自身の一部の分解ないし消失による重量の顕著な減少が見られた。なお、この分解により、ポリプロピレンカーボネートは、二酸化炭素と水に変化していると考えられる。また、図1に示す結果から、190℃付近において、該脂肪族ポリカーボネートが90wt%以上分解され、除去されていることが確認された。さらに詳しく見ると、250℃付近において、該脂肪族ポリカーボネートが95wt%以上分解され、260℃付近において、該脂肪族ポリカーボネートがほぼ全て(99wt%以上)分解されていることが分かる。従って、250℃以上(より好ましくは260℃以上)の加熱処理を行うことによって、実質的に又はほぼ消失又は除去される脂肪族ポリカーボネート含有溶液を採用することにより、脂肪族ポリカーボネート含有溶液の層を加熱することによって形成される脂肪族ポリカーボネート含有層は、分解又は除去され得る。
そのため、例えば、凹凸が形成された該脂肪族ポリカーボネート含有層から形成される脂肪族ポリカーボネート含有層のパターンを利用して形成される金属層の形成のための犠牲層としての役割を果たし得る。換言すれば、該脂肪族ポリカーボネート含有層のパターンは、実質的に自身の残渣を残すことなく分解又は除去されることが可能となる。脂肪族ポリカーボネート含有層は、酸素含有量が高く、比較的低温で低分子化合物に分解する観点から、いわゆる犠牲層として非常に好適な材料である。
なお、上述の結果は、比較的短時間の加熱処理による該脂肪族ポリカーボネートの分解についての結果であるが、より長時間加熱処理する場合は、より低温(例えば、180℃)であっても十分に該脂肪族ポリカーボネートが分解することが確認されている。換言すれば、加熱による該脂肪族ポリカーボネートの分解又は除去される温度の下限値が、代表的には180℃であるといえる。但し、この下限値の温度は、該脂肪族ポリカーボネートの中の1つ又は数個の結合だけが切れる温度という意味ではなく、該脂肪族ポリカーボネートの分解によって該脂肪族ポリカーボネートが実質的に又はほぼ分解することによって質量の減少が確認される温度である。
従って、180℃以上で加熱したときに、実質的に又はほぼ分解又は除去される脂肪族ポリカーボネート含有層を採用することにより、上述と同様に、例えば、脂肪族ポリカーボネート含有層のパターンを利用して形成される金属層の形成のための犠牲層としての役割を果たし得る。換言すれば、該脂肪族ポリカーボネート含有層のパターンは、実質的に自身の残渣を残すことなく分解又は除去されることが可能となる。
なお、該脂肪族ポリカーボネート含有層のパターンの代表的な例は、ナノ・インプリント分野、あるいは半導体分野又は電子デバイス分野において採用され得るライン・アンド・スペース又はドットに代表されるパターンであるが、本実施形態のパターンの形状は、それらに限定されない。各種の公知のパターン形状を有する脂肪族ポリカーボネート含有層も、本実施形態の「脂肪族ポリカーボネート含有層のパターン」に含まれ得る。
(脂肪族ポリカーボネートの種類について)
本実施形態においては、脂肪族ポリカーボネートの例として、ポリプロピレンカーボネートが採用されているが、本実施形態で用いられる脂肪族ポリカーボネートの種類は特に限定されない。例えば、エポキシドと二酸化炭素とを重合反応させた脂肪族ポリカーボネートも、本実施形態において採用し得る好適な一態様である。このようなエポキシドと二酸化炭素とを重合反応させた脂肪族ポリカーボネートを用いることにより、脂肪族ポリカーボネートの構造を制御することで熱分解性を向上させられる、所望の分子量を有する脂肪族ポリカーボネートが得られるという効果が奏される。とりわけ、脂肪族ポリカーボネートの中でも酸素含有量が高く、比較的低温で低分子化合物に分解する観点から言えば、脂肪族ポリカーボネートは、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、及びポリブチレンカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらに、脂肪族ポリカーボネート含有層としてより高い撥液性を実現する観点から言えば、脂肪族ポリカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート、及びポリブチレンカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本実施形態においては、脂肪族ポリカーボネートの例として、ポリプロピレンカーボネートが採用されているが、本実施形態で用いられる脂肪族ポリカーボネートの種類は特に限定されない。例えば、エポキシドと二酸化炭素とを重合反応させた脂肪族ポリカーボネートも、本実施形態において採用し得る好適な一態様である。このようなエポキシドと二酸化炭素とを重合反応させた脂肪族ポリカーボネートを用いることにより、脂肪族ポリカーボネートの構造を制御することで熱分解性を向上させられる、所望の分子量を有する脂肪族ポリカーボネートが得られるという効果が奏される。とりわけ、脂肪族ポリカーボネートの中でも酸素含有量が高く、比較的低温で低分子化合物に分解する観点から言えば、脂肪族ポリカーボネートは、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、及びポリブチレンカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらに、脂肪族ポリカーボネート含有層としてより高い撥液性を実現する観点から言えば、脂肪族ポリカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート、及びポリブチレンカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、上述のエポキシドは、二酸化炭素と重合反応して主鎖に脂肪族を含む構造を有する脂肪族ポリカーボネートとなるエポキシドであれば特に限定されない。例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ペンテンオキシド、2−ペンテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、1−オクテンオキシド、1−デセンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、3−フェニルプロピレンオキシド、3,3,3−トリフルオロプロピレンオキシド、3−ナフチルプロピレンオキシド、3−フェノキシプロピレンオキシド、3−ナフトキシプロピレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、3−ビニルオキシプロピレンオキシド、及び3−トリメチルシリルオキシプロピレンオキシド等のエポキシドは、本実施形態において採用し得る例である。これらのエポキシドの中でも、二酸化炭素との高い重合反応性を有する観点から、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び1,2−ブチレンオキシドが好適に用いられる。なお、上述の各エポキシドは、それぞれ単独で使用されてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられることもできる。
(脂肪族ポリカーボネートの製造方法について)
本実施形態の脂肪族ポリカーボネートの製造方法の一例として、エポキシドと二酸化炭素とを金属触媒の存在下で重合反応させる方法等が採用され得る。
本実施形態の脂肪族ポリカーボネートの製造方法の一例として、エポキシドと二酸化炭素とを金属触媒の存在下で重合反応させる方法等が採用され得る。
ここで、脂肪族ポリカーボネートの製造例は、次のとおりである。
攪拌機、ガス導入管、温度計を備えた、容積が1L(リットル)のオートクレーブの系内をあらかじめ窒素雰囲気に置換した後、有機亜鉛触媒を含む反応液、ヘキサン、及びプロピレンオキシドを仕込んだ。次に、攪拌しながら二酸化炭素を加えることによって反応系内を二酸化炭素雰囲気に置換し、反応系内が約1.5MPaとなるまで二酸化炭素を充填した。その後、そのオートクレーブを60℃に昇温し、反応により消費される二酸化炭素を補給しながら数時間重合反応を行った。反応終了後、オートクレーブを冷却して脱圧し、ろ過した。その後、減圧乾燥することによりポリプロピレンカーボネートを得た。
攪拌機、ガス導入管、温度計を備えた、容積が1L(リットル)のオートクレーブの系内をあらかじめ窒素雰囲気に置換した後、有機亜鉛触媒を含む反応液、ヘキサン、及びプロピレンオキシドを仕込んだ。次に、攪拌しながら二酸化炭素を加えることによって反応系内を二酸化炭素雰囲気に置換し、反応系内が約1.5MPaとなるまで二酸化炭素を充填した。その後、そのオートクレーブを60℃に昇温し、反応により消費される二酸化炭素を補給しながら数時間重合反応を行った。反応終了後、オートクレーブを冷却して脱圧し、ろ過した。その後、減圧乾燥することによりポリプロピレンカーボネートを得た。
なお、上述の金属触媒として、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている触媒、特に有機亜鉛触媒が好適に用いられる。
また、上述の有機亜鉛触媒として、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている触媒が好適に用いられる。
ここで、有機亜鉛触媒の製造例は、次のとおりである。
まず、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却管を備えた四つ口フラスコに、酸化亜鉛、グルタル酸、酢酸、及びトルエンを仕込んだ。次に、反応系内を窒素雰囲気に置換した後、そのフラスコを55℃まで昇温し、同温度で4時間攪拌することにより、前述の各材料の反応処理を行った。その後、110℃まで昇温し、さらに同温度で4時間攪拌して共沸脱水させ、水分のみを除去した。その後、そのフラスコを室温まで冷却することにより、有機亜鉛触媒を含む反応液を得た。なお、この反応液の一部を分取し、ろ過して得た有機亜鉛触媒について、IRを測定(サーモニコレージャパン株式会社製、商品名:AVATAR360)した。その結果、カルボン酸基に基づくピークは認められなかった。
まず、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却管を備えた四つ口フラスコに、酸化亜鉛、グルタル酸、酢酸、及びトルエンを仕込んだ。次に、反応系内を窒素雰囲気に置換した後、そのフラスコを55℃まで昇温し、同温度で4時間攪拌することにより、前述の各材料の反応処理を行った。その後、110℃まで昇温し、さらに同温度で4時間攪拌して共沸脱水させ、水分のみを除去した。その後、そのフラスコを室温まで冷却することにより、有機亜鉛触媒を含む反応液を得た。なお、この反応液の一部を分取し、ろ過して得た有機亜鉛触媒について、IRを測定(サーモニコレージャパン株式会社製、商品名:AVATAR360)した。その結果、カルボン酸基に基づくピークは認められなかった。
なお、重合反応に用いられる上述の金属触媒の使用量は、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている量が好ましい。
また、上述の重合反応において必要に応じて用いられる反応溶媒は、特に限定されるものではない。具体的には、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている例を採用し得る。
なお、上述の反応溶媒の使用量は、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている量が好ましい。
また、上述の重合反応において、エポキシドと二酸化炭素とを金属触媒の存在下で反応させる方法としては、特に限定されるものではない。例えば、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている方法が採用され得る。
なお、本発明者は、上述の触媒に代えて、例えば国際公開第WO2012/114939号公報において開示されているコバルト錯体を採用することにより、主鎖が下記の一般式(I)で表される反復単位を有し、かつ該主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを生成することが可能であることを確認することができた。なお、構造規則性が損なわれている状態とは、例えば、高分子鎖の中においてCO2が欠損している等の状態が形成されていることをいう。
加えて、上述の重合反応において用いられる二酸化炭素の使用圧力は、特に限定されない。代表的には、国際公開第WO2016/098423号公報において開示されている圧力が採用され得る。
さらに、上述の重合反応における重合反応温度は、特に限定されない。代表的には、30℃以上100℃以下であることが好ましく、40℃以上80℃以下であることがより好ましい。重合反応温度が30℃未満の場合、重合反応に長時間を要するおそれがある。また、重合反応温度が100℃を超える場合、副反応が起こり、収率が低下するおそれがある。重合反応時間は、重合反応温度により異なるために一概には言えないが、代表的には、2時間〜40時間であることが好ましい。
重合反応終了後、得られた脂肪族ポリカーボネートに対して、下記の工程を行うことにより、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有溶液が製造される。
(脂肪族ポリカーボネート含有溶液の製造方法について)
本実施形態においては、上述の脂肪族ポリカーボネートを既に説明した、脂肪族ポリカーボネートを溶解可能な有機溶媒(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)に溶解させた後、上述の触媒をろ過により除去することにより、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有溶液が製造される。なお、本実施形態においては必ずしも要しない工程ではあるが、後述する型押し工程によって、より高い寸法精度を有する凹凸が形成された脂肪族ポリカーボネート含有層を形成するために、以下に示す、特定の数値範囲の分子量の脂肪族ポリカーボネートを可能な限り分離する分離工程を採用することも、採用し得る好適な他の一態様である。
本実施形態においては、上述の脂肪族ポリカーボネートを既に説明した、脂肪族ポリカーボネートを溶解可能な有機溶媒(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)に溶解させた後、上述の触媒をろ過により除去することにより、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有溶液が製造される。なお、本実施形態においては必ずしも要しない工程ではあるが、後述する型押し工程によって、より高い寸法精度を有する凹凸が形成された脂肪族ポリカーボネート含有層を形成するために、以下に示す、特定の数値範囲の分子量の脂肪族ポリカーボネートを可能な限り分離する分離工程を採用することも、採用し得る好適な他の一態様である。
[分離工程]
具体的には、本実施形態の分離工程においては、上述のろ過されたろ液から、分画分子量が1×104の限界ろ過膜(UF膜)を用いて、分子量が1×104未満の脂肪族ポリカーボネートを透過ろ液側に排出させることにより分離する。その後、透過しなかったろ液を、濃縮及び乾燥する。その結果、本実施形態においては、この分離工程により、分子量が1×104未満の脂肪族ポリカーボネートを実質的に含まない脂肪族ポリカーボネート含有溶液、又は1.0質量%未満しか含まない脂肪族ポリカーボネート含有溶液を製造することができる。
具体的には、本実施形態の分離工程においては、上述のろ過されたろ液から、分画分子量が1×104の限界ろ過膜(UF膜)を用いて、分子量が1×104未満の脂肪族ポリカーボネートを透過ろ液側に排出させることにより分離する。その後、透過しなかったろ液を、濃縮及び乾燥する。その結果、本実施形態においては、この分離工程により、分子量が1×104未満の脂肪族ポリカーボネートを実質的に含まない脂肪族ポリカーボネート含有溶液、又は1.0質量%未満しか含まない脂肪族ポリカーボネート含有溶液を製造することができる。
(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、シリコン樹脂、及びポリイミド(PI)、並びにそれらの製造方法)
本実施形態の第1樹脂の一例又は第2樹脂の一例としての役割を果たし得るシリコン樹脂、あるいは、本実施形態の第2樹脂の一例としての役割を果たし得るポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及び/又はポリイミド(PI)の製造方法は、特に限定されない。公知の製造方法を用いて、上述の各樹脂材料を製造することができる。例えば、「ネットワークポリマー」Vol.30,No.5(2009)に記載されている方法を採用し得る。
本実施形態の第1樹脂の一例又は第2樹脂の一例としての役割を果たし得るシリコン樹脂、あるいは、本実施形態の第2樹脂の一例としての役割を果たし得るポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及び/又はポリイミド(PI)の製造方法は、特に限定されない。公知の製造方法を用いて、上述の各樹脂材料を製造することができる。例えば、「ネットワークポリマー」Vol.30,No.5(2009)に記載されている方法を採用し得る。
(ポリエチレンテレフタレート(PET)含有層、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層、シリコン樹脂含有層、及びポリイミド(PI)含有層、並びにそれらの製造方法)
また、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有層と同様に、上述の各樹脂材料を含有する溶液を原料として、ある基材上又は該基材の上方に、塗布によって上述の各樹脂材料の層、すなわち、シリコン樹脂含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)、あるいは、ポリエチレンテレフタレート(PET)含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)、及び/又はポリイミド(PI)含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)を形成することができる。なお、本実施形態においては、シリコン樹脂含有層が、第1樹脂含有層の一例、又は第2樹脂含有層の一例としての役割を果たし得る。加えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)含有層、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層、及び/又はポリイミド(PI)含有層が、第2樹脂含有層の一例としての役割を果たし得る。
また、本実施形態の脂肪族ポリカーボネート含有層と同様に、上述の各樹脂材料を含有する溶液を原料として、ある基材上又は該基材の上方に、塗布によって上述の各樹脂材料の層、すなわち、シリコン樹脂含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)、あるいは、ポリエチレンテレフタレート(PET)含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)、及び/又はポリイミド(PI)含有層(不可避不純物を含み得る。以下、同じ)を形成することができる。なお、本実施形態においては、シリコン樹脂含有層が、第1樹脂含有層の一例、又は第2樹脂含有層の一例としての役割を果たし得る。加えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)含有層、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層、及び/又はポリイミド(PI)含有層が、第2樹脂含有層の一例としての役割を果たし得る。
(第1樹脂含有層及び第2樹脂含有層を備える複合部材の製造方法について)
続いて、本発明者は、基材10上、上述の本実施形態の第1樹脂含有層と第2樹脂含有層とを備える複合部材100を製造した。
続いて、本発明者は、基材10上、上述の本実施形態の第1樹脂含有層と第2樹脂含有層とを備える複合部材100を製造した。
図4は、本実施形態における複合部材100の全体構成を示す側面図である。図4に示すように、複合部材100は、基材10上に、紫外線が照射された第1樹脂含有層22xの一例としての脂肪族ポリカーボネート含有層(代表的に、ポリプロピレンカーボネート含有層)と、紫外線が照射された第2樹脂含有層32xの一例としてのポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層とを備える。
なお、本実施形態の基材10は、特に限定されない。例えば、基材10は、シリコン(Si)基板、高耐熱ガラス、SiO2/Si基板(すなわち、シリコン基板上に酸化シリコン層を形成した基板)、アルミナ(Al2O3)基板、STO(SrTiO)基板、シリコン基板の表面にSiO2層及びTi層を介在させてSTO(SrTiO)層を形成した絶縁性基板、半導体基板(例えば、Si基板、SiC基板、Ge基板等)を含む、種々の基材を適用できる。なお、絶縁性の基材には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、アラミド、芳香族ポリアミドなどの材料からなる、フィルム又はシートが含まれる。また、基材10の厚さは特に限定されないが、例えば3μm以上300μm以下である。また、基材10は、硬質であってもよく、フレキシブルであってもよい。また、基材10は、基材10上に、予め、絶縁体層、半導体層、又は導電体層又はそれらのパターンが形成されているものを含み得る。
(複合部材の製造方法)
次に、複合部材100の製造方法を、図2乃至図4に示しつつ説明する。
次に、複合部材100の製造方法を、図2乃至図4に示しつつ説明する。
[樹脂含有層形成工程]
本実施形態においては、図2に示すように、基材10であるガラス又はポリイミド上に、第1樹脂含有層22の一例である脂肪族ポリカーボネート含有層(例えば、ポリプロピレンカーボネート含有層)と、第2樹脂含有層32の一例であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層とを、例えば公知のスクリーン印刷法を用いて形成する。この工程が、樹脂含有層形成工程の例である。なお、本実施形態の第1樹脂含有層22の厚み及び第2樹脂含有層32の厚みは特に限定されないが、それらの代表的な厚みは、1nm以上10000nm(10μm)以下である。また、適宜、第1樹脂含有層22及び第2樹脂含有層32の中に含まれる溶媒成分を除去する工程(予備焼成工程又は乾燥工程、以下、総称して「予備焼成工程」という)が行われ得る。
本実施形態においては、図2に示すように、基材10であるガラス又はポリイミド上に、第1樹脂含有層22の一例である脂肪族ポリカーボネート含有層(例えば、ポリプロピレンカーボネート含有層)と、第2樹脂含有層32の一例であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層とを、例えば公知のスクリーン印刷法を用いて形成する。この工程が、樹脂含有層形成工程の例である。なお、本実施形態の第1樹脂含有層22の厚み及び第2樹脂含有層32の厚みは特に限定されないが、それらの代表的な厚みは、1nm以上10000nm(10μm)以下である。また、適宜、第1樹脂含有層22及び第2樹脂含有層32の中に含まれる溶媒成分を除去する工程(予備焼成工程又は乾燥工程、以下、総称して「予備焼成工程」という)が行われ得る。
[紫外線照射工程]
本実施形態においては、その後、図3に示すように、公知の紫外線照射源(紫外線照射装置)80(マルチプライ株式会社製、型式,MHU−110WB)を用いて、予備焼成工程を経た第1樹脂含有層22及び第2樹脂含有層32の全面に対して、波長180nm以上370nm以下を含む紫外線を照射する紫外線照射工程が行われる。なお、本実施形態における、波長180nm以上370nm以下を含む紫外線を照射する紫外線照射源の他の例は、市販の365nmを主波長とする紫外線ランプ(アズワン株式会社製、型式,SLW−8)である。
本実施形態においては、その後、図3に示すように、公知の紫外線照射源(紫外線照射装置)80(マルチプライ株式会社製、型式,MHU−110WB)を用いて、予備焼成工程を経た第1樹脂含有層22及び第2樹脂含有層32の全面に対して、波長180nm以上370nm以下を含む紫外線を照射する紫外線照射工程が行われる。なお、本実施形態における、波長180nm以上370nm以下を含む紫外線を照射する紫外線照射源の他の例は、市販の365nmを主波長とする紫外線ランプ(アズワン株式会社製、型式,SLW−8)である。
なお、本実施形態においては、紫外線照射源80と、第1樹脂含有層22の表面(「第1表面」ともいう)及び第2樹脂含有層32の表面(「第2表面」ともいう)との間の距離は、10mmである。また、本願においては、紫外線照射源80と、第1表面及び第2表面との間の距離を測定する際には、紫外線照射源80における光源の場所を測定基準としている。また、本実施形態における紫外線強度(又は紫外線照度)は、0.275mW/cm2である。
その結果、図4に示すように、基材10上に、紫外線が照射された第1表面22aを有する第1樹脂含有層22xと、紫外線が照射された第2表面32aを有する第2樹脂含有層32xとを備える複合部材100を製造することができる。
ここで、本実施形態においては、本発明者は、第1樹脂含有層22の少なくとも表面と、第2樹脂含有層32の少なくとも表面とに対して上述の紫外線照射工程を行うことにより、第1樹脂含有層22の表面と第2樹脂含有層32の表面の撥液性(より具体的には、水との接触角)を変化させることを試みた。
具体的には、第1樹脂含有層22の少なくとも表面と、第2樹脂含有層32の少なくとも表面に対して紫外線を照射する照射時間を変化させたときの、該紫外線を照射する前後の該表面の接触角を測定した。
表1及び表2は、以下の3つ分類((a),(b),(c))の各樹脂を含有する層に対する紫外線を照射した時間の違いと接触角との関係を示している。表1は、該紫外線を照射した時間が5分の場合の結果であり、表2は、該紫外線を照射した時間が15分の場合の結果である。
(a)本実施形態における第1樹脂含有層22を構成する第1樹脂の例としての脂肪族ポリカーボネート含有層(ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、及びポリブチレンカーボネート(PBC))
(b)本実施形態の第1樹脂含有層22を構成する第1樹脂又は第2樹脂含有層32を構成する第2樹脂の例としてのシリコン樹脂
(c)本実施形態における第2樹脂含有層32を構成する第2樹脂の例としてのポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びポリイミド(PI)
(a)本実施形態における第1樹脂含有層22を構成する第1樹脂の例としての脂肪族ポリカーボネート含有層(ポリエチレンカーボネート(PEC)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、及びポリブチレンカーボネート(PBC))
(b)本実施形態の第1樹脂含有層22を構成する第1樹脂又は第2樹脂含有層32を構成する第2樹脂の例としてのシリコン樹脂
(c)本実施形態における第2樹脂含有層32を構成する第2樹脂の例としてのポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びポリイミド(PI)
なお、表1及び表2におけるポリプロピレンカーボネート(PPC)は、試料1bは、質量平均分子量が約36万のポリプロピレンカーボネートであって、主鎖が下記一般式(I)で表され反復単位を有し、かつ該主鎖の構造が約94%の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネートを採用したポリプロピレンカーボネート含有層である。また、表2におけるポリプロピレンカーボネート(PPC)の値は、後述する図5に示された試料5の結果である。
また、本発明者は、特に、上記一般式(I)で表される主鎖の構造が約94%の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネート(PPC)と、該主鎖の構造が99%以上の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネート(PPC)との差を、再現性高く確認するために、第1樹脂含有層22としてのポリプロピレンカーボネート(PPC)含有層に対して本実施形態の紫外線を照射した時間と接触角との関係を調査した。
図5は、本実施形態のポリプロピレンカーボネート(PPC)(試料1〜5)の少なくとも表面に対する紫外線照射時間と該PPCの表面の撥液性(接触角)との関係を示すグラフである。なお、図5における試料1と試料2は、上記一般式(I)で表される主鎖の構造が約99%の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネート(PPC)を採用した場合である。また、図5における試料3〜5は、上記一般式(I)で表される主鎖の構造が約94%の構造規則性を有するポリプロピレンカーボネート(PPC)を採用した場合である。
図5に示すように、試料1〜5のいずれのポリプロピレンカーボネート(PPC)が採用された場合であっても、少なくとも20分間の本実施形態の紫外線を照射によっては、ポリプロピレンカーボネート(PPC)の表面の撥液性の指標となる接触角が60°以上であることが分かる。また、5分間の紫外線を照射した場合の接触角が65°超であることも確認された。
表1及び表2に示された各種の樹脂材料を含有する層の表面の接触角のデータを本発明者が分析及び検討した結果、以下に示す技術的知見を得ることができた。
(1)第1樹脂含有層22の少なくとも第1表面及び第2樹脂含有層32の少なくとも第2表面に紫外線を照射したときの、該紫外線を照射した後の第1表面22aの接触角(「第1接触角」ともいう)が、該紫外線を照射した後の第2表面32aの接触角(「第2接触角」ともいう)よりも10°以上(好適には、15°以上又は15°超、更に好適には20°以上又は20°超)高い状態である複合部材100を実現し得る。
例えば、表1の結果に基づいて、複合部材100が、第1樹脂としての脂肪族ポリカーボネート及び/又はシリコン樹脂から形成された、紫外線が照射された第1樹脂含有層22xと、第2樹脂としてのポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びポリイミド(PI)の群から選択される少なくとも1種から形成された、紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとを備える場合、上述の(1)の特徴を備える複合部材を製造することができる。
また別の例を挙げれば、表2の結果に基づいて、複合部材100が、第1樹脂としての脂肪族ポリカーボネートから形成された、紫外線が照射された第1樹脂含有層22xと、第2樹脂としてのポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、シリコン樹脂、及びポリイミド(PI)の群から選択される少なくとも1種から形成された、紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとを備える場合、上述の(1)の特徴を備える複合部材を製造することができる。
また、以下に示す技術的知見を得ることもできた。
(2)第1樹脂含有層22の少なくとも第1表面及び第2樹脂含有層32の少なくとも第2表面に紫外線を5分間照射したときの、該紫外線を照射した後の第1表面22aの第1接触角が45°以上(より狭義には、50°以上、さらに狭義には、60°以上)であり、且つ、該紫外線を照射した後の第2表面32aの第2接触角が35°以下である複合部材100を実現し得る。
(2)第1樹脂含有層22の少なくとも第1表面及び第2樹脂含有層32の少なくとも第2表面に紫外線を5分間照射したときの、該紫外線を照射した後の第1表面22aの第1接触角が45°以上(より狭義には、50°以上、さらに狭義には、60°以上)であり、且つ、該紫外線を照射した後の第2表面32aの第2接触角が35°以下である複合部材100を実現し得る。
例えば、表1の結果に基づいて、複合部材100が、第1樹脂としての脂肪族ポリカーボネート及び/又はシリコン樹脂から形成された、紫外線が照射された第1樹脂含有層22xと、第2樹脂としてのポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びポリイミド(PI)の群から選択される少なくとも1種から形成された、紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとを備える場合、上述の(2)の特徴を備える複合部材を製造することができる。
さらに、以下に示す技術的知見を得ることもできた。
(3)第1樹脂含有層22の少なくとも第1表面及び第2樹脂含有層32の少なくとも第2表面に紫外線を15分間照射したときの、該紫外線を照射した後の第1表面22aの第1接触角が50°以上(より狭義には、50°超、さらに狭義には、60°以上)であり、且つ、該紫外線を照射した後の第2表面32aの第2接触角が30°以下である複合部材100を実現し得る。
(3)第1樹脂含有層22の少なくとも第1表面及び第2樹脂含有層32の少なくとも第2表面に紫外線を15分間照射したときの、該紫外線を照射した後の第1表面22aの第1接触角が50°以上(より狭義には、50°超、さらに狭義には、60°以上)であり、且つ、該紫外線を照射した後の第2表面32aの第2接触角が30°以下である複合部材100を実現し得る。
例えば、表2の結果に基づいて、複合部材100が、第1樹脂としての脂肪族ポリカーボネートから形成された、紫外線が照射された第1樹脂含有層22xと、第2樹脂としてのシリコン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及び/又はポリイミド(PI)から形成された、紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとを備える場合、上述の(3)の特徴を備える複合部材を製造することができる。
なお、本発明者の研究と分析によれば、第1樹脂含有層22の第1表面及び第2樹脂含有層32の第2表面におけるそれぞれの接触角が50°以上(より狭義には、50°超、さらに狭義には、60°以上)であれば、50°未満の接触角を有する表面との関係において、第1表面上及び第2表面上に液体を配置したときの、いわば「濡れ性」の勾配に基づく自主的な移動状態がより確度高く形成され得ることが確認されている。従って、第2樹脂含有層32(又は紫外線が照射された第2樹脂含有層32x)に対して接触角をより高く保つために形成され得る第1樹脂含有層22(又は紫外線が照射された第1樹脂含有層22x)の表面の接触角が50°以上であることは、液体の選択的な配置(選択性)を確度高く得る観点から好適な一態様である。
見方を変えれば、本実施形態の複合部材100の製造方法における紫外線照射工程は、第1樹脂含有層22の少なくとも第1表面及び第2樹脂含有層32の少なくとも第2表面に紫外線を照射することにより、該紫外線を照射した後の第2表面32aの第2接触角よりも10°以上高い、該紫外線を照射した後の第1表面22aの第1接触角を形成する工程と言い換えることができる。
上述のとおり、本実施形態においては、基材10上に形成された、紫外線が照射された第1樹脂含有層22xと紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとを備える複合部材100を提供することが可能となる。その結果、撥液性がそれぞれ異なる複数の表面(本実施形態では、第1表面22aと第2表面32a)が形成されるため、例えば液状の金属インクを第1樹脂含有層22x及び第2樹脂含有層32xの上に配置したときに、いわば「濡れ性」の勾配を形成することによって金属インクの自主的な配置を実現し得る。なお、前述の自主的な配置を確度高く実現し得る観点から言えば、既に述べたとおり、撥液性の代表的な指標である接触角において、例えば、第1表面22aの第1接触角と第2表面32aの第1接触角との差が、10°以上(好適には、15°以上又は15°超、更に好適には20°以上又は20°超)であることは好適な一態様である。
<第1の実施形態の変形例>
ところで、本発明者は、第1の実施形態において示した表1及び表2を分析した結果、第1の実施形態において選択した樹脂材料の例に限定されず、その変形例として、例えば下記の(1)及び(2)の組み合わせの第1樹脂及び第2樹脂を選択することが可能であることを知得した。
(1)第1樹脂がポリプロピレンカーボネート(PPC)及びポリブチレンカーボネート(PBC)の群から選択される少なくとも1種であり、第2樹脂がポリエチレンカーボネート(PEC)である例
(2)第1樹脂がシリコン樹脂であり、第2樹脂がポリエチレンカーボネート(PEC)である例
ところで、本発明者は、第1の実施形態において示した表1及び表2を分析した結果、第1の実施形態において選択した樹脂材料の例に限定されず、その変形例として、例えば下記の(1)及び(2)の組み合わせの第1樹脂及び第2樹脂を選択することが可能であることを知得した。
(1)第1樹脂がポリプロピレンカーボネート(PPC)及びポリブチレンカーボネート(PBC)の群から選択される少なくとも1種であり、第2樹脂がポリエチレンカーボネート(PEC)である例
(2)第1樹脂がシリコン樹脂であり、第2樹脂がポリエチレンカーボネート(PEC)である例
上述の例が採用された場合であっても、基材10上に形成された、紫外線が照射された第1樹脂含有層22xと紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとを備える複合部材100と同様の複合部材を提供することが可能となる。従って、少なくとも第1の実施形態において示した各種の樹脂材料から、撥液性がそれぞれ異なる複数の表面が形成されるように選択して複合部材100と同様の複合部材を製造することは、採用し得る他の一態様である。
なお、本変形例における上述の(1)の例が採用されることは、第1樹脂と第2樹脂とがいずれも脂肪族ポリカーボネートであることから、後述する型押し工程における型押し構造の成形性、及び/又は加熱工程によって分解ないし除去される過程/態様が同じ傾向にあるため、非常に好適である。
<第2の実施形態>
本実施形態においては、第1の実施形態の紫外線が少なくとも表面に照射された第1樹脂含有層22xと、該紫外線が少なくとも一部の領域の表面に照射された第2樹脂含有層32xとが積層された複合部材200の製造方法について説明する。なお、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
本実施形態においては、第1の実施形態の紫外線が少なくとも表面に照射された第1樹脂含有層22xと、該紫外線が少なくとも一部の領域の表面に照射された第2樹脂含有層32xとが積層された複合部材200の製造方法について説明する。なお、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
図8は、本実施形態における複合部材200の全体構成を示す側面図である。図8に示すように、複合部材200は、基材10上に形成された、第1の実施形態の紫外線が照射された第2樹脂含有層32x上の一部に、該紫外線が照射された第1樹脂含有層22xを備えている。より具体的には、少なくとも一部の領域の表面32aに該紫外線が照射された第2樹脂含有層32xの上に、いわば島状の、換言すればパターンが形成された、該紫外線が照射された表面22aを有する第1樹脂含有層22xが積層された積層構造を、複合部材200は備えている。
(複合部材の製造方法)
本実施形態の複合部材200の製造方法を、図6乃至図8に示しつつ説明する。
本実施形態の複合部材200の製造方法を、図6乃至図8に示しつつ説明する。
[樹脂含有層形成工程]
本実施形態においては、図6に示すように、基材10上に、第2樹脂含有層32の一例であるポリイミド(PI)含有層を、公知の塗布法(例えば、スピンコート法又はバーコート法)スクリーン印刷法を用いて形成する。その後、第2樹脂含有層32上に、第1樹脂含有層22の一例である脂肪族ポリカーボネート含有層(例えば、ポリプロピレンカーボネート含有層)を、例えば公知のスクリーン印刷法を用いて形成する。なお、本実施形態の第1樹脂含有層22の厚み及び第2樹脂含有層32の厚みは特に限定されないが、それらの代表的な厚みは、1nm以上10000nm(10μm)以下である。
本実施形態においては、図6に示すように、基材10上に、第2樹脂含有層32の一例であるポリイミド(PI)含有層を、公知の塗布法(例えば、スピンコート法又はバーコート法)スクリーン印刷法を用いて形成する。その後、第2樹脂含有層32上に、第1樹脂含有層22の一例である脂肪族ポリカーボネート含有層(例えば、ポリプロピレンカーボネート含有層)を、例えば公知のスクリーン印刷法を用いて形成する。なお、本実施形態の第1樹脂含有層22の厚み及び第2樹脂含有層32の厚みは特に限定されないが、それらの代表的な厚みは、1nm以上10000nm(10μm)以下である。
[紫外線照射工程]
その後、図7に示すように、第1の実施形態と同様に、紫外線照射源(紫外線照射装置)80を用いて、予備焼成工程を経た第2樹脂含有層32の一部及び第1樹脂含有層22の全面に対して、紫外線を照射する紫外線照射工程が行われる。なお、図7に示すように、本実施形態においては、第1樹脂含有層22が第2樹脂含有層32を覆う部分が存在するため、第2樹脂含有層32における紫外線に曝露される領域は、第2樹脂含有層32の一部の領域に限定される。
その後、図7に示すように、第1の実施形態と同様に、紫外線照射源(紫外線照射装置)80を用いて、予備焼成工程を経た第2樹脂含有層32の一部及び第1樹脂含有層22の全面に対して、紫外線を照射する紫外線照射工程が行われる。なお、図7に示すように、本実施形態においては、第1樹脂含有層22が第2樹脂含有層32を覆う部分が存在するため、第2樹脂含有層32における紫外線に曝露される領域は、第2樹脂含有層32の一部の領域に限定される。
その結果、図8に示すように、基材10上に形成された、少なくとも一部の領域の表面32aに該紫外線が照射された第2樹脂含有層32xの上に、いわば島状の、換言すればパターンが形成された、該紫外線が照射された表面22aを有する第1樹脂含有層22xを備える複合部材200を製造することができる。
<第2の実施形態の変形例>
本変形例の複合部材200A及び複合部材200Bは、第2の実施形態の複合部材200を出発材とする。以下に、複合部材200A及び複合部材200Bについて説明する。なお、第1及び第2の実施形態と重複する説明は省略され得る。
本変形例の複合部材200A及び複合部材200Bは、第2の実施形態の複合部材200を出発材とする。以下に、複合部材200A及び複合部材200Bについて説明する。なお、第1及び第2の実施形態と重複する説明は省略され得る。
図10は、本変形例における複合部材200Aの全体構成を示す側面図である。また、図11は、本変形例における複合部材200Bの全体構成を示す側面図である。
図10に示すように、複合部材200Aは、第2の実施形態の複合部材200が有する、島状の第1樹脂含有層22xの間の空間内であって、紫外線が照射された第2樹脂含有層32xの表面32a上に配置された金属インク72を備えている。また、図11に示すように、複合部材200Bは、第2の実施形態の複合部材200が有する、紫外線が照射された第2樹脂含有層32xの表面32a上に配置された金属インク72を出発材とする金属層74とを備える。
(複合部材の製造方法)
次に、複合部材200A及び複合部材200Bの製造方法を、図9乃至図11に示しつつ説明する。
次に、複合部材200A及び複合部材200Bの製造方法を、図9乃至図11に示しつつ説明する。
本変形例においては、図9に示すように、基材10の上方に設けられた島状の第1樹脂含有層22xの間の空間内であって、紫外線が照射された第2樹脂含有層32xの表面32a上に、公知の金属インクの塗布装置(例えば、インクジェット法による塗布装置)90を用いて金属インク72を配置する配置工程が行われる。なお、本実施形態の金属インク72は、公知の金属触媒ナノ粒子を採用することができる。
また、本変形例においては、金属インク72が配置される第2樹脂含有層32xの表面32aの接触角が、第1樹脂含有層22xの第1表面22aの接触角よりも10°以上(好適には、15°以上又は15°超、更に好適には20°以上又は20°超)低い。その結果、液状の金属インク72の配置工程においては、いわば「濡れ性」の勾配を利用して、金属インク72を第2樹脂含有層32x上に配置することが可能となるため、金属インク72の自主的な配置を実現し易いという技術的効果が得られる。
上述の金属インク72の配置工程を経ることにより、図10に示す複合部材200Aが製造される。この金属インク72は、例えば、金属配線用中間材としての役割を担うことができる。
次に、複合部材200Bの製造方法は次のとおりである。島状の第1樹脂含有層22xの構成する第1樹脂として、例えば脂肪族ポリカーボネートが採用され、第2樹脂含有層32xを構成する第2樹脂として、例えば、耐熱性に優れたポリイミド(PI)又はシリコン樹脂が採用されることによって、加熱処理が施された場合に第1樹脂含有層22xのみを実質的に分解又は除去することが可能となる。
なお、上述のとおり、加熱時間を調整することにより、比較的低温(例えば、約180℃の加熱工程のみによって極めて簡便に、かつ確度高く該脂肪族ポリカーボネート含有層を分解又は除去し得ため、本変形例において脂肪族ポリカーボネートを第1樹脂とすることは、好適な一態様となり得る。
本変形例においては、上述の配置工程の後、第1樹脂含有層22xが分解又は除去される温度以上であり、かつ金属インク72から金属層74が形成される温度以上に加熱する、加熱工程が行われる。その結果、図11に示すように、基材10上に形成された第2樹脂含有層32x上に金属層74が配置された複合部材200Bを製造することができる。ここで、この加熱工程によって、いわば犠牲層としての第1樹脂含有層22xは、確度高く、換言すれば、実質的に分解又は除去されることになる。その結果、実質的に残渣が残らない状態の基材10上に配置された金属層74を備えるため、複合部材200は信頼性ないし安定性の高い複合部材となる。
なお、金属インク72が、金属配線用中間材としての役割を担う場合は、金属インク72の加熱処理によって形成される金属層74は、金属配線となる。但し、金属インク72を出発材として形成される金属層74は、配線としての役割以外の役割(例えば、電極など)を果たすこともできる。
本実施形態の加熱工程についてより具体的に説明する。本実施形態では、第2樹脂含有層32x上に配置されている第1樹脂含有層22x及び金属インク72に対して、公知のヒーターを用いて第1樹脂含有層22xが分解又は除去される温度(例えば、180℃以上、好ましくは250℃以上、更に好ましくは260℃以上)で加熱する加熱工程(除去工程)を行う。その結果、金属層74を備えた複合部材200を製造することができる。なお、本実施形態の公知のヒーターは、アズワン株式会社製のホットプレート(型式,TH−900)であるが、加熱手段はそのようなヒーターに限定されない。例えば、その他の公知のホットプレート等のヒーターは、採用し得る他の一態様である。
ところで、本変形例においては、金属層74を形成するために出発材として金属インク72を用いたが、本変形例の別の態様として、金属インク72の配置の代わりに、公知の無電解めっき法に用いるための出発材層、すなわち金属めっき層の出発材層を形成する工程を採用することもできる。
<第3の実施形態>
本実施形態においては、第1の実施形態の複合部材100と同様に形成された複合部材に対して、ナノ・インプリント法による型押し加工が施される。従って、本実施形態の複合部材300は、型押し構造を備える部材である。なお、第1及び第2の実施形態、並びにそれらの変形例と重複する説明は省略され得る。
本実施形態においては、第1の実施形態の複合部材100と同様に形成された複合部材に対して、ナノ・インプリント法による型押し加工が施される。従って、本実施形態の複合部材300は、型押し構造を備える部材である。なお、第1及び第2の実施形態、並びにそれらの変形例と重複する説明は省略され得る。
図14は、本実施形態における複合部材300の全体構成を示す側面図である。図14に示すように、複合部材300は、基材10上に、第1の実施形態の紫外線が照射された凹凸形状を備える第1樹脂含有層22xと、該紫外線が照射された凹凸形状を備える第2樹脂含有層32xとを備える。より具体的には、第1樹脂含有層22xは、一例としての脂肪族ポリカーボネート含有層(例えば、ポリプロピレンカーボネート含有層)であり、第2樹脂含有層32xは、一例としてのポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層である。
なお、本実施形態において第1樹脂として脂肪族ポリカーボネートが採用され、第2樹脂としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)が採用された理由は、次のとおりである。
(A)いずれの樹脂材料も、後述する型押し工程における成形性に優れている点
(B)いずれの樹脂材料も、分子構造として炭素(C)、水素(H)、及び酸素(O)から形成されていることから、紫外線の吸収による各元素間の結合状態の変動(切断を含む)が類似していると考えられる点
(A)いずれの樹脂材料も、後述する型押し工程における成形性に優れている点
(B)いずれの樹脂材料も、分子構造として炭素(C)、水素(H)、及び酸素(O)から形成されていることから、紫外線の吸収による各元素間の結合状態の変動(切断を含む)が類似していると考えられる点
(複合部材の製造方法)
次に、複合部材300の製造方法を、図12乃至図14に示しつつ説明する。
次に、複合部材300の製造方法を、図12乃至図14に示しつつ説明する。
本実施形態においては、図12に示すように、第1の実施形態の紫外線が照射された第1表面22aを有する第1樹脂含有層22xと、紫外線が照射された第2表面32aを有する第2樹脂含有層32xとが基材10上に形成される。
[凹部形成工程/型押し工程]
本実施形態においては、その後、ナノ・インプリント法を用いて型押し構造を形成する、型押し工程が行われる。なお、紫外線が照射される前に行われる予備焼成工程に加えて、適宜、ナノ・インプリント法による型押し構造を形成できる程度まで溶媒成分を除去するための予備焼成工程が追加的に行われ得る。
本実施形態においては、その後、ナノ・インプリント法を用いて型押し構造を形成する、型押し工程が行われる。なお、紫外線が照射される前に行われる予備焼成工程に加えて、適宜、ナノ・インプリント法による型押し構造を形成できる程度まで溶媒成分を除去するための予備焼成工程が追加的に行われ得る。
続いて、図13に示すように、第1樹脂含有層22x及び第2樹脂含有層32xに対して、型M1を、0.1MPa以上20MPa以下の圧力を加えて押圧することにより、第1樹脂含有層22x及び第2樹脂含有層32xの型押し構造を形成するための型押し加工が施される。この型押し加工が施されることにより、図14に示すように、型M1の凸部によって押圧された1樹脂含有層22xの領域22p及び第2樹脂含有層32xの領域32pの厚みが、その他の領域に比べて薄くなることにより、凹部が形成される。従って、本実施形態においては、前述の型押し加工が施される工程が、凹部形成工程/型押し工程である。なお、該凹部の形成は、見方を変えれば凸部を形成する工程であると言うこともできる。
その結果、図14に示すように、基材10上に、第1樹脂含有層22xと第2樹脂含有層32xとを備える複合部材300を製造することができる。従って、本実施形態においては、第1樹脂含有層22x及び第2樹脂含有層32xに型押し加工を施すことによって凹部を含む型押し構造を形成する型押し工程が行われる。なお、本実施形態の一変形例として、第1樹脂含有層22x又は第2樹脂含有層32xに型押し加工を施すことによって凹部を含む型押し構造を形成する型押し工程が行われることも採用し得る。
また、本実施形態においては、型押し加工が施される前に、紫外線が照射された第1樹脂含有層22xと、紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとが基材10上に形成されているが、本実施形態はそのような態様に限定されない。例えば、紫外線が照射されていない第1樹脂含有層22と、紫外線が照射されていない第2樹脂含有層32とに対して型押し加工が施された後に紫外線が照射されることも、採用し得る一態様である。
<第3の実施形態の変形例>
ところで、本発明者が、上述の第3の実施形態の第1樹脂含有層22xの一例である脂肪族ポリカーボネート含有層を用いて本願出願人がこれまでに開示する公知の型押し加工法による凹凸形状を形成する際の該凹凸の寸法精度をより高めるために更に研究と分析を重ねた結果、下記の条件を具備する脂肪族ポリカーボネート含有層が寸法精度の向上に大きく寄与し得ることを見出した。なお、本変形例においては、第1乃至第3の各実施形態と重複する説明は省略され得る。
ところで、本発明者が、上述の第3の実施形態の第1樹脂含有層22xの一例である脂肪族ポリカーボネート含有層を用いて本願出願人がこれまでに開示する公知の型押し加工法による凹凸形状を形成する際の該凹凸の寸法精度をより高めるために更に研究と分析を重ねた結果、下記の条件を具備する脂肪族ポリカーボネート含有層が寸法精度の向上に大きく寄与し得ることを見出した。なお、本変形例においては、第1乃至第3の各実施形態と重複する説明は省略され得る。
具体的には、本変形例において採用された脂肪族ポリカーボネートの一例であるポリプロピレンカーボネートを採用した脂肪族ポリカーボネート含有溶液は、全ての脂肪族ポリカーボネートのうち分子量が1×104以上の該脂肪族ポリカーボネートが99.0質量%以上であり、且つ数平均分子量が1×104以上である脂肪族ポリカーボネートを、ある溶媒(代表的には、有機溶媒)中に溶解させた溶液である。別の表現を採用すれば、分子量が1×104以上の部分が全面積の99.0%以上を占める分子量分布曲線を有し、且つ数平均分子量が1×104以上である脂肪族ポリカーボネートを含有する脂肪族ポリカーボネート含有溶液が、本変形例の「脂肪族ポリカーボネート含有溶液」である。
(脂肪族ポリカーボネート含有溶液の製造方法について)
本変形例においては、上述の脂肪族ポリカーボネートを溶解可能な有機溶媒に脂肪族ポリカーボネートを溶解させた後、触媒を除去した脂肪族ポリカーボネート含有溶液を得る。
本変形例においては、上述の脂肪族ポリカーボネートを溶解可能な有機溶媒に脂肪族ポリカーボネートを溶解させた後、触媒を除去した脂肪族ポリカーボネート含有溶液を得る。
その後、特定の数値範囲の分子量の脂肪族ポリカーボネートを可能な限り分離する、第1の実施形態の分離工程を採用することにより、本変形例の脂肪族ポリカーボネート含有溶液が製造される。
上述の分離工程を行うことによって得られた、特定の数値範囲の分子量の脂肪族ポリカーボネートを、脂肪族ポリカーボネートを溶解可能な有機溶媒(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)に溶解させる。その結果、以下の(X)又は(Y)を満たす本変形例の脂肪族ポリカーボネート含有溶液を製造することができる。
(X)全ての脂肪族ポリカーボネートのうち分子量が10000以上の該脂肪族ポリカーボネートが99.0質量%以上であり、且つ数平均分子量が10000以上である該脂肪族ポリカーボネートを含有する脂肪族ポリカーボネート含有溶液
(Y)分子量が10000以上の部分が全面積の99.0%以上を占める分子量分布曲線を有し、且つ数平均分子量が10000以上である脂肪族ポリカーボネートを含有する脂肪族ポリカーボネート含有溶液
(X)全ての脂肪族ポリカーボネートのうち分子量が10000以上の該脂肪族ポリカーボネートが99.0質量%以上であり、且つ数平均分子量が10000以上である該脂肪族ポリカーボネートを含有する脂肪族ポリカーボネート含有溶液
(Y)分子量が10000以上の部分が全面積の99.0%以上を占める分子量分布曲線を有し、且つ数平均分子量が10000以上である脂肪族ポリカーボネートを含有する脂肪族ポリカーボネート含有溶液
上述の脂肪族ポリカーボネート含有溶液を用いて形成された第3の実施形態の第1樹脂含有層22xに対して型押し工程を行うことにより、高い寸法精度の凹凸を備える脂肪族ポリカーボネート含有層を確度高く実現し得る。従って、上述の脂肪族ポリカーボネートのうち分子量が1×104以上の該脂肪族ポリカーボネートが99.0質量%以上であり、且つ数平均分子量が1×104以上であることは、該脂肪族ポリカーボネートに対して、例えば、ナノ・インプリント法を用いて凹凸を形成する際に、高い寸法精度の凹凸及び/又は微細なパターニングを備える第1樹脂含有層22xを確度高く実現し得るため、好適な一態様である。
具体例について以下に説明する。本変形例においても、第3の実施形態と同様に、型M1の凸部によって押圧された第1樹脂含有層22xの領域22p及び第2樹脂含有層32xの領域32pの厚みが、その他の領域に比べて薄くなる凹部の形成によって、図14に示すような凹凸形状が形成される。
ここで、本発明者は、第1樹脂含有層22xとしての脂肪族ポリカーボネート含有層の型押し構造についても研究と分析の結果、質量平均分子量ではなく、数平均分子量が凹凸形状の寸法精度に支配的に影響していることを見出した。
そこで、上述の(X)及び/又は(Y)の条件を満たす脂肪族ポリカーボネート含有溶液を出発材として脂肪族ポリカーボネート含有層を形成することにより、後述する不具合の発生を確度高く抑えることができた。その結果、本発明者は、図14に示すような、高い寸法精度の凹凸を有する脂肪族ポリカーボネート含有層を確度高く実現し得ることを知得した。
図15Aは、本変形例における複合部材の製造方法の一過程を示す段差測定結果を示すグラフの一例である。図15Aに示す「S」で示す箇所のように、本変形例の脂肪族ポリカーボネート含有層が有する凹部の縁の形状は、ほぼ垂直であり、図15Bの突起23aに示すような不具合も見当たらない。また、図15Aに示すように、本変形例の脂肪族ポリカーボネート含有層が有する凹部の底部23bが盛り上がるという図15Bに示すような不具合も見当たらない。その結果、寸法精度に優れた凹凸を備える脂肪族ポリカーボネート含有層を製造することができる。
なお、本変形例においては、凹部の縁の突起の平面に対する高さが、該平面の厚みを1としたときに、0以上0.5以下(より好適には、0以上0.15以下)であれば、最終的に高い精度の複合部材300を得ることができる。なお、前述の「平面」とは、図15BのFで示された領域のように、一様な厚みの層状の脂肪族ポリカーボネート含有層が形成された後に上述の型押し加工が施されたとき、突起23aから十分に離れている場所であって、突起23aの裾野の端を少し越えた場所(代表的には、突起23aの頂点から1μm離れた場所)を意味する。
本変形例においては、その後、図14に示す型押し構造を有する第1樹脂含有層22x及び第2樹脂含有層32xの全面を、大気圧雰囲気において発生させたプラズマに曝露することによってエッチングするエッチング処理が施される場合がある。
なお、本変形例においては、第1樹脂含有層22xとして脂肪族ポリカーボネート含有層の例が示され、第2樹脂含有層32xとしてポリメタクリル酸メチル(PMMA)含有層の例が示されているが、本変形例は、それらの例に限定されない。
例えば、第1樹脂が、ポリプロピレンカーボネート(PPC)及びポリブチレンカーボネート(PBC)の群から選択される少なくとも1種であり、第2樹脂が、ポリエチレンカーボネート(PEC)である場合は、上述の(X)及び/又は(Y)の条件を満たすことにより、第1樹脂含有層22xの型押し構造とともに、第2樹脂含有層32xの型押し構造の寸法精度も高まるため、より好適な一態様である。
<その他の実施形態(1)>
ところで、上述の各実施形態又はその変形例においても述べたように、基材10は、基材10上に、予め、絶縁体層、半導体層、又は導電体層又はそれらのパターンが形成されているものを含み得る。ここで、例えば、図16の複合部材400に示すように、母材となる基材10がシリコン基板であって、該母材の表面と紫外線が照射された第1樹脂含有層22x又は紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとの間に別の層(例えば、酸化シリコン層40)が介在している例も、上述の各実施形態又はその変形例において採用し得る一態様である。
ところで、上述の各実施形態又はその変形例においても述べたように、基材10は、基材10上に、予め、絶縁体層、半導体層、又は導電体層又はそれらのパターンが形成されているものを含み得る。ここで、例えば、図16の複合部材400に示すように、母材となる基材10がシリコン基板であって、該母材の表面と紫外線が照射された第1樹脂含有層22x又は紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとの間に別の層(例えば、酸化シリコン層40)が介在している例も、上述の各実施形態又はその変形例において採用し得る一態様である。
例えば、第1樹脂含有層22と第2樹脂含有層32との空間に第2の実施形態の変形例において採用された金属インクを配置する場合、金属インクと該「別の層」の表面との高い濡れ性を実現する必要が生じる。従って、該「別の層」として酸化シリコン層40を採用すれば、酸化シリコン層40の表面がそのような高い濡れ性を発揮するため、好適な一態様となり得る。
<その他の実施形態(2)>
また、上述の各実施形態又はその変形例においては、基材10上に第1樹脂含有層22と第2樹脂含有層32とが配置されている例が示されているが、上述の各実施形態又はその変形例はそのような態様に限定されない。例えば、図17の複合部材500に示すように、基材10上に、紫外線が照射された第1樹脂含有層22x及び紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとは異なる層52x(例えば、有機物層及び金属層を含む公知の層)が配置されている例も、上述の各実施形態又はその変形例において採用し得る一態様である。
また、上述の各実施形態又はその変形例においては、基材10上に第1樹脂含有層22と第2樹脂含有層32とが配置されている例が示されているが、上述の各実施形態又はその変形例はそのような態様に限定されない。例えば、図17の複合部材500に示すように、基材10上に、紫外線が照射された第1樹脂含有層22x及び紫外線が照射された第2樹脂含有層32xとは異なる層52x(例えば、有機物層及び金属層を含む公知の層)が配置されている例も、上述の各実施形態又はその変形例において採用し得る一態様である。
以上述べたとおり、上述の各実施形態及びそれらの変形例の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組み合わせを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明は、各種の半導体素子を含む携帯端末、情報家電、センサー、その他の公知の電化製品、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又はNEMS(Nano Electro Mechanical Systems)、及び医療機器等を含む電子デバイス分野等に広く適用され得る。
10 基材
22 第1樹脂含有層
22a 紫外線が照射された第1表面
22p 型M1の凸部によって押圧された領域
22x 紫外線が照射された第1樹脂含有層
23a 突起
23b 底部
32 第2樹脂含有層
32a 紫外線が照射された第2表面
32p 型M1の凸部によって押圧された領域
32x 紫外線が照射された第2樹脂含有層
40 酸化シリコン層
52x 第1樹脂含有層22x及び第2樹脂含有層32xとは異なる層
72 金属インク
74 金属層
80 紫外線照射源(紫外線照射装置)
90 塗布装置
100,200,200A,200B,300,400,500 複合部材
22 第1樹脂含有層
22a 紫外線が照射された第1表面
22p 型M1の凸部によって押圧された領域
22x 紫外線が照射された第1樹脂含有層
23a 突起
23b 底部
32 第2樹脂含有層
32a 紫外線が照射された第2表面
32p 型M1の凸部によって押圧された領域
32x 紫外線が照射された第2樹脂含有層
40 酸化シリコン層
52x 第1樹脂含有層22x及び第2樹脂含有層32xとは異なる層
72 金属インク
74 金属層
80 紫外線照射源(紫外線照射装置)
90 塗布装置
100,200,200A,200B,300,400,500 複合部材
Claims (14)
- 基材上又は該基材の上方に、第1樹脂を含有する第1樹脂含有層と、前記第1樹脂と異なる第2樹脂を含有する第2樹脂含有層と、を備える複合部材であって、
前記第1樹脂含有層の少なくとも第1表面及び前記第2樹脂含有層の少なくとも第2表面に紫外線を照射したときの、前記紫外線を照射した後の前記第1表面の第1接触角が、前記紫外線を照射した後の前記第2表面の第2接触角よりも10°以上高い、
複合部材。 - 前記第1表面及び前記第2表面に前記紫外線を5分間照射したときの、前記紫外線を照射した後の前記第1表面の第1接触角が45°以上であり、且つ、前記紫外線を照射した後の前記第2表面の第2接触角が35°以下である、
請求項1に記載の複合部材。 - 前記第1表面及び前記第2表面に前記紫外線を15分間照射したときの、前記紫外線を照射した後の前記第1表面の第1接触角が50°以上であり、且つ、前記紫外線を照射した後の前記第2表面の第2接触角が30°以下である、
請求項1に記載の複合部材。 - 前記紫外線を照射した後の前記第1表面の前記第1接触角が、60°超である、
請求項2又は請求項3に記載の複合部材。 - 前記紫外線を照射した後の前記第2表面の前記第2接触角が28°未満である、
請求項2又は請求項3に記載の複合部材。 - 前記第1樹脂が、脂肪族ポリカーボネート又はシリコン樹脂であり、
前記第2樹脂が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びポリイミド(PI)の群から選択される少なくとも1種である、
請求項2に記載の複合部材。 - 前記第1樹脂が、脂肪族ポリカーボネートであり、
前記第2樹脂が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、シリコン樹脂、及びポリイミド(PI)の群から選択される少なくとも1種である、
請求項3に記載の複合部材。 - 前記第1樹脂が、ポリプロピレンカーボネート(PPC)及びポリブチレンカーボネート(PBC)の群から選択される少なくとも1種である、
請求項4に記載の複合部材。 - 前記第2樹脂が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びポリイミド(PI)の群から選択される少なくとも1種である、
請求項5に記載の複合部材。 - 前記第1樹脂が、ポリプロピレンカーボネート(PPC)及びポリブチレンカーボネート(PBC)の群から選択される少なくとも1種であり、
前記第2樹脂が、ポリエチレンカーボネート(PEC)である、
請求項1に記載の複合部材。 - 基材上又は該基材の上方に、第1樹脂を含有する第1樹脂含有層と、前記第1樹脂と異なる第2樹脂を含有する第2樹脂含有層とを形成する、樹脂含有層形成工程と、
前記第1樹脂含有層の少なくとも第1表面及び前記第2樹脂含有層の少なくとも第2表面に紫外線を照射することにより、前記紫外線を照射した後の前記第2表面の第2接触角よりも10°以上高い、前記紫外線を照射した後の前記第1表面の第1接触角を形成する、紫外線照射工程と、を含む、
複合部材の製造方法。 - 前記紫外線照射工程は、前記第1表面及び前記第2表面に前記紫外線を5分間照射したときの、前記紫外線を照射した後の前記第1表面の前記第1接触角を45°以上にし、且つ、前記紫外線を照射した後の前記第2表面の第2接触角を35°以下にする、
請求項11に記載の複合部材の製造方法。 - 前記紫外線照射工程は、前記第1表面及び前記第2表面に前記紫外線を15分間照射したときの、前記紫外線を照射した後の前記第1表面の第1接触角を50°以上にし、且つ、前記紫外線を照射した後の前記第2表面の第2接触角が30°以下にする、
請求項11に記載の複合部材の製造方法。 - 前記樹脂含有層形成工程は、
前記第1樹脂及び/又は第2樹脂が脂肪族ポリカーボネートであり、且つ
分子量が10000以上の部分が全面積の99.0%以上を占める分子量分布曲線を有し、且つ数平均分子量が10000以上である前記脂肪族ポリカーボネートを含有する脂肪族ポリカーボネート含有溶液を、前記基材上又は該基材の上方に層状に形成し、加熱することによって前記第1樹脂含有層及び/又は前記第2樹脂含有層を形成する工程を含む、
請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の複合部材の製造方法。
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