以下、実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
<車載システム>
先ず、図1に基づいて電力変換ユニット520の設けられる車載システム100を説明する。この車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100は、バッテリ200、電力変換装置300、および、モータ400を有する。電力変換装置300に電力変換ユニット520が含まれている。
また車載システム100は図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ400の力行と回生が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
電力変換装置300はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電力変換装置300はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルの交流電力に変換する。電力変換装置300はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルの直流電力に変換する。
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
モータ400は電力変換装置300から供給される交流電力によって力行する。これにより走行輪への推進力の付与が成される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置300によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
<電力変換装置>
次に電力変換装置300を説明する。電力変換装置300はコンバータ500とインバータ600を備えている。コンバータ500はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルに昇圧する。インバータ600はこの直流電力を交流電力に変換する。この交流電力がモータ400に供給される。またインバータ600はモータ400で生成された交流電力を直流電力に変換する。コンバータ500はこの直流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルに降圧する。
図1に示すようにコンバータ500は第1電力ライン301と第2電力ライン302を介してバッテリ200と電気的に接続されている。コンバータ500は第3電力ライン303と第4電力ライン304を介してインバータ600と電気的に接続されている。
第1電力ライン301はバッテリ200の正極に接続されている。第2電力ライン302はバッテリ200の負極に接続されている。これら第1電力ライン301と第2電力ライン302に第1平滑コンデンサ305が接続されている。第1平滑コンデンサ305の有する2つの電極のうちの一方が第1電力ライン301に接続されている。第1平滑コンデンサ305の有する2つの電極のうちの他方が第2電力ライン302に接続されている。第1平滑コンデンサ305はコンバータ500の構成要素の一部である。コンバータ500については後で詳説する。
インバータ600は第3電力ライン303と第4電力ライン304との間で並列接続された3相以上のレグを有する。これら3相以上のレグそれぞれは直列接続された2つのスイッチ素子を有する。これら2つのスイッチ素子の間の中点にバスバが接続されている。このバスバがモータ400のステータコイルと電気的に接続されている。インバータ600の構成についてはその説明と図示を省略する。
<コンバータの回路構成>
図1に示すようにコンバータ500はリアクトル510と電力変換ユニット520を有する。電力変換ユニット520はスイッチモジュール530と第2平滑コンデンサ540と放電抵抗基板570を有する。なお、厳密に区別すれば、第2平滑コンデンサ540はインバータ600の構成要素である。
リアクトル510とスイッチモジュール530とが連結バスバ550を介して機械的および電気的に接続されている。スイッチモジュール530は第2平滑コンデンサ540と放電抵抗基板570それぞれとPバスバ560とNバスバ561を介して機械的および電気的に接続されている。Pバスバ560はバスバに相当する。Nバスバ561はバスバに相当する。
リアクトル510はA相リアクトル511、B相リアクトル512、C相リアクトル513、および、D相リアクトル514を有する。これに応じてスイッチモジュール530はA相レグ531、B相レグ532、C相レグ533、および、D相レグ534を有する。連結バスバ550はA相連結バスバ551、B相連結バスバ552、C相連結バスバ553、および、D相連結バスバ554を有する。
このように本実施形態のコンバータ500は、A相〜D相の4相のリアクトル、レグ、および、連結バスバを備える。4相のレグは上記のECUおよびゲートドライバによって各相独立して駆動制御される。若しくは、ECUおよびゲートドライバによって4相のレグは同調して駆動制御される。
A相レグ531〜D相レグ534それぞれは半導体素子として、ハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536、および、ハイサイドダイオード535aとローサイドダイオード536aを有する。これらハイサイドスイッチ535、ローサイドスイッチ536、ハイサイドダイオード535a、ローサイドダイオード536aのそれぞれが樹脂封止されてパッケージ539を構成している。なお、ハイサイドスイッチ535とハイサイドダイオード535aが1つのパッケージ539を構成し、ローサイドスイッチ536とローサイドダイオード536aが1つのパッケージ539を構成するなど、パッケージの構成態様は特に限定されない。
スイッチモジュール530はこれらA相レグ531〜D相レグ534それぞれのパッケージ539を支持する冷却器537を有する。この冷却器537の内部に冷媒が流れる。これによりA相レグ531〜D相レグ534それぞれの昇温が抑えられている。冷却器537は冷却部に相当する。
本実施形態では、ハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536としてnチャネル型のIGBTを採用している。図1に示すようにハイサイドスイッチ535のコレクタ電極がPバスバ560に接続されている。ハイサイドスイッチ535のエミッタ電極とローサイドスイッチ536のコレクタ電極とが接続されている。ローサイドスイッチ536のエミッタ電極がNバスバ561に接続されている。これによりハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536はPバスバ560からNバスバ561へ向かって順に直列接続されている。
また、ハイサイドスイッチ535のコレクタ電極にハイサイドダイオード535aのカソード電極が接続されている。ハイサイドスイッチ535のエミッタ電極にハイサイドダイオード535aのアノード電極が接続されている。これによりハイサイドスイッチ535にハイサイドダイオード535aが逆並列接続されている。
同様にして、ローサイドスイッチ536のコレクタ電極にローサイドダイオード536aのカソード電極が接続されている。ローサイドスイッチ536のエミッタ電極にローサイドダイオード536aのアノード電極が接続されている。これによりローサイドスイッチ536にローサイドダイオード536aが逆並列接続されている。
なお、これらハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536としては、IGBTではなくMOSFETを採用することもできる。採用するスイッチ素子の種類としては特に限定されない。ただし、これらスイッチ素子としてMOSFETを採用する場合、上記のダイオードはなくともよい。
また、コンバータ500を構成する半導体素子は、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
さらに言えば、A相レグ531〜D相レグ534それぞれの有するスイッチ素子の種類と構成材料は異なっていてもよい。例えば、A相レグ531の備えるスイッチ素子がSiCから構成されるMOSFET、B相レグ532〜D相レグ534それぞれの備えるスイッチ素子がSiから構成されるIGBTであってもよい。
図1に示すように、A相リアクトル511の一端は第1電力ライン301に接続される。A相リアクトル511の他端はA相連結バスバ551を介してA相レグ531のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点に接続される。以上により、A相リアクトル511はバッテリ200の正極と、A相レグ531のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点とに接続されている。
同様にして、B相リアクトル512の一端は第1電力ライン301に接続される。B相リアクトル512の他端はB相連結バスバ552を介してB相レグ532のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点に接続される。以上により、B相リアクトル512はバッテリ200の正極と、B相レグ532のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点とに接続されている。
C相リアクトル513の一端は第1電力ライン301に接続される。C相リアクトル513の他端はC相連結バスバ553を介してC相レグ533のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点に接続される。以上により、C相リアクトル513はバッテリ200の正極と、C相レグ533のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点とに接続されている。
D相リアクトル514の一端は第1電力ライン301に接続される。D相リアクトル514の他端はD相連結バスバ554を介してD相レグ534のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点に接続される。以上により、D相リアクトル514はバッテリ200の正極と、D相レグ534のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点とに接続されている。
A相レグ531〜D相レグ534のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536は上記のECUとゲートドライバによって開閉制御される。ECUは制御信号を生成し、それをゲートドライバに出力する。ゲートドライバは制御信号を増幅してスイッチのゲート電極に出力する。これによりECUはコンバータ500に入力される直流電力の電圧レベルを昇降圧する。
ECUは制御信号としてパルス信号を生成している。ECUはこのパルス信号のオンデューティ比と周波数を調整することで直流電力の昇降圧レベルを調整している。またECUはA相レグ531〜D相レグ534のうちの駆動対象とするレグの数を選択することで昇降圧レベルを調整している。この昇降圧レベルはモータ400の目標トルクとバッテリ200のSOCに応じて決定される。
バッテリ200の直流電力を昇圧する場合、ECUはハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536それぞれを交互に開閉する。これとは反対にインバータ600から供給された直流電力を降圧する場合、ECUはローサイドスイッチ536に出力する制御信号をローレベルに固定する。それとともにECUはハイサイドスイッチ535に出力する制御信号をハイレベルとローレベルに順次切り換える。
<電力変換ユニットの構成>
次に、電力変換ユニット520の構成を説明する。それに当たって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。
図2〜図4に示すように電力変換ユニット520は、これまでに図1に基づいて説明した構成要素の他に、これら構成要素を支持するケース580を有する。また電力変換ユニット520は4相のレグを制御するECUとゲートドライバの搭載された駆動基板590を有する。駆動基板590は駆動部に相当する。なお図3では駆動基板590の記載を省略している。
図2および図3に示すように、ケース580は環状の枠部581と、枠部581に一体的に連結された支持部582と、を有する。枠部581はx方向で互いに離間して対向する第1側壁581aと第2側壁581b、および、y方向で互いに離間して対向する第3側壁581cと第4側壁581dを有する。
第1側壁581aと第2側壁581bはy方向に延びている。第3側壁581cと第4側壁581dはx方向に延びている。第1側壁581a、第3側壁581c、第2側壁581b、および、第4側壁581dはz方向まわりの周方向で順に環状に連結されている。これにより枠部581はz方向に開口する環状を成している。
なお第2側壁581bには後述の供給管537aと排出管537bを設けるための2つの溝部が形成されている。これら2つの溝部はケース580の下面側から上面側に向かって局所的に凹んでいる。
支持部582は枠部581の中空に位置している。支持部582は枠部581の内壁面に連結されている。支持部582によって枠部581の上面側の開口の一部が閉塞されている。
細分化して説明すると支持部582は、第3側壁581cの内壁面に連結されてx方向に延びる第1支持部582aと、第4側壁581dの内壁面に連結されてx方向に延びる第2支持部582bと、を有する。
第1支持部582aと第2支持部582bはy方向で離間している。第1支持部582aと第2支持部582bとの間の空隙が枠部581の開口とz方向で連通している。これら第1支持部582aと第2支持部582bとに冷却器537と後述のバネ部538が設けられる。
支持部582は第1支持部582aと第2支持部582bの他に第3支持部582cを有する。第3支持部582cはx方向で第1側壁581aから離間している。第3支持部582cはy方向において第1支持部582aと第2支持部582bとの間に位置している。第3支持部582cは第1支持部582a、第2支持部582b、および、第2側壁581bそれぞれに一体的に連結されている。図3では第3支持部582cと第2側壁581bとの境に破線を付与している。
細分化して説明すると第3支持部582cは、z方向の厚さの薄い底部582dと、底部582dからz方向に起立した側部582eと、を有する。側部582eは底部582dの内底面582fの縁部に環状に形成されている。この底部582dの内底面582fと側部582eの環状の内側面582hとによって、z方向に開口する中空が区画されている。内底面582fは内面に相当する。
この開口は側部582eの先端側によって構成されている。この側部582eの先端側の外側面582gに第1支持部582aと第2支持部582bそれぞれが連結されている。また側部582eと第2側壁581bが一体的に連結されている。これにより側部582eの先端側によって構成される開口と、枠部581におけるケース580の上面側の開口とがz方向で連通している。この開口を介して、底部582dの内底面582fと側部582eの内側面582hとによって区画される中空に第2平滑コンデンサ540が設けられる。図2では第3支持部582cと第1支持部582aの境、および、第3支持部582cと第2支持部582bの境それぞれに破線を付与している。
また図2および図3に示すように側部582eは第1側壁581aとx方向で離間している。この側部582eと第1側壁581aとの間に後述の中継管537cとバネ部538が設けられる。
図2および図4に示すように第2平滑コンデンサ540は、コンデンサ素子541、コンデンサケース542、および、被覆樹脂543を有する。コンデンサケース542はz方向に開口する箱形状を成している。コンデンサケース542は底部542aと側部542eを有する。底部542aの内底面542dと側部542eの内側面542hとによってコンデンサケース542の中空が区画されている。
図4に示すように、コンデンサケース542は、コンデンサケース542の底部542aの外底面542bと第3支持部582cの底部582dの内底面582fとがz方向で対向する態様で、第3支持部582cの中空に設けられる。このコンデンサケース542の中空にコンデンサ素子541が収納される。コンデンサケース542の中空に被覆樹脂543が充填される。これによりコンデンサ素子541は被覆樹脂543によって被覆されるとともに、被覆樹脂543によってコンデンサケース542に連結されている。第2平滑コンデンサ540はコンデンサに相当する。
図4に示すように、コンデンサ素子541におけるコンデンサケース542の開口側の上面545aに正電極545が設けられている。コンデンサ素子541におけるコンデンサケース542の底部542a側の下面544aに負電極544が設けられている。この正電極545にPバスバ560が溶接などによって接続される。負電極544にNバスバ561が溶接などによって接続される。これらPバスバ560における正電極545との接続部位、および、負電極544とNバスバ561との接続部位それぞれは被覆樹脂543によって被覆されている。
図4に示すようにコンデンサケース542の底部542aには、外底面542bに開口するボルト孔542cが形成されている。ボルト孔542cは外底面542bから内底面542dに向かって形成されている。このボルト孔542cは内底面542dで開口していなくともよい。
これに応じて、第3支持部582cの底部582dには、内底面582fとその裏側の外底面582iそれぞれに開口するボルト孔582jが形成されている。外底面582iは外面に相当する。
図4に示すようにコンデンサケース542が第3支持部582cの中空に設けられた状態で、ボルト孔542cの外底面542b側の開口と、ボルト孔582jの中空とがz方向で並ぶ。これにより1つのボルト孔が構成されている。このボルト孔にボルト582kが締結される。これによりコンデンサケース542の底部542aが第3支持部582cに連結されている。
またコンデンサケース542の側部542eの内側面542hの裏側の外側面にはフランジ部542fが形成されている。フランジ部542fにはz方向に貫通するボルト孔542gが形成されている。
これに応じて、第3支持部582cの側部582eの先端側の先端面582lには、z方向に開口するボルト孔582mが形成されている。
図4に示すようにコンデンサケース542が第3支持部582cの中空に設けられた状態で、ボルト孔542gの中空と、ボルト孔582mの先端面582l側の開口とがz方向で並ぶ。これにより1つのボルト孔が構成されている。このボルト孔にボルト582nが締結される。これによりコンデンサケース542の側部582eが第3支持部582cに連結されている。
以上に示したボルト止めにより、コンデンサケース542とケース580とが機械的に連結されている。そのために第2平滑コンデンサ540とケース580とが積極的に熱伝導可能になっている。
上記したようにスイッチモジュール530はパッケージ539を構成するA相レグ531〜D相レグ534と、これらを収納する冷却器537と、を有する。図2および図3に示すように冷却器537は供給管537a、排出管537b、および、複数の中継管537cを有する。供給管537aと排出管537bは複数の中継管537cを介して連結されている。これら3つの管の中を冷媒が流れる。供給管537aから排出管537bへと複数の中継管537cを介して冷媒が流れる。スイッチモジュール530はパワーモジュールに相当する。
供給管537aと排出管537bはそれぞれx方向に延びている。供給管537aと排出管537bはy方向で離間している。複数の中継管537cそれぞれは供給管537aから排出管537bへと向かってy方向に沿って延びている。
複数の中継管537cはx方向で離間して並んでいる。隣り合う2つの中継管537cの間に空隙が構成されている。冷却器537には計4個の空隙が構成されている。これら4個の空隙それぞれにパッケージ539を構成するA相レグ531〜D相レグ534が個別に設けられる。これによりA相レグ531〜D相レグ534はx方向で離間して並んでいる。
A相レグ531〜D相レグ534それぞれはx方向で中継管537cと接触している。これにより4相のレグで発生した熱が中継管537cを介して冷媒に放熱可能になっている。
図3に示すように冷却器537(スイッチモジュール530)は第1支持部582aと第2支持部582bに設けられる。冷却器537の供給管537aが第2支持部582bに設けられる。排出管537bが第1支持部582aに設けられる。複数の中継管537cと4相のレグは、枠部581の中空における第1支持部582aと第2支持部582bとの間の空隙とz方向で連通する領域に設けられる。
図4に示すように4相のレグそれぞれが備えるハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536のコレクタ電極、エミッタ電極、および、ゲート電極に接続された端子の先端は、z方向に沿って枠部581の開口の外に突出している。コレクタ電極とエミッタ電極それぞれに接続された端子の先端は、枠部581におけるケース580の上面側の開口の外でPバスバ560とNバスバ561に接続されている。ゲート電極に接続された端子の先端は、枠部581におけるケース580の下面側の開口の外で駆動基板590に接続されている。図4に示すように駆動基板590はケース580の下面側に連結されたフレームとボルトなどによってケース580に連結されている。
図2および図3に示すように冷却器537が第1支持部582aと第2支持部582bに設けられた状態で、複数の中継管537cと4相のレグは第3支持部582cとx方向で並んでいる。そのために複数の中継管537cと4相のレグは第3支持部582cに設けられた第2平滑コンデンサ540とx方向で並んでいる。また、供給管537aと排出管537bとの間に第2平滑コンデンサ540が位置している。そのために第2平滑コンデンサ540は、冷媒の流れる供給管537a、排出管537b、および、中継管537cそれぞれによって周りを囲まれている。
x方向に並ぶ複数の中継管537cにおける最も第3支持部582c側に位置する中継管537cは、第3支持部582cとx方向で対向する態様で第3支持部582cの側部582eと互いに接触している。そしてx方向に並ぶ複数の中継管537cにおける最も第1側壁581a側に位置する中継管537cは、第1側壁581aとx方向で離間している。この中継管537cと第1側壁581aとの間の空隙にバネ部538が圧入される。
この空隙へのバネ部538の圧入により、複数の中継管537cはバネ部538と第3支持部582cとの間でx方向に圧縮される。複数の中継管537cそれぞれの離間間隔が狭まる態様で、複数の中継管537cがx方向に弾性変形する。この結果、複数の中継管537cの間に設けられた4相のレグそれぞれと中継管537cとの接触面積が増大している。レグと中継管537cとの間の熱抵抗の増大が抑制されている。
図1に基づいて説明したように、A相連結バスバ551〜D相連結バスバ554は、A相レグ531〜D相レグ534のうちの対応するレグの備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に電気的に接続される。
上記したようにハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536それぞれのコレクタ電極とエミッタ電極に接続された端子の先端は、枠部581の上面側の開口の外に突出している。これら端子に接続されるべく、図4に示すようにA相連結バスバ551〜D相連結バスバ554それぞれは枠部581の上面側に位置している。これらA相連結バスバ551〜D相連結バスバ554はx方向で離間して並んでいる。
A相連結バスバ551は、A相レグ531の備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極に接続された端子の先端とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続された端子の先端それぞれに接続される。A相連結バスバ551は、これら端子との接続部位から離間する態様でy方向に沿って延びている。A相連結バスバ551の先端には、A相リアクトル511とボルト止めするためのA相ボルト孔が形成されている。
同様にして、B相連結バスバ552は、B相レグ532の備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極に接続された端子の先端とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続された端子の先端それぞれに接続される。B相連結バスバ552は、これら端子との接続部位から離間する態様でy方向に沿って延びている。B相連結バスバ552の先端には、B相リアクトル512とボルト止めするためのB相ボルト孔が形成されている。
C相連結バスバ553は、C相レグ533の備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極に接続された端子の先端とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続された端子の先端それぞれに接続される。C相連結バスバ553は、これら端子との接続部位から離間する態様でy方向に沿って延びている。C相連結バスバ553の先端には、C相リアクトル513とボルト止めするためのC相ボルト孔が形成されている。
D相連結バスバ554は、D相レグ534の備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極に接続された端子の先端とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続された端子の先端それぞれに接続される。D相連結バスバ554は、これら端子との接続部位から離間する態様でy方向に沿って延びている。D相連結バスバ554の先端には、D相リアクトル514とボルト止めするためのD相ボルト孔が形成されている。
A相レグ531〜D相レグ534それぞれの有するハイサイドスイッチ535のエミッタ電極と第2平滑コンデンサ540(コンデンサ素子541)の正電極545とがPバスバ560に電気的に接続される。A相レグ531〜D相レグ534それぞれの有するローサイドスイッチ536のコレクタ電極とコンデンサ素子541の負電極544とがNバスバ561に電気的に接続される。
放電抵抗基板570は図示しないボルトなどによりケース580の上面側に支持されている。放電抵抗基板570は電力変換装置300の非駆動時において、第2平滑コンデンサ540などに蓄積された残留電荷を放電するための処理抵抗である。
図4に示すように放電抵抗基板570はケース580の下面側に設けられた駆動基板590とz方向で離間している。放電抵抗基板570と駆動基板590の間に第2平滑コンデンサ540とケース580の第3支持部582cが介在されている。
<PバスバとNバスバ>
図4に示すようにPバスバ560はケース580の上面側に位置している。Pバスバ560はケース580の第1側壁581a側からコンデンサケース542に向かって延びている。そしてPバスバ560はコンデンサケース542の中空に向かって延び、その一部が被覆樹脂543によって被覆されている。
コンデンサケース542の中空内でPバスバ560は側部542eにおける第1側壁581a側の内側面542hに沿って、コンデンサ素子541の上面545aに向かって延びている。そしてPバスバ560はコンデンサ素子541の上面545aに沿って側部542eの第2側壁581b側に向かって延びている。次いでPバスバ560は側部542eにおける第2側壁581b側の内側面542hに沿って、コンデンサケース542の開口に向かって延びている。このPバスバ560の先端が被覆樹脂543の外に露出している。
Pバスバ560におけるケース580の第1側壁581a側からコンデンサケース542に向かって延びた部位にスイッチモジュール530が接続されている。Pバスバ560におけるコンデンサ素子541の上面545aに沿って延びた部位にコンデンサ素子541の正電極545が接続されている。Pバスバ560における被覆樹脂543から露出した先端に放電抵抗基板570が接続されている。
これによりPバスバ560の延びる延長方向において、Pバスバ560におけるスイッチモジュール530との接続部位、コンデンサ素子541との接続部位、および、放電抵抗基板570との接続部位が順に離間して並んでいる。
以下においてはPバスバ560におけるコンデンサ素子541との接続部位とスイッチモジュール530との接続部位との間の部位を第1部位700、コンデンサ素子541との接続部位と放電抵抗基板570との接続部位との間の部位を第2部位710と示す。図4ではこれら第1部位700と第2部位710との境に破線を付与している。
細分化すると、第2部位710は第5部位740と第6部位750を有する。第5部位740は、コンデンサ素子541の上面545aに沿って、コンデンサ素子541との接続部位から側部542eの第2側壁581b側に向かって延びている。第6部位750は、側部542eにおける第2側壁581b側の内側面542hに沿って、コンデンサケース542の開口に向かって延び、その先端が放電抵抗基板570に接続されている。Pバスバ560における延長方向を横断する断面の面積(断面積)は、第5部位740よりも第6部位750のほうが小さくなっている。そのために第6部位750の熱抵抗は第5部位740の熱抵抗よりも高くなっている。
Nバスバ561もPバスバ560と同様にしてケース580の上面側に位置している。Nバスバ561はケース580の第1側壁581a側からコンデンサケース542に向かって延びている。Nバスバ561はコンデンサケース542の中空に向かって延び、その一部が被覆樹脂543によって被覆されている。
図4に示すようにこの中空内でNバスバ561は側部542eにおける第1側壁581a側の内側面542hに沿って、内底面542dに向かって延びている。そしてNバスバ561は内底面542dに沿って、側部542eの第2側壁581b側に向かって延びている。次いでNバスバ561は側部542eにおける第2側壁581b側の内側面542hに沿って、コンデンサケース542の開口に向かって延びている。このNバスバ561の先端は被覆樹脂543の外に露出している。
Nバスバ561におけるケース580の第1側壁581a側からコンデンサケース542に向かって延びた部位にスイッチモジュール530が接続されている。Nバスバ561における内底面542dに沿って延びた部位にコンデンサ素子541の負電極544が接続されている。Nバスバ561における被覆樹脂543から露出した先端に放電抵抗基板570が接続されている。
これによりNバスバ561の延びる延長方向において、Nバスバ561におけるスイッチモジュール530との接続部位、コンデンサ素子541との接続部位、および、放電抵抗基板570との接続部位が順に離間して並んでいる。
以下においてはNバスバ561におけるコンデンサ素子541との接続部位とスイッチモジュール530との接続部位との間の部位を第3部位720、コンデンサ素子541との接続部位と放電抵抗基板570との接続部位との間の部位を第4部位730と示す。
細分化すると、第4部位730は第7部位760と第8部位780を有する。第7部位760は、内底面542dに沿って、コンデンサ素子541との接続部位から側部542eの第2側壁581b側に向かって延びている。第8部位770は、側部542eにおける第2側壁581b側の内側面542hに沿って、コンデンサケース542の開口に向かって延び、その先端が放電抵抗基板570に接続されている。Nバスバ561における延長方向を横断する断面の面積(断面積)は、第7部位760よりも第8部位770のほうが小さくなっている。そのために第8部位770の熱抵抗は第7部位760の熱抵抗よりも高くなっている。
<作用効果>
上記したように放電抵抗基板570と駆動基板590はz方向で離間している。放電抵抗基板570と駆動基板590との間に第2平滑コンデンサ540が介在されている。これにより駆動基板590の熱輻射が放電抵抗基板570へ伝わることが抑制される。この結果、放電抵抗基板570の昇温が抑制される。
駆動基板590はケース580の下面側に設けられ、放電抵抗基板570とz方向で離間している。放電抵抗基板570と駆動基板590の間に第2平滑コンデンサ540とケース580の第3支持部582cが介在されている。このように、放電抵抗基板570と駆動基板590との間に第2平滑コンデンサ540だけではなくケース580が介在されている。そのために、駆動基板590の輻射熱が放電抵抗基板570へ伝わることがより効果的に抑制される。放電抵抗基板570の昇温が効果的に抑制される。
放電抵抗基板570は第2平滑コンデンサ540とケース580それぞれと対向している。そのために第2平滑コンデンサ540やケース580からの熱が伝熱される構成になっている。
しかしながらケース580にスイッチモジュール530が支持されている。このスイッチモジュール530はパッケージ539と冷却器537を有する。冷却器537と第1側壁581aとの間の空隙へのバネ部538の圧入により、冷却器537は第3支持部582cに接触している。これによりケース580は冷却器537によって冷却される。ケース580の昇温が抑制され、ケース580から放電抵抗基板570への伝熱が抑制される。これにより放電抵抗基板570の昇温が抑制される。
上記したようにバネ部538によって冷却器537は第3支持部582cに接触している。この第3支持部582cに第2平滑コンデンサ540が設けられている。このために第2平滑コンデンサ540は冷却器537によって冷却される。これにより、第2平滑コンデンサ540の昇温が抑制される。第2平滑コンデンサ540から放電抵抗基板570への伝熱が抑制される。放電抵抗基板570の昇温が抑制される。
特に本実施形態では、冷却器537がケース580の第1支持部582aと第2支持部582bに設けられた状態で、複数の中継管537cと第3支持部582cとがx方向で並んでいる。そして供給管537aと排出管537bとの間に第3支持部582cが位置している。そのために第3支持部582cに設けられた第2平滑コンデンサ540は、冷媒の流れる供給管537a、排出管537b、および、中継管537cそれぞれによって周りを囲まれている。これにより、第2平滑コンデンサ540の昇温が効果的に抑制される。第2平滑コンデンサ540から放電抵抗基板570への伝熱が効果的に抑制され、放電抵抗基板570の昇温が効果的に抑制される。
スイッチモジュール530はPバスバ560とNバスバ561を介して第2平滑コンデンサ540(コンデンサ素子541)および放電抵抗基板570それぞれと接続されている。Pバスバ560における、内側面542hに沿ってコンデンサケース542の開口に向かって延びた第6部位750の断面積は、正電極545との接続部位から内側面542hに向かって延びた第5部位740の断面積よりも小さくなっている。そのために第6部位750の熱抵抗が高くなっている。これによりPバスバ560を介したスイッチモジュール530から放電抵抗基板570への熱伝導が抑制される。
同様にして、Nバスバ561における、内側面542hに沿って、コンデンサケース542の開口に向かって延びた第8部位770の断面積は、負電極544との接続部位から内側面542hに向かって延びた第7部位760の断面積よりも小さくなっている。そのために第8部位770の熱抵抗が高くなっている。これによりNバスバ561を介したスイッチモジュール530から放電抵抗基板570への熱伝導が抑制される。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
(第1の変形例)
図5に模式的に示すように、Pバスバ560の第5部位740に、一部が切り欠かれることで局所的に熱抵抗の高まった第1高抵抗部562が形成されてもよい。第2部位710は第1部位700よりも熱抵抗が高くなっていてもよい。この切欠きとしては、z方向やy方向に開口する穴など、その形態は特に限定されない。第1高抵抗部562は切欠きに相当する。
この第1高抵抗部562のため、第1部位700から第6部位750への熱伝導が抑制される。この結果、第6部位750の接続される放電抵抗基板570への、第1部位700からの熱伝導が抑制される。この結果、放電抵抗基板570の昇温が抑制される。
なお、切り欠かれることで空隙となる領域には被覆樹脂543が充填される。そのためPバスバ560に伝熱されたスイッチモジュール530の熱の一部が被覆樹脂543に伝熱される。しかしながら、被覆樹脂543はPバスバ560よりも熱伝導率が低い。そのために被覆樹脂543を介してスイッチモジュール530の熱が放電抵抗基板570に伝熱されることが抑制される。
同様にして、Nバスバ561の第7部位760に、一部が切り欠かれることで局所的に熱抵抗の高まった第2高抵抗部563が形成されていてもよい。第4部位730は第3部位720よりも熱抵抗が高くなっていてもよい。この切欠きとしては、z方向やy方向に開口する穴など、その形態は特に限定されない。第2高抵抗部563は切欠きに相当する。
この第2高抵抗部563のため、第3部位720から第8部位770への熱伝導が抑制される。この結果、第8部位770の接続される放電抵抗基板570への、第3部位720からの熱伝導が抑制される。この結果、放電抵抗基板570の昇温が抑制される。
なお、切り欠かれることで空隙となる領域には被覆樹脂543が充填される。そのためNバスバ561に伝熱されたスイッチモジュール530の熱の一部が被覆樹脂543に伝熱される。しかしながら、被覆樹脂543はNバスバ561よりも熱伝導率が低い。そのために被覆樹脂543を介してスイッチモジュール530の熱が放電抵抗基板570に伝熱されることが抑制される。
(その他の変形例)
本実施形態では電力変換ユニット520にコンバータ500の構成要素の一部が含まれる例を示した。しかしながら電力変換ユニット520にコンバータ500の構成要素の全てが含まれる構成を採用することもできる。また、電力変換ユニット520にインバータ600の構成要素の少なくとも一部が含まれる構成を採用することもできる。
本実施形態では電力変換ユニット520が電気自動車用の車載システム100に含まれる例を示した。しかしながら電力変換ユニット520の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータ400と内燃機関を備えるハイブリッドシステムに電力変換ユニット520が含まれる構成を採用することもできる。
本実施形態では電力変換装置300が1つのモータ400に接続される構成を示した。しかしながら電力変換装置300が2つのモータ400に接続される構成を採用することもできる。この場合、電力変換装置300はインバータ600を2つ備える。