JP2020107757A - 薬液、被処理物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1においては、ヒドロキシルアミンを含む洗浄液が開示されている。
また、通常、上記被処理物中には複数個所にわたってコバルト含有物が存在し、そのような被処理物に対して薬液を適用した際に、各箇所のコバルト含有物のエッチング量(溶解量)のバラツキが小さいことが望ましい。以後、上記「各箇所のコバルト含有物のエッチング量のバラツキ」のことを単に「コバルト含有物の溶解量のバラツキ」といい、各箇所のコバルト含有物のエッチング量(溶解量)のバラツキが小さいことを「コバルト含有物の溶解量のバラツキが小さい」ともいう。
本発明者らは、特許文献1に記載の薬液を用いて、上記特性の評価したところ、更なる改良が必要であることが知見された。
また、本発明は、被処理物の処理方法の提供も課題とする。
ヒドロキシルアミン、及び、ヒドロキシルアミン塩からなる群より選ばれるヒドロキシルアミン化合物と、
後述する式(1)で表される化合物、後述する式(2)で表される化合物、後述する及び、式(3)で表される化合物からなる群から選択される特定化合物と、を含有する薬液であって、
特定化合物の含有量が、薬液全質量に対して、0.10質量ppt〜10質量ppmである、薬液。
(2) 特定化合物の含有量に対する、ヒドロキシルアミン化合物の含有量の質量比が、102〜1012である、(1)に記載の薬液。
(3) 更に、キレート剤を含有する、(1)又は(2)に記載の薬液。
(4) 特定化合物の含有量に対する、キレート剤の含有量の質量比が、102〜1012である、(3)に記載の薬液。
(5) キレート剤が、カルボン酸基、ホスホン酸基、及び、スルホン酸基からなる群から選択される官能基を有する、(3)又は(4)に記載の薬液。
(6) キレート剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、メタンスルホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、及び、ニトリロトリスメチレンホスホン酸からなる群から選択される、(3)〜(5)のいずれかに記載の薬液。
(7) 更に、金属成分を含有する、(1)〜(6)のいずれかに記載の薬液。
(8) 特定化合物の含有量に対する、金属成分の含有量の質量比が、10−8〜107である、(7)に記載の薬液。
(9) pHが8.0以下である、(1)〜(8)のいずれかに記載の薬液。
(10) コバルト原子を含有するコバルト含有物、及び、コバルト原子以外の他の金属原子を含有する金属含有物を含有する被処理物に対して使用される、(1)〜(9)のいずれかに記載の薬液。
(11) コバルト含有物の薬液中における腐食電位と、金属含有物の薬液中における腐食電位との差の絶対値が0.2V以内である、(10)に記載の薬液。
(12) コバルト含有物が、コバルト単体、コバルト合金、コバルト酸化物、又は、コバルト窒化物である、(10)又は(11)に記載の薬液。
(13) 金属含有物が、チタン単体、チタン合金、チタン酸化物、チタン窒化物、タンタル単体、タンタル合金、タンタル酸化物、又は、タンタル窒化物である、(10)〜(12)のいずれかに記載の薬液。
(14) コバルト原子を含有するコバルト含有物、及び、コバルト原子以外の他の金属原子を含有する金属含有物を含有する被処理物と、(1)〜(13)のいずれかに記載の薬液とを接触させて、コバルト含有物を溶解させる、被処理物の処理方法。
(15) コバルト原子を含有するコバルト含有物、及び、コバルト原子以外の他の金属原子を含有する金属含有物を含有する被処理物と、(1)〜(13)のいずれかに記載の薬液とを接触させて、コバルト含有物を溶解させる工程Aと、
工程Aで得られた被処理物と、フッ酸及び過酸化水素水の混合水溶液、硫酸及び過酸化水素水の混合水溶液、並びに、塩酸及び過酸化水素水の混合水溶液からなる群から選択される溶液とを接触させて、金属含有物を溶解させる工程Bと、を有する被処理物の処理方法。
(16) 工程Aと工程Bとをこの順で繰り返し実施する、(15)に記載の被処理物の処理方法。
また、本発明によれば、被処理物の処理方法も提供できる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施形態に制限されない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明において、「ppm」は「parts−per−million(10−6)」を意味し、「ppb」は「parts−per−billion(10−9)」を意味し、「ppt」は「parts−per−trillion(10−12)」を意味する。
本発明者らは、コバルト原子を含有するコバルト含有物(以下、単に「コバルト含有物」ともいう。)、及び、コバルト原子以外の他の金属原子を含有する金属含有物(以下、単に「金属含有物」ともいう。)を含有する被処理物に対して従来の薬液を適用すると、所望の効果が得られないことを知見している。そこで、本発明者らは、薬液がヒドロキシルアミンを含有することにより、薬液中におけるコバルト含有物と金属含有物との間の腐食電位の差が軽減され、さらに、薬液が所定量の後述する特定化合物を含有することにより、コバルト含有物の表面との相互作用が生じ、結果として、所望の効果が得られることを知見している。
以下、本発明の薬液に含まれる成分について詳述する。
薬液は、水を含有する。
水は特に制限されず、例えば、蒸留水、イオン交換水、及び、純水が挙げられる。
薬液は、ヒドロキシルアミン、及び、ヒドロキシルアミン塩からなる群より選ばれるヒドロキシルアミン化合物を含有する。
ヒドロキシルアミン化合物は、被処理物中のコバルト含有物と金属含有物との間の電位差を調整する機能を有し、主に、コバルト含有物の溶解量のバラツキ低減に寄与する。
ヒドロキシルアミン化合物は特に制限はされないが、無置換ヒドロキシルアミン及びヒドロキシルアミン誘導体、並びに、その塩が好ましい。
また、上述した無置換ヒドロキシルアミン又はヒドロキシルアミン誘導体の有機酸塩としては、例えば、ヒドロキシルアンモニウムクエン酸塩、ヒドロキシルアンモニウムシュウ酸塩、及び、ヒドロキシルアンモニウムフルオライド等が挙げられる。
ヒドロキシルアミン化合物は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。ヒドロキシルアミン化合物を2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
薬液は、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、及び、式(3)で表される化合物からなる群から選択される特定化合物を含有する。
特定化合物はコバルト含有物の表面と相互作用を生じると推測され、薬液が特定化合物を含有することにより、所望の効果が得られる。
R1b及びR1cは、それぞれ独立に、水素原子、−AL−O−R1d、−CO−R1e、又は、−C(OH)−R1fを表す。
ALは、置換基を含有していてもよいアルキレン基(好ましくは炭素数1〜6)を表す。
R1d、R1e、及び、R1fは、それぞれ独立に、置換基(好ましくは、置換基を含有していてもよいアルキル基)を表す。
上記アルキル基の炭素数は1〜50が好ましく、1〜25がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
上記アルキル基が含有していてもよい置換基は、例えば、水酸基、アルキルエステル基、及び、アルキルビニル基(好ましくは、アルキル基部分の炭素数が3〜12)が挙げられる。
R1dが複数存在する場合、複数存在するR1dそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R1eが複数存在する場合、複数存在するR1eそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R1fが複数存在する場合、複数存在するR1fそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
R1aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R1d、R1e、及び、R1fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR1d同士、2つのR1e同士、又は、2つのR1f同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
R1aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R1d、R1e、及び、R1fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR1d同士、2つのR1e同士、又は、2つのR1f同士が、互いに結合して形成される基は、−O−、−NR1g−(R1gは置換基)、及び、−NHCO−からなる群から選択される1以上の連結基を含有しているのが好ましい。
R1a、R1b、及び、R1cのうち、少なくとも1つは水素原子以外である。
式(1)で表される化合物を以下に例示する。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。
上記置換基としては、例えば、芳香環基(更に置換基を含有していてもよい。好ましくはフェニル基)が好ましい。
式(2)で表される化合物を以下に例示する。
R3a〜R3cのうち1つ以上(好ましくは2つ以上)は、置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基であるのが好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状構造を含有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜5がより好ましい。なお、上記アルキル基の炭素数は、アルキル基が含有していてもよい置換基が含有する炭素原子の数を含まない。上記置換基としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数2〜6)又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子等)が好ましい。
上記ベンゼン環基が含有していてもよい置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数2〜10)が好ましい。
式(3)で表される化合物を以下に例示する。
特定化合物は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。特定化合物を2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲内である。
薬液は、キレート剤を含有していてもよい。薬液がキレート剤を含有する場合、薬液のコバルト含有物に対するエッチング性がより向上する。
上記酸基は特に制限されないが、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、ホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基が好ましい。
ポリアミノポリカルボン酸は、複数のアミノ基及び複数のカルボン酸基を有する化合物であり、例えば、モノ−又はポリアルキレンポリアミンポリカルボン酸、ポリアミノアルカンポリカルボン酸、ポリアミノアルカノールポリカルボン酸、及び、ヒドロキシアルキルエーテルポリアミンポリカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸類としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、及び、マレイン酸が挙げられ、シュウ酸、マロン酸、又は、コハク酸が好ましい。
ヒドロキシル基を含有する脂肪族ポリカルボン酸類としては、例えば、リンゴ酸、酒石酸、及び、クエン酸が挙げられ、クエン酸が好ましい。
アスコルビン酸類としては、例えば、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸2−グルコシド、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、及び、アスコルビン酸イソパルミネート、並びに、これらの塩等のアスコルビン酸類が挙げられ、アスコルビン酸が好ましい。
キレート剤は1種のみを用いても、2種以上を用いてもよい。キレート剤を2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
薬液は、金属成分を含有していてもよい。
金属成分としては、金属粒子及び金属イオンが挙げられ、例えば、金属成分の含有量という場合、金属粒子及び金属イオンの合計含有量を示す。
薬液は、金属粒子及び金属イオンのいずれか一方が含有してもよく、両方を含有してもよい。薬液は、金属粒子及び金属イオンの両方を含有するのが好ましい。
金属成分は、金属原子を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
金属粒子は、単体でも合金でもよく、金属が有機物と会合した形態で存在していてもよい。
金属成分は、薬液に含まれる各成分(原料)に不可避的に含まれている金属成分でもよいし、薬液の製造、貯蔵、及び/又は、移送時に不可避的に含まれる金属成分でもよいし、意図的に添加してもよい。
ここで、SP−ICP−MS法とは、通常のICP−MS法(誘導結合プラズマ質量分析法)と同様の装置を使用し、データ分析のみが異なる。SP−ICP−MS法のデータ分析は、市販のソフトウェアにより実施できる。
ICP−MS法では、測定対象とされた金属成分の含有量が、その存在形態に関わらず、測定される。従って、測定対象とされた金属粒子と金属イオンとの合計質量が、金属成分の含有量として定量される。
SP−ICP−MS法の装置としては、例えば、アジレントテクノロジー社製、Agilent 8800 トリプル四重極ICP−MS(inductively coupled plasma mass spectrometry、半導体分析用、オプション#200)が挙げられ、実施例に記載した方法により測定できる。上記以外の他の装置としては、PerkinElmer社製 NexION350Sのほか、アジレントテクノロジー社製、Agilent 8900も使用できる。
薬液は、ヒドロキシルアミン化合物とは異なる還元剤を含有していてもよい。ただし、キレート剤は、ヒドロキシルアミン化合物とは異なる還元剤には含有されない。
ヒドロキシルアミン化合物とは異なる還元剤は特に制限されないが、OH基若しくはCHO基を有する化合物、又は、硫黄原子を含有する化合物等の還元性物質が好ましい。上記還元剤は、酸化作用を有し、ヒドロキシルアミン化合物を分解する原因となるOH−イオン又は溶存酸素等を酸化する機能を有する。
OH基若しくはCHO基を有する化合物、又は、硫黄原子を含有する化合物等の還元性物質のなかでも、式(4)で表される化合物、及び、硫黄原子を含有する化合物からなる群より選ばれる1種が好ましい。
また、上記R4a〜R4eで表されるヘテロ原子を有する炭化水素基としては、上述した炭化水素基中の−CH2−が、例えば−O−、−S−、−CO−、−SO2−及び−NRa−からなる群より選択されるいずれか1種又はこれらの複数を組み合わせた2価の基で置換された基が挙げられる。上記Raは、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基(炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。)を表す。
ヒドロキシル基を2個以上有する式(4)で表される化合物としては、例えば、カテコール、レゾルシノール、tert−ブチルカテコール、及び、4,4’−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパンが挙げられる。また、ヒドロキシル基を3個以上有する式(4)で表される化合物としては、例えば、没食子酸が挙げられる。
薬液は、上述した成分以外のpH調整剤を含有していてもよい。pH調整剤としては、酸化合物及び塩基化合物が挙げられる。
酸化合物としては、例えば、硫酸、塩酸、酢酸、硝酸、フッ酸、過塩素酸、及び、次亜塩素酸が挙げられる。
塩基化合物としては、例えば、ヒドロキシルアミン化合物とは異なるアミン化合物、及び、四級水酸化アンモニウム塩が挙げられ、四級水酸化アンモニウム塩が好ましい。
なお、ヒドロキシルアミン化合物とは異なるアミン化合物としては、環状化合物(環状構造を有する化合物)が挙げられる。環状化合物としては、例えば、後述する環状構造を有するアミン化合物が挙げられる。
なお、ヒドロキシルアミン化合物とは異なるアミン化合物中に、四級水酸化アンモニウム塩は包含されない。
環状構造を有するアミン化合物において、アミノ基は、上記環状構造中及び上記環状構造外のいずれか一方のみに存在していても、両方に存在していてもよい。
環状構造を有するアミン化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリルアミン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヒドロキシエチルピペラジン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、トランス−2,5−ジメチルピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、2−ピペリジンメタノール、シクロヘキシルアミン、及び、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネンが挙げられる。
なかでも、上記アミン化合物として、テトラヒドロフルフリルアミン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、又は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが好ましい。
薬液がヒドロキシルアミン化合物とは異なるアミン化合物を含有する場合、ヒドロキシルアミン化合物とは異なるアミン化合物の含有量は、薬液全質量に対して、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。
薬液は、防食剤を含有していてもよい。防食剤は、被処理物のオーバーエッチングを解消する機能を有する。なお、ここでいう防食剤には、上述したヒドロキシルアミンとは異なる還元剤、及び、キレート剤は含有されない。
防食剤は特に制限されないが、例えば、1,2,4−トリアゾール(TAZ)、5−アミノテトラゾール(ATA)、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、3−アミノ−1H−1,2,4トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール−5−酢酸、2−メルカプトベンゾチアゾール(2−MBT)、1−フェニル−2−テトラゾリン−5−チオン、2−メルカプトベンゾイミダゾール(2−MBI)、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−メルカプトチアゾリン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、チアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、ビスムチオールI、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、ベンゾチアゾール、2,3,5−トリメチルピラジン、2−エチル−3,5−ジメチルピラジン、キノキサリン、アセチルピロール、ピリダジン、及び、ピラジンが挙げられる。
また、防食剤としては、上記で挙げたもの以外としてベンゾトリアゾール類も好ましい。ベンゾトリアゾール類としては、ベンゾトリアゾール(BTA)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾール、4−クロロベンゾトリアゾール、5−ブロモベンゾトリアゾール、4−ブロモベンゾトリアゾール、5−フルオロベンゾトリアゾール、4−フルオロベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、4−ニトロベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、4−メチルベンゾトリアゾール、4−エチルベンゾトリアゾール、5−エチルベンゾトリアゾール、4−プロピルベンゾトリアゾール、5−プロピルベンゾトリアゾール、4−イソプロピルベンゾトリアゾール、5−イソプロピルベンゾトリアゾール、4−n−ブチルベンゾトリアゾール、5−n−ブチルベンゾトリアゾール、4−イソブチルベンゾトリアゾール、5−イソブチルベンゾトリアゾール、4−ペンチルベンゾトリアゾール、5−ペンチルベンゾトリアゾール、4−ヘキシルベンゾトリアゾール、5‐ヘキシルベンゾトリアゾール、5−メトキシベンゾトリアゾール、5−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−ベンゾトリアゾール、5−t−ブチルベンゾトリアゾール、5−(1’,1’−ジメチルプロピル)−ベンゾトリアゾール、5−(1’,1’,3’−トリメチルブチル)ベンゾトリアゾール、5−n−オクチルベンゾトリアゾール、及び、5−(1’,1’,3’,3’−テトラメチルブチル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。
また、置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又は、置換若しくは無置換のアミノ基(置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい)が挙げられる。
式(6)で表される化合物としては、例えば、1H−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、及び、カルボキシベンゾトリアゾール5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。
薬液は、フッ化物を含有していてもよい。フッ化物は、残渣物の分解及び可溶化を促進する。
フッ化物は特に制限されないが、フッ化水素酸(HF)、フルオロケイ酸(H2SiF6)、フルオロホウ酸、フルオロケイ酸アンモニウム塩((NH4)2SiF6)、ヘキサフルオロリン酸テトラメチルアンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム塩、重フッ化アンモニウム塩、式NR4BF4及びPR4BF4でそれぞれ表されるテトラフルオロホウ酸第4級アンモニウム及びテトラフルオロホウ酸第4級ホスホニウム、並びに、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム(TBA−BF4)が挙げられる。
なお、上述の式NR4BF4及びPR4BF4でそれぞれ表されるテトラフルオロホウ酸第4級アンモニウム(例えば、テトラフルオロホウ酸テトラメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラプロピルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム)及びテトラフルオロホウ酸第4級ホスホニウムにおいて、Rは、互いに同種又は異種であってよく、水素、直鎖、分岐、又は環状のC1〜C6アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、並びに、直鎖又は分岐のC6〜C10アリール基(例えば、ベンジル基)である。フッ化物は単独でも2種類以上適宜組み合わせて用いてもよい。
薬液がフッ化物を含有する場合、フッ化物の含有量は、薬液全質量に対して、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましい。
上記薬液の製造方法は特に制限されず、公知の製造方法が使用できる。例えば、水、ヒドロキシルアミン化合物、及び、所定量の特定化合物を混合する方法が挙げられる。なお、上記成分を混合する際に、必要に応じて、他の任意成分を合わせて混合してもよい。
また、薬液を製造する際には、必要に応じて、フィルターを用いて薬液をろ過して精製してもよい。
なお、腐食電位の測定方法は、以下の通りである。
まず、測定対象となる、コバルト含有物が表面に配置されたシリコンウエハ、及び、金属含有物が表面に配置されたシリコンウエハを用意し、電極として使用する。次に、用意した電極を所定の薬液中に浸漬して、ポテンショスタットガルバノスタット(プリンストンアプライドリサーチ VersaSTAT 4)を用いて得られるターフェルプロットより腐食電位を測定し、2つの電極より得られる腐食電位の差の絶対値を求める。なお、腐食電位は、ターフェルプロットの曲線の変曲点の電位に該当する。
なお、測定条件は以下の通りである。
電流範囲:±0.2 V(vs オープンサーキットポテンシャル)
走査レート:1.0 mV/s(0.5mV毎)
対電極:Pt
参照電極:Ag/AgCl
測定温度:25℃
薬液は、容器に収容されて使用時まで保管してもよい。
このような容器と、容器に収容された薬液とをあわせて薬液収容体という。保管された薬液収容体からは、薬液が取り出され使用される。また、薬液は、薬液収容体として運搬してもよい。
容器の内壁は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン−ポリプロピレン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂、若しくは、これとは異なる樹脂から形成されることが好ましい。また、容器の内壁は、ステンレス、ハステロイ、インコネル及びモネル等、防錆及び金属溶出防止処理が施された金属から形成されることも好ましい。
内壁がフッ素系樹脂である容器としては、Entegris社製 FluoroPurePFA複合ドラム等が挙げられる。また、特表平3−502677号公報の第4頁等、国際公開第2004/016526号パンフレットの第3頁等、及び、国際公開第99/46309号パンフレットの第9頁及び16頁等に記載の容器も用いることができる。
上記電解研磨された金属材料の製造に用いられる金属材料は、クロム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種を含有し、クロム及びニッケルの含有量の合計が金属材料全質量に対して25質量%超である金属材料であることが好ましく、例えば、ステンレス鋼、及び、ニッケル−クロム合金が挙げられる。
金属材料におけるクロム及びニッケルの含有量の合計は、金属材料全質量に対して、30質量%以上が好ましい。
なお、金属材料におけるクロム及びニッケルの含有量の合計の上限値としては特に制限されないが、金属材料全質量に対して、90質量%以下が好ましい。
オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS(Steel Use Stainless)304(Ni含有量8質量%、Cr含有量18質量%)、SUS304L(Ni含有量9質量%、Cr含有量18質量%)、SUS316(Ni含有量10質量%、Cr含有量16質量%)、及び、SUS316L(Ni含有量12質量%、Cr含有量16質量%)が挙げられる。
ニッケル−クロム合金としては、例えば、ハステロイ(商品名、以下同じ。)、モネル(商品名、以下同じ)、及び、インコネル(商品名、以下同じ)が挙げられる。より具体的には、ハステロイC−276(Ni含有量63質量%、Cr含有量16質量%)、ハステロイ−C(Ni含有量60質量%、Cr含有量17質量%)、及び、ハステロイC−22(Ni含有量61質量%、Cr含有量22質量%)が挙げられる。
また、ニッケル−クロム合金は、必要に応じて、上記した合金の他に、更に、ホウ素、ケイ素、タングステン、モリブデン、銅、又は、コバルトを含有していてもよい。
なお、バフ研磨は、電解研磨の前に行われることが好ましい。
また、金属材料は、研磨砥粒のサイズ等の番手を変えて行われる複数段階のバフ研磨、酸洗浄、及び磁性流体研磨等を、1又は2以上組み合わせて処理されたものであってもよい。
薬液は、製造後にガロン瓶又はコート瓶等の容器にボトリングし、輸送又は保管されてもよい。
また、薬液は、濃縮液として準備してもよい。薬液を濃縮液とする場合には、その濃縮倍率は、構成される組成により適宜決められるが、5〜2000倍であることが好ましい。つまり、処理液は、5〜2000倍に希釈して用いられる。
上記薬液は、コバルト原子を含有するコバルト含有物、及び、コバルト原子以外の他の金属原子(以下、単に「他の金属原子」ともいう。)を含有する金属含有物を含有する被処理物(以下、単に「特定被処理物」ともいう。)に対して使用されることが好ましい。薬液は、いわゆるエッチング処理液として有効に機能する。
被処理物の形態は特に制限されないが、例えば、図1に示すように、基板12と、基板12上に配置された穴部を有する絶縁膜14と、絶縁膜14の穴部の内壁に沿って層状に配置された金属含有物部16と、穴部内に充填されたコバルト含有物部18とを有する被処理物10であってもよい。図1において、金属含有物部はバリアメタル層として機能し得る。
図1では被処理物が1つのコバルト含有物部を有する態様について記載したが、この態様には限定されず、例えば、図2に示すように、基板12と、基板12上に配置された複数の穴部を有する絶縁膜14と、絶縁膜14の各穴部の内壁に沿って層状に配置された金属含有物部16と、各穴部内に充填されたコバルト含有物部18とを有する被処理物20であってもよい。つまり、被処理物は、複数個所にわたってコバルト含有物を有し、かつ、複数個所にわたって金属含有物を有する態様であってもよい。
半導体基板を構成する材料としては、例えば、ケイ素、ケイ素ゲルマニウム、及び、GaAs等の第III−V族化合物、又は、それらの任意の組合せが挙げられる。
基板の大きさ、厚さ、形状、及び、層構造等は、特に制限はなく、所望に応じ適宜選択できる。
図1及び図2において絶縁膜は穴部を有するが、この態様に制限されず、溝部を有する絶縁膜であってもよい。
また、金属含有物中の他の金属原子の種類は特に制限されないが、例えば、チタン、及び、タンタルが挙げられる。中でも、他の金属原子としては、コバルトよりも貴な金属原子が好ましい。
金属含有物は、上記他の金属原子を含有していていればよく、例えば、金属単体、合金、酸化物、及び、窒化物が挙げられる。
金属含有物としては、本発明の効果がより優れる点で、チタン単体、チタン合金、チタン酸化物、チタン窒化物、タンタル単体、タンタル合金、タンタル酸化物、又は、タンタル窒化物が好ましい。
コバルト含有物及び金属含有物が膜状である場合、その厚みは特に制限されず、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、50nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましい。
コバルト含有物及び金属含有物は、基板の片側の主面上にのみに配置されていてもよいし、両側の主面上に配置されていてもよい。また、コバルト含有物及び金属含有物は、基板の主面全面に配置されていてもよいし、基板の主面の一部に配置されていてもよい。
基板は、曝露された集積回路構造、例えば金属配線及び誘電材料等の相互接続機構を含有していてもよい。相互接続機構に使用する金属及び合金としては、例えば、アルミニウム、銅アルミニウム合金、銅、チタン、タンタル、コバルト、ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、及び、タングステンが挙げられる。基板は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、及び/又は、炭素ドープ酸化ケイ素の層を含有していてもよい。
特定被処理物と薬液とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、タンクに入れた薬液中に被処理物を浸漬する方法、被処理物上に薬液を噴霧する方法、被処理物上に薬液を流す方法、及び、それらの任意の組み合わせが挙げられる。中でも、被処理物を薬液に浸漬する方法が好ましい。
機械式撹拌方法としては、例えば、被処理物上で薬液を循環させる方法、被処理物上で薬液を流過又は噴霧させる方法、及び、超音波又はメガソニックにて薬液を撹拌する方法が挙げられる。
処理時間(薬液と被処理物との接触時間)は特に制限されないが、0.25〜10分間が好ましく、0.5〜2分間がより好ましい。
処理の際の薬液の温度は特に制限されないが、20〜75℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。
工程Aの手順は上述した通りである。
このような点から、工程Bは、工程Aで得られた被処理物と特定溶液とを接触させて、金属含有物を溶解させる工程に該当する。
FPMの組成は、例えば、「フッ酸:過酸化水素水:水=1:1:1」〜「フッ酸:過酸化水素水:水=1:1:200」の範囲内(体積比)が好ましい。
SPMの組成は、例えば、「硫酸:過酸化水素水:水=3:1:0」〜「硫酸:過酸化水素水:水=1:1:10」の範囲内(体積比)が好ましい。
HPMの組成は、例えば、「塩酸:過酸化水素水:水=1:1:1」〜「塩酸:過酸化水素水:水=1:1:30」の範囲内(体積比)が好ましい。
工程Aで得られた被処理物と特定溶液との接触時間は、例えば、0.25〜10分間が好ましく、0.5〜5分間がより好ましい。
交互に行う場合は、工程A及び工程Bはそれぞれ1〜20回実施されることが好ましい。
その他の工程としては、例えば、金属配線、ゲート構造、ソース構造、ドレイン構造、絶縁層、強磁性層及び/又は非磁性層等の各構造の形成工程(層形成、エッチング、化学機械研磨、変成等)、レジストの形成工程、露光工程及び除去工程、熱処理工程、洗浄工程、並びに、検査工程等が挙げられる。
本処理方法において、バックエンドプロセス(BEOL:Back end of the line)中で行っても、フロントエンドプロセス(FEOL:Front end of the line)中で行ってもよい。
なお、薬液の適用対象は、例えば、NAND、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ReRAM(Resistive Random Access Memory)、FRAM(登録商標)(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、又は、PRAM(Phase change Random Access Memory)等であってもよいし、ロジック回路又はプロセッサ等であってもよい。
下記表1〜2に記載の化合物(ヒドロキシルアミン化合物、キレート剤、特定化合物、金属成分、水等)を所定の配合で混合して、各試験に適用する薬液をそれぞれ調製した。なお、水の「残部」とは、薬液中において、ヒドロキシルアミン化合物、キレート剤、特定化合物、及び、金属成分以外は水であることを意味する。
各原料はいずれも半導体グレードの高純度原料を使用し、必要に応じて、さらに精製処理を実施した。
また、金属成分量は、必要に応じて、水酸化カルシウムを添加して調整した。
薬液中の金属成分(金属イオン、金属粒子)の含有量は、ICP−MS及びSP−ICP−MSを用いる方法により測定した。
装置は以下の装置を使用した。
・メーカー:PerkinElmer
・型式:NexION350S
解析には以下の解析ソフトを使用した。
・“SP−ICP−MS”専用Syngistix ナノアプリケーションモジュール
・Syngistix for ICP−MS ソフトウェア
(溶解性評価)
図1に示す構造を有する被処理物Aを準備した。具体的には、本評価で使用される被処理物Aは、基板上に配置された絶縁膜中の穴部の側面に層状に配置されたチタン窒化物層(金属含有物に該当)と、穴部を充填する金属コバルト(コバルト含有物に該当)とを含む。
得られた被処理物AをSC−1(アンモニア28%:過酸化水素30%:水=1:2:30(質量比))に30℃で1分間浸漬した後、被処理物Aを表1〜2に記載の各薬液に室温にて30秒間浸漬する処理を1サイクルとして、金属コバルトが20nm溶解するまでにかかったサイクル数を求め、以下の基準に沿って評価した。サイクル数が少ないほど、薬液のコバルト含有物に対する溶解性が優れることを意味する。
「A」:サイクル数 1〜5回
「B」:サイクル数 6〜10回
「C」:サイクル数 11〜15回
「D」:サイクル数 16〜20回
「E」:サイクル数 21回以上
図2に示す構造を有する被処理物Bを準備した。具体的には、本評価で使用される被処理物Bは、基板上に配置された絶縁膜中の複数(100個以上)の穴部の側面に層状に配置されたチタン窒化物層(金属含有物に該当)と、穴部を充填する金属コバルト(コバルト含有物に該当)とを含む。
得られた被処理物BをSC−1(アンモニア28%:過酸化水素30%:水=1:2:30(質量比))に30℃で1分間浸漬した後、被処理物Bを表1〜2に記載の各薬液に室温にて30秒間浸漬する処理を1サイクルとして、各薬液について上記(溶解性評価)にて被処理物Aの処理で求められた金属コバルトが20nm溶解するまでにかかったサイクルの数だけ被処理物Bを浸漬した。
得られた被処理物B中の金属コバルトが充填された穴部の断面を走査型顕微鏡(日立ハイテクノロジーズS−4800)にて50個観測し、各領域における金属コバルト部分の残存膜厚のばらつき(標準偏差)を算出し、以下の基準に沿って評価した。
「A」:1nm以下
「B」:1nm超3nm以下
「C」:3nm超5nm以下
「D」:5nm超10nm以下
「E」:10nm超
金属コバルトが表面に配置されたシリコンウエハ又はチタン窒化物(TiN)が表面に配置されたシリコンウエハを測定用の電極として、各電極を表1〜2中の各薬液に浸漬して、ポテンショスタットガルバノスタット(プリンストンアプライドリサーチ VersaSTAT 4)を用いて得られるターフェルプロットより腐食電位を測定し、両者の差の絶対値を求めた。なお、腐食電位は、ターフェルプロットの曲線の変曲点の電位に該当する。
また、測定条件は以下の通りである。
電流範囲:±0.2 V(vs オープンサーキットポテンシャル)
走査レート:1.0 mV/s(0.5mV毎)
対電極:Pt
参照電極:Ag/AgCl
測定温度:25℃
また、表1〜2中、「特定化合物」欄の数値は、薬液全質量に対する、各特定化合物の含有量(質量ppb)を意味する。
また、表1〜2中、「金属成分」欄の数値は、薬液全質量に対する、金属成分の含有量(質量ppb)を意味する。
表1〜2中、「比1」は特定化合物の含有量に対するヒドロキシルアミン化合物の含有量の質量比を表し、「比2」は特定化合物の含有量に対するキレート剤の含有量の質量比を表し、「比3」は特定化合物の含有量に対する金属成分の含有量の質量比を表す。
表1〜2中、「E+数字」は、「10数字」を表す。
例えば、実施例1においては、表1に示すように、ヒドロキシルアミン化合物としてヒドロキシルアミンを使用し、表2に示すように、金属成分の含有量が3質量ppbである。その他実施例及び比較例についても同様である。
なかでも、実施例1、5及び8の比較より、ヒドロキシルアミン化合物の含有量が0.1〜1.5質量%(好ましくは、0.1〜0.8質量%)の場合、より優れた効果が得られることが確認された。
実施例11〜15の比較より、特定化合物の含有量が1質量ppt〜100質量ppb(好ましくは、5質量ppt〜5質量ppb)の場合、より優れた効果が得られることが確認された。
実施例16〜17及び他の実施例の比較より、比1が102〜1012の場合、より優れた効果が得られることが確認された。
実施例18〜19及び他の実施例の比較より、比2が102〜1012の場合、より優れた効果が得られることが確認された。
実施例20〜25の比較より、金属成分の含有量が0.1質量ppt〜1質量ppm(好ましくは、0.01質量ppb〜100質量ppb)の場合、より優れた効果が得られることが確認された。
実施例25〜26及び他の実施例の比較より、比3が10−8〜107の場合、より優れた効果が得られることが確認された。
実施例42〜43及び他の実施例の比較より、コバルト含有物の薬液中における腐食電位と、金属含有物の薬液中における腐食電位との差の絶対値が0.2V以内である場合、より優れた効果が得られることが確認された。
12 基板
14 絶縁膜
16 金属含有物部
18 コバルト含有物部
Claims (16)
- 水と、
ヒドロキシルアミン、及び、ヒドロキシルアミン塩からなる群より選ばれるヒドロキシルアミン化合物と、
式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、及び、式(3)で表される化合物からなる群から選択される特定化合物と、を含有する薬液であって、
前記特定化合物の含有量が、前記薬液全質量に対して、0.10質量ppt〜10質量ppmである、薬液。
式(1)中、R1aは、置換基を含有していてもよいアルキル基又は水素原子を表す。
R1b及びR1cは、それぞれ独立に、水素原子、−AL−O−R1d、−CO−R1e、又は、−C(OH)−R1fを表す。
ALは、置換基を含有していてもよいアルキレン基を表す。
R1d、R1e及びR1fは、それぞれ独立に、置換基を表す。
R1dが複数存在する場合、複数存在するR1dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R1eが複数存在する場合、複数存在するR1eは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R1fが複数存在する場合、複数存在するR1fは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
R1aで表されるアルキル基が含有していてもよい置換基、R1d、R1e、及び、R1fからなる群から選択される2つの組み合わせ、2つのR1d同士、2つのR1e同士、又は、2つのR1f同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
R1a、R1b、及び、R1cのうち、少なくとも1つは水素原子以外である。
式(2)中、R2a及びR2bは、それぞれ独立に、置換基を含有していてもよいアルキル基を表す。
式(3)中、R3a〜R3cは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を含有していてもよいアルキル基、又は、置換基を含有していてもよいベンゼン環基を表す。 - 前記特定化合物の含有量に対する、前記ヒドロキシルアミン化合物の含有量の質量比が、102〜1012である、請求項1に記載の薬液。
- 更に、キレート剤を含有する、請求項1又は2に記載の薬液。
- 前記特定化合物の含有量に対する、前記キレート剤の含有量の質量比が、102〜1012である、請求項3に記載の薬液。
- 前記キレート剤が、カルボン酸基、ホスホン酸基、及び、スルホン酸基からなる群から選択される官能基を有する、請求項3又は4に記載の薬液。
- 前記キレート剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、メタンスルホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、及び、ニトリロトリスメチレンホスホン酸からなる群から選択される、請求項3〜5のいずれか1項に記載の薬液。
- 更に、金属成分を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬液。
- 前記特定化合物の含有量に対する、前記金属成分の含有量の質量比が、10−8〜107である、請求項7に記載の薬液。
- pHが8.0以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬液。
- コバルト原子を含有するコバルト含有物、及び、コバルト原子以外の他の金属原子を含有する金属含有物を含有する被処理物に対して使用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬液。
- 前記コバルト含有物の前記薬液中における腐食電位と、前記金属含有物の前記薬液中における腐食電位との差の絶対値が0.2V以内である、請求項10に記載の薬液。
- 前記コバルト含有物が、コバルト単体、コバルト合金、コバルト酸化物、又は、コバルト窒化物である、請求項10又は11に記載の薬液。
- 前記金属含有物が、チタン単体、チタン合金、チタン酸化物、チタン窒化物、タンタル単体、タンタル合金、タンタル酸化物、又は、タンタル窒化物である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の薬液。
- コバルト原子を含有するコバルト含有物、及び、コバルト原子以外の他の金属原子を含有する金属含有物を含有する被処理物と、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬液とを接触させて、前記コバルト含有物を溶解させる、被処理物の処理方法。
- コバルト原子を含有するコバルト含有物、及び、コバルト原子以外の他の金属原子を含有する金属含有物を含有する被処理物と、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬液とを接触させて、前記コバルト含有物を溶解させる工程Aと、
前記工程Aで得られた被処理物と、フッ酸及び過酸化水素水の混合水溶液、硫酸及び過酸化水素水の混合水溶液、並びに、塩酸及び過酸化水素水の混合水溶液からなる群から選択される溶液とを接触させて、前記金属含有物を溶解させる工程Bと、を有する被処理物の処理方法。 - 前記工程Aと前記工程Bとをこの順で繰り返し実施する、請求項15に記載の被処理物の処理方法。
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