JP2020107753A - コイルおよびコイルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】実際にコイルを給電所および車両に設置したときの実用性が高いコイルおよびコイルの製造方法を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係るコイルは、互いに対向する第1の面および第2の面を有する磁性部材の周囲に、電線を線どうしが重ならないように螺旋状に巻回したコイルであって、前記磁性部材の前記第1の面および第2の面の少なくとも一つの面に、一定の間隔を隔てて直線状に配置された、巻き始めから第N巻き目および第(N+2)巻き目の巻線(N:1以上の整数)と、前記第(N)巻き目と前記第(N+2)巻き目の巻線との間で当接と離間を規則的に繰り返すように蛇行して配置された第(N+1)巻き目の巻線とを具備する。【選択図】図1
Description
本発明は、コイルおよびコイルの製造方法に関する。
近年、電気自動車の給電は、ケーブルを用いる接触式から無線電力伝送技術を利用した非接触式(非接触給電またはワイヤレス給電)へ変更することが進められている。
非接触給電の技術は、例えば給電所の路面に埋め込むようにして設けた送電用(1次側)のコイル(地上側コイル)と電気自動車の底部に設けた受電用(2次側)のコイル(車両側コイル)とを数十cm程度の間隔で対向させて電力を無線送電することで電気自動車に給電する技術である。
近年、駆動周波数、コイルのずれを含めた最少伝送効率、地上側コイルと車両側コイルとの位置ずれの許容範囲などが規格化されつつあり、この規格に向けて各社が競合して、より性能のよい製品を開発することになる。
実際にコイルを設置する場合は、さらにコイルの形状、外形、内径、巻き数なども指定されることがあり、その中でコイルの交流抵抗を小さくして損失を押さえつつ、コイル形状保持のための強度も保持したコイルを作成することが求められる。
非接触給電においては、その伝送効率が高いことが求められ、これに使用されるコイルについても損失が少ないことが必要とされる。よって、非接触給電に使用するコイルは銅損を小さくする、すなわち交流抵抗を小さくする必要がある。
コイルの交流抵抗に影響を与える要因としては、次の2つの要因が考えられる。第1の要因は、巻線用線材の導体断面積に依存する直流抵抗であり、第2の要因は、周波数や線材の撚り構成、コイル形態などにより変わる近接効果と表皮効果による損失である。
特に非接触給電においてはkHzオーダーの高周波帯で利用されるため、第2の要因の影響が大きくなる。この第2の要因の影響を軽減するには、線材にリッツ線を用い、コイルの形態としては、巻線間に隙間を設けて巻くコイルが適する。
ところで、給電所では、地上側コイルは、路面に埋設される関係で固定されており、給電の際に、人が車両を運転して車両側コイルを地上側コイルの位置に移動することになるが、必ずしも車両側コイルを地上側コイルの真上に移動できるとは限らず、多少のずれを考慮する必要がある。
一般的なコイルとしては、例えば電線を平坦な渦巻き状(スパイラル)に巻回した平面型のコイルや電線を螺旋状(筒状)に巻回したソレノイド型のコイルがある。例えばソレノイド型のコイルは、鉄心に多重巻きするトランスなどの小形部品に用いることが多い。トランスなどは、そもそもサイズが小さいため厚みに対する要求はさほど厳しくない。
一方、車両の非接触給電に用いるコイル(車両用)としては、巻き線間に間隔を設けて巻く平面型のコイルが主流である。平面型のコイルは、トランスなどに比べて大きいだけでなく、規格や客先要望によってコイル幅や厚みなどのサイズが細かく決められている。また、車両の底部に設けるコイルは、厚みが車両の地上高に影響を及ぼすため薄くする必要があるが、現在公開されているソレノイド型のコイルは、ボビンに電線を巻き付ける形態であり(特許文献1参照)、この場合、ボビンの分の厚みが増す結果となり、さらなる薄形化は望めない。つまり、車載用としては、小型(厚さ方向)・軽量化が必須である。
性能面では、現在主流の平面型のコイルを給電所の路面に設置および車両に搭載する場合、平面型のコイルは、磁界が垂直方向にできるため、上下のコイルの相対的な位置が合致すれば既定の性能が得られるものの、車両の停止位置のずれによって互いのコイルの位置関係がコイルの幅の半分以上ずれた場合、互いのコイルの磁界が打ち消し合うように作用し既定の性能が得られなくなるため、位置ずれに対する許容範囲が狭いと言える。
上記のように、車両用として主に開発が進められている平面型のコイルは、サイズが規格化されているため、ボビンなどを用いずに厚みをいかに薄くできるかが小型化・軽量化を実現するポイントとなる。また、実際に給電所と車両で非接触給電を実現する上では、上下のコイルの相対的な位置ずれに対しては許容範囲が狭く、実用上の改善が求められる。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ボビンなどを用いずに小型・軽薄化を実現できるとともに、上下に配置したコイルの相対的な位置ずれに対して許容範囲が広く、広い範囲で規定の性能が得られる実用性の高いコイルおよびコイルの製造方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るコイルは、互いに対向する第1の面および第2の面を有する磁性部材の周囲に、電線を線どうしが重ならないように螺旋状に巻回したコイルであって、前記磁性部材の前記第1の面および第2の面の少なくとも一つの面に、一定の間隔を隔てて直線状に配置された、巻き始めから第N巻き目および第(N+2)巻き目の巻線(N:1以上の整数)と、前記第(N)巻き目と前記第(N+2)巻き目の巻線との間で当接と離間を繰り返すように蛇行して配置された第(N+1)巻き目の巻線とを具備することを特徴とする。
本発明の一態様に係るコイルの製造方法は、互いに対向する第1の面および第2の面を有する磁性部材に、電線を線どうしが重ならないように螺旋状に巻回したコイルの製造方法であって、前記磁性部材の前記第1の面および第2の面の少なくとも一つの面に、一定の間隔を隔てて直線状に、巻き始めから第N巻き目の巻線と第(N+2)巻き目の巻線を配置(N:1以上の整数)する工程と、前記第(N)巻き目と第(N+2)巻き目の巻線との間で第(N+1)巻き目の巻線が当接と離間を繰り返すように第(N+1)巻き目の巻線n2を蛇行させて配置する工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、ボビンなどを用いずに小型・軽薄化を実現できるとともに、上下に配置したコイルの相対的な位置ずれに対して許容範囲が広く、広い範囲で規定の性能が得られる実用性の高いコイルおよびコイルの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
非接触給電装置は、1次側の非接触送電装置と2次側の非接触受電装置とを対向配置して構成される。電力を供給する側である1次側の非接触送電装置と電力を受ける側の2次側の非接触受電装置は、コイルの部分の要素はほぼ同じ要素で構成されており、ここでは、一方の側について説明するが、他方の側も同様であることは言うまでもない。
非接触給電装置は、1次側の非接触送電装置と2次側の非接触受電装置とを対向配置して構成される。電力を供給する側である1次側の非接触送電装置と電力を受ける側の2次側の非接触受電装置は、コイルの部分の要素はほぼ同じ要素で構成されており、ここでは、一方の側について説明するが、他方の側も同様であることは言うまでもない。
(第1実施形態)
以下、図1乃至図3を参照して本発明に係る第1実施形態のコイル20を説明する。図1(A)は本発明に係る第1実施形態のソレノイド型のコイル(ソレノイドハイブリッド巻コイル)の表面側を示す平面図、図1(B)は図1(A)のコイルを矢印Y1方向から見た側面図、図2(A)はコイルの裏面側を示す平面図、図2(B)は図2(A)のコイルを矢印Y2方向から見た側面図、図3はリッツ線を巻回治具で巻回する際の正面図、図4は図1のコイルの正面図である。
以下、図1乃至図3を参照して本発明に係る第1実施形態のコイル20を説明する。図1(A)は本発明に係る第1実施形態のソレノイド型のコイル(ソレノイドハイブリッド巻コイル)の表面側を示す平面図、図1(B)は図1(A)のコイルを矢印Y1方向から見た側面図、図2(A)はコイルの裏面側を示す平面図、図2(B)は図2(A)のコイルを矢印Y2方向から見た側面図、図3はリッツ線を巻回治具で巻回する際の正面図、図4は図1のコイルの正面図である。
図1乃至図4に示すように、本発明に係る第1実施形態のコイル20は、電線または絶縁導体としてのリッツ線22をフェライト板41(磁性部材)の周囲に巻回したソレノイド型のコイルである。
ソレノイド型のコイルは、磁界の方向が水平方向(コイルの巻回方向と直交する方向)にできるため、電線を平坦な渦巻き状(スパイラル)に巻回した平面型のコイルに比べてコイルを上下に配置した際のコイルの相対的な位置ずれに対して磁界の変化が少なく、性能面での許容範囲が広い。
このコイル20は、互いに対向する表面(第1の面)および裏面(第2の面)を有するフェライト板41の周囲に、リッツ線22を線どうしが重ならないように螺旋状に巻回したコイルである。
フェライト板41の表面(図1(A)参照)および裏面(図2(A)参照)の少なくとも一つの面(この例では表裏両面)には、一定の間隔を隔ててリッツ線22を巻き始めから第N巻き目の巻線n1および第(N+2)巻き目の巻線n3(N:1以上の整数)が直線状に配置されている。なおNは1以上の整数である。
また、第(N)巻き目と第(N+2)巻き目の巻線n1、n3との間には、第(N+1)巻き目の巻線n2が当接と離間を規則的に繰り返すように蛇行して配置されている。第(N+1)巻き目の巻線n2が斜行する回数(蛇行回数)は、表面(一方の面)が偶数回(この例では2回)であり、裏面(他方の面)は奇数回(3回)である。第(N+1)巻き目の巻線n2を、表面(一方の面)では、偶数回蛇行させ、裏面(他方の面)では、奇数回蛇行させている。
換言すると、このコイル20は、巻回により隣り合う巻線(巻線n1と巻線n2、巻線n2と巻線n3)を、互いが当接と離間を規則的に繰り返すように配置しながら巻回したものである。
リッツ線22を線どうしが重ならないように螺旋状に巻回するためには、巻き目切替部を設けて巻き目を切り替える必要があるが、この例では、巻き目切替部をフェライト板41の側面(表面と裏面を接続する面)に設けている。具体的には、図1(B)に示すフェライト板41の左側面の部位b1、a2間の巻線部分、部位b2、a3間の巻線部分、部位b3、a4間の巻線部分…などである。なお、図2(B)に示すフェライト板41の右側面では、各巻線が斜行することなく表面側から裏面側へ垂直方向に巻き進められる。
すなわち、巻き目切替部は、部位b1、a2間であれば、裏面の巻線n1と表面の巻線n2とを斜めに接続して巻き目を第1巻き目から第2巻き目へ切り替えるようにフェライト板41の側面に沿って配置される。この巻き目切替部は、フェライト板41の側面のうち一つの側面(この例では左側面)に設けられる。
詳細に説明すると、このコイル20は、図1(A)に示すように、リッツ線22をフェライト板41の表面側の端(この例では図1(A)のフェライト板41の左下の角)から矢印A方向に巻き始めて第1巻き目(巻線n1)、第2巻き目(巻線n2)…、第3巻き目(巻線n3)…、つまり第N巻き目(巻線n1)、第(N+1)巻き目(巻線n2)、第(N+2)巻き目(巻線n3)…というように巻回したものである。
フェライト板41の表面および裏面において、奇数巻き目の巻線n1、n3、n5、n7…n15は、互いが平行(隣接する線どうしが一定の間隔を隔てて直線状)に配置されている。
また、偶数巻き目の巻線n2、n4、n6…n14は、その一部領域P3、P4(区間)で規則的に折り曲げ・折り返して(蛇行させて)、奇数巻き目の巻線n1、n3、n5、n7…n15に当接/離間している。蛇行した偶数巻き目の巻線n2、n4、n6…n14により奇数巻き目の巻線n1、n3、n5、n7…n15の間は一定の間隔が維持される。
なお、この例では、偶数巻き目の巻線n2、n4、n6…n14を蛇行させたが、奇数巻き目の巻線n1、n3、n5、n7…n15を蛇行させて、偶数巻き目の巻線n2、n4、n6…n14を一定の間隔を維持してもよい。
この巻き方のコイル20を、電線を当接させて密着させながらに巻く「密巻」と電線を離間させて一定間隔の隙間を設けながら巻く「ギャップ巻」とが混在していることから「ハイブリッド巻」と称す。
図3に示すように、コイル20は、巻き目の間隔を決める突起溝31と蛇行・屈曲用のピン32が設けられた巻回治具30にリッツ線22を順に嵌め込みながら巻回してソレノイド型状のコイルとする。
フェライト板41にリッツ線22を巻回しただけのコイル20は、形状保持力が弱く、搬送時などに蛇行の規則性がなくなることがあるため、フェライト板41を挿入した巻線に対して接着剤を散布して、フェライト板41と巻線や巻線どうしの当接部を接着し、接着剤が固化するまでの一定時間放置した後、ハンドリングするものとする。
接着には、例えば熱融着繊維を巻き付けたリッツ線22を利用して加熱による接着を行ってもよく、最外層に自己融着層を設けた自己融着線を用いて熱溶着あるいは溶剤接着してもよく、また、リッツ線22にアセテート糸を巻き付けて、アセテート糸にアセトンなどの溶剤を散布して溶融させて接着してもよい。
リッツ線22は、複数のエナメル線を撚り合わせて束にして形成した線材群である。なお、この例では、リッツ線22を用いたが、リッツ線22以外の通電線としては、例えば絶縁被覆していない導体(銅やアルミニウムを材料とする線)や、最外層に自己融着層を設けた自己融着線などを用いてもよい。
リッツ線22の両端には、圧着端子(図示せず)が接続されている。圧着端子は概略的に圧着部と、固定用の孔が設けられた固定部とから構成されている。圧着部は、筒形状の金属部材によって構成されており、リッツ線22の導体部を挿入し加締め加工することで線材と金属部とを圧着一体化し、圧着端子をリッツ線22に固定する。
ここで、このコイル20の表面、裏面の各領域について説明する。
図1、2に示すように、このコイル20は、表裏の各面に4つの領域P1〜P4(区間)を設けるように巻回される。図1(A)の表面には、Y1方向から領域P1、領域P3、領域P2、領域P4の順に繰り返すように各領域P1〜P4が配置されている。図2(A)の裏面についてもY2方向から領域P1、領域P3、領域P2、領域P4の順に繰り返すように各領域P1〜P4が配置されている。
図1、2に示すように、このコイル20は、表裏の各面に4つの領域P1〜P4(区間)を設けるように巻回される。図1(A)の表面には、Y1方向から領域P1、領域P3、領域P2、領域P4の順に繰り返すように各領域P1〜P4が配置されている。図2(A)の裏面についてもY2方向から領域P1、領域P3、領域P2、領域P4の順に繰り返すように各領域P1〜P4が配置されている。
領域P1は、リッツ線22を巻き始めてから第N巻き目の巻線(この例では奇数巻き目の第一巻き目が巻線n1)と第(N+1)巻き目の巻線(偶数巻き目の巻線n2)が当接する当接部位と、第(N+1)巻き目の巻線(巻線n2)と第(N+2)巻き目の巻線(奇数巻き目の第三巻き目の巻線n3)が離間する離間部位とを有する領域である。なおNは1以上の整数とする。
領域P2は、第N巻き目の巻線である巻線n1と第(N+1)巻き目の巻線である巻線n2が離間する離間部位と、第(N+1)巻き目の巻線である巻線n2と第(N+2)巻き目の巻線である巻線n3が当接する当接部位とを有する領域である。
領域P3は、第(N+1)巻き目の巻線である巻線n2が、第N巻き目の巻線である巻線n1の当接部位から第(N+2)巻き目の巻線である巻線n3の当接部位へ巻き進む向きに斜めに横切る(渡る)領域である。
領域P4は、第(N+1)巻き目の巻線である巻線n2が、第(N+2)巻き目の巻線である巻線n3の当接部位から第N巻き目の巻線である巻線n1の当接部位へ巻き進む向きに斜めに横切る(渡る)領域である。
この例のコイル20は、コイルの巻き面両端部(フェライト板41の表面および裏面の図1に向かって右端と左端)に領域P1,P2(巻線どうしが当接する部位)を配置することで、コイル形状保持のための強度をアップさせている。また、領域P3、P4においては、偶数巻き目の巻線n2、n4、n6…n14を規則的に折り曲げ・折り返している。また、領域P1〜P4は、領域P1、領域P3、領域P2、領域P4という順に繰り返すように配置されている。
なお、この例では、コイル全体の巻き数を15巻きとしたが、これ以外の巻き数や巻き方にも本願発明は適用可能である。この例では、巻き数の総数を奇数としたが、偶数としてもよく、巻き数自体も増減してもよい。
この例では、外形が矩形の板状のフェライト板41にリッツ線22を螺旋状に巻回したが、この他、外形が円柱状や角柱状の形状の磁性部材にリッツ線22を螺旋状に巻回してもよい。
以下、図1乃至図3を参照してコイル20の製造方法を説明する。ここでは、主にリッツ線22の巻き方について説明する。
この場合、図1(A)はフェライト板41がコアとして挿着されているが、製造工程では、フェライト板41ではなく図3の巻回治具30を使用して巻回するものとし、巻回方向について図1、図2を参照する。
概略的には、図1(A)の表面の矢印Aから巻き進み、左端で折り返して図2(A)の裏面の矢印Bの方向に巻き進み、図1(A)の表面の矢印C、図2(A)の裏面の矢印D、図1(A)の表面の矢印E、図2(A)の裏面の矢印F、図1(A)の表面の矢印Fという順にリッツ線22を券回治具30の溝31とピン32に嵌め込んで巻回してソレノイド型状のコイルとする。
詳細に説明すると、第1巻き目の巻線n1は、図1(A)の矢印A方向から巻き始めて、右端で裏面側に巻き進め、裏面では、巻線を、図2(A)の矢印Bの方向へ巻き進めて、図2(A)の裏面の部位b1まで戻す。
そして、裏面の部位b1の巻線を券回治具30の側面に沿って斜め上方向に巻き進めて、図1(B)の表面の部位a2の位置に出す。これにより、巻き目が次の巻き目に切り替わり、第2巻き目の巻線n2となる。
第2巻き目の巻線n2は、図1(A)のフェライト板41の表面を矢印C方向へ巻き進め、それぞれのピン32(図3参照)の位置で折り曲げ、折り返して蛇行させてフェライト板41の右端で裏面側に巻き進め、裏面では、図2(B)の矢印Dの方向へ巻き進め、それぞれのピン32(図3参照)の位置で折り曲げ、折り返して蛇行させて図2(A)の裏面の部位b2まで巻き進める。
そして、裏面の部位b2から斜め上方向に巻き進み、図1(B)の表面の部位a3の位置にでると、巻き目が次の巻き目に切り替わり、第3巻き目の巻線n3となる。
第3巻き目の巻線n3は、図1(A)のフェライト板41の表面を矢印E方向へ直線状に巻き進めてフェライト板41の右端で裏面側へ折り返す。裏面では、図2(A)の矢印Fの方向へ直線状に巻き進めてフェライト板41の左端の図2(A)の裏面の部位b3まで巻き進める。
そして、裏面の部位b3から斜め上方向に巻き進み、図1(B)の表面の部位a4の位置にでると、巻き目が次の巻き目に切り替わり、第4巻き目の巻線n4となる。
上記券回動作を繰り返して、第15巻き目の巻線n15でフェライト板41の裏面側からリッツ線22を引き出す(図1(B)の部位b15)。
巻回治具30にリッツ線22を巻回した際に、図3に示すように、コイル状のリッツ線22と巻回治具30の面との間に数mm程度の隙間ができるため、巻回治具30からピン32を取り外した後、巻回治具30の面に対して垂直な方向(上下方向)に圧力をかけてコイルをつぶしながら左右の突起溝31よりもコイルの幅を広げて巻回治具30を抜き取り、抜き取った隙間にフェライト板41を挿入して、図4に示すように、フェライト板41をコアとするコイル20とする。
なお、この例では、ピン32を挿抜する形態の巻回治具30を用いたが、これ以外に、例えばフェライト板41とほぼ同じ厚みのスペーサと、このスペーサの上下の面に着脱自在に配置した溝付きのボビンとからなる巻回治具を用いてもよい。この巻回治具の場合、スペーサの上下の面にボビンを取り付けた状態で、リッツ線22を溝に嵌め込みながら巻回し、その後、まずスペーサを抜き取ってから、その空いたスペースを利用してボビンを抜き取り、その空いた空間にフェライト板41を挿入することで、図4に示したようなフェライト板41をコアとするコイル20にすることができる。
このように第1実施形態のコイル20によれば、巻き始めから奇数巻き目の巻線n1、n3、n5、n7…n15をフェライト板41の表面および裏面において平行に巻回し、偶数巻き目の巻線n2、n4、n6…n14を表面および裏面の領域P3、P4で折り曲げ・折り返して奇数巻き目の巻線n1、n3、n5、n7…n15に当接・離間させて巻回することで、ソレノイド型状のコイルで奇数巻き目の巻線n1、n3、n5、n7…n15間に一定間隔の隙間(ギャップ)ができるようになり、ボビンなどを用いずに小型・軽薄化を実現できるとともに、実際にコイル20を給電所および車両に設置したときに、上下に配置したコイルの相対的な位置ずれに対して許容範囲が広く、広い範囲で規定の性能が得られる実用性の高いコイルおよびコイルの製造方法を提供することができる。
この第1実施形態では、リッツ線22を巻回するうちの奇数巻き目の巻線n1、n3を直線状に配置し、かつ偶数巻き目の巻線n2を折り曲げ(傾斜させ)、一方の奇数巻き目の巻線n1に当接、折り返し(逆傾斜させて)、他方の奇数巻き目の巻線n3に当接…という巻き方(ハイブリッド巻)にしたが、奇数巻き目の巻線と偶数巻き目の巻線の巻き方を逆にしてもよい。
また、上記実施形態では、磁性部材(フェライト板41)の表面(第1の面)および裏面(第2の面)にそれぞれ巻き始めから第N巻き目および第(N+2)巻き目の巻線n1、n3…を一定の間隔を隔てて直線状に配置し、その間の第(N+1)巻き目の巻線n2…を蛇行配置したが、いずれか一方の面の巻線を直線状に配置し他方の面の巻線を蛇行配置してもよい。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記の新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記した実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
20…コイル、22…リッツ線、41…磁心コア板、n1、n3、n5、n7、n9、n11、n13、n15…奇数巻き目の巻線、n2、n4、n6、n8、n10、n12、n14…偶数巻き目の巻線、a1〜a5…表面側の左端部における各巻き目の巻線の部位、b1〜b5…裏面側の左端部における各巻き目の巻線の部位。
Claims (8)
- 互いに対向する第1の面および第2の面を有する磁性部材の周囲に、電線を線どうしが重ならないように螺旋状に巻回したコイルであって、
前記磁性部材の前記第1の面および第2の面の少なくとも一つの面に、一定の間隔を隔てて直線状に配置された、巻き始めから第N巻き目および第(N+2)巻き目の巻線(N:1以上の整数)と、
前記第(N)巻き目と前記第(N+2)巻き目の巻線との間で当接と離間を繰り返すように蛇行して配置された第(N+1)巻き目の巻線と
を具備することを特徴とするコイル。 - 前記磁性部材の前記第1の面と前記第2の面を接続する面に沿って、前記第1の面の巻線と前記第2の面の巻線とを斜めに接続して巻き目を切り替える巻き目切替部を設けたことを特徴とする請求項1記載のコイル。
- 前記巻き目切替部を、前記磁性部材の側面のうち一つの側面に設けたことを特徴とする請求項1記載のコイル。
- 前記第(N+1)巻き目の巻線を、一方の面では偶数回蛇行させ、他方の面では奇数回蛇行させることを特徴とする請求項1記載のコイル。
- 電線を磁性部材の周囲に線どうしが重ならないように螺旋状に巻回したコイルであって、
前記電線を巻き始めから第N巻き目の巻線と第(N+1)巻き目の巻線が当接し、前記第(N+1)巻き目の巻線と第(N+2)巻き目の巻線が離間する第1の領域(N:1以上の整数)と、
前記第N巻き目の巻線と前記第(N+1)巻き目の巻線が離間し、前記第(N+1)巻き目の巻線と前記第(N+2)巻き目の巻線が当接する第2の領域と
前記第(N+1)巻き目の巻線が、前記第N巻き目の巻線の当接部位から前記第(N+2)巻き目の巻線の当接部位へ巻き進む向きに横切る第3の領域と、
前記第(N+1)巻き目の巻線が、前記第(N+2)巻き目の巻線の当接部位から前記第N巻き目の巻線の当接部位へ巻き進む向きに横切る第4の領域と
を具備する請求項1に記載のコイル。 - 前記巻線どうしの当接部位を前記コイルの巻き面両端部に配置したことを特徴とする請求項1記載のコイル。
- 前記当接する部位を接着したことを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載のコイル。
- 互いに対向する第1の面および第2の面を有する磁性部材に、電線を線どうしが重ならないように螺旋状に巻回したコイルの製造方法であって、
前記磁性部材(フェライト板)の前記第1の面および第2の面の少なくとも一つの面に、一定の間隔を隔てて直線状に、巻き始めから第N巻き目の巻線と第(N+2)巻き目の巻線を配置(N:1以上の整数)する工程と、
前記第(N)巻き目と第(N+2)巻き目の巻線との間で第(N+1)巻き目の巻線が当接と離間を繰り返すように第(N+1)巻き目の巻線n2を蛇行させて配置する工程と
を有することを特徴とするコイルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018245802A JP2020107753A (ja) | 2018-12-27 | 2018-12-27 | コイルおよびコイルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018245802A JP2020107753A (ja) | 2018-12-27 | 2018-12-27 | コイルおよびコイルの製造方法 |
Publications (1)
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JP2020107753A true JP2020107753A (ja) | 2020-07-09 |
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ID=71449401
Family Applications (1)
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JP2018245802A Pending JP2020107753A (ja) | 2018-12-27 | 2018-12-27 | コイルおよびコイルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020107753A (ja) |
-
2018
- 2018-12-27 JP JP2018245802A patent/JP2020107753A/ja active Pending
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