JP2020106752A - 眼鏡レンズ - Google Patents

眼鏡レンズ Download PDF

Info

Publication number
JP2020106752A
JP2020106752A JP2018247620A JP2018247620A JP2020106752A JP 2020106752 A JP2020106752 A JP 2020106752A JP 2018247620 A JP2018247620 A JP 2018247620A JP 2018247620 A JP2018247620 A JP 2018247620A JP 2020106752 A JP2020106752 A JP 2020106752A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
region
hydrophilic
repellent
lens
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018247620A
Other languages
English (en)
Inventor
康子 福永
Yasuko Fukunaga
康子 福永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Lens Thailand Ltd
Original Assignee
Hoya Lens Thailand Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Lens Thailand Ltd filed Critical Hoya Lens Thailand Ltd
Priority to JP2018247620A priority Critical patent/JP2020106752A/ja
Publication of JP2020106752A publication Critical patent/JP2020106752A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】良好な防汚性と防曇性の両機能を併せ持つ眼鏡レンズを提供する。【解決手段】眼鏡レンズ1は、レンズ基材11上の最表面に、パターン状の親水性層16Aからなる親水性領域とパターン状の撥水性層14Aからなる撥水性領域とを有し、上記親水性領域と撥水性領域の面積比は、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲である。【選択図】図1

Description

本発明は、防汚性と防曇性を有する眼鏡レンズに関するものである。
眼鏡レンズは、レンズ基材の表面を覆う様々な層を備えている。例えば、レンズ基材に対して傷が入ることを防止するためのハードコート層、レンズ表面での光反射を防止するための反射防止層等である。さらには、眼鏡レンズの表面は、指紋、手垢、汗等が付着することで汚れが目立ちやすく、その汚れが取れ難いという問題があるため、汚れ難く、あるいはその汚れを拭き取りやすくするために、レンズの表面に防汚層(撥水層)を設けた防汚レンズが知られている(例えば特許文献1等)。また、レンズの表面で、使用中の呼気や発汗による水分、あるいは空気中の水分が凝結し、水滴になることによって曇りが発生するという問題があるため、レンズの曇りを防止するための防曇層を設けた防曇レンズが知られている(例えば特許文献2等)。
しかし、上記の防汚レンズは、レンズ表面の撥水性を利用して、汚れを付き難く、汚れをふき取りやすくしているため、防汚性は有していても防曇性は有していない。他方、上記の防曇レンズは、レンズ表面の親水性を利用して、表面についた水分による曇りの発生を防止しているため、防曇性は有していても防汚性は有していない。
また、特許文献3には、物品に設けられた反射防止膜の最上層が細孔・微細な凹凸を持ち、その細孔・微細な凹凸に親水性物質が存在し、最表面が撥水性を有する無機物質と親水性物質で構成される防曇性物品が開示されている。また、特許文献4には、反射防止層の表面に撥水部を設け、この撥水部の表面にレーザー等で穴部を形成し、その穴部に親水部を形成することにより、汚れの付着と曇りの発生を防止するカメラや眼鏡などのレンズが開示されている。
特開2005−148219号公報 特開平9−155282号公報 特開平9−127303号公報 特開2012−185349号公報
人が眼鏡レンズを使用する環境は様々であり、その使用環境を考えると眼鏡レンズは防汚性と防曇性の両方の機能を有することが望ましい。しかし、上記特許文献3に開示されている構造では、防汚性と防曇性のいずれもが良好に発揮されるようにするのは難しい。また、上記特許文献4に開示されている構造においても、レンズ表面の親水性を持たせた穴部の面積が小さすぎて防汚性と防曇性のいずれもが良好に発揮されるようにするのは難しい。
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、良好な防汚性と防曇性の両機能を併せ持つ眼鏡レンズを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
レンズ基材上の最表面に、親水性領域と撥水性領域とを有し、前記親水性領域と前記撥水性領域の面積比は、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲であることを特徴とする眼鏡レンズ。
(構成2)
前記親水性領域と前記撥水性領域の少なくともいずれかの領域は、パターン状に形成されていることを特徴とする構成1に記載の眼鏡レンズ。
(構成3)
前記パターン状は、ドット状又は網目状であることを特徴とする構成2に記載の眼鏡レンズ。
(構成4)
前記親水性領域は、水に対する接触角が30°以下の領域であり、前記撥水性領域は、水に対する接触角が80°以上の領域であることを特徴とする構成1乃至3のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
(構成5)
前記眼鏡レンズは、最表面の前記親水性領域および前記撥水性領域の下層に反射防止膜及び/又はハードコート膜を有することを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
本発明の眼鏡レンズによれば、レンズ基材上の最表面に親水性領域と撥水性領域とを有し、親水性領域と撥水性領域の面積比は、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲とすることにより、良好な防汚性と防曇性の両機能を併せ持つ眼鏡レンズを得ることができる。
本発明の一実施の形態に係る眼鏡レンズの断面図である。 親水性領域又は撥水性領域のパターン形状の一例としてドット形状のパターン例を示す図である。 図2の一部拡大図である。 親水性領域又は撥水性領域のパターン形状の一例として格子状の網目パターン例を示す図である。 図4の一部拡大図である。 図1の眼鏡レンズの製造工程の一例を工程順に示す図である。 図1と同様の一実施の形態に係る眼鏡レンズの断面図である。 図1の実施の形態の変形例に係る眼鏡レンズの断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る眼鏡レンズの断面図である。
<眼鏡レンズの構成>
本実施の形態の眼鏡レンズ1は、眼鏡用レンズ基材上に、レンズ表面を傷等から保護するためのハードコート膜およびレンズ表面での光反射を防止するための反射防止膜等を形成したものである。
図1を参照して具体的に説明すると、本実施の形態の眼鏡レンズ1は、レンズ基材11の一方の表面11a(例えば物体側表面)上に、ハードコート膜12を有し、その上に反射防止膜13を有している。この反射防止膜13は、低屈折率層13Lと高屈折率層13Hの交互積層膜である。また、本実施の形態では、この反射防止膜13上、つまりレンズ基材11上の最表面に親水性領域と撥水性領域とを有している。このレンズ基材11上の最表面に有する親水性領域と撥水性領域の構成の詳細については後述する。
以下、上記レンズ基材11、ハードコート12および反射防止膜13についてそれぞれ順に説明する。
<レンズ基材>
本実施の形態におけるレンズ基材11は、第一主面(物体側表面)、第二主面(眼球側表面)、及びコバ面(縁部)を有する。
レンズ基材11の材質としては、プラスチックであっても、無機ガラスであってもよいが、通常プラスチックレンズとして使用される種々の基材を用いることができる。レンズ基材は、レンズ形成鋳型内にレンズモノマーを注入して、硬化処理を施すことによって製造することができる。
レンズモノマーとしては、特に限定されず、プラスチックレンズの製造に通常使用される各種のモノマーを用いることができる。例えば、分子中にベンゼン環、ナフタレン環、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合を有するものなどが使用できる。また、硫黄、ハロゲン元素を含む化合物も使用でき、特に核ハロゲン置換芳香環を有する化合物も使用できる。上記官能基を有する単量体を1種または2種以上用いることによりレンズモノマーを製造できる。例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリル(イソ)フタレート、ジベンジルイタコネート、ジベンジルフマレート、クロロスチレン、核ハロゲン置換スチレン、核ハロゲン置換フェニル(メタ)アクリレート、核ハロゲン置換ベンジル(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールA誘導体の(ジ)(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールA誘導体のジアリルカーボネート、ジオルトクロロベンジルイタコネート、ジオルトクロロベンジルフマレート、ジエチレングリコールビス(オルトクロロベンジル)フマレート、(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの多官能イソシアネートの反応物、核ハロゲン置換フェノール誘導体のモノヒドロキシアクリレートと多官能イソシアネートの反応物、核ハロゲン置換ビフェニル誘導体のモノヒドロキシアクリレートと多官能イソシアネートの反応物、キシレンジイソシアネートと多官能メルカプタンの反応物、グリシジルメタクリレートと多官能メタクリレートの反応物等、およびこれらの混合物が挙げられる。レンズ基材の材質は、例えば、ポリチオウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等のポリウレタン系材料、ポリスルフィド樹脂等のエピチオ系材料、ポリカーボネート系材料、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート系材料等が好ましく挙げられる。
レンズ基材11としては、通常無色のものが使用されるが、透明性を損なわない範囲で着色したものを使用することができる。
レンズ基材11の屈折率は、例えば、1.50以上1.74以下である。
レンズ基材11として、フィニッシュレンズ、セミフィニッシュレンズのいずれであってもよい。
レンズ基材11の表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等のいずれであってもよい。
本実施の形態の眼鏡レンズ1は、単焦点レンズ、多焦点レンズ、累進屈折力レンズ等のいずれであってもよい。累進屈折力レンズについては、通常、近用部領域(近用部)及び累進部領域(中間領域)が下方領域に含まれ、遠用部領域(遠用部)が上方領域に含まれる。
<ハードコート膜>
上記ハードコート膜12は、プラスチックレンズに耐擦傷性を付与することができる。
ハードコート膜12の形成方法としては、硬化性組成物を、スピンコート法等により、レンズ基材11の表面に塗布し、塗膜を硬化せる方法が一般的である。硬化処理は、硬化性組成物の種類に応じて、加熱、光照射等により行われる。
このような硬化性組成物としては、例えば、紫外線の照射によりシラノール基を生成するシリコーン化合物とシラノール基と縮合反応するハロゲン原子やアミノ基等の反応基を有するオルガノポリシロキサンとを主成分とする光硬化性シリコーン組成物、アクリル系紫外線硬化型モノマー組成物、SiO、TiOなどの無機微粒子を、ビニル基、アリル基、アクリル基またはメタクリル基などの重合性基とメトキシ基などの加水分解性基とを有するシラン化合物やシランカップリング剤中に分散させた無機微粒子含有熱硬化性組成物などが好ましく挙げられる。ハードコート膜12は、レンズ基材11の材質に応じて組成が選択される。なお、ハードコート膜12の屈折率は、例えば、1.45以上1.74以下である。
<反射防止膜>
上記反射防止膜13は、通常、屈折率の異なる層を積層させた多層構造を有し、干渉作用によって光の反射を防止する膜である。反射防止膜13の材質としては、例えば、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Nb、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどの無機物が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いることができる。
このような反射防止膜13は、一例として低屈折率層13Lと高屈折率層13Hとを多層積層してなる多層構造が挙げられる。低屈折率層13Lの屈折率は、波長500〜550nmで例えば、1.35〜1.80である。高屈折率層13Hの屈折率は、波長500〜550nmで例えば、1.90〜2.60である。
低屈折率層13Lは、例えば、屈折率1.43〜1.47程度の二酸化珪素(SiO)からなる。また、高屈折率層13Hは、低屈折率層13Lよりも高い屈折率を有する材料からなり、例えば、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)等の金属酸化物を、適宜の割合で用いて構成される。
反射防止膜13の材質が上記のような金属酸化物等の無機物である場合、その成膜方法としては、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法などを採用することができる。
次に、本発明における特徴的な構成であるレンズ基材11上の最表面に有する親水性領域と撥水性領域の構成について詳述する。
図1に示されるように、本実施の形態では、上記反射防止膜13上、すなわちレンズ基材11上の最表面に、パターン状の親水性層16Aからなる親水性領域とパターン状の撥水性層14Aからなる撥水性領域とを有している。要するに、レンズ基材11上の最表面に、パターン状の親水性層16Aによって親水性領域を形成し、パターン状の撥水性層14Aによって撥水性領域を形成している。
なお、本発明においては、上記親水性領域とは、水に対する接触角が30°以下の領域であり、上記撥水性領域とは、水に対する接触角が80°以上の領域である。
このように、本実施の形態では、親水性層16Aによって形成されている親水性領域と撥水性層14Aによって形成されている撥水性領域とがいずれもパターン状に形成されている。また、本実施の形態では、親水性層16Aによって形成されている親水性領域のパターンと撥水性層14Aによって形成されている撥水性領域のパターンとがほぼ同じ膜厚(高さ)で形成されている。
なお、本実施の形態において、上記親水性層16Aまたは上記撥水性層14Aの膜厚は、それぞれ親水性領域または撥水性領域が形成されればよいので、特に制約はされないが、上記親水性層16Aの膜厚は、使用する親水性物質の種類にもよるが、例えば5nm〜30nm程度の範囲が好適であり、上記撥水性層14Aの膜厚は、例えば10nm〜15nm程度の範囲が好適である。膜厚が薄すぎると、親水性領域または撥水性領域が形成されずに、本発明の効果を奏しないおそれがある。一方、膜厚が厚すぎると、下層の例えば反射防止層の反射防止性能等の光学性能に悪影響を及ぼす恐れがある。
図2は、親水性領域又は撥水性領域のパターン形状の一例としてドット形状のパターン例を示す図であり、図3は、図2の一部拡大図である。また、図4は、親水性領域又は撥水性領域のパターン形状の一例として格子状の網目パターン例を示す図であり、図5は、図4の一部拡大図である。
これら親水性領域および撥水性領域のパターンとしては、図2、図3に示すようなドット形状や、図4、図5に示すような格子状の網目パターン等が例示されるが、勿論本発明ではこれらのパターン形状に限定するものではない。図3に示す例では、撥水性領域を形成している撥水性層14Aはドット形状に形成され、親水性領域を形成している親水性層16Aは、撥水性層14Aのドット形状を除く領域のパターン形状に形成されているが、これとは反対に、親水性領域を形成している親水性層16Aがドット形状に形成され、撥水性領域を形成している撥水性層14Aが、このドット形状を除く領域のパターン形状に形成されていてもよい。また、図5に示す例では、撥水性領域を形成している撥水性層14Aと親水性領域を形成している親水性層16Aとが格子状のパターン(例えば格子模様)形状を形成している。なお、図5では、便宜上、撥水性領域を形成している撥水性層14Aのパターンにハッチングを施している。
本発明では、親水性領域と撥水性領域の少なくともいずれかの領域は、パターン状に形成されていることが好ましい実施態様である。これにより、本発明による効果がよりいっそう効果的に発揮される。
また、本発明では、上記の親水性領域と撥水性領域の面積比は、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲であることが重要である。このように親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲であることにより、防汚性と防曇性の両機能を併せ持ち、しかも良好な防汚性と良好な防曇性とを併せ持つ眼鏡レンズを提供することができる。
なお、親水性領域と撥水性領域が例えば上述の図2や図4に示すようなパターン状に形成されている場合、個々のパターンの面積の総和を親水性領域または撥水性領域の面積とする。
なお、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲外であると、例えば、親水性領域の面積が上記の面積比よりも小さい(撥水性領域の面積が上記の面積比よりも大きい)と、防汚性は得られるが、防曇性が不足する。また、撥水性領域の面積が上記の面積比よりも小さい(親水性領域の面積が上記の面積比よりも大きい)と、防曇性は得られるが、防汚性が不足する。要するに、いずれにしても、良好な防汚性と良好な防曇性とを併せ持つ眼鏡レンズは得られない。
次に、図1に示される本実施の形態の眼鏡レンズ1の製造方法について説明する。
図6は、図1の眼鏡レンズの製造工程の一例を工程順に示す図であり、以下図6にしたがって説明する。
まず、レンズ基材11の一方の表面上に、上記ハードコート膜12および上記反射防止膜13を順に形成したレンズを準備する。そして、このレンズの上記反射防止膜13上に、撥水性層14を形成する(図6(a)参照)。この撥水性層14の形成方法としては、例えば、撥水性領域を形成するための撥水剤(防汚剤)を含有する塗布液(コーティング液)をスピン塗布法によって成膜する方法が挙げられる。勿論、塗布法としてはスピン塗布法に限定される必要はなく、薄膜を成膜できる塗布法であれば他の塗布法を任意に用いてよい。この際、塗布液濃度や塗布条件を適宜調節することによって、形成される撥水性層14の膜厚を調整することができる。
上記の撥水性領域を形成するための撥水剤(防汚剤)としては、撥水性領域を形成するような物質であれば本発明では特に制約されることなく使用可能であるが、例えば下記の一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2020106752
上記一般式(1)中のRfは炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状パーフルオロアルキル基であり、好ましくはCF−、C−、C−である。Rは加水分解可能な基であり、例えばハロゲン、−OR、−OCOR、−OC(R)=C(R、−ON=C(R、−ON=CRが好ましい。更に好ましくは、塩素、−OCH、−OCである。ここで、Rは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、Rは水素又は低級脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数3〜6の二価の脂肪族炭化水素基である。Rは水素又は不活性な一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1〜4の一価の炭化水素基である。Xはヨウ素又は水素であり、Yは水素又は低級アルキル基であり、Zはフッ素又はトリフルオロメチル基である。a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数であり、好ましくは1〜50である。eは0又は1である。m、nはそれぞれ0〜2の整数であり、好ましくは0である。pは1以上の整数であり、好ましくは1〜10の整数である。
また、上記化合物の分子量(重量平均分子量Mw)については特に制約はされないが、例えば、5×10〜1×10が好ましく、とくに好ましくは5×10〜1×10である。
また、上記一般式(1)で示される含フッ素シラン化合物の特に好ましいものとしては、下記の一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2020106752
上記一般式(2)中のR、Y、mは上記一般式(1)と同義である。qは1〜50の整数であり、rは1〜10の整数である。
なお、上記の撥水性領域を形成するための撥水剤(防汚剤)としては、撥水性領域を形成するような物質であれば本発明では特に制約されることなく使用可能であるため、上記の例示物質に限定するものではない。
次に、上記撥水性層14上に、所望のパターン状のレジストパターン15を形成する(図6(b)参照)。このレジストパターン15のパターン形状は、上記撥水性層14Aのパターン形状となる。上記のレジストパターン15を所望のパターン状に形成する方法は特に限定されないが、例えば、インクジェット記録法を適用してパターン印刷を行う方法が好ましく挙げられる。このレジストパターンの材質は、後の工程で、このレジストパターン15をマスクとして上記撥水性層14を除去する際のマスクとして機能する材質であればよい。
次に、上記レジストパターン15をマスクとし、上記撥水性層14を例えばプラズマ処理をして除去する(図6(c)参照)。これによって、パターン状の撥水性層14Aは残り、後で親水性となる領域の上記撥水性層14は除去される。なお、上記撥水性層14を除去する方法は、上記のプラズマ処理に限定される必要はない。上記撥水性層14の材質によって好適な方法を適宜用いてよい。
次に、上記パターン状の撥水性層14A上に残存する上記レジストパターン15を適当な薬剤等で除去してから、親水処理を行う。この親水処理は、例えばディッピング(浸漬)により実施することが好適である。具体的には、親水性領域を形成するための親水性物質(防曇剤)を含有する塗布液中に、上記レジストパターン15を除去したレンズを一定時間浸漬させた後、引き上げて乾燥させることにより、レンズ表面に親水性層16Aを成膜する(図6(d)参照)。この親水性層16Aは、上記撥水性層14Aのパターンのない領域に形成される。この際、塗布液濃度や液温、浸漬時間、引き上げ速度、乾燥条件(温度、時間)等は適宜調節する。これらの塗布条件を適宜調節することにより、上記親水性層16Aの塗布膜厚を調整することが可能である。
上記の親水性領域を形成するための親水性物質(防曇剤)としては、親水性領域を形成するような物質であれば本発明では特に制約されることなく使用可能であるが、例えば、脂肪酸石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、第4アンモニウム基を持つ陽イオン界面活性剤、長鎖アルキルアミノ酸等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤、等の界面活性剤や、グリコシルエチルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−(2−メタクロイルオキシエチル)−2−ピロリドン、グリセリルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート等のヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート類、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルラクタム類、等の親水性モノマー及びこれらのモノマーからなるポリマー等を挙げることができる。また、親水性物質として、アニオン系の親水基(例えばスルホン酸基など)を有するシランカップリング剤や、親水性のモノマー及びビニル基、アクリル基、メタクリル基、グリシジル基、アリル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の反応性末端基とスルホン基、水酸基、アンモニウムクロライドなどの親水性部分を持つ反応性界面活性剤を用いることもできる。
なお、上記の親水性領域を形成するための親水性物質(防曇剤)としては、親水性領域を形成するような物質であれば本発明では特に制約されることなく使用可能であるため、上記の例示物質に限定するものではない。
以上のようにして、レンズ基材11上の最表面に、パターン状の親水性層16Aからなる親水性領域とパターン状の撥水性層14Aからなる撥水性領域とを有する本実施の形態の眼鏡レンズ1が出来上がる。
なお、上述の製造方法の他の例として、上記撥水性層14Aのパターン(図6(c))を、例えば、インクジェット記録法によるパターン印刷を行う方法を適用して、反射防止膜13上に直接形成するようにしてもよい。
図7は、図1と同様の一実施の形態に係る眼鏡レンズの断面図であるが、上述したように、本実施の形態では、親水性層16Aによって形成されている親水性領域のパターンと撥水性層14Aによって形成されている撥水性領域のパターンとがほぼ同じ膜厚(高さ)で形成されている。
他方、図8は、図1の実施の形態の変形例に係る眼鏡レンズの断面図である。図8に示す変形例においては、撥水性層14Aによって形成されている撥水性領域のパターンの膜厚が、親水性層16Aによって形成されている親水性領域のパターンの膜厚よりも厚くなるように形成されている。また、別の変形例として、これとは反対に、親水性層16Aによって形成されている親水性領域のパターンの膜厚が、撥水性層14Aによって形成されている撥水性領域のパターンの膜厚よりも厚くなるように形成されていてもよい。このような撥水性層14Aによって形成されている撥水性領域のパターンの膜厚と、親水性層16Aによって形成されている親水性領域のパターンの膜厚とが異なるようにした態様の眼鏡レンズは、たとえば上述の図6の製造工程において、上記撥水性層14Aの膜厚と上記親水性層16Aの膜厚を異ならせることによって得ることができる。この場合も、上記撥水性層14Aの膜厚および上記親水性層16Aの膜厚はそれぞれ前述の好ましい膜厚の範囲内とすることが望ましい。
以上説明した変形例による眼鏡レンズによっても、良好な防汚性と防曇性の両機能を併せ持つ眼鏡レンズを得ることができる。
以上説明したように、本発明の眼鏡レンズによれば、レンズ基材上の最表面に、親水性領域と撥水性領域とを有し、この親水性領域と撥水性領域の面積比は、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲とすることにより、良好な防汚性と防曇性の両機能を併せ持つ眼鏡レンズを得ることができる。
また、上記の親水性領域と撥水性領域の少なくともいずれかの領域は、パターン状に形成されていることにより、本発明による効果がよりいっそう効果的に発揮される。
なお、以上説明した実施態様は例示であって、これらの実施態様に限定されるものではない。例えば、図1では、レンズ基材11上にハードコート膜12および反射防止膜13を有する構成を示しているが、レンズ基材11上にハードコート膜12は設けず、反射防止膜13を有する構成や、レンズ基材11上にハードコート膜12を有するが、反射防止膜13は設けない構成としてもよい。このような実施態様にあっても、上述した本発明の構成を好ましく適用することができる。すなわち、本発明の眼鏡レンズは、最表面の親水性領域および撥水性領域の下層に反射防止膜及び/又はハードコート膜を有する構成とすることができる。また、上記のハードコート膜12や反射防止膜13の他にも、他の機能層(例えば、フォトクロミック層)などを有していてもよい。このような実施態様も本発明に含まれるものとする。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1〜7、比較例1〜4)
眼鏡レンズ用モノマー(三井化学株式会社製、商品名「MR8」)により製造した眼鏡用レンズ基材の一方の表面(凸面)の全面に、無機酸化物粒子とケイ素化合物を含むハードコート液をスピンコーティングによって塗布し、100℃、60分加熱硬化することで、ハードコート膜を形成した。
次に、上記ハードコート膜を形成した眼鏡レンズを蒸着装置に入れ、上記ハードコート膜上の全面に、真空蒸着法により、SiO−ZrO−SiO層を交互に積層した反射防止膜を形成した。
次に、前述の図6の製造工程にしたがって眼鏡レンズを作製した。なお、以下の符号は図6と対応している。
まず、上記のレンズの反射防止膜上に、撥水性層14を形成した(図6(a)参照)。この撥水性層14は、撥水剤(防汚剤)として含フッ素シラン化合物を含有する塗布液(コーティング液)を使用し、スピン塗布法によって形成した。膜厚は15nmとした。この際、塗布液濃度や塗布条件を適宜調節することによって、形成される撥水性層14の膜厚を調整した。
次に、上記撥水性層14上に、インクジェット記録法を適用したパターン印刷によって、パターン状のレジストパターン15を形成した(図6(b)参照)。このレジストパターン15のパターン形状は、前述の図2に示すようなドット形状とした。
次に、上記レジストパターン15をマスクとし、上記撥水性層14をプラズマ処理して除去した(図6(c)参照)。これによって、パターン状の撥水性層14Aは残り、後で親水性となる領域の上記撥水性層14は除去された。
次に、上記パターン状の撥水性層14A上に残存する上記レジストパターン15を薬剤で除去してから、親水処理を行った。具体的には、親水性物質(防曇剤)として、アニオン系のスルホン酸基を持つシランカップリング剤を含有する塗布液中に、上記レジストパターン15を除去したレンズを一定時間浸漬させた後、引き上げて乾燥させることにより、レンズ表面に親水性層16Aを成膜した(図6(d)参照)。この親水性層16Aは、上記撥水性層14Aのパターンのない領域に形成された。この際、塗布液濃度や液温、浸漬時間、引き上げ速度、乾燥条件(温度、時間)等の塗布条件を適宜調節することにより、上記親水性層16Aの塗布膜厚は、上記撥水性層14Aの膜厚と同じの15nmとした。
以上のようにして、図6(d)に示すような眼鏡レンズ1を作製した。
なお、作製した眼鏡レンズ1は、親水性層16Aによって形成されている親水性領域の水に対する接触角は10°以下であり、撥水性層14Aによって形成されている撥水性領域の水に対する接触角は110°であった。水に対する接触角は、全自動接触角計DM700(協和界面科学株式会社製)を使用し、液滴法によって測定した。
なお、上記の図6の製造工程におけるパターン状のレジストパターン15を形成する工程において(図6(b))、このレジストパターン15のパターン形状(ドット形状)の大きさを変更することにより、最終的に得られる親水性層16Aによって形成された親水性領域と撥水性層14Aによって形成された撥水性領域との面積比を、下記表1に示すとおり、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=10/0〜0/10の範囲で変更し、実施例1〜7および比較例1〜4の眼鏡レンズとした。
以上のようにして得られた実施例1〜7および比較例1〜4の各眼鏡レンズに対して、以下の曇り性および滑り性の評価を行った。なお、以下の曇り性は防曇性の評価方法であり、滑り性はレンズ表面の撥水性(防汚性)の評価方法である。その結果を纏めて下記表1に示した。
[曇り性評価]
眼鏡レンズを、40℃の湯浴上に1分間置いて、レンズ表面の曇り度合いを確認した。 評価基準は以下のとおりとした。
5:曇らない(反対側が良く見える)。
4:やや曇るが反対側が見える。
3:やや曇る(評価4と2の中間)。
2:やや曇って反対側が見えにくい。
1:曇って反対側が見えない。
[滑り性評価]
眼鏡レンズの表面をシルボン紙(小津産業株式会社製 ダスバーK3(商品名))で擦った時の滑り具合を確認した。このシルボン紙は一般に光学レンズ等のクリーニングペーパーとして用いられている。評価基準は以下のとおりとした。なお、数字が大きいほど撥水性が高いといえる。
5:非常に良く滑る。
4:良く滑る。
3:滑る(評価4と2の中間)。
2:僅かに滑る。
1:全く滑らない(引っかかる)。
Figure 2020106752
なお、表1における総合評価は以下のとおりである。
◎:非常に良好
○:良好
△:やや良好
×:不良
[評価結果]
上記表1の結果からわかるように、実施例1〜7の眼鏡レンズは、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲とすることにより、良好な防汚性と防曇性の両機能をバランスよく併せ持つ眼鏡レンズを提供することができる。
これに対し、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲外である比較例1〜4の眼鏡レンズは、防汚性と防曇性のいずれか一方は良好であるものの他方の機能は得られない。つまり、防汚性と防曇性のいずれもが良好な眼鏡レンズは得られない。
1 眼鏡レンズ
11 レンズ基材
12 ハードコート膜
13 反射防止膜
13L 低屈折率層
13H 高屈折率層
14、14A 撥水性層(撥水性領域)
15 レジストパターン
16A 親水性層(親水性領域)

Claims (5)

  1. レンズ基材上の最表面に、
    親水性領域と撥水性領域とを有し、
    前記親水性領域と前記撥水性領域の面積比は、親水性領域の面積/撥水性領域の面積=8/2〜2/8の範囲であることを特徴とする眼鏡レンズ。
  2. 前記親水性領域と前記撥水性領域の少なくともいずれかの領域は、パターン状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記パターン状は、ドット状又は網目状であることを特徴とする請求項2に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記親水性領域は、水に対する接触角が30°以下の領域であり、前記撥水性領域は、水に対する接触角が80°以上の領域であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記眼鏡レンズは、最表面の前記親水性領域および前記撥水性領域の下層に反射防止膜及び/又はハードコート膜を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ。
JP2018247620A 2018-12-28 2018-12-28 眼鏡レンズ Pending JP2020106752A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018247620A JP2020106752A (ja) 2018-12-28 2018-12-28 眼鏡レンズ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018247620A JP2020106752A (ja) 2018-12-28 2018-12-28 眼鏡レンズ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020106752A true JP2020106752A (ja) 2020-07-09

Family

ID=71450778

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018247620A Pending JP2020106752A (ja) 2018-12-28 2018-12-28 眼鏡レンズ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020106752A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112545440A (zh) * 2020-12-01 2021-03-26 京东方科技集团股份有限公司 口腔镜及其制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112545440A (zh) * 2020-12-01 2021-03-26 京东方科技集团股份有限公司 口腔镜及其制备方法
CN112545440B (zh) * 2020-12-01 2024-01-23 京东方科技集团股份有限公司 口腔镜及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3849673B2 (ja) 防汚性眼鏡レンズ
CA2701672C (en) Optical component and method for manufacturing the same
US20210325693A1 (en) Spectacle lens
JP5357880B2 (ja) 防汚皮膜を具えたレンズの面を該レンズのエッジングのために準備する方法
WO2014050930A1 (ja) 光学部品およびその製造方法
JP5625077B2 (ja) 眼鏡レンズおよびその製造方法
WO2012043218A1 (ja) 光学部品およびその製造方法
KR20040040393A (ko) 반사방지 안경 렌즈 및 그것의 제조 방법
WO2021060554A1 (ja) 眼鏡レンズ及び眼鏡レンズの製造方法
JP2020187188A (ja) 眼鏡レンズ
WO2019189763A1 (ja) 眼鏡レンズおよび眼鏡、ならびに眼鏡レンズの製造方法
JP2020106752A (ja) 眼鏡レンズ
KR100693656B1 (ko) 방오성 안경 렌즈 및 그 제조방법
JP6751028B2 (ja) 2つの表面のそれぞれで異なる防汚性を有する眼用レンズ及び製造方法
JP2023076677A (ja) 眼鏡レンズ
JP4396232B2 (ja) 防汚性光学物品の製造方法
WO2021220513A1 (ja) 光学部材
JP4159591B2 (ja) 高屈折率眼鏡用プラスチックレンズ
JP2008076598A (ja) プラスチックレンズ
AU2021276479A1 (en) A method and apparatus thereof for providing improved abrasion resistance to optical lenses
JP2008185759A (ja) 光学物品