JP2020106743A - 反射型スクリーン - Google Patents

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Yoshito Suzuki
芳人 鈴木
川上 徹
Toru Kawakami
徹 川上
むつみ 篠井
Mutsumi Shinoi
むつみ 篠井
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Abstract

【課題】鮮やかな映像を観察でき、かつ、ヌレ現象が発生しない、反射型スクリーンを提供する。【解決手段】空間結像アイリス面方式の反射型スクリーンであって、基板1と、レンズ層2と、反射層3と、透明な保護層10と、表面形状拡散フィルム5と、透明平板11と、をこの順に具備し、レンズ層2の表面は、フレネルレンズ形状面2Aであり、反射層3は、フレネルレンズ形状面2A上の金属被覆層であり、金属被覆層の表面は、フレネルレンズ形状面2Aに倣った形状であり、透明な保護層10の表面は、反射層3の表面に倣った形状または平坦な形状である。【選択図】図1

Description

本発明は、空間結像アイリス面方式のディスプレイに用いる反射型スクリーン(空間結像アイリス面方式の反射型スクリーン)において、容易にかつ安価に製造できる反射型スクリーンに関する。
特許文献1には、従来の空間結像アイリス面方式の反射型スクリーンが開示されている(図11参照)。この従来の反射型スクリーンによれば、スクリーンの観察者側に表面形状に依存する異方性拡散を起こす表面形状異方性拡散層を基板上に形成し、前記観察者側と反対側に表面がフレネルレンズ形状面であるレンズ層を金型による紫外線硬化性樹脂の成形により形成し、前記レンズ層の表面を高反射率の金属からなる反射層で覆うことにより前記反射層の前記レンズ層との界面をフレネルレンズ形状面とし、該フレネルレンズ形状面のレンズ面(非レンズ面を除いた残り)を反射面とした反射型スクリーンを構成できるとしている。
そして、従来の反射型スクリーンを用いて映像表示システムを構成するためには、スクリーン面をほぼ平坦に保持しなければならないので、金属で覆ったフレネルレンズ形状面側(詳しくは、フレネルレンズ形状面を覆った金属を保護層で覆って、表面形状異方性拡散層から保護層までを1枚のシート状物体とした当該シート状物体の保護層側)に、保持板やマグネットシートを貼合する(図11の(e)の工程による)必要がある。
特許第5971742号公報
上述の従来の反射型スクリーンでは、スクリーン面をほぼ平坦に保持しなければならないので、金属で覆ったフレネルレンズ形状面側に、保持板やマグネットシートを貼合する必要があり、製造面およびコスト面で課題があることが判明した。図11において、基板を、スクリーンがほぼ平坦に保持できる程度に剛性を保持させるため厚くする方法もあるが、この方法では、基板を挟んでいる表面形状異方性拡散層と反射面の間の距離が大きくなってしまい、映像の解像度が低下するという問題が生ずる。
一方、製造面の課題としては、前記貼合する前の反射型スクリーンは1枚のシート状物体であり、スクリーンサイズが大きくなるにつれ、製造工程間の搬送が困難となる。例えば100インチサイズになると、作業員4人でスクリーンの角を持って次工程に搬送しなければならなくなり、作業工数の増大となる。
コスト面の別の課題としては、金属で覆ったフレネルレンズ形状面側に、保持板やマグネットシートを貼合するためには、保持板やマグネットシートを貼合する工程への大画面のスクリーンの輸送、保持板やマグネットシートなど新たな部材の発生、及び貼合機による貼合圧の調整ズレに起因したフレネルレンズ形状面の損傷による歩留まりの悪化などにより、さらに大幅なコスト増大をもたらすことが懸念される。
本発明者は、上記従来の反射型スクリーンにおける問題点に鑑み、解像度の低下を伴わずに剛性を高め、搬送が容易化し、かつ保持板の貼合工程が不要であって、容易にかつ安価に製造できる反射型スクリーンについて検討を重ねた。その結果、特許文献1の空間結像アイリス面方式の反射型スクリーン(図11参照)の基板を保持板として使用し、製造工程で薄くて搬送が困難なシート状物体を、曲がらないようにシート状から剛性を有する厚板状にした。さらに、本発明者は、映像の解像度の低下の問題の解決策として、基板の観察者側の表面をフレネルレンズ形状面とすることで、解像度の低下を伴わずに剛性を高め、搬送が容易化し、かつ保持板の貼合工程が不要であって、容易にかつ安価に製造できる反射型スクリーンが実現することに想到し出願した(出願番号;特願2017−139611。以下、この出願を参考出願といい、参考出願に記載の発明を参考発明という。)。
この参考発明の要旨は、焦点距離fの反射面からほぼaの距離離れた画像投影装置からの映像光が前記反射面で反射して、前記反射面からほぼbの距離離れた空間結像アイリス面を作る、(1/a)+(1/b)=1/fの関係を満たす前記反射面を有する反射型スクリーンであって、例えば図10に示すように、基板1と、基板1の観察者側の表面を覆ったレンズ層2の表面が、レンズ面2aと非レンズ面2bを備える単位レンズが複数配列したフレネルレンズ形状面2Aである、前記レンズ層2と、前記フレネルレンズ形状面2Aにおけるレンズ面2aを覆った、高反射率の金属からなる反射層3のレンズ面被覆部の表面が反射面3Aになる、前記反射層3と、気体層4を介して、前記反射面3Aと表面形状異方性拡散層50の表面形状面50Aがほぼ密着した前記表面形状異方性拡散層50と、前記表面形状異方性拡散層50の観察者側の表面を覆ったアンチグレアハードコート層6と、を具備した反射型スクリーン、である。
なお、表面形状異方性拡散層50は実際には拡散層形成用透明基板50の、観察者側の表面の反対側の表面を被覆しており、拡散層形成用透明基板50と表面形状異方性拡散層50とが一体化して、表面形状異方性拡散フィルム50をなしている。したがって、アンチグレアハードコート層6は、実際には、表面形状異方性拡散フィルム50の、観察者側の表面を覆っている。
前記参考出願によれば、参考発明の効果として、解像度の低下を伴わずに厚くできて搬送が容易化し、かつ保持板との貼合工程が不要であって、容易にかつ安価に製造できる、空間結像アイリス面方式の反射型スクリーンが実現するという効果がある。
その後、本発明者は、前記参考発明の反射型スクリーンについてさらに検討を重ね、以下の知見を得た。
(あ)参考発明の前記アンチグレアハードコート層に代えて、透明平板(例えばアクリル板またはガラス板からなる。)とすると、参考発明と同様の効果があることに加え、さらに映像がより鮮やかになる。
(い)しかし、前記透明平板を用い、反射層3の反射面3A(レンズ層2のフレネルレンズ形状面2Aに倣った形状である。)に、表面形状異方性拡散フィルム50の表面形状面50Aが重なり合うと、拡散特性が局所的に異なり、水でぬれたかのように見える部分が不均一に存在するのが視認される現象(以下、ヌレ現象という。)が発生して、画質が劣化する場合がある。
そこで、本発明は上述の知見(あ)、(い)に鑑み、前記ヌレ現象の発生を防止することを課題とし、参考発明の場合と同様の効果を維持しつつ、参考発明よりも鮮やかな映像を観察でき、かつ、前記ヌレ現象が発生しない、反射型スクリーンを提供することを目的とする。
本発明者は、上述の課題を解決するために検討を重ね、その結果、以下の知見を得た。
(ア) 表面形状異方性拡散フィルムの表面形状面が、反射層の反射面(フレネルレンズ形状面に倣った形状である。)と重なり合わない構造とすることにより、前記ヌレ現象の発生を防止できる。
(イ) この構造として、反射面を透明な保護層で被覆した構造が挙げられる。なお、この透明な保護層は、反射面を形成する金属が空気等の酸化性気体に曝されて酸化するのを防止するために必要である。この場合、表面形状異方性拡散フィルムの表面形状面は、透明な保護層を対面相手としており、この対面相手とは局所的に接触した状態とし、非接触の部分は気体層とする。その理由は次のとおりである。すなわち、前記表面形状異方性拡散フィルムの表面形状面を対面相手と局所的に接触した状態とするのは両者の対向面間の間隔を可及的に小さくし映像の解像度を高めるためであり、前記非接触の部分を気体層とするのは、前記表面形状面の拡散特性を十分発現させるためである。
(ウ) また、上記(ア)の重なり合わない構造として、上記(イ)において表面形状異方性拡散フィルムの表面形状面を透明平板側に向けた構造が挙げられる。この場合、表面形状異方性拡散フィルムの表面形状面は、透明平板を対面相手としており、この対面相手とは局所的に接触した状態とし、非接触の部分は気体層とする。その理由は、(イ)の場合と同様である。
(エ) 上記(ア)の重なり合わない構造において、表面形状異方性拡散フィルムに代えて、表面形状等方性拡散フィルムとした場合であっても、ヌレ現象の発生を防止でき、かつ、表面形状異方性拡散フィルムの場合と同等の鮮やかな映像が得られる。つまり、この構造において、表面形状異方性拡散フィルムと表面形状等方性拡散フィルムとは、同等の効果を奏する。
ここで、以下、表面形状異方性拡散フィルムと表面形状等方性拡散フィルムとを総称して、「表面形状拡散フィルム」という。また、前記表面形状面とは、拡散に関与する凹凸を有する表面を意味する。
(オ) 前記表面形状拡散フィルムとして、両面とも表面形状面とした表面形状拡散フィルムを用いることによっても、前記ヌレ現象の発生を防止する効果がある。
本発明は、上述の知見(ア)〜(オ)に基づき、さらに検討を加えてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] 焦点距離fの反射面からほぼaの距離離れた画像投影装置からの映像光が前記反射面で反射して、前記反射面からほぼbの距離離れた空間結像アイリス面を作る、(1/a)+(1/b)=1/fの関係を満たす前記反射面を有する反射型スクリーンであって、
基板と、
レンズ層と、
反射層と、
透明な保護層と、
透明平板と、
をこの順に具備し、
さらに、前記透明な保護層と前記透明平板との間に、表面形状拡散フィルムを具備し、
前記レンズ層の表面は、フレネルレンズ形状面であり、
前記反射層は、前記フレネルレンズ形状面上の金属被覆層であり、該金属被覆層の表面は、前記フレネルレンズ形状面に倣った形状であり、
前記透明な保護層の表面は、前記反射層の表面に倣った形状または平坦な形状である、
ことを特徴とする反射型スクリーン。
[2] [1]において、前記表面形状拡散フィルムは、拡散層形成用透明基板と表面形状拡散層とからなり、
前記表面形状拡散層の表面形状面が前記透明な保護層と対面かつ局所的に接触している、
ことを特徴とする反射型スクリーン。
[3] [1]において、前記表面形状拡散フィルムに代えて、表面形状拡散層とし、
該表面形状拡散層の表面形状面が前記透明な保護層と対面かつ局所的に接触している、
ことを特徴とする反射型スクリーン。
[4] [1]において、前記表面形状拡散フィルムは、拡散層形成用透明基板と表面形状拡散層とからなり、
該表面形状拡散層の表面形状面が前記透明平板と対面かつ局所的に接触している、
ことを特徴とする反射型スクリーン。
[5] [2]において、前記表面形状拡散フィルムは、拡散層形成用透明基板と該拡散層形成用透明基板の両面上の表面形状拡散層とからなり、
前記両面上のいずれか一方の面側の表面形状面が前記透明な保護層と対面かつ局所的に接触し、他方の面側の表面形状面は、前記透明平板と対面かつ局所的に接触している、
ことを特徴とする反射型スクリーン。
本発明によれば、解像度の低下を伴わずに基板を厚くできて搬送が容易化し、かつ保持板との貼合工程が不要であって、容易かつ安価に製造できる空間結像アイリス面方式の反射型スクリーンが得られ、さらに、この反射型スクリーンにおいて、映像の鮮やかさが向上し、かつ、ヌレ現象の発生を防止できるという優れた効果を奏する。
本発明の反射型スクリーンにおいて、拡散層形成用透明基板とその片面上の表面形状拡散層とからなる表面形状拡散フィルムの両面のうちのいずれか一方の面が表面形状面、他方の面が平坦面であり、前記表面形状面が基板側を向いた実施形態の一例を示す模式図であり、(a)は透明な保護層の表面が反射層の表面形状に倣った形状である場合、(b)は透明な保護層の表面が平坦な形状である場合をそれぞれ示す。 図1(a)の反射型スクリーンの製造工程を示す模式図である。 本発明の反射型スクリーンにおいて、表面形状拡散層が透明平板の基板側に形成された実施形態の一例を示す模式図であり、(a)は透明な保護層の表面が反射層の表面形状に倣った形状である場合、(b)は透明な保護層の表面が平坦な形状である場合をそれぞれ示す。 図3(a)の反射型スクリーンの製造工程を示す模式図である。 本発明の反射型スクリーンにおいて、拡散層形成用透明基板とその片面上の表面形状拡散層とからなる表面形状拡散フィルムの両面のうちのいずれか一方の面が表面形状面、他方の面が平坦面であり、前記表面形状面が透明平板側を向いた実施形態の一例を示す模式図であり、(a)は透明な保護層の表面が反射層の表面形状に倣った形状である場合、(b)は透明な保護層の表面が平坦な形状である場合をそれぞれ示す。 図5(a)の反射型スクリーンの製造工程の一例を示す模式図である。 本発明の反射型スクリーンにおいて、拡散層形成用透明基板とその両面上の表面形状拡散層とからなる表面形状拡散フィルムの両面のうちのいずれか一方の表面形状面が基板側を向き、他方の表面形状面が透明平板側を向いた実施形態の一例を示す模式図であり、(a)は透明な保護層の表面が反射層の表面形状に倣った形状である場合、(b)は透明な保護層の表面が平坦な形状である場合をそれぞれ示す。 図7(a)の反射型スクリーンの製造工程の一例を示す模式図である。 本発明の前提を説明するための画像投影装置とスクリーンの相互の配置の一例を示す模式図である。 参考発明の反射型スクリーンの一例を示す模式図である。 従来の反射型スクリーンおよびその製造方法の一例を示す模式図である。
本明細書では、前記[1]〜[5]のそれぞれの発明を総称し、本発明という。
本発明の反射型スクリーンは、焦点距離fの反射面からほぼaの距離離れた画像投影装置からの映像光が前記反射面で反射して、前記反射面からほぼbの距離離れた空間結像アイリス面を作る、(1/a)+(1/b)=1/fの関係を満たす前記反射面を有する反射型スクリーン(これを、空間結像アイリス面方式の反射型スクリーンともいう。)であることを前提としており(図6参照)、この点では従来(特許文献1)と共通する。なお、ここで、「ほぼa」とは、0.5<A/a<1.5を満たすAのことであり、「ほぼb」とは、0.5<B/b<1.5を満たすBのことである。
本発明の特徴は、本発明の反射型スクリーンが従来にない断面構造を有することにある。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、前記[1]および[2]の発明の実施形態の一例を示している。図1の反射型スクリーンは、観察者と反対の側から、基板1と、レンズ層2と、反射層3と、透明な保護層10と、透明平板11と、をこの順に具備し、さらに、透明な保護層10と透明平板11との間に、表面形状拡散フィルム5を具備している。つまり、レンズ層2は基板1を下地とし、反射層3はレンズ層2を下地とし、透明な保護層10は反射層3を下地として、それぞれ存在する。
図1(a)は、透明な保護層10の表面が反射面の形状に倣った形状である場合(この場合の透明な保護層10を、以下、倣い形状の透明な保護層10ともいう。)を示しており、図1(b)は、透明な保護層10の表面が平坦な形状である場合(この場合の透明な保護層10を、以下、平坦表面の透明な保護層10ともいう。)を示している。
ここで、レンズ層2の表面は、レンズ面2aと非レンズ面2bを備える単位レンズが複数配列したフレネルレンズ形状面2Aである。
本発明では、このフレネルレンズ形状面2Aが観察者側を向いている。
反射層3は、前記フレネルレンズ形状面2A上の金属被覆層である。金属被覆層の存在部位は少なくともレンズ面2aとし、レンズ面2aの直上の被覆部の表面が前記フレネルレンズ形状面2Aに倣った形状で前記反射面(反射面3A)になる。
そして、図1の実施形態では、表面形状拡散フィルム5の両表面のうちいずれか一方の表面が拡散に関与する表面形状面5A,他方の表面が平坦面であり、表面形状面5Aが透明な保護層10と対面し、この対面相手とは局所的に接触している。なお、非接触の部分(隙間)は通常、空気が内在する気体層4になる。
図1の反射型スクリーンは、焦点距離fの反射面3Aから観察者側にほぼaの距離離れた画像投影装置(図9参照)からの映像光が入射すると、透明平板11から表面形状拡散フィルム5を経て気体層4へ出射時に、表面形状面5Aで拡散し、次いで気体層4から透明な保護層10を経て反射層3の反射面3Aで反射し、次いで再び透明な保護層10および気体層4を経て表面形状拡散フィルム5への入射時に表面形状面5Aで拡散し、次いで再び表面形状拡散フィルム5から透明平板11を経て観察者側へ出射するという光学的制御を行って、(1/a)+(1/b)=1/fの関係を満たす反射面3Aからほぼbの距離離れた位置に空間結像アイリス面(図9参照)を作る。
(基板について)
基板1としては、一方の平坦面に紫外線硬化性樹脂を塗布し、フレネルレンズ形状の金型を押し付け、反対側の平坦面から紫外線を照射して紫外線硬化が行える、紫外線の透過性を有し、使用時の本発明スクリーン全体を平坦に保持し、かつ設置が容易になる、適度な剛性かつ軽量の平板が好ましく、例えば、板厚が1〜5mmのアクリル製の、紫外線吸収剤を含まない平板が挙げられる。また、映像の高画質を確保するために基板1用の平板の平坦度は、例えばJIS G3141:2011に規定される冷延鋼板の平たん度の場合に準じ、例えば定盤上の平板の板面内の縦方向10個以上の等分点×横方向10個以上の等分点における、「定盤から平板上面までの高さ−平板の板厚」の測定データの最大値で500μm以下が好ましい。
(レンズ層について)
レンズ層2は、基板1の表面(観察者側に向かせる面を意味する。以下同じ)を被覆したUV硬化樹脂(紫外線硬化後の紫外線硬化樹脂)からなる層である。レンズ層2の表面は、レンズ面2aと非レンズ面2bを備える単位レンズが複数配列したフレネルレンズ形状面2A(以下、単に、「フレネルレンズ形状面2A」ともいう。)である。なお、前記単位レンズは円弧状に延在し、同心円状に複数配列している。ここで、フレネルレンズ形状面2Aにおいて、レンズ面2aとはレンズ層2の厚み方向(以下、「z方向」ともいう。)に対し傾斜した面(ただし、中央部ではz方向に垂直な面)のことであり、非レンズ面2bとはz方向にほぼ平行(z軸に対して0°〜20°傾斜)な面のことである。
レンズ層2形成用の樹脂は、製造容易性の観点から、例えばウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化性樹脂が好ましく、レンズ層2の厚みは最小厚み箇所で5μm以上、最大厚み箇所で300μm以下が好ましい。
(反射層について)
反射層3は、高反射率(反射率が60%以上、98%以下が好ましい。)の金属からなる金属被覆層である。図1の例では、反射層3がフレネルレンズ形状面2Aにおけるレンズ面2aおよび非レンズ面2bを被覆した場合を示したが、本発明では反射層がレンズ面2aのみを被覆する場合(図示せず)もある。
前記高反射率の金属は、映像の明るさを確保するために必要である。反射層3のレンズ面被覆部(レンズ面2aを被覆した区域)の表面が前記反射面(焦点距離fの反射面)になる反射面3Aである。反射面3Aが焦点距離fの反射面であるためには、反射面3Aの表面形状がフレネルレンズ形状面2Aの表面形状とほぼ同一形状であることが好ましい。反射層3の厚みは反射層形成法により異なるがおおむね0.5〜10μm程度が好ましい。
反射層3である前記金属被覆層としては、アルミ蒸着層、アルミ塗装層(高輝度アルミニウム顔料を塗装してなる層)などが挙げられる。
(透明な保護層について)
反射層3を形成している高反射率の金属は通常、気体に曝されており、この気体が酸素を含む場合、この気体中の酸素により金属が酸化し、反射率が低下する。よって、この酸化を防止するため、透明な保護層10を反射層3の観察者側の表面に形成することとした。透明な保護層10の材料としては、例えば透過率が90%以上の、クリアハードコート剤が挙げられる。形成方法は、例えば塗装が挙げられる。
なお、透明な保護層10を形成するための塗装方法としては、ハケ塗り、ローラー塗り、吹付塗装、エアレススプレー、ロールコーター、電着塗装、静電塗装、紛体塗装、紫外線硬化塗装が挙げられる(以下同じ)。
図1(a)のように、透明な保護層10を、フレネルレンズ形状面2Aとほぼ同じ形状の、反射層3の表面の、山谷の段差よりも薄く形成した場合は、反射層3の観察者側の表面形状に倣った、倣い表面の透明な保護層10になる。倣い表面の透明な保護層10の観察者側の表面形状が反射層3の観察者側の表面形状に良く倣っていれば、レンズ層2の集光特性に悪影響を及ぼすことはない。
一方、倣い形状の透明な保護層10の厚みを増していくと、反射層3の観察者側の表面の山と谷を埋めた凹凸(倣い形状から大きく外れた凹凸)が透明な保護層10の表面に発生し、余分な屈折によるレンズ層2の集光特性の悪化を引き起こしてしまう。
よって、透明な保護層10は、図1(a)のように薄く形成して、反射層3の観察者側の表面形状に倣った透明な保護層10の観察者側の表面形状にするか、あるいは図1(b)のように厚く形成し、反射面3Aの山谷の形状を完全に埋めてしまい、透明な保護層10の観察者側の表面を平坦にする(すなわち、透明な保護層10を平坦形状の透明な保護層10とする)ことが望ましい。図1(b)の場合、平坦形状の透明な保護層10の厚み(前記平坦形状の表面から反射層3の観察者側の表面の山頂までの距離で表す。)は、平坦形状の透明な保護層10の強度維持の観点から、1〜10μm程度が好ましい。
(表面形状拡散フィルムについて)
表面形状拡散フィルム5は、拡散層形成用透明基板5の片面上に表面形状拡散層5を具備してなる。つまり、前記[1]および[2]の発明において、表面形状拡散層5は、拡散層形成用透明基板5を下地として存在する。
表面形状拡散フィルム5における、光の拡散に関与する凹凸形状の表面である表面形状面5Aは、表面形状拡散フィルム5の片面のみに存在することから、表面形状拡散フィルム5は、片面拡散型の表面形状拡散フィルムという場合もある。
表面形状拡散フィルム5の表面形状面5Aは、対面相手(図1では透明な保護層10)と局所的に接触しており、非接触の部分は気体層4である。ここで、表面形状拡散フィルム5の拡散特性は、異なる二方向の拡散領域同士間の拡散角度差が比較的小さい(例えば±5°以内である)等方性拡散、前記拡散角度差が比較的大きい(例えば±5°以内を外れる)異方性拡散のいずれであってもよい。等方性拡散の好ましい拡散角度としては例えば15°〜20°が挙げられる。異方性拡散の好ましい拡散角度としては縦横いずれか一方向の側で例えば15°〜40°、他方向の側で例えば5°〜20°が挙げられる。
表面形状拡散フィルム5の材質は、製造容易性の観点から、例えばウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化性樹脂とするのが好ましい。表面形状拡散特性の十分な発現のためには、表面形状面5Aの凹凸形状の凸部高さ(凹部底位置から凹部頂位置までの距離)は1〜30μm程度が好ましい。
また、表面形状拡散フィルム5の厚さは、強度と経済性の観点から、0.1〜0.3mm程度が好ましい。
また、映像の明るさを確保するために、表面形状拡散フィルム5の透過率は70%以上が好ましい。ここで、透過率とは、空気の透過率を1とした相対比である(以下同じ)。
(表面形状拡散フィルムの表面形状面と対面相手との間の隙間について)
表面形状拡散フィルム5の表面形状面5Aと対面相手との隙間間隔はできるだけ小さくしたほうが映像の解像度が高くなるため、表面形状面5Aと対面相手とは、表面形状面5Aの凹凸形状が維持されながら局所的に接触した状態とする。なお、表面形状面5Aの対面相手との局所的な接触部位としては、例えば表面形状面5Aの凹凸形状の凸頂部のうち表面形状拡散フィルム5の厚み中心線からの距離が最大になる凸頂部としてもよい。
なお、前記隙間をなす気体層4は、表面形状拡散フィルム5の表面形状面5Aで十分な拡散外界の屈折率がほぼ1であるという条件、を満たすことが好ましい。したがって、気体層4の気体は、空気、窒素など屈折率が1に近い気体であればいかなる気体でもよい。また、真空の屈折率は1なので、気体層に代えて真空層としてもよい。
(透明平板について)
最表面部材である透明平板11は、スクリーン表面の傷つきを防止するとともに、映像の鮮やかさを向上させる効果を有する。透明平板11の素材は、透過率90%以上のガラスまたはアクリルが好適である。透明平板11の板厚は、衝撃によるスクリーンの破損防止と軽量化の観点から1〜5mmが好ましい。
図1の実施形態によれば、透明平板11により映像の鮮やかさを向上でき、反射層3と表面形状面5との間に介在する透明な保護層10によりヌレ現象の発生を防止できる。
(図1の実施形態の反射型スクリーンの製造方法)
図1(a)の反射型スクリーンは、例えば図2に示すように、以下の工程で製造される。
(A工程) 基板1の表面にレンズ層2を、レンズ層2の表面がフレネルレンズ形状面2Aとなるように、レンズ層形成用の紫外線硬化性樹脂による金型成形で形成する(A)。ここで、紫外線硬化性樹脂による金型成形とは、基板1の片面上に紫外線硬化性樹脂を塗布し、この塗布物を上方から、フレネルレンズ形状面2Aの凹凸模様の雌型を前記塗布物との当接面に設けた金型(図示せず)で、押圧して前記塗布物の表面にフレネルレンズ形状面2Aの凹凸模様を付与し、その状態で基板1を通して前記塗布物に紫外線を照射して前記塗布物を硬化させ、その後金型を取り外すという方法である(以下同じ)。
次に、この形成したフレネルレンズ形状面2A上に、高反射率の金属層からなる反射層3を形成する(A)。この反射層3の形成方法としては、アルミ蒸着、アルミ塗装などが挙げられる。次に、反射層3の観察者側の表面に倣い形状の透明な保護層10を形成し、A工程による成品(A成品ともいう。)とする。倣い形状の透明な保護層10の形成方法としてクリアハードコート剤の塗装が挙げられる。
(B工程) A工程と併行して、別途、透明平板11と表面形状拡散フィルム5とを、拡散層形成用透明基板5側が透明平板11と対面するように、重ね合わせて、B工程による成品(以下、B成品ともいう。)とする(A)。
ここで、表面形状拡散フィルム5は、予め、拡散層形成用透明基板5上へ表面形状拡散層5を、前述の紫外線硬化性樹脂による金型成形に準じた方法(ここでは、前述の紫外線硬化性樹脂による金型成形において基板1に代えて拡散層形成用透明基板5とし、フレネルレンズ形状面2Aの凹凸模様に代えて表面形状面5Aの凹凸模様とした方法である。)により形成することで、準備しておくことができる。
なお、拡散層形成用透明基板5の材質は、透明平板11のそれと同じでよい。
(C工程) A成品とB成品とを、A成品の、倣い形状の透明な保護層10をB成品の表面形状面5Aと対向させて、重ね合わせ、さらに両者の対向面間の間隔を可及的に小さくする(前述のとおり、映像の解像度を高めるため)ようにする。これを「密着積層」と称する。密着積層の方式として、対向面間の気体層を真空引きして周縁を密封する方式や、B成品の厚さが250μm程度と薄い場合、B成品をA成品に、覆い被せるように重ね、周縁部を枠で固定する方法などが挙げられる。
かくして、最終的に、気体層4を内蔵する反射型スクリーンが得られる。
また、図1(b)の反射型スクリーンは、図2において、倣い形状の透明な保護層10に代えて、平坦形状の透明な保護層10とした製造工程(図示せず)で製造できる。
上記の製造工程には、基板1(従来の保持板に相当する)と、基板1で保持するスクリーン部材との貼合工程はない。
上述のように、前記[1]および[2]の発明の反射型スクリーンは、貼合工程なしで製造できる。この点は、後述される前記[3]〜[5]の発明においても同様である。したがって、本発明に係る反射型スクリーンを製造する際は、貼合工程への輸送の必要はなく、貼合工程における歩留まり低下も発生しない。
また、従来では、スクリーンを曲げずに搬送できるように基板を厚くすると基板を挟み込んだ表面形状異方性拡散層と反射層の間隔が広がって解像度が低下するのに対し、本発明では基板1を厚くしても表面形状拡散層5と反射層3の間隔(気体層4の厚み)に影響しないから解像度が低下することはない。さらに、前記密着積層により表面形状拡散層5と反射層3を局所的に接触させる(気体層4の厚みを可及的に薄くする)ことで解像度を向上させることができる。したがって、本発明によれば、従来よりも解像度が改善し、製造しやすくかつ安価な反射型スクリーンが得られる。
また、最表層部材として具備した透明平板により、表面反射による外光の低減で黒輝度が下がり、映像の鮮やかさを向上できる。また、反射層の被覆部材として具備した透明な保護層により、表面形状拡散層と反射層との重なり合い状態がなくなり、ヌレ現象の発生を防止できる。
次に、前記[3]の発明について図3を参照して説明する。図3は、前記[3]の発明の実施形態の一例を示している。
図3の形態は、図1において、拡散層形成用透明基板5を除去し、表面形状拡散フィルム5の表面形状拡散層5を透明平板11の基板側の表面に直接形成したものである。すなわち、図3の形態は、透明平板11の、基板1側の表面を直接被覆した表面形状拡散層5を具備し、その表面形状面5Aが基板1側を向いた形態である。つまり、前記[3]の発明において、表面形状拡散層5は透明平板11を下地として存在する。この図3の形態でも、図1の形態の場合と同様の効果が得られる。
図3の反射型スクリーンは、図1の場合と同様の光学的制御を行って、(1/a)+(1/b)=1/fの関係を満たす反射面3Aからほぼbの距離離れた位置に空間結像アイリス面(図9参照)を作る。
図3の反射型スクリーンは、例えば図4に示すA,B,Cの各工程からなる製造工程で製造できる。ここで、B工程では、図2の場合の重ね合わせに代えて、前述の紫外線硬化性樹脂による金型成形に準じた方法(ここでは、前述の紫外線硬化性樹脂による金型成形において基板1に代えて透明平板11とし、フレネルレンズ形状面2Aの凹凸模様に代えて表面形状面5Aの凹凸模様とした方法である。)として、図2の場合とは異種のB成品を製造し、A工程およびC工程は、C工程のB成品が図2の場合とは異種であること以外は図2の場合と同様としている。なお、図4は、透明な保護層10が倣い形状の透明な保護層10である場合の反射型スクリーン(図3(a)参照)の製造工程を示しているが、透明な保護層10が平坦形状の透明な保護層10である場合の反射型クリーン(図3(b)参照)は、図4において倣い形状の透明な保護層10に代えて平坦形状の透明な保護層10とした製造工程(図示せず)で製造することができる。
次に、前記[4]の発明について図5を参照して説明する。図5は前記[4]の発明の実施形態の一例を示している。
図5の形態は、図1において、表面形状拡散フィルム5を上下反転(表裏反転)した形態であり、すなわち、図5のように、表面形状面5Aが、図1の場合とは逆に、透明平板11側を向いた形態である。この図5の形態でも、図1の形態の場合と同様のヌレ現象の発生を防止する効果が得られる。
これによれば、表面形状面5Aの対面相手が透明平板11であるから、透明な保護層10がない場合でも、表面形状面5Aと反射面3Aとが重なり合うことはなく、したがって、ヌレ現象の発生を防止できる。しかし、前記[4]の発明では透明な保護層10を具備することとしたのは、気体層4の気体が酸素を含んでいてもそれによる反射面3Aの酸化を透明な保護層10で防止するという観点、および、表面形状面5Aが透明平板11側に向いたことによるヌレ現象の発生防止効果と透明な保護層10の存在自体によるヌレ現象の発生防止効果が重畳されて好ましいという観点からである。
図5の反射型スクリーンは、焦点距離fの反射面3Aから観察者側にほぼaの距離離れた画像投影装置(図9参照)からの映像光が入射すると、透明平板11を経て気体層4から表面形状拡散フィルム5へ入射時に、形状面5Aで拡散して、表面形状拡散フィルム5から出射し、次いで、表面形状拡散フィルム5と透明な保護層10の間の隙間(空気)を通り、透明な保護層10を経て反射層3の反射面3Aで反射し、次いで再び透明な保護層10から前記隙間(空気)を通り、表面形状拡散フィルム5から気体層4への出射時に形状面5Aで拡散し、次いで透明平板11を経て観察者側へ出射するという光学的制御を行って、(1/a)+(1/b)=1/fの関係を満たす反射面3Aからほぼbの距離離れた位置に空間結像アイリス面(図9参照)を作る。
図5の反射型スクリーンは、例えば図6に示すA,B,Cの各工程からなる製造工程で製造できる。ここで、B工程では、透明平板11と重ね合わせる表面形状拡散フィルム5の向きを、図2の場合とは逆の向き、すなわち表面形状面5Aが透明基板11と対面する向きとして、図2の場合とは異種のB成品を製造し、A工程およびC工程は、C工程のB成品が図2の場合とは異種であること以外は図2の場合と同様としている。なお、図6は、透明な保護層10が倣い形状の透明な保護層10である場合の反射型スクリーン(図5(a)参照)の製造工程を示しているが、透明な保護層10が平坦形状の透明な保護層10である場合の反射型クリーン(図5(b)参照)は、図4において倣い形状の透明な保護層10に代えて平坦形状の透明な保護層10とした製造工程(図示せず)で製造することができる。
次に前記[5]の発明について図7を参照して説明する。図7は前記[5]の発明の実施形態の一例を示している。
図7の形態は、図1において、片面拡散型の表面形状拡散フィルム5に代えて、図7の両面拡散型の表面形状拡散フィルム5(以下、単に、「表面形状拡散フィルム5」ともいう。)とした形態である。
前記両面拡散型の表面形状拡散フィルムとは、その両面(表裏面)がともに表面形状面である表面形状拡散フィルムを意味する。
表面形状拡散フィルム5は、図7のように、拡散層形成用透明基板5と、この拡散層形成用透明基板5の両面のうちの一方の面上の表面形状拡散層5と、他方の面上の表面形状拡散層5とからなる。そして、例えば表面形状拡散層5が透明な保護層10と対面し、表面形状拡散層5が透明平板11と対面し、それぞれ対面相手とは局所的に接触し、非接触の部分は気体層4,4である。
これによれば、透明な保護層10がない場合でも、反射面3A側を向いた形状面5Aとは反対側の形状面5Aの拡散がある程度(±15°)以上の大きさであれば、ヌレ現象が発生しなくなることが、本発明者の実験で確認された。その理由は、透明な保護層10がない場合、反射面3A側を向いた表面形状面5Aが反射面3Aと重なり合うことで拡散特性の局所的な相違が生じる(前述のようにこれがヌレ現象を発生させる。)が、そのような拡散特性の局所的な相違は、反対側の形状面5Aから気体層4へ出射時の形状面5Aでの拡散により打ち消されるためであろうと推察される。つまり、前記[5]の発明では、透明な保護層10を除去しても、ヌレ現象は生じない。しかし、前記[5]の発明では透明な保護層10を具備することとしたのは、気体層4の気体が酸素を含んでいてもそれによる反射面3Aの酸化を防止するという観点、および、両面拡散型の表面形状拡散フィルム5を用いたことによるヌレ現象の発生防止効果と透明な保護層10の存在自体によるヌレ現象の発生防止効果が重畳されて好ましいという観点からである。
図7の反射型スクリーンは、焦点距離fの反射面3Aから観察者側にほぼaの距離離れた画像投影装置(図9参照)からの映像光が入射すると、透明平板11を経て気体層4から表面形状拡散フィルム5へ入射時に、形状面5Aで拡散して、表面形状拡散フィルム5から出射時に、形状面5Aで拡散し、気体層4から透明な保護層10を経て反射層3の反射面3Aで反射し、次いで再び透明な保護層10を経て空気層4から表面形状拡散フィルム5へ入射時に形状面5Aで拡散し、さらに表面形状拡散フィルム5から空気層4へ出射時に形状面5Aで拡散し、次いで透明平板11を経て観察者側へ出射するという光学的制御を行って、(1/a)+(1/b)=1/fの関係を満たす反射面3Aからほぼbの距離離れた位置に空間結像アイリス面(図9参照)を作る。
図7の反射型スクリーンは、例えば図8に示すA,B,Cの各工程からなる製造工程で製造できる。ここで、B工程では、透明平板11と重ね合わせる相手部材を図2の場合の表面形状拡散フィルム5(片面拡散型)に代えて、表面形状拡散フィルム5(両面拡散型)として、図2の場合とは異種のB製品を製造し、A工程およびC工程は、C工程のB成品が図2の場合とは異種であること以外は図2の場合と同様としている。
また、表面形状拡散フィルム5は、予め、拡散層形成用透明基板5の両面のうちの一方の面上へ表面形状拡散層5を、前述の紫外線硬化性樹脂による金型成形に準じた方法(ここでは、前述の紫外線硬化性樹脂による金型成形において基板1に代えて拡散層形成用透明基板5とし、フレネルレンズ形状面2Aの凹凸模様に代えて表面形状面5Aの凹凸模様とした方法である。)で形成し、次いで他方の面上へ表面形状拡散層5を、前述の紫外線硬化性樹脂による金型成形に準じた方法(ここでは、前述の紫外線硬化性樹脂による金型成形において基板1に代えて拡散層形成用透明基板5とし、フレネルレンズ形状面2Aの凹凸模様に代えて表面形状面5Aの凹凸模様とした方法である。)で形成することで、準備しておくことができる。なお、図8は、透明な保護層10が倣い形状の透明な保護層10である場合の反射型スクリーン(図7(a)参照)の製造工程を示しているが、透明な保護層10が平坦形状の透明な保護層10である場合の反射型クリーン(図7(b)参照)は、図8において倣い形状の透明な保護層10に代えて平坦形状の透明な保護層10とした製造工程(図示せず)で製造することができる。
ところで、前述のように、前記[4]の発明(図5参照)または前記[5]の発明(図7参照)では透明な保護層10がない場合でも、ヌレ現象の発生を防止できる。しかし、図5および図7において透明な保護層10が存在しないと、透明な保護層10の表面と接していた気体(図5では拡散層形成用透明基板50と透明な保護層10との間の隙間の気体であり、図7では気体層4の気体である。)が反射面3Aと接することとなり、この気体が酸素を含む場合は、反射面3Aの金属が酸化されて反射率が低下し、映像の画質が劣化する虞がある。そこで、図5および図7において透明な保護層10が存在しない場合は、反射面3Aと表面形状拡散フィルム5との間の空間を非酸化性ガス雰囲気または真空とした形態とすることが好ましい。ここで、前記非酸化性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素の少なくとも1種からなるガスが挙げられる。
上述の、図5および図7において透明な保護層10をなくし、反射面3Aと表面形状拡散フィルム5との間の隙間を非酸化性ガス雰囲気または真空とした形態の反射型スクリーンは、以下の[6]の反射型スクリーンである。
[6] 焦点距離fの反射面からほぼaの距離離れた画像投影装置からの映像光が前記反射面で反射して、前記反射面からほぼbの距離離れた空間結像アイリス面を作る、(1/a)+(1/b)=1/fの関係を満たす前記反射面を有する反射型スクリーンであって、
基板と、
レンズ層と、
反射層と、
表面形状拡散フィルムと、
透明平板と、
をこの順に具備し、
前記レンズ層の表面は、フレネルレンズ形状面であり、
前記反射層は、前記フレネルレンズ形状面上の金属被覆層であり、該金属被覆層の表面は、前記フレネルレンズ形状面に倣った形状であり、
前記表面形状拡散フィルムと前記反射層の間の隙間は、非酸化性ガス雰囲気または真空であり、
下記の(A)または(B)を満たす、
ことを特徴とする反射型スクリーン。
(A)前記表面形状拡散フィルムは、拡散層形成用透明基板と該拡散層形成用透明基板の片面上の表面形状拡散層とからなり、該表面形状拡散層の表面形状面が前記透明平板と対面かつ局所的に接触している、という条件
(B)前記表面形状拡散フィルムは、拡散層形成用透明基板と該拡散層形成用透明基板の両面上の表面形状拡散層とからなり、前記両面のいずれか一方の面側の表面形状面が前記透明な保護層と対面かつ局所的に接触し、他方の面側の表面形状面は、前記透明平板と対面かつ局所的に接触している、という条件
前記[6]の反射型スクリーンの製造工程としては、例えば図6または図8において、A工程のA段階を省略し、C工程のA成品としてA工程のA段階までの工程で得られた成品を充当し、さらにC工程でA成品とB成品の両者を重ね合わせる際に、両者間の隙間に非酸化性ガスを封入し、あるいはこの隙間を真空にするという製造工程(図示せず)が挙げられる。
図1(a)に例示した形態の、前記[1]の発明に係る100インチサイズの反射型スクリーンを本発明例とした。なお、気体層4は空気層とした。前記本発明例において透明な保護層10をなくした形態を比較例とした。また、前記比較例において透明平板11に代えてアンチグレアハードコート層6とした形態を参考例とした。
前記本発明例、比較例および参考例は、図11に例示した従来の反射型スクリーンの製造上の難点(反射面と表面形状異方性拡散層が基板を挟んでいるから解像度確保のために基板厚みを薄く(0.25mm程度)し、それによる剛性不足を補うために保持板を貼合するという負荷の大きい工程が必要となるという難点)がない。すなわち、本発明例、比較例および参考例は、基板は、反射面と表面形状拡散フィルムが基板を挟んでいないため、基板を厚く(3mm程度)して剛性を確保しても、解像度が低下せず、従って保持板を貼合するという負荷の大きい工程は不要であった。その結果、本発明例、比較例および参考例では、従来と比べ、製造工程の所要時間が従来の約30%に短縮し、製造コストが従来の約50%に低減し、解像度が従来の約2倍に向上した。
そして、本発明例、比較例および参考例の三者を比較すると、本発明例および比較例は、参考例のアンチグレアハードコート層6に代えて透明平板11を具備する形態としたことで、参考例の場合と比べて、映像の鮮やかさが向上した。なお、本発明例の映像と比較した比較例および参考例の映像は、反射層3の反射面3Aが前記空気層中の酸素で酸化されて反射面3Aの反射率が60%未満に低下する前の映像である。
しかも、本発明例では、透明な保護層10の介在により、反射面3Aと表面形状拡散フィルム5の表面形状面5Aとの重なり合いのない状態としたことで、前記ヌレ現象の発生はなく、高画質の映像が得られた。一方、比較例および参考例では、反射面3Aと表面形状拡散フィルム5の表面形状面5Aとが重なり合った状態となったことで、前記ヌレ現象が発生し、画質が劣化した。
1 基板
2 レンズ層
2A フレネルレンズ形状面
2a レンズ面
2b 非レンズ面
3 反射層
3A 反射面
4,4,4 気体層
5 表面形状拡散フィルム(片面拡散型)
表面形状拡散フィルム(両面拡散型)
拡散層形成用透明基板
,5 表面形状拡散層
5A,5A,5A 表面形状拡散フィルムの表面形状面
6 アンチグレアハードコート層
6A アンチグレアハードコート層6の表面形状面
10 透明な保護層
10 倣い形状の透明な保護層
10 平坦形状の透明な保護層
11 透明平板
50 表面形状異方性拡散フィルム
50 表面形状異方性拡散層
50 拡散層形成用透明基板
50A 表面形状異方性拡散フィルムの形状面

Claims (5)

  1. 焦点距離fの反射面からほぼaの距離離れた画像投影装置からの映像光が前記反射面で反射して、前記反射面からほぼbの距離離れた空間結像アイリス面を作る、(1/a)+(1/b)=1/fの関係を満たす前記反射面を有する反射型スクリーンであって、
    基板と、
    レンズ層と、
    反射層と、
    透明な保護層と、
    透明平板と、
    をこの順に具備し、
    さらに、前記透明な保護層と前記透明平板との間に、表面形状拡散フィルムを具備し、
    前記レンズ層の表面は、フレネルレンズ形状面であり、
    前記反射層は、前記フレネルレンズ形状面上の金属被覆層であり、該金属被覆層の表面は、前記フレネルレンズ形状面に倣った形状であり、
    前記透明な保護層の表面は、前記反射層の表面に倣った形状または平坦な形状である、
    ことを特徴とする反射型スクリーン。
  2. 前記表面形状拡散フィルムは、拡散層形成用透明基板と表面形状拡散層とからなり、
    前記表面形状拡散層の表面形状面が前記透明な保護層と対面かつ局所的に接触している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
  3. 前記表面形状拡散フィルムに代えて、表面形状拡散層とし、
    該表面形状拡散層の表面形状面が前記透明な保護層と対面かつ局所的に接触している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
  4. 前記表面形状拡散フィルムは、拡散層形成用透明基板と表面形状拡散層とからなり、
    該表面形状拡散層の表面形状面が前記透明平板と対面かつ局所的に接触している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
  5. 前記表面形状拡散フィルムは、拡散層形成用透明基板と該拡散層形成用透明基板の両面上の表面形状拡散層とからなり、
    前記両面のいずれか一方の面側の表面形状面が前記透明な保護層と対面かつ局所的に接触し、他方の面側の表面形状面は、前記透明平板と対面かつ局所的に接触している、
    ことを特徴とする請求項2に記載の反射型スクリーン。
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