JP2020106270A - 磁気センサー - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに異なる成分の磁場強度を検出する各磁気抵抗素子の検出位置のずれを抑え、精度良く測定を行う。【解決手段】磁気センサー100は、第1の方向を検出軸とする平面型の第1の磁気抵抗素子1と、第1の方向と異なる第2の方向を検出軸とする平面型の第2の磁気抵抗素子2と、を備え、第1の磁気抵抗素子1の感応部側の面1aと第2の磁気抵抗素子2の感応部側の面2aとが対向して配置されている。【選択図】図1
Description
本発明は、磁気センサーに関する。
トンネル磁気抵抗素子(TMR(Tunnel Magneto Resistive)素子)は、磁化の向きが固定された固定磁性層、外部からの磁場の影響を受けて磁化の向きが変化する自由磁性層、及び固定磁性層と自由磁性層との間に配置された絶縁層を有し、磁気トンネル接合(MTJ(Magnetic Tunnel Junction))を形成する。固定磁性層の磁化の向きと自由磁性層の磁化の向きとの角度差に従ってトンネル効果により絶縁層の抵抗を変化させる。このトンネル磁気抵抗素子を利用したものとして、磁気メモリ・磁気ヘッド・磁気センサーなどが挙げられる。
上記のような磁気抵抗素子を用いた磁気センサーとしては、例えば、磁化の向きが互いに直交する3つの磁気抵抗素子が互いに積層されもの(例えば、特許文献1参照)や、磁化の向きが互いに三次元的に交差するように複数の磁気抵抗素子が一つの基板上に配置されたもの(例えば、特許文献2参照)等が提供されている。
しかしながら、上記従来の技術によれば、それぞれ次のような問題がある。
すなわち、特許文献1に記載の技術にあっては、3つの磁気抵抗素子が積層されて構成されるが、各磁気抵抗素子がどのように積層されているとしても、いずれかの磁気抵抗素子の感応部側の面が他の磁気抵抗素子の感応部側の面から離れて配置される。したがって、各磁気抵抗素子の検出位置はその積層方向において互いにずれることとなるため、測定精度が十分ではない。
すなわち、特許文献1に記載の技術にあっては、3つの磁気抵抗素子が積層されて構成されるが、各磁気抵抗素子がどのように積層されているとしても、いずれかの磁気抵抗素子の感応部側の面が他の磁気抵抗素子の感応部側の面から離れて配置される。したがって、各磁気抵抗素子の検出位置はその積層方向において互いにずれることとなるため、測定精度が十分ではない。
また、特許文献2に記載の技術にあっては、一つの基板上に複数の磁気抵抗素子をそれぞれ配置して構成されるため、各磁気抵抗素子の検出位置は当該基板の面方向において互いにずれることとなり、測定精度が十分ではない。
そこで、本発明は、互いに異なる成分の磁場強度を検出する各磁気抵抗素子の検出位置のずれを抑え、精度良く測定を行うことができる磁気センサーを提供することを目的としている。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、磁気センサーであって、
第1の方向を検出軸とする平面型の第1の磁気抵抗素子と、
前記第1の方向と異なる第2の方向を検出軸とする平面型の第2の磁気抵抗素子と、を備え、
前記第1の磁気抵抗素子の感応部側の面と前記第2の磁気抵抗素子の感応部側の面とが対向して配置されていることを特徴とする。
第1の方向を検出軸とする平面型の第1の磁気抵抗素子と、
前記第1の方向と異なる第2の方向を検出軸とする平面型の第2の磁気抵抗素子と、を備え、
前記第1の磁気抵抗素子の感応部側の面と前記第2の磁気抵抗素子の感応部側の面とが対向して配置されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の磁気センサーにおいて、
前記第1の磁気抵抗素子及び前記第2の磁気抵抗素子の取り出し電極は、前記第1の磁気抵抗素子又は前記第2の磁気抵抗素子が固定される基板上に設けられていることを特徴とする。
前記第1の磁気抵抗素子及び前記第2の磁気抵抗素子の取り出し電極は、前記第1の磁気抵抗素子又は前記第2の磁気抵抗素子が固定される基板上に設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の磁気センサーにおいて、
前記第1の磁気抵抗素子と前記第2の磁気抵抗素子との間に設けられる絶縁層を備えることを特徴とする。
前記第1の磁気抵抗素子と前記第2の磁気抵抗素子との間に設けられる絶縁層を備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気センサーにおいて、
前記第1の磁気抵抗素子と前記第2の磁気抵抗素子の組を複数備え、
複数の組の前記第1の磁気抵抗素子及び前記第2の磁気抵抗素子は、前記第1の磁気抵抗素子及び前記第2の磁気抵抗素子の積層方向に直交する平面に沿って一次元又は二次元に配列されていることを特徴とする。
前記第1の磁気抵抗素子と前記第2の磁気抵抗素子の組を複数備え、
複数の組の前記第1の磁気抵抗素子及び前記第2の磁気抵抗素子は、前記第1の磁気抵抗素子及び前記第2の磁気抵抗素子の積層方向に直交する平面に沿って一次元又は二次元に配列されていることを特徴とする。
本発明によれば、互いに異なる成分の磁場強度を検出する各磁気抵抗素子の検出位置のずれを抑え、精度良く測定を行うことができる磁気センサーを提供することができる。
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
《第1の実施形態》
図1〜図4を参照して、第1の実施形態の磁気センサー100について説明する。図1は、本実施形態の磁気センサー100を示す概略断面図である。図2は、第1の磁気抵抗素子1の積層構成を示す概略図である。図3は、第1の磁気抵抗素子1及びプリント基板4をその面方向に対する直交方向から見た平面図である。図4は、従来の磁気センサー300を示す概略断面図である。
図1〜図4を参照して、第1の実施形態の磁気センサー100について説明する。図1は、本実施形態の磁気センサー100を示す概略断面図である。図2は、第1の磁気抵抗素子1の積層構成を示す概略図である。図3は、第1の磁気抵抗素子1及びプリント基板4をその面方向に対する直交方向から見た平面図である。図4は、従来の磁気センサー300を示す概略断面図である。
図1に示すように、磁気センサー100は、第1の方向を検出軸とする平面型の第1の磁気抵抗素子1、第1の方向と異なる第2の方向を検出軸とする平面型の第2の磁気抵抗素子2、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2との間に設けられる絶縁層3等を備える。また、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2は、プリント基板(基板)4及びプリント基板5上にそれぞれ設けられた上で、第1の磁気抵抗素子1の感応部側、すなわち軟磁性層133側の面1aと、第2の磁気抵抗素子2の感応部側、すなわち軟磁性層(図示略)側の面2aとが対向して配置するように積層されている。第1の磁気抵抗素子1は、シリコン基板12と素子本体部140とが積層されて構成され、第2の磁気抵抗素子2は、シリコン基板22と素子本体部240とが積層されて構成されている。
ここで、以下の説明において、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2の面内の特定方向をX方向とし、当該面内のX方向に直交する方向をY方向、当該X方向及びY方向に直交する方向(第1及び第2の磁気抵抗素子1、2の積層方向)をZ方向とする。本実施形態では、X方向を第1の方向とし、Y方向を第2の方向としている。
第1の磁気抵抗素子1は、図2に示すように、磁化の向きが固定された固定磁性層110、外部からの磁場の影響を受けて磁化の向きが変化する自由磁性層130、及び固定磁性層110と自由磁性層130との間に配置された絶縁層120により、磁気トンネル接合を形成し、固定磁性層110の磁化の向きと自由磁性層130の磁化の向きとの角度差に従ってトンネル効果により絶縁層120の抵抗を変化させるトンネル磁気抵抗素子(TMR素子)である。
第1の磁気抵抗素子1は、例えば、シリコン基板(Si、SiO2)12上に、下地層(Ta)13が形成され、その上に固定磁性層110として、下から反強磁性層(IrMn)111、強磁性層(CoFe)112、磁気結合層(Ru)113、強磁性層(CoFeB)114が積層され、絶縁層(MgO)120を介して、その上に、自由磁性層130として、下から強磁性層(CoFeB)131、軟磁性層(NiFe又はCoFeSi)133が積層された積層構造を有する。これら下地層13、固定磁性層110、絶縁層120及び自由磁性層130により素子本体部140が構成される。なお、強磁性層131と軟磁性層133との間には、磁気結合層(Ru)が更に積層されていても良い。
このように構成される第1の磁気抵抗素子1は、検出磁場ゼロの状態においては、固定磁性層110の磁化の向きと自由磁性層130の磁化の向きとが略90度のねじれの位置で安定している。これは、それぞれ磁化容易軸の方向に磁化しているからである。すなわち、第1の磁気抵抗素子1は、自由磁性層130の磁化容易軸の方向A2が固定磁性層110の磁化容易軸の方向A1に対して略90度ねじれた位置に形成されたものである。
例えば、固定磁性層110の磁化の向きに対して反対方向の外部磁場が第1の磁気抵抗素子1に印加されると、自由磁性層130の磁化の向きが固定磁性層110の磁化の向きの逆方向側へスピンし、トンネル効果により絶縁層120の抵抗が増大する。一方、固定磁性層110の磁化の向きに対して同方向の外部磁場が第1の磁気抵抗素子1に印加されると、自由磁性層130の磁化の向きが固定磁性層110の磁化の向きと同方向側へスピンし、トンネル効果により絶縁層120の抵抗が減少する。
ここで、第1の磁気抵抗素子1の感応部の大きさは、面内方向の一辺の長さが例えば数十μm〜数mmの範囲内であることが一般的である。感応部の大きさは、第1の磁気抵抗素子1のS/N比や空間分解能に影響を与える。
一方、磁気センサー100の測定対象物である測定試料の大きさは、平板状である場合、例えば一辺の長さが数cm〜数mの範囲内であることが一般的である。また、測定試料の厚さは、数百μm〜数cmの範囲内が一般的である。また、測定試料が、例えばラミネートタイプのリチウムイオンバッテリーである場合、一辺の長さが10〜30cmの範囲内であることが一般的である。また、測定試料が、例えばアルミ板や炭素鋼板のテストサンプルである場合、一辺の長さが20〜100cmの範囲内であることが一般的であり、数mの場合もある。
一方、磁気センサー100の測定対象物である測定試料の大きさは、平板状である場合、例えば一辺の長さが数cm〜数mの範囲内であることが一般的である。また、測定試料の厚さは、数百μm〜数cmの範囲内が一般的である。また、測定試料が、例えばラミネートタイプのリチウムイオンバッテリーである場合、一辺の長さが10〜30cmの範囲内であることが一般的である。また、測定試料が、例えばアルミ板や炭素鋼板のテストサンプルである場合、一辺の長さが20〜100cmの範囲内であることが一般的であり、数mの場合もある。
第1の磁気抵抗素子1単体の空間分解能は、測定試料中に存在する金属異常物に対する相対的な大きさに依存する。例えば、直径Φが100μm程度の略球形状の金属異常物の大まかな位置を検知する場合、第1の磁気抵抗素子1の一辺の長さは、金属異常物の直径と同程度(約100μm)から、金属異常物の直径の100倍程度(約10mm)までの範囲内に設定されていることが好ましい。また、例えば、直径Φが100μm程度の金属異常物の位置を正確に検知する場合、第1の磁気抵抗素子1の一辺の長さは、金属異常物の直径と同程度(約100μm)から、金属異常物の直径の10倍程度(約1mm)までの範囲内に設定されていることが好ましい。
第2の磁気抵抗素子2は、検出軸の方向が異なる以外は第1の磁気抵抗素子1と同様に構成されている。具体的には、第1の磁気抵抗素子1は、固定磁性層110の磁化の向きがX方向であることにより、X方向を検出軸とするのに対し、第2の磁気抵抗素子2は、固定磁性層(図示略)の磁化の向きがY方向であることにより、Y方向を検出軸としている。
プリント基板4、5は、図1に示すように、それぞれ第1及び第2の磁気抵抗素子1、2を固定し、支持している。プリント基板4の第1の磁気抵抗素子1が設けられている面には、図3に示すように、第1の磁気抵抗素子1の信号を取得するための取り出し電極41、42と、第2の磁気抵抗素子2の信号を取得するための取り出し電極43、44とが設けられている。また、図1に示すように、プリント基板5の第2の磁気抵抗素子2が設けられている面には、第2の磁気抵抗素子2と取り出し電極43、44と電気的に接続するための接続部51が設けられている。また、接続部51と取り出し電極43、44との間には、これらを導通させるための導通部45が設けられている。これにより、第1の磁気抵抗素子1が設けられるプリント基板4から、対向配置される第1及び第2の磁気抵抗素子1、2の信号を容易に取得することができる。導通部45としては、例えば、ボールバンプ等が用いられる。
絶縁層3は、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2との間に設けられ、絶縁材料(例えばSiO2等)からなる絶縁性シートの両面に、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2とそれぞれ接着されるための接着剤層が設けられて構成されている。これにより、第1の磁気抵抗素子1の面1aと第2の磁気抵抗素子2の面2aとの直接的な接触を防止するとともに、両者を接着して一体化することができる。また、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2との干渉を抑制し、各磁気抵抗素子1、2による検出精度を向上させることができる。接着剤層としては、例えば、熱硬化性樹脂を用いて構成することができる。なお、絶縁層3は、絶縁性シートを備えず、絶縁性の接着剤層で構成されるものであっても良い。
ここで、絶縁層3は、例えば、厚さ200nmの絶縁性シートと、総厚50μmの接着剤層とで構成することができる。したがって、第1の磁気抵抗素子1の感応部側の面1aと第2の磁気抵抗素子2の感応部側の面2aとはZ方向において約50μm程度の位置ずれが生じるのみであり、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2はZ方向においてほぼ同一の位置にて測定を行うことができる。これにより、本実施形態の磁気センサー100は、各磁気抵抗素子1、2の検出位置のずれが抑えられ、二成分の磁場強度を精度良く検出することができる。
これに対して、図4に示す従来技術のように、プリント基板4上に設けられた第1の磁気抵抗素子1とプリント基板5上に設けられた第2の磁気抵抗素子2とが、面1aと面2aを対向させることなく積層された場合には、面1aと面2aとの間には少なくとも絶縁層3、プリント基板5及びシリコン基板22が介在することとなる。例えば、プリント基板4の厚さを1.0mm、シリコン基板12の厚さを0.7mmとすると、従来の磁気センサー300においては、面1aと面2aとはZ方向において約1.75mmの位置ずれを生じ、二成分の磁場強度を精度良く検出することができない。
なお、図4に示す磁気センサー300においては、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2とが対向配置されていないため、第2の磁気抵抗素子2の信号を検出するための取り出し電極43が、プリント基板5の第2の磁気抵抗素子2が設けられている面上に設けられている。
なお、図4に示す磁気センサー300においては、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2とが対向配置されていないため、第2の磁気抵抗素子2の信号を検出するための取り出し電極43が、プリント基板5の第2の磁気抵抗素子2が設けられている面上に設けられている。
上記のように構成される磁気センサー100を用いて測定を行う際には、磁気センサー100を測定試料に近接させた状態で行う。また、当該測定試料が磁気センサー100に対して大きい場合においては、磁気センサー100を測定試料に近接させた状態で相対移動させることによって測定試料の磁場分布を測定することができる。
具体的には、例えば、磁気センサー100をY方向に所定距離ずつ走査させて、当該所定距離おきの測定位置における磁場強度をそれぞれ検出することで、測定試料のY方向全域の磁場分布を取得することができる。この場合、各測定位置間の距離を短くすることで、Y方向の空間分解能を向上させることができる。また、磁気センサー100をY方向に走査させて測定試料のY方向全域を測定した後、X方向に所定距離走査させてから、再びY方向に走査させつつ測定を行うことで、より広域の磁場分布を測定できる。さらに、磁気センサー100をZ方向に所定距離走査させてから、再びX方向及びY方向に走査させつつ測定を行うことで、測定試料の磁場分布をより詳細に測定することが可能となる。
なお、複数の磁気センサー100を用いて測定を行うものとしても良いし、それらの複数の磁気センサー100を測定試料に対してそれぞれ相対移動させるものとしても良い。
具体的には、例えば、磁気センサー100をY方向に所定距離ずつ走査させて、当該所定距離おきの測定位置における磁場強度をそれぞれ検出することで、測定試料のY方向全域の磁場分布を取得することができる。この場合、各測定位置間の距離を短くすることで、Y方向の空間分解能を向上させることができる。また、磁気センサー100をY方向に走査させて測定試料のY方向全域を測定した後、X方向に所定距離走査させてから、再びY方向に走査させつつ測定を行うことで、より広域の磁場分布を測定できる。さらに、磁気センサー100をZ方向に所定距離走査させてから、再びX方向及びY方向に走査させつつ測定を行うことで、測定試料の磁場分布をより詳細に測定することが可能となる。
なお、複数の磁気センサー100を用いて測定を行うものとしても良いし、それらの複数の磁気センサー100を測定試料に対してそれぞれ相対移動させるものとしても良い。
上記のように構成される磁気センサー100は、例えば、次のようにして製造することができる。
すなわち、まず、第1の磁気抵抗素子1が設けられたプリント基板4と、第2の磁気抵抗素子2が設けられたプリント基板5とを準備する。第1の磁気抵抗素子1の面1a上には、あらかじめ絶縁層3が設けられ、プリント基板4の取り出し電極43、44上には、あらかじめ導通部45としてボールバンプ等が設けられている。次に、面1aと面2aとを対向させた状態で、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2とをXY方向に位置合わせする。次に、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2とを接触させた状態で、絶縁層3及び導通部45を加熱し、両者を一体化することで、磁気センサー100を製造することができる。
すなわち、まず、第1の磁気抵抗素子1が設けられたプリント基板4と、第2の磁気抵抗素子2が設けられたプリント基板5とを準備する。第1の磁気抵抗素子1の面1a上には、あらかじめ絶縁層3が設けられ、プリント基板4の取り出し電極43、44上には、あらかじめ導通部45としてボールバンプ等が設けられている。次に、面1aと面2aとを対向させた状態で、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2とをXY方向に位置合わせする。次に、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2とを接触させた状態で、絶縁層3及び導通部45を加熱し、両者を一体化することで、磁気センサー100を製造することができる。
ここで、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2のXY方向の位置合わせ方法としては、公知の方法を用いることができる。
例えば、第2の磁気抵抗素子2を作製する際に、両面アライナーを用いてシリコン基板の裏面(シリコン基板の両面のうち、自由磁性層等が設けられていない面)に、レジストにより軟磁性層形状に対応するパターニングを行う。そして、ドライエッチングにより当該シリコン基板に位置合わせ用の凹部を設け、当該凹部に赤外線を通さない金属等の材料を埋め込んで、位置合わせマークを形成しておく。このようにして作製した第2の磁気抵抗素子2を第1の磁気抵抗素子1と対向させ、第2の磁気抵抗素子2側から赤外線光学カメラにてプリント基板5やシリコン基板を透過して位置合わせマークを確認しながら、位置合わせを行う方法を挙げることができる。
例えば、第2の磁気抵抗素子2を作製する際に、両面アライナーを用いてシリコン基板の裏面(シリコン基板の両面のうち、自由磁性層等が設けられていない面)に、レジストにより軟磁性層形状に対応するパターニングを行う。そして、ドライエッチングにより当該シリコン基板に位置合わせ用の凹部を設け、当該凹部に赤外線を通さない金属等の材料を埋め込んで、位置合わせマークを形成しておく。このようにして作製した第2の磁気抵抗素子2を第1の磁気抵抗素子1と対向させ、第2の磁気抵抗素子2側から赤外線光学カメラにてプリント基板5やシリコン基板を透過して位置合わせマークを確認しながら、位置合わせを行う方法を挙げることができる。
また、例えば、第2の磁気抵抗素子2を固定するプリント基板5の裏面(第2の磁気抵抗素子2が固定される面と反対側の面)に、第2の磁気抵抗素子2の位置に対応する位置合わせマークを形成しておく。そして、第2の磁気抵抗素子2を第1の磁気抵抗素子1と対向させ、カメラ等でプリント基板5の位置合わせマークを確認しながら位置合わせを行う方法も挙げられる。
さらには、例えば、第2の磁気抵抗素子2を固定するプリント基板5に貫通孔を設けたり、プリント基板5を光透過性を有するように構成したりすることで、第2の磁気抵抗素子2側からカメラ等で第1の磁気抵抗素子1の位置を確認しながら、位置合わせを行うことも可能である。
以上、第1の実施形態によれば、磁気センサー100が、第1の方向を検出軸とする平面型の第1の磁気抵抗素子1と、第1の方向と異なる第2の方向を検出軸とする平面型の第2の磁気抵抗素子2と、を備え、第1の磁気抵抗素子1の感応部側の面1aと第2の磁気抵抗素子2の感応部側の面2aとが対向して配置されているので、互いに異なる成分の磁場強度を検出する第1及び第2の磁気抵抗素子1、2の検出位置のずれが抑えられ、精度良く測定を行うことができる。
また、第1の磁気抵抗素子1及び第2の磁気抵抗素子2の取り出し電極41〜44が、第1の磁気抵抗素子が固定されるプリント基板4上に設けられているので、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2の信号をより容易に取得することができる。
また、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2との間に設けられる絶縁層3を備えるので、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2との干渉を抑制し、より精度良く測定を行うことができる。
なお、上記した第1の実施形態では、第1の磁気抵抗素子1及び第2の磁気抵抗素子2がトンネル磁気抵抗素子であるものとしたが、平面型のものであればこれに限られるものではなく、例えば、異方向性磁気抵抗素子(AMR(Anisotropic Magneto Resistive effect)素子)や、巨大磁気抵抗素子(GMR(Giant Magneto Resistive effect)素子)等であっても良い。
また、上記した第1の実施形態では、第1の磁気抵抗素子1がX方向を検出軸とし、第2の磁気抵抗素子2がY方向を検出軸としている、すなわち、第1の磁気抵抗素子1の検出軸の方向と第2の磁気抵抗素子2の検出軸の方向が、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2の面方向において90度ねじれているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、第1の磁気抵抗素子1の検出軸の方向と第2の磁気抵抗素子2の検出軸の方向とのなす角度は90度未満であっても良い。
また、上記した第1の実施形態では、取り出し電極41〜44がプリント基板4上に設けられているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、取り出し電極41〜44がプリント基板5上に設けられているものとしても良いし、取り出し電極41、42がプリント基板4上に設けられ、取り出し電極43、44がプリント基板5上に設けられているものとしても良い。
また、上記した第1の実施形態では、対向配置される第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2との間に絶縁層3が設けられているものとしたが、絶縁層3が設けられていなくても良い。この場合には、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2とが互いに接触しないように、隙間を設けた状態で固定されていることが好ましい。
また、上記した第1の実施形態では、磁気センサー100が、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2、絶縁層3等を備えて構成されているものとしたが、これに限られるものではなく、外部環境によるノイズ成分を除去するための構成を備えているものとしても良い。
例えば、磁気センサー100が、測定試料の外部環境における磁場強度を検出する外部磁気抵抗素子(図示略)と、当該外部磁気抵抗素子による検出結果に基づき外部環境によるノイズ成分を特定する特定部(図示略)を備えているものとしても良い。外部磁気抵抗素子は、上記第1の磁気抵抗素子1や第2の磁気抵抗素子2と同様に構成されていても良いし、異なる構成であっても良い。特定部は、例えば、測定試料の外部を発信源とする外部環境によるノイズ(環境ノイズ)が発生している場合、当該環境ノイズは全ての第1及び第2の磁気抵抗素子1、2及び外部磁気抵抗素子でほぼ等しい位相と強度で検出されるため、これらの検出結果において共通する信号波形が環境ノイズであることを特定する。さらに、特定部が、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2で検出された磁場強度(測定試料の磁場情報と環境ノイズとしての磁場情報が混在)から環境ノイズを差し引くことで、より高精度な磁場情報を得ることができる。
また、測定試料に近い位置に環境ノイズの発信源が存在する場合、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2及び外部磁気抵抗素子で検出される環境ノイズの強度は異なる。その場合は、特定部は、多変量分析(例えば主成分分析等)を元に、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2及び外部磁気抵抗素子の出力に重み付けを行い、環境ノイズ成分を特定し、測定結果から差し引くことで、より高精度な磁場情報を得ることができる。
ここで、環境ノイズの強度が大きいと、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2及び外部磁気抵抗素子の出力信号を増幅アンプ(図示略)で増幅したときに信号が飽和してしまい、測定が行えなかったり精度が低下したりする場合がある。そこで、外部磁気抵抗素子のダイナミックレンジを広く設定して(具体的には増幅アンプのゲインを小さくする)、強度の強い環境ノイズも測定範囲に収まるようにし、どの程度の環境ノイズが混在したかを把握できる構成にしておくことが好ましい。また、特定部は、外部磁気抵抗素子の検出結果に基づき、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2の増幅アンプのゲインにフィードバックをかけ、適正な増幅率に再設定することが好ましい。
例えば、磁気センサー100が、測定試料の外部環境における磁場強度を検出する外部磁気抵抗素子(図示略)と、当該外部磁気抵抗素子による検出結果に基づき外部環境によるノイズ成分を特定する特定部(図示略)を備えているものとしても良い。外部磁気抵抗素子は、上記第1の磁気抵抗素子1や第2の磁気抵抗素子2と同様に構成されていても良いし、異なる構成であっても良い。特定部は、例えば、測定試料の外部を発信源とする外部環境によるノイズ(環境ノイズ)が発生している場合、当該環境ノイズは全ての第1及び第2の磁気抵抗素子1、2及び外部磁気抵抗素子でほぼ等しい位相と強度で検出されるため、これらの検出結果において共通する信号波形が環境ノイズであることを特定する。さらに、特定部が、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2で検出された磁場強度(測定試料の磁場情報と環境ノイズとしての磁場情報が混在)から環境ノイズを差し引くことで、より高精度な磁場情報を得ることができる。
また、測定試料に近い位置に環境ノイズの発信源が存在する場合、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2及び外部磁気抵抗素子で検出される環境ノイズの強度は異なる。その場合は、特定部は、多変量分析(例えば主成分分析等)を元に、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2及び外部磁気抵抗素子の出力に重み付けを行い、環境ノイズ成分を特定し、測定結果から差し引くことで、より高精度な磁場情報を得ることができる。
ここで、環境ノイズの強度が大きいと、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2及び外部磁気抵抗素子の出力信号を増幅アンプ(図示略)で増幅したときに信号が飽和してしまい、測定が行えなかったり精度が低下したりする場合がある。そこで、外部磁気抵抗素子のダイナミックレンジを広く設定して(具体的には増幅アンプのゲインを小さくする)、強度の強い環境ノイズも測定範囲に収まるようにし、どの程度の環境ノイズが混在したかを把握できる構成にしておくことが好ましい。また、特定部は、外部磁気抵抗素子の検出結果に基づき、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2の増幅アンプのゲインにフィードバックをかけ、適正な増幅率に再設定することが好ましい。
また、例えば、測定試料の磁場強度が微小で、環境ノイズが測定の阻害要素である場合、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2の積層体を円筒形状や箱型形状の磁気シールド(図示略)で覆うことで、第1及び第2の磁気抵抗素子1、2により検出される環境ノイズの強度を低減させるものとしても良い。当該磁気シールドとしては、例えば、透磁率の高いNiFeやCoFeSiB等の鉄混合系を含有する板状又はシート状部材が組み合わされて構成される。
また、例えば、測定試料に電流を印加可能であれば、環境ノイズとは異なる周波数帯で測定試料に電流を印加し、その電流によって発生した磁場を測定することで、環境ノイズと測定試料の磁場強度とを周波数によって区別することができる。例えば、環境ノイズとして良く挙げられる商用電源の周波数は50Hz、60Hz、及びそれらの倍数であり、例えば70Hzはそれらの周波数帯とは重ならないため、測定試料に70Hzの電流を印加することが挙げられる。
また、例えば、環境ノイズが常に一定である場合、あらかじめリファレンスとして測定試料を設置しない状態で磁気センサー100により測定を行った後、測定試料を設置した状態で測定を行い、その測定結果からリファレンス分を差し引くことで環境ノイズを除去することができる。
また、例えば、測定試料に電流を印加可能であれば、環境ノイズとは異なる周波数帯で測定試料に電流を印加し、その電流によって発生した磁場を測定することで、環境ノイズと測定試料の磁場強度とを周波数によって区別することができる。例えば、環境ノイズとして良く挙げられる商用電源の周波数は50Hz、60Hz、及びそれらの倍数であり、例えば70Hzはそれらの周波数帯とは重ならないため、測定試料に70Hzの電流を印加することが挙げられる。
また、例えば、環境ノイズが常に一定である場合、あらかじめリファレンスとして測定試料を設置しない状態で磁気センサー100により測定を行った後、測定試料を設置した状態で測定を行い、その測定結果からリファレンス分を差し引くことで環境ノイズを除去することができる。
《第2の実施形態》
本発明の磁気センサーの第2の実施形態について図5を参照して以下説明する。以下に説明する以外の構成は上記第1の実施形態の磁気センサー100と略同様であるため、同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本発明の磁気センサーの第2の実施形態について図5を参照して以下説明する。以下に説明する以外の構成は上記第1の実施形態の磁気センサー100と略同様であるため、同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図5は、第2の実施形態の磁気センサー200及び測定試料6を示す概略構成図である。
第2の実施形態に係る磁気センサー200は、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2の組を複数備え、当該複数の組の第1の磁気抵抗素子1及び第2の磁気抵抗素子2が、XY平面に沿って二次元に配列されて構成されている。より具体的には、磁気センサー200は、複数の上記磁気センサー100が、平板状の支持部材201上に二次元に配列され、固定されて構成されている。支持部材201上に固定される複数の磁気センサー100は、第1の磁気抵抗素子1側の面が支持部材201に固定されていても良いし、第2の磁気抵抗素子2側の面が支持部材201に固定されていても良い。また、それらは複数の磁気センサー100ごとに異なっていても良い。
第2の実施形態に係る磁気センサー200は、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2の組を複数備え、当該複数の組の第1の磁気抵抗素子1及び第2の磁気抵抗素子2が、XY平面に沿って二次元に配列されて構成されている。より具体的には、磁気センサー200は、複数の上記磁気センサー100が、平板状の支持部材201上に二次元に配列され、固定されて構成されている。支持部材201上に固定される複数の磁気センサー100は、第1の磁気抵抗素子1側の面が支持部材201に固定されていても良いし、第2の磁気抵抗素子2側の面が支持部材201に固定されていても良い。また、それらは複数の磁気センサー100ごとに異なっていても良い。
以上、第2の実施形態によれば、磁気センサー200が、第1の磁気抵抗素子1と第2の磁気抵抗素子2の組を複数備え、複数の組の第1の磁気抵抗素子1及び第2の磁気抵抗素子2が、第1の磁気抵抗素子1及び第2の磁気抵抗素子2の積層方向に直交する平面に沿って二次元に配列されているので、配列される平面方向の二成分の磁場強度を精度良く取得することができる。また、このような磁気センサー200は、例えば、測定試料6としての平面型の薄型リチウムイオン電池において、内部に生じる金属異常物61の検出に非常に有用である。当該金属異常物61は、薄型リチウムイオン電池の厚さ方向(図5に示す場合においてはZ方向)に延在する形状で電池内部に発生することが多く、この場合、主にXY方向の成分を持つ磁場を発生するため、磁気センサー200を用いることで精度良く検出することが可能である。
なお、上記した第2の実施形態では、磁気センサー200が、複数の磁気センサー100が二次元に配列されて構成されているものとしたが、これに限られるものではなく、一次元に配列されて構成されているものとしても良い。
1 第1の磁気抵抗素子
1a 面
2 第2の磁気抵抗素子
2a 面
3 絶縁層
4 プリント基板(基板)
41、42、43、44 取り出し電極
100、200 磁気センサー
133 軟磁性層(感応部)
1a 面
2 第2の磁気抵抗素子
2a 面
3 絶縁層
4 プリント基板(基板)
41、42、43、44 取り出し電極
100、200 磁気センサー
133 軟磁性層(感応部)
Claims (4)
- 第1の方向を検出軸とする平面型の第1の磁気抵抗素子と、
前記第1の方向と異なる第2の方向を検出軸とする平面型の第2の磁気抵抗素子と、を備え、
前記第1の磁気抵抗素子の感応部側の面と前記第2の磁気抵抗素子の感応部側の面とが対向して配置されていることを特徴とする磁気センサー。 - 前記第1の磁気抵抗素子及び前記第2の磁気抵抗素子の取り出し電極は、前記第1の磁気抵抗素子又は前記第2の磁気抵抗素子が固定される基板上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサー。
- 前記第1の磁気抵抗素子と前記第2の磁気抵抗素子との間に設けられる絶縁層を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気センサー。
- 前記第1の磁気抵抗素子と前記第2の磁気抵抗素子の組を複数備え、
複数の組の前記第1の磁気抵抗素子及び前記第2の磁気抵抗素子は、前記第1の磁気抵抗素子及び前記第2の磁気抵抗素子の積層方向に直交する平面に沿って一次元又は二次元に配列されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気センサー。
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