以下、本発明の実施の形態を図面に基づき実施例によって説明する。なお、本実施例の説明において、これまでの説明の例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
図1には、本発明に係る熱源装置の第1実施例のシステム構成が模式的に示されている。同図に示されるように、本実施例の熱源装置は、図17に示した提案例と同様に、器具ケース80内に、給湯回路45と暖房回路7とを設けて形成される複合型の熱源装置である。また、燃焼室100内には給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ装置5とが設けられている。
給湯用のバーナ装置2は複数のバーナ装置2a,2b,2cを有し、バーナ装置2aの燃焼面とバーナ装置2bの燃焼面とバーナ装置2cの燃焼面によって区分される態様で形成された区分燃焼面を有している。言い換えれば、バーナ装置2a,2b,2cの各燃焼面によって区分された区分燃焼面が形成されており、熱源装置には、給湯用のバーナ装置2に要求される燃焼能力が一段アップする毎に前記区分燃焼面を予め定められた順番(バーナ装置2a,2b,2cの順)で選択的に順次追加燃焼させる燃焼制御手段(図1には図示せず)が設けられている。給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の下方側には、これらのバーナ装置2,5の給排気用の燃焼ファン15が設けられている。
また、燃焼室100には、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の上側に、給湯と暖房の複合熱交換器1が設けられており、この複合熱交換器1は、図1、図2に示されるように、メインの給湯熱交換器3を形成する給湯用の液体流通管路13のみが配設された一種管路配設部(一種流路配設部)111と、給湯用の液体流通管路13がメインの暖房用熱交換器11を形成する暖房用の液体流通管路12によって上下に挟まれる態様で(図2、参照)互いに接して配設された二種管路配設部112とを有しており、二種管路配設部(二種流路配設部)112と一種管路配設部111とは隣り合わせに配設されている。
このように、本実施例では、複合熱交換器1の二種管路配設部112がメインの給湯熱交換器3の液体流通管路13をメインの暖房用熱交換器11の液体流通管路12によって上下に挟む態様で互いに接して配設された構成と成して、この構成の二種管路配設部112が複合熱交換器1の一部と成している。
このように、本実施例では、複合熱交換器1を図17に示したように給湯と暖房の液体流通管路13,12同士を互いに密着させて形成する(全て二種管路配設部112により形成する)のではなく、複合熱交換器1の一部を二種管路配設部分112として他の部分は給湯用の液体流通管路13のみを配設した一種管路配設部111とすることで(二種管路配設部112の配設部分を少なくすることにより)、複合熱交換器1を全て二種管路配設部112で形成する場合に問題となる構造的な難易度を下げ、コストダウンを計ると共に製造不良率を下げることができる。
二種管路配設部112の下方側には、二種管路配設部112を加熱するための暖房用のバーナ装置5が設けられ、二種管路配設部112の液体流通管路12,13は共通(1つ)のバーナ装置(暖房用のバーナ装置5)により加熱される構成と成している。
一方、一種管路配設部111の下方側には、該一種管路配設部111を加熱するための給湯用のバーナ装置2が配設されているが、図2に示されるように、二種管路配設部112において一種管路配設部111に隣接する側の一部分に配設されている液体流通管路12,13が、給湯用のバーナ装置2の上方側にはみ出す態様で配設されている。
本実施例では、この構成によって、暖房用のバーナ装置5のみの燃焼時に暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスが一種管路配設部111側に広がっても、その広がり部分には給湯用のバーナ装置2の上方側にはみ出す態様で配設された二種管路配設部112の液体流通管路12,13が配設されているので、広がった燃焼ガスによって加熱されるのは、この二種管路配設部112の液体流通管路12,13となる。
そして、二種管路配設部112は、暖房用の液体流通管路12によって給湯用の液体流通管路13を上下に挟む態様で配設されているので、暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスの広がりによって加熱されるのは、給湯用の液体流通管路13の下側に配設されている暖房用の液体流通管路12である。したがって、一種管路配設部111側に配設されている給湯用の液体流通管路13が暖房単独運転時に暖房用のバーナ装置5によって加熱されてしまうことを防ぐことができ、一種管路配設部111側に配設されている給湯用の液体流通管路13内に滞留している水等の熱媒体が沸騰してしまうことを抑制できる。
複合熱交換器1はフィン43を有しており、このフィン43は、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の上側に立ち上がる態様で設けられて、図2の紙面に垂直な方向に(図1では左右方向に)互いに間隔を介して複数配設されており、図2に示されているように、各フィン43の面方向が給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの配列方向とは直交(または略直交)する方向となるような態様と成している。一種管路配設部111の液体流通管路13と二種管路配設部112の液体流通管路12,13は共に、これらの複数の共通のフィン43に形成された対応する管路挿入孔103,104に挿入され(液体流通管路13は管路挿入孔103に、液体流通管路12は管路挿入孔104に挿入され)ており、複合熱交換器1をこのような態様に形成すると非常に製造しやすい。
また、二種管路配設部112において、上下方向に配設される3つの管路(暖房用の液体流通管路12と給湯用の液体流通管路13)のうち、真ん中の管路を、低温の水が導入される液体流通管路13とすることにより、以下の効果を奏することができる。つまり、二種管路配設部112における暖房用の液体流通管路12と給湯用の液体流通管路13の配列態様によって、暖房用の液体流通管路12の吸熱量と給湯用の液体流通管路13側の吸熱量とに違いが生じ、二種管路配設部112において上下方向の真ん中の管路を給湯用の液体流通管路13として互いに接する態様で設けることにより、給湯用の液体流通管路13の1本あたりの吸熱量を高くできる構成と成している。
なお、図1はシステム図であるために、図2の態様と異なるように示されているが、実際には図2に示される断面構成図のような態様で一種管路配設部111の液体流通管路13と二種管路配設部112の液体流通管路12,13等が配設されている。ただし、図2も模式的な構成図であるために、液体流通管路12,13等の本数等は正確に示されているとは限らず、液体流通管路12,13の本数や配設間隔等は図1に示されるものに限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
本実施例において、メインの給湯熱交換器3を形成する給湯用の液体流通管路13には、バーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収用の給湯熱交換器4が接続されており、メインの暖房用熱交換器11を形成する暖房用の液体流通管路12には、バーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収用の暖房用熱交換器6が接続されている。なお、これらの潜熱回収用の給湯熱交換器4と暖房用熱交換器6は、それぞれの熱交換器を形成する液体流通管路を通る熱媒体(ここでは水)によりバーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱を回収するものであるが、潜熱回収用の給湯熱交換器4と暖房用熱交換器6は共に、バーナ装置2,5の燃焼ガスの潜熱のみならず顕熱も回収するものである。
また、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6は共に、複合熱交換器1の上部側に配設され、潜熱回収用の給湯熱交換器4の配設空間と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設空間とを仕切る仕切り115が複合熱交換器1の上部側に設けられている。この仕切り115によって、暖房用のバーナ装置5の燃焼ガス(排気ガス)が複合熱交換器1を通った後に潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設空間を通り、その後、潜熱回収用の給湯熱交換器4の配設空間を通って排気口116から排出される態様と成している。つまり、複合熱交換器1を通った暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスが流れる流れの上流側に潜熱回収用の暖房用熱交換器6が配設され、流れの下流側に潜熱回収用の給湯熱交換器4が配設されている。
このような構成によって、暖房用のバーナ装置5の燃焼時の燃焼ガスが、複合熱交換器1を通った後に約160〜約250℃で潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設領域を通って潜熱回収されて冷やされた後、潜熱回収用の給湯熱交換器4の配設領域を通ることになるため、暖房用のバーナ装置5の単独燃焼時であっても、潜熱回収用の給湯熱交換器4内の水が沸騰することを抑制できる。また、潜熱回収用の暖房用熱交換器6は、仕切り115を介して潜熱回収用の給湯熱交換器4の上側に配設されており、給湯用のバーナ装置2の単独燃焼時であっても、潜熱回収用の暖房用熱交換器6内の水の沸騰は抑制できる。
なお、図1および後述する図8は、システム図であるために、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の配設構成も図2の態様と異なるように示されているが、実際には図2に示される模式的な断面構成図のような態様で潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6等が配設されている。ただし、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の本数や配設間隔等は図2に示されるものに限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
図1に示されるように、メインの暖房用熱交換器11(メインの暖房用熱交換器を形成する暖房用の液体流通管路12)の出側には該メインの暖房用熱交換器を通った液体(温水)を暖房装置70,71側に向けて流通させる往き側の通路としての管路60が形成され、暖房装置70,71を通った液体(水)を潜熱回収用の暖房用熱交換器6に戻す戻り側の通路としての管路61が形成されている。そして、管路60から分岐された分岐通路65の先端側が管路61に接続されており、分岐通路65には、該分岐通路65を前記メインの給湯熱交換器3の入側の通路と出側の通路のいずれか(ここでは入側)に熱的に接続する給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33が設けられている。
なお、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33は潜熱回収用の給湯熱交換器4と前記メインの給湯熱交換器3との間の管路に熱的に接続されており、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通った水の温度を検出する熱交換後水温検出手段133が設けられている。
図4(a)、(b)に示されるように、本実施例において、給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)は、複数の炎口110が長手方向に沿って配列配置された炎口列を一列以上(ここでは一列)配設して成る燃焼面を備えたバーナ107が、前記炎口列と直交する方向に並ぶ態様で複数配置されて形成されている。バーナ装置2aは4本のバーナ107によって形成され、バーナ装置2bは3本のバーナ107によって形成され、バーナ装置2cは6本のバーナ107によって形成されており、したがって、それぞれのバーナ装置2a,2b,2cの燃焼面により形成される区分燃焼面の面積比はおおよそ、4:3:6と成している。暖房用のバーナ装置5は、給湯用のバーナ装置2を形成するバーナ107と同方向に炎口110を配列配置したバーナ109を9本配置して形成されている。
これらの給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5には、図1に示されるガス供給通路16を通して燃料ガスが供給されるものであり、図1の図中、符号14,17,117はガス電磁弁、符号18はガス比例弁をそれぞれ示す。
また、図4と図2とを共に参照すると分かるように、給湯用バーナ装置2(2a,2b,2c)および暖房用のバーナ装置5の各燃焼面の上側に設けられている複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13と複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12は、これらの液体流通管路12,13の下方側に配設されている対応する暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)の炎口110の列と平行または略平行に伸長した管路部位を有して配設されている。潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の液体流通管路もバーナ装置2,5の炎口110の列と平行または略平行に伸長した管路部位を有して配設されており、潜熱回収用の給湯熱交換器4と潜熱回収用の暖房用熱交換器6の液体流通管路は、全体としては両方のバーナ装置2,5の上面側に配設されている。
なお、図11には、特許文献2に提案されている複合型の熱交換器を有する熱源装置の構成が模式的な説明図により示されており、この熱源装置においては、給湯用のバーナ装置2と風呂の追い焚き用のバーナ装置102とを並設して形成されている。給湯用のバーナ装置2と追い焚き用のバーナ装置102の上側には、給湯用と追い焚き用との複合型の熱交換器101が設けられており、給湯用のバーナ装置2と追い焚き用のバーナ装置102の下側には、それぞれ、バーナ装置の給排気用の燃焼ファン15が設けられている。
複合型の熱交換器101は、給湯用のバーナ装置2の上側と追い焚き用のバーナ装置102の上側とに渡るように設けられたフィン43を有しており、このフィン43は紙面に垂直な方向に互いに間隔を介して複数配設されている。それぞれのフィン43には管路挿入孔103,113が形成され、それぞれの管路挿入孔103,113を貫通する態様で、給湯用の液体流通管路(通水管路)13と追い焚き用の液体流通管路(通水管路)105が設けられている。
このような複合型の熱交換器101を有する熱源装置においては、給湯用の熱交換器と追い焚き用の熱交換器を別々に形成して熱源装置内に配設する場合に比べ、熱源装置の製造コストを安くできるといった利点があるが、例えば図12(a)に示されるように、追い焚き用のバーナ装置102の単独燃焼時に、例えば追い焚き用のバーナ装置102の燃焼ガスが膨張し、図の矢印に示されるように追い焚き用の液体流通管路105近傍側に隣接されている給湯用の液体流通管路13も加熱されてしまうことから、その液体流通管路13内に滞留している水が沸騰してしまうといった問題が生じた。
また、図12(b)に示されるように、給湯用のバーナ装置2の単独燃焼時に給湯用のバーナ装置2の燃焼ガスが膨張し、図の矢印に示されるように、給湯用の液体流通管路13側に隣接されている追い焚き用の液体流通管路105も加熱されてしまい、その液体流通管路105内に滞留している水が沸騰してしまうといった問題もあった。したがって、例えば図10に示されるように、一種管路配設部111を給湯用のバーナ装置2の燃焼面と対応する位置に配置し、二種管路配設部112を暖房用のバーナ装置5の燃焼面と対応する位置に配置すると、同様の問題が生じる可能性がある。
なお、特許文献2に記載されている発明においては、図11に示されているように、例えば給湯用のバーナ装置2の上側の空間と追い焚き用のバーナ装置102の上側の空間とを仕切る仕切り106を設け、仕切り106は例えば2枚のステンレス板106a,106bの板面同士を互いに間隔を介して対向配置して形成しており、その間隔に風を通すようにすることが提案されている。このようにすると、バーナ装置2,102の単独燃焼時に燃焼ガスの体積が膨張しても、各バーナ装置2,102の上側に設けられている液体流通管路13,104のみが対応するバーナ装置2,102の燃焼ガスによって加熱され、隣接する液体流通管路104,13には燃焼ガスが当たらないようにできるとされている。
しかしながら、そのような仕切りを設ける構成においては、仕切りを設けたり風を通すための構成を設けたりすることによって、その分だけ構造が複雑化し、製造コストも高くなってしまうことになるといった問題が生じることになる。
それに対し、本実施例では、図2に示されるように、一種管路配設部111の下方側に給湯用のバーナ装置が配設され、二種管路配設部112の下方側には、暖房用のバーナ装置5が配設されているが、二種管路配設部112の一種管路配設部111に隣接する側の一部分に配設されている液体流通管路12,13が、給湯用のバーナ装置2の上方側にはみ出す態様で配設されているので、特許文献2に提案されている発明のような仕切りを設けなくても、一種管路配設部111の液体流通管路13内の水が沸騰することを抑制できるものである。
つまり、バーナ装置2,5の燃焼時にはバーナ装置2,5の燃焼ガスの体積が膨張するため、二種管路配設部112の下方側に配設されている暖房用のバーナ装置5が単独で燃焼する際に、その燃焼ガスが一種管路配設部111側にも広がるが、二種管路配設部112の一種管路配設部111に隣接する側の一部分に配設されている液体流通管路12,13が給湯用のバーナ装置2の上方側にはみ出す態様で配設されているので、広がった燃焼ガスによって加熱されるのは、はみ出し配設された液体流通管路12,13となる。
そして、二種管路配設部112は、暖房用の液体流通管路12によって給湯用の液体流通管路13を上下に挟む態様で配設されているので、暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスの広がりによって加熱されるのは、給湯用の液体流通管路13の下側に配設されている暖房用の液体流通管路12である。したがって、一種管路配設部111側に配設されている給湯用の液体流通管路13が暖房単独運転時に暖房用のバーナ装置5によって加熱されてしまうことを防ぐことができ、一種管路配設部111側に配設されている給湯用の液体流通管路13内に滞留している水等の熱媒体が沸騰してしまうことを抑制できる。
そのため、暖房単独運転時(給湯用のバーナ装置2を停止して暖房用のバーナ装置5のみを燃焼させ、給湯用の液体流通管路13内の熱媒体の流通は停止している場合)に連続して暖房用のバーナ装置5を燃焼させることができたり、暖房単独運転時に暖房用のバーナ装置5のオンとオフとを繰り返す間欠運転を行う場合でも、燃焼オフの時間を短くできたりするので、暖房能力の向上を図ることができる。また、暖房用のバーナ装置5の上方側空間と給湯用のバーナ装置2の上方側空間との間に仕切りを設ける構成と異なり、構造を簡略化でき、部品点数も少なくできるのでコストも安くできる。
なお、本実施例に適用されている複合熱交換器1において、一種管路配設部111の下方側に配設されている給湯用のバーナ装置2のみが燃焼する際に、給湯側のバーナ装置2の燃焼ガスの体積が膨張して燃焼ガスが二種管路配設部112側にも広がり、給湯用のバーナ2の上側にはみ出し配設されている暖房用の液体流通管路12や、そのはみ出し配設されている暖房用の液体流通管路12に隣接する暖房用の液体流通管路12も給湯用のバーナ装置2の燃焼ガスにより加熱される。
そのため、それらの暖房用の液体流通管路12に滞留している液体の熱媒体が給湯用のバーナ装置2の燃焼ガスによって加熱されることになるが、二種管路配設部112側には、給湯用の液体流通管路13が暖房用の液体流通管路12に挟まれて設けられているので、この給湯用の液体流通管路13を通る水によって暖房用の液体流通管路12内の熱媒体の熱が放熱されることから、暖房用の液体流通管路12に滞留している熱媒体が沸騰することを防ぐことができる。
さらに、複合熱交換器1の二種管路配設部112における最下段(最下位置)の通路は暖房用の液体流通管路12であり、この管路を流れる液体(熱媒体)は、加熱されて循環されている状態であれば温かく、また、その循環が停止されていても、給水側から冷たい水が導入される給湯用の液体流通管路13のように冷たい状態であることは殆どないことから、複合熱交換器1の液体流通管路12に結露が発生することを防止できる。
図1に示されるように、本実施例において、前記給湯回路45は、潜熱回収用の給湯熱交換器4と、潜熱回収用の給湯熱交換器4の入水側に設けられた給水通路46と、潜熱回収用の給湯熱交換器4の出水側に設けられた通路34と、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器3)と、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13の出水側に設けられた給湯通路47とを有して形成されている。
給湯回路45は、給水通路46から導入されて潜熱回収用の給湯熱交換器4を通って加熱された液体の熱媒体である水を複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器3)に導入して加熱した後、その加熱した水を、給湯通路47を介して給湯先に導く回路である。給湯回路45において、給水通路46には、該給水通路46を通る水の水量を検出する流量検出手段としての水量センサ19が設けられており、通路34には給湯ハイリミットスイッチ36が設けられ、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13の途中部には給湯水管サーミスタ151が設けられている。
また、給湯通路47には、複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13の出側の温度を検出する熱交出側サーミスタ23と、給湯温度を検出する出湯サーミスタ24とが設けられている。なお、本実施例では、給湯用の入水温度を検出する入水温検出手段を設けずに入水温度を演算によって求める方式を適用しており(図示されていないが、給水温度を算出する給水温度検出手段を有しており)、例えば給湯バーナ装置2の安定燃焼時に燃焼量と水量と出湯温度から入水温度を逆算し、これを記憶するようにしている。演算によって給湯用の入水温度を求める方式の熱源装置については周知であるので、その説明は省略するが、適宜の方法により給湯用の入水温度を求めることができるものである。
給湯通路47には給湯回路45を通って給湯される給湯の総水量を可変調節するための水量サーボ20が設けられており、給湯通路47は、給湯バイパス通路22を介して給水通路46に接続され、該バイパス通路22の給水通路46との接続部にはバイパスサーボ21が設けられている。
前記暖房回路7は暖房用液体循環通路8を有し、暖房用液体循環通路8には、前記潜熱回収用の暖房用熱交換器6と、暖房用循環ポンプ(暖房用液体循環ポンプ)9と、シスターン10と、暖房高温サーミスタ40、暖房ハイリミットスイッチ77、暖房水管サーミスタ52、暖房低温サーミスタ41が設けられており、暖房用循環ポンプ9は、潜熱回収用の暖房用熱交換器6と複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12とを通して液体の熱媒体(例えば水)を循環させる機能を備えている。
暖房用液体循環通路8は、管路(通路)59〜65,108を有しており、通路108は、暖房回路7内の熱媒体(例えば水)を潜熱回収用の暖房用熱交換器6には通さずに循環させるための潜熱熱交バイパス通路として機能する。通路108には、低温能力切り替え弁118を備えた通路119が設けられており、通路108には、図のRの部分にオリフィスが設けられている。なお、通路119や低温能力切り替え弁118は場合によっては省略できる。
暖房高温サーミスタ40はメインの暖房用熱交換器11(メインの暖房用熱交換器を形成する暖房用の液体流通管路12)の出側の熱媒体の温度を検出するものであり、暖房低温サーミスタ41は、メインの暖房用熱交換器の入側の熱媒体の温度を検出するものである。
シスターン10の容量は例えば1800ccであり、シスターン10には水位電極44とオーバーフロー通路66とが設けられている。シスターン10は、補給水電磁弁42と水補給用通路165を介して給水通路46に接続されている。
なお、暖房回路7には適宜の暖房装置が接続されるものである。この図では、暖房回路7には、暖房装置70,71が外部通路72,73,74を介して接続されており、暖房回路7は、暖房装置70,71への熱媒体の供給機能を有する。暖房装置70は例えば浴室乾燥機等の高温暖房装置(熱媒体温度が例えば80℃循環の高温端末)であり、暖房装置70には熱動弁76が設けられている。一方、暖房装置71は温水マット等の低温暖房装置(熱媒体温度が例えば60℃循環の低温端末)であり、暖房用液体循環通路8の器具ケース80内の通路と外部通路73との接続を選択的に切り替える熱動弁48が設けられて、暖房装置71への熱媒体の供給が制御される。
また、本実施例の熱源装置において、暖房回路7の暖房用液体循環通路8は、追い焚き用液−水熱交換器25を介して風呂の追い焚き循環通路26と熱的に接続されている。追い焚き循環通路26には、追い焚き循環ポンプ27と風呂サーミスタ28、流水スイッチ29、水位センサ30、風呂往きサーミスタ31が設けられており、追い焚き循環通路26は、循環金具81を介して浴槽75に接続されている。
また、追い焚き用液−水熱交換器25は、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33よりも分岐通路65における液体の流れの上流側に設けられており、追い焚き用液−水熱交換器25の入口側には、追い焚き用液体流量制御弁32が設けられている。追い焚き用液体流量制御弁32は、暖房回路7を循環する熱媒体(ここでは水)の、分岐通路65側への導入の有無と導入量の調整とを、弁の開閉および弁の開弁量により切り替える液体分岐可変手段として機能するものである。
つまり、追い焚き用液体流量制御弁32は、後述する液体分岐可変制御手段の制御にしたがい、暖房回路7を循環する熱媒体(ここでは水)の、分岐通路65側への導入の有無と導入量の調整によって、追い焚き用液−水熱交換器25や給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入される熱媒体の有無や導入量を調整することにより、追い焚きや暖房側から給湯側への熱の移動量の調整を行う構成と成している。
そして、追い焚き用液−水熱交換器25において、分岐通路65側から導入される熱媒体と追い焚き循環通路26を循環する水との熱交換が行われることによって浴槽湯水の追い焚きが行われ、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に分岐通路65側から熱媒体が導入されると、その熱媒体と給湯回路との熱交換が行われる。
なお、本実施例においては、以下のことを考慮して、追い焚き用液−水熱交換器25を、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33よりも分岐通路65における液体の流れの上流側に設ける構成とした。つまり、浴室暖房乾燥機等の暖房装置70は高温暖房装置であるが、同様に、浴槽湯水の追い焚き用の熱交換器(本実施例における追い焚き用液−水熱交換器25)も、80℃程度の高温の熱媒体の導入が求められるもの(熱媒体80℃循環)であることから高温暖房装置であるとみなすことができるものである。
そのため、暖房運転と給湯運転とを同時に行う同時運転時に、メインの暖房用熱交換器11内を通した後、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通して、暖房側の熱媒体の熱を給湯側に与えてから、熱媒体を追い焚き用の熱交換器(追い焚き用液−水熱交換器25)に通して浴槽湯水の追い焚きを行うようにすると(例えば図17に示した提案例の熱源装置の様な構成では)、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通して暖房側(暖房回路7側)から給湯側に熱を受け渡した後に、暖房回路7側から高温暖房装置としての追い焚き用液−水熱交換器25に熱を供給する態様となることから、以下に述べるように、追い焚き熱量が不足することが十分に考えられる。
つまり、図17に示したような提案の熱源装置においては、追い焚き熱量を不足させないように、追い焚き用液−水熱交換器25に対して80℃の熱媒体を送り込むようにするには、暖房回路7側から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に通す熱媒体(水)の温度を例えば95℃とするといったように沸騰直前にまで上げる方法が考えられるが、このような沸騰直前の温度の熱媒体(水)を暖房回路7に循環させることは好ましくない。
また、たとえ暖房回路7側から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に通す熱媒体の温度を95℃としたとしても、その熱媒体温度(95℃)と追い焚き用液−水熱交換器25に導入する熱媒体温度(80℃)との温度差は15℃(95℃−80℃)までしか取ることができないので、たとえ給湯能力が例えば24号であるときのように余力があっても、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33で給湯側に授受できる熱量は、その温度差15℃分しかないことから、暖房側から給湯側に供給できる能力が十分には発揮できない場合がある(温度差15℃の壁という限界がある)。
よって、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通して暖房側から給湯側に必要量の熱を与えようとすると(所定量以上与えると)、例え暖房回路7側から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に通す熱媒体の温度を95℃としたとしても、追い焚き用液−水熱交換器25には80℃未満の熱媒体しか送り込むことしかできない場合があり、追い焚きのために必要な熱量が不足してしまう。ましてや、暖房回路7側から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に通す熱媒体の温度を95℃とするということは好ましくないものであり、通常は、前記熱媒体の温度は95℃より低い温度であるから、追い焚きのために必要な熱量が不足してしまうことが多いと考えられる。
そこで、本願発明者は、図1に示されるような構成として追い焚き後の熱媒体を給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に送り込むようにし、十分な追い焚き熱量を供給できると共に、必要に応じて暖房側から給湯側に十分な熱を与えることができる構造に至った。
詳述すると、例えば、まず、追い焚き用液−水熱交換器25に暖房用のメインの熱交換器11を形成する液体流通管路12から導出された80℃の熱媒体が送り込まれる。これによって追い焚き熱量は確保される。なお、暖房用のメインの熱交換器11を形成する液体流通管路12から追い焚き用液−水熱交換器25を通された熱媒体は、追い焚き用液−水熱交換器25を介し、追い焚き循環通路26を通る浴槽湯水と熱交換された後(例えば60℃となって)、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に送り込まれる。
この送り込まれた熱媒体は、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介し、潜熱回収用の給湯熱交換器4からの水(例えば入水20℃=例えば給水温度15℃+潜熱回収用の給湯熱交換器4で回収される潜熱回収分の温度数℃)と熱交換することになり、この水と前記熱媒体とは十分すぎる温度差(例えば40℃=熱媒体60℃−入水20℃)がある。換言すれば、多すぎる位の熱量が給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33から給湯側に供給される。したがって、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33から給湯側に供給される熱量は十分であると考えられる。つまり、この熱量はアウトプット的に問題がなく、給湯側に熱不足があっても、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33から給湯側への熱供給(熱移動)によって前記熱不足を補うことができる。
ところで、暖房運転と給湯運転とを同時に行う同時運転時における給湯側に供給する熱量(output;アウトプット)は、二種管路配設部112において給湯用の液体流通管路13が直接吸熱する熱と、二種管路配設部112において、一度、暖房用の液体流通管路12が熱を吸熱した後、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して給湯側に伝えられる熱と、必要に応じ潜熱回収用の給湯熱交換器4が回収する熱の合計である。なお、本実施例では、潜熱回収用の給湯熱交換器4を設けて熱源装置を形成しているが、潜熱回収用の給湯熱交換器4は設けられない場合もある。
そして、二種管路配設部112において、一度、暖房用の液体流通管路12が吸熱した後に、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して給湯側に伝えられる熱(前者)の方が、二種管路配設部112において給湯用の液体流通管路13が直接熱を吸熱して得る熱(後者)の方に比して効率が悪い。
したがって、熱源装置1において、給湯回路45側に供給される熱量(output)が同じであっても、後者の方の比率を高くして前者の方の比率を下げた方が、バーナ装置2,5を介して熱源装置1に供給される熱量(input;インプット)を少なくすることができる(ガス管16を通して供給されるエネルギの熱利用効率を向上することができる)。
そこで、本実施例では、前者の熱量(給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して暖房側から給湯側に受け渡される熱量)を追い焚き用液体流量制御弁32の弁の開弁量で制御するとともに、必要に応じて追い焚き循環ポンプ27の回転数を小さくしたり、追い焚き循環ポンプ27の回転を停止したり、といったようなコントロールを行うことで、追い焚き用液−水熱交換器25で減量される熱量を小さく制御することで、前者の熱量のコントロール(前者比率を下げること)を行っている。
なお、例えば追い焚き循環ポンプ27の回転数をコントロール(回転数を下げる、又は、停止)して追い焚き用液−水熱交換器25で減量される熱量を小さく制御すると、暖房回路7を循環していって二種管路配設部112の液体流通管路12に導入される熱媒体の温度を上げるようにコントロールすることができる。そうすると、二種管路配設部112の液体流通管路12を通る熱媒体の温度が高い分、二種管路配設部112の給湯用の液体流通管路13がより吸熱しやすくなり(液体流通管路13の吸熱比を高めに可変制御できるため)、前者比率を下げる(吸熱比をコントロールする)ことができる。
ちなみに、暖房用循環ポンプ(暖房用液体循環ポンプ)9の回転数を下げることでも、前者の授受熱量をコントロール(例えば前者比率を下げること)ができるが、液体流通管路12から導出される熱媒体温度を上げて液体流通管路13側が吸熱しやすくする方法であるが故に、この方法は、暖房側から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に通される熱媒体の温度が95℃のように沸騰直前にまで上がる場合がある。すなわち、二種管路配設部112の暖房用の液体流通管路12からの導出温度である、例えば80℃から95℃に上げる方法で比率をコントロールするものであるので、この方法単独だと効率アップのために前者比率を下げるための制御幅が狭い(15℃=95℃−80℃)という欠点がある。なお、この方法単独だと制御幅が狭いものの、この方法を併用してもかまわない。
ところで、前記の如く、追い焚き用液体流量制御弁32を開いて追い焚き用液−水熱交換器25への水(温水)の導入を行いながら追い焚き循環ポンプ27を駆動することによって風呂の追い焚きが行われるが、以下に述べるように、熱源装置1の一般的な配置状態においては、追い焚き循環ポンプ27を停止していれば暖房回路7を通る熱媒体と追い焚き循環通路26内の水との熱交換は行われない(正確に言えば追い焚き循環通路26に滞留している水の一部は熱交換されるが殆ど熱交換は行われない)。
つまり、一般的に、戸建て住宅の浴槽は1Fにあり、熱源装置1の設置高さに対して浴槽は低い位置に設置され、追い焚き用液−水熱交換器25の高さに対しても浴槽は低い位置に設置されるものであり、また、マンション等の集合住宅でも同様に、熱源装置1の設置高さに対して浴槽は低い位置に設置され、追い焚き用液−水熱交換器25の高さに対しても浴槽は低い位置に設置される。したがって、熱交換された追い焚き用液−水熱交換器25内の浴槽水は、自然循環(浮力)で浴槽に流れ込まないので、追い焚き循環ポンプ27を回さなければ熱交換はほとんどない。
ただし、例えば戸建て住宅の浴槽75が2Fにある場合があり、その場合には追い焚き循環ポンプ27を回さなくても、追い焚き用液−水熱交換器25と追い焚き循環通路26に熱媒体が満たされているだけで、浴槽水と熱交換される(追い焚きが自然循環で行われる)という問題がある。そこで、本実施例では、熱源装置1内にある追い焚き用液−水熱交換器25から、配管を一度下方向に出し、略熱源装置1の下端に浴槽からの配管接続部を設けるようにしている。なお、図1はシステム図であるため、このような構成は図示されていない。
すなわち、追い焚き用液−水熱交換器25よりも浴槽位置が高くても、配管が略熱源装置1の下端を通過することで、熱交換された追い焚き用液−水熱交換器25内の浴槽水が自然循環(浮力)で浴槽75に流れ込むことを防止するように(トラップと)している。これにより、あらゆる設置例において、追い焚き用液−水熱交換器25への水(温水)の導入を行っても、追い焚き循環ポンプ27を動かさない限り、暖房回路7を通る熱媒体と追い焚き循環通路26内の水との熱交換を防止できるようにしている。
なお、図1の図中、符号49は注湯通路、符号50は注湯電磁弁、符号79は注湯量センサ、符号37はドレン回収手段、符号38はドレン通路、符号39はドレン中和器をそれぞれ示している。
また、図1にはリモコン装置が図示されていないが、熱源装置の制御装置にはリモコン装置が信号接続されており、以下の説明において、リモコン装置には、適宜、符号53を付して説明する。また、家庭等の住居において、給湯を行う台所や浴室には、給湯温度設定、追い焚きスイッチ、自動スイッチ(自動湯張りのための操作スイッチ)等の付いたリモコン装置53が設けられ、洗面所には浴室乾燥(暖房装置)を行うスイッチ等の付いたリモコン装置53が設けられ、居間には床暖房(暖房装置)スイッチ等の付いたリモコン装置53が設けられる等、異なる機能をもったリモコンが複数設けられることが多いが、それらを総称してリモコン装置53と称することとし、また、後述する図14を用いての説明においては、リモコン装置167,168,169と称して説明を行う。
本実施例において、給湯動作は例えば以下のようにして行われる。つまり、リモコン装置53の運転がオンの状態において、例えば熱源装置の利用者によって、給湯通路47の先端側に設けられている給湯栓(図示せず)が開かれると、給水通路46から導入される水が、潜熱回収用の給湯熱交換器4と複合熱交換器1の給湯用の液体流通管路13(メインの給湯熱交換器3)とを通って給湯通路47に導入され、水量センサ19が予め定められている給湯の作動流量に達するとバーナ装置2の燃焼制御および燃焼ファン15の回転制御等が制御手段によって適宜行われ、予めリモコン装置53に設定されている給湯設定温度の湯が形成されて給湯先に供給される(通常、給湯設定温度と水量センサ19の検出流量と入水温度の検出手段による検出温度または入水温度推定手段による推定温度に基づいてフィードフォワード制御が行われる)。なお、必要に応じ、暖房用のバーナ装置5の燃焼も行われるが、この動作についての詳細説明は後述する。
また、リモコン装置53に設けられている自動スイッチがオンとなると、前記給湯動作時と同様にして、予めリモコン装置53に設定されている給湯設定温度の湯が形成され、その湯が、注湯電磁弁50が開かれることにより、給湯通路47から注湯通路49を通して浴槽75への注湯による湯張りが行われる。
一方、給湯は行わずに、暖房用液体循環通路8から暖房装置70、71に暖房用の熱媒体(液体)を供給する際(例えば衣類乾燥機、浴室暖房乾燥機、床暖房等の運転による暖房単独運転時)には、暖房用循環ポンプ9の駆動によって、液体(ここでは温水)を循環させるものであり、暖房用循環ポンプ9の吐出側から吐出される液体が、図1の矢印Aに示されるように、通路59を通って複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12(メインの暖房用熱交換器11)に導入される。このときには暖房用のバーナ装置5の燃焼および燃焼ファン15の回転制御等が適宜行われて液体の加熱が行われる。
複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12を通った液体は、その後、矢印Cに示されるように管路60を通り、分岐点を通り、例えば暖房用液体循環通路8に接続されている高温側の暖房装置70が作動する際には、矢印Dに示されるようにして、高温側の暖房装置に供給され、高温側の暖房装置70を通った後に、矢印D’に示されるように管路61側に戻って、矢印Fに示されるようにシスターン10に導入される。このとき、例えば浴室暖房乾燥機の暖房スイッチ(SW)がオン(ON)されると、それに対応する高温側の暖房装置70内の熱動弁76が開弁され、高温側の暖房装置10内の制御装置からの信号を受けて暖房用の熱媒体の往き温度は(例えば80℃といった)高温に維持される。
高温側の暖房装置70が作動していないときには、高温側の暖房装置70内の熱動弁76が閉弁され、矢印Dに示されるようにして通路60を通った液体は、矢印Hに示されるように潜熱熱交バイパス通路108を通り、シスターン10に導入され、矢印Gに示されるように通路64を通って暖房用循環ポンプ9の吸入側に戻る。
また、例えば浴室で追い焚きスイッチ(SW)がオン(ON)されると、それに対応する追い焚き用液体流量制御弁32が開状態となり、管路60を通った後に分岐された液体(熱媒体)は、矢印E’に示されるように、分岐通路65を通り、追い焚き用液−水熱交換器25と給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33とを順に通って管路61側に向かう。このように、高温に維持される液体を追い焚き用液−水熱交換器25に通しながら、追い焚き循環通路26において浴槽75の湯水を循環させることにより、風呂の追い焚きが適宜行われる。なお、管路61を通った液体は、前記の如く、管路62、シスターン10、管路64を通って暖房用循環ポンプ9の吸入側に戻ってくる。
なお、浴槽湯水にはレジオネラ菌や大腸菌が発生する可能性がある。しかしながら、本実施例では、浴槽水は追い焚き用液−水熱交換器25で暖房側の回路を通る湯水と絶縁され、さらに、給湯回路45を通る給湯用の湯水(市水)と暖房回路7を通る熱媒体(ここでは湯水)とは給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33によって絶縁されているため、浴槽湯水と給湯用の湯水とは給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33と追い焚き用液−水熱交換器25とで2重絶縁されている。しかも、暖房回路7を循環する熱媒体は60℃以上で循環させるように構成されていることから、万が一、追い焚き用液−水熱交換器25にピンホール等が空いて絶縁状態が維持できないといった状態が生じて浴槽湯水で発生した菌類が暖房回路7側に混入したとしても、熱殺菌されるので、菌類が給湯回路45側の湯水に混入するおそれはない。
また、暖房用循環ポンプ9の吐出側には、例えば温水マット等の低温側の暖房装置71に液体を供給するための通路63も接続されており、例えば居室にあるリモコン装置53で床暖房がONされると、それに対応する熱動弁48の開閉に応じて適宜の低温側暖房装置71(例えば温水マット等)に暖房用の(例えば往き温度60℃といった)低温に維持された液体が供給される。
なお、高温側の暖房装置70に液体を供給する際の温度制御と低温側の暖房装置71に液体を供給する際の温度制御、暖房用液体循環通路8の通路が冷えている状態で作動するコールドスタート時の温度制御、風呂の追い焚き時の制御等、必要に応じて暖房用のバーナ装置5の燃焼制御や燃焼ファン15の回転制御等の適宜の制御が行われる。暖房運転制御および浴槽75への湯張りと追い焚き制御の一例として、図14に示されるような制御構成を用いた制御例があり、以下に簡単に説明するが、本発明においては、この制御例をはじめとし、公知の適宜の制御方法および、今後提案される適宜の制御方法が適用されるものである。
図14に示す制御構成は、燃焼制御手段52を有する制御装置54が熱源装置のリモコン装置167,168,169に信号接続されて形成されている。同図において、リモコン装置167は風呂リモコン装置であり、リモコン装置168は、暖房装置(高温暖房装置)70のリモコン装置であり、リモコン装置169は、暖房装置(低温暖房装置)71のリモコン装置である。リモコン装置167には、風呂設定温度入力操作部163と追い焚きスイッチ160と風呂自動スイッチ164とが設けられ、リモコン装置168には暖房運転スイッチ161が、リモコン装置169には暖房運転スイッチ166がそれぞれ設けられている。
暖房運転スイッチ161,166は、対応する暖房装置70,71の運転のオンオフ動作指令を行うスイッチであり、暖房運転スイッチ161,166のオンオフ信号は、いずれも燃焼制御手段52に加えられる。なお、暖房運転スイッチ161がオンされると、暖房装置70の熱動弁76への通電が行われて所定時間(例えば1分)経過後に熱動弁76が開き(PTC( positive temperature coefficient;正特性)サーミスタ)を発熱させてサーモアクチュエータを動作させる)、暖房運転スイッチ161がオフされると、前記熱動弁76への通電が停止して所定時間(例えば20秒)経過後に熱動弁76が閉じる。また、暖房運転スイッチ166がオンされると、燃焼制御手段52により熱動弁48が開かれ、暖房運転スイッチ166がオフされると、燃焼制御手段52により熱動弁48が閉じられる。
燃焼制御手段52は、暖房運転スイッチ161のオン信号を受けて、バーナ5の燃焼制御(ガス電磁弁14の開弁、ガス比例弁18の開弁量制御等による燃焼量制御を含む)および燃焼ファン15の回転制御を行うと共に、暖房用循環ポンプ9を駆動させる。燃焼制御手段52は、高温暖房装置70の運転を行うときには80℃の液体を供給できるように(暖房高温サーミスタ40の検出温度が80℃となるようにFB;フィードバック制御して)バーナ5の燃焼制御および燃焼ファン18の回転制御等を行って、暖房用熱交換器(メインの暖房用熱交換器11を形成する暖房用の液体流通管路12と潜熱回収用の暖房用熱交換器6)を加熱し、暖房用液体循環通路8を循環する液体を加熱する。加熱された液体は、メインの暖房用熱交換器11から約80℃で導出され、図1の矢印Cに示すように管路60を通り、追い焚き用液体流量制御弁32の閉状態においては、図1の矢印Dに示すように、管路72を通って暖房装置70に供給される。
暖房装置70に供給された液体は、暖房装置70内の管路を通るときに放熱して、その温度が例えば60℃程度に下がった状態で、管路72、74を通り、図1の矢印D’に示すように、管路61を通って暖房用熱交換器6(潜熱熱交換器)に導入され、暖房用熱交換器6によって加温される。この加温された液体は図1の矢印Fに示すように管路62を通って導出されてシスターン装置10に導入され、シスターン装置10を通った後に、図1の矢印Gに示すように、管路62を通り、暖房用循環ポンプ9に導入される。その後、液体は、図1の矢印Aに示すように、管路59を通ってメインの暖房用熱交換器11(顕熱熱交換器)(液体流通管路12)に導入され、メインの暖房用熱交換器11によって加熱されて、前記と同様にして暖房用液体循環通路8を循環する。
なお、前記追い焚き用液体流量制御弁32が開いている状態(=追い焚き時。追い焚き高温暖房となる)においては、管路60を通った液体は、前記の如く、矢印Dに示したように暖房装置(高温暖房装置)70側に導入されてから管路61に導入される流れと、矢印E’に示すように、管路(分岐通路)65、追い焚き用液−水熱交換器25を通って、管路61に導入される流れとに分かれる。
また、高温暖房装置70の動作時に、燃焼制御手段52は、低温暖房装置71の運転を行うときには熱動弁48を開き、通常、60℃の液体を低温暖房装置71に供給できるようにする。なお、このときも、バーナ5の燃焼制御および燃焼ファン18の回転制御等は、高温暖房装置70の運転時と同様であり、メインの暖房用熱交換器11からは暖房高温サーミスタ40の温度を参照して適宜の温度(例えば約80℃)の液体が導出される。そして、この液体は図1の矢印C、Dのように流れて、矢印Hのようなシスターン10側への流れと高温暖房装置70側とに別れ、シスターン10側に流れた液体がシスターン10で混合されて、管路64、暖房用循環ポンプ9、管路63を順に通って低温暖房装置71に供給される。
高温暖房装置70の動作時には、暖房用循環ポンプ9から吐出された液体が高温暖房装置70の管路を通るときに放熱することから、例えば60℃程度に下がっており、その液体がシスターン10に導入され、シスターン10で混合された液体が、熱動弁48の開状態において、図1の矢印に示すように管路73を通って低温暖房装置71に導入されることで、メインの暖房用熱交換器から直接的に液体が導入されるよりも液体の温度が低くなる。低温暖房装置71を通って放熱し、例えば40℃以下の低温となった液体は、管路74を通り、管路61に導入され、前記と同様に、暖房用液体循環通路7を循環する。
高温暖房装置70が動作していない時には、低温暖房装置71に導入される液体の温度調節は、暖房低温サーミスタ41の検出温度に基づき、燃焼制御手段52の制御によって行われるものである。つまり、低温暖房装置71の通常運転時には、暖房低温サーミスタ41の検出温度が例えば60℃になるようにして(FB;フィードバック制御して)管路73に送られる。なお、このとき、低温能力切り替え弁(熱動弁)118を開弁してメインの暖房用熱交換器からシスターン10に送る熱媒体量を増やすと同時にバーナ5の燃焼量の調節が行われ、管路73に送られる。
また、低温暖房装置71の運転開始直後には、これらの低温暖房装置71の内部通路や管路73内の液体が冷えている状態であり、このように液体を冷たい状態から加熱する場合のホットダッシュ運転(コールドスタート)では、例えば30分といった予め定められたホットダッシュ設定時間だけ、暖房高温サーミスタ40の検出温度が例えば80℃になるように低温能力切り替え弁(熱動弁)118を開弁してバーナ5の燃焼量を調節(制御)し、管路60に送られる。
なお、低温暖房装置71のみが運転されるときも、低温暖房装置71を通った液体は、低温暖房装置71の出側の管路73と管路74を通って管路61に導入される。
図14に示されている風呂設定温度入力操作部163は、浴槽湯水の温度を設定する操作部であり、浴槽湯水温度は、例えば40℃前後の適宜の値に設定される。設定された温度の情報は、燃焼制御手段52に加えられる。風呂自動スイッチ164は、浴槽75への自動湯張り、保温、保水動作のオンオフスイッチであり、風呂自動スイッチ164のオン信号は、いずれも燃焼制御手段52に加えられ、自動湯張り後、4時間保温と保水を行った後、自動的にオフとなる。また、追い焚きスイッチ160は、浴槽湯水の追い焚き単独動作のオンスイッチであり、追い焚きスイッチ160のオン信号は、燃焼制御手段52に加えられる。なお、燃焼制御手段52により追い焚き動作が終了すると、追い焚きスイッチ160は自動的にオフとなる。
燃焼制御手段52は、風呂自動スイッチ164のオン信号が加えられると、例えばバーナ2の燃焼によってメインの給湯熱交換器3の液体流通管路13を通る水を加熱し、給湯通路47から注湯通路49を通して湯を浴槽75に注ぐ。この際、例えば図15に示すような、予めメモリ部4に与えられている浴槽の水位(P)と水量(Q)との関係データ(P−Qデータ)と、水位センサ30により検出される検出水位とに基づき、浴槽の設定水位まで注湯する。また、浴槽湯水循環ポンプ(追い焚き循環ポンプ)27を駆動して得られる風呂サーミスタ28により検出される浴槽湯水温が風呂設定温度よりも低いときには、前記のようなバーナ5の燃焼や暖房用循環ポンプ9の駆動を行いながら、風呂設定温度となるように、追い焚き用液体流量制御弁32を開、浴槽湯水循環ポンプ27をオンとして、浴槽湯水の追い焚き動作を行う。なお、燃焼制御手段52は、追い焚きスイッチ160のオン信号が加えられたときも、風呂サーミスタ28により検出される浴槽湯水温が風呂設定温度となるように、浴槽湯水の追い焚き動作を行う。
図3には、本実施例の熱源装置の特徴的な制御構成がブロック図により示されており、同図に示されるように、熱源装置の制御装置54は、分岐対応給湯側温度可変手段51、燃焼制御手段52、ポンプ駆動制御手段55を有している。また、制御装置54は、リモコン装置53と、出湯サーミスタ24、水量センサ(流量センサ)19、熱交換後水温検出手段133、追い焚き用液体流量制御弁32、ガス電磁弁14,17、ガス比例弁18、燃焼ファン15、暖房用循環ポンプ9、暖房高温サーミスタ40、暖房低温サーミスタ41、熱交出側サーミスタ23に信号接続されている。
分岐対応給湯側温度可変手段51は、追い焚き用液体流量制御弁32を制御することにより、分岐通路65側に分岐する液体の有無と流量の少なくとも一方を可変し、それにより、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して暖房回路7側から給湯回路45側に与える熱量を可変することにより該給湯回路45側を流れる水の温度を可変する。なお、分岐対応給湯側温度可変手段51は、浴槽湯水の追い焚き時に、追い焚き循環ポンプ27を動かすと共に、追い焚き用液体流量制御弁32を開いて追い焚き終了後には追い焚き用液体流量制御弁32を閉じる制御も行う。
分岐対応給湯側温度可変手段51は、給湯回路45側を流れる水の温度を高めるときには、追い焚き循環ポンプ27を動かすことなく、メインの暖房用熱交換器を通った液体を分岐通路65側に通すようにするか通す液体流量を多くするように、追い焚き用液体流量制御弁32の制御を行う。一方、給湯回路45側を流れる水の温度を高くする必要がないときにはメインの暖房用熱交換器11を通った液体を分岐通路65側に通さないか通す熱媒体流量を少なくするように追い焚き用液体流量制御弁32の制御を行う。
分岐対応給湯側温度可変手段51は、熱交換後水温検出手段133により検出される熱交換後水温の検出温度と、水量センサ19の検出流量と、前記給水温度検出手段の検出温度とに基づいて、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33の熱交換能力を推定する熱交換能力推定手段を有している(図示せず)。そして、該熱交換能力推定手段により推定される熱交換能力に基づいて、例えば給湯回路45側を流れる水の温度を高くするための追い焚き用液体流量制御弁32の開弁量調節等、追い焚き用液体流量制御弁32の開閉や開弁量の制御を行う。
具体的には、例えば熱交換能力推定手段は、熱交換後水温検出手段133により検出される熱交換後水温の検出温度がTout、水量センサ19の検出流量と給湯回路45におけるバイパス比により求められる給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通る水の流量がQ、前記給水温度検出手段の検出温度がTinであった場合、給水温度が潜熱回収用の給湯熱交換器4によって加温される温度ΔT(例えば1〜2℃の範囲内の予め与えられる温度)に基づき、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33の熱交換能力を、{Tout−(Tin+ΔT)}Qの式により求め、この値に基づき、分岐対応給湯側温度可変手段51によって追い焚き用液体流量制御弁32の開弁量の制御を行う。
なお、暖房回路7の熱媒体(温水)を分岐通路65側に流す際に、浴槽湯水の追い焚きが行われると、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して暖房回路7側から給湯回路45側に与える熱量が小さくなってしまうが、そのようなタイミングになることは多くはなく、追い焚き循環回路26における水の循環動作を停止したまま熱媒体を分岐通路65側に流すようにしており、このようにすることによって、暖房回路7の熱媒体から追い焚き循環回路26側に熱を殆ど移動させることなく暖房回路7の熱媒体の熱を給湯側に伝えて給湯能力の補充を行うことができる。
燃焼制御手段52は、リモコン装置53の信号(指令や設定温度の値等)に基づき、出湯サーミスタ24、水量センサ(流量センサ)19、熱交出側サーミスタ23、暖房高温サーミスタ40、暖房低温サーミスタ41等の検出信号を参照し、ガス電磁弁14,17の開閉制御とガス比例弁18の開弁量制御とを行って、給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ5の燃焼制御を行うものである。また、燃焼制御手段52は、これらのバーナ装置2,5の燃焼時には燃焼ファン15を駆動させ、例えばその回転数をバーナ装置2,5の燃焼量に対応させる等して適宜の制御を行う。
本実施例の熱源装置は、前記の如く、給湯回路45を通して給湯設定温度の湯の給湯を行う給湯運転と、暖房回路7を通して加熱した熱媒体(温水)を暖房装置70,71に供給しながら熱媒体を暖房装置70,71に循環させる暖房運転を行う機能を有しており、燃焼制御手段52は、それぞれの単独運転時(給湯単独運転時と暖房単独運転時)と、給湯と暖房の同時運転時とで、以下のように給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と暖房用のバーナ5の燃焼面を切り替える燃焼制御を行う。
つまり、燃焼制御手段52は、給湯単独運転時には、給湯運転動作に必要な給湯要求能力が予め定められる水路配設部切り替え基準能力(例えば16.5号)未満の時には一種管路配設部111の下方側の給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)のみを燃焼させ、水路配設部切り替え基準能力(例えば16.5号)を超えたときには給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)と二種管路配設部112の下方側の暖房用のバーナ装置5とを燃焼させる。また、燃焼制御手段52は、給湯運転動作に必要な給湯要求能力の値を逐次、分岐対応給湯側温度可変手段51に加える。
燃焼制御手段52によって行われる給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)の燃焼制御は、図4に示したような給湯用のそれぞれのバーナ装置2a,2b,2cを形成する複数本ずつのバーナ107によって区分された燃焼面(区分燃焼面)を、給湯用のバーナ装置2に要求される燃焼能力が一段アップする毎に予め定められた順番で選択的に順次追加燃焼させるものである。
例えば給湯単独運転におけるバーナ燃焼において、表1の切り替え段数(1)の蘭に示されているように、最初に燃焼させる燃焼面は給湯用のバーナ装置2aの4本のバーナ107の燃焼面である。なお、表1においては、図2に示されるように、給湯用のバーナ装置2aの燃焼面をA、給湯用のバーナ装置2bの燃焼面をB、給湯用のバーナ装置2cの燃焼面をC、暖房用のバーナ装置5の燃焼面をDと示している。
給湯用のバーナ装置2aのみの燃焼により得られる給湯特性(出湯特性)は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合には、給湯設定温度に応じて、図5の特性線a1と特性線a2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。つまり、給湯用のバーナ装置2aのみを燃焼させる場合でも、ガス比例弁18の開弁量に応じて給湯特性が異なる態様となり、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図5の特性線a1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図5の特性線a2側に近づき、最大開度のときに特性線a2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
燃焼制御手段52は、給湯要求能力に対応する燃焼能力が一段アップすると、バーナ装置2aの4本のバーナ107の燃焼面に加えてバーナ装置2bの3本のバーナ107の、合計7本のバーナ107の燃焼面の燃焼を行う(表1の給湯単独燃焼、切り替え段数(2)を参照)。バーナ装置2a,2bの燃焼により得られる給湯特性は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、図5の特性線b1と特性線b2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。
つまり、バーナ装置2a,2bの燃焼により得られる給湯特性は、ガス比例弁18の開弁量に応じ、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図5の特性線b1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図5の特性線b2側に近づき、最大開度のときに特性線b2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
また、燃焼制御手段52は、給湯要求能力に対応する燃焼能力がさらに一段アップすると、バーナ装置2aの4本のバーナ107の燃焼面とバーナ装置2bの3本のバーナ107とバーナ装置2cの6本のバーナ107の合計13本のバーナ107の燃焼面燃焼面の燃焼を行う(表1の給湯単独燃焼、切り替え段数(3)、を参照)。これらのバーナ装置2a,2b,2cの燃焼により得られる給湯特性は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、図5の特性線c1と特性線c2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。
つまり、バーナ装置2a,2b,2cの燃焼により得られる給湯特性は、ガス比例弁18の開弁量に応じ、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図5の特性線c1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図5の特性線c2側に近づき、最大開度のときに特性線c2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
さらに、燃焼制御手段52は、給湯単独運転時に、給湯要求能力に対応する燃焼能力が前記水路配設部切り替え基準能力(例えば16.5号)以上となったときには給湯用のバーナ装置2(2a,2b,2c)に加えて二種管路配設部112の下方側の暖房用のバーナ装置5を燃焼させる(表1の給湯単独燃焼、切り替え段数(4)を参照)。また、このとき、燃焼制御手段52は、ポンプ駆動制御手段55に指令を加えて暖房用循環ポンプ9を駆動させる。
給湯用のバーナ装置2a,2b,2cと暖房用のバーナ装置5の燃焼により得られる給湯特性は、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、図5の特性線d1と特性線d2とに挟まれた領域内の給湯が可能となる。つまり、バーナ装置2a,2b,2cと暖房用のバーナ装置5の燃焼により得られる給湯特性は、ガス比例弁18の開弁量に応じ、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図5の特性線d1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図5の特性線d2側に近づき、最大開度のときに特性線d2の特性が得られるので、燃焼制御手段52は給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18を制御する。
また、給湯単独運転時であっても、暖房用のバーナ装置5の燃焼を行う時には液体循環ポンプ9を駆動させて暖房回路7内の熱媒体(温水)を循環させ、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して暖房回路7側の熱を給湯側に吸熱させて回収することにより、図5の特性線d1と特性線d2とに挟まれた領域内の高い給湯能力による給湯を行うことができるものである。
つまり、本実施例では、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5の全ての燃焼面を燃焼させ、ガス比例弁18の開弁量制御を行うことに加え、暖房回路7の熱媒体を循環させ、このとき、分岐対応給湯側温度可変手段51が追い焚き用液体流量制御弁32を適宜開き、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を介して暖房回路7側から給湯回路45側へ熱を移動させることにより、図5の特性線d1と特性線d2とに挟まれた領域内の高い給湯能力による給湯を行うことができる。
燃焼制御手段52は、暖房単独運転時には、暖房運転動作に必要な必要燃焼能力が予め定められる暖房制御切り替え基準能力(例えば7.3kw)未満の時には、二種管路配設部112の下方側の暖房用のバーナ装置5の9本のバーナ109をオンオフ制御し(予め定められるオンオフタイミング毎にオンとオフとを繰り返すオンオフ燃焼(間欠燃焼)を行い)、このとき、ガス比例弁18の開弁量を最小とする。
一方、暖房運転動作に必要な必要燃焼能力が前記暖房制御切り替え基準能力以上の時には、暖房用のバーナ装置5の9本のバーナ109の燃焼を継続して行い、このときには、前記必要燃焼能力に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
本実施例において、燃焼制御手段52は、図示されていない給湯暖房同時動作制御手段を有しており、給湯と暖房の同時運転時には、この給湯暖房同時動作制御手段による制御を以下のように行う。そのため、後述するように給湯能力の不足を防ぐことができるし、図17に示した提案の熱源装置において問題となっていた問題点(暖房能力が不足しても対応が取れないという問題)を解消できる。
すなわち、図17に示した提案の熱源装置においては、複合熱交換器1を、暖房用の液体流通管路12を給湯用の液体流通管路13で両側から挟みこむ手法で二種の管路を配設して(つまり、本実施例における二種管路配設部112のみで)形成していることから、給湯能力と暖房能力が連動して、給湯能力(給湯用に必要な給湯需要能力)が小さくてガス比例弁18の開弁量が小さいときには暖房能力も小さく制御されてしまい、暖房能力が不足しても対応が取れないという問題があった。
それに対し、本実施例では、複合熱交換器1は、二種管路配設部112は複合熱交換器1の一部を形成し、他の部分は給湯用の液体流通管路13のみが配設された一種管路配設111により形成しているため、給湯能力と暖房能力とが1:1で連動してしまう状態ではなく、以下のようなきめ細かい制御により、給湯能力が小さくても大きくても、十分な暖房能力を発揮できるものである。以下に、給湯暖房同時動作時の動作の詳細を述べる。
本実施例において、給湯暖房同時動作制御手段は、給湯側の温度調節を優先させる運転とし、暖房側は、その給湯側の温度調節によって得られるままの状態(つまり、暖房側に対応させての温度調節を特に行わない)か、あるいは待機とする。
具体的には、熱源装置に要求される給湯要求能力(給湯動作に必要な必要燃焼能力)が予め定められる同時燃焼時燃焼面切り替え基準能力(例えば4.6号)以下のときには、暖房用のバーナ装置5の燃焼を停止したまま給湯用のバーナ装置2の燃焼制御のみを行い、給湯要求能力が前記同時燃焼時燃焼面切り替え基準能力(例えば4.6号)よりも大きいときには、暖房用のバーナ装置5を燃焼させながら、給湯要求能力に対応させて前記給湯用のバーナ装置の燃焼制御を行う。
つまり、図6の特性線a1上または特性線a1よりも左側に示される領域においては暖房用のバーナ装置5の燃焼を行わない待機状態として給湯単独運転時と同様に、例えば給湯用のバーナ装置2aの燃焼を行い、特性線a1よりも右側に示される領域においては、以下に述べるように、給湯要求能力に対応させてガス電磁弁14,17とガス比例弁18の開弁量制御を行う。例えば、必要燃焼能力が前記同時燃焼時燃焼面切り替え基準能力(例えば4.6号)よりも小さい状態から最初に前記切り替え基準能力を超えたときには、まず、暖房用のバーナ装置5の9本のバーナ107の燃焼面を燃焼させる(表1の給湯暖房同時燃焼、切り替え段数(1)を参照)。
本実施例では、暖房用のバーナ装置5の上側に二種管路配設部112が設けられているので、暖房用のバーナ装置5のみの燃焼によっても給湯側の加熱が行われ、ガス比例弁18の開弁量に応じて給湯側の能力も変化し、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合に、給湯設定温度に応じて図6の特性線a1と特性線a2側との間の領域の給湯特性が得られる。つまり、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときに図6の特性線a1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図6の特性線a2側に近づき最大開度のときに特性線a2の特性が得られるので、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
また、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯要求能力に応じて要求される燃焼能力が一段アップすると、暖房用のバーナ装置5に加えてバーナ装置2bの3本のバーナ107を燃焼させ、合計12本のバーナ107,109の燃焼面の燃焼を行う(表1の給湯暖房同時燃焼、切り替え段数(2)を参照)。このとき、ガス比例弁18の開弁量に応じ、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合には、給湯設定温度に応じて、図6の特性線b1と特性線b2側との間の領域の給湯特性が得られる。
つまり、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図6の特性線b1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図6の特性線b2側に近づき、最大開度のときに特性線b2の特性が得られる。そのため、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
なお、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯要求能力が前記同時燃焼時燃焼面切り替え基準能力より大きい状態から切り替え基準能力以下の状態に変化し、その後で、給湯要求能力が前記切り替え基準能力以下の状態から切り替え基準能力より大きい状態に変化したときには、同時燃焼時燃焼面切り替え基準能力を超えても直ぐには暖房用のバーナ装置5の燃焼を開始させず(暖房用のバーナ装置5への点火を行わず)、同時燃焼時燃焼面切り替え基準能力よりも大きい値に設定されている上乗せ含み切り替え基準能力(例えば、ここでは、図6の特性線b1に対応する能力であり、暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2bを、ガス比例弁18の最小開弁量で燃焼させる能力)に達したときに暖房用のバーナ装置を燃焼させて暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2の燃焼制御を行うようにする。
そして、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯要求能力が前記切り替え基準能力より大きい状態から切り替え基準能力以下の状態に変化したときには、暖房用のバーナ装置5の燃焼を停止して(暖房待機として)給湯用のバーナ装置2の燃焼制御のみを行う。
以上のように、本実施例では、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段の制御によって、給湯動作に必要な給湯要求能力が予め定められる切り替え基準能力よりも大きいときには、前記給湯要求能力に対応させて暖房用のバーナ装置5の燃焼制御を行うか該暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2の燃焼制御を行うかすることにより、一種管路配設部111と二種管路配設部112との両方に配設されている給湯用の液体流通管路13を適切に加熱して給湯設定温度の湯を適切な流量で給湯することができる。
一方、給湯動作に必要な給湯要求能力が前記切り替え基準能力以下のときには暖房用のバーナ装置5の燃焼を停止したまま給湯用のバーナ装置2の燃焼制御のみを行うことにより、一種管路配設部111に配設されている給湯用の液体流通管路13と、一種管路配設部111に隣接する一部の二種管路配設部112の給湯用の液体流通管路13とを適切に加熱し、二種管路配設部112に配設されている給湯用の液体流通管路13の加熱は殆ど行わずに、給湯設定温度の湯を適切な流量で給湯することができる。
なお、本実施例では、このように、給湯動作に必要な給湯要求能力が前記切り替え基準能力以下のときには、暖房用のバーナ装置5の燃焼停止によって暖房回路7内の熱媒体の加熱は行われないため暖房側の熱媒体の温度の低下が生じる可能性があるが、暖房側では利用者が直接熱媒体に触れるわけではないため熱媒体の温度の低下を敏感には感じにくい。また、給湯動作に必要な給湯要求能力が前記切り替え基準能力以下のときとは、例えば台所や洗面所等で小流量での給湯を行っている可能性が高く、この時間は長く続かない可能性が高いために、給湯要求能力が前記切り替え基準能力以下での暖房と給湯との同時運転時間は短めであると考えられる。
したがって、例えば給湯と暖房の同時運転(動作)中の給湯要求能力が前記切り替え基準能力以下での給湯が停止されれば暖房単独運転となって暖房用のバーナ装置5の燃焼が行われるようになるため、利用者が暖房運転を望んでいるにもかかわらず暖房用バーナ装置5の燃焼が行われない状態が長く続く可能性は非常に低く、暖房装置70,71の運転に対する利用者の使い勝手に支障が生じることはない。
また、本実施例では、給湯暖房同時動作時に、給湯動作に必要な給湯要求能力が切り替え基準能力より大きい状態から該切り替え基準能力以下に変化した後に、該切り替え基準能力以下の状態から該切り替え基準能力を超える状態に変化したときには、該切り替え基準能力よりも大きい値に設定されている上乗せ含み切り替え基準能力に達したときに、暖房用のバーナ装置5を燃焼させて給湯用のバーナ装置2の燃焼制御も行い、前記給湯動作に必要な給湯要求能力が前記切り替え基準能力よりも大きい値から該切り替え基準能力以下に変化したときには、暖房用のバーナ装置5の燃焼を停止して給湯用のバーナ装置2の燃焼制御のみを行うようにすることにより、以下の効果を奏することができる。
本実施例では、暖房回路7から暖房装置70,71への熱媒体供給の有無を切り替える切り替え手段が熱媒体の温度に対応して開閉する熱動弁48,76によって形成されており、熱動弁の開閉制御は電磁弁のように迅速には行われずにゆっくりと行われ、暖房回路7から暖房装置70,71への熱媒体供給の有無の切り替え信号に対して熱動弁48,76の開閉動作が迅速には追従しない。
それに対し、前記のように、給湯暖房同時動作時に暖房用のバーナ装置5を停止する基準とするための切り替え基準能力と暖房用のバーナ装置5の燃焼を再開する基準とするための上乗せ含み切り替え基準能力の2つの互いに異なる値を与え、上乗せ含みきりか液順応力を切り替え基準能力より高い値に設定し、給湯暖房同時動作時に、これらの基準能力と給湯要求能力とに応じて暖房用のバーナ装置5の停止と燃焼再開(再点火)を行うことにより、熱動弁48,76の開閉動作に適応した制御を行って暖房用のバーナ装置5の停止と燃焼再開(オンオフ)を頻繁に行うことを防ぐことができ、暖房用のバーナ装置5の寿命を長くできる。
また、燃焼制御手段52の給湯暖房同時動作制御手段は、給湯要求能力がさらに一段アップすると、暖房用のバーナ装置5と全ての給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの合計22本のバーナ107を燃焼させる(表1の給湯暖房同時燃焼、切り替え段数(3)を参照)。
このとき、ガス比例弁18の開弁量に応じ、例えば給湯回路45への入水温度が15℃の場合には、給湯設定温度に応じ、図6の特性線d1と特性線d2側との間の領域の給湯特性が得られる。つまり、ガス比例弁18の開弁量が最小開度のときには図6の特性線d1の特性となり、ガス比例弁18の開弁量が多くなるにつれて図6の特性線d2側に近づき、最大開度のときに特性線d2の特性が得られる。そのため、燃焼制御手段52は、給湯設定温度と給湯流量に対応させてガス比例弁18の開弁量を制御して供給ガス量を比例制御する。
なお、図6の特性線cには、暖房用のバーナ装置5と全ての給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの合計22本のバーナ107,109を最大燃焼させた(ガス比例弁18の開度を最大にして燃焼を行った)場合において、暖房用のバーナ装置5の燃焼熱量を暖房用の液体流通管路12が全て吸熱してしまって給湯用の液体流通管路13による吸熱が行えない場合の給湯特性が示されている。
図6の特性線d2と特性線cとを比較すると分かるように、暖房用のバーナ装置5と全ての給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの合計22本のバーナ107を最大燃焼させて、これらのバーナ装置5,2a,2b,2cの燃焼熱量を給湯用の液体流通管路13が全て吸熱すれば、図6の特性線d2の特性が得られて24号給湯器の能力が得られるが、暖房用のバーナ装置5の燃焼熱量を暖房用の液体流通管路12が全て吸熱した場合には図6の特性線cの特性が得られて給湯能力は16.5号給湯器の給湯能力となる。
このようなことから、例えば図6の破線枠E内の領域においては、給湯と暖房の同時燃焼時において、暖房用のバーナ装置5の燃焼熱量を暖房用の液体流通管路12が吸熱する量によっては給湯能力が低下する可能性があるが、本実施例では、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を設け、暖房回路7内の熱媒体(温水)から給湯回路45内の熱媒体(水)への熱移動を行うことにより、そのような給湯能力低下を補充することもできる。
なお、本実施例においては、前記の如く、給湯暖房同時動作時には、給湯要求能力の必要燃焼能力が前記同時燃焼時燃焼面切り替え基準能力(例えば4.6号)よりも小さい状態から最初に前記切り替え基準能力を超えたときには、まず、暖房用のバーナ装置5の9本のバーナ107の燃焼面を燃焼させ、その後、給湯要求能力に応じて要求される燃焼能力が一段アップした時には、暖房用のバーナ装置5に加えてバーナ装置2bの3本のバーナ107を燃焼させるようにする。そして、給湯要求能力がさらに一段アップすると、暖房用のバーナ装置5と全ての給湯用のバーナ装置2a,2b,2cの合計22本のバーナ107を燃焼させる、といった制御を行うようにしており、これらのいずれの場合にも暖房用のバーナ装置5の燃焼が行われる。
なお、給湯要求能力が前記同時燃焼時燃焼面切り替え基準能力より大きい状態から切り替え基準能力以下の状態に変化し、その後で、給湯要求能力が前記切り替え基準能力以下の状態から切り替え基準能力より大きい状態に変化したときには、同時燃焼時燃焼面切り替え基準能力を超えても直ぐには暖房用のバーナ装置5の燃焼を開始させずに前記上乗せ含み切り替え基準能力に達したときに暖房用のバーナ装置を燃焼させて暖房用のバーナ装置5と給湯用のバーナ装置2の燃焼制御が行われる。
このように、本実施例では、給湯暖房同時使用時には、バーナ燃焼切り替えタイミングの詳細の如何にかかわらず、多くの場合、暖房用のバーナ装置5の燃焼が行われることになる。そのため、暖房回路側に供給される熱量が過剰気味になる場合があるが、その場合は、バーナ燃焼段数が小さい場合(例えば表1の給湯暖房同時燃焼時における切替段数(1)や(2))でも、過剰な熱量を給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33を通して給湯側に伝えるように追い焚き用液体流量制御弁32を制御することもできる。
ところで、本実施例のように、1つの燃焼ファン15を設けて給湯と暖房の運転を行う装置においては、その燃焼ファン15を、給湯単独運転時であっても暖房単独運転時であっても駆動する。そのため、給湯用のバーナ装置2と暖房用のバーナ装置5とを並設し、給湯用のバーナ装置2の上側には給湯熱交換器を設けて暖房用のバーナ装置5の上側には暖房用熱交換器を設ける構成として、給湯運転を断続的に行いながら暖房運転を行うと、給湯運転停止期間において給湯熱交換器内に滞留している湯が燃焼ファン15からの送風によって冷やされることになり、このことに起因して給湯温度が変動する冷水サンドイッチ現象が生じてしまう。
それに対し、本実施例では、給湯用のバーナ装置2の上側には給湯用の液体流通管路13が配設された一種管路配設部111を設け、給湯用のバーナ装置2と並設された暖房用のバーナ装置5の上側には、暖房用の液体流通管路12によって給湯用の液体流通管路13を上下に挟む態様で接して配設された二種管路配設部112を設けた特徴的な構成としていることから、以下の効果を奏することができる。
つまり、暖房単独運転が行われて暖房用バーナ装置5の燃焼と共に燃焼ファン15の駆動が行われると、一種管路配設部111の液体流通管路13内に滞留している湯が給湯停止以降の燃焼ファン15からの風によって冷えてしまっても二種管路配設部の液体流通管路13内に滞留している湯が暖房用のバーナ装置5の燃焼によって加熱されるため、メインの給湯熱交換器3を形成する給湯用の液体流通管路13内に温かい湯が残り、また、給湯回路45を通って給湯される熱媒体(湯)は、一種管路配設部111と暖房用のバーナ装置5に加熱される二種管路配設部112とを通って給湯されることから、冷水サンドイッチ現象を抑制できる。
なお、本実施例において、図2の右側から4番目に示されているように、給湯用のバーナ装置2側にはみ出している二種管路配設部112の液体流通管路13は、暖房用のバーナ装置5の燃焼時にバーナ装置5の燃焼面よりも給湯用のバーナ装置2側に広がりながら上昇する燃焼ガスによって加熱されるものの、燃焼ガスの熱は液体流通管路13の下側に該液体流通管路13と接して設けられている液体流通管路12によって殆ど吸熱されてしまうために、液体流通管路13によって吸収される燃焼ガスの熱量はそれほど大きくない。
したがって、この部分の液体流通管路13が暖房用のバーナ装置5からの燃焼ガスの広がりによって加熱されても、それだけでは給湯される湯の冷水サンドイッチ現象の抑制はできないが、本実施例では、暖房用のバーナ装置5の上側に配置されている液体流通管路13(図2では右側から1番目、2番目、3番目のそれぞれの液体流通管路13)は暖房用のバーナ装置5の燃焼ガスの熱量を十分に吸熱でき、これらの液体流通管路13内には温かい湯が残ることになり、前記の如く冷水サンドイッチ現象を抑制することができる。
つまり、本実施例の構成は、暖房単独運転時に給湯側の液体流通管路13内の液体(水)が沸騰してしまうことを抑制できて効率的に運転できることに加え、給湯運転を断続的に行いながら暖房運転を行う場合に懸念される冷水サンドイッチ現象の抑制もできるものである。
なお、図11に示した熱源装置のように、給湯用のバーナ装置2と風呂の追い焚き用のバーナ装置102とを並設し、給湯用のバーナ装置2の上側に給湯用の液体流通管路13を設けて追い焚き用のバーナ装置102の上側には追い焚き用の液体流通管路105を設け、給湯側と追い焚き側とにそれぞれ燃焼ファンを設ける構成の場合にも、それらの両方の燃焼ファンの駆動が給湯単独運転時も追い焚き単独運転時も行われる。ただし、この場合、燃焼が行われていない側の燃焼ファンの駆動は燃焼ガスの逆流を防ぐためのものであるために送風量は少ない。
つまり、このような燃焼ガスの逆流防止のための送風によって、燃焼が行われていない側の熱交換器内の湯温が大きく低下するほどではなく、図11に示したような2つの燃焼ファン15を設ける構成においては、冷水サンドイッチ現象の発生の懸念は少ないが、前記の如く、仕切り等を設けないと、給湯や追い焚きの単独燃焼時に、燃焼していない側の熱交換器内の水等が沸騰してしまうといった問題が生じることになる。
それに対し、本実施例の熱源装置は、このような水等の熱媒体の沸騰の問題を防止でき、かつ、前記のように冷水サンドイッチ現象の抑制も両立できて、給湯単独運転時でも給湯と暖房の同時運転時でも給湯温度の安定化を図れ、さらに、構成も簡単であることから低コスト化も図れる優れた熱源装置である。
なお、図7には、本実施例の変形例として、潜熱回収用の給湯熱交換器4の出側の通路の給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33への熱的接続構成を図1とは異なる構成とした例が示されている。図7に示す例においては、給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33には、暖房用循環ポンプ9の駆動によって、複合熱交換器1の暖房用の液体流通管路12から出た熱い熱媒体(ここでは水)が導入されて図7の矢印Bに示すように流通し、給湯動作時に、潜熱回収用の給湯熱交換器4からは、矢印Bとは逆方向(矢印B’の方向)を流れるように水が給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入されて流通する。
つまり、暖房用の液体流通管路12側から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入される熱媒体は給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33の給水側出口から流入し、潜熱回収用の給湯熱交換器4から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入される水は給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33の熱媒体出口(水出口)から流入し、この水と液体流通管路12からの前記熱媒体とが互いに逆方向に流通するという対向熱交換器により給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33が形成されている。例えば暖房用の液体流通管路12から加熱された熱い熱媒体(ここでは熱い湯)を給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に導入しながら潜熱回収用の給湯熱交換器4から給湯暖房熱的接続用液−水熱交換器33に温めの湯や水を導入すると暖房回路側の熱を給湯回路側に移動させる(給湯側が暖房側の熱を吸熱する)ことができる。