JP2020105970A - 2部品の接合方法 - Google Patents

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Rikiya INADA
力也 稲田
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賢一 郡司
聡士 長谷
Satoshi Hase
聡士 長谷
良平 松竹
Ryohei MATSUTAKE
良平 松竹
耕幸 田中
Yasuyuki Tanaka
耕幸 田中
雄太 柳沢
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雄太 柳沢
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Abstract

【課題】金属部材同士の焼き付き不良及び溶接不良を抑制する。【解決手段】アウター部材(アダプタ2)とインナー部材(固定コア1)とを圧入して溶接する2部品の接合方法であって、アウター部材2及びインナー部材1の少なくとも一方は中心孔FPを備えており、アウター部材2とインナー部材1との圧入工程の前に、アウター部材2及びインナー部材1の少なくともいずれか一方の部品の圧入面となる表面に、軸方向に断続的に続く多数の平坦部2cを設ける。【選択図】図3A

Description

本発明は、複数の金属部材の接合方法に係り、複数の金属部材を圧入して溶接する2部品の接合方法に関する。
燃料噴射弁には、複数の金属部材を接合した部品がしばしば含まれる。この種の燃料噴射弁の製造方法として、国際公開第2014/196240号パンフレット(特許文献1)に記載された製造方法が知られている。特許文献1の製造方法における2部品の接合方法は、インナー側の金属部材(以下、インナー部材)であるコアをアウター側の金属部材(以下、アウター部材)であるメタルジョイントに圧入し、その後コアとメタルジョイントとを溶接する。
国際公開第2014/196240号パンフレット
特許文献1の2部品の接合方法では、レーザ溶接に先行して圧入工程を行う場合、圧入時の金属部材同士の焼付きを防止するために、一般的には潤滑油が必要である。しかしながら圧入部と溶接部が近接している場合、圧入時に使用した潤滑油が溶接の入熱でガス化し、ブローホール等の溶接不良が生じる場合があり、その対策が必要になる。
一方、溶接時のブローホールを低減するために潤滑油を用いずに無潤滑で圧入した場合は、圧入部に焼付きが生じ易いばかりか、圧入途中での焼き付きにより2部品が固着してしまい、圧入作業自体が完遂できない場合がある。
本発明の目的は、金属部材を圧入する時の焼き付きを低減すること及び、圧入した金属部材同士の溶接部にブローホール等の不良が発生し難い2部品の接合方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、アウター部材にインナー部材を圧入して溶接した部品を含み、アウター部材及びインナー部材の少なくとも一方が中心孔を備えている。アウター部材及びインナー部材の圧入面となる嵌め合い部において、少なくともいずれか一方の部品の表面に圧入方向に断続的に続く、多数の平面部を設ける。
本発明によれば、圧入作業で組み立てる金属部材同士の焼き付きを低減できる。更には、圧入して組み立てた部品同士を溶接した場合に、溶接部のブローホール等の不良が抑制できる。
本発明の一実施例に係る燃料噴射弁の概略構成を表す断面図である。 図1の燃料噴射弁における2部品の接合部を示す図であり、アウター部材(アダプタ)とインナー部材(固定コア)とを嵌め合わせた状態を表す断面図である。 アウター部材であるアダプタの圧入前の状態を示す断面図であり、アウター部材(アダプタ)の圧入面となる凹部内周面2r1の断面の詳細形状をイメージとして示した図である。 図3Aの状態(形状)とする前の凹部内周面の断面の詳細形状をイメージとして示す模式図である。 図3AのIIIC部の詳細形状をイメージとして示す模式図である。 アウター部材の圧入面となる凹部の表面詳細形状の顕微鏡写真、及び面粗さ測定結果を示す図である。 平坦部(円筒面部)、導入部及び低剛性部の加工工程の説明図である。 本発明の一実施例に係る図であり、アウター部材とインナー部材とを圧入結合させる際に用いる押圧ユニットの断面を示す模式図である。 本発明の一実施例に係る図であり、圧入工程後にアウター部材とインナー部材との接合部を溶接した状態を表す断面図である。
本発明に係る2部品の接合方法は、燃料機器としての燃料噴射弁や高圧燃料供給ポンプに好適な製造方法に関する。
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で用いる断面図は、燃料噴射弁の中心軸線30aに平行、且つ中心軸線30aを含む断面を示している。
−燃料噴射弁の概略構成−
図1は、本発明の一実施例に係る燃料噴射弁の概略構成を表す断面図である。同図に示した燃料噴射弁30は電磁駆動式のものであり、磁気回路部、バルブ部、アダプタ2等から構成されている。
以下の説明において、上下方向を指定して説明する場合があるが、この上下方向は図1の上下方向に基づいており、燃料噴射弁30の実装状態における上下方向とは必ずしも一致しない。また図1において、燃料噴射弁30の下端(オリフィスカップ8が設けられる側の端部)を先端と呼び、上端(オリフィスカップ8が設けられる側とは反対側の端部)を基端と呼んで説明する場合がある。また燃料噴射弁30の中心軸線30aに沿う方向を軸方向と呼んで説明する。なお本実施例では、中心軸線30aは固定コア1、可動子9及びプランジャロッド5の中心軸線と一致している。
磁気回路部は、固定コア(ソレノイドコア)1、アダプタ2、ハウジング3、ノズルホルダ4、可動子(可動コア)9、コイル6及びターミナル7等で構成されている。ノズルホルダ4は筒状の部品であり、筒状の固定コア1の先端側(同図中の下側)に装着されている。固定コア1の外周にはコイル6が設けられている。これら固定コア1及びコイル6の周囲は更にハウジング3で包囲されている。
アダプタ2は燃料噴射弁30を燃料供給管(不図示)に接続する配管継手であり、固定コア1の基端側(同図中の上側)に溶接されている。アダプタ2、固定コア1及びノズルホルダ4にはそれぞれ中心孔2a,1a,4aが設けられており、これら中心孔2a,1a,4aが連なって燃料通路FPが形成されている。この燃料通路FPには、高圧燃料ポンプ(不図示)からの燃料が燃料供給管を介して供給される。なお本実施例では、アダプタ2は固定コア1に一体に接合される部品であり、固定コア1と共に磁気回路部の一部として取り扱っているが、アダプタ2には磁気回路は構成されない。
バルブ部は、プランジャロッド5、オリフィスカップ8等で構成されている。オリフィスカップ8は複数の燃料噴射孔及び弁座を持つ燃料噴射部であり、ノズルホルダ4の先端に装着されている。プランジャロッド5は燃料噴射弁30の弁体であり、燃料通路FPに軸方向に摺動可能に収容されている。プランジャロッド5によって構成される弁体は、オリフィスカップ8に形成された弁座と協働して、燃料噴射孔に通じる燃料通路の開閉を行う。
プランジャロッド5の基端側(コア1側)の端部(基端部)には可動子9が装着されている。固定コア1の燃料通路FPにはスプリングSが収容されており、スプリングSでプランジャロッド5の先端がオリフィスカップ8の弁座に押し付けられている。プランジャロッド5がオリフィスカップ8の弁座に押し付けられることで、オリフィスカップ8の燃料噴射孔が閉止されている。
このような構成により、ターミナル7(駆動回路)を介して供給される電流がコイル6に流れると、コア1が励磁されて磁気吸引力を発生させ、スプリングSの復元力に抗して可動子9を吸引する。この可動子9の移動に伴ってプランジャロッド5がオリフィスカップ8から離れ、オリフィスカップ8の燃料噴射孔が開き、高圧燃料ポンプで加圧された燃料通路FP内の燃料が燃料噴射孔から噴出する。
−アウター部材/インナー部材−
本明細書に言う「アウター部材」及び「インナー部材」は燃料噴射弁30の部品であり、アウター部材にインナー部材が圧入により接合され、その後、溶接(例えばレーザ溶接)によりアウター部材とインナー部材とが互いに接合される。本実施例においては、アウター部材及びインナー部材の両方に、軸方向に延設された中心孔が備わっている。この中心孔は、アウター部材及びインナー部材の少なくとも一方に備わっていることが条件となる。本実施例では、アダプタ2をアウター部材、固定コア1をインナー部材とした場合を例に挙げて説明する。
図2は、図1の燃料噴射弁における2部品の接合部を示す図であり、アウター部材(アダプタ)とインナー部材(固定コア)とを嵌め合わせた状態を表す断面図である。なお図2では、固定コア1とアダプタ2との上下関係が図1と逆になっており、コア1の凸部1pがアダプタ2の凹部2pに圧入結合された状態を示している。
本実施例では、2部品を圧入により嵌め合わせた圧入部は、凸部1pと凹部2rとにより構成される。凸部1pは、円筒状の外周面を有し、固定コア1の基端側端部に設けられる。凸部1pの外周面は、凸部1pに対して固定コア1の先端側の部分(外周面)1bよりも小径に形成される。言い換えれば、外周面1bは凸部1pの外周面よりも大径に形成されている。以下、凸部1pよりも先端側の部分1bを大径部と呼び、凸部1pを小径部と呼んで説明する場合がある。固定コア1の大径部1bと小径部1pと間には段差面1bpが形成される。
一方、アダプタ2の固定コア1側の端部(先端側端部)には、凸部1pが嵌め合わされる凹部2rが形成されている。凹部2rは先端側の内周面部分2r1が円筒状の内周面として形成され、内周面部分2r1に固定コア1の凸部1pが圧入される。圧入後の固定コア1及びアダプタ2は、アダプタ2の端面2bが固定コア1の段差面1bpに当接している。
図3Aは、アウター部材であるアダプタの圧入前の状態を示す断面図であり、アウター部材(アダプタ)の圧入面となる凹部内周面2r1の断面の詳細形状をイメージとして示した図である。図3Bは、図3Aの状態(形状)とする前の凹部内周面の断面の詳細形状をイメージとして示す模式図である。図3Cは、図3AのIIIC部の詳細形状をイメージとして示す模式図である。なお図3A,3Bでは、アダプタ2の凹部2rの圧入面2r1を拡大して、分かり易いようにイメージ的に表したものであり、正確な形状や正確な寸法比率で描いた図ではない。
圧入面となる凹部2rは一般的には旋削加工され、旋削面をミクロ的に観察すると、図3Bに示すようにノコギリ刃のように径方向内側に向かって尖鋭な三角形状の山部2eが形成される。本実施例の加工を施す前の圧入面2r1は、多数の山部2eが軸方向に連続して連なった形状になっている。山部2eは斜面2e1,2e2を有する。なお、図3Bに示すノコギリ刃形状は固定コア1の圧入面となる凸部1pの外周面も同様である。
本実施例では、図3Aに示すように、圧入前に、図3Bの三角形状の山部2eの頂部が平坦形状となるように円筒面部2c及び導入部2dを形成する。円筒面部2cは、山部2eの最も径方向内側に位置して、最も高くなる部分であり、図3Aの断面上においては、軸方向に沿う直線状に形成される部分(直線状部分)である。このため円筒面部2cは、軸方向においては平坦面な形状を成すため、以下、平坦部と呼んで説明する。
平坦部2cに対してアダプタ2の端面2b側となる凹部2rの入り口側には、導入部2dが設けられている。導入部2dは丸み部を形成し、特に本実施例の導入部2dはR状に形成される。また、軸方向において導入部2dの反対側には、雪庇状に突出した低剛性部2fが形成されている。
低剛性部2fは、山部2eから、軸方向に沿って、庇状に突出した状態に形成される。低剛性部2fは、平坦部(円筒面部)2cに連続する平坦部(円筒面部)を形成するが、平坦部2cが山部2eの下層部分によって支持されているのに対して、低剛性部2fは山部2eの下層部分によって支持されておらず、低剛性部2fの下層部は中空となっている。このため、低剛性部2fは円筒面部2cに対して剛性が低くなっている。
なお本実施例においては、平坦部(円筒面部)2cを設けることで、圧入時における金属部材同士の焼き付きを低減でき、導入部2d及び低剛性部2fのない構成であってもよい。導入部2dを設けることで圧入時における金属部材同士の焼き付きを低減する効果が高まり、さらに低剛性部2fを設けることで圧入時における金属部材同士の焼き付きを低減する効果がさらに高まる。
導入部2dは丸み部を形成する。この丸み部は、図3Cに示すように、山部2eの斜面2e1と平坦部2cとの間を接続する曲面部として形成される。この曲面部2dは、斜面2e1と平坦部2cとの間の2点2d1,2d2において、斜面2e1側に位置する点2d1に接する接線の中心軸線30aに対する傾斜角度θ1が、平坦部2c側に位置する点2d2に接する接線の中心軸線30aに対する傾斜角度θ2よりも大きくなるような曲面として形成される。
図4は、アウター部材の圧入面となる凹部の表面詳細形状の顕微鏡写真、及び面粗さ測定結果を示す図である。図4では、圧入作業前の圧入面と、この圧入面を面粗さとしてレーザ顕微鏡で測定した結果を示している。
面粗さの測定部位は、顕微鏡写真内に横線で示した部分である。図4から明らかなように山部2eの先端(頂部)には平坦部が形成されており、圧入される相手側部品(固定コア1)の移送方向(圧入方向)Tにおいて、圧入部の後端側となる、平坦部の右側(面粗さ形状の右側)には僅かにR状となった導入部が形成されている。なお、面粗さグラフの縦軸と横軸の単位は共にμmであり、グラフの縦横比は異なっている。なお図4では低剛性部2fの確認はできないが、後述する加工条件を適切にすることにより、低剛性部2fを形成することも可能である。
圧入作業での焼き付きをより確実に防止するためには、固定コア1の圧入面1p1を図3Bと同様な形状とすればよい。すなわち、凸部1pの圧入面1p1に形成された山部(2eに相当)の先端を2cに相当する平坦部とし、軸方向において平坦部(円筒面部)の両側に2dに相当する導入部と2fに相当する低剛性部とを設ける。以下、固定コア1に設ける山部、2つの斜面、平坦部、導入部及び低剛性部においても、符号2e、(2e1,2e2)、2c、2d及び2fを用いる。
アダプタ2の圧入面2r1だけに平坦部(円筒面部)2c、導入部2d及び低剛性部2fを設けるか、または固定コア1の圧入面にだけ平坦部(円筒面部)2c、導入部2d及び低剛性部2fを設けるか、または両部品に平坦部(円筒面部)2c、導入部2d及び低剛性部2fを設けるかは、適宜選択すればよい。
また、アダプタ2に形成される山部2eの斜面2e1は、各山部2eにおいて、圧入の開始端側に形成される斜面であり、各山部2eにおいて、圧入される相手部品(固定コア1)に対する移送方向(相対的移送方向)Tの前側に形成される斜面である。導入部2dは平坦部2cに対して山部2eの前側の斜面2e1側に形成される。
アダプタ2に形成される山部2eの斜面2e2は、各山部2eにおいて、圧入の終了端側(端面2bとは反対側の端部)に形成される斜面であり、各山部2eにおいて相対的移送方向Tの後側に形成される斜面である。低剛性部2fは平坦部2cに対して山部2eの後側の斜面2e2側に形成される。
この場合、アダプタ2においては、圧入の開始端はアダプタ2の端面2b側に位置する圧入部端部であり、圧入部の終了端は凹部2rの底面2r2側に位置する圧入部端部である。
インナー部材(固定コア1)に平坦部(円筒面部)2c、導入部2d及び低剛性部2fを設ける場合、図3Aにおける相対的移送方向Tと平坦部(円筒面部)2c、導入部2d及び低剛性部2fとの位置関係は、インナー部材(固定コア1)から見たアウター部材(アダプタ2)の相対的移送方向Tと、インナー部材(固定コア1)に形成される平坦部(円筒面部)2c、導入部2d及び低剛性部2fとの間に成立するように適用される。
この場合、固定コア1においては、圧入の開始端は凸部1pの端面1p2(図2参照)側に位置する圧入部端部であり、圧入部の終了端は固定コア1の段差面1bp側に位置する圧入部端部である。すなわち導入部2dは、平坦部2cに対して、アダプタ2に対する相対的移送方向(図3Aに示すTとは逆方向)の前側に形成される山部2eの斜面2e1側に形成され、低剛性部2fは、平坦部2cに対して、相対的移送方向Tの後側に形成される山部2eの斜面2e2側に形成される。
ここで、相対的移送方向の前側は圧入作業時に相対的に相手部品が進入してくる側であり、相対的移送方向の後側は圧入作業時に進入した相手部品が通り越して行く側である。
もしインナー部材(固定コア1)及びアウター部材(アダプタ2)の両方に、導入部を構成した場合、インナー部材(固定コア1)の導入部(2dに相当)とアウター部材(アダプタ2)の導入部2dとが対向する形で、圧入が行われる。
−燃料噴射弁の製造方法(1)−
本実施例では、インナー部材(固定コア1)とアウター部材(アダプタ2)との接合工程の前に、図3Aに示した平坦部(円筒面部)2c、導入部2d及び低剛性部2fの加工工程を実行する。
図5は、平坦部(円筒面部)、導入部及び低剛性部の加工工程の説明図である。
平坦部2c及び導入部2dの製造方法(加工方法)は、例えば、アダプタ2の凹部2rを旋削加工した後に、凹部2r内にパンチ40を押し込みながら、凹部2rの内面2r1をしごき加工することが望ましい。すなわち、平坦部2c及び導入部2dは、アウター部材(アダプタ2)及びインナー部材(固定コア1)の少なくともいずれか一方の部品の圧入面となる表面を旋削加工する際に形成される加工痕(山部2e)をしごき加工することにより形成される。
このしごき加工は凹部2r内にパンチ40を1回、押し込むことで実行することができる。しごき加工することで平面部2c及び導入部2dは加工硬化され、導入部2dから平面部2cに亘って表面にほぼ平行なファイバーフローが形成され、圧入作業時に相手部品が滑りやすくなることにより、一段と焼き付き難くすることができる。
圧入作業での焼き付きは、例えば圧入作業時に図3Bに示すような面粗さの山部2eの頂部が局部的に擦れあうことによりせん断され、新生面が現れることで生じ易くなる。すなわち圧入作業での焼き付きは、出現直後の新生面における材料同士が溶着することにより発生する。従って、焼き付きを防止するためには、圧入面となる山部2eの頂部を予め平坦部(円筒面部)2cにしてから圧入作業を行うことが有効である。パンチ40によるしごき加工により平坦部(円筒面部)2cが形成される際、しごき加工時に平坦部2cが新生面として出現するが、新生面として出現した平坦部2cは出現後の短時間に酸化され、その後の圧入工程時には焼き付きを起こし難い面に変化している。
導入部2dは、圧入時に、インナー部材(固定コア1)とアウター部材(アダプタ2)との嵌め合いが滑らかに行われるようにして、せん断による新生面の出現を抑制する。
また、低剛性部2fにより、軸方向における平坦部2cの長さL2c(図3A参照)を長くすることで、圧入部における接触面積を大きくすることができる。焼き付きのもう一つの主要な原因として、圧入部に発生する温度がある。圧入部における接触面積を大きくすることで接触面の温度上昇を抑制し、焼き付きの発生を抑制することができる。
−燃料噴射弁の製造方法(2)−
本実施例における燃料噴射弁30の製造方法は、インナー部材である固定コア1とアウター部材であるアダプタ2との接合工程を除き、一般的な製造工程と同様とすることができる。従って、ここでは固定コア1とアダプタ2との接合工程について説明する。
図6は、本発明の一実施例に係る図であり、アウター部材とインナー部材とを圧入結合させる際に用いる押圧ユニットの断面を示す模式図である。
まず図6に示したように押圧ユニットにより固定コア1を押圧することで、アダプタ2の凹部2rにコア1の凸部1pを所定の位置まで圧入する。この際、圧入部に対する潤滑油の塗布は行わないことが好ましい。同図に示す押圧ユニットは、固定コア1を上から押圧するパンチ10、押圧中の固定コア1及びアダプタ2を覆うガイド11、ガイド11に拘束されて固定コア1とアダプタ2を受ける治具12a等から構成されている。
パンチ10における固定コア1との接触部は平面であり、パンチ10は固定コア1の可動子9と対向する端面(図6上での上端面)の全体に面接触する。特に図示していないが、固定コア1とアダプタ2の外周を拘束する治具12b,12cを用いることで、押圧時にコア1とアダプタ2との軸ずれを抑制できる。また押圧時のコア1の押し込み量を制限するストッパ(不図示)を用いることで、コア1及びアダプタ2からなる結合部品の軸方向長さのばらつきを抑えることができる。
図7は、本発明の一実施例に係る図であり、圧入工程後にアウター部材とインナー部材との接合部を溶接した状態を表す断面図である。
コア1及びアダプタ2の圧入作業が完了した後、組み立てられたコア1及びアダプタ2を押圧ユニットから取出し、段差面1bpと端面2bとの対向部を外周側から全周に亘って、溶融部20の様に溶接する。
その後は、接合されたコア1及びアダプタ2に対して各部品を取付けて燃料噴射弁30を完成させる。完成品は適宜検査を実施した上でエンジン等の対象製品に組み込まれる。
−効果−
本実施例においては、圧入する場合に焼き付き防止として一般的に必要とされる潤滑油が不要になるため、固定コア1やアダプタ2の圧入部に対する潤滑油の塗布工程、圧入後の油分除去(洗浄)工程が省略できる。
そして、上記のように予め固定コア1とアダプタ2とを組み立てておくことで一つの部品として取り扱うことができ、両者を溶接により精度良く接合することができる。また、コア1とアダプタ2との組み立てのための潤滑油が不要であるため、溶接時に油によるブローホールの発生も抑制できる。このようにブローホールの発生を効果的に抑制して固定コア1及びアダプタ2の溶接不良を低減することができ、両者をより強固にシール性良く結合することができる。
上述した実施例は、以下の特徴を備える。
(1)アウター部材(アダプタ2)とインナー部材(固定コア1)とを圧入して溶接する2部品の接合方法であって、アウター部材2及びインナー部材1の少なくとも一方は中心孔FPを備えており、アウター部材2とインナー部材1との圧入工程の前に、アウター部材2及びインナー部材1の少なくともいずれか一方の部品の圧入面となる表面に、軸方向に断続的に続く多数の平坦部2cを設ける。
(2)アウター部材2及びインナー部材1の圧入時における相対的移送方向Tにおける、平坦部2cの前側の部分に、曲面によって構成される導入部2dを設ける。
(3)アウター部材2及びインナー部材1の圧入時における相対的移送方向Tにおける、平坦部2cの後側の部分に、軸方向に庇状に突出した低剛性部2fが形成される。
(4)平坦部2cは加工硬化しており、母材の硬度より硬くなっている。
(5)導入部2dは加工硬化しており、母材の硬度より硬くなっている。
(6)平坦部2cは、アウター部材2及びインナー部材1の少なくともいずれか一方の部材の圧入面となる表面を旋削加工する際に形成される加工痕(山部2e)をしごき加工することにより形成される。
(7)アウター部材2及びインナー部材1の圧入面に潤滑油を塗布することなく両部材2,1を圧入する。
1…固定コア(インナー部材)、1p…凸部、1bp…端面、2…アダプタ(アウター部材)、2c…平坦部、2d…導入部、2e…山部(加工痕)、2r…凹部、2b…端面、20…溶融部、30…燃料噴射弁、FP…燃料通路(中心孔)。

Claims (7)

  1. アウター部材とインナー部材とを圧入して溶接する2部品の接合方法であって、前記アウター部材及び前記インナー部材の少なくとも一方は中心孔を備えており、 前記アウター部材と前記インナー部材との圧入工程の前に、前記アウター部材及び前記インナー部材の少なくともいずれか一方の部材の圧入面となる表面に、軸方向に断続的に続く多数の平坦部を設けることを特徴とする2部品の接合方法。
  2. 請求項1に記載の2部品の接合方法において、
    前記アウター部材及び前記インナー部材の圧入時における相対的移送方向における、前記平坦部の前側の部分に、曲面によって構成される導入部を設けることを特徴とする2部品の接合方法。
  3. 請求項1に記載の2部品の接合方法において、
    前記アウター部材及び前記インナー部材の圧入時における相対的移送方向における、前記平坦部の後側の部分に、軸方向に庇状に突出した低剛性部が形成されることを特徴とする2部品の接合方法。
  4. 請求項1または2に記載の2部品の接合方法において、
    前記平坦部は加工硬化しており、母材の硬度より硬くなっていることを特徴とする2部品の接合方法。
  5. 請求項2に記載の2部品の接合方法において、
    前記導入部は加工硬化しており、母材の硬度より硬くなっていることを特徴とする2部品の接合方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2部品の接合方法において、
    前記平坦部は、前記アウター部材及び前記インナー部材の少なくともいずれか一方の部材の圧入面となる表面を旋削加工する際に形成される加工痕をしごき加工することにより形成されることを特徴とする2部品の接合方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の2部品の接合方法において、
    前記アウター部材及び前記インナー部材の圧入面に潤滑油を塗布することなく両部材を圧入することを特徴とする2部品の接合方法。
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