以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以降の説明において、上下方向等の方向は、図面の記載にしたがったものとする。
<第1の実施形態>
[フロートプラットフォーム]
本発明が摘要されたフロートプラットフォームは、河川や海等の水中に設けた橋脚等の水中構造物の修理・補強等の改修を行う際に構築する仮締切構造体の施工に使用され、具体的には、その上で、後述する仮締切構造体の組み立て中間体が組み立てられる。図1〜図4に示すように、フロートプラットフォームFP1は、水面W上に浮くように設計されており、例えば、橋梁1の橋脚10の周囲を取り囲むように配置される。フロートプラットフォームFP1は、仮締切構造体7の組み立て中間体70を水上で組み立て可能で且つ保持可能な縮小状態(図1及び図2参照)と、仮締切構造体7の組み立て中間体70を通過させ且つ水中に降下可能な拡大状態(図3及び図4参照)とを相互に変更可能に取ることができるように構成されている。すなわち、縮小状態が本発明でいう第1の状態に相当し、拡大状態が本発明でいう第2の状態に相当する。ここで、橋脚10は、本発明でいう水中構造物の一例に相当する。図1〜図4に示すように、フロートプラットフォームFP1は、作業フロート2、通路フロート3、及び位置決めスペーサー4を具備している。フロートプラットフォームFP1は、その上面が水面W上に突出していることが仮締切構造体7の施工上望ましいが、若干(20cm程度)沈んでいてもよい。
作業フロート2は、フロートプラットフォームFP1の主たる構成要素である。実質的には、作業フロート2が、一体性を保ちつつ、縮小状態と、拡大状態とを相互に変更可能に取ることができる。図1〜図4に示すように、この作業フロート2は、フロート分割体5及びスライド機構6を具備しており、フロート分割体5がスライド機構6により連結されることにより、橋脚10の周囲を取り囲んでいる。
図1〜図4に示すように、作業フロート2(ひいてはフロートプラットフォームFP1)は、複数台(本実施形態では4台)のフロート分割体5を備えている。図1〜図4、及び図5(A)に示すように、個々のフロート分割体5は、平面視において矩形形状で、直方体形状を有する矩形フロートユニット50と、平面視において湾曲形状を有する湾曲フロートユニット50Aとを含んでいる。矩形フロートユニット50及び湾曲フロートユニット50Aは、作業フロート2に浮力を付与する。矩形フロートユニット50は、フロートユニットとして標準的な形状である。組み立て中間体70は、橋脚10の断面形状に合わせて、少なくとも一部に湾曲形状を含む。湾曲フロートユニット50Aの湾曲形状は、組み立て中間体70の湾曲形状に合わせたものである。
図5(A)及び図5(B)に示すように、矩形フロートユニット50及び湾曲フロートユニット50Aは、L字鋼及び平鋼により形成された籠状物であり、二層構造を有している。二層構造の上層51は、後述するスライド機構6を収容可能に形成されている。下層52は、発泡スチロール53を収容している。発泡スチロール53は、矩形フロートユニット50及び湾曲フロートユニット50Aに浮力を付与するためのものであり、トラックシートに用いられるエステル帆布に包まれている。なお、フロートプラットフォームFP1を形成するフロート分割体5の数は4台に限られず、2台、3台、5台、6台、7台、8台、9台、又はそれ以上としてもよい。また、ここで矩形とは、長方形や正方形等の四角形を意味するものであるが、略矩形のものを含む。例えば、隅部が丸みを帯びていてもよいし、面取りされたものでもよい。矩形を構成する辺の一部又は全部が曲がった辺であってもよい。矩形が若干変形し、台形や平行四辺形の形状になっているものであってもよい。
図5(A)に示すように、矩形フロートユニット50及び湾曲フロートユニット50Aの上面には、作業板として木製足場板54が張られている。木製足場板54は、フロート分割体5の上面を平面状にし、フロートプラットフォームFP1上での作業を容易なものとする。なお、作業板は、木製に限らず、金属製、FRP製、ゴム製又は樹脂製を使用でき、グレーチングであることが好ましい。金属としては、例えば、鉄、ステンレス、又はアルミニウム等が挙げられる。樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリプロピレン、又はポリエチレン等が挙げられる。
図5(A)に示すように、フロート分割体5は、直線部55と湾曲形状部56とを含んでいる。直線部55は、直方体形状を有する矩形フロートユニット50を連結して製作され、連結する矩形フロートユニット50の数により長さを調節可能である。湾曲形状部56は、現場寸法に合わせて、平面視において湾曲形状を有する湾曲フロートユニット50Aを組み合わせて製作される。図5(B)に示すように、矩形フロートユニット50は端部50aにボルト取付け穴50bを有している。フロート分割体5は、矩形フロートユニット50同士をボルト50cとナット50dで連結して製作される。湾曲フロートユニット50Aもまた端部50aにボルト取付け穴50bを有している。湾曲フロートユニット50A同士、矩形フロートユニット50と湾曲フロートユニット50Aもまた同様に連結される。フロート分割体5は、直線部55と湾曲形状部56の両方を含んでいるものに限られず、直線部55のみ又は湾曲形状部56のみとしてもよいし、L字形状、コの字形状としてもよい。
図6(A)〜図6(C)に示すように、隣り合う2台のフロート分割体5は、スライド機構6により連結されている。図6(A)に示すように、スライド機構6は、矩形フロートユニット50の二層構造の上層51に収容されている。図6(B)又は図6(C)に示すように、スライド機構6は、隣り合うフロート分割体5同士を相対的にスライド移動させるためのもので、スライドパイプ60とスライドバー61とを具備し、スライドバー61がスライドパイプ60に挿入され、互いにスライド可能な状態で一体化されたものである。スライド機構6は、隣り合うフロート分割体5同士の連結部20につき2個設けられている。フロートプラットフォームFP1の組み立てに際し、スライドパイプ60は互いに隣接する一方のフロート分割体5に取付け具62を用いてボルト63により固定され、スライドバー61は他方のフロート分割体5に取付け具64を用いてボルト63により固定される。これにより、隣り合う2台のフロート分割体5は、互いにスライド移動可能となる。スライド機構6は、毎回同じ軌道に沿ってフロート分割体5をスライド移動させる。このスライド移動により、隣り合うフロート分割体5は、互いに離合する。離合により、作業フロート2は、一体性を保ちつつ、縮小状態と拡大状態との間で相互変換する。なお、スライド機構6は、本発明でいう伸縮連結手段の一例に相当する。また、スライド機構6は、湾曲フロートユニット50Aの上層51に収容されてもよい。
図6(B)に示すように、スライドバー61がスライドパイプ60に矢印N1で示す方向にスライドし深く挿入された状態となると、隣り合う2台のフロート分割体5はそれぞれ相対的に矢印N1及び矢印N2で示す方向にスライド移動する結果、近接した状態となり、連結部20は閉じた状態となる。図6(C)に示すように、スライドバー61が矢印N9で示す方向にスライドしスライドパイプ60に浅く挿入された状態になると、2台のフロート分割体5は、それぞれ相対的に矢印N9及び矢印N10で示す方向にスライド移動する結果、離れた状態となり、連結部20は開いた状態となる。このように、隣り合う2台のフロート分割体5は相対的なスライド移動により互いに近接した状態になったり、離れた状態になったりすることができる。
図6(B)及び図6(C)に示すように、スライド機構6は、ストッパ機構65を備えている。ストッパ機構65は、隣り合う2台のフロート分割体5同士が分離することを防止するためのものであり、スライドバー61の先端に設けられた当接板65aとスライドパイプ60のパイプ端部65bとから構成されている。連結部20において、隣り合うフロート分割体5が、矢印N9および矢印N10で示す方向に、それらの間隔が大きくなるように相対的にスライド移動した場合、当接板65aがパイプ端部65bに当接してスライド移動が停止する。
図1及び図2に示すように、作業フロート2(ひいてはフロートプラットフォームFP1)は、4箇所に連結部20を備えている。これらの連結部20には、それぞれスライド機構6が設けられている。それぞれのフロート分割体5を先ず矢印N1、N2及び矢印N5、N6で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ(矢印N1と矢印N6とは同方向、矢印N2と矢印N5とは同方向、矢印N1と矢印N2とは対向方向、矢印N5と矢印N6とは対向方向、以下同様)、次に矢印N3、N4及び矢印N7、N8で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ(矢印N3と矢印N8とは同方向、矢印N4と矢印N7とは同方向、矢印N3と矢印N4とは対向方向、矢印N7と矢印N8とは対向方向、以下同様)、連結部20の間隔を小さくすると、隣接するフロート分割体5は近接し、作業フロート2は閉じて縮小した状態となる(矢印N1、N2、N5、N6と矢印N3、N4、N7、N8とは互いに交差する方向(直角を含む)、以下同様)。これにより、フロートプラットフォームFP1は、その上で仮締切構造体7の組み立て中間体70を組み立て、保持可能な状態となる。
一方で、図3及び図4に示すように、連結部20において、それぞれのフロート分割体5を先ず矢印N9、N10及び矢印N13、N14で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ(矢印N9と矢印N14とは同方向、矢印N10と矢印N13とは同方向、矢印N9と矢印N10とは逆方向、矢印N13と矢印N14とは逆方向、以下同様)、次に矢印N11、N12及び矢印N15、N16で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ(矢印N11と矢印N16とは同方向、矢印N12と矢印N15とは同方向、矢印N11と矢印N12とは逆方向、矢印N15と矢印N16とは逆方向、以下同様)、連結部20の間隔を大きくすると、隣接するフロート分割体5は互いに離れ、作業フロート2は開いて拡大した状態となる(矢印N9、N10、N13、N14と矢印N11、N12、N15、N16とは互いに交差する方向(直角を含む)、以下同様)。これにより、位置決めスペーサー4と作業フロート2(各フロート分割体5)との間に隙間21ができる。その結果、作業フロート2は、組み立て中間体70を通過させ、水中に降下させることが可能となる。なお、フロート分割体5のスライド移動及び作業フロート2の位置決めは、例えば作業台船(図示略、以下同様)を用いて行なわれる。
図1〜図4に示すように、通路フロート3は、作業フロート2の連結部20の外側に配置されており、ロープ(図示略、以下同様)等によりフロート分割体5に繋げられており、作業フロート2が拡大した際に作業者が移動するための通路として使用される。通路フロート3もまた、平面視において矩形形状をした複数のフロートユニット30が連結したものである。フロートユニット30は、L字鋼及び平鋼により形成された籠状物であり、内部にエステル帆布に包まれた発泡スチロール31を収容している。図4に示すように、作業フロート2が拡大した状態で、作業フロート2の外側2aは通路フロート3の内側3aに接している。
位置決めスペーサー4は、ゴム製の防舷材を橋脚10の壁面にアンカーボルト(図示略)で固定したものであり、仮締切構造体7の組み立て中間体70を組み立てる際に作業フロート2を位置決めし、揺動を抑制するためのものである。図2に示すように、フロートプラットフォームFP1が縮小した状態で、作業フロート2の内側2bは位置決めスペーサー4の外側4aに接している。
[仮締切構造体]
図7、図8(A)、及び図8(B)に本実施形態により構築された仮締切構造体7の一例を示す。仮締切構造体7は、橋脚基礎11上に設置される。仮締切構造体7の高さは、その上部が水面Wから突出するように設定される。すなわち、仮締切構造体7の高さは、河川や海等の水深に基づいて決められる。仮締切構造体7の内側に支保杆(切梁71及び縦梁72)が適宜設けられている。仮締切構造体7は、所定曲率又は直線形状を有するライナープレート73と、上下のライナープレート73を連結する補強部材74とを具備している。補強部材74もまた所定曲率又は直線形状を有するものが用いられる。図8(A)及び図8(B)に示すように、仮締切構造体7内の底部の周囲に止水用のコンクリート75が打設されている。なお、仮締切構造体7は、橋脚10の全周を取り囲むものに限らず、橋脚10の一部を取り囲むものであってもよい。
図9(A)及び図9(B)に仮締切構造体7の施工に使用される所定曲率を有するライナープレート73の一例を示す。ライナープレート73は、例えば鋼板製である。図9(A)に示すように、ライナープレート73の上下左右の端部フランジ73aには、ボルトを取り付けるためのボルト取り付け穴73bが設けられている。図9(B)に示すように、ライナープレート73の断面は波形形状である。なお、仮締切構造体7の施工には、曲線形状だけでなく直線形状のライナープレート73も使用される。
図10(A)及び図10(C)に示すように、各ライナープレート73の周方向における連結は、止水用パッキン76を介在させて、その左右の端部フランジ73aをボルト73c・ナット73d止めすることによって行われる。また、各ライナープレート73の上下方向における連結は、図10(B)及び図10(C)に示すように、ライナープレート73の上下の端部フランジ73a同士を止水用パッキン76を介在させてボルト73c・ナット73d止めすることにより行われる。なお、図10(C)に示すように、ライナープレート73同士の周方向の継ぎ目は、必ずしも上下方向で一致させる必要はない。
図11に仮締切構造体7の施工に使用される所定曲率を有する補強部材74の一例を示す。補強部材74は、H形鋼からなり、そのウェブ74aにボルトを取り付けるためのボルト取り付け穴74bが設けられている。また、補強部材74のフランジ74cには、後述する添え板77を取り付けるためのボルト取り付け穴74dが設けられている。なお、仮締切構造体7の施工には、曲線形状だけでなく直線形状を有する補強部材74も使用される。
図12(A)に示すように、仮締切構造体7の施工において、補強部材74は、上下方向に積層されたライナープレート73の適宜連結数毎にそのウェブ74aとライナープレート73の上下の端部フランジ73aとの間に止水用パッキン76を介在させてボルト73c・ナット73d止めされている。図12(B)及び図12(C)に示すように、補強部材74の周方向の継ぎ目においては、フランジ74cに添え板77を宛がうとともに、図12(D)及び図12(E)に示すように、各補強部材74の突き当たりウェブ端面74e間に止水用パッキン76を介在させる。図12(B)に示すように、添え板77には、ボルト73cを取り付けるためのボルト取り付け穴77aが設けられている。
図7及び図8(B)に示すように、本実施形態の仮締切構造体7の施工において、ライナープレート73と補強部材74とを橋脚10の周方向に連結した環状体を3積層したものが、組み立て中間体70とされる。この組み立て中間体70の高さ(環状体の積層数)は、下記に説明する降下作業が円滑に行えるとともに、フロートプラットフォームFP1上の作業性等を考慮して適宜に決定される。例えば、ライナープレート73の高さ(図9(A)の上下方向の高さ)が500mmであれば、作業者の作業のしやすさに基づき3積層(1.5m)とする。
[仮締切構造体の施工方法]
次に、本実施形態のフロートプラットフォームFP1を使用した仮締切構造体7の橋梁1への施工方法について説明する。
図13に示すように、仮締切構造体7の構築において、必要に応じて、橋脚上部12の上に設置された橋桁13の下面に吊り足場SSを設ける。この吊り足場SSは、足場板の周囲を吊り杆により橋桁13の下面に固定することによって、作業者(図示略、以下同様)の移動スペースを確保する。
図14に示すように、この吊り足場SS(図14において図示略)上において、支保工8を橋脚上部12の上面の左右に1本ずつ計2本設置する。支保工8は、長さ方向に3分割されている。両端の分割支保工8a、8bにそれぞれ挟持片80が設けられる。その挟持片80を橋脚上部12の側面に宛がい、分割支保工8a、8b、8cを連結することにより、支保工8は橋脚上部12に固定される。
支保工8の両端には吊り金具81が設けられ、この吊り金具81にワイヤ82が設けられている。ワイヤ82によって電動チェーンブロック(電動ホイスト)83が吊下げられ、その電動チェーンブロック83の吊り紐(ワイヤ)には一対の吊りフック84が設けられている。但し、吊りフック84の数は仮締切構造体7又はその組み立て中間体70を安定かつ安全に吊れるように任意に選択される。なお、吊り足場SSを構築しない場合は、例えばクレーンで支保工8等を吊上げるとともに、作業者もそのクレーンで作業位置に昇降移動すればよい。
次に、図13及び図14に示すように、作業者は、作業用のフロートプラットフォームFP1を設置し、続いて仮締切構造体7の組み立て中間体70(一段目)を組み立てる。作業用のフロートプラットフォームFP1は、橋脚10の周囲の水上にフロート分割体5、スライド機構6、通路フロート3、及び位置決めスペーサー4を用いて設置する。これらの部材及び必要機材は、機材台船(図示略)によって構築位置まで運搬する。フロートプラットフォームFP1は、仮締切構造体7の環状形状に合わせて、円環状、楕円環状、小判型環状等と適宜に設定すれば良い。本実施形態においては、橋脚10の横断面が小判型環状であるため、仮締切構造体7も小判型環状とし、これに合わせてフロートプラットフォームFP1もまた小判型環状としている。フロート分割体5は、機材台船で運搬する前に、図5(A)及び図5(B)に示すように、適切な形状の矩形フロートユニット50及び湾曲フロートユニット50Aを組み合わせて、ボルト50c、ナット50dを用いて予め組み立てておく。
図1、図2、及び図14に示すように、フロートプラットフォームFP1の設置において、位置決めスペーサー4を橋脚10の壁面にアンカーボルト(図示略)で固定し、4台のフロート分割体5を橋脚10の周囲に配置し、更にスライド機構6を隣り合うフロート分割体5に固定することにより連結部20を形成し、作業フロート2を組み立てる。これにより、作業フロート2は、4箇所の連結部20において、各フロート分割体5が分離することなく相対的にスライド移動することにより互いに離合し、縮小状態と拡大状態とを取ることができる。この作業フロート2は、仮締切構造体7の組み立て中間体70を組み立てる際の実際上の作業場となる。フロート分割体5の連結部20付近に、通路フロート3をロープにより繋ぐことによりフロートプラットフォームFP1の設置を完了する。このロープの長さは、連結部20が開いた時に作業者が乗り移れる程度に、通路フロート3が作業フロート2に接近するように調節する。
次に、図14に示すように、設置が完了したフロートプラットフォームFP1上で仮締切構造体7の組み立て中間体70(一段目)の組み立てを行う。図1、図2、及び図14に示すように、作業者は、各フロート分割体5を、作業台船を用いて隣り合うフロート分割体5を先ず矢印N1、N2及び矢印N5、N6で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ、次に矢印N3、N4及び矢印N7、N8で示す方向に適宜スライド移動させることにより作業フロート2(ひいてはフロートプラットフォームFP1)を縮小状態とする。この縮小状態では、フロートプラットフォームFP1は、組み立て中間体70を組み立て、保持することができる(本発明でいう第1の状態に相当)。
作業者は、図10(A)〜図10(C)で示すように、内側から止水用パッキン76を介在させつつ、ボルト73c、ナット73dを用いて橋脚10の周方向にライナープレート73を連結する。図14に示すように、この作業を繰り返し、ライナープレート73を3層に組み立て、高さを1.5mとする。図12(A)〜図12(E)及び図14に示すように、最上部には止水用パッキン76を介在させつつ補強部材74を載置し、ボルト73c、ナット73dを用いて周方向に連結する。補強部材74の連結に際し、周方向の継ぎ目に添え板77を宛がいボルト73c、ナット73dで固定する。
次に、図15に示すように、作業者は、組み立て中間体70(一段目)に電動チェーンブロック83のフック84を掛け、スイッチを操作してフロートプラットフォームFP1から一旦矢印N17で示す方向(上方向、以下同様)に吊り上げる。その後、作業者は、作業台船を用いて隣り合うフロート分割体5を先ず矢印N9、N10及び矢印N13、N14で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ、次に矢印N11、N12及び矢印N15、N16で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ、作業フロート2(ひいてはフロートプラットフォームFP1)を拡大状態とする。そうすると、位置決めスペーサー4と作業フロート2との間に、組み立て中間体70(一段目)が通過し、水中に降下可能な隙間21が生じる(本発明でいう第2の状態に相当)。なお、この拡大状態においては、隣り合うフロート分割体5の連結部20は広がった状態となり危険なので、作業者がフロートプラットフォームFP1上を移動する場合には通路フロート3を利用する。
次に、図16に示すように、作業者は、電動チェーンブロック83のスイッチ操作を行い、組み立て中間体70(一段目)を橋脚基礎11に向けて矢印N18(下方向、以下同様)で示す方向に作業フロート2と位置決めスペーサー4との間にできた隙間21を通過させ、水中に降下させる。その際、作業者は、潜水士(図示略、以下同様)の水中電話による設置箇所に関する指示に従う。
次に、図17に示すように、組み立て中間体70(一段目)は、橋脚基礎11の適切な位置に据付けられる。潜水士が電動チェーンブロック83のフック84を組み立て中間体70(一段目)から外したら、作業者はフック84を所定の位置まで矢印N17で示す方向に上昇させる。潜水士は、アンカーボルトにより組み立て中間体70(一段目)を橋脚基礎11に固定し、橋桁13上に停車させたコンクリートミキサー車(図示略)から仮締切構造体7内の底部の周囲に水中コンクリートを送り込んで止水用コンクリート75を打設する。これにより、橋脚基礎と仮締切構造体7の底部との間にできる隙間からの水の浸入を防止する。なお、止水用コンクリート75の打設は、後述する全ての組み立て中間体70の積層後に行なってもよい。また、止水用コンクリート75の打設は、ライナープレート73を仮締切構造体7の内側に周方向に連結し型枠として行なうのが好ましい。
次に、図18に示すように、組み立て中間体70(一段目)を据付けた後、作業者は、上記したのと同様に作業台船を用いて押すことにより各フロート分割体5をスライド移動させ、作業フロート2を縮小した状態とし、その上で2段目の組み立て中間体70の組み立て作業を行う。その後、作業者は、組み立て中間体70(二段目)を矢印17で示す方向に一旦吊り上げ、作業フロート2を再び拡大状態とする。潜水士は、作業者に水中電話で指示、誘導して、組み立て中間体70(二段目)を中間体70(一段目)の上に止水用パッキン76を介して載置し、図12(A)〜図12(E)で示すように、ボルト73c・ナット73dによる接続作業を行う。
次に、図19に示すように、同様に、作業者は、作業フロート2を縮小状態とし、三段目の組み立て中間体70を組み立て、矢印N17で示す方向に一旦吊り上げ、作業フロート2を拡大状態とし、組み立て中間体70(三段目)を矢印N18で示す方向に組み立て中間体70(二段目)上に降下させ、潜水士は、接続作業を行う。本実施形態では、組み立て中間体70(三段目)の上面が、水面Wを超え、かつフロートプラットフォームFP1より上に位置する。仮締切構造体7の構築は、ここで完了させることができるし、必要に応じて組み立て中間体70(三段目)の上面に直接ライナープレート73を更に積層させてもよい。なお、組み立て中間体70の連結・固定は、本実施形態のように、各組み立て中間体70の積層毎に行なってもよいし、全ての組み立て中間体70の積層完了後に行なってもよい。
次に、図20に示すように、橋脚基礎11上への仮締切構造体7の設置が完了すれば、潜水士は、仮締切構造体7の内側に支保杆(切梁71及び縦梁72)を適宜に設ける。
次に、図21に示すように、作業者は、フロートプラットフォームFP1を橋脚10の周囲から撤去する。その後、作業者は、ホース85の先端85aを仮締切構造体7の上部から外部に出し、排水用水中ポンプ(図示略)により仮締切構造体7内の水抜きを行い、ドライ環境下の作業スペースを確保する。もちろん、フロートプラットフォームFP1の撤去作業は、水抜き作業の後に行うようにしてもよい。
仮締切構造体7内において、作業者は、橋脚の修理・補強等の改修を行う。改修完了後、仮締切構造体7は撤去される。
本実施形態によれば、仮締切構造体7の構築において、組み立て中間体70の組み立てはフロートプラットフォームFP1上で行われるので、水上作業の比率を大きくできる一方、潜水士による水中作業の比率を小さくすることができる。よって、水中作業の作業日数を低減できる。また、組立て状態の把握、部材の位置出しやひずみ等の確認作業における水上作業の比率を大きくできる一方、潜水士による水中作業の比率を小さくすることができる。この点でも水中作業の作業日数を低減できる。また、水上から水中への荷下ろし作業量を少なくできるので、これもまた潜水士による水中作業の作業日数を低減できる要因となる。一方で、空気供給の関係から潜水士による水中作業は作業可能な人数が制限される。これに対し、水上作業はそのような制限を受けにくい。よって、水中作業を低減すれば、全体の作業日数を低減できる。これにより、仮締切構造体7の施工における工期短縮、それによるコスト低減を図ることができる。
また、水中作業は事故発生の危険性が高い。本実施形態によれば、水中作業の作業日数を低減できることより、水中作業に起因する危険の低減を図ることができる。また、水中で連結作業を行なう状況では、潜水士は不安定な体勢で作業を行なわなければならないため、止水用パッキン76を組み付ける際、これを傷付け易く、シール洩れが生じやすい。本実施形態によれば、水中作業を低減できるので、これに起因する漏水の防止を図ることができる。
また、フロートプラットフォームFP1は、水に浮くことが可能な部材を用いて水上で容易に組み立てることができる。更に、フロートプラットフォームFP1は、分解を必要とすることなく、スライド機構6により、一体性を保ちつつ、組み立て中間体70を組み立て可能な縮小状態と水中に降下可能な拡大状態との間の相互変換を簡単・確実に行える。よって、組み立て中間体70の組み立て作業と水中への降下作業とを円滑に行なうことができ、水上作業と水中作業の配分を適切なものとすることができる。そのため、水中における仮締切構造体の構築を効率的に行なうことができる。これらのことにより、作業日数を短縮できるので、仮締切構造体7を施工するための工期短縮、それによるコスト低減を図ることができる。
また、フロートプラットフォームFP1は、位置決めスペーサー4を具備している。位置決めスペーサー4は、組み立て中間体70組み立て時におけるフロートプラットフォームFP1の揺動を抑えることができる。これにより、仮締切構造体7の組み立て中間体70の組み立てを正確に行なうことができ、シール漏れ等の不具合発生の軽減を図ることができる。
また、フロートプラットフォームFP1は、通路フロート3を具備している。フロートプラットフォームFP1は、拡大状態を取った時に、フロート分割体5間の連結部20が開いた状態となる。その際、作業者は作業フロート2から通路フロート3に乗り移って移動する。これにより、作業者の安全の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、作業フロート2は、スライド機構6により、組み立て中間体70を組み立て可能な縮小状態と水中に降下可能な拡大状態との間の相互変換を簡単・確実に行える。よって、仮締切構造体7の構築において、組立中間体70を作業フロート2上で組み立てる毎に水中に降下させ、橋脚基礎11に容易に積層することができる。組立中間体70を積層した積層体を吊下げる必要がないので、能力の高い電動チェーンブロック83等の吊下げ設備を準備しなくてもよい。そのため、橋脚10の周囲で大掛かりではなくコンパクトに仮締切構造体7を構築することができる。また、それにより、仮締切構造体7の構築の為の設備のコストを抑えることができる。また、事故発生の危険を防止することができ、作業者の安全の向上を図ることができる。
<第2の実施形態>
図22及び図23を参照して、本発明の第2の実施形態に係るフロートプラットフォームFP2を説明する。フロートプラットフォームFP2において、第1の実施形態に係るフロートプラットフォームFP1の構成要素と同一または類似の機能を有する構成要素には、フロートプラットフォームFP1と同一の符号を付している。これらに関しては、詳細な説明を省略する。本実施形態に係るフロートプラットフォームFP2は、円形環状である点で小判型環状である第1の実施形態のフロートプラットフォームFP1と相違している。
図22に示すように、フロートプラットフォームFP2は、断面が円形の橋脚10Aの周囲に設置される。フロートプラットフォームFP2は、橋脚10Aの断面形状に合わせて、縮小時、平面視において円形環状である。フロートプラットフォームFP2は、4台のフロート分割体5Aがスライド機構6により連結した作業フロート2Aを具備している。フロート分割体5Aは、現場寸法に合わせて、平面視においてR形状を有する2台のR形状フロートユニット50Bを組み合わせて製作され、R形状部のみから成る。フロート分割体5Aは、R形状フロートユニット50B同士をボルト・ナット止めにより連結して製作される。R形状部は、本発明でいう湾曲形状部の一例に相当する。
フロート分割体5Aをスライド機構6によりスライド移動させ、作業フロート2A(ひいてはフロートプラットフォームFP2)を縮小した状態として、その上で仮締切構造体7の組み立て中間体70Aを組み立て、保持することが可能となる。すなわち、縮小状態が、本発明でいう第1の状態に相当する。
図23に示すように、隣り合うフロート分割体5Aを連結部20における両者の間隔が大きな状態となるように相対的にスライド移動させ、作業フロート2A(ひいてはフロートプラットフォームFP2)を拡大状態とすることで、位置決めスペーサー4と各フロート分割体5Aとの間に隙間21ができ、組み立て中間体70Aを水中に降下させることが可能となる。すなわち、拡大状態が、本発明でいう第2の状態に相当する。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
<第3の実施形態>
図24及び図25を参照して、本発明の第3の実施形態に係るフロートプラットフォームFP3を説明する。フロートプラットフォームFP3において、第1および第2の実施形態に係るフロートプラットフォームFP1又はフロートプラットフォームFP2の構成要素と同一または類似の機能を有する構成要素には、これらと同一の符号を付している。これらに関しては、詳細な説明を省略する。本実施形態に係るフロートプラットフォームFP3は、作業フロート2Bを具備する点、拡大時に組み立て中間体70Aを組み立て及び保持、縮小時に水中に降下させる点で第1及び第2の実施形態と相違している。すなわち、本実施形態においては、拡大状態が本発明でいう第1の状態に相当し、縮小状態が本発明でいう第2の状態に相当する。
図24に示すように、隣り合うフロート分割体5Bを連結部20の間隔が大きな状態となるように先ず矢印N9、N10及び矢印N13、N14で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ、次に矢印N11、N12及び矢印N15、N16で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ、作業フロート2Bが拡大した状態で、作業フロート2Bの内側2Baは位置決めスペーサー4Bの外側4Baに接している。この状態で、作業フロート2B(ひいてはフロートプラットフォームFP3)は、その上で、仮締切構造体7の組み立て中間体70Aを組み立て及び保持可能とされている。なお、作業フロート2Bを拡大状態とするに際し、隣り合うフロート分割体5Bを先ず矢印N11、N12及び矢印N15、N16で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ、次に矢印N9、N10及び矢印N13、N14で示す方向に適宜相対的にスライド移動させるようにしてもよい。
位置決めスペーサー4Bは、脱着可能に橋脚10Aに取り付けられている。図25に示すように、位置決めスペーサー4Bを橋脚10Aから取り外し、スライド機構6を収縮させ、間隔が小さくなるように各フロート分割体5Bを先ず矢印N1、N2及び矢印N5、N6で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ、次に矢印N3、N4及び矢印N7、N8で示す方向に適宜スライド移動させた結果、連結部20が閉じると、作業フロート2B(ひいてはフロートプラットフォームFP3)は、縮小した状態となり、組み立て中間体70Aを水中に降下させることが可能となる。なお、作業フロート2Bを縮小状態とするに際し、各フロート分割体5Bを先ず矢印N3、N4及び矢印N7、N8で示す方向に適宜相対的にスライド移動させ、次に矢印N1、N2及び矢印N5、N6で示す方向に適宜相対的にスライド移動させることにより行なってもよい。
本実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様の効果を奏する。
また、作業フロート2Bは、縮小した状態で、組み立て中間体70Aを水中に降下させる。縮小した状態では、作業フロート2Bは、橋脚10Aに接近した状態となる。これにより、組み立て中間体70Aを水中に降下させる際に、作業フロート2Bを固定することが容易となる。
<第4の実施形態>
図26(A)及び図26(B)を参照して、本発明の第4の実施形態に係るフロートプラットフォームFP4を説明する。フロートプラットフォームFP4において、第1の実施形態に係るフロートプラットフォームFP1の構成要素と同一または類似の機能を有する構成要素には、同一の符号を付している。これらに関しては、詳細な説明を省略する。本実施形態に係るフロートプラットフォームFP4は、作業フロート2C、スライド機構6Cを具備する点で第1の実施形態〜第3の実施形態と相違している。なお、スライド機構6Cは、本発明でいう伸縮連結手段の一例に相当するものである。
図26(A)に示すように、スライド機構6Cは、隣り合うフロート分割体5の両側にスライドパイプ60Cを具備している。スライド機構6Cは、これらのスライドパイプ60Cにスライドバー61Cが挿入され、互いにスライド可能な状態で一体化されたものである。フロートプラットフォームFP4の組み立てに際し、スライドパイプ60Cは取付け具62を用いて隣り合うフロート分割体5にボルト63により固定されている。これにより隣り合うフロート分割体5が互いにスライド移動可能となる。これにより、作業フロート2C(ひいてはフロートプラットフォームFP4)は、縮小した状態と拡大した状態とのいずれかの状態を取ることが可能となる。
スライド機構6Cは、ストッパ機構65Cを備えている。ストッパ機構65Cは、スライドバー61Cの両端に設けられた当接板65Caとスライドパイプ60Cの端部65Cbとから構成されている。ストッパ機構65Cは、連結部20が開く方向にフロート分割体5がスライド移動した場合に、隣り合うフロート分割体5同士が分離することを防止するためのものである。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
また、スライド機構6Cは、左右対称の形状となるので、隣り合うフロート分割体5の両側にバランスよく配置される。これにより、隣り合うフロート分割体5は、互いにスムーズにスライド移動することができる。
<第5の実施形態>
図27(A)及び図27(B)を参照して、本発明の第5の実施形態に係るフロートプラットフォームFP5を説明する。フロートプラットフォームFP5において、第1の実施形態に係るフロートプラットフォームFP1の構成要素と同一または類似の機能を有する構成要素には、同一の符号を付している。これらに関しては、詳細な説明を省略する。本実施形態に係るフロートプラットフォームFP5は、作業フロート2D,スライド機構6Dを具備する点で第1の実施形態〜第4の実施形態と相違している。なお、スライド機構6Dは、本発明でいう伸縮連結手段の一例に相当するものである。
図27(A)に示すように、隣り合う2台のフロート分割体5は、スライド機構6Dにより連結されている。スライド機構6Dは、送りねじ66と2本のガイドシャフト61Dとを具備している。一方のフロート分割体5には、送りねじ66と結合されたモータ67、及び一対のガイドシャフト固定具64Dが取り付けられている。他方のフロート分割体5には、ナット68が固定されている。このナット68の内周面には、雌ネジ部が形成されており、送りねじ66の雄ネジ部と螺合されている。これにより、隣り合うフロート分割体5同士が連結されている。
また、他方のフロート分割体5には、円形状のガイド孔が貫通形成された一対のガイド部60Dが取り付けられており、ガイドシャフト61Dが相対移動可能にガイド孔内に挿入されている。これにより、モータ67が作動することで、隣り合うフロート分割体5が、ガイドシャフト61Dによってガイドされながら、相対的にスライド移動するようになっている。
図27(A)に示すように、隣り合うフロート分割体5が矢印N1及び矢印N2で示す方向に間隔が小さくなり互いに近接するようにスライド移動すると、連結部20は閉じる。図27(B)に示すように、フロート分割体5が矢印N9及び矢印N10で示す方向に間隔が大きくなり互いに離れるようにスライド移動すると、連結部20は開く。これにより、作業フロート2D(ひいてはフロートプラットフォームFP5)は、縮小した状態と拡大した状態とのいずれかの状態を取ることが可能となる。
スライド機構6Dは、ストッパ機構65Dを備えている。ストッパ機構65Dは、ガイドシャフト61Dの先端に設けられた当接板65Daとガイド部60Dの端部65Dbとから構成されている。ストッパ機構65Dは、連結部20が開く方向にフロート分割体5がスライド移動した時に、隣り合うフロート分割体5同士が分離することを防止するためのものである。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
また、外部から力を加えることなく、作業フロート2D(ひいてはフロートプラットフォームFP5)を縮小した状態と拡大した状態とのいずれかの状態にすることが可能となる。これにより、仮締切構造体7の施工においてより省力化を図ることができる。
<第6の実施形態>
図28(A)及び図28(B)を参照して、本発明の第6の実施形態に係るフロートプラットフォームFP6を説明する。フロートプラットフォームFP6において、第1の実施形態に係るフロートプラットフォームFP1の構成要素と同一または類似の機能を有する構成要素には、フロートプラットフォームFP1と同一の符号を付している。これらに関しては、詳細な説明を省略する。本実施形態に係るフロートプラットフォームFP6は、作業フロート2Eを具備する点、連結部20に連結アーム6Eを具備する点で第1の実施形態〜第5の実施形態と相違している。なお、連結アームは、第1の実施形態に記載されたスライド機構6と同様、フロート分割体5を毎回同じ道筋を辿ってスライド移動させるためのもので、本発明でいう伸縮連結手段の一例に相当するものである。
図28(A)に示すように、隣接する2台のフロート分割体5は、一対の連結アーム6Eにより連結されている。連結アーム6Eは、関節69を有しており、取り付け具62Eによりフロート分割体5に取り付けられている。フロート分割体5が矢印N1及び矢印N2で示す方向に互いの間隔が小さくなるように移動すると、連結アーム6Eは関節69で折れ曲がり、連結部20は閉じる。図28(B)に示すように、フロート分割体5が矢印N9及び矢印N10で示す方向に互いの間隔が大きくなるように相対的にスライド移動すると、連結アーム6Eは関節69で伸び、連結部20は開く。これにより、作業フロート2E(ひいてはフロートプラットフォームFP6)は、縮小した状態と拡大した状態とのいずれかの状態を取ることが可能となる。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
<第7の実施形態>
図29〜図32を参照して、本発明の第7の実施形態に係るフロートプラットフォームFP7及びFP8を説明する。フロートプラットフォームFP7,FP8において、第1の実施形態に係るフロートプラットフォームFP1の構成要素と同一または類似の機能を有する構成要素には、フロートプラットフォームFP1と同一の符号を付している。これらに関しては、詳細な説明を省略する。
先ず、図29に示すように、フロートプラットフォームFP7は、橋脚10Aに適合し、組み立て中間体70Bの組み立てができるように構成されたものであり、フロート分割体5Cを含む作業フロート2Fを具備する点で第1の実施形態〜第6の実施形態と相違している。組み立て中間体70Bは、平面視において呈する形状が組み立て中間体70,70Aと相違している。
図29及び図30に示すように、作業フロート2Fは、4台のフロート分割体5Cを連結して製作される。フロート分割体5Cは、直線部55と湾曲形状部56Aとを含んでいる。直線部55は、直方体形状を有する矩形フロートユニット50を連結して製作され、連結する矩形フロートユニット50の数により長さを調節可能である。矩形フロートユニット50は、平面視において正方形形状を呈する。湾曲形状部56Aは、2台の直方体形状の矩形フロートユニット50と三角柱形状を有する2台の湾曲形状生成スペーサー50Cとを組み合わせて製作される。湾曲形状生成スペーサー50Cは、平面視において三角形状を有している。湾曲形状生成スペーサー50Cの一つの角部57aは、作業フロート2Fの内側に配置され、他の二つの角部57b,57cは、外側に配置される。これらの角部57a,57b,57cの角度は、変更可能に構成されている。湾曲形状部56Aは、角部57a,57b,57cの角度が調整された湾曲形状生成スペーサー50Cを隣接する矩形フロートユニット50と連結することにより、橋脚10Aの外形状に合わせて形成される。矩形フロートユニット50は、平面視において正方形形状に限らず長方形形状等の他の矩形形状であってもよい。
フロート分割体5Cを製作するのに使用する湾曲形状生成スペーサー50Cの数は、2台に限られず、橋脚10Aの外形状に合わせて、1台、3台、5台、6台、7台、8台、9台、又はそれ以上としてもよい。複数台の湾曲形状生成スペーサー50Cを隣接させて連結することも可能である。湾曲形状生成スペーサー50Cは、隣接する矩形フロートユニット50又は湾曲形状生成スペーサー50Cと、例えば、ボルト・ナットを用いて連結される。
図31に示すように、湾曲形状生成スペーサー50Cは、作業板としての木製足場板58とフレーム部59とを具備している。木製足場板58は、湾曲形状生成スペーサー50Cの上面を平面状にし、フロートプラットフォームFP7上での作業を容易なものとするためのものである。木製足場板58は、フレーム部59に固定するためのボルト取り付け穴58aを有している。
作業板は、木製に限らず、金属製、FRP製、ゴム製又は樹脂製を使用でき、グレーチングであることが好ましい。金属としては、例えば、鉄、ステンレス、又はアルミニウム等が挙げられる。樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリプロピレン、又はポリエチレン等が挙げられる。
フレーム部59は、フレーム材59a,59b、蝶番59c、摺動板59e、スペーサー59fを具備している。角部57a,57b,57cには、それぞれ蝶番59cが配置されている。
フレーム材59aは、フレーム部59の両側部を形成するためのものである。蝶番59cは、羽根59iと軸59jを具備しており、軸59jを支点に羽根59iが回転し、これにより角部57a,57b,57cの角度が、変更可能となっている。各側部において、2本のフレーム材59aが、各角部57a,57b,57cに配置された蝶番59cの羽根59iの上下端において、ボルト59g・ナット59hにより固定され、蝶番59c同士を連結している。
フレーム材59bは、フレーム部59の前面を形成するためのものである。2本のフレーム材59bが、角部57bにおいて、蝶番59cの羽根59iの上下端において、ボルト59g・ナット59hにより固定されている。フレーム材59bは、後述する摺動部59lを摺動させるためのレール部59kを有している。フレーム材59a,59bは、前記三角形状の辺を形成する。
フレーム部59は、角部57cに摺動部59lを有している。摺動板59eは、スペーサー59f及び蝶番59cの羽根59iと組み合わさって、レール部59kを摺動する摺動部59lを形成する。摺動板59eは、スペーサー59fを介在させて、蝶番59cの羽根59iとボルト59g・ナット59hにより固定される。これにより上下の端部に溝を形成し、摺動部59lとする。上下のフレーム材59bのレール部59kを摺動部59lにはめ込むことにより、摺動部59lは、矢印N19及び矢印N20で示す方向にレール部59k上を摺動可能となる。摺動することによりフレーム材59bが形成する前記三角形状の辺の長さを調整することができる。
図32(A)に示すように、摺動部59lを矢印N19で示す方向に摺動させると角部57aの角度は大きくなり、角部57b,57cの角度は小さくなる。同時に、フレーム材59bが形成する前記三角形状の辺の長さは、大きくなる。逆に、図32(B)に示すように、摺動部59lを矢印N20で示す方向に摺動させると、角部57aの角度は、図32(A)に示す状態よりも小さくなり、角部57b,57cの角度は大きくなる。同時に、フレーム材59bが形成する前記三角形状の辺の長さは、小さくなる。
摺動部59lは、角部57cではなく、角部57bに設けてもよい。又は、摺動部59lは、複数の箇所に設けてもよい。例えば、摺動部59lは、角部57bと角部57cに設けてもよい。
なお、2つのフレーム材59aの長さが等しい場合、前記三角形状は二等辺三角形となる。フレーム材59bは、二等辺三角形の底辺に相当する。2つのフレーム材59aのなす角部57aは頂角であり、残りの2つの角部57b,57cは底角である。
木製足場板58は、角部57a,57b,57cの角度が調整された湾曲形状生成スペーサー50Cの形状に合うように形成される。図31に示すように、フレーム材59a,59bは、木製足場板58のボルト取り付け穴58aに合わせた位置にボルト取り付け穴59dを有している。木製足場板58とフレーム部59とは、ボルト58bにより結合される。フレーム材59bには、木製足場板58の異なる形状に対応できるように複数のボルト取り付け穴59dが形成されている。
湾曲形状生成スペーサー50Cは、矩形フロートユニット50と同様、二層構造としてもよい。この場合、二層構造の下層には、例えば、湾曲形状生成スペーサー50Cに浮力を付与するための発泡スチロールを収容する。この発泡スチロールは、湾曲形状生成スペーサー50Cの形状に合わせて成形される。上層には、例えば、第1の実施形態〜第6の実施形態に記載したスライド機構6,6C,6D,6Eを収容する。
次に、図33を参照して、図32(B)に示す湾曲形状生成スペーサー50Cを使用したフロートプラットフォームFP8を示す。橋脚10Bは、橋脚10Aと比較して大型のものである。フロートプラットフォームFP8は、橋脚10Bに適合し、組み立て中間体70Cの組み立てができるように構成されたものであり、フロート分割体5Dを含む作業フロート2Gを具備する。組み立て中間体70Cは、平面視において呈する形状が組み立て中間体70又は組み立て中間体70Bと相違している。
図33に示すように、フロート分割体5Dは、直線部55と湾曲形状部56Bとを含んでいる。直線部55には、直方体形状を有する矩形フロートユニット50が2台連結されている。直線部55の長さは、連結する矩形フロートユニット50の数により調節可能である。矩形フロートユニット50は、平面視において正方形形状を呈する。一方で、湾曲形状部56Bは、直方体形状の矩形フロートユニット50と湾曲形状生成スペーサー50Cとを組み合わせて製作される。上記したように、湾曲形状生成スペーサー50Cは、フロートプラットフォームFP8に比べ、角部57aの角度が小さく、角部57b,57cの角度は大きく、フレーム材59bが形成する前記三角形状の辺の長さは小さくなっている。4台の矩形フロートユニット50と3台の湾曲形状生成スペーサー50Cが交互に連結されている。矩形フロートユニット50及び湾曲形状生成スペーサー50Cの接続数ならびに角部57a,57b,57cの角度及び前記辺の長さを変更することにより、湾曲形状部56Aは、湾曲度合いの異なる湾曲形状部56Bに変更される。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
また、フロートプラットフォームFP7,FP8のフロート分割体5C,5Dは、矩形フロートユニット50や湾曲形状生成スペーサー50Cの様な単純な形状を有する部材の組み合わせにより、橋脚10A,10Bの断面形状に合わせて形成することができる。そのため、フロートプラットフォームFP7,FP8の準備の負担を軽減することができる。これにより、仮締切構造体7構築の工期の短縮、コスト削減を図ることができる。
また、湾曲形状生成スペーサー50Cは、摺動部59lを摺動させることにより、角部57a,57b,57cの角度及びフレーム材59bが形成する前記三角形状の辺の長さを変更可能である。そのため、共通の部材である湾曲形状生成スペーサー50C及び矩形フロートユニット50を異なる断面形状を有する橋脚10A,10Bに適合したフロートプラットフォームFP7,FP8の構築に使用することができ、フロートプラットフォームFP7,FP8ごとに新たな部材の準備の必要性を低減することができる。これにより、仮締切構造体7の構築に当たり、工期の短縮、コスト削減を図ることができる。
<第8の実施形態>
図34を参照して、本発明の第8の実施形態を説明する。第8の実施形態は、第7の実施形態の変形例に相当する。第8の実施形態は、湾曲形状生成スペーサー50Cの代わりに湾曲形状生成スペーサー50Dを使用する点において、第7の実施形態と相違する。湾曲形状生成スペーサー50Dにおいて、湾曲形状生成スペーサー50Cの構成要素と同一または類似の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。これらに関しては、詳細な説明を省略する。
図34に示すように、湾曲形状生成スペーサー50Dは、四角柱形状であり、平面視において台形形状を有している。前記台形形状の長い方の底辺は、例えば、第7の実施形態における作業フロート2F,2Gの外側に該当する側に配置され、短い方の底辺は、作業フロート2F,2Gの内側に該当する側に配置される。湾曲形状生成スペーサー50Dは、作業板としての木製足場板58Aとフレーム部59Aとを具備している。
木製足場板58Aは、湾曲形状生成スペーサー50Dの上面を平面状にし、その上での作業を容易なものとするためのものである。作業板は、木製に限らず、金属製、FRP製、ゴム製又は樹脂製を使用でき、グレーチングであることが好ましい。金属としては、例えば、鉄、ステンレス、又はアルミニウム等が挙げられる。樹脂としては、例えば、塩化ビニル、ポリプロピレン、又はポリエチレン等が挙げられる。
フレーム部59Aは、フレーム材59a,59b,59m、蝶番59c、摺動板59e、摺動部スペーサー59fを具備している。角部57a,57b,57c,57dには、それぞれ蝶番59cが配置されている。フレーム材59aは、フレーム部59Aの両側部を形成するためのものである。蝶番59cは、羽根59iと軸59jを具備しており、軸59jを支点に羽根59iが回転し、これにより角部57a,57b,57c,57dの角度が、変更可能となっている。各側部において、2本のフレーム材59aが、各角部57a,57b,57c,57dに配置された蝶番59cの羽根59iの上下端において、ボルト59g・ナット59hにより固定され、蝶番59c同士を連結している。
フレーム材59bは、フレーム部59Aの前面を形成するためのものであり、前記台形形状の前記長い方の底辺を形成する。2本のフレーム材59bが、角部57bにおいて、蝶番59cの羽根59iの上下端において、ボルト59g・ナット59hにより固定されている。フレーム部59Aは、フレーム部59と同様、角部57cに摺動部59lを有している。上下のフレーム材59bのレール部59kを摺動部59lにはめ込むことにより、摺動部59lは、矢印N19及び矢印N20で示す方向にレール部59k上を摺動する。摺動することにより、フレーム材59bが形成する前記台形形状の前記長い方の辺の長さを調整することができる。フレーム材59a,59b,59mは、前記台形形状の辺を形成する。
摺動部59lを矢印N19で示す方向に摺動させると角部57a,57dの角度は大きくなり、角部57b,57cの角度は小さくなる。同時に、フレーム材59bが形成する前記長い方の辺の長さは、大きくなる。逆に、摺動部59lを矢印N20で示す方向に摺動させると、角部57a,57dの角度は小さくなり、角部57b,57cの角度は大きくなる。同時に、フレーム材59bが形成する前記長い方の辺の長さは、小さくなる。
木製足場板58Aは、角部57a,57b,57c,57dの角度が調整されたフレーム部59Aの平面視における形状に合うように形成される。フレーム材59a,59b,59mは、木製足場板58Aのボルト取り付け穴58aに合わせた位置にボルト取り付け穴59dを有している。木製足場板58Aとフレーム部59Aとは、ボルト58bにより結合される。フレーム材59bには、木製足場板58Aの異なる形状に対応できるように複数のボルト取り付け穴59dが形成されている。
摺動部59lは、角部57cではなく、角部57a,角部57b,又は角部57dに設けてもよい。また、摺動部59lは、複数の箇所に設けてもよい。例えば、摺動部59lは、角部57bと角部57cに設けてもよい。又は、摺動部59lは、角部57cと角部57aに設けてもよい。又は、摺動部59lは、角部57cと角部57dに設けてもよい。又は、摺動部59lは、角部57bと角部57aに設けてもよい。又は、摺動部59lは、角部57bと角部57dに設けてもよい。又は、摺動部59lは、角部57aと角部57dに設けてもよい。又は、摺動部59lは、角部57b、角部57c、及び57aに設けてもよい。又は、摺動部59lは、角部57b、角部57c、及び57dに設けてもよい。 又は、摺動部59lは、角部57b、角部57a、及び57dに設けてもよい。又は、摺動部59lは、角部57c、角部57a、及び57dに設けてもよい。又は、摺動部59lは、角部57b、角部57c、角部57a、及び57dに設けてもよい。
湾曲形状生成スペーサー50Dは、平面視において台形形状のものに限られず、四角形状であればよい。前記四角形状の一辺は、例えば、第7の実施形態における作業フロート2F,2Gの外側に該当する側に配置され、前記四角形状の前記一辺の対辺は作業フロート2F,2Gの内側に該当する側に配置されている。前記四角形状の前記一辺の長さは前記対辺の長さよりも大きい設定とされている。矩形フロートユニット50及び湾曲形状生成スペーサー50Dの接続数ならびに前記四角形状の角部57a,57b,57c,57dの角度及び前記一辺の長さを変更することにより、第7の実施形態において、湾曲形状部56Aは、湾曲度合いの異なる湾曲形状部56Bに変更される。湾曲形状部56A,56Bの湾曲度合いを調整可能である。
本実施形態によれば、第7の実施形態と同様の効果を奏する。
本発明は、上述した実施の形態の内容に限定されない。本発明に係る仮締切構造体の施工方法及びそれに使用するフロートプラットフォームの具体的な構成は、種々に設計変更自在である。また、上述した各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
上記の第1の実施形態〜第8の実施形態においては、河川における橋脚を改修する際の仮締切構造体の構築について説明した。本発明は、橋脚以外の水中構造物にも適用可能である。水中構造物として、具体的には、例えば、水門等が挙げられる。また、本発明は、河川における橋脚以外の水中構造物だけでなく、海、湖などの橋脚を含む水中構造物の改修時の仮締切構造体の構築に適用し得ることはもちろんである。
仮締切構造体の組み立て中間体の積層数は適宜に設定可能である。さらに、中間組み立て体のライナープレートの積層数も、1層、2層、3層、4層、5層等と任意に設定可能である。また、周方向のライナープレートの使用数も任意に設定可能である。
上記の第7及び第8の実施形態において説明した湾曲形状生成スペーサーの平面視における形状は、湾曲形状生成スペーサー50C,50Dのように三角形状又は四角形状に限られない。五角形状、六角形状、七角形状、八角形状、又はそれ以上の多角形状を呈するものでもよい。この多角形状は、平面視において、少なくとも3の角部と、前記少なくとも3の角部の各角部を繋ぐ少なくとも3の辺を有している。前記各角部は、角度を変更可能に構成され、前記少なくとも3の角部のうち少なくとも2の角部は、前記作業フロートの外側に配置され、少なくとも1の角部は前記作業フロートの内側に配置され、前記作業フロートの前記外側に配置された前記少なくとも2の角部を繋ぐ前記辺は、長さを変更可能に構成され、前記各角部の前記角度及び前記少なくとも2の角部を繋ぐ前記辺の前記長さを変更することにより、前記湾曲形状部の湾曲度合いを調整するように構成されている。
湾曲形状生成スペーサーとして、L字鋼等の形鋼を使用することもできる。例えば、適切な長さにカットされたL字鋼を矩形フロートユニット50にボルト等を用いて直接固定し、前記湾曲形状部が所望の湾曲度合いになるようにしてもよい。