<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図12を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置1は、電子写真方式を用いてフルカラー画像の形成が可能な、中間転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置である。即ち、画像形成装置1は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の画像形成部10を備え、これら各色の画像形成部10を中間転写ベルト61の回転方向に並べて配置した、所謂タンデム型の構成である。各画像形成部10の構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。
画像形成部10は、円筒状の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム11を有する。感光ドラム11は、装置本体1aに備えられている図示しない駆動手段からの駆動力が伝達されて100mm/secのプロセススピード(周速度)で回転駆動される。画像形成部10において、感光ドラム11の周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電ローラ12、現像装置14、一次転写ローラ17、ドラムクリーニング装置15が配置されている。各画像形成部10の下方には、露光装置16が配置されている。また、画像形成装置1は、各画像形成部10の感光ドラム11と接触するように、中間転写体としての無端状のベルト体で形成された中間転写ベルト61を有する。
帯電手段としての帯電ローラ12は、回転可能なローラ状の帯電部材であり、感光ドラム11に当接するように配置され、感光ドラム11の表面を帯電させる。露光手段としての露光装置(レーザースキャナ装置)16は、帯電された感光ドラム11の表面を露光して感光ドラム11の表面に静電潜像を形成する。
現像手段としての現像装置14は、内部に現像剤としてのトナーが収容されており、トナーを用いて感光ドラム11上に形成された静電潜像をトナー像として現像する。このような現像装置14は、トナーを担持して感光ドラム11との対向部(現像位置)に搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ14aを有している。現像スリーブ14aは、回転駆動される。
一次転写手段としての一次転写ローラ17は、ローラ状の一次転写部材であり、感光ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61に一次転写させる。ドラムクリーニング装置15は、一次転写後に感光ドラム11上に残った転写残トナーなどを清掃する。
中間転写ベルト61は、ポリイミドなどの誘電体樹脂によって無端状に形成されている。中間転写ベルト61は、複数の支持ローラ(張架ローラ)に所定の張力をもって掛け回されている。中間転写ベルト61の内周面側(裏面側)において各感光ドラム11と対向する位置に、上述の一次転写ローラ17が配置されている。一次転写ローラ17は、中間転写ベルト61を介して感光ドラム11に押圧されており、中間転写ベルト61と感光ドラム11とが接触する一次転写部(一次転写ニップ部)N1を形成している。一次転写ローラ17は、中間転写ベルト61の回転に伴って従動して回転する。
また、中間転写ベルト61の外周面側(表面側)において二次転写対向ローラ62に対向する位置に、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ35が配置されている。二次転写ローラ35は、中間転写ベルト61を介して二次転写対向ローラ62に押圧されており、中間転写ベルト61と二次転写ローラ35とが接触する二次転写部(二次転写ニップ部)N2を形成している。中間転写ベルト61に転写されたトナー像は、二次転写部N2で記録材Pに二次転写される。
また、中間転写ベルト61の外周面側においてテンションローラ64に対向する位置に、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置70が配置されている。ベルトクリーニング装置70は、二次転写後に中間転写ベルト61に残った転写残トナーなどを清掃する。
次に、画像形成動作について説明する。画像形成時には、回転駆動される感光ドラム11の表面は、帯電ローラ12によって所定の極性の所定の電位に一様に帯電される。本実施形態においては、帯電ローラ12に対して図示しない高圧電源(帯電電源)から−1300Vの直流電圧のみが印加されて感光ドラム11の表面に対して放電が発生することによって感光ドラム11の表面が約−700Vに帯電される。
感光ドラム11の表面が一様に帯電された後、画像情報の信号に基づいて露光装置16によって感光ドラム11の表面が走査露光されて、感光ドラム11上に静電潜像(静電像)が形成される。なお、本実施形態の画像形成装置1は、画像読取装置2を備えており、上述の画像情報としては、画像読取装置2により読み取られた原稿の画像情報や画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部端末から送られる画像情報がある。
感光ドラム11上に形成された静電潜像は、現像装置14によって、現像剤としてのトナーを用いてトナー像として現像される。本実施形態では、トナーの正規の帯電極性は負極性である。現像時には、現像スリーブ14aに図示しない現像電源としての高圧電源から所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。現像電圧としては、直流電圧(直流成分)と交流電圧(交流成分)とが重畳された振動電圧が用いられる。また、現像装置14には、トナー収容容器としてのトナーボトル19から図示しないトナー搬送路を介してトナーが供給される。
感光ドラム11上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ17の作用により、中間転写ベルト61の表面に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ17には、図示しない一次転写電源(高圧電源)から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。フルカラー画像の形成時には、上述の動作が各画像形成部10において行われ、各感光ドラム11上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、順次に重ね合わせるようにして中間転写ベルト61上に転写される。転写後、感光ドラム11上に残った僅かな転写残トナーは、ドラムクリーニング装置15によって除去され、回収部に回収される。
一方、給送カセット20から記録材Pが1枚ずつ給送され、レジストローラ対23に搬送される。記録材Pは、例えば、用紙、プラスチックシートなどのシートである。その後、レジストローラ対23は、中間転写ベルト61上のトナー像と同期を取って、記録材Pを中間転写ベルト61と二次転写ローラ35との間に搬送する。
中間転写ベルト61上のカラーのトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ35の作用によって、記録材Pの表面に転写(二次転写)される。この記録材Pが二次転写部N2を通過する際に、二次転写ローラ35には、図示しない二次転写電源(高圧電源)から、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性の直流電圧である二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。転写後、中間転写ベルト61上に残った僅かな残トナーは、ベルトクリーニング装置70によって除去回収され、再び、次の画像形成に備える。
記録材P上に転写されたトナー像は、定着装置40の加熱ローラ41と加圧ローラ42とのニップ部で加熱加圧されることによって定着され、排出ローラ対50により排出トレイ51上に排出される。
[ドラムカートリッジ]
次に、感光体ユニットとしてのドラムカートリッジ100の概略構成について、図2ないし図4を用いて説明する。本実施形態の場合、感光ドラム11を有するドラムカートリッジ100を、装置本体1a(図1)に対して着脱自在として、メンテナンスなどで交換できるようにしている。例えば、ドラムカートリッジ100は、装置本体1aに対して長手方向(感光ドラム11の回転軸線方向)に沿って移動させることで、装置本体1aに対して着脱自在としている。
図2に示すように、ドラムカートリッジ100は、感光体としての感光ドラム11、帯電ローラ12、清掃部材としてのクリーニングローラ13、ドラムクリーニング装置15、離間部材200などを備えている。そして、これらはフレームとしてのドラム容器30によって一体的に保持されている。
ドラム容器30には、感光ドラム11が軸受(図示しない)を介して回転軸線を中心にして回転可能に保持されている。即ち、図3に示すように、ドラム容器30は、感光ドラム11、帯電ローラ12、クリーニングローラ13の回転軸線方向両側に配置された側壁30aと、両側の側壁30aを連結する連結部30bを有する。そして、回転軸線方向両側の側壁30aに、それぞれ軸受を介して感光ドラム11の回転軸線方向両端部が回転自在に支持されている。
また、感光ドラム11には、装置本体1aに装着された状態で装置本体1aに設けられた図示しない駆動源としてのモータから駆動力を受け取って回転するためのカップリング39(図4)が設けられている。カップリング39は、ドラムカートリッジ100を装置本体1aに装着したときに、装置本体1a側に設けられたカップリングと結合して、装置本体1aに設けられたモータから駆動力が伝達される。
また、ドラム容器30には、ドラムクリーニング装置15が設けられており、ドラムクリーニング装置15は、クリーニングブレード15a、回収部15b、及び、トナー搬送スクリュー38を有する。クリーニングブレード15aは、ドラム容器30に固定され、感光ドラム11の表面に画像形成時における感光ドラム11の回転方向βに対してカウンター方向で当接して、感光ドラム11の表面を清掃する。
また、回収部15bは、クリーニングブレード15aの近傍に設けられ、クリーニングブレード15aによって感光ドラム11の表面から除去された転写残トナーを回収する。搬送部としてのトナー搬送スクリュー38は、回収部15bに回収されたトナーを搬送してドラムカートリッジ100の外に搬送する。トナー搬送スクリュー38によってドラムカートリッジ100外に搬送されたトナーは、装置本体1aに設けられた図示しない廃トナー容器に回収される。
感光ドラム11の長手方向端部(回転軸線方向端部)には、感光ドラム11の回転軸線を中心として感光ドラム11と一体で回転するように固定された回転部材としてのギア36(図3、4)が設けられている。即ち、ギア36は、感光ドラム11の回転軸上に感光ドラム11と共に回転するように設けられている。ギア36は、カップリング39を介して感光ドラム11に駆動力が入力されることで、感光ドラム11と一体に回転する。ギア36の回転力は、トナー搬送スクリュー38に伝達される。これにより、トナー搬送スクリュー38が回転し、回収部15bに回収されている転写残トナーをドラムカートリッジ100の外に搬送可能な構成となっている。
帯電部材としての帯電ローラ12は、導電性の支持体(芯金、芯材)である回転軸12aと、回転軸12aの周囲に形成された一層以上の弾性層12bとを有するローラ状の部材である。帯電ローラ12は、感光ドラム11の表面に、付勢手段としての加圧バネ32(図4)によって所定の押圧力で接触させられており、感光ドラム11の回転に伴って従動して回転する。
より具体的に説明する。帯電ローラ12は、軸受部材としての帯電ローラ軸受31にその回転軸12aが保持されることによって回転可能に支持されている。また、帯電ローラ軸受31は、ドラム容器30に対してスライド可能に支持されている。具体的には、帯電ローラ軸受31がドラム容器30に設けられたスライド案内部30cにより、感光ドラム11の回転軸線に向かう方向にスライド可能に案内される構成となっている。図示の例では、帯電ローラ軸受31には、そのスライド方向に沿って溝31cが形成されており、スライド案内部30cがこの溝31cに係合することで、帯電ローラ軸受31が感光ドラム11の回転軸線に向かう方向に案内される。
そして、帯電ローラ軸受31に支持されている帯電ローラ12は、感光ドラム11の回転軸線に垂直な面における感光ドラム11の回転軸線に向かう方向に沿って移動可能となっている。これにより、帯電ローラ12は、感光ドラム11の表面に接触する接触位置と、感光ドラム11の表面から離間した離間位置とに移動可能に設けられる。そして、帯電ローラ12は、接触位置で電圧を印加されることで感光ドラム11の表面を帯電させる。
更に、ドラム容器30と帯電ローラ軸受31の間には、付勢手段としての加圧バネ32が設けられている。加圧バネ32は、帯電ローラ12を感光ドラム11の回転軸線に垂直な面における感光ドラム11の回転軸線に向かう方向(付勢方向)に付勢している。即ち、加圧バネ32は、帯電ローラ軸受31のスライド方向と同方向に帯電ローラ軸受31を付勢している。このため、帯電ローラ12は、感光ドラム11に加圧されて接触する。即ち、加圧バネ32は、帯電ローラ12を離間位置から接触位置に向かう方向に付勢している。
清掃部材としてのクリーニングローラ13は、帯電ローラ12に接触して帯電ローラ12の表面を清掃する。クリーニングローラ13は、棒状の支持部(芯金、芯材)である回転軸13aと、回転軸13aの周囲に形成された弾性層13bとを有し、その外周面が帯電ローラ12に接触するローラ状の部材である。クリーニングローラ13は、帯電ローラ12の表面に、清掃部材付勢手段としての加圧バネ34(図3、4)によって所定の押圧力で接触させられており、帯電ローラ12の回転に伴って従動して回転する。
より具体的に説明する。クリーニングローラ13は、クリーニングローラ軸受33にその回転軸13aが支持されることによって回転可能に支持されている。また、クリーニングローラ軸受33は、帯電ローラ軸受31に対してスライド可能に支持されている。具体的には、クリーニングローラ13が帯電ローラ12の回転軸線に垂直な面における帯電ローラ12の回転軸線に向かう方向に沿って移動できるように、クリーニングローラ軸受33が帯電ローラ12の回転軸線に向かう方向にスライド可能に構成されている。なお、本実施形態では、帯電ローラ12の回転軸線と、後述する離間部材200の回動軸線とは、共通である。
これにより、クリーニングローラ13は、帯電ローラ12の表面に接触するローラ接触位置と、帯電ローラ12の表面から離間したローラ離間位置とに移動可能に設けられる。そして、クリーニングローラ13は、ローラ接触位置で帯電ローラ12を清掃する。
更に、帯電ローラ軸受31とクリーニングローラ軸受33の間には、清掃部材付勢手段としての加圧バネ34が設けられている。加圧バネ34は、クリーニングローラ13を帯電ローラ12の回動軸線に垂直な面における帯電ローラ12の回転軸線方向に向かう方向(付勢方向)に付勢している。このため、クリーニングローラ13は、帯電ローラ12に加圧されて接触する。即ち、加圧バネ34は、クリーニングローラ13をローラ離間位置からローラ接触位置に向かう方向に付勢している。言い換えれば、クリーニングローラ13は、加圧バネ34による付勢方向に沿って移動可能にクリーニングローラ軸受33に支持されている。また、本実施形態では、加圧バネ32による付勢方向と加圧バネ34による付勢方向とが略同方向となっている。
また、クリーニングローラ13は、クリーニングローラ軸受33及び加圧バネ34を介して帯電ローラ軸受31に支持されている。このため、次述するように、離間部材200によって帯電ローラ12が感光ドラム11から離れる方向に移動した場合に、これに連動してクリーニングローラ13が帯電ローラ12の移動方向に移動する。
以上の構成によって、感光ドラム11が装置本体1aに備えられているモータなどの駆動源から駆動力を受けて回転すると、帯電ローラ12が感光ドラム11との摩擦力によって従動回転する。更に、帯電ローラ12が回転すると、クリーニングローラ13が帯電ローラ12との摩擦力によって従動回転する。また、トナー搬送スクリュー38はギア36より駆動力(回転力)を受けて回転する。
[離間部材]
次に、離間部材200について、図5ないし図7を用いて説明する。ドラムカートリッジ100には、流通のための輸送時に帯電ローラ12と感光ドラム11との間、帯電ローラ12とクリーニングローラ13との間をそれぞれ離間してクリアランスを確保するための離間部材200が設けられている。
離間部材200は、帯電ローラ12の回転軸上に揺動自在に設けられている。本実施形態では、離間部材200は、帯電ローラ12の回転軸12aの両端に、回転軸12aを揺動軸として揺動可能にそれぞれ設けられている。言い換えれば、離間部材200は、帯電ローラ12の回転軸線を中心として揺動可能に帯電ローラ12に支持されている。このため、離間部材200は、帯電ローラ12の移動に連動して移動可能となっている。なお、帯電ローラ12の両端における離間部材200の構成は同等なので、以下では、片側のみを示した図を用いて説明する。
離間部材200は、図5及び図6に示すように、2つの離間保持部210、220と、揺動支持部230とを有する。揺動支持部230は、上述のように帯電ローラ12の回転軸12aに揺動自在に嵌合されている。これにより、離間部材200は、回転軸12aに対して揺動自在に支持される。離間保持部210は、感光ドラム11に設けられたギア36と帯電ローラ12の回転軸12aとの間に配置され、感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させると共にクリアランスを確保する。離間保持部220は、帯電ローラ12の回転軸12aとクリーニングローラ13の回転軸13aとの間に配置され、帯電ローラ12とクリーニングローラ13とを離間させると共にクリアランスを確保する。
また、2つの離間保持部210、220及び揺動支持部230は、一体的に形成されている。このため、離間部材200が揺動方向に関して第1の位相(離間保持位置)に位置している状態では、離間保持部210、220により、感光ドラム11と帯電ローラ12を、帯電ローラ12とクリーニングローラ13をそれぞれ離間させた状態で保持する。この状態を離間状態(或いは、離間保持状態)とする。一方、離間部材200が揺動方向に関して第1の位相から第2の位相(離間解除位置)に揺動した場合、後述するように、感光ドラム11と帯電ローラ12の離間状態と、帯電ローラ12とクリーニングローラ13の離間状態とが同時に解除される。この状態を離間解除状態とする。
離間保持部210は、感光ドラム11と帯電ローラ12の離間状態のとき、加圧バネ32の加圧力(付勢力)で帯電ローラ12の回転軸12a(離間部材200の回動軸)とギア36の間に挟み込まれている。また、離間保持部220は、帯電ローラ12とクリーニングローラ13の離間状態のとき、加圧バネ34の加圧力(付勢力)でクリーニングローラ13の回転軸13aと帯電ローラ12の回転軸12aの間に挟み込まれている。
また、図7(a)に示すように、離間部材200の離間保持部210は、ギア36と係合可能な第1係合部211を有する。第1係合部211は、離間状態で離間保持部210のギア36と向かい合う側の側面に、係合突部としてのギア歯211aが形成されている。また、ギア36の外周面には、ギア歯211aと係合可能な係合凹部36aが全周に亙って形成されている。即ち、ギア36のギア歯同士の間の係合凹部36aとしている。ギア歯211aは、ギア36の係合凹部36aのピッチ(ギア36のギア歯のピッチ)と同じピッチで形成されている。そして、感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させている離間状態のとき、第1係合部211のギア歯211aは、ギア36の係合凹部36aと係合している。離間部材200は、第1係合部211が回転部材としてのギア36に係合している状態で、帯電ローラ12を加圧バネ32の付勢力に抗して、感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させた離間位置に保持する。
また、離間部材200の離間保持部220は、清掃部材の一部としてのクリーニングローラ13の回転軸13aと係合可能な清掃部材係合部としての係合部221を有する。係合部221は、離間状態で離間保持部220の回転軸13aと向かい合う側の側面に設けられており、円筒状の回転軸13aの外周面の外径と略同一の曲率半径を有する凹部である。そして、帯電ローラ12とクリーニングローラ13とを離間させている離間状態のとき、係合部221は、回転軸13aと係合している。言い換えると、この時、離間部材200は、係合部221が清掃部材の一部としての回転軸13aに係合している状態で、クリーニングローラ13を加圧バネ34の付勢力に抗して、帯電ローラ12とクリーニングローラ13とを離間させた離間位置に保持する。
離間保持部220の係合部221は、離間保持部210の第1係合部211がギア36と係合している状態で、クリーニングローラ13の回転軸13aと係合するように形成されている。このため、離間部材200が揺動方向に関して第1の位相に位置している状態では、第1係合部211がギア36と、係合部221が回転軸13aとそれぞれ係合する。そして、帯電ローラ12とクリーニングローラ13をそれぞれ離間させた状態に保持する。これによって、例えばドラムカートリッジ100の輸送時には、帯電ローラ12の弾性層12bと感光ドラム11とを離間させ、更に、帯電ローラ12とクリーニングローラ13とを離間させ、互いのクリアランスを確保している。
[離間保持の自動解除]
次に、図7(a)、(b)を用いて、離間部材200により感光ドラム11と帯電ローラ12、及び、帯電ローラ12とクリーニングローラ13の離間状態を自動で解除させる自動解除について説明する。新しいドラムカートリッジ100を装置本体1a(図1)に装着して画像形成装置1(図1)を起動させたとき、画像形成装置1によって行われる初期動作によって、感光ドラム11に装置本体1aに備えられているモータから駆動力(回転力)が入力される。
ドラムカートリッジ100を装置本体1aに装着したときには、図7(a)に示すように、感光ドラム11と帯電ローラ12との間、及び、帯電ローラ12とクリーニングローラ13との間が離間されている離間状態となっている。そして、この離間状態から、感光ドラム11の回転が開始されると、図7(b)に示すように、感光ドラム11の回転とともにギア36が矢印β方向に回転する。すると、ギア36と係合している第1係合部211がギア36の回転力を受けて、離間部材200が所定方向α(図7(b)の矢印方向)に揺動する。即ち、駆動力が入力されてギア36が回転することで、離間部材200が離間保持位置から離間解除位置に向かう所定方向αに移動(本実施形態では揺動)する。
このように離間部材200が揺動することによって、第1係合部211とギア36との係合が外れ、離間保持部210が帯電ローラ12の回転軸12a(離間部材200の揺動軸)とギア36の間に挟み込まれている状態から解放される。この結果、帯電ローラ12が離間位置に保持されている状態が自動的に解除される。
また、離間部材200が揺動することによって、係合部221とクリーニングローラ13の回転軸13aとの係合が外れ、離間保持部220が帯電ローラ12の回転軸12aとクリーニングローラ13の回転軸13aの間に挟み込まれている状態から解放される。この結果、クリーニングローラ13がローラ離間位置に保持されている状態が自動的に解除される。即ち、本実施形態では、ドラムカートリッジ100が装置本体1aに装着されてから画像形成装置1の初期動作によりギア36回転すると、離間部材200が揺動して、帯電ローラ12とクリーニングローラ13の離間状態が同時に自動的に解除される。
[離間保持のための構成]
次に、離間保持のための構成について、図8ないし図12を用いて説明する。例えば、ドラムカートリッジ100の運搬中などにドラムカートリッジ100に強い振動が加わっても、離間部材200の第1係合部211とギア36との係合が不用意に外れることを抑制する。本実施形態では、離間部材200が有する第2係合部212と、帯電ローラ軸受31が有する被係合部31aとにより、ドラムカートリッジ100に強い振動が加わっても、離間部材200が離間解除位置に向かうことを規制している。そして、第1係合部211とギア36との係合が不用意に外れることを抑制している。
即ち、第2係合部212と被係合部31aとは、離間保持位置でギア36に駆動力が入力されずにギア36と第1係合部211との係合が外れて、何らかの理由により離間部材200が所定方向αに揺動しようとした場合に互いに係合する。これにより、離間部材200が離間解除位置に向かって揺動することを規制して、第1係合部211とギア36との係合が不用意に外れることを抑制する。一方、第2係合部212と被係合部31aとは、ギア36に駆動力が入力されて離間部材200が所定方向αに揺動しようとした場合に、第2係合部212と被係合部31aとの係合が解除される。そして、離間部材200が離間解除位置に向かうことを許容する。これにより、上述したように、感光ドラム11と帯電ローラ12、及び、帯電ローラ12とクリーニングローラ13の離間状態を自動で解除される。以下、具体的に説明する。
図8及び図9は、離間部材200周辺の断面斜視図であり、図8は離間状態を、図9は離間解除状態をそれぞれ示している。離間部材200は、帯電ローラ12の回転軸12aに回転可能に嵌合しているため、回転軸12aの回転中心軸を中心に揺動可能となっている。
離間部材200は、第1係合部211と異なる位置に設けられた第2係合部212を有する。第2係合部212は、離間保持部210の第1係合部211と反対側、即ち、帯電ローラ12側に設けられている。本実施形態では、第2係合部212は、離間部材200から帯電ローラ12の径方向に沿った方向に突出する突部(離間部材側突部)としている。
一方、帯電ローラ12の回転軸12aを支持する帯電ローラ軸受31には、被係合部31aが帯電ローラ軸受31と一体に形成されている。本実施形態では、被係合部31aは、帯電ローラ軸受31から帯電ローラ12の径方向に沿った方向に突出した突部(軸受部材側突部)としている。被係合部31aは、離間部材200が離間保持位置にある状態で第2係合部212の所定方向下流側に位置する。これにより、被係合部31aは、離間部材200が所定方向に移動しようとした場合に第2係合部212と係合可能である。
このような被係合部31aは、帯電ローラ軸受31に形成された円弧形状部31bの外周部の一部から径方向に突出するように形成されている。円弧形状部31bの中心は、回転軸12aと同軸に設定され、円弧形状部31bの外径は回転軸12aと同じ、または若干大きく形成されている。
また、回転軸12aの軸線方向において、離間部材200の第2係合部212と、帯電ローラ軸受31の被係合部31aとは、同じ位置になるように形成されている。このため、離間部材200が回転軸12aを中心に回動動作する場合、ある位相においては、第2係合部212と被係合部31aとが干渉し、離間部材200の回動動作を制限される。
第2係合部212と被係合部31aとの位置関係を表す詳細については、図8のA部(点線円内)を図10に、図9のB部(点線円内)を図11に、それぞれ示している。離間部材200の離間保持部210は、図10においては離間保持位置であり、図11においては離間解除位置(帯電ローラ12の表面と、感光ドラム11の表面が当接している状態)となっている。
図10に示すように、離間状態から感光ドラム11に入力された駆動力により、感光ドラム11が矢印β方向に回転すると、ギア36も一体に回転するため、ギア36と第1係合部211との噛み合いにより離間部材200が矢印α方向に揺動していく。この時、帯電ローラ軸受31の被係合部31aは、離間部材200と一体に形成された第2係合部212が揺動する下流側の円弧形状部31b外周面に配置されている。このため、第2係合部212は被係合部31aと干渉し、離間部材200の揺動を制限する。
ここで、第2係合部212と被係合部31aとの干渉量は、0.1〜0.5mm程度としている。一方、ギア36と第1係合部211との噛みあい量は、第2係合部212と被係合部31aとの干渉量に比べて大きく設定されている。例えば、1.5〜3mm程度としている。また、感光ドラム11に入力される回転駆動トルクも十分大きく設定されている。このため、感光ドラム11が回転駆動されることで、第2係合部212が被係合部31aとの干渉を乗り越えて、離間部材200は、図11に示す離間解除位置まで揺動し、離間解除状態となる。
本実施形態では、このように第2係合部212が被係合部31aを乗り越えるために、第2係合部212側を弾性変形が許容されるように撓む形状にしている。具体的には、第2係合部212が形成された離間保持部210に穴213を形成し、離間保持部210が弾性変形し易くしている。なお、被係合部31aを設けている帯電ローラ軸受31側に撓み形状を設けても良いし、両方に設けても良い。即ち、離間部材200と帯電ローラ軸受31との少なくとも何れかは、ギア36に駆動力が入力されて離間部材200が所定方向に移動しようとした場合に、第2係合部212が被係合部31aを乗り越えられるように弾性変形するように形成されている。
また、第2係合部212が被係合部31aを乗り越えられるようにする構成は、上述の弾性変形に限らない。例えば、第2係合部212と被係合部31aとの少なくとも何れかは、ギア36に駆動力が入力されて離間部材200が所定方向に移動しようとした場合に、第2係合部212が被係合部31aを乗り越えられるように相対移動するようにしても良い。例えば、第2係合部212を離間保持部210に対して径方向に突出及び退避自在に設ける。或いは、被係合部31aを帯電ローラ軸受31に対して径方向に突出及び退避自在に設ける。
図12は、離間状態において、特に、強い衝撃を受けた場合に離間部材200とギア36との間に隙間Sができた状態を示している。ドラムカートリッジなど、交換する消耗部品は、輸送時に落下させてしまうなど予想外の強い衝撃が加わる場合がある。段ボール紙や、発砲スチロールなどの輸送用の個装箱にて梱包された状態であっても、1m程度の高さから落下した場合、50〜100G程度の衝撃がドラムカートリッジに加わる場合がある。この時、感光ドラム11や、帯電ローラ12などに慣性力が働くためドラムカートリッジのフレーム自体が弾性変形を瞬間的に起こすこともある。
通常は、帯電ローラ軸受31を感光ドラム11の方向へ付勢している加圧バネ32によって、離間部材200と共に回転軸12aを感光ドラム11側に押し付けることで、離間保持部210の第1係合部211がギア36に付勢されている。このため、第1係合部211とギア36との係合が容易に離れることはない。しかし、前述の通り強い衝撃が加わった場合、図12に示すように第1係合部211とギア36とが離れてしまい、瞬間的ではあるが、隙間Sができてしまう。
ここで、上述の第2係合部212及び被係合部31aがない場合について説明する。離間部材200は回転軸12aに回動自在に嵌合支持されているため、第1係合部211とギア36とが離れてしまうと、回動方向に少しでも力が加わることで、離間部材200が、例えば自重により容易に図12の矢印の方向へ回転してしまう。この場合、次の瞬間に、離間部材200と帯電ローラ12が感光ドラム11の方向へと戻ったとしても、離間部材200がすでに回転してしまっているため、離間解除状態となってしまう。
一方、本実施形態では、離間部材200に第2係合部212が、帯電ローラ軸受31に被係合部31aが、それぞれ上述のように配置されている。このため、第2係合部212と被係合部31aとの係合により、離間部材200の自重による慣性力程度の回転を制限して、瞬間的に、第1係合部211とギア36とが噛み合っていなくても、離間部材200の姿勢を維持することができる。このため、再び、帯電ローラ12、離間部材200が感光ドラム11に付勢される位置に戻った時に、第1係合部211とギア36とが再び噛みあい、離間状態が維持される。
以上、本実施形態によれば、ドラムカートリッジ100に対して振動や衝撃が加わって、帯電ローラ12と離間部材200が感光ドラム11から離れる方向に移動した場合でも、不用意に離間部材200が離間解除位置まで回転することを抑制できる。この結果、感光ドラム11と帯電ローラ12との離間状態が意図せずに解除されてしまう事を軽減することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図13ないし図16を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、クリーニングローラ13を有する構成について説明したが、本実施形態は、クリーニングローラ13を有さない構成である。また、本実施形態の場合、離間部材300は、軸受部材としての帯電ローラ軸受400に対して揺動自在に設けられている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成については同じ符号を付して、説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態における感光体ユニットとしてのドラムカートリッジは、第1の実施形態のドラムカートリッジ100に対して、帯電ローラ12の清掃部材であるクリーニングローラ13は持たない構成である。また、本実施形態のドラムカートリッジは、クリーニングローラ軸受33、加圧バネ34も持たない構成である。
また、帯電ローラ12は、軸受部材としての帯電ローラ軸受400にその回転軸12aが保持されることによって回転可能に支持されている。また、帯電ローラ軸受400は、第1の実施形態と同様に、ドラム容器(不図示)に対してスライド可能に支持されている。また、第1の実施形態と同様に、ドラム容器と帯電ローラ軸受400の間には、付勢手段としての加圧バネ32が設けられている。加圧バネ32は、帯電ローラ12を感光ドラム11の回転軸線に垂直な面における感光ドラム11の回転軸線に向かう方向(付勢方向)に付勢している。
[離間部材]
次に、離間部材300について、図13及び図14を用いて説明する。図13は離間状態を示し、図14は離間解除状態を示している。ドラムカートリッジには、流通のための輸送時に帯電ローラ12と感光ドラム11との間を離間してクリアランスを確保するための離間部材300が設けられている。
離間部材300は、帯電ローラ12を支持する帯電ローラ軸受400に揺動自在に設けられている。本実施形態では、離間部材300は、帯電ローラ軸受400に帯電ローラ12の回転軸12aと略平行に設けられた円筒軸410に揺動可能に設けられている。円筒軸410は、回転軸12aと同心軸上にあっても良いし、回転軸12aの中心軸からずれていても良い。本実施形態では、円筒軸410の中心軸は、回転軸12aの中心軸からずれた位置としている。また、本実施形態の場合も、離間部材300は、帯電ローラ12の移動に連動して移動可能となっている。なお、帯電ローラ12の両端における離間部材300の構成は同等なので、以下では、片側のみを示した図を用いて説明する。
離間部材300は、離間保持部310と、揺動支持部320とを有する。揺動支持部320は、上述のように帯電ローラ軸受400の円筒軸410に揺動自在に嵌合されている。離間保持部310は、感光ドラム11に設けられたギア36と帯電ローラ12の回転軸12aとの間に配置され、感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させると共にクリアランスを確保する。
また、離間保持部310及び揺動支持部320は、一体的に形成されている。このため、離間部材300が揺動方向に関して第1の位相(離間保持位置)に位置している状態では、離間保持部310により、感光ドラム11と帯電ローラ12を離間させた状態で保持する。この状態を離間状態(或いは、離間保持状態)とする。一方、離間部材300が揺動方向に関して第1の位相から第2の位相(離間解除位置)に揺動した場合、感光ドラム11と帯電ローラ12の離間状態が解除される。この状態を離間解除状態とする。
離間保持部310は、感光ドラム11と帯電ローラ12の離間状態のとき、加圧バネ32の加圧力(付勢力)で帯電ローラ軸受400とギア36の間に挟み込まれている。これによって、例えばドラムカートリッジの輸送時には、帯電ローラ12の弾性層12bと感光ドラム11とを離間させ、互いのクリアランスを確保している。
また、第1の実施形態で説明した図7(a)と同様に、離間保持状態で離間保持部310のギア36と向かい合う側の面には、ギア36のギア歯面ピッチと同じピッチでギア歯を有する第1係合部311が設けられている。
[離間保持の自動解除]
次に、離間保持状態の自動解除について、図14を用いて説明する。新しいドラムカートリッジを装置本体1aに装着して画像形成装置1(図1参照)を起動させたとき、画像形成装置1によって行われる初期動作によって、感光ドラム11に装置本体1aに備えられているモータから駆動力が入力される。
ドラムカートリッジを装置本体1aに装着したときには、図13に示すように、感光ドラム11と帯電ローラ12との間が離間されている離間状態となっている。そして、この離間状態から、感光ドラム11の回転が開始されると、図14に示すように感光ドラム11の回転とともにギア36が矢印β方向に回転する。すると、ギア36と係合している離間部材300の第1係合部311がギア36の回転力を受けて、離間部材300が所定方向αに揺動する。即ち、駆動力が入力されてギア36が回転することで、離間部材300が離間保持位置から離間解除位置に向かう所定方向αに移動(本実施形態では揺動)する。
このように離間部材300が揺動することによって、第1係合部311とギア36との係合が外れ、離間保持部310が帯電ローラ軸受400の円筒軸410とギア36の間に挟み込まれている状態から解放される。この結果、帯電ローラ12が離間位置に保持されている状態が自動的に解除される。
[離間保持のための構成]
次に、離間保持のための構成について、図15及び図16を用いて説明する。図15は、図13の矢印C方向から見た斜視図であり、離間状態を示す。図16は、図14の矢印D方向から見た斜視図であり、離間解除状態を示している。離間部材300は、帯電ローラ軸受400の円筒軸410に回転可能に嵌合しているため、円筒軸410を中心軸として揺動可能となっている。
離間部材300には、図15に示すように、第1係合部311と異なる位置に第2係合部330を設けている。第2係合部330は、帯電ローラ軸受400に対向する面に、円筒軸410の軸線方向に突出した形状で形成されている。即ち、第2係合部330は、離間部材300から帯電ローラ12の回転軸線方向に沿った方向に突出する離間部材側突部である。
一方、帯電ローラ軸受400には、一体に形成された被係合部420が設けられている。被係合部420は、離間部材300と対向する位置に、帯電ローラ軸受400の円筒軸410の突出方向と同じ向きに突出するような凸形状に形成されている。即ち、被係合部420は、帯電ローラ軸受400から帯電ローラ12の回転軸線方向に沿った方向に突出し、離間部材300が所定方向αに移動しようとした場合に第2係合部330と係合可能な軸受部材側突部である。
第2係合部330は、離間部材300が円筒軸410を中心に回動動作するときに回転位相のある位置において被係合部420と干渉するように、円筒軸410の中心からの距離が被係合部420と同じになるように配置されている。これにより、第1の実施形態と同様に、第2係合部330と被係合部420との係合により、離間部材300の回動動作が制限される。
第2係合部330と被係合部420の干渉量については、第1の実施形態と同様に、0.1〜0.5mm程度としている。そして、第2係合部330と被係合部420との干渉量を、ギア36と第1係合部311との噛みあい量(例えば、1.5〜3mm程度)に比べて小さく設定している。また、感光ドラム11に入力される回転駆動トルクも十分大きく設定されている。このため、感光ドラム11が回転駆動されることで、第2係合部330が被係合部420との干渉を乗り越えて、離間部材300は、図16に示す離間解除位置まで揺動し、離間解除状態となる。
本実施形態では、このように第2係合部330が被係合部420を乗り越えるために、第2係合部330側と被係合部420側の少なくとも何れかを弾性変形が許容されるように撓む形状にしている。即ち、離間部材300と帯電ローラ軸受400との少なくとも何れかは、ギア36に駆動力が入力されて離間部材300が所定方向に移動しようとした場合に、第2係合部330が被係合部420を乗り越えられるように弾性変形するように形成されている。
なお、本実施形態の場合も、第1の実施形態と同様に、相対移動により第2係合部212が被係合部31aを乗り越えられるようにしても良い。即ち、第2係合部330と被係合部420との少なくとも何れかは、ギア36に駆動力が入力されて離間部材300が所定方向に移動しようとした場合に、第2係合部330が被係合部420を乗り越えられるように相対移動するようにしても良い。例えば、本実施形態の場合、第2係合部330が設けられた離間部材300が、円筒軸410の軸線方向に退避する構成としても良い。即ち、第2係合部330が被係合部420と係合した際に、離間部材300が帯電ローラ軸受400から離れる方向に退避することで、第2係合部330が被係合部420を乗り越えられるようにしても良い。
これにより、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、離間部材300の自重による慣性力程度の回転を制限して、瞬間的に、第1係合部311とギア36とが噛み合っていなくても、離間部材300の姿勢を維持することができる。このため、再び、帯電ローラ12、離間部材300が感光ドラム11に付勢される位置に戻った時に、第1係合部311とギア36とが再び噛みあい、離間状態が維持される。
また、本実施形態においては、離間部材300が、帯電ローラ12の回転軸12aに直接支持されておらず、帯電ローラ軸受400に一体的に形成された円筒軸410に支持されている。このため、離間解除後の使用状態において、離間部材300が帯電ローラ12の回転負荷となることがない。これにより、感光ドラム11との摩擦力が小さい設定の帯電ローラ12であっても、帯電ローラ12の回転負荷とならない。
以上、本実施形態によれば、ドラムカートリッジに対して振動や衝撃が加わって、帯電ローラ12と離間部材300が感光ドラム11から離れる方向に移動した場合でも、不用意に離間部材300が離間解除位置まで回転することを抑制できる。この結果、感光ドラム11と帯電ローラ12との離間状態が意図せずに解除されてしまう事を軽減することができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図17ないし図20を用いて説明する。本実施形態も、第2の実施形態と同様に、クリーニングローラ13を有さない構成である。また、本実施形態の場合、第1、第2の実施形態と異なり、離間部材500の回動の噛みあい部が感光ドラム11の回転とは別の駆動入力による構成となっている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成については同じ符号を付して、説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態における感光体ユニットとしてのドラムカートリッジは、第1の実施形態のドラムカートリッジ100に対して、帯電ローラ12の清掃部材であるクリーニングローラ13は持たない構成である。また、本実施形態のドラムカートリッジは、クリーニングローラ軸受33、加圧バネ34も持たない構成である。
また、帯電ローラ12は、軸受部材としての帯電ローラ軸受600にその回転軸12aが保持されることによって回転可能に支持されている。また、帯電ローラ軸受600は、第1の実施形態と同様に、ドラム容器(不図示)に対してスライド可能に支持されている。また、第1の実施形態と同様に、ドラム容器と帯電ローラ軸受600の間には、付勢手段としての加圧バネ32が設けられている。加圧バネ32は、帯電ローラ12を感光ドラム11の回転軸線に垂直な面における感光ドラム11の回転軸線に向かう方向(付勢方向)に付勢している。
また、本実施形態の場合、感光ドラム11は、別の回転体としてのクリーニングブラシローラ700により表面が清掃される。クリーニングブラシローラ700は、感光ドラム11と略平行に配置され、不図示の駆動源により回転駆動される。そして、クリーニングブラシローラ700は、感光ドラム11の表面に接触して、一次転写後の感光ドラム11の表面を清掃する。クリーニングブラシローラ700は、感光ドラム11とは別の駆動源により駆動される。
クリーニングブラシローラ700の長手方向端部(回転軸線方向端部)には、クリーニングブラシローラ700の回転軸線を中心としてクリーニングブラシローラ700と一体で回転するように固定された回転部材としてのギア710が設けられている。即ち、ギア710は、クリーニングブラシローラ700の回転軸上にクリーニングブラシローラ700と共に回転するように設けられている。
[離間部材]
次に、離間部材500について、図17及び図18を用いて説明する。図17は離間状態を示し、図18は離間解除状態を示している。ドラムカートリッジには、流通のための輸送時に帯電ローラ12と感光ドラム11との間を離間してクリアランスを確保するための離間部材500が設けられている。
離間部材500は、帯電ローラ12の回転軸上に揺動自在に設けられている。本実施形態では、離間部材500は、帯電ローラ12の回転軸12aの両端に、回転軸12aを揺動軸として揺動可能にそれぞれ設けられている。言い換えれば、離間部材500は、帯電ローラ12の回転軸線を中心として揺動可能に帯電ローラ12に支持されている。このため、離間部材500は、帯電ローラ12の移動に連動して移動可能となっている。なお、帯電ローラ12の両端における離間部材500の構成は同等なので、以下では、片側のみを示した図を用いて説明する。
離間部材500は、離間保持部510と、揺動支持部520とを有する。揺動支持部520は、上述のように帯電ローラ12の回転軸12aに揺動自在に嵌合されている。離間保持部510は、感光ドラム11と帯電ローラ12の回転軸12aとの間に配置され、感光ドラム11と帯電ローラ12とを離間させると共にクリアランスを確保する。
また、離間保持部510及び揺動支持部520は、一体的に形成されている。このため、離間部材500が揺動方向に関して第1の位相(離間保持位置)に位置している状態では、離間保持部510により、感光ドラム11と帯電ローラ12を離間させた状態で保持する。この状態を離間状態(或いは、離間保持状態)とする。一方、離間部材500が揺動方向に関して第1の位相から第2の位相(離間解除位置)に揺動した場合、感光ドラム11と帯電ローラ12の離間状態が解除される。この状態を離間解除状態とする。
離間保持部510には、第1係合部511と、離間部材500の揺動方向に関して第1係合部511と異なる位置に設けられたドラム側係合部512とを有する。第1係合部511は、離間保持状態で離間保持部510のギア710と向かい合う側の面に形成され、ギア710のギア歯面ピッチと同じピッチのギア歯を有する。
ドラム側係合部512は、離間保持状態で感光ドラム11と向かい合う側の面に形成された、感光ドラム11の外径と略同じ或いは若干大きい径を有する凹部である。また、帯電ローラ12の回転中心軸からドラム側係合部512までの最短距離は、弾性層12bの半径よりも大きい。
このような離間保持部510は、離間保持状態では、加圧バネ32の加圧力(付勢力)を受ける帯電ローラ軸受600を介して、ドラム側係合部512を感光ドラム11の外周面に当接させている。そして、この状態で、離間保持部510が、感光ドラム11の外周面と帯電ローラ12の回転軸12aとの間に挟み込まれている。このとき、離間保持部510が感光ドラム11に当接するドラム側係合部512は、感光ドラム11の回転軸線方向に関して画像形成領域の外側に設けられている。画像形成領域とは、感光ドラム11の表面に画像形成可能な最大領域である。
本実施形態では、このように感光ドラム11と回転軸12aとの間に離間保持部510が挟み込まれることで、例えばドラムカートリッジの輸送時には、帯電ローラ12の弾性層12bと感光ドラム11とを離間させ、互いのクリアランスを確保している。
なお、本実施形態では、離間部材500に設けられた第1係合部511が係合する回転部材としてのギア710は、クリーニングブラシローラ700に設けられている。但し、このような回転部材は、感光ドラム11の周辺で回転する部材であれば、他の部材に設けられていても良い。例えば、単に、離間部材500を駆動するためだけに、ギアなどの回転部材を設けても良い。或いは、ドラムカードリッジが現像装置を備える構成の場合、現像装置の現像スリーブと共に回転するように回転部材を設けても良い。
[離間保持の自動解除]
次に、離間保持状態の自動解除について、図18を用いて説明する。新しいドラムカートリッジを装置本体1aに装着して画像形成装置1(図1参照)を起動させたとき、画像形成装置1によって行われる初期動作によって、クリーニングブラシローラ700に装置本体1aに備えられているモータから駆動力が入力される。
ドラムカートリッジを装置本体1aに装着したときには、図17に示すように、感光ドラム11と帯電ローラ12との間が離間されている離間状態となっている。そして、この離間状態から、クリーニングブラシローラ700の回転が開始されると、図18に示すようにクリーニングブラシローラ700の回転とともにギア710が矢印X方向に回転する。すると、ギア710と係合している離間部材500の第1係合部511がギア710の回転力を受けて、離間部材500が所定方向Yに揺動する。即ち、駆動力が入力されてギア710が回転することで、離間部材500が離間保持位置から離間解除位置に向かう所定方向Yに移動(本実施形態では揺動)する。
このように離間部材500が揺動することによって、第1係合部511とギア710との係合が外れ、離間保持部510が感光ドラム11と帯電ローラ12の回転軸12aの間に挟み込まれている状態から解放される。この結果、帯電ローラ12が離間位置に保持されている状態が自動的に解除される。
[離間保持のための構成]
次に、離間保持のための構成について、図19及び図20を用いて説明する。図19は、図17の矢印E方向から見た斜視図であり、離間状態を示す。図20は、図18の矢印F方向から見た斜視図であり、離間解除状態を示している。離間部材500は、帯電ローラ12の回転軸12aに回転可能に嵌合しているため、回転軸12aを中心軸として揺動可能となっている。
離間部材500には、図19に示すように、第1係合部511と異なる位置に第2係合部530を設けている。第2係合部530は、帯電ローラ軸受400に対向する面に、回転軸12aの軸線方向に突出した形状で形成されている。即ち、第2係合部530は、離間部材500から帯電ローラ12の回転軸線方向に沿った方向に突出する離間部材側突部である。
一方、帯電ローラ軸受600には、一体に形成された被係合部610が設けられている。被係合部610は、離間部材500と対向する位置に、回転軸12aの軸線方向と同じ向きに突出するような凸形状に形成されている。即ち、被係合部610は、帯電ローラ軸受400から帯電ローラ12の回転軸線方向に沿った方向に突出し、離間部材500が所定方向Yに移動しようとした場合に第2係合部530と係合可能な軸受部材側突部である。
第2係合部530は、離間部材500が回転軸12aを中心に回動動作するときに回転位相のある位置において被係合部610と干渉するように、回転軸12aの中心からの距離が被係合部610と同じになるように配置されている。これにより、第1の実施形態と同様に、第2係合部530と被係合部610との係合により、離間部材500の回動動作が制限される。
第2係合部530と被係合部610の干渉量については、第1の実施形態と同様に、0.1〜0.5mm程度としている。そして、第2係合部530と被係合部610との干渉量を、ギア710と第1係合部511との噛みあい量(例えば、1.5〜3mm程度)に比べて小さく設定している。また、クリーニングブラシローラ700に入力される回転駆動トルクも十分大きく設定されている。このため、クリーニングブラシローラ700が回転駆動されることで、第2係合部530が被係合部610との干渉を乗り越えて、離間部材500は、図20に示す離間解除位置まで揺動し、離間解除状態となる。
本実施形態では、このように第2係合部530が被係合部610を乗り越えるために、第2係合部530側と被係合部610側の少なくとも何れかを弾性変形が許容されるように撓む形状にしている。即ち、離間部材500と帯電ローラ軸受600との少なくとも何れかは、ギア710に駆動力が入力されて離間部材500が所定方向に移動しようとした場合に、第2係合部530が被係合部610を乗り越えられるように弾性変形するように形成されている。
なお、本実施形態の場合も、第1の実施形態と同様に、相対移動により第2係合部530が被係合部610を乗り越えられるようにしても良い。即ち、第2係合部530と被係合部610との少なくとも何れかは、ギア710に駆動力が入力されて離間部材500が所定方向に移動しようとした場合に、第2係合部530が被係合部610を乗り越えられるように相対移動するようにしても良い。例えば、本実施形態の場合、第2係合部530が設けられた離間部材500が、回転軸12aの軸線方向に退避する構成としても良い。即ち、第2係合部530が被係合部610と係合した際に、離間部材500が帯電ローラ軸受600から離れる方向に退避することで、第2係合部530が被係合部610を乗り越えられるようにしても良い。
これにより、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、離間部材500の自重による慣性力程度の回転を制限して、瞬間的に、第1係合部511とギア710とが噛み合っていなくても、離間部材500の姿勢を維持することができる。このため、再び、帯電ローラ12、離間部材500が感光ドラム11に付勢される位置に戻った時に、第1係合部511とギア710とが再び噛みあい、離間状態が維持される。
また、本実施形態においては、離間部材500の離間を解除する駆動源が、感光ドラム11を駆動する駆動源ではなく、感光ドラム11とは別の回転体であるクリーニングブラシローラ700を回転させる別の駆動源となっている。このため、本実施形態は、感光ドラム11の単体での交換性が良好な構成にも適用可能である。また、感光ドラム11自身がギアを持たないことで余計な振動などが加わる可能性の低い、回転精度を重視した高画質(振動によるピッチ筋などが低減された)の要求があるドラムカートリッジにも、本実施形態を適用可能である。
以上、本実施形態によれば、ドラムカートリッジに対して振動や衝撃が加わって、帯電ローラ12と離間部材500が感光ドラム11から離れる方向に移動した場合でも、不用意に離間部材500が離間解除位置まで回転することを抑制できる。この結果、感光ドラム11と帯電ローラ12との離間状態が意図せずに解除されてしまう事を軽減することができる。
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、離間部材は、帯電ローラの回転軸或いは帯電ローラ軸受に揺動自在に設けられているが、離間部材は、帯電ローラの回転軸や帯電ローラ軸受から外れた位置に設けられていても良い。
また、上述の各実施形態では、被係合部が第2係合部の所定方向下流側に配置され、回転部材に駆動力が入力されて離間部材が所定方向に揺動した場合に、第2係合部が被係合部を乗り越えるようにした。但し、被係合部と第2係合部との関係はこれに限らない。
例えば、被係合部を第2係合部に、帯電ローラの径方向に関して所定の圧力で当接させ、回転部材に駆動力が入力されていない状態で離間部材が所定方向に移動しようとした場合には、被係合部が第2係合部と所定の圧力で当接している状態が維持される。これにより、離間部材の移動を規制する。一方、回転部材に駆動力が入力されて離間部材が所定方向に移動しようとした場合には、被係合部の当接圧に拘らず、第2係合部が被係合部との当接位置から移動して、第2係合部と被係合部との当接状態が解除される。これにより、離間部材が移動することを許容する。したがって、本発明の「係合」は、「当接」を含む概念である。
或いは、被係合部と第2係合部とを接続させておく。例えば、接着剤により被係合部と第2係合部とを接着しておく。或いは、被係合部と第2係合部とを破断可能な接続部を介して一体に形成しておく。前者の場合、回転部材に駆動力が入力されていない状態で離間部材が所定方向に移動しようとした場合には、被係合部と第2係合部との接着状態が維持される。これにより、離間部材の移動を規制する。一方、回転部材に駆動力が入力されて離間部材が所定方向に移動しようとした場合には、被係合部と第2係合部との接着が剥がれ、第2係合部が被係合部との接着位置から移動して、第2係合部と被係合部との接着状態が解除される。これにより、離間部材が移動することを許容する。
また、後者の場合、回転部材に駆動力が入力されていない状態で離間部材が所定方向に移動しようとした場合には、被係合部と第2係合部との接続部による接続状態が維持される。これにより、離間部材の移動を規制する。一方、回転部材に駆動力が入力されて離間部材が所定方向に移動しようとした場合には、接続部が破断し、第2係合部が被係合部との接続位置から移動して、第2係合部と被係合部との接続状態が解除される。これにより、離間部材が移動することを許容する。したがって、本発明の「係合」は、「接着」や「一体形成」などによる「接続」を含む概念である。
また、第1の実施形態でクリーニングローラ13を有さない構成としても良く、第2、第3の実施形態でクリーニングローラ13を有する構成としても良い。
また、感光体は、感光ドラム以外に感光ベルトなどであっても良い。また、感光体ユニットは、上述のドラムカートリッジ以外に、ドラムカートリッジと現像装置を組み合わせたプロセスカートリッジを含む。更に、画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの感光体を用いて画像形成を行うものであれば良い。