JP2020101163A - エンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】筒内圧センサの信頼性を判断する。【解決手段】エンジンの燃焼制御装置は、少なくとも一つの燃料噴射部(インジェクタ6)と、燃焼室17内の圧力変化に対応する計測信号を出力する筒内圧センサSW6と、少なくとも筒内圧センサの計測信号に基づいて、燃料噴射部に制御信号を出力する制御部(ECU10)と、を備える。制御部は、筒内圧センサの計測信号に基づいて、燃焼室内における燃焼圧(Pmi)と、質量燃焼割合が所定割合となるクランク角位置(mfb50)と、低位発熱量(Qend)と、を算出すると共に、制御部は、燃焼圧、クランク角位置、及び、低位発熱量に基づいて、筒内圧センサの計測信号の信頼性を判断する。【選択図】図7

Description

ここに開示する技術は、エンジンの燃焼制御装置に関する。
特許文献1には、ガソリン燃料を圧縮自己着火により燃焼させるエンジンが記載されている。このエンジンは、燃焼室内の圧力を検知する筒内圧センサを有している。エンジンコントロールユニットは、筒内圧センサの出力から質量燃焼割合が50%となるクランク角度を算出し、質量燃焼割合が50%となるクランク角度が適切な時期になるよう、燃焼開始時期を調整する。
特開2001−355484号公報
特許文献1に記載されているように、コントローラーが筒内圧センサの出力に基づいてエンジンの制御を行う構成において、燃焼室内において混合気が正常に燃焼している場合は、筒内圧センサの出力に基づいて、エンジンを適切に制御することができる。しかしながら、燃焼室内において混合気が異常燃焼している場合の、筒内圧センサの出力は、信頼性が低い。混合気が異常な燃焼、例えば失火や、プリイグニッションをしている場合には、燃焼室内に供給した燃料量に見合うトルクが発生しないためである。信頼性が低い筒内圧センサの出力に基づいてエンジンを制御すると、エンジンの運転に支障を来す恐れがある。
ここに開示する技術は、筒内圧センサの信頼性を判断する。
具体的にここに開示する技術は、エンジンの燃焼制御装置に関する。エンジンの燃焼制御装置は、自動車に搭載されたエンジンの燃焼室内に供給する燃料を噴射する、少なくとも一つの燃料噴射部と、前記燃焼室内の圧力変化に対応する計測信号を出力する筒内圧センサと、少なくとも前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記燃料噴射部に制御信号を出力する制御部と、を備える。
前記制御部は、前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記燃焼室内における燃焼圧と、質量燃焼割合が所定割合となるクランク角位置と、低位発熱量と、を算出すると共に、前記制御部は、前記燃焼圧、前記クランク角位置、及び、前記低位発熱量に基づいて、前記筒内圧センサの計測信号の信頼性を判断する。
本願発明者等の検討によると、筒内圧センサの計測信号を用いて算出される、燃焼圧、質量燃焼割合が所定割合となるクランク角位置、及び、低位発熱量に基づいて、燃焼室内において正常な燃焼が行われているか、異常な燃焼が行われているかを判断することができることがわかった。
燃焼室内において正常な燃焼が行われている場合、筒内圧センサの計測信号の信頼性は高い。燃焼室内において異常な燃焼が行われている場合、筒内圧センサの計測信号の信頼性は低い。よって、燃焼圧、質量燃焼割合が所定割合となるクランク角位置、及び、低位発熱量に基づいて、筒内圧センサの計測信号の信頼性を判断することができる。
前記制御部は、前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記燃料噴射部が噴射する燃料量の補正を行うと共に、前記筒内圧センサの計測信号の信頼性が低いと判断した場合には、前記燃料量の補正を制限する、としてもよい。
筒内圧センサの計測信号の信頼性が低い場合、制御部は、燃料噴射部が噴射する燃料量の補正を行わない。信頼性が低い計測信号を用いてエンジンを制御することが抑制されるから、エンジンの運転に支障を来すことが抑制される。
一方、筒内圧センサの計測信号の信頼性が高い場合、制御部は、燃料噴射部が噴射する燃料量の補正を行う。エンジンは適切に運転する。
前記エンジンは複数の燃焼室を有し、前記燃料噴射部は、複数の燃焼室内のそれぞれに、個別に燃料を供給し、前記制御部は、前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記複数の燃焼室毎に、前記燃料噴射部が噴射する燃料量の補正を行う、としてもよい。
燃焼室毎に、燃料噴射部が噴射する燃料量の補正を行うことによって、複数の燃焼室間のトルクのばらつきを小さくすることができる。
前記制御部は、前記エンジンが第1状態にある場合に、前記燃焼室内の混合気の燃料濃度を、理論空燃比よりもリーンにし、前記エンジンが第2状態にある場合に、前記燃焼室内の混合気の燃料濃度を、理論空燃比にし、前記制御部は、前記エンジンが前記第1状態にある場合に、前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記燃料噴射部が噴射する燃料量の補正を行う、としてもよい。
燃焼室内の混合気の燃料濃度が理論空燃比よりもリーンである場合、燃焼室内に供給する燃料量と、エンジンのトルクとは、線形又はほぼ線形の関係を有する。
エンジンが第1状態にある場合に燃料量の増量補正又は減量補正を行うことによって、エンジンのトルクを適切に調整することができる。
前記制御部は、前記低位発熱量(Qend)と前記燃焼圧(Pmi)との比(Qend/Pmi)と、前記質量燃焼割合が50%となるクランク角位置(mfb50)との間に特定の関係が成立する場合に、前記筒内圧センサの計測信号の信頼性が高いと判断し、それ以外の場合に、前記筒内圧センサの計測信号の信頼性が低いと判断する、としてもよい。
燃焼室内で混合気が正常な燃焼をしていると、Qend/Pmiとmfb50との間に特定の関係が成立する。混合気が異常な燃焼をしていると、前記特定の関係が成立しない。筒内圧センサの計測信号から算出される、Qend/Pmi及びmfb50に基づいて、筒内圧センサの計測信号の信頼性を適切に判断することができる。
以上説明したように、前記のエンジンの燃焼制御装置によると、筒内圧センサの信頼性を判断することができる。
図1は、エンジンの構成を例示する図である。 図2は、燃焼室の構成を例示する図であり、上図は燃焼室の平面視相当図、下図はII−II線断面図である。 図3は、エンジンの制御装置の構成を例示するブロック図である。 図4は、SPCCI燃焼の波形を例示する図である。 図5は、温間時のエンジンの制御マップを例示する図である。 図6は、エンジンの基本制御を例示するフローチャートである。 図7は、燃料噴射量の補正に係るエンジンの制御装置の構成を例示するブロック図である。 図8は、mfb50と、Qend/Pmiとの関係を例示する図である。 図9は、低発熱量Qinを算出する手法を説明するブロック図である。 図10は、燃料噴射量の気筒間補正に係る制御を例示するフローチャートである。
以下、エンジンの燃焼制御装置に関する実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、エンジン、及び、エンジンの燃焼制御装置の一例である。
図1は、圧縮着火式のエンジンシステムの構成を例示する図である。図2は、エンジンの燃焼室の構成を例示する図である。尚、図1における吸気側は紙面左側であり、排気側は紙面右側である。図2における吸気側は紙面右側であり、排気側は紙面左側である。図3は、エンジンの制御装置の構成を例示するブロック図である。
エンジン1は、燃焼室17が吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程を繰り返すことにより運転する4ストロークエンジンである。エンジン1は、四輪の自動車に搭載されている。エンジン1が運転することによって、自動車は走行する。エンジン1の燃料は、この構成例においてはガソリンである。燃料は、少なくともガソリンを含む液体燃料であればよい。燃料は、例えばバイオエタノール等を含むガソリンであってもよい。
(エンジンの構成)
エンジン1は、シリンダブロック12と、その上に載置されるシリンダヘッド13とを備えている。シリンダブロック12の内部に複数のシリンダ11が形成されている。図1及び図2では、一つのシリンダ11のみを示す。エンジン1は、多気筒エンジンである。
各シリンダ11内には、ピストン3が摺動自在に内挿されている。ピストン3は、コネクティングロッド14を介してクランクシャフト15に連結されている。ピストン3は、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室17を区画する。尚、「燃焼室」は広義で用いる場合がある。つまり、「燃焼室」は、ピストン3の位置に関わらず、ピストン3、シリンダ11及びシリンダヘッド13によって形成される空間を意味する場合がある。
シリンダヘッド13の下面、つまり、燃焼室17の天井面は、図2の下図に示すように、傾斜面1311と、傾斜面1312とによって構成されている。傾斜面1311は、吸気側から、後述するインジェクタ6の噴射軸心X2に向かって上り勾配となっている。傾斜面1312は、排気側から噴射軸心X2に向かって上り勾配となっている。燃焼室17の天井面は、いわゆるペントルーフ形状である。
ピストン3の上面は燃焼室17の天井面に向かって隆起している。ピストン3の上面には、キャビティ31が形成されている。キャビティ31は、ピストン3の上面から凹陥している。キャビティ31は、この構成例では、浅皿形状を有している。キャビティ31の中心は、シリンダ11の中心軸X1よりも排気側にずれている。
エンジン1の幾何学的圧縮比は、10以上30以下に設定されている。後述するようにエンジン1は、一部の運転領域において、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼を行う。SPCCI燃焼は、SI燃焼による発熱と圧力上昇とを利用して、CI燃焼をコントロールする。エンジン1は、圧縮着火式エンジンである。しかし、このエンジン1は、ピストン3が圧縮上死点に至った時の燃焼室17の温度(つまり、圧縮端温度)を高くする必要がない。エンジン1は、幾何学的圧縮比を、比較的低く設定することが可能である。幾何学的圧縮比を低くすると、冷却損失の低減、及び、機械損失の低減に有利になる。エンジン1の幾何学的圧縮比は、レギュラー仕様(燃料のオクタン価が91程度の低オクタン価燃料)においては、14〜17とし、ハイオク仕様(燃料のオクタン価が96程度の高オクタン価燃料)においては、15〜18としてもよい。
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、吸気ポート18が形成されている。吸気ポート18は、図示は省略するが、第1吸気ポート及び第2吸気ポートを有している。吸気ポート18は、燃焼室17に連通している。吸気ポート18は、詳細な図示は省略するが、いわゆるタンブルポートである。つまり、吸気ポート18は、燃焼室17の中にタンブル流が形成されるような形状を有している。
吸気ポート18には、吸気弁21が配設されている。吸気弁21は、燃焼室17と吸気ポート18との間を開閉する。吸気弁21は動弁機構によって、所定のタイミングで開閉する。動弁機構は、バルブタイミング及び/又はバルブリフトを可変にする可変動弁機構とすればよい。この構成例では、図3に示すように、可変動弁機構は、吸気電動S−VT(Sequential-Valve Timing)23を有している。吸気電動S−VT23は、吸気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更する。吸気弁21の開弁タイミング及び閉弁タイミングは、連続的に変化する。尚、吸気動弁機構は、電動S−VTに代えて、油圧式のS−VTを有していてもよい。
シリンダヘッド13にはまた、シリンダ11毎に、排気ポート19が形成されている。排気ポート19も、第1排気ポート及び第2排気ポートを有している。排気ポート19は、燃焼室17に連通している。
排気ポート19には、排気弁22が配設されている。排気弁22は、燃焼室17と排気ポート19との間を開閉する。排気弁22は動弁機構によって、所定のタイミングで開閉する。この動弁機構は、バルブタイミング及び/又はバルブリフトを可変にする可変動弁機構とすればよい。この構成例では、図3に示すように、可変動弁機構は、排気電動S−VT24を有している。排気電動S−VT24は、排気カムシャフトの回転位相を所定の角度範囲内で連続的に変更する。排気弁22の開弁タイミング及び閉弁タイミングは、連続的に変化する。尚、排気動弁機構は、電動S−VTに代えて、油圧式のS−VTを有していてもよい。
吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24は、吸気弁21と排気弁22との両方が開弁するオーバーラップ期間の長さを調節する。オーバーラップ期間の長さを長くすると、燃焼室17の中の残留ガスを掃気することができる。また、オーバーラップ期間の長さを調節することによって、内部EGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスを燃焼室17の中に導入することができる。内部EGRシステムは、吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24によって構成されている。尚、内部EGRシステムは、S−VTによって構成されるとは限らない。
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、インジェクタ6が取り付けられている。インジェクタ6は、燃焼室17の中に燃料を直接噴射する。インジェクタ6は、燃料噴射部の一例である。インジェクタ6は、傾斜面1311と傾斜面1312とが交差するペントルーフの谷部に配設されている。図2に示すように、インジェクタ6の噴射軸心X2は、シリンダ11の中心軸X1よりも排気側に位置している。インジェクタ6の噴射軸心X2は、中心軸X1に平行である。インジェクタ6の噴射軸心X2とキャビティ31の中心とは一致している。インジェクタ6は、キャビティ31に対向している。尚、インジェクタ6の噴射軸心X2は、シリンダ11の中心軸X1と一致していてもよい。その構成の場合に、インジェクタ6の噴射軸心X2と、キャビティ31の中心とは一致していてもよい。
インジェクタ6は、詳細な図示は省略するが、複数の噴口を有する多噴口型の燃料噴射弁によって構成されている。インジェクタ6は、図2に二点鎖線で示すように、燃料噴霧が、燃焼室17の中央から放射状に広がるように燃料を噴射する。インジェクタ6は、本構成例においては、十個の噴孔を有しており、噴孔は、周方向に等角度に配置されている。
インジェクタ6には、燃料供給システム61が接続されている。燃料供給システム61は、燃料を貯留するよう構成された燃料タンク63と、燃料タンク63とインジェクタ6とを互いに連結する燃料供給路62とを備えている。燃料供給路62には、燃料ポンプ65とコモンレール64とが介設している。燃料ポンプ65は、コモンレール64に燃料を圧送する。燃料ポンプ65は、この構成例においては、クランクシャフト15によって駆動されるプランジャー式のポンプである。コモンレール64は、燃料ポンプ65から圧送された燃料を、高い燃料圧力で蓄える。インジェクタ6が開弁すると、コモンレール64に蓄えられていた燃料が、インジェクタ6の噴口から燃焼室17の中に噴射される。燃料供給システム61は、30MPa以上の高い圧力の燃料を、インジェクタ6に供給することが可能である。インジェクタ6に供給する燃料の圧力は、エンジン1の運転状態に応じて変更してもよい。尚、燃料供給システム61の構成は、前記の構成に限定されない。
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎に、点火プラグ25が取り付けられている。点火プラグ25は、燃焼室17の中の混合気に強制的に点火をする。点火プラグ25は、この構成例では、シリンダ11の中心軸X1よりも吸気側に配設されている。点火プラグ25は、2つの吸気ポート18の間に位置している。点火プラグ25は、上方から下方に向かって、燃焼室17の中央に近づく方向に傾いて、シリンダヘッド13に取り付けられている。点火プラグ25の電極は、図2に示すように、燃焼室17の中に臨んでかつ、燃焼室17の天井面の付近に位置している。尚、点火プラグ25を、シリンダ11の中心軸X1よりも排気側に配置してもよい。また、点火プラグ25をシリンダ11の中心軸X1上に配置してもよい。
エンジン1の一側面には吸気通路40が接続されている。吸気通路40は、各シリンダ11の吸気ポート18に連通している。燃焼室17に導入するガスは、吸気通路40を流れる。吸気通路40の上流端部には、エアクリーナー41が配設されている。エアクリーナー41は、新気を濾過する。吸気通路40の下流端近傍には、サージタンク42が配設されている。サージタンク42よりも下流の吸気通路40は、シリンダ11毎に分岐する独立通路を構成している。独立通路の下流端が、各シリンダ11の吸気ポート18に接続されている。
吸気通路40におけるエアクリーナー41とサージタンク42との間には、スロットル弁43が配設されている。スロットル弁43は、弁の開度を調節することによって、燃焼室17の中への新気の導入量を調節する。
吸気通路40にはまた、スロットル弁43の下流に、過給機44が配設されている。過給機44は、燃焼室17に導入するガスを過給する。この構成例において、過給機44は、エンジン1によって駆動される機械式の過給機である。機械式の過給機44は、ルーツ式、リショルム式、ベーン式、又は遠心式であってもよい。
過給機44とエンジン1との間には、電磁クラッチ45が介設している。電磁クラッチ45は、過給機44とエンジン1との間で、エンジン1から過給機44へ駆動力を伝達したり、駆動力の伝達を遮断したりする。後述するように、ECU10が電磁クラッチ45の接続及び遮断を切り替えることによって、過給機44はオンとオフとが切り替わる。
吸気通路40における過給機44の下流には、インタークーラー46が配設されている。インタークーラー46は、過給機44において圧縮されたガスを冷却する。インタークーラー46は、例えば水冷式又は油冷式に構成してもよい。
吸気通路40には、バイパス通路47が接続されている。バイパス通路47は、過給機44及びインタークーラー46をバイパスするよう、吸気通路40における過給機44の上流部とインタークーラー46の下流部とを互いに接続する。バイパス通路47には、エアバイパス弁48が配設されている。エアバイパス弁48は、バイパス通路47を流れるガスの流量を調節する。
ECU10は、過給機44をオフにしたとき(つまり、電磁クラッチ45を遮断したとき)に、エアバイパス弁48を全開にする。吸気通路40を流れるガスは、過給機44をバイパスして、エンジン1の燃焼室17に導入される。エンジン1は、非過給、つまり自然吸気の状態で運転する。
過給機44をオンにすると、エンジン1は過給状態で運転する。ECU10は、過給機44をオンにしたとき(つまり、電磁クラッチ45を接続したとき)に、エアバイパス弁48の開度を調節する。過給機44を通過したガスの一部は、バイパス通路47を通って過給機44の上流に逆流する。ECU10がエアバイパス弁48の開度を調節すると、燃焼室17に導入するガスの過給圧が変わる。尚、過給時とは、サージタンク42内の圧力が大気圧を超える時をいい、非過給時とは、サージタンク42内の圧力が大気圧以下になる時をいう、と定義してもよい。
この構成例においては、過給機44とバイパス通路47とエアバイパス弁48とによって、過給システム49が構成されている。
エンジン1は、燃焼室17内に、スワール流を発生させるスワール発生部を有している。スワール流は、図2に白抜きの矢印で示すように流れる。スワール発生部は、吸気通路40に取り付けられたスワールコントロール弁56を有している。スワールコントロール弁56は、詳細な図示は省略するが、二つの吸気ポート18のうちの一方の吸気ポート18につながるプライマリ通路と、他方の吸気ポート18につながるセカンダリ通路との内の、セカンダリ通路に配設されている。スワールコントロール弁56は、セカンダリ通路の断面を絞ることができる開度調節弁である。スワールコントロール弁56の開度が小さいと、一方の吸気ポート18から燃焼室17に入る吸気流量が相対的に多くかつ、他方の吸気ポート18から燃焼室17に入る吸気流量が相対的に少ないから、燃焼室17内のスワール流が強くなる。スワールコントロール弁56の開度が大きいと、二つの吸気ポート18のそれぞれから燃焼室17に入る吸気流量が、略均等になるから、燃焼室17内のスワール流が弱くなる。スワールコントロール弁56を全開にすると、スワール流が発生しない。
エンジン1の他側面には、排気通路50が接続されている。排気通路50は、各シリンダ11の排気ポート19に連通している。排気通路50は、燃焼室17から排出された排気ガスが流れる通路である。排気通路50の上流部分は、詳細な図示は省略するが、シリンダ11毎に分岐する独立通路を構成している。独立通路の上流端が、各シリンダ11の排気ポート19に接続されている。
排気通路50には、複数の触媒コンバーターを有する排気ガス浄化システムが配設されている。上流の触媒コンバーターは、図示は省略するが、エンジンルーム内に配設されている。上流の触媒コンバーターは、三元触媒511と、GPF(Gasoline Particulate Filter)512とを有している。下流の触媒コンバーターは、エンジンルーム外に配設されている。下流の触媒コンバーターは、三元触媒513を有している。尚、排気ガス浄化システムは、図例の構成に限定されるものではない。例えば、GPFは省略してもよい。また、触媒コンバーターは、三元触媒を有するものに限定されない。さらに、三元触媒及びGPFの並び順は、適宜変更してもよい。
吸気通路40と排気通路50との間には、外部EGRシステムを構成するEGR通路52が接続されている。EGR通路52は、排気ガスの一部を吸気通路40に還流させるための通路である。EGR通路52の上流端は、排気通路50における上流の触媒コンバーターと下流の触媒コンバーターとの間に接続されている。EGR通路52の下流端は、吸気通路40における過給機44の上流部に接続されている。EGR通路52を流れるEGRガスは、バイパス通路47のエアバイパス弁48を通らずに、吸気通路40における過給機44の上流部に入る。
EGR通路52には、水冷式のEGRクーラー53が配設されている。EGRクーラー53は、排気ガスを冷却する。EGR通路52にはまた、EGR弁54が配設されている。EGR弁54は、EGR通路52を流れる排気ガスの流量を調節する。EGR弁54の開度を調節することによって、冷却した排気ガス、つまり外部EGRガスの還流量を調節することができる。
この構成例において、EGRシステム55は、外部EGRシステムと、内部EGRシステムとによって構成されている。外部EGRシステムは、内部EGRシステムよりも低温の排気ガスを、燃焼室17に供給することができる。
図1及び図3において、符号57は、クランクシャフト15に連結されたオルタネータ57である。オルタネータ57は、エンジン1によって駆動される。
エンジンの燃焼制御装置は、エンジン1を運転するためのECU(Engine Control Unit)10を備えている。ECU10は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラーであって、図3に示すように、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)101と、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納するメモリ102と、電気信号の入出力をする入出力バス103と、を備えている。ECU10は、制御部の一例である。
ECU10には、図1及び図3に示すように、各種のセンサSW1〜SW17が接続されている。センサSW1〜SW17は、信号をECU10に出力する。センサには、以下のセンサが含まれる。
エアフローセンサSW1:吸気通路40におけるエアクリーナー41の下流に配置されかつ、吸気通路40を流れる新気の流量を計測する
第1吸気温度センサSW2:吸気通路40におけるエアクリーナー41の下流に配置されかつ、吸気通路40を流れる新気の温度を計測する
第1圧力センサSW3:吸気通路40におけるEGR通路52の接続位置よりも下流でかつ、過給機44の上流に配置されかつ、過給機44に流入するガスの圧力を計測する
第2吸気温度センサSW4:吸気通路40における過給機44の下流でかつ、バイパス通路47の接続位置よりも上流に配置されかつ、過給機44から流出したガスの温度を計測する
第2圧力センサSW5:サージタンク42に取り付けられかつ、過給機44の下流のガスの圧力を計測する
指圧センサSW6:各シリンダ11に対応してシリンダヘッド13に取り付けられかつ、各燃焼室17内の圧力を計測する
排気温度センサSW7:排気通路50に配置されかつ、燃焼室17から排出した排気ガスの温度を計測する
リニアOセンサSW8:排気通路50における上流の触媒コンバーターよりも上流に配置されかつ、排気ガス中の酸素濃度を計測する
ラムダOセンサSW9:上流の触媒コンバーターにおける三元触媒511の下流に配置されかつ、排気ガス中の酸素濃度を計測する
水温センサSW10:エンジン1に取り付けられかつ、冷却水の温度を計測する
クランク角センサSW11:エンジン1に取り付けられかつ、クランクシャフト15の回転角を計測する
アクセル開度センサSW12:アクセルペダル機構に取り付けられかつ、アクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を計測する
吸気カム角センサSW13:エンジン1に取り付けられかつ、吸気カムシャフトの回転角を計測する
排気カム角センサSW14:エンジン1に取り付けられかつ、排気カムシャフトの回転角を計測する
EGR差圧センサSW15:EGR通路52に配置されかつ、EGR弁54の上流及び下流の差圧を計測する
燃圧センサSW16:燃料供給システム61のコモンレール64に取り付けられかつ、インジェクタ6に供給する燃料の圧力を計測する
第3吸気温度センサSW17:サージタンク42に取り付けられかつ、サージタンク42内のガスの温度、換言すると燃焼室17に導入される吸気の温度を計測する。
ECU10は、これらのセンサSW1〜SW17の信号に基づいて、エンジン1の運転状態を判断すると共に、予め定められている制御ロジックに従って、各デバイスの制御量を演算する。制御ロジックは、メモリ102に記憶されている。制御ロジックは、メモリ102に記憶しているマップを用いて、目標量及び/又は制御量を演算することを含む。
ECU100は、演算をした制御量に係る電気信号を、インジェクタ6、点火プラグ25、吸気電動S−VT23、排気電動S−VT24、燃料供給システム61、スロットル弁43、EGR弁54、過給機44の電磁クラッチ45、エアバイパス弁48、スワールコントロール弁56、及び、オルタネータ57に出力する。
例えば、ECU10は、アクセル開度センサSW12の信号とマップとに基づいて、エンジン1の目標トルクを設定すると共に、目標過給圧を決定する。そして、ECU10は、目標過給圧と、第1圧力センサSW3及び第2圧力センサSW5の信号から得られる過給機44の前後差圧とに基づいて、エアバイパス弁48の開度を調節するフィードバック制御を行うことにより、過給圧が目標過給圧となるようにする。
また、ECU10は、エンジン1の運転状態とマップとに基づいて目標EGR率(つまり、燃焼室17の中の全ガスに対するEGRガスの比率)を設定する。そして、ECU10は、目標EGR率とアクセル開度センサSW12の信号に基づく吸入空気量とに基づき目標EGRガス量を決定すると共に、EGR差圧センサSW15の信号から得られるEGR弁54の前後差圧に基づいてEGR弁54の開度を調節するフィードバック制御を行うことにより、燃焼室17の中に導入する外部EGRガス量が目標EGRガス量となるようにする。
さらに、ECU10は、所定の制御条件が成立している場合に空燃比フィードバック制御を実行する。具体的にECU10は、リニアOセンサSW8、及び、ラムダOセンサSW9が計測した排気中の酸素濃度に基づいて、混合気の空燃比が所望の値となるように、インジェクタ6の燃料噴射量を調節する。
尚、その他のECU10によるエンジン1の制御の詳細は、後述する。
(SPCCI燃焼のコンセプト)
エンジン1は、燃費の向上及び排出ガス性能の向上を主目的として、所定の運転状態にある場合に圧縮自己着火による燃焼を行う。自己着火による燃焼は、圧縮開始前の燃焼室17の中の温度がばらつくと、自己着火のタイミングが大きく変化する。そこで、エンジン1は、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼を行う。
SPCCI燃焼は、点火プラグ25が、燃焼室17の中の混合気に強制的に点火をすることによって、混合気が火炎伝播によりSI燃焼をすると共に、SI燃焼の発熱により燃焼室17の中の温度が高くなりかつ、火炎伝播により燃焼室17の中の圧力が上昇することによって、未燃混合気が自己着火によるCI燃焼をする形態である。
SI燃焼の発熱量を調節することによって、圧縮開始前の燃焼室17の中の温度のばらつきを吸収することができる。ECU10が点火タイミングを調節することによって、混合気を目標のタイミングで自己着火させることができる。
SPCCI燃焼において、SI燃焼時の熱発生は、CI燃焼時の熱発生よりも穏やかである。SPCCI燃焼における熱発生率の波形は、図4に例示するように、立ち上がりの傾きが、CI燃焼の波形における立ち上がりの傾きよりも小さくなる。また、燃焼室17の中における圧力変動(dp/dθ)も、SI燃焼時は、CI燃焼時よりも穏やかになる。
SI燃焼の開始後、未燃混合気が自己着火すると、自己着火のタイミングで、熱発生率の波形の傾きが、小から大へと変化する場合がある。熱発生率の波形は、CI燃焼が開始するタイミングθciで、変曲点Xを有する場合がある。
CI燃焼の開始後は、SI燃焼とCI燃焼とが並行して行われる。CI燃焼は、SI燃焼よりも熱発生が大きいため、熱発生率は相対的に大きくなる。しかし、CI燃焼は、圧縮上死点後に行われるため、熱発生率の波形の傾きが大きくなりすぎることが回避される。CI燃焼時の圧力変動(dp/dθ)も、比較的穏やかになる。
圧力変動(dp/dθ)は、燃焼騒音を表す指標として用いることができる。前述の通りSPCCI燃焼は、圧力変動(dp/dθ)を小さくすることができるため、燃焼騒音が大きくなりすぎることを回避することが可能になる。エンジン1の燃焼騒音は、許容レベル以下に抑えられる。
CI燃焼が終了することによって、SPCCI燃焼が終了する。CI燃焼は、SI燃焼に比べて、燃焼期間が短い。SPCCI燃焼は、SI燃焼よりも、燃焼終了時期が早まる。
SPCCI燃焼の熱発生率波形は、SI燃焼によって形成された第1熱発生率部QSIと、CI燃焼によって形成された第2熱発生部QCIと、が、この順番に連続するように形成されている。
ここで、SPCCI燃焼の特性を示すパラメータとして、SI率を定義する。SI率は、SPCCI燃焼により発生した全熱量に対し、SI燃焼により発生した熱量の割合に関係する指標と定義する。SI率は、燃焼形態の相違する二つの燃焼によって発生する熱量比率である。SI率が高いと、SI燃焼の割合が高く、SI率が低いと、CI燃焼の割合が高い。SI率は、CI燃焼により発生した熱量に対するSI燃焼により発生した熱量の比率と定義してもよい。つまり、SPCCI燃焼において、CI燃焼が開始するクランク角をCI燃焼開始時期θciとして、図4に示す波形801において、θciよりも進角側であるSI燃焼の面積QSIと、θciを含む遅角側であるCI燃焼の面積QCIとから、SI率=QSI/QCIとしてもよい。
(エンジンの運転領域)
図5は、エンジン1の制御に係るマップを例示している。マップは、ECU10のメモリ102に記憶されている。図5に例示するマップ504は、エンジン1の温間時のマップである。
マップ504は、エンジン1の負荷及び回転数によって規定されている。マップ504は、負荷の高低及び回転数の高低に対し、大別して三つの領域に分かれる。具体的に、三つの領域は、アイドル運転を含みかつ、低回転及び中回転の領域に広がる低負荷領域A1、低負荷領域A1よりも負荷が高い中高負荷領域A2、A3、A4、及び、低負荷領域A1、中高負荷領域A2、A3、A4よりも回転数の高い高回転領域A5である。中高負荷領域A2、A3、A4はまた、中負荷領域A2と、中負荷領域A2よりも負荷が高い高負荷中回転領域A3と、高負荷中回転領域A3よりも回転数の低い高負荷低回転領域A4とに分かれる。
ここで、低回転領域、中回転領域、及び、高回転領域はそれぞれ、エンジン1の全運転領域を回転数方向に、低回転領域、中回転領域及び高回転領域の略三等分にした場合の、低回転領域、中回転領域、及び、高回転領域としてもよい。図5の例では、回転数N1未満を低回転、回転数N2以上を高回転、回転数N1以上N2未満を中回転としている。回転数N1は、例えば1200rpm程度、回転数N2は、例えば4000rpm程度としてもよい。
また、低負荷領域は、軽負荷の運転状態を含む領域、高負荷領域は、全開負荷の運転状態を含む領域、中負荷は、低負荷領域と高負荷領域との間の領域としてもよい。また、低負荷領域、中負荷領域、及び、高負荷領域はそれぞれ、エンジン1の全運転領域を負荷方向に、低負荷領域、中負荷領域及び高負荷領域の略三等分にした場合の、低負荷領域、中負荷領域、及び、高負荷領域としてもよい。
図5のマップ504は、各領域における混合気の状態及び燃焼形態を示している。図7のマップ504はまた、過給機44の駆動領域及び非駆動領域と、を示している。エンジン1は、低負荷領域A1、中負荷領域A2、高負荷中回転領域A3、及び、高負荷低回転領域A4、において、SPCCI燃焼を行う。エンジン1はまた、それ以外の領域、具体的には、高回転領域A5においては、SI燃焼を行う。
(各領域におけるエンジンの運転)
以下、図5のマップ504の各領域におけるエンジン1の運転について詳細に説明をする。
(低負荷領域)
エンジン1が低負荷領域A1において運転している場合に、エンジン1は、SPCCI燃焼を行う。
エンジン1の燃費性能を向上させるために、EGRシステム55は、燃焼室17の中にEGRガスを導入する。具体的に、吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24は、排気上死点付近において、吸気弁21及び排気弁22の両方を開弁するポジティブオーバーラップ期間を設ける。
また、スワール発生部は、燃焼室17の中に、強いスワール流を形成する。スワールコントロール弁56は、全閉又は閉じ側の所定の開度である。燃焼室17内に強いスワール流を発生させると、燃焼室17の外周部は強いスワール流れとなる一方、中央部のスワール流は相対的に弱くなる。強いスワール流が形成された燃焼室17内にインジェクタ6が燃料を噴射することにより、燃焼室17の中央部の混合気は燃料が相対的に濃く、外周部の混合気は燃料が相対的に薄くなって、混合気を成層化することができる。
インジェクタ6は、吸気行程中に、燃料を複数回、燃焼室17の中に噴射する。複数回の燃料噴射と、燃焼室17の中のスワール流とによって、混合気は成層化する。
混合気の空燃比(A/F)は、燃焼室17の全体において理論空燃比よりもリーンである(つまり、空気過剰率λ>1)。より詳細に、燃焼室17の全体において混合気のA/Fは25以上31以下である。こうすることで、RawNOxの発生を抑制することができ、排出ガス性能を向上させることができる。
燃料噴射の終了後、圧縮上死点前の所定のタイミングで、点火プラグ25は、燃焼室17の中央部の混合気に点火をする。点火タイミングは、圧縮行程の終期としてもよい。圧縮行程の終期は、圧縮行程を、初期、中期、及び終期に三等分した場合の終期としてもよい。
(中高負荷領域)
エンジン1が中高負荷領域A2〜A4において運転している場合も、エンジン1は、低負荷領域A1と同様に、SPCCI燃焼を行う。
EGRシステム55は、燃焼室17の中にEGRガスを導入する。具体的に、吸気電動S−VT23及び排気電動S−VT24は、排気上死点付近において、吸気弁21及び排気弁22の両方を開弁するポジティブオーバーラップ期間を設ける。内部EGRガスが、燃焼室17の中に導入される。また、EGRシステム55は、EGR通路52を通じて、EGRクーラー53によって冷却した排気ガスを、燃焼室17の中に導入する。つまり、内部EGRガスに比べて温度が低い外部EGRガスを、燃焼室17の中に導入する。外部EGRガスは、燃焼室17の中の温度を、適切な温度に調節する。EGRシステム55は、エンジン1の負荷が高まるに従いEGRガスの量を減らす。EGRシステム55は、全開負荷において、内部EGRガス及び外部EGRガスを含むEGRガスを、ゼロにしてもよい。
混合気の空燃比(A/F)は、燃焼室17の全体において理論空燃比(A/F≒14.7)である。三元触媒511、513が、燃焼室17から排出された排出ガスを浄化することによって、エンジン1の排出ガス性能は良好になる。混合気のA/Fは、三元触媒の浄化ウインドウの中に収まるようにすればよい。混合気の空気過剰率λは、1.0±0.2としてもよい。尚、エンジン1が、全開負荷(つまり、最高負荷)を含む高負荷中回転領域A3において運転している場合には、混合気のA/Fは、燃焼室17の全体において理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチにしてもよい(つまり、混合気の空気過剰率λは、λ≦1)。
燃焼室17内にEGRガスを導入しているため、燃焼室17の中の全ガスと燃料との重量比であるG/Fは理論空燃比よりもリーンになる。混合気のG/Fは18以上にしてもよい。こうすることで、いわゆるノッキングの発生を回避することができる。G/Fは18以上30以下において設定してもよい。また、G/Fは18以上50以下において設定してもよい。
エンジン1の負荷が中負荷である場合に、インジェクタ6は、吸気行程中に、複数回の燃料噴射を行う。インジェクタ6は、第一噴射を吸気行程の前半に行い、第二噴射を吸気行程の後半に行ってもよい。
また、エンジン1の負荷が高負荷である場合に、インジェクタ6は、吸気行程において燃料を噴射する。
点火プラグ25は、燃料の噴射後、圧縮上死点付近の所定のタイミングで混合気に点火をする。エンジン1の負荷が中負荷である場合に、点火プラグ25は、圧縮上死点前に点火を行ってもよい。エンジン1の負荷が高負荷である場合に、点火プラグ25は、圧縮上死点後に点火を行ってもよい。
(過給機の動作)
ここで、図5のマップ504に示すように、低負荷領域A1の一部、及び、中高負荷領域A2の一部においては、過給機44はオフである(S/C OFF参照)。詳細には、低負荷領域A1における低回転側の領域において、過給機44はオフである。低負荷領域A1における高回転側の領域においては、エンジン1の回転数が高くなることに対応して必要な吸気充填量を確保するために、過給機44はオンである。また、中高負荷領域A2における低負荷低回転側の一部の領域において、過給機44はオフである。中高負荷領域A2における高負荷側の領域においては、燃料噴射量が増えることに対応して必要な吸気充填量を確保するために、過給機44はオンである。また、中高負荷領域A2における高回転側の領域においても過給機44はオンである。
尚、高負荷中回転領域A3、高負荷低回転領域A4、及び、高回転領域A5の各領域においては、その全域において過給機44がオンである(S/C ON参照)。
(高回転領域)
エンジン1の回転数が高いと、クランク角が1°変化するのに要する時間が短くなる。燃焼室17内において混合気を成層化することが困難になる。エンジン1の回転数が高くなると、SPCCI燃焼を行うことが困難になる。
そこで、エンジン1が高回転領域A5において運転している場合に、エンジン1は、SPCCI燃焼ではなく、SI燃焼を行う。尚、高回転領域A5は、低負荷から高負荷まで負荷方向の全域に広がっている。
EGRシステム55は、燃焼室17の中にEGRガスを導入する。EGRシステム55は、負荷が高まるに従いEGRガスの量を減らす。EGRシステム55は、全開負荷では、EGRガスをゼロにしてもよい。
スワールコントロール弁56は、全開である。燃焼室17内にはスワール流が発生せず、タンブル流のみが発生する。スワールコントロール弁56を全開にすることによって、充填効率を高めることができると共に、ポンプ損失を低減することが可能になる。
混合気の空燃比(A/F)は、基本的には、燃焼室17の全体において理論空燃比(A/F≒14.7)である。混合気の空気過剰率λは、1.0±0.2とすればよい。尚、エンジン1が全開負荷の付近において運転している場合には、混合気の空気過剰率λは1未満であってもよい。
インジェクタ6は、吸気行程中に燃料噴射を開始する。インジェクタ6は、燃料を一括で噴射する。吸気行程中に燃料噴射を開始することによって、燃焼室17の中に、均質又は略均質な混合気が形成される。また、燃料の気化時間を長く確保することができるため、未燃損失の低減を図ることもできる。
点火プラグ25は、燃料の噴射終了後、圧縮上死点前の適宜のタイミングで、混合気に点火を行う。
(エンジンの基本制御)
図6は、ECU10が実行をするエンジン1の基本制御のフローを示している。ECU10は、メモリ102に記憶している制御ロジックに従いエンジン1を運転する。具体的にECU10は、各センサSW1〜SW17の信号に基づいて、エンジン1の運転状態を判断すると共に、目標トルクを設定し、エンジン1が目標トルクを出力するように、燃焼室17の中の状態量の調節、噴射量の調節、噴射タイミングの調節、及び、点火タイミングの調節を行うための演算を行う。
ECU10はまた、SPCCI燃焼を行う場合には、SI率とθciとの二つのパラメータを用いてSPCCI燃焼をコントロールする。具体的にECU10は、エンジン1の運転状態に対応する目標SI率及び目標θciを定め、実際のSI率が目標SI率に一致しかつ、実際のθciが目標θciとなるように、燃焼室17内の温度の調節と、点火時期の調節とを行う。ECU10は、エンジン1の負荷が低い場合には、目標SI率を低く設定し、エンジン1の負荷が高い場合には、目標SI率を高く設定する。エンジン1の負荷が低い場合には、SPCCI燃焼におけるCI燃焼の割合を高めることによって、燃焼騒音の抑制と燃費性能の向上とが両立する。エンジン1の負荷が高い場合には、SPCCI燃焼におけるSI燃焼の割合を高めることによって、燃焼騒音の抑制に有利になる。
図6のフローのステップS121において、ECU10は、各センサSW1〜SW17の信号を読み込み、続くステップS122において、ECU10は、アクセル開度に基づいて目標加速度を設定する。ステップS123において、ECU10は、設定した目標加速度を実現するために必要な目標トルクを設定する。
ステップS124において、ECU10はエンジン1の運転状態を判断し、混合気の空燃比が理論空燃比又は略理論空燃比であるか(つまり、空気過剰率λ=1)であるか否かを判定する。λ=1である場合には、プロセスは、ステップS125に進み、λ≠1である場合には、プロセスは、ステップS129に進む。
ステップS125〜ステップS128は、エンジン1が、中負荷領域A2、高負荷中回転領域A3、高負荷低回転領域A4、及び、高回転領域A5において運転する場合に、各デバイスの制御目標値を設定するステップに相当する。ステップS125において、ECU10は、設定した目標トルクに基づいて、点火プラグ25の目標点火時期を設定する。続くステップS126において、ECU10は、設定した目標トルクに基づいて、燃焼室17内に充填する目標空気量を設定する。ステップS127において、ECU10は、設定した目標空気量に基づいて、混合気の空燃比が理論空燃比又は略理論空燃比になるよう、燃料の目標噴射量を設定する。そして、ステップS128において、ECU10は、設定した目標空気量に基づいて、スロットル弁43の目標スロットル開度、スワールコントロール弁56の目標SCV開度、EGR弁54の目標EGR弁開度、並びに、吸気電動S−VT23の目標S−VT位相及び排気電動S−VT24の目標S−VT位相を設定する。
ステップS129〜ステップS1212は、エンジン1が低負荷領域A1において運転する場合に、各デバイスの制御目標値を設定するステップに相当する。ステップS129において、ECU10は、設定した目標トルクに基づいて、点火プラグ25の目標点火時期を設定する。続くステップS1210において、ECU10は、設定した目標トルクに基づいて、燃料の目標噴射量を設定する。ステップS1211において、ECU10は、設定した目標噴射量に基づいて、混合気の空燃比が所定のリーン空燃比になるよう、燃焼室17内に充填する目標空気量を設定する。混合気の空燃比は、前述したように、25〜31の間である。そして、ステップS1212において、ECU10は、設定した目標空気量に基づいて、スロットル弁43の目標スロットル開度、スワールコントロール弁56の目標SCV開度、EGR弁54の目標EGR弁開度、並びに、吸気電動S−VT23の目標S−VT位相及び排気電動S−VT24の目標S−VT位相を設定する。
ステップS1213においてECU10は、ステップS128又はステップS1212において設定した目標値となるように、スロットル弁43のスロットル開度、スワールコントロール弁56のSCV開度、EGR弁54のEGR弁開度、並びに、吸気電動S−VT23のS−VT位相及び排気電動S−VT24のS−VT位相を調節する。
ステップS1214において、ECU10は、設定した目標噴射量に従い、インジェクタ6に所定のタイミングで燃料を噴射させ、続くステップS1215において、ECU10は、設定した目標点火時期に点火プラグ25に点火を実行させる。
(燃料噴射量の気筒間補正)
このエンジンシステムは、エンジン1が低負荷領域A1で運転している場合に、筒内圧センサSW6の計測信号に基づいて、燃料噴射量の気筒間のばらつきを補正するよう構成されている。エンジン1が低負荷領域A1で運転している場合に、混合気の空燃比は、理論空燃比よりもリーンである。混合気の燃料濃度が理論空燃比よりもリーンである場合、燃焼室17内に供給する燃料量と、エンジン1のトルクとは、線形又はほぼ線形の関係を有する。気筒毎に、燃料量の増量補正又は減量補正を行うことによって、エンジン1のトルクがばらつくことが抑制される。
図7は、ECU10の機能ブロックの構成を示している。図7に示す機能ブロックは主に、燃料噴射量の気筒間ばらつきを補正する制御に関係する。機能ブロックは、燃焼圧(Pmi)算出部10a、低位発熱量(Qend)算出部10b、mfb50(mass fraction burned)算出部10c、信頼性判断部10d、燃料噴射量設定部10e、低位発熱量(Qin)推定部10f、及び、燃料噴射量補正部10gを含んでいる。
燃焼圧(Pmi)算出部10aは、筒内圧センサSW6の計測信号に基づいて、混合気の燃焼に伴う燃焼圧Pmiを算出する。燃焼圧Pmiは、筒内圧センサSW6の計測信号に基づいて算出される図示平均有効圧力から算出される。
低位発熱量(Qend)算出部10bは、筒内圧センサSW6の計測信号に基づいて、低位発熱量Qendを算出する。低位発熱量Qendは、筒内圧センサSW6の計測信号に基づいて算出される熱発生の最大値(内部エネルギーdUと、ピストン3を動かすために使った仕事dWとの和)から算出される。
mfb50算出部10cは、筒内圧センサSW6の計測信号に基づいて、質量燃焼割合が50%となるクランク角度を算出する。mfb50は、筒内圧センサSW6の計測信号に基づく燃焼波形に基づいて、算出される。
信頼性判断部10dは、燃焼圧(Pmi)算出部10aが算出した燃焼圧Pmi、低位発熱量(Qend)算出部10bが算出した低位発熱量Qend、及び、mfb50算出部10cが算出したmfb50に基づいて、筒内圧センサSW6の計測信号の信頼性を判断する。本願発明者らの検討によると、燃焼室17内において混合気が正常な燃焼をしている場合、低位発熱量Qendと燃焼圧Pmiとの比(Qend/Pmi)と、mfb50と、の間には、図8に実線で例示するような関係を有することがわかった。Qend/Pmiは、エンジン1のトルクに関係し、図8に示す関係は、mfb50が遅角側になると、エンジン1のトルクが小さくなることを意味している。
燃焼室17内において混合気が異常な燃焼をしている場合、例えば失火やプリイグが発生した場合は、低位発熱量Qendと燃焼圧Pmiとの比(Qend/Pmi)と、mfb50と、の関係は、図8の実線から大きく外れる。
信頼性判断部10dは、燃焼圧(Pmi)算出部10aが算出した燃焼圧Pmi、低位発熱量(Qend)算出部10bが算出した低位発熱量Qend、及び、mfb50算出部10cが算出したmfb50に基づいて、低位発熱量Qendと燃焼圧Pmiとの比(Qend/Pmi)と、mfb50と、の関係が、図8の実線に相当する関係を有しているか否かに基づいて、筒内圧センサSW6の計測信号の信頼性の有無を判断する。具体的に、信頼性判断部10dは、低位発熱量Qendと燃焼圧Pmiとの比(Qend/Pmi)と、mfb50と、の関係が、図8の二本の破線の間の基準範囲内にある場合、燃焼室17内で混合気が正常な燃焼をしていて、筒内圧センサSW6の計測信号は信頼性が高いと判断する。一方、信頼性判断部10dは、低位発熱量Qendと燃焼圧Pmiとの比(Qend/Pmi)と、mfb50と、の関係が、図8の二本の破線の間の基準範囲から外れる場合、燃焼室17内で混合気が異常な燃焼をしていて、筒内圧センサSW6の計測信号は信頼性が低いと判断する。
信頼性判断部10dは、筒内圧センサSW6の計測信号の信頼性に関する信号を、燃料噴射量補正部10gに出力する。
燃料噴射量設定部10eは、前述したように、各センサSW1〜SW17の信号に基づいて、燃料噴射量を設定する。燃料噴射量設定部10eは、設定した燃料噴射量に関する信号を、燃料噴射量補正部10gに出力する。
低位発熱量(Qin)推定部10fは、筒内圧センサSW6の計測信号に基づいて、低位発熱量(Qin)を推定する。図9は、低位発熱量(Qin)推定部10fの構成を例示するブロック図である。低位発熱量(Qin)は、燃焼室17内に供給した燃料量に対する発熱量である。低位発熱量(Qin)推定部10fは、ECU10に予め記憶しているマップに基づいて算出したエンジン1の熱効率と、筒内圧センサSW6の計測信号に基づく燃焼圧との比と、1気筒当たりの体積とから、低位発熱量(Qin)を算出する。低位発熱量(Qin)推定部10fは、算出した低位発熱量(Qin)に関する信号を、燃料噴射量補正部10gに出力する。
燃料噴射量補正部10gは、低位発熱量(Qin)推定部10fからの低位発熱量(Qin)に基づいて、燃料噴射量設定部10eが設定した、気筒毎の燃料噴射量を補正する。具体的に、燃料噴射量補正部10gは、推定した低位発熱量(Qin)が小さい場合には、発熱量が増えるように燃料噴射量を増量補正する。また、燃料噴射量補正部10gは、推定した低位発熱量(Qin)が大きい場合には、発熱量が減るように燃料噴射量を減量補正する。各シリンダ気筒11のインジェクタ6は、燃料噴射量補正部10gが補正をした燃料噴射量に従って燃料を噴射する。これにより、気筒間のトルクばらつきを抑制することができる。エンジン1は適切に運転する。
燃料噴射量補正部10gはまた、信頼性判断部10dからの信頼性に関する信号に基づいて、筒内圧センサSW6の計測信号の信頼性が低い場合には、前述した燃料噴射量の補正を行わない。燃料噴射量の気筒間ばらつきを抑制する制御は、燃焼室17内において正常な燃焼が行われていることを前提に、各シリンダ11の燃焼により発生するトルクのばらつきを抑制する制御である。燃焼室17内において異常な燃焼が行われているときに出力された筒内圧センサSW6の計測信号は、燃料噴射量の気筒間ばらつきを抑制する制御に用いることができない。
燃料噴射量補正部10gが、筒内圧センサSW6の計測信号の信頼性が低い場合に、前述した燃料噴射量の補正を行わないことにより、エンジン1の運転に支障を来すことが抑制される。
(燃料噴射量の気筒間補正の手順)
図10は、異常診断装置100が実行する、燃料噴射量の気筒間補正の手順を示すフローチャートである。スタート後のステップS1において、異常診断装置100は、各センサSW1〜SW17の検知信号を読み込む。続くステップS2において、燃焼圧(Pmi)算出部10aは、燃焼圧Pmiを算出し、低位発熱量(Qend)算出部10bは、低位発熱量Qendを算出し、mfb50算出部10cは、mfb50を算出する。
ステップS3において異常診断装置100は、混合気の空燃比がλ≠1であるか否かを判断する。エンジン1が低負荷領域A1で運転している場合は、ステップS3がYESとなるため、プロセスはステップS4に進む。エンジン1が低負荷領域A1以外の領域で運転している場合は、ステップS3がNOとなるため、プロセスはリターンする。
ステップS4において信頼性判断部10dは、Qend/Pmiと、mfb50と、に基づいて、Qend/Pmiが基準範囲内に収まっているか否かを判断する。Qend/Pmiが基準範囲内に収まっている場合には、プロセスはステップS5に進み、Qend/Pmiが基準範囲内に収まっていない場合には、プロセスはステップS7に進む。
ステップS5において信頼性判断部10dは、筒内圧センサSW6の計測信号の信頼性があると判断する。続くステップS6において燃料噴射量補正部10gは、低位発熱量(Qin)推定部10gfが推定した低位発熱量(Qin)に基づいて、シリンダ11毎に、燃料噴射量の補正を行う。
一方、ステップS7において信頼性判断部10dは、筒内圧センサSW6の計測信号の信頼性がないと判断する。続くステップS8において燃料噴射量補正部10gは、低位発熱量(Qin)推定部10gfが推定した低位発熱量(Qin)に基づく燃料噴射量の補正を行わない。
(他の実施形態)
尚、ここに開示する技術は、前述した構成のエンジン1に適用することに限定されない。エンジン1の構成は、様々な構成を採用することが可能である。
1 エンジン
10 ECU(制御部)
17 燃焼室
6 インジェクタ(燃料噴射部)
SW6 筒内圧センサ

Claims (5)

  1. 自動車に搭載されたエンジンの燃焼室内に供給する燃料を噴射する、少なくとも一つの燃料噴射部と、
    前記燃焼室内の圧力変化に対応する計測信号を出力する筒内圧センサと、
    少なくとも前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記燃料噴射部に制御信号を出力する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記燃焼室内における燃焼圧と、質量燃焼割合が所定割合となるクランク角位置と、低位発熱量と、を算出すると共に、
    前記制御部は、前記燃焼圧、前記クランク角位置、及び、前記低位発熱量に基づいて、前記筒内圧センサの計測信号の信頼性を判断するエンジンの燃焼制御装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    前記制御部は、前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記燃料噴射部が噴射する燃料量の補正を行うと共に、前記筒内圧センサの計測信号の信頼性が低いと判断した場合には、前記燃料量の補正を制限するエンジンの燃焼制御装置。
  3. 請求項2に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    前記エンジンは複数の燃焼室を有し、
    前記燃料噴射部は、複数の燃焼室内のそれぞれに、個別に燃料を供給し、
    前記制御部は、前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記複数の燃焼室毎に、前記燃料噴射部が噴射する燃料量の補正を行うエンジンの燃焼制御装置。
  4. 請求項2又は3に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    前記制御部は、前記エンジンが第1状態にある場合に、前記燃焼室内の混合気の燃料濃度を、理論空燃比よりもリーンにし、前記エンジンが第2状態にある場合に、前記燃焼室内の混合気の燃料濃度を、理論空燃比にし、
    前記制御部は、前記エンジンが前記第1状態にある場合に、前記筒内圧センサの計測信号に基づいて、前記燃料噴射部が噴射する燃料量の補正を行うエンジンの燃焼制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    前記制御部は、前記低位発熱量(Qend)と前記燃焼圧(Pmi)との比(Qend/Pmi)と、前記質量燃焼割合が50%となるクランク角位置(mfb50)との間に特定の関係が成立する場合に、前記筒内圧センサの計測信号の信頼性が高いと判断し、それ以外の場合に、前記筒内圧センサの計測信号の信頼性が低いと判断するエンジンの燃焼制御装置。
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