JP2020098014A - 軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コスト上昇を避けつつ、軸受装置に備わる外輪の水素脆性剥離を防止する。【解決手段】ハウジング4は、外輪9を径方向に支持するボディ11と、ボディ11に固定されたプレート12と、プレート12をボディ11及び外輪9に軸方向に締め付ける複数の雄ねじ部品13とを有する。プレート12、複数の雄ねじ部品13がボディ11から取り外された状態で回転軸3が運転された場合に転がり軸受5の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧をPmax0とし、それら雄ねじ部品13によってプレート12がボディ11に固定された状態で回転軸3が運転された場合に転がり軸受5の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧をPmax1としたとき、それら雄ねじ部品13を、Pmax1≦Pmax0となるようにPmax0の接触領域の位置から離れた位置に配置する。【選択図】図1

Description

この発明は、トランスミッション等で使用される軸受装置に関し、詳しくは、転がり軸受で回転軸をハウジングに対して回転自在に支持し、ハウジングにねじ止めされたプレートで転がり軸受の外輪の軸方向移動を阻止するものに関する。
例えば、自動車のデュアルクラッチトランスミッション(DCT)又は連続可変トランスミッション(CVT)等のトランスミッションにおいては、トランスミッションのハウジングに対して回転軸を転がり軸受で回転自在に支持している。その転がり軸受には、回転軸からラジアル荷重が負荷され、その転がり軸受に負荷された荷重がハウジングで受けられる。
トランスミッションの回転軸の端部に転がり軸受の内輪が嵌合され、ハウジングの内面に設けられた凹部に転がり軸受の外輪が嵌合されると共に、プレートが複数の雄ねじ部品によって凹部に固定されている。プレートは、転がり軸受の外輪が凹部から抜け出すことを防止するためのものである(例えば、特許文献1)。
特許文献1のプレートは、3本の雄ねじ部品によってハウジングの凹部と締結されている。3本の雄ねじ部品の軸力によってプレートが外輪に向かって軸方向に押し付けられ、その外輪が凹部とプレートとで軸方向に拘束されている。
近年、CVT用軸受などでは、特異剥離の一つである水素脆性剥離に対する課題が注目されている。CVTなどに使用される特殊鋼製の転がり軸受に対してどのような機序で水素が侵入して脆化を進行させるのかは未だ原因が特定されていない。
その水素脆性剥離に対する対応策としては、軸受材料である鋼材のCr含有量を多くして表面に不動態膜を形成すること、又は、窒化処理を施して水素拡散係数を小さくすることが効果的とされている(特許文献2、3)。
特開2012−132495号公報 特開2014−047403号公報 特開2003−225270号公報
しかしながら、特許文献2、3のような特殊鋼の使用又は窒化のための特殊熱処理を行う場合も、転がり軸受が高価になる問題がある。
また、複数の雄ねじ部品がハウジングの凹部及び外輪にプレートを締め付ける軸受固定構造においては、それら雄ねじ部品の軸力の影響で外輪が変形する事象が発生する。この外輪の変形は、外輪の格子欠陥に水素がトラップされる要因になる。また、その外輪変形に伴い、外輪の軌道面が円形でなくなるため、転動体が外輪の軌道面に沿って1周公転する間に、外輪接触面圧(転動体との接触領域における外輪の表面圧力)が局所的に高くなる通過領域が生じる。この通過領域では、外輪と転動体の金属接触による摩耗が生じて新生面が露出し易くなり、その新生面の触媒作用によって潤滑剤が分解されて水素が発生し、外輪を成す鋼中に前述の水素が侵入し、外輪の軌道面で起こる水素脆性剥離の要因になると考えられる。
特許文献1のようにプレートの各貫通孔付近の剛性を意図的に低くし、外輪に対する押圧力を円周方向に均一化する技術は、プレートの厚さを大きくすれば有効性を期待できるが、そのような厚さのプレートは、プレス加工での形成が困難であって切削加工で形成することになるので、コスト高で重いものとなる。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、コスト上昇を避けつつ、軸受装置に備わる外輪での水素脆性剥離を防止することにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、回転軸と、ハウジングと、前記回転軸を前記ハウジングに対して回転自在に支持する転がり軸受と、を備え、前記転がり軸受が、前記回転軸に嵌合された内輪と、前記ハウジングに嵌合された外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置された複数の転動体とを有し、前記ハウジングが、前記外輪を径方向に支持するボディと、前記ボディに固定されたプレートと、前記プレートを前記ボディ及び前記外輪に軸方向に締め付ける複数の雄ねじ部品とを有する軸受装置において、前記プレート及び前記複数の雄ねじ部品が前記ボディから取り外された状態で前記回転軸が運転された場合に前記転がり軸受の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧をPmaxとし、前記プレートが前記複数の雄ねじ部品によって前記ボディに固定された状態で前記回転軸が運転された場合に前記転がり軸受の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧をPmaxとしたとき、前記複数の雄ねじ部品が、Pmax≦PmaxとなるようにPmaxの接触領域の位置から離れた位置に配置されている構成を採用した。
回転軸からのラジアル荷重を受ける転がり軸受の荷重負荷域では、荷重を分担する転動体と外輪の接触領域における外輪表面部分の面圧(外輪接触面圧)が高圧となる。プレートの固定に伴う外輪の変形がない場合を考えると、転がり軸受の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧Pmaxの接触領域の位置は、回転軸から転がり軸受に負荷されるラジアル荷重の方向で決まる。一方、複数の雄ねじ部品によってプレートをハウジングのボディに固定された場合を考えると、プレートからの押圧力による外輪の変形は、雄ねじ部品に近い位置程に大きくなる傾向がある。Pmaxの接触領域の位置と回転軸の回転中心線を結ぶ径方向の仮想直線(前述のラジアル荷重の作用線)の延長上に雄ねじ部品のねじ軸線が位置すると、転がり軸受の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧Pmaxの接触領域の位置はPmaxの接触領域と同じ位置になるが、前述の外輪の変形によって転動体の転がり運動が妨げられるため、PmaxがPmaxよりも高くなる。雄ねじ部品のねじ軸線を前述のラジアル荷重の作用線の延長上から遠い位置に配置する程、Pmaxの接触領域の位置がラジアル荷重の作用線上から遠くなり、かつPmaxが低くなる傾向がある。したがって、前述のラジアル荷重の作用線の延長上から複数の雄ねじ部品を適切に離して配置すれば、PmaxをPmaxと同等以下にすることが可能である。これにより、複数の雄ねじ部品によってプレートがハウジングのボディ及び外輪に締め付けられて外輪が変形しても、外輪接触面圧が高くならず、外輪と転動体の接触領域における摩耗が防止される。したがって、外輪での新生面の生成が防止され、新生面と潤滑剤の接触による水素発生が抑えられるので、外輪の水素脆性剥離が防止される。このように、複数の雄ねじ部品の配置によって外輪の水素脆性剥離が防止されるため、プレートの厚さを厚く設定したり、特許文献2、3のような特殊鋼又は特殊熱処理を外輪に採用したりすることが不要になり、コスト上昇が避けられる。
具体的には、前記Pmaxの接触領域の位置を通る径方向の仮想直線上を位相0°としたとき、位相0°から一方回りで考えた前記複数の雄ねじ部品の位相と、位相0°から前記一方回りと反対回りに考えた前記複数の雄ねじ部品の位相とが同等であるとよい。このようにすると、複数の雄ねじ部品の軸力を位相0°基準でプレートにバランスよく負荷することができる。
より好ましくは、前記複数の雄ねじ部品の総本数が3本であるとよい。雄ねじ部品の総本数を4本以上にすると、隣り合う雄ねじ部品間の位相差が90°以下になり、各雄ねじ部品をPmaxの接触領域の位置からPmax≦Pmaxとなるまで離すことが難しくなる。雄ねじ部品の総本数を2本にすると、これら雄ねじ部品の軸力でプレートが反ってしまう。
また、前記Pmaxの接触領域の位置を通る径方向の仮想直線上を位相0°としたとき、前記複数の雄ねじ部品の各ねじ軸線が、位相0°から一方回りに+40°以上離れかつ当該一方回りと反対回りに−40°以上離れた範囲に配置されているとよい。このようにすると、トランスミッション用軸受装置において一般的な軸受形式及び軸受主要寸法においてPmaxをPmaxと同等以下にすることができる。
前記プレートが、板厚5mm以下の一枚の金属板によって形成されているとよい。このようにすると、プレートが重くならず、また、切削加工でプレートを形成することが不要になるので、トランスミッション用途に好適な軸受装置にすることができる。
例えば、前記回転軸が、トランスミッションに備わる回転軸からなる。このようにすると、コスト上昇を避けつつ、トランスミッションに備わる軸受装置の耐久性向上を図ることができる。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、コスト上昇を避けつつ、軸受装置に備わる外輪の水素脆性剥離を防止することができ、ひいてはトランスミッション用途に好適な軸受装置を実現することができる。
この発明の実施形態に係る軸受装置を示す図2のI−I線断面図 図1のII−II線断面図 転がり軸受の外輪の変形が外輪接触面圧の分布に及ぼす影響を探った数値解析の結果を示すグラフ 図3の数値解析の結果に基づく折れ線グラフ
この発明に係る軸受装置の一例としての実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1、図2は、実施形態に係る軸受装置を自動車のトランスミッションに適用する場合の一例として、ベルト式CVT(以下、単に「CVT」と呼ぶ)への適用例を示している。なお、図1は、図2のI−I線断面図である。
図2に示すように、CVTは、プライマリプーリ1と、セカンダリプーリ(図示せず)と、プライマリプーリ1とセカンダリプーリ間に架け渡された動力伝達ベルト2とを備える周知の構造のものである。
実施形態に係る軸受装置は、回転軸3と、ハウジング4と、回転軸3をハウジング4に対して回転自在に支持する転がり軸受5とを備える。
プライマリプーリ1は、固定シーブ6と、固定シーブ6に対して接近・離反可能な可動シーブ7とを有する。固定シーブ6は、回転軸3に固定されている。可動シーブ7は、回転軸3によって相対回転不可、軸方向スライド自在に支持されている。可動シーブ7の位置が油圧によって制御されてプライマリプーリ1とセカンダリプーリとの間の変速比が調整される。なお、図2では、可動シーブ7を軸方向に変位させる機構の図示を省略している。
前述のセカンダリプーリもプライマリプーリ1と同じく固定シーブと可動シーブとを有する。プライマリプーリ1とセカンダリプーリのうち、一方のプーリ(図示例ではプライマリプーリ1)が他方のプーリの斜め上方に配置され、その一方のプーリの固定シーブ6と一体の回転軸3の片端側が転がり軸受5によって支持されている。
回転軸3は、動力伝達ベルト2によって回転駆動される固定シーブ6及び可動シーブ7と一体に回転し、これら両シーブ6、7の回転中心となる。回転軸3は、中空回転軸状になっており、その中空孔を通じて潤滑油を転がり軸受5に供給することが可能になっている。回転軸3の一端側は、転がり軸受5によってハウジング4に対して回転自在に支持されている。回転軸3の他端側も他の転がり軸受によってハウジング4に対して回転自在に支持されるが、図2では、回転軸3の他端側の支持構造の図示を省略している。
以下、回転軸3の回転中心線に沿った方向のことを「軸方向」という。また、その回転軸3の回転中心線回りに一周する円周に沿った方向のことを「円周方向」という。また、その回転軸3の回転中心線に直交する方向のことを「径方向」という。
ハウジング4は、プライマリプーリ1、セカンダリプーリ等を収容するCVTのケーシングの一部として構成されている。ハウジング4は、回転軸3に対して静止し、転がり軸受5を径方向及び軸方向に支持する。
転がり軸受5は、ラジアル軸受として構成されている。図1、図2に示すように、転がり軸受5は、回転軸3に嵌合された内輪8と、ハウジング4に嵌合された外輪9と、内輪8と外輪9との間に配置された複数の転動体10とを有する。
内輪8は、外周側に軌道面を有する環状の軸受部品である。外輪9は、内周側に軌道面を有する環状の軸受部品である。転動体10は、内輪8の軌道面と外輪9の軌道面に対応する転動面を有する軸受部品である。
内輪8は、回転軸3と一体に回転するように回転軸3の外周に嵌合されている。外輪9は、ハウジング4に固定されている。
内輪8、外輪9及び転動体10は、それぞれ鋼によって形成されている。
図示では、転がり軸受5として深溝玉軸受を例示している。内輪8の軌道面と外輪9の軌道面は、それぞれ断面円弧状であって、円周方向全周で同一の断面形状を有するように形成されている。転動体10は、玉からなる。
回転軸3から転がり軸受5に負荷される最大のラジアル荷重の方向は、実質的に一定である。図2のCVTにおいては、プライマリプーリ1がセカンダリプーリの斜め上側にあるCVTを想定している。このため、プライマリプーリ1を支持する転がり軸受5に対して回転軸3から斜め下側の方向に最大のラジアル荷重が負荷される。図1において、そのラジアル荷重Pの作用線を矢線で示す。
図1、図2に示すように、ハウジング4は、外輪9を径方向に支持するボディ11と、ボディ11に固定されたプレート12と、プレート12をボディ11及び外輪9に軸方向に締め付ける複数の雄ねじ部品13とを有する。
ボディ11は、外輪9の外径面に嵌め合う円筒面状の軸受座面11aと、軸受座面11aに嵌合された外輪9の軸方向一方側(図2において左側)の端面を軸方向に支持する肩部11bと、軸受座面11aの軸方向他方側(図2において右側)に連続する締結面11cと、軸受座面11aに対して径方向外方に位置する複数のねじ貫通部11dとを有する。
軸受座面11aとボディ11の外側面との間の厚さは、外輪9の外径面の真円度を所定内に保てる強度を確保するように設定されている。このため、回転軸3から転がり軸受5に負荷されるラジアル荷重によって外輪9が楕円状に過大変形させられることがない。
締結面11cは、円周方向全周に連続しかつ径方向に沿った平坦面として形成されている。締結面11cは、プレート12と軸方向に接触する部位となる。
ねじ貫通部11dは、雄ねじ部品13のねじ回転軸を軸方向に差し込み可能な貫通孔を規定する。ボディ11に形成された複数のねじ貫通部11dの総数は3である。これらねじ貫通部11dは、円周方向に均等間隔(すなわち回転軸3の回転中心線O回りに120°間隔)で配置されている。
プレート12は、回転軸3の周囲に配置された開口部12aと、雄ねじ部品13のねじ回転軸に対応する複数の雌ねじ部12bとを有する。開口部12aは、軸受座面11aに嵌合された外輪9の外周段部9aと軸方向及び径方向に接触する。
プレート12の外周は、正三角形状の各角部を同等に省いた六角形状に形成されている。雌ねじ部12bの総数は3であり、ねじ貫通部11dの総数と同じである。これら雌ねじ部12bは、円周方向に均等間隔で配置されている。雌ねじ部12bは、プレート12の外周の六角形状を成す6辺のうち、3箇所の短辺と開口部12aとの間に配置されている。
プレート12は、板厚5mm以下の一枚の金属板によって形成されている。プレート12の全体的な形状は、プレス成形されている。そのプレス成形品に対し、雌ねじ部12bを形成するねじ切り加工が施されている。
複数の雄ねじ部品13の総本数は、ねじ貫通部11d、雌ねじ部12bと同数である。雄ねじ部品13は六角ボルトを例示したが、これに限定されない。
複数の雄ねじ部品13をボディ11のねじ貫通部11dからプレート12の複数の雌ねじ部12bにねじ込むことにより、プレート12がボディ11に固定され、ハウジング4に対する外輪9の軸方向移動を阻止する状態になる。このとき、3本の雄ねじ部品13のねじ軸線Oは、円周方向に120°間隔で配置されている。これら雄ねじ部品13の軸力により、プレート12は、その軸方向一方側の側面においてボディ11の締結面11c及び外輪9の外周段部9aに軸方向に締め付けられている。この締め付けにより、プレート12から外輪9に軸方向の押圧力が加えられ、ボディ11の肩部11bが外輪9から軸方向一方側に向かって押されている。
CVTの回転軸3に逆入力が生じた際にプレート12で転がり軸受5の軸方向変位挙動に抵抗するため、各雄ねじ部品13の軸力は数トンに設定される。ボディ11の肩部11b付近をハウジング4の外側から軸方向に支持するバックアップ面がないため、プレート12から外輪9に加えられる押圧力は、ハウジング4ごと外輪9を変形させる程の大きさになる。その押圧力は、雄ねじ部品13に近くなる程に大きくなり、雄ねじ部品13から遠くなる程に小さくなる傾向がある。このため、外輪9の変形も同様の傾向となる。したがって、雄ねじ部品13に近い位置程に外輪9の軌道面が軸方向に大きく歪み、転動体10が円滑に転がりにくくなる。このことは、転がり軸受5の荷重負荷域において外輪接触面圧を高める方向に作用する。ここで、転がり軸受5の荷重負荷域は、転がり軸受5のうち、円周方向の一部領域であってラジアル荷重を受ける領域のことをいう。また、外輪接触面圧は、外輪9の軌道面のうち、1個の転動体10との接触領域における面圧のことをいう。外輪接触面圧は、ヘルツ(Hertz)の弾性接触理論におけるPmaxの値として数値解析で求めることができる。
本願発明者は、雄ねじ部品の位置とPmaxとの関係性を探るための数値解析を行った。その数値解析では、CVT用途で一般的な軸受形式及び主要寸法の転がり軸受として、本出願人の製品型番6010の深溝玉軸受を解析対象に採用した。また、その数値解析では、回転軸から転がり軸受に負荷される荷重を想定し、CVT用途で既知の大きさの等価ラジアル荷重を解析対象に与えた。その等価ラジアル荷重の方向は、回転軸の回転中心線から一方向に設定した。
また、その数値解析では、前述の押圧力が外輪に加えられていない場合を想定し、外輪の変形を設定せずに前述の等価ラジアル荷重を与えた場合をモデル1とした。また、その数値解析では、前述の押圧力による外輪の変形を想定し、解析対象の外輪の変形を設定して前述の等価ラジアル荷重を与えた場合をモデル2〜4とした。
そのモデル2では、前述の等価ラジアル荷重の作用線上での外輪軌道面の変形量を15μmに設定し、その作用線上を位相0°に定めた。モデル2の外輪軌道面の変形量は、位相0°から離れた位相である程に小さく設定した。前述の位相0°の位置で外輪と接触する転動体を第1転動体とし、第1転動体から円周方向の一方回りに向かって1つ目に位置する転動体を第2転動体とし、第1転動体から円周方向の一方回りに向かって2つ目に位置する転動体を第3転動体としたとき、モデル3、4では、それら転動体間のピッチ間隔に基づいて外輪軌道面の変形量を変更した。すなわち、モデル3では、第2転動体と外輪の接触領域となる第1位相での外輪軌道面の変形量を15μmに設定した。モデル3の外輪軌道面の変形量は、第1位相から離れた位相である程に小さく設定した。モデル4では、第3転動体と外輪の接触領域となる第2位相での外輪軌道面の変形量を15μmに設定した。モデル4の外輪軌道面の変形量は、第2位相から離れた位相である程に小さく設定した。これらモデル2〜4は、それぞれ対応の転動体と外輪との接触領域を通る径方向の仮想直線上に雄ねじ部品のねじ軸線を配置した場合を想定したものである。
前述のモデル1〜4において外輪接触面圧の分布(面圧分布)を解析した。各モデルにおいて様々な位相における外輪接触面圧を求め、位相に応じて外輪接触面圧がどのように変化するかを調べた。その解析結果を図3にグラフで示す。図3において、グラフの縦軸は、モデル1の面圧分布における最大の外輪接触面圧に対する比率を示し、グラフの横軸は、前述の位相0°に対する相対角度である位相を示す。位相0°の位置から円周方向の一方回りの位相を正の相対角度で示し、位相0°の位置から前述の一方回りと反対回りの位相を負の相対角度で示す。
モデル1のグラフから、外輪の変形がない場合、外輪接触面圧は、等価ラジアル荷重の作用線上である位相0°の接触領域において最大となり、位相に応じて放物線状に小さくなることが分かる。
モデル2のグラフから、雄ねじ部品のねじ軸線を等価ラジアル荷重の作用線の延長上(位相0°)に配置すると、面圧分布における最大の外輪接触面圧は、位相0°の接触領域で生じ、モデル1における最大の外輪接触面圧に比して10%以上高くなることが分かる。
モデル3、4のグラフから、雄ねじ部品のねじ軸線を位相0°から離れた位相に配置すると、面圧分布における最大の外輪接触面圧は、位相0°から離れた位相の接触領域で生じると共に低くなることが分かる。
さらに、モデル4のグラフから、雄ねじ部品のねじ軸線を位相0°から十分に離れた位相に配置すると、面圧分布における最大の外輪接触面圧は、外輪の変形がないモデル1における最大の外輪接触面圧よりも低くなることが分かる。
図3のモデル1〜4の各面圧分布における最大の外輪接触面圧と位相との関係を図4に折れ線グラフで示す。この折れ線グラフにおいて、縦軸は、モデル1の面圧分布における最大の外輪接触面圧に対する比率を示し、横軸は、前述の位相0°に対する相対角度である位相を示す。
図4の折れ線グラフが位相40°の目盛線と交差する位置での縦軸値は101%程度である。数値解析の誤差を考慮すると、外輪軌道面の変形量が位相40°の位置で最大になる場合、その面圧分布における最大の外輪接触面圧は、モデル1の面圧分布における最大の外輪接触面圧と同等になると考えても実質的に問題ない。
図3、図4に示すように、この数値解析では、雄ねじ部品のねじ軸線の位置を位相0°から一方回りについて変更する想定であったが、一方回りと反対回りに変更する場合についても図3のモデル3、4の面圧分布が位相0°の目盛線を対称軸として左右対称に現れることになる。
前述の数値解析の結果から、雄ねじ部品のねじ軸線の位置を位相0°から±40°以上離れた位相に配置する場合の面圧分布における最大の外輪接触面圧は、モデル1の面圧分布における最大の外輪接触面圧と同等以下になると考えられる。
そこで、図1、図2に示す軸受装置では、複数の雄ねじ部品13の配置により、転がり軸受5の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧の抑制が図られている。すなわち、プレート12及び複数の雄ねじ部品13がボディ11から取り外された状態で回転軸3が運転された場合に転がり軸受5の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧をPmaxとし、プレート12が複数の雄ねじ部品13によってボディ11に固定された状態で回転軸3が運転された場合に転がり軸受5の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧をPmaxとしたとき、複数の雄ねじ部品13が、Pmax≦PmaxとなるようにPmaxの接触領域の位置から離れた位置に配置されている。
具体的には、図1に示すように、Pmaxの接触領域は、ラジアル荷重Pの作用線上に生じる。Pmaxの接触領域の位置を通る径方向の仮想直線上を位相0°としたとき、複数の雄ねじ部品13の各ねじ軸線Oが、位相0°から一方回り(図1において時計回り)に+40°以上離れかつ当該一方回りと反対回り(図1において反時計回り)に−40°以上離れた範囲に配置されている。
円周方向に均等間隔で配置された3本の雄ねじ部品13のうち、1本の雄ねじ部品13のねじ軸線Oの位置は、Pmaxの接触領域の位置と±180°の位相に配置されている。したがって、位相0°から一方回りで考えた複数の雄ねじ部品13の位相と、位相0°から一方回りと反対回りに考えた複数の雄ねじ部品の位相とが同等である。
実施形態に係る軸受装置は、上述のようなものであり、複数の雄ねじ部品13が、Pmax≦PmaxとなるようにPmaxの接触領域の位置から離れた位置に配置されているので、複数の雄ねじ部品13によってプレート12がハウジング4のボディ11及び外輪9に締め付けられて外輪9が変形しても、外輪接触面圧が高くならず、外輪9と転動体10の接触領域における摩耗が防止される。
外輪9の軌道面において水素脆性剥離が発生するか否かには、外輪9の軌道面と転動体10の金属接触が生じて当該軌道面に摩耗が起こるか否かが影響すると考えられる。外輪9の軌道面の摩耗が起こるか否かは、外輪9の軌道面と転動体10間の最小油膜厚さと、外輪接触面圧との一次関数的な関係性に依存する。つまり、外輪接触面圧が大きくなる程、摩耗の防止(すなわち水素脆性剥離の防止)に必要な最小油膜厚さの閾値が大きくなる。Pmax、Pmaxにおいて最小油膜厚さが前述の閾値を満足するのであれば、外輪9の軌道面において水素脆性剥離が発生しないと考えられる。プレート12の固定によって外輪9の変形が生じても、PmaxがPmaxと同等以下になるのであれば、前述の閾値が高くなることはない。したがって、外輪9の軌道面の摩耗による新生面の生成が防止され、新生面と潤滑剤の接触による水素発生が抑えられるので、外輪9の水素脆性剥離が防止される。
また、複数の雄ねじ部品13の配置によって外輪9の水素脆性剥離が防止されるので、プレート12の厚さを厚く設定したり、外輪9の素材を特殊鋼にしたり、外輪9に特殊熱処理を施したりすることが不要になり、コスト上昇が避けられる。
このように、実施形態に係る軸受装置は、コスト上昇を避けつつ、外輪9の水素脆性剥離を防止することができる。
また、実施形態に係る軸受装置は、Pmaxの接触領域の位置を通る径方向の仮想直線上を位相0°としたとき、位相0°から一方回りで考えた複数の雄ねじ部品13の位相と、位相0°から一方回りと反対回りに考えた複数の雄ねじ部品13の位相とが同等であるので、複数の雄ねじ部品13の軸力を位相0°基準でプレート12にバランスよく負荷することができる。
また、実施形態に係る軸受装置は、複数の雄ねじ部品13の総本数が3本であるので、各雄ねじ部品13をPmaxの接触領域の位置からPmax≦Pmaxとなるまで離すことができ、また、各雄ねじ部品13の軸力によるプレート12の反りを抑えることができる。
また、実施形態に係る軸受装置は、Pmaxの接触領域の位置を通る径方向の仮想直線上を位相0°としたとき、複数の雄ねじ部品13の各ねじ軸線Oが位相0°から一方回りに+40°以上離れかつ当該一方回りと反対回りに−40°以上離れた範囲に配置されているので、トランスミッション用軸受装置において一般的な軸受形式及び軸受主要寸法においてPmaxをPmaxと同等以下にすることができる。
また、実施形態に係る軸受装置は、プレート12が板厚5mm以下の一枚の金属板によって形成されているので、プレート12が重くならず、また、切削加工でプレート12を形成することが不要になるので、トランスミッション用途に好適な軸受装置にすることができる。
また、実施形態に係る軸受装置は、回転軸3がトランスミッションに備わる回転軸からなるので、コスト上昇を避けつつ、トランスミッションに備わる軸受装置の耐久性向上を図ることができる。
なお、Pmax、Pmaxの各接触領域の位置は実験的に探索することも可能である。すなわち、外輪9の軌道面には僅かな深さの接触痕(転動体10との接触領域が僅かに凹んだ永久変形)が生じる。その接触痕の深さは外輪接触面圧の高さに対応するから、異物の噛み込み等による異常な痕跡を除けば、接触痕の深さ変化からPmax、Pmaxの接触領域の位置を知ることができる。
図示例では、実施形態に係る軸受装置はプライマリプーリ1の回転軸3の支持に適用したが、プライマリプーリとセカンダリプーリの位置関係が上記の説明とは逆になっているCVTについては、セカンダリプーリを支持する転がり軸受に対して荷重が斜め下向きに負荷される。従って、この場合にも実施形態に係る軸受装置を適用することが可能である。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
3 回転軸
4 ハウジング
5 転がり軸受
8 内輪
9 外輪
10 転動体
11 ボディ
12 プレート
13 雄ねじ部品

Claims (6)

  1. 回転軸と、ハウジングと、前記回転軸を前記ハウジングに対して回転自在に支持する転がり軸受と、を備え、
    前記転がり軸受が、前記回転軸に嵌合された内輪と、前記ハウジングに嵌合された外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置された複数の転動体とを有し、
    前記ハウジングが、前記外輪を径方向に支持するボディと、前記ボディに固定されたプレートと、前記プレートを前記ボディ及び前記外輪に軸方向に締め付ける複数の雄ねじ部品とを有する軸受装置において、
    前記プレート及び前記複数の雄ねじ部品が前記ボディから取り外された状態で前記回転軸が運転された場合に前記転がり軸受の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧をPmaxとし、前記プレートが前記複数の雄ねじ部品によって前記ボディに固定された状態で前記回転軸が運転された場合に前記転がり軸受の荷重負荷域の中で最大の外輪接触面圧をPmaxとしたとき、前記複数の雄ねじ部品が、Pmax≦PmaxとなるようにPmaxの接触領域の位置から離れた位置に配置されていることを特徴とする軸受装置。
  2. 前記Pmaxの接触領域の位置を通る径方向の仮想直線上を位相0°としたとき、位相0°から一方回りで考えた前記複数の雄ねじ部品の位相と、位相0°から前記一方回りと反対回りに考えた前記複数の雄ねじ部品の位相とが同等である請求項1に記載の軸受装置。
  3. 前記複数の雄ねじ部品の総本数が3本である請求項2に記載の軸受装置。
  4. 前記Pmaxの接触領域の位置を通る径方向の仮想直線上を位相0°としたとき、前記複数の雄ねじ部品の各ねじ軸線が、位相0°から一方回りに+40°以上離れかつ当該一方回りと反対回りに−40°以上離れた範囲に配置されている請求項1から3のいずれか1項に記載の軸受装置。
  5. 前記プレートが、板厚5mm以下の一枚の金属板によって形成されている請求項1から4のいずれか1項に記載の軸受装置。
  6. 前記回転軸が、トランスミッションに備わる回転軸からなる請求項1から5のいずれか1項に記載の軸受装置。
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